2022年9月号目次

 

覚者より
混乱の終わり
ベンジャミン・クレーム筆記

マイトレーヤからのメッセージ 第129信

視点
地球が燃えている時に「通常どおりのやり方をすること」を拒否して、学生たちは世界中で学校を占拠することを誓う
ジュリア・コンリー

今月号の内容概説

ゲイリー・ホワイト、マット・デイモン共著 『水の価値』
パトリシア・ピッチョンによる書評・

L’Après M :
フードバンクというよりも救命ボート
ポーリン・ウェルチ

世界情勢
メキシコ大統領が世界的な停戦を提案する

地雷や結核を発見するネズミ
ジェイソン・フランシスによるクリストフ・コックス氏へのインタビュー

時代の徴
世界中の奇跡

編集長への手紙
ユニークな贈り物 他

ユニバーサル・ベーシックインカムへの道
チアゴ・スタイバーノ・アルベス

接触の科学——夢
アート・ユリアーンス

常温核融合の進展と見通し
N.K.

読者質問欄
回答 ベンジャミン・クレーム

混乱の終わり

──覚者より
  ベンジャミン・クレーム筆記

 明晰な知識の目で世界を見るとき、認識しながら凝視する目には、ほとんどの観察者の見方とは全く異なった見方が顕れる。大多数にとって、これは戦争、洪水、悪疫のはびこる混乱の世界である。恐怖が何百万という人々の心(ハート)を支配する。確かに、今日の世界にはこれらの破局すべてが見られる──そしてその結果として多くの者がひどく苦しむ。しかし、恐怖と苦しみの背後には、物事はより良い方向に変わるだろう、この期間は一時的であり、長く続かないだろうという希望感が増大しつつある。かくして、混乱が最もひどい地域、苦難が最も厳しい地域、それらに耐えるのが最も困難な地域の多くにおいてそうである。
 そのすべての背後で、際限のない愚かな破壊の背後で、この世界は暗闇の、夢だらけの睡眠から醒めつつあり、極端に困難で精神的に衝撃の大きい状態から目覚めつつある。新しい強力なエネルギーが人類をかつてないほどに行動へと駆り立てており、そして、そのような状況においていつもそうであるように、最初の反応は入り交じったものである──混乱した破壊的な反応の後には新しいより高位のリズムが訪れて、それが徐々に全体を支配する。
 外的な形態や出来事の限界を超えた「いのち」を見るわたしたちは、この困難な時期はほとんどそのコースを走り切っており、多くの者が請い願う安定と平静がもう間もなく手の届くところにあることを、そして調和がその長い暗い夜の眠りから爽やかに元気を取り戻して目覚めつつあることを、確かな事実として知っている。
 かくして、今や世界はキリストの再臨に対して用意が整っている。かくして、今や人間は、キリストが提供しなければならないところのものに対して用意が整っている。
 キリストが以前に、彼の弟子イエスを通して来られたとき、人間は彼の教えに応えるのが不安であった。今日、何世紀もの苦難と教育と経験を通して、人間は彼の教訓を理解し、それを実践する用意がある。教訓を垂れる者として彼はやって来る。 救い主ではなく大教師として、彼はご自分の使命を全うされる。
 もうすぐ、世界が待望する御方は出現して、ご自身をすべての者の視野の中に現されるだろう。もうすぐ、人間は自分たちの高位我との対話に専念して、生き延びるか、死滅するかについての彼らの選択を行うだろう。かくして、この時の偉大なるドラマは演じられつつある。
 人間はそれを知らないが、終わりは初めから知られている。理性と真理の最終的な勝利は保証されている。
 マイトレーヤは、貪欲のカジノ(賭場)である株式市場の崩壊を合図として使うだろう。その時、彼は公に世界の舞台に入って来られ、正義と自由、分かち合いと良識を訴えるだろう。
 人間は彼ら自身を、彼らの優先事項を、彼らの志向と価値観をよく吟味するがよい。なぜなら彼らがやがて成さなければならない選択に、この世界の未来が、人類の福利が、そして神の大計画における彼らの当面の役割が依存しているのであるから。
 見守るわたしたち、あなた方の兄たちは、あなた方の正しい決定と未来の栄光を確信と喜びをもって待つ。

(シェア・インターナショナル誌2000年5月号)

マイトレーヤからのメッセージ 第129信

親愛なる友よ、再びこのようなかたちであなたがたと共にあることをうれしく思う。

我が友よ、人類の反応を見てわたしは非常にうれしい。
多くの者は彼らの周りに混沌とした危険な世の中を見る、まさしくそうである。
しかしこのいかにも混沌とした大渦巻の中に、静かな穏やかな中心があり、
希望と変化を生み出している。
我が友よ、今起こりつつある変化をわたしが見るようにあなたがたも見ることができるならば、わたしと同じように心は喜びに躍るであろう。
世界中で、今日人間は変化に目覚め、人の心をとらえている新しい思考や理想を前面に持ち出している。

世界に多くの良きことが起こっているのをあなたがたの多くは気づいている。
しかしまだ隠れているのはわたしの仕事の深遠なる効果である。
だから本当に喜びなさい。
喜びの光とリズムを広く伝え、あなたがたが出会うすべての人々の心に、
福音に対する反応を呼び起こしなさい。
我が友よ、まだまだ多くがなされねばならない。
多くの重要なことがらが、わたしの注意を引く。
多くの問題が解決を待っている。
しかし、すでに踏破された歩みは大きい。
これが本当であることを知り、そのように行動しなさい。

あなたがわたしを見るとき、昔の真理を改めて聞くだろう。
わたしは神と人との真の関係を言明する。
これを知って、応じる者はあの聖なる存在へと前進する。

他の人々に伝えることを、あなたの任務となしなさい。
愛と真理について、あなたが知っていることを告げなさい。
愛の顕現が神への確実なる径であることを告げなさい。
この単純な真理が、わたしの教えのすべての根底にある。

もうしばらくの間わたしを待ちなさい。
わたしをあなたがたの兄弟として、友として見なさい。
わたしを未来への案内人として、希望として見なさい。
わたしを信頼し、一人の兄弟としてわたしを愛しなさい。
わたしを神の愛の顕現として知りなさい。
まもなくわたしを見る用意をしなさい。
私、マイトレーヤ自身が現在あなたがたの中に居ることを、
あなたは信じるのだと世に告げる用意を整えなさい。
我が友よ、これをわたしのためになし、いのちの中に入りなさい。

唯一にして最も聖なる神の光と愛と力とが、
あなたがたの心(ハートとマインド)の裡に、今顕されるように。
それによって、あなたがたが世界の貧しき者たちを助けるために働けるように。

(1981年9月8日)

地雷や結核を発見するネズミ

ジェイソン・フランシスによるクリストフ・コックス氏へのインタビュー

 ベルギーの登録NGOで米国の非営利団体であるAPOPOは、地雷や結核を発見できるようにアフリカオニネズミを訓練している。APOPOはタンザニアを拠点としており、タンザニアのモロゴロ市で訓練を実施している。
 60を超える国が過去の紛争による地雷に悩まされている。毎年1,000万の人々が結核に感染し、100万から200万の人々が亡くなっている。1997年にこの団体が設立されてから、「ヒーローラッツ(英雄ネズミ)」という愛称のネズミたちは14万個を超える地雷を発見した。ネズミたちはまた、病院が見逃した2万2,000件を超える結核の活動性感染の症例を特定し、同時に17万件を超える潜在的感染を防止した。クリストフ・コックス氏はAPOPOの最高責任者で共同設立者である。ジェイソン・フランシスが本誌のために彼にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI):APOPOの共同設立者であるバート・ウィートジェンス氏は子供の頃にネズミを飼っていたことがあり、隠した餌を見つけるようにネズミを訓練していました。このことが、地雷や結核を発見するためにネズミ、特にアフリカオニネズミを訓練するというアイディアにどのように発展していったのでしょうか。
 クリストフ・コックス:私たちは工業デザインの学校[アントワープ大学]に一緒に入学しました。創造的なアイディアを思いつくことは、常に私の学生生活の一部でした。バート氏は地雷問題に深い関心を抱いていました。そのため、彼は地雷問題を分析し、地雷の発見が本当のボトルネック(障害)の一つであることを、私たちは知りました。なぜなら、地雷の発見には時間と費用がかかり危険だからです。彼はあらゆる検出方法の可能性を検討しました。ネズミは非常に優れた嗅覚を持っているため、訓練が可能であることが知られています。バート氏は、アントワープ大学で齧歯類の生態学を専門にしているロン・ヴァンハーゲン教授に相談し、教授からアフリカオニネズミを使うようにアドバイスを受けました。
 アフリカオニネズミがこの仕事に選ばれたのには、いくつかの理由がありました。アフリカオニネズミは土中に物を貯める習性があり、埋めた食べ物をよく探します。アフリカオニネズミは最大で8年生きますが、より小さなネズミはわずか2、3年しか生きられません。また、アフリカオニネズミは穏やかな動物であり、飼い慣らすことができます。他の多くのネズミは神経質な生き物です。そして、アフリカオニネズミを育てて飼育することが可能だとすでに証明されています。その大きさから、アフリカオニネズミは食用にされ、繁殖のために飼育されることがあります。

S I:これまでに、どのくらいの数のネズミが飼育され、地雷や結核を発見する訓練を受けているのでしょうか。

コックス:現在、少なくとも300匹のネズミがいます。過去5年間で78匹のネズミを訓練してプログラムに投入しました。26匹が結核の発見のためで、52匹が地雷の発見のためです。

地雷を発見する

S I:ネズミが受ける訓練の内容について説明していただけますか。そして地雷の発見と結核の発見で、訓練の内容はどのように違いますか。

コックス:ネズミが生まれた後、約10週間、母親と一緒にします。以前はもう少し早く引き離していましたが、今ではもう少し時間をおくようにしており、ネズミはより強くなります。次に社会化の訓練を開始し、あらゆることを行います。例えば、ネズミをオートバイに乗せた後でトラックに乗せます。また、ラジオの音を流し、ネズミをラジオの上に乗せます。ネズミは、人が近くにいることや、様々な音、環境の刺激に慣れる必要があるのです。およそ3週間後には、「クリック訓練」を開始します。私たちは[小さな携帯用の機器を使い]クリック音を鳴らし、食べ物の報酬を与えます。この過程を繰り返します。これは、地雷発見の訓練を受けるネズミの場合も、結核発見の訓練を受けるネズミの場合も同じです。次に識別の訓練を始めます。ネズミはクリック音を聞くためにあることをしなければなりません。
 地雷の発見には、紅茶を中に入れてカップに浸して作る「ティーエッグ」(小さな金属の卵型容器)を使います。ネズミは「エッグ」を発見したときにだけクリック音を聞きます。その「エッグ」はTNT(トリニトロトルエン──比較的安定していて扱いやすい爆発性の物質)の臭いがします。次にネズミは食べ物を与えられます。その次には複数の「エッグ」があり、その中の一つだけがTNTの臭いがして、他は別の臭いがします。ネズミはTNTの臭いのする「エッグ」を発見したときにだけクリック音を聞きます。ネズミは特定の臭いによってクリック音を聞き、食べ物の報酬が得られることを理解します。結核に関しては、ネズミは中性または陽性の喀痰(喀出された唾液と粘液)の検体が入ったケースの中に入ることになります。
 次に、地雷を発見するネズミにとっては、さらに難しくなります。私たちは、面積が狭く目標物が地面の上にある訓練用の地雷原にネズミを連れて行きます。徐々により広く、目標物が土中さらに深く埋まっているような訓練領域にネズミを連れて行きます。9カ月から1年経過すると、ネズミはさらに広い領域でより多くの(5個、7個、10個の)地雷を発見しなければならず、1個でも見逃すことは許されません。それから、ネズミは他の国に送られ、私たちの地雷原で使用している地雷とは種類が違う可能性のある現地の地雷で訓練を受けます。数週間後には、ネズミは地雷除去の責任を負う地元当局の管理下に移されます。ネズミが「合格」すると、「地雷発見ネズミ」として認定されます。ほとんどのネズミは合格します。

S I:ネズミはどの国で地雷の発見の仕事をしていますか。

コックス:私たちは現在、アンゴラ、ジンバブエ、モザンビーク、カンボジア、南スーダンで活動しており、ちょうどトルコでも活動を始めたところです。

S I:地雷の発見において、より伝統的な手法を併用しながら、ネズミをどのように使用するのかについてお話しいただけますか。

コックス:常に伝統的な手法を併用しながら、ネズミを使用します。ネズミが地雷の存在を示すと、訓練担当者は地面に目印を置きます。次に別の人が金属探知機を持ってきて、正確な位置を確認します。そして、地雷を掘り出します。ネジ回しドライバーのような道具で探査を開始し、土をほぐし、地雷を除去します。地雷は運び去られ、爆発処理されます。

S I:金属探知機だけを使う場合に比べて、地雷の発見においてネズミの助けを得ることには、どのような利点がありますか。

コックス:ネズミはテニスコートの大きさの領域を40分で調査することができます。これは手作業では最大で4日かかる作業です。場所によって異なります。地雷原では、以前の爆発による無数の金属片がある場合があるからです。金属探知機が検知音を鳴らすたびに、作業員は手順に従う必要があります。ブラシと小さなシャベルを使い、金属片を露出させ、取り除いて箱に入れ、金属探知機のところに戻って再び探査を行います。信号がなくなると、作業員は先に進むことができます。金属探知機が誤った結果を出すのは、本当によくあることです。ネズミは金属物ではなく、爆発物だけを嗅ぎ出すように訓練を受けています。

S I:ネズミは地雷を発見したことを担当者にどのように知らせるのですか。

コックス:地雷の上を軽くこすります。そして約3秒間立ち上がり、地雷を発見したことを担当者に知らせます。

結核を発見する

S I:医学的な検査だけではなく、結核の発見の補助にネズミを使うことが、なぜ重要なのですか。

コックス:現在では、1年に1,000万件の結核の症例があります。アフリカのサハラ以南地域では、これらの症例のおよそ50%だけが結核と診断されています。そのため、多くの人がそれと知ることなく結核に感染しています。多くの場合は、診断能力の欠如が原因です。その上、既存技術は、1982年から大きく変わらない顕微鏡検査です。顕微鏡検査では、およそ20%から60%の症例を発見することができます。HIV陽性の患者に関しては、発見率はおよそ25%です。つまり、ある人が病院に行くと、実際には陽性であっても陰性であると言われることが4回に3回は起こるのです。
 そしてPCR 検査(ウイルスの遺伝物質を検出するポリメラーゼ連鎖反応)の手法があります。PCR機器はより高価であり、高度なメンテナンスを必要とします。世界のこの地域[アフリカ]では、PCR機器の約40%が機能していません。
 ネズミは発見の速度がとても早いです。例を挙げますと、私たちは55の病院で活動しており、タンザニアのダルエスサラーム市において、私たちの検査機器ではすべての痰の検体を収集します。ネズミは、帰宅してもよいと言われた多くの患者の陰性の検体を検査し、その中から陽性が発見されます。私たちは発見率を約40%増加させました。病院は100の検体から10から15の陽性を発見します。そしてその内の85から90の陰性の検体から、病院が見落とした追加の5から6の陽性を特定します。重要なことは、私たちは伝染を防ぐ手助けをしていることです。というのも、すべての患者が1年に10人から15人、他の人を感染させる可能性があるからです。

S I:APOPOでは、どの国や都市で結核検査を実施していますか。

コックス:結核に関しては、モザンビーク、タンザニア、エチオピアで活動しています。主要な業務はタンザニアで行っており、そこには二つの研究所があります。

S I:APOPOでは、何回の結核検査を行いましたか。

コックス:79万を超える検体を検査しました。

S I:APOPO では、ネズミの訓練を別の分野での発見にまで拡大していますか。

コックス:私たちは現在、ブルセラ症の発見に取り組んでいます。ブルセラ症は、殺菌処理されていない牛乳を飲むことから感染する世界のこの地域における別の感染症です。私たちは、土壌の汚染物質の検出や野生生物製品に注目しています。東南アジアを中心に、違法な野生生物製品の取り引きが大規模に行われています。また、地震後に生存者を発見するようにネズミを訓練する興味深いプロジェクトも実施しています。そのために、ネズミ用の小さなカメラを備えたハイテクのバックパックを開発しました。ネズミは人間の匂いを嗅ぐことができ非常に小さいために、瓦礫をくぐり抜けて大人が行くことのできない瓦礫の下に行くことができます。

ヒーロードッグ(英雄犬)

S I:APOPO では地雷の発見のために犬の訓練も行っていますが、その仕事について少しお話しいただけますか。

コックス:ベルジャン・マリノア種の犬は、何かを嗅ぎ出したと同時に後ろに下がるように訓練されています。犬が地雷の上を歩いて地雷を起動させることはまず起こりません。私たちは、主に技術的な調査の役割のために犬を使用しています。そのために、訓練手順を新たに開発しました。犬は最大で40メートルの距離をまっすぐに歩いて戻ることができます。もし犬を使わなければ草むらを通過する必要があり、重い草むら用カッターを使うことになり高額な費用がかかります。私たちが犬を使うのは、犬は何とかして草むらの中を進むことができるからです。もし地雷帯を発見できたら、次にネズミを使用した除去作業を開始することが可能になり、ほとんどの場合、狭い領域で小規模な探索を行います。犬にはカメラやGPS機器や通信機器を備えたバックパックを取り付けることができます。私たちは、犬が探索した全行程の軌跡を示し、どこに地雷がある可能性があるかを示す地図を見ることができます。

動物愛護

S I:APOPOは動物の世話をする上で、動物の健康と福利を重視しています。あなた方がお世話をしているネズミの生活についてお話いただけますか。

コックス:それはパフォーマンス(仕事ぶり)のためだけではなく、非常に大切なものです。良い結果を出す健康的なネズミが欲しいと思います。ストレスでいっぱいの動物が欲しいとは思いません。私たちはみな動物が好きです。私たちのネズミは訓練担当者が毎日検査しており、獣医が毎週検査しています。ネズミにはケージの外で遊ぶ時間があります。ネズミが引退するとき、私たちは引退小屋を提供し、おもちゃで遊べるようにします。私たちのネズミは野生のネズミよりも長生きします。

S I:ネズミは地雷を爆発させるには軽すぎます。それはネズミが地雷の発見に向いている理由の一つでもあります。犬は地雷を感知したときに、ネズミが訓練されているように土を引っかくのではなく後退するように訓練されています。それでも、犬には爆発事故の危険性がありますか。それとも、犬の安全は地雷原において最優先でしょうか。

コックス:もちろん、危険は常にありますが、機器操作や地雷除去の担当者にとっても変わりはありません。私たちは厳格な手順に従っており、私たちの動物に関して、地雷事故は今までに一度もありません。

S I:APOPOの資金はどちらから提供されていますか。

コックス:資金は様々な源から提供されています。主な財源は基金やチャリティーです。また、一般の方の寄付も大きな財源です。一般の方はネズミを「養子」にして、ネズミの仕事内容の情報を得ることができます。それらは小さな寄付ですが、私たちの収入のおよそ10%になります。別の主要な財源は政府からの資金です。連邦政府は、ジンバブエでの私たちの地雷除去事業を援助しています。私たちが除去作業を行っているのは37キロメートルの地雷原で、1キロメートル進む間に約2,000個の地雷があります。この地雷原は、南アフリカのクルーガー国立公園とモザンビークのリンポポ公園に隣接したゴナレズハウ国立公園にあります。この国境をまたいだ公園は、世界最大の公園の一つです(7,576平方マイル)。そこは広大な野生生物の領域です。私たちは象の回遊回廊を安全なものにしようとしており、そうすれば人間だけではなく動物の安全保障にも貢献し、エコツーリズムを開始するきっかけになります。

詳しくはwww.apopo.orgを参照してください。

編集長への手紙

 シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されている。

ユニークな贈り物

 2005年の夏、群馬県のみなかみ町にある、友人の会社が所有する保養所に出かけました。二家族が合流し、そこで二晩を過ごしました。その当時、私は「どういう心持ちでいたらよいか」「職場でどうしたら最も役立てるか」が分からず、気落ちしていました。そのため、旅行を思い切り楽しむような気分ではありませんでした。
 二日目(7月31日)に、娘たちと一緒に草むらを散歩していました。バッタの幼虫が数百匹もいて、辺りを跳ね回っていました。私はついに一匹の(たった一匹の)、全身ピンク色のバッタを見つけたのです。昆虫の観察や採集がずっと好きだったので、子供の時から何千匹ものバッタを見てきました。けれども、そのようなピンクのバッタは、私の人生の中で見たことがありませんでした。このピンクのバッタを眺めていて私が認識したことは、バッタはバッタであって、色のことがなければ何の違いもなく、大切なことは、それぞれがユニークな存在で、そうあるべきだということです。「ありのままの、あなた自身でありなさい」と言われて励まされたように感じ、心が平静になりました。
 約1カ月後、私の体験を伝えて、ピンクのバッタの写真を見せました。友人たちもピンクのバッタを見たことはなく、覚者が現されたに違いないと言いました。北米に白い水牛の伝説があるように、おそらくピンクのバッタの伝説が世界のどこかにあると私は考えていました。
 翌日の8月28日にアパートを出たところで、床の上にバッタを見つけました。そのような場所で昆虫を見つけるのは大変珍しいのです。驚いたことに、そのバッタの背中もやはりピンクだったのです。私は二匹目を見つけてびっくりしました。このことによって、それが突発的な(あるいは偶発的な)出来事ではなく、『奇跡』のようなことだと確信したのです。
 2006年3月の非常に風の強い日に、伝導瞑想を行うために集まる会場へ向かって歩いていました。私は再び、昨年のピンクのバッタのことについて考えていました。すると突然、とても弱っていて死にかけている普通の緑色のバッタの成虫を見つけました。その冬は厳冬で、春の訪れも遅かったため、3月にバッタがいるということは、全くあり得ないことでした。このこともやはり印象深い出来事でした。
 私の興味深い体験についてのこの手紙を書かなければ、と感じました。
 これらのバッタは私への特別な贈り物でしたか。もしかして覚者が現されましたか。

T.Y.
日本、埼玉県

【ベンジャミン・クレームの師は、その『バッタの奇跡』がマイトレーヤによって現されたことを確認した】

霊性が積極行動へと向かう

 拝啓、シェア・インターナショナル殿
 シェア・インターナショナル誌2022年7・8月号の中で、ベンジャミン・クレーム氏と議員グループのメンバーとの往復書簡が掲載されたことをとてもうれしく思います。それは他のグループと協力することの重要性を際立たせるものです。
 2021年の冬に、私は他のグループとの協力を基礎とした、出現に関する活動の形を実践することを始めました。
 このプロジェクトの名称は、『「惑星を救え」講演──積極行動を伴う霊性』といいます。それがどのように機能するかについて、そしてそのような講演の一つの後で体験した特別な出会いについても分かち合いたいと思います。この形の出現の活動においては、一人の司会者がいて、活動家が彼または彼女自身のメッセージや、私自身のメッセージを伝えるインタビューを行います。私は、私たちの情報であるベンジャミン・クレーム氏のメッセージを伝えています。このワークショップというのは、ある種のプラットホーム、あるいはラウンドテーブル(訳注:円卓を囲んで立場や役職など関係なく意見交換を行う)イベントです。私たちの目的は、私たちの情報や霊性というものの見方と、一般の活動家として働いている人々の見解との間に、関連性や類似性を見いだすことです。
 これは大変に素晴らしい活動の仕方です。

● 他のグループとの協力を実践できます。それによって、霊性にのみ基礎を置いた講演に通常であれば参加しないかもしれない活動家や、その関係者の人々にまでベンジャミン・クレーム氏の情報も伝わっています。
● アクエリアスのエネルギーや統合のエネルギーに従って、このプロジェクトやワークショップの類やプラットホームをシェアすることで、活動家の観点と霊的なメッセージが渾然一体となります。
● より良い世界のために内的な(霊的な)やり方と外的な(活動家の)働き方が共に持ち込まれます。
● 私たちは活動家や建設的な人間と知り合うようになり、共に活動します。この方法で肯定的な力のために働く人々のネットワークがつくられるのです。

 そのような講演の一つの後で体験した特別な出会いと、グループによってシェアされた体験についても分かち合いたいと思います。

賢い子供たち

(1)2021年12月、私たちはオンラインでの「積極行動を伴う霊性」講演会を、「南チロルの未来のための金曜日」運動の著名人たちと行いました。2022年5月、私たちはもう一つのワークショップを、南チロルの最も有名な環境活動家である、マグダレナ・シュニッツァーさんと共に、団結のための祝祭行事で行いました。大体50人から60人の人々が聴衆として集まりました。司会者はオーバーボーツェンの伝導瞑想グループのメンバー二人が務め、マグダレナ・シュニッツァーさんに彼女の活動やメッセージについてインタビューを行いました。それから、二人にベンジャミン・クレーム氏の情報について質問しました。
 聴衆の中には子供たちもいました。私が講演の終わりにマイトレーヤのメッセージ第33信を読んでいた時、子供たちはメッセージが終わるまで両手を掲げていました。子供たちはまた、質疑応答の時に非常に賢明な発言をしました。

(オーバーボーツェン伝導瞑想グループのアンドリアス・ベックと協働者たち、イタリア、南チロル)

読者質問欄

Q アリス・ベイリーの(ジュワル・クール覚者の教えとして書かれた)『ハイアラキーの外的顕現』という著書の中で、キリスト・マイトレーヤの再臨の前に覚者方が認知され尊重されるやり方で物質界で公に働かれると述べられています。あなたの情報では、その計画は変更されたのですか、それとも本の解釈が字義的すぎたのですか。
A その両方です。この理解は字義的すぎたかもしれません。しかし、大計画は「伸縮」されました。それは加速することが可能です。

Q パーソナリティーの統合に近づく人々の場合、仙骨のセンター(性センター)と喉のセンターの関係は何ですか。
A 統合に近づくにつれ、仙骨のセンターのエネルギーは上昇し、喉のセンターに焦点化し始めます。

Q 「平均的な人類」にとって、メンタル体の第1光線、第4光線、第5光線は全体人口の中でどのくらい優勢ですか。
A 第4光線のメンタル体は比較的多く、第5光線のマインドは比較的少ないです。「平均的な人類」においては第1光線のメンタル体はほとんど存在しません。

Q 人の性質のある性質を抑圧するよりもそれを「変性」させることについて話す方が容易です。しかし、実際にそれをどのようにするのでしょうか。
A 私たちは瞑想と奉仕を通じて自分自身の変性を成し遂げます。メンタル体を通して魂の光を持ち込むことでも、自分自身を変容または変性させることになります。

Q 直観はなぜ個人よりもグループを通して機能するのですか。
A 厳密に言えば、直観はブッディのレベルから来ます。グループ意識の状態はブッディです。そこでは分離した個人という感覚は存在しません。

Q 世界の主、サナット・クマラは、予測可能な未来に、目に見える認知されたアバターとして顕現されるでしょうか。
A いいえ。

Q ハイアラキーの覚者方は惑星ロゴスの意志をどの程度正確に知っているのですか。
A その覚者の地位によります。キリスト・マイトレーヤと仏陀は最も確かにロゴスの意志を知り、それをハイアラキーの覚者方全体に伝達されます。
(ベンジャミン・クレームのアーカイブより、日付不明)

Q イエスはマイトレーヤと交信しているのですか。(1993年11月11日、ゲリー・ライアン・ショーのラジオインタビューより)
A はい、絶え間なく。すべての覚者方は絶え間なくテレパシー的に交信しています。彼らはメンタル意識、グループ意識を共有します。分離した自己の感覚を持たず、グループとしての意識のみを持ちます。マイトレーヤの観点からは、彼と私たちの間に分離はありません。彼は言われました。「私とあなたを隔てるものは何もない。まもなく多くの者がこれを知るだろう」と。私はマイトレーヤを見たりマイトレーヤのビジョンを体験したりした人々からの大量の連絡を受けます。彼は様々なやり方で、最もありそうにない状況で彼らに現れます。それは世界中で起きています。

Q マイトレーヤは不死身だとあなたは言われますが、そうであれば、彼は私たちが伝統的にイエス・キリストと結び付けていた性質を持っているということですか。
A 彼は言われました。「わたしの愛する弟子イエスを求める者は、イエスの特性をわたしの中に見いだすだろう。教師としてのわたしを探す者は、より的に近い、わたしは教える者であるから」「わたしは新しい宗教を創始するために来たのではない。わたしは信奉者をつくるために来たのではない。わたしは人類に真我(神)の実現の術を教えに来たのである」。これはすべての人々に関わることです。それが私たちの人生の目標です。

Q イエスの並外れたエネルギーと霊的指導力に敏感な人々に対して、イエスがローマでしていることについてどう説明すればいいですか。
A 彼はローマ郊外にいて、弟子たちを通して働いています。かなり進化した親密な弟子のうち二人は、ローマ教皇庁の枢機卿で、法王の側近であり、大計画について正確に知っており、イエス覚者と意識的に協働しています。しかし、イエスは世界中に弟子を持ちます。彼は、いわば至るところのキリスト教会を監督しています。

Q イエスは家に住んでいるのですか。
A はい、ローマ郊外にある家に住んでおられます。

Q それが実際にどこにあるかご存じですか。
A ローマ郊外ということしか知りません。正確な場所は知りません。彼は私の直近の師(覚者)ではないのです。

Q マイトレーヤがあなたの直近の師ですか
A いいえ、違います。私の師はヒマラヤに住んでいます。マイトレーヤはすべての覚者方の師です。

Q あなたの師について教えていただけますか。
A 私が言えることはわずかです。彼は霊的ハイアラキーの年長のメンバーの一人です。彼の名前を明かすことは許されていません。たぶん大宣言の後に、私はそれを発表するでしょう。

Q でも彼はあなたと接触しているのですか。
A はい。私は一瞬一瞬、彼とテレパシー的に交信しています。

2022年8月号目次


 

覚者より
新しい文明
ベンジャミン・クレーム筆記

協力の要請
霊的な志向を持つグループへの公開書簡
ベンジャミン・クレーム、ロンドン、1975年

現代の弟子の多様な仕事

覚者より
統合の必要
ベンジャミン・クレーム筆記

歴史と心理学への秘教的なアプローチ ー 第一部
アレクサンダー・ドゥーヴェス・デッカー

時代の徴
世界中の光の徴

すべてのアメリカの労働者のための適正な賃金
サル・ジャヤラマン氏へのインタビュー
ジェイソン・フランシス

地球と民主主義のための反逆
ポントゥス・ベルゲンダール氏へのインタビュー
エイドリアン・トロットナー、ホーカン・エークヴァル

聖なる音響
セークリッド・アコースティックスの共同創始者、カレン・ニューウェル氏へのインタビュー
マイケル・テイルズ

パレスチナ人ジャーナリストの殺害と イスラエルのアパルトヘイトに対する沈黙
グラハム・ピーブルズ

編集長への手紙
魔法のタッチ 他

新しい文明

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 明けつつあるこの新しい時代の初めにおいて、次に続く何世紀もの間に光彩を添える文明と文化がどのようなものかを想像するのはむずかしい。そのような試みのほとんどは物質的ビジョンの網に絡まったままである。人生の霊的な意味とその表現を求める人間の志向を包含しようとしたものは、ほとんど見られない。
 新しい文明と文化の観点から将来を予見してみよう。間もなく新しい啓示の方向に向かって最初のステップが取られるだろう。間もなく人類の前方にある道を指し示す新しい道標が置かれるだろう。初めは変化はゆっくりと進むが、やがてその勢いを増して、すべてがつくり直されるだろう。
 新しい文明を構成する要素の特性を考慮してみよう。新しい時代の顕著な姿勢は、正しい関係を創造し、善意を表現するための試みであろう。個人に強調を置くことから集団(グループ)に強調を置く方向に大きく移行し、それが人類をより実りの多い線に沿って再教育するだろう。そしてそれが、神の大計画によりいっそう沿う機構を創造していくなかに反映されるだろう。未来についてのさらなる特徴は、人間が神の特性をよりよく理解し、神とのより密接な関係を持つことを欲するようになることであろう。今日見られるような、神が人間の生活にとって末梢的な存在ではなく、この目標が何百万の人間の生活の中で至上のものとなるだろう。神についてのこの新しいアプローチ(取り組み)に伴って、すべての生命の顕現に対する新しい敬意の念が生まれ、このようにして人間は下層王国との正しい整列関係に入る。下層王国に対する新しい責任感が人間の進化の速度を速め、したがって大計画に仕えることになる。
 ほどなく、科学に対する新しいアプローチが、われわれがその中に生きるあの実在(リアリティ)に対するわれわれの姿勢を完全に再調整させる道を開くだろう。すべてが一体であり、われわれが知る各断片は他のすべてと密接につながっており、その関係は数学的に決められる特定の法則によって支配されており、各断片の中に総体の潜在力が存在するということを、新しい科学が人類に示すだろう。この新しい知識が、人間の、世界についての体験とお互いについての体験を変え、神と人間が一つであるという真理を確認させるだろう。このようにして新しい科学は人間の神性を実証し、新しい世界宗教の確立につながるだろう。科学と宗教との間の往古の分離は癒され、人間の霊的成長に新しい推進力が加えられるだろう。
 そうした豊かな風土の中で、人間の隠された霊的能力が自然に開かれ、人間のマインド(識心)の膨大な潜在力が空間と時間を征服し、そして宇宙自体のエネルギーをコントロールするだろう。人間の霊魂(スピリット)の資質は無限である。啓示が最高潮に達するなかで、目に見えない世界の栄光が人間の仰天した凝視の前に明かされ、聖なる創造の全貌が如実に見せられるだろう。
 人間が宝瓶宮(アクエリアス)の体験の瀬戸際に立つにあたり、このすべてのことが人間を待っている。キリストによって人間に運ばれる「宝瓶宮のいのちの水」は人間の裡に眠る聖なる意識を目覚めさせ、本来の姿である神を人間に示すだろう。マイトレーヤと彼の兄弟たちの賢明な指導のもとに、人間は明らかにされた神性の全能力を達成するだろう。それが人間の生得の権利であり、人はただそれを知らないだけである。
 世紀から次の世紀へ、順を追って、人間の神性をますます顕現する文明を人間は築いていくだろう。聖なる創造の美のすべての様相が表現される文化をつくるだろう、それは神のイデア(理念)の栄光が映し出される鏡である。
 このようにして人間は、神の大計画のもとで、ものごとの体系の中における人間の真の位置を占めるだろう。このようにして、マイトレーヤのインスピレーション(鼓舞)のもとに、人間はこの── 恐怖と独断的教義と憎しみによって分裂された──世界を変容させるだろう。愛の法則が支配し、すべての人間が兄弟であり、聖なる特性にかかわるものはすべて人間の注目を引き付け、それが人生をコントロールする、そのような世界に変容させるだろう。このようにして神についての人間の夢は実現され、その潜在力は達成され、人間の運命は全うされるだろう。

(シェア・インターナショナル誌1982年8月号)

統合の必要

──覚者より
  ベンジャミン・クレーム筆記

 新しい時代の概念に熱中しているグループのほとんどが、口先では和合や同胞愛を唱えているにもかかわらず、現実には、包括的態度を実行していないのは不思議である。それどころかむしろ逆方向に走る傾向があり、人類の教育に携わるすべてのグループの中で、彼らがもっとも分離主義的であり、排他的である。
 彼らの役割は、分離主義の存在する余地のない世界のビジョンを、各人それぞれが重要なそして同価値のものを総体に貢献するという考えを表す、より良き世界のビジョンを人々の前に掲げることである。しかるに、ほとんどすべてにおいて、特定の教えや見解の優越性に強調が置かれている。協力の行為や相互理解を見つけるのは非常にまれである。それが彼らの言葉の中では誇るべきものであるにもかかわらず。
 これらのグループの思考を往古のリズムがいまだに支配しており、もし彼らが来るべき時代の理想を真に代表したければ、学ぶべきこと、変えるべきことがたくさんある。そのような変化が訪れることは必然だが、多くの者にとってその過程はむずかしく長いだろう。多くの者が変化の必要を認めるが、競争と排他主義の習慣があまりにも深くしみ込んでいるので、他の人々と同等のレベルでの関係を築く能力を彼らの内に見いだすことができない。さらにあるものにとっては、思想界の指導者として見なされたい要求が支配的要素である。彼らは、個人的野心のグラマー(幻惑)の虜である。
 これらが今日の状況であるが、しかしお互い同士との同一認(アイデンティティー)を増す必要があり、そのようなグループの努力のすべてを統一させるところの底に横たわる統合についての理解が必要である。さらに、この統合を把握し、そしてそれを大衆に提示するとき、初めてこれらのグループはその教育的役割を果たすことができる。現在、平均的な求道者は、彼の注目と忠誠を勝ち取るために競争し合う様々な主張に混乱し迷っている。
 間もなく世界は、数多くの教えや真理の公式が一つの源から発することを知るだろう。同じ聖なる刺激がすべてを通して流れており、人間が多様の必要を持ち、進化の段階の様々なステージにいるという事実のゆえに、種々の解決が存在する。ハイアラキーが、必要な教えやアイディアを最も広範囲に、多くの異なったレベルで、多種の方法で提示するために働いてきたのはそれなりの理由がある。
 わたしたちの多種多様な提示の底に横たわる理念の統合は、すべてのものの和合についてのわたしたちの意識から発し、総体を、そしてその実在(リアリティ)の不可分性をわたしたちが絶えず認識していることから発している。人間がこの体験を分かち合うとき、すべてのことが可能となる。
 キリストと彼の弟子である覚者たちを見るとき、人間は多種多様な真理の提示がいかに必要であったかを理解するようになるだろう。なぜなら、人類が非常にながい年を経てきており、時代を通じてその経験と期待は様々であり、アイディアを吸収する方法がいかに異なるかに気づくようになるだろうから。彼らはまた、外側の多様性の背後にある本来の和合について、何かを把握するに至るだろう。
 理念や教えの背後に一つの大計画があることを、人間は自分で見いだすだろう。そしてあらゆる教えが大計画のわずか一片を系統化したものであり、大計画は神の創造的意志の表現であり、そのもの自体は絶えず変化のプロセスにあるということを知るだろう。であるから、いかにして一つのグループや一つの社会や制度が、すべての時代に通じる大真理を具現することができようか。
 もちろん多くの者は、現在すでに総合と和合のために働いていると信じているが、これはおしなべて幻想である。同じような心(マインド)の者とつながりをつけることはあまり手柄にならない。それは有益だが、比較的簡単なことである。それよりはるかに困難なことは、違いを超えて腕を組み、あなた方が同意しない者たちを対等に抱擁することである。
 あなたの兄弟の提示するものの中に、和合させるものを探しなさい。すべての背後にキリストと彼の弟子たちが居ることを知りなさい。一つの真理がすべてのアプローチに盛り込まれており、分離させるものは人間の心(マインド)以外に何もないことを覚えておきなさい。

(シェア・インターナショナル誌1983年7月号)

すべてのアメリカの労働者のための適正な賃金

ジェイソン・フランシスによる
サル・ジャヤラマン氏へのインタビュー

 サル・ジャヤラマン氏は、サービス業界での適正な賃金を求めて活動している米国の非営利推進団体「一つの公正賃金」の代表である。サービス業界では、顧客からチップを受け取る労働者に最低賃金未満の賃金しか支払われないことがよくある。「一つの公正賃金」は、労働者と雇用主を組織し、調査を実施し、本を出版し、この問題に関する映画を制作している。この団体ではまた、すべての人に最低賃金以上の支払いを保証する法律の制定のために立法者と会合を持っている。サル・ジャヤラマン氏の著作には、全国的なベストセラーである『キッチンドアの向こう側で(Behind the Kitchen Door)』(2013年)の他、『一つの公正賃金──アメリカで最低賃金未満の支払いを終わらせる(One Fair Wage:Ending Subminimum Pay in America)』(2021年)などがある。彼女は弁護士であり、カリフォルニア大学バークレー校にある「食品労働研究センター」の所長である。CNNは、彼女を「トップ10のビジョナリーウーマン」の一人に挙げた。ジェイソン・フランシスが本誌のためにサル・ジャヤラマン氏にインタビューを行った。

奴隷制の遺産

シェア・インターナショナル(以下SI):米国政府は企業に対し、従業員が顧客からチップを受け取る場合に、連邦最低賃金の時給7.25ドルではなく、時給わずか2.13ドルを従業員に支払うことを許しています。チップを受け取る労働者に、チップの他に満額の賃金ではなく最低賃金未満の賃金を支払うという考え方はどこから来たのでしょうか。

サル・ジャヤラマン:それは奴隷制に由来します。封建時代のヨーロッパで始まったものです。チップは常に、賃金に加えて支払われる追加またはボーナスでした。チップは奴隷解放(1860年代の奴隷制廃止)の直前に米国に入ってきました。レストラン業界は黒人のアメリカ人を雇いたいとは思っても、何も支払いたくありませんでした。つまり、基本的に奴隷制を継続し、チップだけで生活させるということです。1938年に、ニューディール政策(大恐慌の影響に対処するためにルーズベルト政権が創設した一連のプログラム)の一環として、誰もが初めて最低賃金を得ました。ただし、チップにより満額の最低賃金以上を得ている限り賃金はゼロである、と告知されたチップ労働者を除きます。過去150年の間その慣行が維持されてきたのは、全米レストラン協会のロビー活動のためでした。

S I:有色人種の労働者は、最低賃金未満の賃金から現在どのような影響を受けていますか。

ジャヤラマン:アメリカには1,400万人のレストラン労働者がいて、約60%がチップを受け取っています。そして、チップを受け取る労働者のうち約3分の2が女性であり、有色人種の女性が不釣り合いに多く、チップ収入がはるかに少ないカジュアル・レストランで働く傾向にあります。しかし、たとえ男性のウエイターの方が多い高級レストランで働いていたとしても、客の暗黙の偏見のために、収入は男性、特に白人男性よりも少なくなるでしょう。そのため、「チップ労働者」(女性や有色人種の女性)が大部分の収入としてチップを当てにすると、たとえ有色人種の労働者がより良いサービスを提供したとしても、白人により多くのチップを支払う顧客の偏見の影響を受けます。

S I:受刑者を安い労働力として利用することについてお話しいただけますか。

ジャヤラマン:連邦刑務所や州刑務所に収監中の労働者は、しばしば働くことを要求されます。刑務所の独房の清掃のような刑務所内部の作業をすることもありますが、民間企業や他の州機関で働くように求められることも多いです。例えば、カリフォルニア州では山火事が増加しています。消防労働力の3分の1を受刑者が占めており、山火事と闘うために時給11セントが支払われています。これは非常に危険な作業です。
 次に、連邦刑務所や州刑務所の受刑者が、ビクトリアズ・シークレット[婦人服小売企業]から始まって電話会社や公園用ゴミ箱の製造企業に至るまで、民間企業で働くように求められる場合があります。そして、そうでなければ満額の最低賃金の労働者がすると思われる仕事を、時給1ドル未満でするように求められます。
 これは、奴隷制の直接的な遺産です。これは、奴隷制を禁止しながらも投獄された場合には奴隷制を認めるという、1865年に可決された米国憲法修正第13条の例外事項に由来します。その結果、多くの民間企業や州政府機関が安価な労働力から利益を得ることになりました。それは安い労働力ですらありません。時給11セントの支払いでは、ほとんどただ働きです。

S I:アメリカでは、どのくらいのサービス労働者がチップに依存していますか。そしてどのくらいの種類のサービス業の雇用でチップを受け取っていますか。

ジャヤラマン:600万人から700万人くらいの労働者です。その大多数の約75%がレストラン業界の仕事に従事しており、接客係、バッサー(給仕助手)、バーテンダーなど、あらゆる種類の労働者です。チップ労働者の残りの25%は、ネイルサロンや洗車場で働いたり、駐車場係員や空港係員として働いたり、美容院などで働いたりしています──顧客一人ひとりに対応する、いわゆるパーソナルサービス労働者として働いています。[バッサーの定義:汚れた皿を片付け、レストランのテーブルを整える人。ウェイター助手]

S I:最低賃金未満の賃金は、他の雇用分野にも拡大していますか。

ジャヤラマン:Apple Pay(アップルペイ、支払いをデジタルで行えるアプリ)は、以前はチップがなかった多くの新しい環境にチップを拡大しました。
 今では小売店や飛行機に足を踏み入れると、Apple PayやiPad(アイパッド)で支払いを求められ、自動的にチップの金額を尋ねられることも多いです。新分野へのチップの導入の結果、このような新分野の一部の雇用主がレストラン業界を見習いたいと思うようになりました。雇用主はこう言います。「雇用者がチップを受け取っている限り、最低賃金未満になってもいいはずだ」と。ですから、以前は決して賃金を最低賃金未満にすることのできなかった喫茶店が、今ではそのような額の賃金を支払おうとしているのを目にします。航空会社でさえも、客室乗務員に最低賃金未満の賃金を支払おうとしています。客室乗務員は今では、iPadでチップを受け取りながら食べ物の注文を受けるようになっているからです。

S I:「ギグワーカー」、つまり直接の従業員ではなく独立した請負業者やフリーランスと見なされる労働者についてはいかがでしょうか。

ジャヤラマン:一部のギグ企業もレストラン業界を見習おうとしています。これは、ドアダッシュやインスタカート(食品配達企業)に見られます。これらの企業は、過去数年にわたり様々な時期に、チップの受け取り額に応じて労働者への支払いから差し引くという方針を取っていましたが、その方針は二転三転しました。ウーバーやリフト(配車企業)もおそらく同じような慣行に従っている、と言っていいでしょう。

S I:受け取ったチップを給与に追加した金額が最低賃金に満たない場合、雇用主は従業員に補償する必要がありますか。

ジャヤラマン:これが法的な必要条件です。オバマ政権は、チップ労働者の最低賃金にまつわる規則に関して今までで最高レベルの法執行を行い、これらの規則の遵守に関するレストラン雇用主の違反率は84%と判明しました。その後、米国労働省の訴訟長官はこの制度を執行不可能であると宣言し、唯一の実行可能な制度として、「一つの公正賃金」(チップを別にした満額の最低賃金)への呼びかけを公に開始しました。

搾取

S I:チップを受け取るサービス労働者が耐えなければならない搾取と虐待について、お話をしていただけますか。それはどのくらいよくあることですか。

ジャヤラマン:キャサリン・マッキノンという法学教授の方がいます。彼女は、性的嫌がらせ(セクシュアルハラスメント)に関する国内有数の専門家であり、性的嫌がらせの米国での違法化を支援しました。チップ労働者は、チップを受け取るために非常に多くのことを許容しなければならないため、性的嫌がらせの割合がどの業界よりも高いと彼女は主張しました。軍隊を含め、彼女がこれまでに研究したどの業界よりも高いのです
 私たちの調査によると、チップに加えて満額の最低賃金が必要である七つの州では、その業界での売上高、雇用の成長率、中小企業の成長率が高いだけではなく、性的嫌がらせの発生率が半分でもあります。キャサリン・マッキノン氏は、彼女のライフワークである性的嫌がらせを違法と宣言することを含め、性的嫌がらせへの対処において、「一つの公正賃金」ほど効果的な方針は見たことがないと述べました。
 性的嫌がらせは、パンデミックによりさらに悪化しました。労働者は異常に高いレベルの辱め、顧客の敵意、および性的嫌がらせを経験しています。女性はマスクを外すように求められます。そうすれば顧客は、女性の外観を見てチップの金額を決めることができるからです。私の見るところ、労働者は、嫌がらせをしてくる顧客に新型コロナウイルスの手順により対応しようとしており、それは機能していません。それが、100万人の労働者が業界を去った理由です。残った労働者のうち54%が退職するつもりだと答えており、圧倒的多数が最低賃金未満の賃金が理由であると言っています。彼らはもう我慢することができません。最低賃金未満の賃金で働くことを拒否する、と労働者が最終的に主張できるまでに150年の年月とパンデミックが必要でした。

S I:週40時間労働で時給7.25ドル(現在の連邦最低賃金)の場合、労働者の年収は税込みで1万5,080ドルになるでしょう。2022年の米国の連邦貧困水準は、独身者で年収1万3,570ドル、二人家族で年収1万8,310ドルであることを考えると、これはむしろ貧弱です。いくつかの州や都市では最低賃金を積極的に引き上げましたが、最低賃金の決定過程における基準はどうあるべきだとお考えですか。そして最低賃金は、現在どうあるべきだと思いますか。

ジャヤラマン:真実は、現在の国内での最低賃金は、人々がどれだけ必要としているかではなく、政治的意志で決定されているということです。この国のどこに住んでいても、生活して家族を持つためには、最低でも時給15ドルは必要です。アラバマ州やウェストバージニア州からワシントン州シアトルに至るまで、それは生きるために必要最低限のことです。いくつかの場所で最低賃金が非常に低い唯一の理由は、政治的意志が欠如しており、多くの勢力から反対があるからです。多くの共和党員は、最低賃金があるべきだとは考えていません。もし最低賃金がインフレに追いついていたら、時給20ドルをはるかに超える金額になっていたでしょう。時給15ドルは多くの場所で生活するには十分ではありませんが、全国のどこにいても必要最低限の金額です。

大量退職

S I:新型コロナウイルスのパンデミックは「大量退職」と呼ばれるものを引き起こしました。多くの労働者が自分の生活と雇用を再評価した結果、仕事を辞めました。この経済動向は、チップ労働者や雇用主にどのような影響を与えましたか。

ジャヤラマン:全国の何千ものレストランが、チップを除く賃金を満額の最低賃金に引き上げました。確認しているだけでも、私たちは少なくとも3,000軒のレストランを追跡しましたが、さらに多くのレストランがあります。

S I:チップ労働者向けを含む連邦最低賃金を引き上げる取り組みは、連邦議会で行き詰まっています。州レベルや地方レベルで、何が起こっているのでしょうか。

ジャヤラマン:「大量退職」は、多くの州でこの問題を動かしました。そのため、米国の250周年(2026年)までに、25の州で公正賃金へと移行するために2,500万ドルを注入する予定だ、と私たちは発表しました。「大量退職」が原因でこれは起ころうとしている、と私たちは考えています。さらに、「一つの公正賃金」は2022年11月にワシントンDCの投票用紙に掲載され、可決される見込みです。また、今年11月には、メイン州ポートランドの投票用紙にも掲載される可能性があります。

詳しくは   www.onefairwage.site をご覧ください。

シェア・インターナショナル誌は、新しい時代の思考の二つの主な方向――政治的と霊的――を統合する。