地球と民主主義のための反逆

ポントゥス・ベルゲンダール氏へのインタビュー
エイドリアン・トロットナー、ホーカン・エークヴァル

 ポントゥス・ベルゲンダール氏は、自分の人生を根本的に変え、行動を起こさせたものが何なのかについて次のように語る。「私は3人の素晴らしい娘を持つ普通の父親で、つい最近まで20年間ソフトウェア・マネージャーとして働いていました。3年前に仕事を辞め、エクスティンクション・レベリオン(絶滅への反逆、以下XR)のボランティア、『いのちのための反逆者』として活動するまでは、人生を楽しみ、まっとうな人間であること以上の野心を持たずに静かに暮らしていたのです。今は妻が家族を養っています。私は職業柄、産業界で働き、あらゆるレベルの多くの政治家と話しましたが、今必要なのは覚醒と行動であると絶対的に確信しています。
 気候変動と災害を防ぐための闘いについて学べば学ぶほど、強化された深い民主主義が変化の鍵であることを実感します。私たちは、一体性、正義、平等をもって、人種差別の構造や現在進行中のポストコロニアリズム(ポスト植民地主義)を打破する必要があります。忘れられているかもしれませんが、それこそが民主主義にほかなりません。私たちは、一体性に向けて、新しい手法で組織や会議を民主化し、政治プロセスに国民を参加させる必要があるのです」
 エイドリアン・トロットナーとホーカン・エークヴァルは、シェア・インターナショナル誌のためにスウェーデンの気候変動活動家、ポントゥス・ベルゲンダール氏にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI):気候や生態系の危機について、あなたの考えをお話しください。

ポントゥス・ベルゲンダール:歴史上のあらゆる暗黒時代と同様、これまで以上に重要な二つの美徳、すなわち「決断」と「勇気」が生まれています。決断とは、人類としての責任を持ち、この危機が私たち自身に大きく関わっていることを理解し、直面している状況に応じて必要な決断を下すことです。勇気は、実践できるものです。ですから、次回のスウェーデンの選挙では、私は国会議員への立候補を目的とする非イデオロギー的な活動であるクライメート・アライアンス(気候同盟)の広報担当者の一人であり、また候補者の一人でもあるのです。私たちは、気候変動という一つの問題に焦点を当て、政党間の同盟関係を構築することだけに専念しています。
 また、「未来のための金曜日」の運動にも参加しており、金曜日のストライキにできるだけ参加するようにしています。初めて気候変動デモに参加したときは、友人や家族から除外されるのが怖くて、プラカードを持つことさえできませんでした。今ではそのような状況への対処法を身に付けたので、毎回デモの前には胃が痛くなりますが、必要なことはできます。

SI:気候の危機に対して何かしなければならないと実感したのはいつですか。

ベルゲンダール:2018年、スウェーデンで大きな森林火災が発生しました。同じ頃、グレタ・トゥーンベリさんが気候変動ストライキとスピーチを始めました。火災とグレタの明解なスピーチが合わさり、とても恐ろしいことが起こっていて、何かをするのは自分次第なのだと理解したのです。彼女は私の心に直接語りかけてきました。16歳の少女が、会ったこともない52歳の男性の人生を完全に変えることができるのは、とても素晴らしいことだと思います。
 私はずっと気候危機を意識してきましたが、それが自分に直接関係していることに、2018年になるまで気づきませんでした。個人の生存に関わる問題であり、行動を起こすのは私の責任であり、権利でもあるのです。2018年の夏以前は、気候変動は世界にある多くの問題の一つだと考えていて、他の問題に焦点を合わせていたのです。覚醒後、私は、それまで自分がするなど夢にも思わなかったことを実行しました。例えば、道路のパイプに自ら閉じこもるなど、まるで私の潜在意識が私に代わって決断してくれたかのようでした。生きとし生けるものに対する申し訳ないという気持ちから、このようなことをする強い思いも生まれました。それは、あらゆる人間や動物、他の生き物に対する愛から生まれたものです。

SI:XR内では、あなた方が自分たちを活動家よりも反逆者と呼ぶことを好むのはなぜですか。

ベルゲンダール:気候変動活動家として、あなた方は主に危機に対する意識を生み出しています。意識するだけでは十分ではありません。私たちは今、行動する必要があるのです。XRは、スウェーデンの支配的な政党と私たちが暮らす破壊的な社会に対する反乱なのです。平和的かつ市民的不服従によって、政府に行動を起こさせ、交渉の席に着かせることが私たちのやり方です。私たちは議会制度を変えたいのではなく、強化したいだけなのです。

SI:XRの要望は何ですか。

ベルゲンダール:私たちの要求は、以下のとおりです。
 「真実を伝えること」。メディアや政治家に、生態系の状況がどれほど酷いのか、いかに大きな変化が必要かを伝えてもらう必要があるのです。「今すぐ行動すること」。今すぐ排出ガスを削減しなければなりません。「変わること」。私たちの反逆の運動(XR)は、例えば空港や銀行を閉鎖するなど、従来通りのビジネスに付き合わないことで、変わることを目指しています。それこそが直接行動するということなのです。何よりも大切なのは、民主主義を強化することです。市民集会が必要です。市民集会とは、科学者や専門家と共に、あるテーマについて審議し、政治家に提言する、膨大な人口を広く代表する小さな集団のことです。

SI:市民的不服従とは何ですか。また、なぜそれが重要なのですか。

ベルゲンダール:市民的不服従とは、政府が出す特定の法律、要求、命令、指令に従うことを拒否することです。私たちには、人類の大惨事を防ぐという道徳的な義務があります。私たちは、さらに悪いものを防ぐために法律を破っているのです。
 少なくともこの30年で、私たちは政治体制と社会の失敗を目の当たりにしてきました。その失敗とは、危機に対処する能力が政治家にないことです。スウェーデンでは、今年、そして今後数年で、排出ガスを20%の範囲内で削減する必要があります。これは気候や生態系の危機であるだけでなく、同様に大きな政治的危機でもあります。政治家は戦術的な行き詰まりによって無力となり、産業界では進捗があまりにも遅すぎるのです。
 XRは、物理面でも言葉の上でも非暴力的な市民的不服従を採用しています。
 調査によれば、変化をもたらす最も効果的な方法は、活動的な市民による大規模な市民的不服従によって世論を喚起することです。
 平和的で非暴力的な市民的不服従は、婦人参政権運動に始まり、ガンジーと植民地主義からの解放運動、マーティン・ルーサー・キングと公民権運動、労働運動、LGBTQ権利運動などに至るまで、これまで何度もうまくいった例があります。市民的不服従は常に、西洋民主主義の本質的な部分だったのです。

SI:スウェーデンでは、市民的不服従について忘れられてしまっているようです。XRにおけるあなた方のやり方のいくつかに対して、人々が反対するのはなぜだと思いますか。

ベルゲンダール:スウェーデンでは、政府に対する信頼が非常に高いのです。政府は私たちの面倒を見てくれる良い父親だと思われています。スウェーデン人はまた、自分たちの社会と民主主義は最善であり、変化をもたらす方法がその社会の中にあると考えています。しかし今や、政府が気候変動に対処できないことは明らかです。
 また、私たちが説明さえすれば政治家は動いてくれるだろう、という共通の理念もあります。しかし政治家は、現状がいかに悪いか、そして、いかに対策が取られていないかを認めることはできません。なぜなら、それはつまり自分たちを非難することになるからです。その代わり、自分たちがすぐに責任を取らなくてもいいような、遠い将来の目標を提案するのです。
 スウェーデンでは、ほとんどの人が私たちの理念には賛同するが、やり方には賛同しないと言います。マーティン・ルーサー・キングは「バーミングハム刑務所からの手紙」の中で、「正義よりも『秩序』を重んじる」人々や、「正義がある積極的な平和よりも緊張のない消極的な平和」を好む人々が、直接的な行動に対して見せる反応から示される課題を述べています。多くの人は、私たちが組織化して声を上げる必要はない、政治家が私たちにとって何が一番良いかを知っていると考えています。長い間、政治的に安定して戦争がなかったため、私たちの社会が実は市民的不服従という行為によって形成されてきたことを忘れてしまっているのです。

SI:XRがどんなことを成し遂げたか、いくつか例を挙げてください。

ベルゲンダール:2021年のオスロでは、300人が私たち反逆者のグループにいました。選挙討論を変え、おそらく選挙結果も変えました。討論は、ノルウェーの石油および環境に優しい未来に関する議論が可能かということから、政治家はどちらか一つ、つまり石油か環境に優しい未来のどちらかを選ばなければならないという認識へと変わったのです。私たちは400以上の記事を掲載し、7日間にわたり全国ネットのテレビ放送を行いました。その1週間で議論は変わり、これが私たちの貢献であると多くの報道機関が認めました。
 2020年には、スウェーデン最大のプリーム製油所の拡張を阻止しました。2019年には、ヨーテボリにある化石ガスターミナルの拡張を止めました。わずか数人の反逆者が、スウェーデンの大手伐採企業による森林の過剰伐採を阻止しました。法律を破る市民的不服従により次々と勝利を得たのです。次のステップは、制度を変えることです。

SI:制度を変えるとはどういうことでしょうか。それはどのような分野で必要なのですか。また、なぜ重要なのでしょうか。

ベルゲンダール:限りある地球で成長を続けることは不可能です。グリーン・ニューディールの時代は過ぎ去りました。地球を無限の資源と考えず、消費を抑えて経済を縮小する必要があります。成功の評価方法を変える必要があるのです。必要な変化は、経済基盤と私たちの生活様式を転換することです。私たちは、利益よりも生存を優先させなければなりません。それをどのように行うかは、私たち全員にかかっています。この転換には、民主主義が非常に重要となります。全員の声を届ける必要があります。また、私たちに道を示してくれる専門家や科学者も必要です。
 社会を変革するプロセスにおいて、気候正義は絶対に重要です。気候正義とは、負担を分担し、公正な変革を実現し、気候変動と変革そのものの両方の影響を最も受ける人々を支援することです。世界の富裕層である私たちは、気候変動に関して最大の債務を抱えていますが、ほとんどの場合、気候変動の影響を最初に受けているのは、気候変動に対する債務が最も少ない人々なのです。ここに、私たちが責任を持たなければならない大きな不正義があるのです。私たちは皆、生き残るために経済的な犠牲を払う必要がありますが、その過程で、生命の大切さを再発見できるかもしれません。

SI:XRはどのように活動を計画し、実行しているのでしょうか。

ベルゲンダール:私たちは分散型の組織です。一人の反逆者がアイディアを思い付き、それが人々に広がることがよくあります。グループが小さければ、地元や全国にあるより大きなXRの作業グループの助けを得るのです。
 XRでは、小さなアフィニティー・グループ(類縁集団)として何でも好きなことをすることができます。アフィニティー・グループとは、XRの価値観や目標の範囲内であれば、したいことは何でもできる権利が与えられた、通常5~8人から成る自律的で自己管理された一団のことです。
 分散型かつ包括的であることは、XRにとって絶対的に重要です。そのおかげで、より効果的に、また、迅速かつ機敏に行動できるのです。階級組織的な構造では生き残れないのです。
 さらに、問題や原因を示すだけでは終わらずに、それ自体が解決策の一部となる、有益な行動を心がけています。その良い例がルンド市で起こりました。交通渋滞を解消するために、高速道路を拡張する案がありました。その考えに反対するデモをただ行うのではなく、制限速度の標識を時速110キロから90キロに変えたのです。科学的な調査によると、制限速度を下げると交通渋滞が減るそうです。ルンドの人たちも、標識を変えることで問題が解決したことを容易に理解しました。

SI:どのように非暴力に取り組んでいますか。その方法をどのように人々に教えていますか。

ベルゲンダール:非暴力直接行動の講座と、市民的不服従で社会を変える方法に関する戦略的な講座があります。物理的な非暴力と言葉による非暴力のいずれにおいても、そして状況の段階的緩和に関して、常に訓練しています。また、平和的な行動を確実にするために、行動の前、最中、後に警察と話し合いをします。
 XR内では、社会のあらゆる部分で市民的不服従を奨励しています。それは違法である必要はありません。例えば、仕事の上では、環境に有害な仕事を拒否することです。したくないことをしなければならないなら、ゆっくりと、うまくいかないようにします。納得できないことがあれば、声を上げて抗議し、納得のいかない機関への協力は拒否するのです。

SI:XRの10の価値観とは何ですか。

ベルゲンダール:1.私たちは、変化──次の世代にふさわしい世界の創造──というビジョンを共有しています。
 2.私たちは、何が必要かを基準に目標を設定します。調査によると、制度の変更を実現するには、人口の3.5%を動員すれば十分であることが分かっています。
 3.私たちは、健康で、回復力があり、適応力のある、再生可能な組織内文化を必要としています。
 4.私たちは、私たち自身と有害な制度に公然と挑戦し、居心地のいい場所を離れて、変化のための行動を起こします。
 5.私たちは、反省と学習を大切にし、行動、反省、学習、さらなる行動に向けての計画というサイクルを続けています。自分自身の経験だけでなく、他の活動や出来事からも学びます。ウェブサイト「XRサイエンティスト」に掲載されている専門家や科学者からの最新情報にも注意を払っています。
 6.私たちは、すべての人と、すべての人のあらゆる部分を歓迎し、オープンで安全な空間づくりに積極的に取り組みます。
 7.私たちはより公平な参加を目指して、権力支配層を打破し、積極的に権力を弱体化させます。
 8.私たちは、責めたり、恥をかかせたりすることを避けます。私たちは有害な制度の中で生きていますが、誰一人責めることはできないのです。
 9.私たちは非暴力ネットワークであり、変化をもたらす最も効果的な方法として非暴力的な戦略と戦術を用います。
 10.私たちは、自治と分散型を基本としています。権力に挑むために必要な体制を集団でつくり上げます。
 これらの基本理念と価値観に従う人なら誰でも、XRの名の下に行動することができます。

SI:あなたは、すべてのプロセスや行動において、民主主義に重点を置くことが非常に重要だと言います。それはどのように行うのですか。

ベルゲンダール:私たちは、自己組織システム(SOS)の組織原則に従っています。例えば、私たちは投票を行いません。投票は多数派の専制政治であり、少数派は敗者となります。その代わりに、組織内で決定を行います。提案し、全員が納得するまで、その提案を改善し続けます。このプロセスには、尊敬と信頼の文化が必要です。もし、全く同意できない決定があった場合、自分自身に次のように問いかけるといいでしょう。「今のところ、これで十分なのか。試してみるには十分安全か」
 民主主義は、細部において一番目立ちます。例えば、会議の場です。様々な人が参加して話を聞く文化を確立するために、私たちは男女同権主義的な会議方法を用いています。権力構造を打破し、すべての人が会議に参加できるように、他のテクニックも使っています。効果的な活動をするために、少数の反逆者から成るグループに、残りのメンバーのために決定を下す権限を与えることもあります。堅実なSOS組織と健全な文化を維持するのに役立つ実践的なテクニックがたくさんあります。

SI:気候危機はどの程度深刻なのでしょうか。

ベルゲンダール:2019年に、複数の気候科学者が「最も可能性の高い結果は文明の終わりである」というタイトルで発表した論文がありました。
 そして、それはすでに始まっているのです。ほぼ毎月のように、世界中で気候変動による大惨事が起きています。今後10年の間に、飢饉、洪水、ハリケーン、熱波が発生し、社会的混乱、法と秩序の崩壊、戦争が起こるでしょう。
 かつてないほどの死と難民の流入を目の当たりにするでしょう。だからこそ、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、これは人類に向けた「非常事態発生」を伝える警告だと言っているのです。
 今すぐ地球規模で排出ガスを削減しても、気候のフィードバックループ(フィードバックを繰り返すことで結果が増幅されていくこと)がさらなる破壊の誘発点となるため、危機は拡大し続けるでしょう。1.5℃という目標や炭素収支はもう忘れてかまいません。今は0.01℃ごとに闘うのです。災害を止めることはできませんが、その被害を小さくすることはできます。
 気候変動の影響は、地球規模の核戦争のような規模になっています。それが今起きています。私たちは気候変動の最終段階にいるのです。それは誰にとっても直接的な存亡の危機です。

SI:あなたに希望を与えてくれるものは何ですか。

ベルゲンダール:私を鼓舞し、力を与えてくれるのは、確率がどうであろうと正しいことのために闘おうと行動することです。もちろん、0.01℃ごとにでも闘う価値はあります。地球規模の災害は起こるでしょうが、それがどれくらい深刻なものになるかは、私たちが左右できるのです。
 闘いは道徳と正義に関するものであり、希望に関するものが主ではありません。今、気温50℃のインドで死んでいく人たちに希望はありません。マダガスカルで飢えている子供たちにも希望はありません。私たちが唯一分かっていることは、今後数十年の間にさらに悪化するということです。
 また、日々の仕事の中で、仲間の反逆者たちから感じる愛と思いやりや、消費と欲に結び付かない別の生き方があることを知ることで、大きな力を得ています。
 この記事の読者への提案で終わりとさせていただきます。気候変動や環境に関する団体に参加し、入門的な会合に参加し、自分で本を読み始めてください。週に1日、あるいは月に1日、ボランティア活動に参加してください。休日の少しの時間を利用して、大規模なデモや集団行動の予定を入れてください。小さなことから始めて、それを書き留めて、冷蔵庫に貼っておきましょう。それは、あなたの人生で最も重要な決断の一つになるかもしれません。

参考文献

1.『これは訓練ではない─XRハンドブック』(エクスティンクション・レベリオン、2019年)参照。
2.https://extinctionrebellion.uk/act-now/resources/SOS/

詳しくはhttps://klimatalliansen.nu をご覧ください。

編集長への手紙

 シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されている。

魔法のタッチ

 2004年10月に、私たちは友人たちと一緒に山の中で週末を過ごしていました。そこに滞在中、私たちがちょっとした小旅行に出かけている間、私たちの6人の子供たちは休暇用の家で留守番をしていました。子供たちの一人が別の小さな女の子の指をドアに挟んでしまい、その子が気絶してしまいました。それよりも数カ月前に、年長の子供たち3人は、大変なトラウマになる体験をしていました。遠足の最中にすぐそばで、女の子の友達が亡くなっていたのです。子供たちはいまだにトラウマを抱え、罪悪感に苦しんでいました。その女の子を救うために十分なことをしなかったのではないかと心配していました。彼女の死を防ぐことができたはずだと思っていたのです。そのため、その小さな女の子が気絶した時、以前の出来事が蘇ってきて、ひどく不吉に感じられました。パニックになり、子供たちは家の前の歩道に走り出て、通行人に助けを求めて叫んだのでした。
 その家を通り過ぎようとしていた年配の男性と女性に、家の中に入るように頼みました。二人はとても奇妙な格好をしていました。子供たちが言うには、とてもおかしな昔ながらの帽子を被っていて、その不思議な服装に困惑したそうです。子供たちにとって何より重要だったのは、後になって何度も口にしていたように、その女性が繰り返し、すべて正しく処置されていると確認してくれたことでした。彼女は女の子の足を高くしていたことを褒めてくれました。彼女は子供たちに酢水を作らせて、女の子の額をそれで軽くたたかせました。女の子にホメオパシー薬を与えるように彼女から言われました。子供たちは家から持ってきたバッチ・フラワーレメディを使い慣れていました。彼女はしばらく留まってくれて、女の子の指に数回両手で触れていました。子供たちはその度に指の状態がだんだんと良くなっていくのを見ました。
 私たちが戻った時には、その年配の夫婦は去っていましたが、子供たちはとても穏やかでくつろいでいました。少女の指も良い状態でした。
 疑いもなく、このようなトラウマ的な出来事が再び起きたことは、子供たちが最初の出来事のトラウマから回復する助けとなり、もはや罪悪感で苦しむことも、少女の死で自分たち自身を責めることもなくなりました。
 近所の人たちも、他の誰も、その夫婦のことを知りませんでした。私たちはこの夢のような助けにとても感謝していますので、その年配の夫婦がマイトレーヤかイエス覚者だったのかどうかお尋ねしたいのです。

ブリジット・シュプリンガー
ドイツ、キッシング

【ベンジャミン・クレームの師は、その『年配の男性』がマイトレーヤで、『年配の女性』がイエス覚者であったことを確認した】

彼の存在を知らせよ!

 この『情報』を知らせてきた素晴らしい活動にお礼を言わせてください。私の持っていたいくつかの問いに対する答えに心から感謝したいです。
 私の家の家族の部屋で、壁にサークルと『X』に見えるものが現れました。これはマイトレーヤからの祝福ですか。もしそうなら、なぜそこに現れたのか説明していただけますか。

ロブ・ウルティア
米国、ロードアイランド

【ベンジャミン・クレームの師は、そのサークルと十字架がマイトレーヤからの祝福であったことを確認し、「あなたとあなたの家族への祝福としてただ受け取りなさい、そして彼の存在を知らせなさい!」と言い添えた】

見かけ以上のものが光にはある

 黒人の男性で緑色のTシャツにベージュ色のレインコートを着て、分厚い黒のウールの手袋をつけた人が、私の働く店舗兼事務所に入ってきました。私は最初マイトレーヤだと思いましたが、すぐにそのことを考えないようにしたのは、その時起きたことがあまりに奇妙だったからです。
 その男性は光という話題について話し始めて、5分間ほど話し続けていました。会話は全く一方的で、彼には語りたいことがたくさんあるようでした! 質問をしようとしても返事をもらえず、私は黙って聞いていた方が良いと考えました。けれども、それは簡単なことではありませんでした。彼の発言が特定の方向には全然向けられていなかったからです。ユング心理学(分析心理学)や現代の映画、聖書、さらにはブードゥー教(!)について、とりとめもない話をしているようでした。ただその全部に共通する点が一つありました──すべてが光という話題と関係があることでした。私たちは本当のところ光の性質を理解しておらず、理解したときには重要な発見がなされるだろう、ということを言っているようでした。
 この人はもしかしてマイトレーヤだったのだろうかと思い続けています。

キャメロン・ピリー
英国、エジンバラ

【ベンジャミン・クレームの師は、その男性がイエス覚者であったことを確認した】

2022年7月号目次

 

覚者より
新しい文明
ベンジャミン・クレーム筆記

今月号の内容概説

視点
ウクライナ戦争が引き金となった飢餓危機により
「この世の地獄」が迫っている、と国連の食糧部門のチーフが発言
ケニー・スタンシル

「神はあなたに声を与えられました。それを使ってください」

ウクライナにおける公正かつ恒久なる平和の実現に向けて

大手石油会社に立ち向かい――そして勝利を得た!

時代の徴
世界中の光の現象

自然界の「驚異的な再生能力」を明らかにした活動家たちに ゴールドマン賞が授与される
ジュリア・コンリー

接触と伝達の科学
アイディア
アート・ユリアーンス

ヴァネッサ・ナカテ著(2021年)
『より広い視野 – 気候変動危機に新しいアフリカの声を届ける私の闘い」
サビナ・クレシによる書評

新しい繊維分析法は 「トリノの聖骸布」がイエスの時代のものであることを特定

新しい認識 – 選集
A new awareness – a compilation

編集長への手紙
障害を切り抜けて 他

読者質問欄
回答 ベンジャミン・クレーム

新しい文明

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 明けつつあるこの新しい時代の初めにおいて、次に続く何世紀もの間に光彩を添える文明と文化がどのようなものかを想像するのはむずかしい。そのような試みのほとんどは物質的ビジョンの網に絡まったままである。人生の霊的な意味とその表現を求める人間の志向を包含しようとしたものは、ほとんど見られない。

 新しい文明と文化の観点から将来を予見してみよう。間もなく新しい啓示の方向に向かって最初のステップが取られるだろう。間もなく人類の前方にある道を指し示す新しい道標が置かれるだろう。初めは変化はゆっくりと進むが、やがてその勢いを増して、すべてがつくり直されるだろう。

 新しい文明を構成する要素の特性を考慮してみよう。新しい時代の顕著な姿勢は、正しい関係を創造し、善意を表現するための試みであろう。個人に強調を置くことから集団(グループ)に強調を置く方向に大きく移行し、それが人類をより実りの多い線に沿って再教育するだろう。そしてそれが、神の大計画によりいっそう沿う機構を創造していくなかに反映されるだろう。未来についてのさらなる特徴は、人間が神の特性をよりよく理解し、神とのより密接な関係を持つことを欲するようになることであろう。今日見られるような、神が人間の生活にとって末梢的な存在ではなく、この目標が何百万の人間の生活の中で至上のものとなるだろう。神についてのこの新しいアプローチ(取り組み)に伴って、すべての生命の顕現に対する新しい敬意の念が生まれ、このようにして人間は下層王国との正しい整列関係に入る。下層王国に対する新しい責任感が人間の進化の速度を速め、したがって大計画に仕えることになるほどなく、科学に対する新しいアプローチが、われわれがその中に生きるあの実在(リアリティー)に対するわれわれの姿勢を完全に再調整させる道を開くだろう。すべてが一体であり、われわれが知る各断片は他のすべてと密接につながっており、その関係は数学的に決められる特定の法則によって支配されており、各断片の中に総体の潜在力が存在するということを、新しい科学が人類に示すだろう。この新しい知識が、人間の、世界についての体験とお互いについての体験を変え、神と人間が一つであるという真理を確認させるだろう。このようにして新しい科学は人間の神性を実証し、新しい世界宗教の確立につながるだろう。科学と宗教との間の往古の分離は癒され、人間の霊的成長に新しい推進力が加えられるだろう。

 そうした豊かな風土の中で、人間の隠された霊的能力が自然に開かれ、人間のマインド(識心)の膨大な潜在力が空間と時間を征服し、そして宇宙自体のエネルギーをコントロールするだろう。人間の霊魂(スピリット)の資質は無限である。啓示が最高潮に達するなかで、目に見えない世界の栄光が人間の仰天した凝視の前に明かされ、聖なる創造の全貌が如実に見せられるだろう。

 人間が宝瓶宮(アクエリアス)の体験の瀬戸際に立つにあたり、このすべてのことが人間を待っている。キリストによって人間に運ばれる「宝瓶宮のいのちの水」は人間の裡に眠る聖なる意識を目覚めさせ、本来の姿である神を人間に示すだろう。マイトレーヤと彼の兄弟たちの賢明な指導のもとに、人間は明らかにされた神性の全能力を達成するだろう。それが人間の生得の権利であり、人はただそれを知らないだけである。

 世紀から次の世紀へ、順を追って、人間の神性をますます顕現する文明を人間は築いていくだろう。聖なる創造の美のすべての様相が表現される文化をつくるだろう、それは神のイデア(理念)の栄光が映し出される鏡である。

 このようにして人間は、神の大計画のもとで、ものごとの体系の中における人間の真の位置を占めるだろう。このようにして、マイトレーヤのインスピレーション(鼓舞)のもとに、人間はこの── 恐怖と独断的教義と憎しみによって分裂された──世界を変容させるだろう。愛の法則が支配し、すべての人間が兄弟であり、聖なる特性にかかわるものはすべて人間の注目を引き付け、それが人生をコントロールする、そのような世界に変容させるだろう。このようにして神についての人間の夢は実現され、その潜在力は達成され、人間の運命は全うされるだろう。

(シェア・インターナショナル誌1982年8月号)

今月号の内容概説

 「人類の問題の核心は何でしょうか」という質問に対する要約された簡潔な答えとして、ベンジャミン・クレームと彼の師はいつもこう返答してきた。分離という間違った認識と、霊性は宗教的な文脈の中に属するものであり、そうでない場合は避けるべきものであるという誤った考えである、と。そうだとすれば、私たちの生活のほんのわずかな部分だけが霊的と見なされることになる。こうした態度のせいで、利己的で貪欲で競争的になることはより容易になる。

 ベンジャミン・クレームの仕事を通して響き渡っているアイディアが一つあるとすれば、すべてのものが本質的に霊的であり、徐々にそのように見なされるようになるということである──そのため、彼は他のグループとの協力を促進しようと努力した。今月号(*)には「世界政府のための議員連盟」のメンバーとの興味深い往復書簡の断片が掲載されており、ベンジャミン・クレームは社会の各方面で提携を推進する必要について語っている。このことが意味するのは、生活におけるあらゆるものが霊的であり、政治や気候変動対策、経済、教育、医療制度などすべてがそうした霊的なものとして扱われるべきだということを認めることである。こうした書簡は、霊的な志向を持つグループへのクレームの公開書簡とあわせて、世界中のグループが考慮すべき新鮮なアプローチを提供しているかもしれない。

 ベンジャミン・クレームの師は「新しい文明」という記事で未来を垣間見ている。「新しい文明を構成する要素の特性を考慮してみよう。新しい時代の顕著な姿勢は、正しい関係を創造し、善意を表現するための試みであろう。個人に強調を置くことから集団(グループ)に強調を置く方向に大きく移行し、それが人類をより実りの多い線に沿って再教育するだろう。そしてそれが、神の大計画により一層沿う機構を創造していくなかに反映されるだろう」

 クレームはこれと同じ傾向──和合と融合の必要性──を強調している。これは将来の関係の特色となる特質である。さらに、彼は課題を提示し、実際的な解決策と新しい取り組み方を提供している。「私たちが新しい時代に入る用意を整えるにつれて、統合をもたらす偉大な力が地球に作用し、より大きな和合と融合をもたらしているということが多くの人にとって明白になるでしょう。現代は、あらゆるグループが自分たちの活動方法と、一般大衆および他のグループへの接近の仕方を見直してみることのできる時代です。私たちはまさか、分離主義と排他主義という長い間に深く染み込んだ習慣に従って働き続けることにより、時代の必要に適切に反応することに失敗しようとしているのでしょうか。こうした融合と統合の偉大な力に備わる特質を現し、目指すべき社会の方向性にもっと効果的に影響を及ぼすために、あらゆる分野にいる霊的な志向を持つグループはどのような手段を取ることができるでしょうか。活動の調整不足が現在、主な障害になっている、と私たちは考えます。この国の霊的な運動は、広まってはいますが、バラバラです」

 こうした統合的なアプローチを取ることにより、今月号の記事の収まりが良くなっている。「すべての人に公正な賃金を」という運動は、飢きんや洪水、干ばつに脅かされている人々を救えという呼びかけと結び付いている。秘教的な観点から歴史と心理学を考えたり、私たちは奉仕するためにここにいるのだということを認識するよう呼びかける若くて聡明な自閉症の女性について読んだりすることを、読者は楽しみに思うかもしれない。この号の記事の中では、「普通のお父さん」が気候チャンピオンになったり、若い女の子が社会と気候の正義を呼びかけたりする。

 世界中で活動家やジャーナリストが逮捕され、殺害されている。パレスチナ人の活動家、シリーン・アブ・アクレ氏の事例を考えていただきたい。しかし、世界にあるその同じ場所から、トリノの聖骸布の年代についての新たな研究という形で、イエスの生涯に関するさらなる証拠が出てきた。次々と現れる「徴」や奇跡、尋常でない体験を記した読者からの手紙は、今月号の内容にそれぞれの独特な響きを加えている。

(*) 英語版は7・8月合併号であるが、日本語版は7月号と8月号に分けて発行される。

新しい認識――選集

A new awareness ──      a compilation

「新しい認識」というテーマに関する引用文の選集を掲載する。引用文は、マイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』と『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第1巻と第2巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。

 日ごとに新しい概念が想念帯に入り、その影響を至るところにいる敏感な人間の心(マインド)に与えている。一瞬一瞬、人類が新しい宇宙の周期の瀬戸際に立つにつれて、人類種族の根底にある必要についての新しい認識が増大する。何にも増して、人類はその一体性を、その相互依存性を、お互いの必要性を悟りつつある。そしてその顕現に向かって痛々しい一歩一歩を歩んでいる。対立、不調和、衝突は多い。しかし、お互いがお互いと同一認するアンデンティティーについての新しい認識が花開く。
(『覚者は語る(Ⅰ)』─眠れる火─より)

 多くの者は彼らの周りに混沌とした危険な世の中を見る、まさしくそうである。しかしこのいかにも混沌とした大渦巻の中に、静かな穏やかな中心があり、希望と変化を生み出している。我が友よ、今起こりつつある変化をわたしが見るようにあなたがたも見ることができるならば、わたしと同じように心は喜びに躍るであろう。世界中で、今日人間は変化に目覚め、人の心をとらえている新しい思考や理想を前面に持ち出している。
(『いのちの水を運ぶ者』第129信より)

 認識(awareness)は極めて重大です。奉仕においてだけでなく、人生のあらゆる行為においても非常に重要です。実際、あらゆる瞬間において、認識はあなたがここにいる存在理由のすべてであり、目的のすべてであります。あなたは意識的認識(conscious awareness)を発達させるために転生しているのです。それが進化の意味するものです。認識と奉仕を他の一般的な認識と区別することはできません。魂が転生する理由が意識的認識において成長することであるなら、意識的認識があらゆる行為における支配的要素でなければなりません。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅱ巻』)

 直観の開花を通して、認識の膨大な広がりが人間の前方に横たわる。存在の状態についての認識であり、それはまだまったく人間に知られていないが、覚醒した心(マインド)によって知覚されるのを待っている。
 すべての意識の拡大の前には緊張がある。人間が今通過している争いと困難のこの時期の後に、平安と落ち着きの時が続き、直観が徐々に開花するための舞台が整えられるだろう。それが起こるとき、人間は、すべての論争を通り越して、神のイメージに似せて創られた魂としての自己の特性を直接知るだろう。
(『覚者は語る(Ⅰ)』─理性と直観─より)

……和合が独りでに起こることがないように──つまり栄養と世話と意識的な培いが必要なように──グループや国家を結び付ける絆も同様に、強められ、滋養を与えられ、培われなければなりません。そして世界に法の規制、自由と正義と分かち合いのルールを築かなければなりません。それのみが和合を可能にします。
(『協力の術』)

 精神生活の道はすべての人間が歩むことのできる広く多様なものであることを、マイトレーヤが示されるだろう。人間生活のあらゆる努力のなかに、あらゆる分野のなかに、神についての認識と知識が感じられ、表現されるだろう。すべての者が一瞬一瞬のこの体験についての彼らの認識を、分かち合われた体験の結果として生み出される多彩な模様の中に、貢献することができる。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅰ巻』)

 人間はまさに深淵なる真理の体験、彼ら自身の本質的『存在(Being)』についての認識を体験しようとしている。大多数の人々にとって、それは遠い過去の中に長い間失われていた(心の)状態に生まれ変わるような体験としてやって来るだろう。各人が、それぞれの方法で、あがなわれ、新たに再生し、浄化され、清められるのを感じるだろう。『同胞愛』の歓びと美が、彼らの『存在』を震わせるだろう。そして各人が己自身をあの美と愛の一部として見るだろう。
(『覚者は語る(Ⅱ)』─同胞愛─より)

 わたし自身を公に顕す時が来たら、すべての人類の希望と願いを表明する──新しい人生への、新しい出発への願いを、方向転換への用意があることを、人々が平和に生きることができる新しい世界の建設を、自分自身を恐れることなく、兄弟たちを恐れることなく生きることができ、心に喜びを持って自由に創造し、正直にあるがままであることができる、そのような新しい世界の建設への願いを表明しよう。
 わたしの仕事は、始まったばかりであるのに、もうすでに人の心に新しい光が、新しい希望が芽生え、新しい始まりの兆しがある。人間は孤立した存在ではないことを、あらゆる者の守護者が、代理人を遣わされたことを認識し始めている。わたしは、神の代理人である。
(『いのちの水を運ぶ者』第8信より)

 マイトレーヤは言われました、「真我のみが重要である」と。私たちはその真我なのです、不滅の存在なのです。私たちの苦痛、問題、苦しみは私たちが真我以外のあらゆるものと自己を同一認してしまう事実によるのです。だから、もし真我のみが重要なら、私たちが達成できる最も重要なことは真我の認識に違いありません。真我の認識は5分か10分座って瞑想し、一日の残りの時間は認識していないのではいけません。自分がいかなる存在なのかを認識できるようになるのは一瞬一瞬からですから、真我の認識は一瞬から一瞬へと続いていく過程です。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅱ巻』)

 もしあなたが自分に起こっていることに注意を向けなければ、それに気づくことはできません。認識を持ちません。人生のすべてが、進化の過程全体が、徐々に認識を増大させていく過程です。認識の道具を徐々に完成させていくことです。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅲ巻』)

 自然界とその裡に働くフォース(エネルギー)についての古い、機械的な見方は急速に消えつつあり、すべての顕現の基礎にある和合について新しい認識が目覚めつつある。すべてがエネルギーであり、エネルギーと物質は一つのリアリティー(実相)の異なった状態であり、想念によって影響され得るという概念が広範囲に受け入れられつつあり、人々の人生観を変えつつある。
(『覚者は語る(Ⅰ)』─意識の成長─より)

 世界的相互依存というリアリティ(現実)がわれわれの認識の中で確立された事実となるだろう。そうなる時「すべての人間は兄弟姉妹である」という事実が制度機構や実際的活動計画の中にますます取り入れられて、この実体を反映するものとなるだろう。諸国家も同胞愛、共通の目標、共通の抱負を体験することができ、体験するようになるだろう。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅱ巻』)

 私たちは世界の経済機構を変革せねばなりません。そうすることがより正しいからではなく、それが非常に邪悪で不正義なものだからです。私たちがそれを変革しなければ、世界を破滅させるでしょう。事は単純そのものです。私たちは調和に基づいた、したがって平衡のある社会で、本来の生き方(魂としての)をし始めることができるように、それを変えねばなりません。その平衡があるとき、私たちは自分たちが本来誰であり、何であるのかについての認識を増大させるのです。それが私たちの危機であり、今日の私たちの問題です──自分が誰であるかを知ること。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅲ巻』)

 親愛なる友よ、世界に起こっている出来事を見回して自分に問いなさい──「これは不思議なことではないか、この新しい光は何としたことだ」と。もしあなたが裡なる光に忠実であるならば、わたしの臨在がこの変化を呼び起こしたことに気がつくであろう。そのようにして、あなたはわたしがここに居ることを知るであろう。
(『いのちの水を運ぶ者』第87信より)

 私たちが意識をもっと速く拡大しない理由は認識していないからです。意識は認識です。……それは実際には認識という道具の感受性を完全にし、拡大していくという問題です。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅱ巻』)

編集長への手紙

シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されている。。

障害を切り抜けて

 2022年3月26日の土曜日に、ベンジャミン・クレーム美術館で興味深い体験をしました。美術館では、閉館時に玄関を締め切るために通路にチェーンを渡しています。その朝チェーンの錠が動かなくなり、鍵で開けられなくなりました。どんなにやってみても鍵を開けられませんでした。錠前師を呼んでチェーンの錠を切ってもらう必要があることが明らかになっていき、そうすると開館時間が遅くなりそうでした。
 中に入って電話をする前に、マイトレーヤに助けをお願いしました。その直後、もう一度錠とチェーンの所へ行くように促された感じがしました。再び試していたところに、二人の男性が私の左側に『現れて』、一人が「助けが必要なように見えるね」と言いました。その男性たちは水道電力局の制服を着ていて(短い丈のパンツに『DWP〔水道電力局の頭文字〕』のワッペンが付いていました)。心の中で思いを巡らせて、いつもの水電局の作業員たちは違った種類の制服を着て、違う標章を付けていたことを思い出しました。一人の男性は30代で、二人目の男性・ヘ50歳前後でした。年配の方の男性がボルトカッターを取りにトラックへと行って戻ると、錠を切り落としてしまいました。私はお金を差し出しましたが、彼は若い同僚を指差して、「あの方が上司だ!」と言いました。若い方の男性は立ったままタバコを吸っていました(私は近くでの喫煙が好きではありません)。彼はお金も、彼らの昼食を買うという提案も断ってきました。
 私はお礼を言って、美術館の中に入りたいかどうか尋ねました。彼らは入りたいと言って、年配の方の男性が美術館の看板を指差して、同僚に向かって「ほら!」と言って微笑んでいました。
 入館すると、若い方の男性がすぐにベンジャミン・クレーム氏の作品の写真を撮り始めました。彼らは絵画を全部見ていきました。私たちは美術についてもう少しだけ話をしました。それから彼らは仕事に戻らなければならないと言いました。帰っていく時、彼らの一人が「助けることは私たちの喜びだ」と言いました。まさに始まりから、イエス覚者(年配の方)とマイトレーヤ(若い方)だという感覚が私にはあって、私が助けをお願いしてからの現れ方や、何とも素早く(1分間で)問題が解決したことでも、そう感じていました。数多くの覚者との体験と同様に、その日美術館を開始するにあたって、大変な喜びと高揚感がずっと続いていました!

オルガ・チャンピオン
米国、カリフォルニア州パームスプリングス

「今がその時」

 2022年6月20日の土曜日に、カリフォルニア州ロサンゼルスにあるベンジャミン・クレーム美術館で仕事をしていた時、ドアを開ける直前に、4人のチベット人の僧侶が玄関前の歩道に立っていました。私は外へと歩み出て、ベンジャミン・クレーム氏の『到来されるマイトレーヤ仏陀のためのタンカ』の原画を見るために入館したいのですかと尋ねました。彼らは「いいえ」と言いました。私は少し笑って、閉ざされた心を持つ人はどこにでもいるということを考えました。
 1時間ほど後に一人の女性が入ってきて、自分は神智学徒でありブラヴァツキー夫人の本を数冊読んだと言っていました。私たちはブラヴァツキー夫人について少し話をして、その後、アリス・ベイリーやエレナ・レーリッヒの著作、そしてもちろん、ベンジャミン・クレーム氏の本のことを話しました。彼女はこの秘教の美術館を見つけられたことにどれほど興奮しているか、そして信じられないほどだと何度も口にしていました。それから、ここが美術館には完璧な場所だと言いました。彼女はしばらくの間、それぞれの絵を見たり、説明用のプレートを読んだりして過ごしていました。ついに『到来されるマイトレーヤ仏陀のためのタンカ』の絵の所にやって来て、これが自分のお気に入りで、大好きな絵だと断言しました。この美術館が存在していることが信じられない、と彼女は何度も何度も言い、この地域がいかに最適であるかを語っていました。十分にタンカを鑑賞し終えて、彼女は非常に物静かに「今こそがその時です」と言いました。このコメントについて興味深い点は、私がいつもは訪問者にクレーム氏の長年にわたる執筆や世界講演旅行について伝え、世界教師マイトレーヤの出現の話をするのですが、この時には彼女が神智学徒だと名乗り、美術館のホームページを来館前に見てきたと言っていたので、私からは話をしなかったことです。彼女の言葉の後で私は「あなたが正しいといいですね」と言いました。「そうなのです」と、彼女はまたとても静かに言いました。このことは私にとって意味がありました。というのは、米国伝導瞑想研修会でのベンジャミン・クレーム氏を度々観察してきて、最も重要な物事を語る時には非常に物静かに、全く力を入れない様子で話をされていたからなのです。人はそれを聞くことにさえ、真に注意を払わなければなりませんでした。このようなタイプのコメントはいつになく重要である、と私は長年考えてきました。言葉が何の無理強いもなく語られ、説得しようという力みが全くないため、私たちの自由意志が侵害されないことと関係した何かがその言葉の中にあるに違いない、と考えてきました。この女性もまた、そのように話したのです。今がその時だということを私に確信させようとするような力みは全くありませんでした。彼女は私たちの催すイベントや講演などについて尋ねてきたため、私たちは年4回の講演を開催していたが、パンデミックによって一時的に停止していることを伝えました。パンデミックの状況が許せば、初秋から始めるかもしれないと私から言いました。彼女は私たちが一緒にいたことにお礼を言ってくれて、私はいつでもまた来てくれるように伝えました。

スコット・チャンピオン
米国、カリフォルニア州ロサンゼルス

読者質問欄

Q 伝導瞑想グループの仕事は、アトランティス時代のラヤ・ヨガのニューエイジ的な一種ですか。〔ラヤ・ヨガとはチャクラまたは肉体のエーテル複体における中心を扱うヨガのことであり、チャクラを通してエネルギーを伝導するヨガである〕
A いいえ。伝導瞑想の仕事は、時代を通して継続的に行われてきた、より意識的で組織的なエネルギー配分の形態です。

Q 頭部の背後にある中心の機能は何ですか。頭部の中心でこれに対応する低位の中心またはチャクラは何ですか。
A それは脊柱基底部の中心の頭部の対応物です。

Q あなたは『伝導瞑想──21世紀のヨガ』という著書の中で、ゴータマ仏陀はシャンバラにおられると述べています。私の理解では、ゴータマ王子は、イエスが世界教師マイトレーヤによってオーバーシャドウされていたのと同じように仏陀によってオーバーシャドウされていました。では、シャンバラにいるのは誰なのですか。仏陀なのか、仏陀によってオーバーシャドウされていた器であるゴータマなのか。そして他の方はどこにいるのですか。
A 仏陀はシャンバラにおられます。ゴータマ王子であった存在はこの惑星に転生していません。彼は今、シリウスにいます。

Q 次のことは正しいですか。(1)ゴータマ王子は今、シリウスにいる。(2)仏陀はシャンバラにいる、なぜなら彼はすべての人間が覚者(第5段階のイニシエーションを受けた存在)になるまで人類と共に留まると約束されたから。もし仏陀がキリストと同じように魂の王国における地位だとすれば、マイトレーヤがキリストの地位にある今、仏陀の地位にあるのは誰ですか。これらのことについて明らかにしてください。
A (1)はい。(2)仏陀は役職ではありません。マイトレーヤは役職ではありません。しかし、キリストという「地位」はハイアラキーにおける一つの役職です。仏陀も、キリストであり世界教師であるマイトレーヤも、彼らの意識状態に関する神的なエネルギーを体現した個人です。仏陀は知恵の様相、キリストは愛の様相です。キリストはマイトレーヤが現在就いている役職であり、アクエリアス時代の終わりまで保持されるでしょう。

Q これは複雑な主題のようですが、治療に関してカルマはどのように働くかご説明いただけますか。
A カルマ的治療は次のように行われます。特定の状況において、覚者は法の下で一定の量のエネルギーを使うことができます。ある場合には、特に子供の場合、これは全体的なまたは部分的な治癒において十分でしょう。他方、より高齢な場合や、より重大な場合は、それは状況が悪化するのを防ぐだけでしょう。カルマ的状況が変われば、多かれ少なかれ、場合に応じて、より多くのエネルギーが利用可能になります。このパターンは、患者が治癒されるか、全体のカルマが許す程度に緩和されるまで続きます。

Q マイトレーヤはリンガムを生み出しますか。
A いいえ。

Q 人は転生し進化する中で十二星座を順番に進んでいくのですか。
A 魂のレベルではそうです。魂は十二宮の星座を進んでいきます。しかし、パーソナリティーのレベルではそうではありません。星座の順番どおりに進むわけではありません。

Q 人はイニシエーションを受けるためには特定の星座にいなければならないのですか。星座はイニシエーションの観点から重要ですか。
A パーソナリティーの観点からは重要ではありません。パーソナリティーの星座は役割を果たしません。魂の観点からは、イニシエーションを受けるためには、他のすべての条件が満たされたとすれば、「支配的な」星座は山羊座になければなりません。パーソナリティーの星座が山羊座にあることは、その人がイニシエーションを受けることを意味しません。

Q 上昇宮が何であるかを決めるのは何ですか。それは重要なことですか。
A いかなる転生においても、転生するエゴ(魂)の進化段階が、その人がどの上昇宮を持つかの要因です。

Q 魂はいつ次の器の性別を選ぶのですか。その理由は何ですか。男性の肉体をとったり女性の肉体をとったりするのはなぜですか。
A それは将来の転生の目的を決めるプロセスの中で決められます。魂はあらゆる体験を必要とします。

Q どのくらいが魂の選択で、どのくらいがランダムに行われるのですか。
A それはランダムな過程ではありません。選択は完全に魂によってなされます。

Q この転生で非常に男性的なタイプの女性であれば、次の人生では男性になるのですか。それとも前世で男性だったからそうなのですか。
A いいえ、必ずしもそうではありません。もっと複雑なものです。それは文化や、(家族と文化の両方における)条件付け、世代的な影響の問題です。光線の影響やその人の中での光線の相互作用の問題でもあります。

Q 家族のメンバーは多かれ少なかれ等しくカルマ的に互いにつながっていますか。あるメンバーが家族で全く「新しい」ことはありますか。
A 家族の一人か二人が全く「新しい」ことは確かに起こります。言い換えると、彼らは過去にその家族のグループに転生しませんでした。

Q カルマ的関係を持つ人々に会うよう導くのは偶然ですか、それとも魂の「操作」ですか。
A それは魂が特定の出会いを可能にするという問題です。それはカルマの問題でもあります。

Q あなたのように、同じ魂の光線を持つ国に転生する傾向がありますか。
A はい。例えば、英国や米国やその他の国々のような第2光線の魂を持つ国々にはより多くの第2光線の魂がいます。

Q ヒーリング・エネルギーとは何ですか。それは7光線から来るのですか。それともそれは別の、エーテル・エネルギーですか。
A ヒーリング・エネルギーはエーテル的であり魂からのものでもあります。

Q ヒーリングは基本的にエーテル体に影響するのですか。
A はい。

Q グループ・ヒーリングを司るものは何ですか。同じような進化段階ですか。それとも同じ覚者の下にあることですか。それとも同じ光線の影響ですか。
A グループ・ヒーリングは同じグループの覚者に関係しています。それはまた、グループにおける支配的な光線にも関係しています。

Q チャクラの目覚めは病気の原因となりますか。
A はい、それは混乱を引き起こし得ます。

2022年6月号目次

 

覚者より
S.O.P.――われわれの惑星を救え!
■ベンジャミン・クレーム筆記

今月号の内容概説

視点
ウクライナでの消耗戦を終わらせる
ジェフリー・サックス

世界から最悪の惨劇をなくす
ベアトリス・フィン氏へのインタビュー
アナ・スウィーストラ・ビエ

ヒューマンライブラリー ――『人を先入観で判断しないことを学ぶ』
ロニー・アバーゲル氏へのインタビュー
ジェイソン・フランシス

サンジェルマン伯爵の人生、活動、才能 —第三部
ドミニク・アブデルヌール

時代の徴
世界中に溢れる奇跡

サティア・サイババからのインスピレーションと導き
パトリシア・ピッチョン

エコロジー経済学―持続可能性、公平性、自由に向けた変化の過程なのか? —第二部
オーヴェ・ヤコブセン教授へのインタビュー
アンネ・マリエ・クヴェルネヴィック

混乱と希望
ルーク・ギオリー

世界情勢
大気中の炭素を削減するために古代の技術を発展させる
古い種子が約束を取り戻す/ベルリン宣言

編集長への手紙
暗雲を払って 他

読者質問欄
回答 ベンジャミン・クレーム

S.O.P. (Save Our Planet!)──われわれの惑星を救え!

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 世界にある現在の状況を熟視するとき、特に重要なこととして二つの問題が目につく──戦争の危険と地球の生態系の不均衡の加速である。もちろん、他にも多くの問題がある──多くの国々、特に西洋諸国に影響する経済的大災害、食糧の価格、特に何千万の人々の主要食品の価格の高騰、富裕層と貧困層の間の生活水準の巨大な、そしてますます増大する格差。
 これらの問題はすべて重要であり、早期の解決を必要とする。最初に挙げた二つの問題はすべての分別ある人間と政府の注目を強要しなければならない、なぜならそれらは人間の福利に対する最大の脅威を提供するから。戦争は、大きかろうが小さかろうが、今や考えられないことであるべきなのだが、そうではないのだ。最も恐ろしい戦争の愚かさと無益さを経験してきた世界でさえ、まだあの忌まわしいものを完全に放棄していない。諸政府は、あの古いやり方で、結局、彼らの切望する褒美を取り戻せるだろうという考えに誘惑される。ゆえに、戦争の武器は必要不可欠であり、主要な取り引きの資産である。武器が存在するかぎり、それは使用されるだろう。小さな戦争は、より多くの国々が巻き込まれるにつれて、大きな戦争を生む。大国は同盟国を通して代理によって戦い、重要でもない論争を戦争に引き延ばす。この大きな危険はすべての国によって放棄されなければならない。それは地球上における人間の生存そのものを脅かす。
 戦争とは別に、汚染ほどすべての人間の未来に非常に深遠な影響を与えるものはない。ある国々はこの事実を認めて、汚染と地球温暖化を制限するステップをいくらか取っている。他の国々は、ときには汚染の主要国が、地球温暖化の現実を、圧倒的な証拠があるにもかかわらず、否定する。今や、日ごとの気候の変動は、惑星が病んでおり、その均衡を取り戻すために即刻、熟練した看護が必要であることを、疑いの余地なく証明している。この惑星地球が毎日被っている変質を停止させるために残された時間は切れつつある。すべての男女が、子供が、この仕事に彼らの役割を果たさなければならない。まさに時間はない。S.O.P.* われわれの惑星を救え!

〔*編註= S.O.P. とは 英語のSave Our Planet(われわれの惑星を救え)の頭文字であり、これはやがて、われわれの惑星を救済するための行動をすべての人間に呼びかける国際的な合言葉になるだろうということを明記しておきたい〕

(シェア・インターナショナル誌2012年10月号)

シェア・インターナショナル誌は、新しい時代の思考の二つの主な方向――政治的と霊的――を統合する。