現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2014年 2月号 診療所のエネルギー不足を解消する

診療所のエネルギー不足を解消する

ジェイソン・フランシスによるローラ・スタチェル氏へのインタビュー

「WE CARE Solar」は、アメリカ、カルフォルニア、バークレーを拠点とする非営利組織である。この組織はソーラー・スーツケースを使用した太陽光発電の電力により、信頼できる照明、携帯電話の通信、血液銀行での冷却を開発途上国の健康ワーカーに提供し、安全な出産を推進し、新生児死亡率を減少させている。
WE CAREとは、Women’s Emergency Communication and Reliable Electricity(女性の緊急通信および信頼性のある電源)の頭文字を組み合わせたものである。医学博士、ローラ・スタチェル氏と、彼女の夫で太陽エネルギーの教育者、システムの設計者であるハル・アロンソン氏は、2008年に「WE CARE Solar」を設立した。ローラ・スタチェル氏は、CNNの2013年トップ10人のヒーローの一人に選ばれた。ジェイソン・フランシスがシェア・インターナショナルのために彼女にインタビューした。



シェア・インターナショナル(以下SI):あなたたちご夫婦は、何をきっかけとしてWE CARE Solarを創設されたのですか。

ローラ・スタチェル:診療所のために、拡大縮小可能でコスト効率の良い太陽光電源がとても必要でしたが、私たちはビジネスには興味がありませんでした。夫は教育者であり、私は医師です。結果的には、私たちはあるプロジェクトをナイジェリアで行い、非常に良好な結果を得ました。
女性たちは、病院に電源がないために亡くなっていました。それを目にするのは非常に辛いことであり、そのため私たちは、注目を継続していたナイジェリアの病院に太陽光電源を導入しました。その病院では、次の年に妊婦死亡率が約70%減少しました。そして、その病院の周囲の診療所の人々が私の所に来て言いました。「あなた方はなぜ大きな病院だけを援助しているのですか?」。そのため夫は、私のスーツケースに収まるような持ち運び可能なキットを作成しました。私が調査でナイジェリアに戻る度に、一カ所の診療所にキットを一つ寄付し、照明や携帯電話の充電に使えるようにします。当時は実際にはトランシーバーを使っていました。
基本的には私たちはこれを主にナイジェリアで行っており、次に誰かが私たちのことをニューヨーク・タイムズで取り上げました。突然、要望が世界中から来ることになりました。エネルギーの不足のとてつもない問題があり、それが世界中の家庭やビジネスだけでなく、健康管理施設にも影響を与えていることを、私たちは知るようになりました。健康管理のための再利用可能なエネルギーに主に注目している人は誰もいないようでした。私たちは、これらのキットをすでにつくっていたので、大規模に展開できる何かを自分たちが持っていると認識しました。

SI:妊婦死亡率はどのくらいでしょうか。
ローラ:毎年、28万人の女性が妊娠合併症が原因で命を落としています。

SI:妊婦死亡率が最も高いのはどの地域でしょうか。
ローラ:アフリカのサハラ砂漠以南地域です。最も妊婦死亡率が高い国は、南スーダン、チャド、ソマリア、シエラレオネ、中央アフリカ共和国です。

SI:信頼できる照明を使用できない健康管理ワーカーは、どのような問題に直面しているのでしょうか。
ローラ:不安定な電源は、外科病棟や産科病棟での手術や病院に必須の機器や病院の通信を阻害します。これにより、健康ワーカーが安全で適切でタイムリーな医療ケアを提供できなくなります。分娩出産看護師は、日常の業務や非常時のケアを行うことができません。彼らは、待機中の救急医師にすぐに知らせることができません。助産師や医師は、必要な診断テストの恩恵なしに治療判断をするように強いられています。患者は、診療所が暗いので治療できずに帰される場合もあります。産科の手順や緊急手術は、大幅に最適未満の状況で行われ、悲劇的な結果となる可能性があります。

SI:ソーラー・スーツケースは、健康ワーカーや診療所が行う仕事をどのように改善しましたか。
ローラ:私たちのソーラー・スーツケースは使用者に優しく、堅牢で耐久性があり、ほとんど維持管理がいりません。移動先で設置して作動し、信頼できる電源のない既存の病院や診療所に簡単に設置できます。改良された無影灯、既存の医療機器の強化された使用法、携帯通信システムのサポートにより、ケア提供の遅延を減らし、健康ワーカーが産科の合併症を持つ患者により良いケアをできるようにします。胎児モニターにより、助産婦が胎児の心拍数を監視し、苦痛を示すパターンを検出することができます。さらにワーカーは、熟練したケアを行う上で自信が増し、夜勤が怖くなくなったと報告しています。それもまた、健康ワーカーのやる気を増しているように思われます。

SI:WE CARE Solarは何カ国で活動していますか。
ローラ:私たちは、ソーラー・スーツケースを20カ国以上で400以上の健康センターに配置しました。

SI:ソーラー・スーツケースの価格はいくらですか。
ローラ:胎児モニター付きのソーラー・スーツケースは1,595ドルです。私たちは、ソーラー・スーツケースのほとんどのコストをカバーする寄付を受け付けており、WHO、UNICEFなどの国連機関から発注を受けました。

SI:ソーラー・スーツケースは出産を援助するために作られましたが、他の医療を行う診療所や地域で必要なことに使用されますか。
ローラ:無影灯は病院でのすべての手術に使用されます。産婦人科用照明はおそらく診療所での最高の照明であり、緊急時や小児科のケアに使用できます。ある時には、コンゴ共和国でコレラに感染した島の村全体を治療する医師がソーラー・スーツケースを使用しました。そこでは122人の感染者が出ました。その村の歴史上で初めて、コレラに感染した患者が全員生存し、医師はソーラー・スーツケースの照明が患者のケアにおいて役に立つと信じました。

SI: 診療所で信頼できる電源を使用できると妊婦が知った時、どのように感じたのでしょうか。
ローラ:妊婦たちは、診療所に治療に行く前に蝋燭や灯油を購入する必要がなくなりました。妊婦たちは診療所が暗くなることはないと知り、ほっとしています。健康センターに行くことの恐怖を和らげてくれました。

詳しくは次を参照: www.wecaresolar.org

次の記事も参照: 「妊産婦死亡率を減らすためのスーツケース大の解決策」キャロル・エリクソン、シェア・インターナショナル、2010年10月