現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2012年 2月 助けるためにここにいる:UFOと宇宙の兄弟たち

助けるためにここにいる:UFOと宇宙の兄弟たち

ゲラード・アートセン著
カルメン・フォントによる書評

過去70年間に地球外生命に関する研究の分野で科学者や著述家が着手した研究の性質を定義することのできる一つの言葉を選択するとしたら、それはおそらく「暴露」だろう。実際、UFOを目撃したという非常に多くの主張の背後にある事実の「暴露」、本物のコンタクトと捏造したものとの選別、そして地球上に異星人が存在することについての賛否両論の提供、これらのことがUFO研究家だけでなく政府関係機関の職員の時間とエネルギーと心(マインド)を占めてきた。無数のコンタクティー(接触者)が地球外からメッセージを受けたと主張していたが、その大部分は勧告的な論調を超えて、未来についての恐怖と不安をかきたてるものである。このような筋書きから見て、これまで増え続けてきた宇宙人の地球来訪の可能性を喜んで受け入れる人たちが、これらのコンタクトの目的や意義に関して迷い当惑するのも不思議ではない。このような来訪の目的は何なのか。もし非常に多くのコンタクティーによって説明され、そしてハリウッド映画によって描写されているように、宇宙人が敵意のある存在であるならば、なぜに政府は宇宙人の侵入を阻止するための計画を練り上げないで、情報をもっと隠蔽しようとするのだろうか。
オランダの著述家であり教師であるゲラード・アートセンは、最近出版した本『助けるためにここにいる:UFOと宇宙の兄弟たち』で次のように説明している。地球上での宇宙人とのコンタクトを理解するための秘訣は、彼らを目撃したことをただ単に暴露するのではなく、彼らの使命を開示することに集中することである、と。「1950年代に政府によって開始された偽情報キャンペーンの結果生じた、宇宙人の実態を一般の人が信じない状況を打破するには、目撃情報が幾つあっても効果がない」という事実にもかかわらず、宇宙人に関する論議は、彼らが存在するか否か、あるいは、どのような環境の下で彼らは視界に入るのかということには焦点を当てていない、とアートセンは読者を引きつけるような語調で述べている。むしろ、現在の議論は、このような宇宙人来訪の真の重要性と意味へと移行している。この主題に関しては、アートセン自身が彼の最初の本『ジョージ・アダムスキー:宇宙の兄弟たちの先触れ』(2010年)の中で極めて明白にしている。宇宙人とのコンタクトに関する大量の情報は、彼らの存在が避けられない事実であることを明らかにしている。しかし、もしわれわれがこの太陽系の唯一の住民であるかのように行動することに固執したり、地球外からの来訪者に対するわれわれの反応が恐怖や謀略によって条件づけられるのを許したりするならば、われわれは彼らの使命や目的の範囲を決して理解できないし、宇宙の兄弟たちに十分に協力することもできないだろう。『助けるためにここにいる』は、明確で説得力のある方法でこの二つの問題に取り組んでいる。宇宙の兄弟たちのメッセージは、人類のための最善の利益に合致している。というのは、彼らはわれわれに対してこの惑星の環境保護に気を配り、不正義と貪欲がはびこる状況をつくり出している、人間がつくった社会の不均衡に対処することを力説するからである。彼らはわれわれがこの惑星を助けるのを援助するために来ているのである。この援助の背後にある動機は、場当たり的なものではない。その動機は実際に、不朽の知恵の教えと調和しており、この惑星のカルマの法則に従って、そしてわれわれの惑星ハイアラキーの智識や協力によりその援助が提供されているのである。この本の著者は、他の多くの情報源の中でも特にこの主題に関するベンジャミン・クレームとシェア・インターナショナル誌からの独特の情報を本書の至るところで引用している。
『助けるためにここにいる』も同じように、こうした永遠の智恵の教えの基本を読者のために説明している。それは、意識の進化を、地球や宇宙のあらゆるところにおける生命の目的であると断定している(シェア・インターナショナル誌の読者以外の人にとっては、これは驚嘆すべきことかもしれない)。この英知は、ほとんどの宗教で「黄金律」または無害の法則として簡潔な表現で与えられている。(私たちよりも進化しており、主に金星や火星のような惑星からやって来る)宇宙の兄弟たちとわれわれの霊的ハイアラキーは、その偉大な法則を遵守している。
『助けるためにここにいる』は、確実なデータや基本的な事実を記録した情報源を用いて、偽情報キャンペーンの背後にある方法や動機を解明するために二つの章を費やしている。そうした偽情報キャンペーンは、宇宙の兄弟たちによる本物の啓示を覆い隠し、陰謀の雰囲気を助長してきたという。
アートセンは、宇宙人の来訪に対するわれわれのアプローチにおいて何が悪かったのかに関するこのような包括的な報告に、世界中の初期のコンタクティーたちの活動に関する啓発的な説明を加えることで調和を保たせている。世界中というのは、ロシアからアメリカ、南米、オーストラリアに至るまでの国々である。最も重要なことは、『助けるためにここにいる』がこれらのメッセージの共通の要素を強調していることである。こうしたメッセージは今、この危急の時に最大の力を発揮しようとしている。「宇宙からのメッセージに“ありふれた”または“福音伝道的な”ものは何もない。そのメッセージは、暮らし向きのよい人と不必要に飢えている人を分ける分離をなくす社会経済の改革を唱えている」(8頁)。政府関係機関が、UFOは邪悪な性質を持っていると主張することによって一般大衆を恐怖に陥れ始める以前に、多くのコンタクティーが今日の情報と関連のある情報を受け取っていた。(ステファーノ・ブレッチャ著『マス・コンタクト(数多くの接触)』のザ・フレンドシップ・ケース[宇宙人との友情の実例]で描写されているように)、イタリアの心理学者ブルーノ・サマチッチャ(2003年没)は、1956年から1970年代までコンタクトを受けていた。これらのメッセージの要点は、安全な進化の過程を確実にする愛という非利己的な観念と倫理的な価値観を中心に展開している。しかし、こうした宇宙からの訪問者はさらに次のことを明らかにしている。「彼らの主要な仕事は、人類が核兵器を絶対に使用しないようにし、そしてわれわれ人類の進化の過程を支援することであり、さらに、たとえその過程で人類のある種の苦労を分かち合わなければならないことがあっても、高度の理解レベルへと人類を押し上げることであった」(64頁)
このようなわけで、アートセンは次のように主張している。「宇宙人の進歩した科学技術、知識、自然法則の支配に関する多くの詳細とは別に」(67頁)、UFOの到来が科学技術に関連する遊離した一貫性のない出来事ではないということをわれわれに告げているのは、「生命に関する霊的実相と、霊的ハイアラキーの兄たちの日常世界への帰還に人類を目覚めさせるのを支援するために、そのようなUFOの到来が起こっている」という事実である(67頁)。この議論は、アートセンの以前の本の中で発表されたのであるが、『助けるためにここにいる』の中では、地球外生命からのメッセージを解釈しようとするあらゆる真剣なアプローチの屋台骨を構成している。
コンタクティーといわれている多くの人たちおよび政府の組織体は、宇宙の兄弟たちと関連付けられる唯一のまたは最大の貢献が科学技術であると考えているが、同時に、この技術が悪用される可能性についての恐怖と不安を助長している。しかし、多くの本物のコンタクティーは、技術を悪用するのはわれわれ人類であるという事実を強調している。ブルーノ・サマチッチャは「技術や科学が最も重要なことであると信じられており、人間が魂であることが忘れられている」と述べている(122頁)。この線に沿って、コンタクティーであるエンリケ・バリオスは、次のような一片の情報を受領している。「科学のレベルがわれわれの世界で愛のレベルを超えるならば、その世界は自滅する。そこには数学的な関係が存在する。……」(122頁)
『助けるためにここにいる』は、宇宙の兄弟たちの存在、彼らの来訪、そして彼らのメッセージが、われわれが考えるよりもずっと単純なものであるということをわれわれに教えてくれる。彼らは、われわれを「より高い次元に」連れて行くことや、われわれがいまだ理解し始めることさえできないハイテク機器に夢中にさせることに関心を持っていない。ゲラード・アートセンが各章で明らかにしているように、宇宙の兄弟たちは「走ることができる前に歩くことを学ばなければならない」ということを思い出させてくれた(139頁)。もしわれわれが利己的で無知な手段に固執するならば、われわれは生命の神秘に対するいかなる接近もできないだろう。あるいは、別の言葉を引用するならば「上にある如く下にもある」のであり、コンタクティーであるパオロ・ディ・ギロラモによる次の記事の通りである。「人類と宇宙の関係に関わる『宇宙の兄弟たち』の肯定的な断言の最も魅惑的な部分は、すでに過去の哲学者たちによって想像されたミクロコスモスとマクロコスモスの間の実存的な統合である」(149頁)。したがって、宇宙の兄弟たちの意図は、われわれ人類を鼓舞して、 われわれが自分たちを一つと見なし、その「一つのもの」をより大きな惑星以上のものの一部分であると見なすことである。

Gerard Aartsen, Here to help: UFOs and the Space Brothers. BGA Publications, Amsterdam, 2011
ISBN: 9789-08-15495-0-9