和合(Unity)――選集
本稿には和合というテーマに関する引用文の選集を発表する。これはマイトレーヤの教え(『キリスト・マイトレーヤからのメッセージ』、『マイトレーヤの教え――いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師のことば(『覚者は語る』)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。
あらゆる困難にもかかわらず、人類は今、暗闇とその無能さと恐怖心というさなぎの中から這い出そうとしている。大胆さと自信を増しながら、人間の足どりは和合と正義、協力と分かち合い、簡素さと信頼の方角に向かっている。
(『覚者は語る』―信頼の必要―p.230)
我が友よ、子供たちよ、わたしは、恐らくあなたがたが期待したよりもさらに時を早めてやってきた。しかしなすべきことは多い、世界には変化を必要とするものがあまりにも多い。多くの者が飢え死にし、多くの者が不必要に苦しんでいる。これらすべてを変えるためにわたしはやって来た。あなたがたに前進への道を示そう、もっと簡素で、健全な、より幸せな生活へ向かって、共に進む道を。人が人に、国が国に相対立することなく、兄弟同胞として、共に新しい御国へと前進しよう。
(『いのちの水を運ぶ者』第1信p.22-23)
すべての人間が自分たちよりもより大きなものと自分を同一認しようとします。和合という感覚は非常に重要です。なぜなら、すべての人間が、知ろうが知るまいが、それを求めています。和合は宇宙の和合についての魂の認識です。それ以下ではありません。あなた方が自分の仕事の中に、グループの中に、国家の中に、諸国家の集合体の中に和合を創造するとき、人類のために益することになるのです。
(『協力の術』p.303)
進化は、よりいっそうの和合、融合、混合、一つの人類の創造へと向かって動いています。
いのちの画一化ではなく、あらゆる多様性の統一です。最大限の多様性を持った最大限の和合、それこそが進化の目標です。市場フォースは、ますます多くの分断をつくり出し、それとは逆方向に働きます。マイトレーヤは、市場フォースが内包するこの不平等性の故に、市場フォース(エネルギー)を「悪のフォース(勢力)」と呼びます。市場フォースが世界につくり出した分断は今や危機的状況に達しています。マイトレーヤはもはやこの状況を、「罪なき者の大量殺戮」と呼ばれた状況を、何もしないでただ眺めていることはできませんでした。ですから彼は、協力することを切望し、協力する能力のある人々、すべての人間のための協力、正義、自由といった人生観を持つ人々の大きな一団が存在することを承知の上で、世界に出て来られたのです。古い競争的なやり方にしがみついている人々を目覚めさせるために、そして、協力を前進の道として見る人々を啓発し是認するために、マイトレーヤはここにおられるのです。
(『大いなる接近』p.57)
「あなた自身のままでありなさい。お互いを追随してはならない。徐々にあなたは進化するだろう。二人と同じ人間はいない。二人とそっくり同じに模倣される人はいない。他人の人格を装った瞬間、あなたはわたしとあなたの間に距離をつくる。自分自身である瞬間、あなたは至福を、静謐を、平穏を、楽しみ始める。そうすると、あなたとわたしの間に何の距離もない」
(『生きる術』p.65)
すべての人々の人生の意味への探求の底にあるのは和合の探求です。人々がグループの一部であることを欲し、人間存在の一部であることを欲するのは、彼らが魂だからです。すでに神的であり、神性の本性は和合です。宇宙にはその神性を表現する無数の形態がありますが、すべてがそこから生じた絶対的な神の本性は、不動で、終わりがなく、永遠であり、決して変化しません。それが私たちすべての背後にあります。マイトレーヤが言われるように、それが人類の「存在(Being)」です。生成(Becoming)はそれが生きた形態を取るときに起こります。私たちは進化の過程を通っていますが、それは生成です。本質的に私たちは真我であり、それは神的です。神性は、それを把握し、理解し、認識するとき、いのちの体験を与えます。それが、私たちが誰であり、何であるのかの意味であり、本質的な目的なのです。
(『生きる術』p.47)
最大の和合の中の最大の多様性、別の言い方をすれば、最大の多様性と共にある最大の和合が人類の求める理想であり、この世界の発展についてのロゴスの計画と一致したものです。それは退屈な同一性ではありません――実際、その正反対のものです。マイトレーヤはその初期のメッセージの中で次のように述べられています。「わたしに手伝わせてください。道を示させてください――誰も窮乏することのない、より簡素な生活に至る道を。そこでは、同じ日が二度と繰り返されることなく、同胞愛の喜びがすべての人間を通して顕されるのである」。
(マイトレーヤからのメッセージ第3信)
(『協力の術』p.312-313)
新しい時代の宗教に専念する新しい寺院が間もなく開かれるだろう。……それは宗教的な信仰のためだけではなく芸術と科学のセンターであろう。それらの寺院はユニークであり、詩人や科学者が探究してきた智恵と知識の泉の象徴であろう。それらの寺院は多様な信仰を統一しはじめるだろう。異なった信仰や信念があることはまだ大切なことである。なぜなら、多様性なしに和合はないからである。マイトレーヤは言われる。「真我はわたしの中で統一されるにつれて、その個別のアイデンティティーは保たれるのである」と。
(『いのちの法則』p.305)
マイトレーヤの教え――心(マインド)に正直であり、生気(スピリット)において誠実であり、無執着であること――は、真我が創造(被造物)の中に入り込むことを助けて、グルや聖者や予言者の役を演ずるようなことをせずに、創造を支配する神の意志を謙虚に敬い、畏れ、従うことを助けるのである。であるから、あなたは創造の中に自由を経験するだろう。一体性(Oneness)と多数性(Manyness)の中に自由を、和合(Unity)と多様性(Diversity)の中に自由を経験し、そして究極的に、至高の神の意志から来るところの救済を経験するだろう。あなたが人生の中でこの段階に到達するとき、魂と全能者との間に何の違いもなくなるのである。そこにはもはや、始めも終わりもない」
(『いのちの法則』p.297)
分かち合いと正義のみが人間の未来を保証するだろうと、彼は言われるだろう。和合と協力に励みなさい、地球上の人間はひとつであるのだから。「あなたの兄弟をあなた自身として見なしなさい」、そして、神聖への最初の一歩を踏み出しなさい。「あなたの兄弟の必要をあなたの行動の尺度となして、世界の問題を解決しなさい。それ以外の道はない」マイトレーヤはそのように地球の人間に語るだろう。そのようにして、彼は人々の思考の方向を変えようとされるだろう。
(シェア・インターナショナル、2009年9月号
「――覚者より」―戦争の冒涜―)
民主主義だろうがなんだろうが、ただ一つの統治形態が普及すべきだということは、進化の大計画ではない。人間の必要は、イデオロギーよりもずっとリアル(現実)であり、より重要である。相違に対する寛容さは統合させ、イデオロギーは分割させる。
したがって、マイトレーヤが公に話をされるとき、多様性の中の和合が将来の調和への鍵であることを示されるだろう。すべての国家がそれぞれにユニークで神聖なる運命を持つことを示すであろう。マイトレーヤは、この幸いなる状態を達成するための道を示され、人間が大計画についてより賢明に理解するために彼らのハートを開くように鼓舞されるだろう。マイトレーヤの導きの下に、人間は彼ら自身のそして他の人々の達成の素晴らしさを賞賛し、高く評価するようになるだろう。競争し、支配しようとする強い衝動は徐々に鎮まり、同胞愛と平和のうちに人間にとっての新しい章が開かれるだろう。そのようになるだろう。
(シェア・インターナショナル、2006年5月号「――覚者より」―多様性の中の和合―)
今のこの世界を二千年前に生きていた人の目で見るなら、あなたはテレビやラジオや交通施設などの発達に驚嘆することでしょう。二千年前とは完全に異なった世界が今日あります。もしあなたが、今から千年先を見通すビジョンを持つなら、あなたがそこに見るその時代の世界の光景に驚嘆させられるでしょう。今日あなたが想像できないような交通様式が発達しているでしょう。例えば、オーストラリアへ行きたいと思えば、それを自分で思うだけで行けるとか。今から千年後の世界を想像できますか。和合が基調となっている世界、統合が実際に支配する世界です。戦争や飢餓や大きな分割のない世界、和合と調和の中に生きる世界です。都市の美しい世界です。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅱ巻』p.694-695)
徐々に、あらゆる見解が、宗教が、分割が融合されるだろう。マイトレーヤは言われた。「わたしの庭園を復興させたい。それは多様性に満ちて、しかも融合している。それは美しくそして大いに繁茂するだろう」
(『いのちの法則』p.330)
人類が現在進んでいる方向は間違いであり、彼らの将来の幸せにとって無益であり、失敗するよう運命づけられているということを、彼ら自身で気づくときは間もなくやって来る。それを見て、彼らは質問をするだろ。なぜこんなに虚しいのか? なぜ求めている平和を達成できないのか? どこで間違ったのか? そうしてマイトレーヤに注目を向けて、彼の言葉を検討し、彼らの窮状の打開に適切であるかを試すだろう。マイトレーヤの思考の中心的なものは、一体性についての概念であることを発見するだろう。人間は彼ら自身をひとつとして見なければならないことを、各人が和合した全体――人類家族――の部分であり、そして彼らがやることすべてがその一体性を反映しなければならないことを、マイトレーヤは請け合うだろう。このリアリティ(実相)を十分理解し得ないことが、われわれのすべての困難や苦労、不調和や恐怖、葛藤や戦争につながっていると主張されるだろう。「あなたの兄弟を自分自身として見なさい」とマイトレーヤは言われる。すべてのものがそこから取ることのできる国際的な貯蔵庫をつくりなさい。そのようにして分かち合うことによってのみ、世界は再生される、というのがマイトレーヤの教えである。分かち合いによってのみ、人間は自分たちが求める幸福を見つけるだろうと、彼は確言するだろう。分かち合いのみが正義と平和をもたらすだろう。
(シェア・インターナショナル、2008年7月号「――覚者より」―人類の一体性―)
各時代は人類にその時代特有の特質をもつ達成を授ける。いま終わりつつあるパイシス(双魚宮)の時代は、献身と理想主義の特質と共に、個人性という神聖なる達成を人類に与えた。これらは長い進化の旅路における巨大な前進であり、人類をアクエリアス(宝瓶宮)の天恵のために準備した。新しい時代であるアクエリアス(宝瓶宮)もまたそれ特有の特質――統合――を備え、来るべき時代に、この神聖なる属性がその恵みある和合を世界に顕現させるだろう。現在の混迷と分離の時は徐々に新しい時代に道を譲るだろう。たえず増大しつつあるアクエリアス(宝瓶宮)のフォース(エネルギー)がその魔法を演じて、分裂し、荒れ狂うそれぞれの部分を融合させ、一体にまとめていくだろう。かくして人類は、彼らの長い歴史の中でかつてなかったほどの大いなる、そしてより急速な途方もない変容をなすだろう。
(『覚者は語る』―アクエリアス、和合の贈与者―p.615)
自然界とその裡に働くフォース(エネルギー)についての古い、機械的な見方は急速に消えつつあり、すべての顕現の基礎にある和合について新しい認識が目覚めつつある。すべてがエネルギーであり、エネルギーと物質は一つのリアリティー(実相)の異なった状態であり、想念によって影響され得るという概念が広範囲に受け入れられつつあり、人々の人生観を変えつつある。人々はますます急速に啓発されており、間もなくこの事実を実演するための方法とテクノロジーが発見されるだろう。これは将来の人類の進化にとって深い意義がある。
(『覚者は語る』―意識の成長―p.330)
和合は美を達成します。なぜならそれは神の目的を反映するからです。すべてのいのちの目的は和合の創造であるということが真実ならば、それは確かにこの惑星のロゴスのマインドの中にある神のイデアの背後にあるものです。すなわち、美は、私たちが和合と呼ぶところの強さとリアリティ(実相)を表現すべきであるということは神の意志であります。……それは絶えず穫得していくものとして、時間とエネルギーと養い育む愛を注いで、その中から和合という美が生じます。そのようにしてのみ達成することができるものです。
(『協力の術』p.280)
新しい時代の始まりに近づくにつれて、人間の思考は空へ、そして未来の惑星間の旅の可能性へと向けられる。すでに機器が宇宙空間に深くさぐりを入れ、われわれの住む太陽系システムの特性に光を投じる情報を集めている。人間の思考は初めて、上へそして外へと向けられる。これは人間にとって新しい関心である。以前には人間の思考が自分たち自身の炉辺より遠くに届くことはめったになく、人間の探検を待つ宇宙の膨大な広がりについてのビジョンは制限されていた。同時に、いのちそのものの特性についての新しい発見によって、人間は和合が天地万物の土台をなすことを今や知り、それを外的に表現することの必要に目覚める。
(『覚者は語る』―聖なる科学―p.145)
人類は統一体であるのみでなく、一つの単位なのです。融合した存在であり、その存在の中の各単位は、愛と呼ぶあのエネルギーによって、ダイナミックな関係で結合されています。だから、それは我々の本性に、本来備わったものです。憎悪とかその他、愛以外のものを示しているときは、愛を歪んだかたちで示しているのです。善意は、愛の低いレベルのものであり、憎しみは愛の裏側です。その愛は宇宙の至るところにあるのです。愛と呼ぶエネルギーの顕現なしには宇宙は存在しないでしょう。愛より高度の相は他にあります。そして、キリスト・マイトレーヤは、愛を含んだ、より高度な相を示すためにやって来られます。それが新しい啓示です。
(『世界大師と覚者方の降臨』p.176-177)
あなたがたが夢想だにし得ない、奇しき御業をお見せしよう。あなたがたの目から無知という目かくしを取り払おう。わたしは、この地上から憎しみの呪いと分裂の罪悪を永遠に追放する。あなたがたをいのちの本源に、あなたがたの存在の発祥の場に、連れて還ろう。
我が友よ、神であるものを、あなたがたの中に解き放たせよう。わたしの覚者たちもあなたがたに仕え、真なる同胞愛と正義と調和のうちに共に生きることを教えるだろう。忘れるでない、我が友よ、あなたがたは一つであることを。すべての者の御父が、あなたがたを聖なるイメージに似せて創られたのであることを。あなたがたを通して父の聖なる愛と真の光が輝いていることを。時は近づけり、我が友よ。真理の光があなたがたの周りすべてに輝き、人が兄弟を己の心に迎え入れ、己自身としてお互いを知るようになる時がやってくる。あなたがたをあの聖なる存在へ導かせてほしい、我が友よ。わたしの降臨に「然り」と言いなさい。わたしの到来に「はい」と言いなさい、そしてわたしの愛の祝福に包まれなさい。唯一にして最も聖なる神の光と愛と力とが、あなたがたの心の裡に、今顕されるように。それによって、あなたがた自身が皆、共に、唯一なる父の子供たちであることに気づくように。
(『いのちの水を運ぶ者』第51信p.152-153)
マイトレーヤほど(その使命を遂行するのに)よく適ったアバター(大聖)が世界におられたことは一度もありません。そのようなアバターが必要とされた時代もありませんでした。この世界は今や非常に複雑で、非常に分裂しており、善と悪、肯定的な要素と否定的な要素の両方で満ちています。これらのフォースのすべてが和解されなければなりません。
それがマイトレーヤの目標です。彼の力と洞察を使い、彼の特性を、すなわち愛を世界に確立することが、キリストのハートの中の切望です。そのようにしてマイトレーヤは私たちに、いかにして愛するかを教えるのです。「そしてさらにまた愛することを」教えるのです。さらにまた愛するということは通常の反応的な意味ではなく、完全に無条件に、覚者方の行うような意味で愛することです。これが人間の同胞愛を確立するでしょう。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅲ巻』p.43-44)
マイトレーヤは平和の絶対的な必要を、そして完全なる戦争放棄は信頼によってのみ達成可能なことを強調されるだろう。分かち合いのみが信頼を生み出すことができることを、マイトレーヤは断言されるだろう。マイトレーヤはそのように語るだろう。そのようにして彼はひとつの人類という感覚を、そして分かち合いの必要性を促進されるだろう。言うまでもなく、すべての人間がマイトレーヤの和合と同胞愛への呼びかけに応えるわけではないだろう。しかし、理性と正義の声が人々の心(ハート)に浸透していくにつれて、ますます多くの人々がマイトレーヤの洞察と変化への必要についての真理を見るだろう。
(シェア・インターナショナル、2008年4月号「――覚者より」―民衆は目覚める―)
わたしの教えは、あなたがたに新しい、しかも単純な莫理をもたらすだろう。そして神としてのあなたがた自身を示すであろう。わたしの教えはあなたがたの裡にあの神格を解き放ち、そのようにして、神の計画をさらに進めるだろう。これまで愛してきたものすべてを、蓄積し獲得してきたものすべてを失うことを恐れて、わたしの到来を恐怖のうちに待つ者が多い。恐れるでない、我が友よ、失うものは単に分離や分割であり、恐れや妬みや憎しみである。これらを地上から捨て去るために、すべてが創り直されねばならない。これを悟りなさい、我が友よ、そして分かち合う覚悟をし、あなたの兄弟をあなた自身として見、彼と腕を組み、そして友と呼びなさい。このようにして、我が兄弟よ、あなたがたは神の計画を顕すのである。その計画の完成に向けてわたしは働き、あなたがたをわたしの側に招く。わたしと共に働きなさい、我が友よ、一緒にすべてのものを新しくしよう。
おやすみなさい、親愛なる友よ。唯一にして最も聖なる神の光と愛と力とが、あなたがたの心の裡に、今顕されるように。それによって、あなたの兄弟をあなた自身としてみることが出来るように。
(『いのちの水を運ぶ者』第125信p.368-370)
和合の必要
――覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記
和合はあらゆる努力を尽くして求めねばならない。和合の中に強さのみならず美がある。賢い庭師が彼の庭園を丹念に世話するように和合を培いなさい。一つ一つの新しい芽や若木を注意深く手入れしながら、和合を培いなさい。和合は、愛の本当の顕現すべてに伴い、霊の業績の一つ一つを美しく飾る。
和合をあなたの旗印として力(パワー)の道を歩きなさい。和合はすべてを可能にする。和合なしには何も確かでない。最も優れた可能性が塵となる。業績は与えられた能力を正しく使うことの中にあり、和合を欠くとき、最高の能力も無駄になる。
和合は霊の顕現である。なぜなら人類の本性は一つであるから。和合に導くものはすべて、人類種族のために益となり、旅路に翼をそえる。和合は無敵であり、闇の者たちは和合の楯を空しく打つ。和合が達成される時が究極的にはやって来るが、その方向への最初のステップが今、踏み出されなければならない。他の人々が始めるのを待つのは無益である。和合への動きは一人ひとりによってなされなければならない。批判ほど和合の網を突き破るものはない。幾千の可能性がこのようにして失われる。批判の舌を沈黙させ、非常に注意深く織られた貴重な織物を保護しなさい。
各人はそれぞれの方法で和合の力を知っている。各人がその隣人の承認と同意を求める。しかし、思考の機械的な一致はここに用はない。和合の方向への一つ一つの動きが総体に力を加え、舞台の背後にいるわたしたち労役者の任務を軽くする。和合をつくり出し、人間の真の特性を知りなさい。和合を維持し、人間の霊(スピリット)を栄えさせなさい。和合を教え、あなたの兄弟の心(ハート)に愛を解き放ちなさい。
もし人類が平和を知ろうとするならば、人類を一つとして見なければならない。それ以外のものは何も、人類をあの幸いなる状態に導かない。正義が支配し、貧乏人がもはや慈悲を請うことがなくなるとき、平和は確立される。正義なくして和合を考えることは不可能であり、人間は永久にそれをつかみとることはできないだろう。であるから、正義の支配を確立し、この苦悩する世界に和合と平和をもたらしなさい。
分かち合いを通してのみ正義は確かになる。分かち合いのみがすべての国家の望む平和をもたらすだろう。人間が分かち合って、分離の壁を打ち破るとき、ついに自分たちの存在の真理を知り、世界を愛と同胞愛で満たすだろう。
分かち合いをあなた方の将来への指針としなさい。あなたの兄弟たちを貧困の鎖から解放しなさい。あなた方自身を魂の衝動に開き、あなた方の直中に「神の意志」を確立しなさい
わたしたちは、神の意志が確立されることを断言する。人間は和合と愛を通して分かち合うようになる。犠牲と理性を通して正義と平和への道を見いだすだろう。自由と同胞愛は人間の行動を待つ。すべては成し遂げられる。共同して、人間はあらゆる偉大なる行為を成し遂げることができる。変化の可能性は無限である。しかし人間は、新しい世界を創造するために、共に行動しなければならない。和合を通してのみ、人間は勝利を得るだろう。和合の強さがすべての門を開くだろう。同胞愛の理想を固く握り、あなたの兄弟の努力を嘲ることをやめなさい。彼もまた暗闇の中で嵐と苦闘に直面することを知りなさい。
人間はその存在の太初から戦ってきた。分裂はいつも存在した。今日、偏見と戦争の世界を浄化するために人間の生活に新しい光が入る。健全と平和の光を広める手伝いをしなさい。正義と自由の道を造るのを助けなさい。和合を築くために働きなさい。和合は人間を助け、キリストの旗印のもとに集合させるだろう。
未来は戦い取られねばならない。すべての手がこの仕事に必要とされる。内的和合を顕し、この任務のために共に手をつなぎ合おう。
(『覚者は語る』―和合の必要―p.101-103)
和合
――覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記
人は、大きなグループで集まるときにはいつでも、自分たち自身について異なった見方を採用し、お互いに対して新たな見方をする。彼らは大胆になり、欲求は強まり、彼らの見解を支持する者たちに引き寄せられる。これは自然に見えるかもしれない。しかし、なぜそうであるべきなのか。
本質的に、すべての人間が内的には和合を追求しており、その反映を思考やアイディアに適合させることの中に見いだす。この本能が政党やグループの形成の背後にある。イデオロギー的な統一見解は磁石のような働きをし、全体の力を強める。
グループや政党は、その内的和合がかき乱されるとき、壊れる。和合は魂の特質であり、グループの団結にとって欠くことのできないものである。個人的なそしてパーソナリティーの違いにあまりにも大きな強調が置かれると、グループを集合させている結合の絆が弱められる。この原理は、人間の活動のすべての分野において働いている。政党やグループの盛衰は、また国家の盛衰でさえも、この法則によって条件づけられる。和合は強さである、と人は言う。然りである。なぜなら、それは人間の本質的な特質であるから。
グループの形成の初期段階においては、和合を達成するのはさほど困難ではない。もしグループの発足目的が十分に磁力的であるならば、それだけでグループを結束させておくことができる。しかしながら、時を経るにつれて、相違や不満が出てくる。強い、様々に異なる声がもち上がり、その意志を強いようとする。もし和合への欲求が失われるならば、そのグループの存続は直ちに脅かされる。
すべてのいのちの基盤にある目的は和合の創造であり、かくしてすべての原子の相互連結性を表している。ほとんどの人間にとって、(秩序ある体系としての)宇宙は別々の物質体の集合であり、無限に大きく、非常に遠くにあり、惰性的に物質の機械的な法則に従う、というものである。実際には、宇宙、宇宙空間自体は生きた存在であり、われわれの存在の源であり、すなわち、われわれの「母」であり「父」である。魂として、われわれはこれがそうであることを知っており、われわれの特性の基本的な和合に表現を与えることを求める。したがってグループがこの和合を失うと、危険である。そのような和合がなければ、それはグループとしてではなく、盲目的に、目的も結束もなしに、まったく異なる姿勢や条件づけられたものの単なる集合として機能する。
われわれはグループ集団の時代、アクエリアス(宝瓶宮)の時代に入りつつある。そしてそのエネルギーはグループ構成においてのみ生き、体験することができる。また、アクエリアス(宝瓶宮)の主要な特質は統合である。その融合し混ぜ合わせる特質を持った光線がすべてのいのちにその影響力を強いるだろう。そして徐々により高位の(変成の)魔力がその恩恵ある目的を達成し、人類種族はひとつとなるだろう。そのようになるだろう。そのようにして人間は、和合は強さであり、われわれの存在の本質的特性であることの真理を知るだろう。その目的に向かってすべての人間は努力し、人間のすべての活動はそれに表現を与えることを求める。
マイトレーヤご自身が非常に間近な将来に出現されるとき、われわれのすべての行動の中に和合の必要性を強調されるだろう。われわれが、人間の問題を解決するに当たって、人間として、国家として、目的のアイデンティティーを見つけることがいかに大切であるかを、マイトレーヤは示されるだろう。かくして、われわれの強力な個人性をグループのために供するのである。
(『覚者は語る』―和合―p.557-559)