現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2009年 4月 子供たちの顔に表れる自由

子供たちの顔に表れる自由

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ジェイソン・フランシスによるニーナ・スミス氏へのインタビュー
ラグマーク・ファウンデーションは、非政府組織、商社、政府機関、そしてユニセフのような多国間組織の連合体として、カーペット製造工場における子供たちの労働を根絶する目的で1994年に設立された非政府組織である。ラグマークUSAは、ラグマーク・ファウンデーションの米国支部であり、ラグマークUSAの実行委員長ニーナ・スミス氏は、1999年にラグマーク・イニシアティブを創始した。 シェア・インターナショナル誌のために、ジェイソン・フランシスが彼女にインタビューした。
シェア・インターナショナル(SI):児童労働はどのように世界に蔓延していますか。
ニーナ・スミス:21世紀に児童労働が世界の何カ所かで、なお大きな問題であることを知れば、皆さんはきっと驚かれるでしょう。児童労働や子供の家内工業への従事に結びつく子供の不正売買や、売春強要の犠牲にさらされている子供、そして武力紛争や麻薬の不正売買のために連れてこられ働かされている子供の数は、2億1,800万人にも及んでいます。多数の児童労働で最悪状態にある地域は、インド、ネパール、パキスタンにあり、ラグマークはこうした地域に展開しています。
SI:私たちは、現代における年季奉公とか奴隷について話題にしているのでしょうか。
スミス:児童労働はいわば現代の奴隷制です。親はお金に困って、借金の返済と引き換えに自分たちの子供を売るのです。もちろん子供はこの決定にほとんど参加することはありません。例えばパキスタンでは、子供たちがカーペットの織機で働くことを前提にお金を受け取り、その結果、子供たちは債務奴隷制度の犠牲になるのです。子供たちには年配の職人の半額の給料が与えられ、借金が完全に支払われるまでその拘束から免れることができません。子供の4分の1は15歳以下の女児です。彼女たちは年配の職人たちの餌食となり、性的虐待の犠牲になります。 ユニセフ(国連児童基金)によると、インドの5歳から14歳までの子供の14%は、カーペットの製造を含める児童労働に従事しています。南アジアでカーペットは最大の輸出品であり、この産業は貧困者を雇用する主要産業です。もし子供の搾取が国の主要産業の中の代表的なものであるならば、ラグマーク・キャンペーンのような努力なくして貧困のひどい悪循環を断ち切る機会はほとんどありません。
SI:ラグマークは、「児童労働を利用して作られるカーペットを輸入することは、それがどのような形であろうとも醜いことである」と述べています。どのくらいの子供が世界中の織物工業で直接使われているのですか。
スミス:カーペット産業の耐え難い環境の中で、約30万人の子供が北アメリカやヨーロッパの家庭のカーペットを作るために働いています。4歳から14歳までの子供が、債務奴隷または強制労働のために、さらわれたり売られたりしています。
SI:児童労働で、子供たちにどのような身体的、情緒的、心理的影響がありますか。
スミス:児童労働の結果は甚大です。子供たちは、栄養不良、幻覚症状、打撲傷、鋭利な道具による傷などを負っています。パキスタンのパンジャブ地方におけるいわゆる「カーペット・キッズ」の中には、綿の繊維を吸い込んで呼吸器官の病気に罹る者がおり、工場で働く多くの子供が、狭い場所に絶え間なく座り続けているために背骨の変形に陥っています。
SI:ラグマークは、子供の権利を守るためにどのような役割を果たしていますか。
スミス:私たちの任務は、カーペット産業における不法な児童労働を廃止し、インドやネパールの子供たちに教育を受ける機会を提供することです。私たちは、工場を調査し、機織りに従事している子供たちが教育を受けられるようにします。そして大変重要なことですが、消費者が購入するカーペットが児童労働によるものではないという、ラグマークの保証付きラベルをカーペットに貼ります。
SI:ラグマークが関与した国々で、どのくらいの子供が機織り工場から救われましたか。
スミス:ラグマークの働きは深甚な効果をもたらしました。1995年以来ラグマークは、3,000人以上の子供を機織り労働から解放しました。その上、何千人もの子供が労働に就こうとするのをやめさせました。献金とラグマークの保証するカーペットの購買よって運営される教育プログラムは、リハビリ、デイケア、識字教育、学校教育および職業訓練を通して子供たちを援助します。例えば、カーペット産業に従事するネパールの子供の割合は、統計上1996年の11%から現在の3%に下がっています。私たちにとって、ネパールにおいてラグマークの働きで児童労働が減ったと共に、認可を受けた工場の割合が65%に達した(私たちの調査による)ことは喜ばしいことです。 いったん子供たちが機織り労働から解放され、充分な栄養と支援が与えられると、彼らは学習活動および身体活動に向かうことができるようになります。例えばネパールでは、ラグマークの援助で11人の児童労働従事者が、この国の最優秀校・リトルエンジェルズで学んでいます。
SI:どのようにして工場がラグマークの要求する規格を承諾するに至るのでしょうか。
スミス:最初に、児童労働なしでカーペットを生産する工場経営保証の法的契約を結びます。次に、ラグマーク基金が関与するすべての機織り事業が登録されます。そして第三に、機織り工場に立ち入り検査ができるようにします。最後に、工場はライセンス料を支払うことに同意します。この承諾を確認するために、ラグマークによって訓練・監督された検査官が定期的にカーペット工場を視察します。どこのものかを判別し、偽のラベルを防ぐために、一つ一つに貼られるカーペットのラグマークのラベルに番号がつけられます。北アメリカでは、許可されたラグマーク輸入業者のみが、ラグマークのラベルのついたカーペットの販売を法的に許されています。
SI:「最も美しいカーペット」キャンペーンとは何ですか。
スミス:2006年にラグマークUSAは、「最も美しいカーペット」キャンペーンを開始しました。これは、手製のカーペット工場で働く子供たちの問題に、消費者の注意を喚起しようとする目的で生まれました。これによって私たちは、ラグマークの関与するカーペットの売り上げを増加することができました。キャンペーンの目標は、児童労働を行っていないと保証されたカーペット市場を、3年間に1%から4%に増やすことであり、2012年までに市場でのその販売割合を15%にすることです。この15%は、南アジアの手製のカーペット産業から児童労働を根絶させる転換点と推定される値です。私たちの市場の割合が1%増えるごとに750人の子供が仕事場から救われ、1,000人以上の子供が工場で使われるのを食い止めることができるという事実を知ることは、大変興奮させられることです。
SI:「自由の顔」とは何を意味していますか。
スミス:「自由の顔」とは、私たちが行っている仕事の核心部分を示す移動写真展示会で、写真は、機織り仕事の背景を、そしてカーペット工業の内部を見通す強力な手段なのです。北アメリカを横断し2009年12月まで展示する、カーペット工業における児童労働の悲惨な様子と、ラグマークとそのパートナーの活動の様子とは、これら大勢の子供たちのありのままの姿を伝えています。この展示はまた、手製のカーペットの美しさがそれを作った人および作業状況を反映していることを確証する一連の要素で満たされています。www.facesoffreedom.rugmark.org のサイトは、写真のキャプション(説明文)と展示スケジュール、献金の集め方とこの問題の背景に関する情報を開示しています。
SI:国際法や児童労働を禁じる条約はどのくらい有効なのでしょうか。
スミス:21世紀の最初の時期は、児童労働を終わらせる運動のための決定的な時期です。反児童労働の組織は成長し、目的達成に向けて国際的支援を受けるのに値するようになりました。例えば、南アジアにおけるカーペット製造に従事する子供の数は、1995年時の100万人から現在の約30万人にまで減少しています。法律の増加も重要な変化に挙げられます。「児童労働に関する最悪の形態」についてのILO(国際労働機関)第182協定が1999年に成立し、そして、2000年の「貿易と開発条例」が、米国が児童労働によって作られた製品を含む、強制の伴う、または年季奉公的労働によって作られる製品を禁止することを宣言したことは、極めて意義深いことでした。
詳細は:www.rugmark.net; www.facesooffracdorn.rugmark.org 参照

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