イスラエル・パレスチナ:すべての人のための正義、平和への唯一の道
世界はイスラエル・パレスチナ紛争の激化に深く心を痛めている。マイトレーヤが主張されていると思われる線に沿って、できるだけバランスの取れた方法で状況を提示したいと思う。どのような持続的な平和的解決も、すべての人のための正義にしか基づくことはできない。
そのため、本誌の通信員と編集チームは、多くのインタビューや記事、コメントを集め、アメリカの役割についての洞察も含めて、多様な見解を提示しようとした。
この複雑な問題に対する私たちの貢献が決定的なものになるはずがないことは、私たちも認識している。解決策や和解策が模索されなければならないが、「この和解を成立させるためにはマイトレーヤご自身が必要となるだろう」ということを、ベンジャミン・クレームは多くの著書や本誌で指摘してきた。
パレスチナ──捕らわれの国のために正義を交渉する
ハナン・アシュラウィ氏へのインタビュー
アンドレア・ビストリッヒ
学者であり政治活動家であるハナン・アシュラウィ氏は、パレスチナ側の見解を代弁する最も有名な人物の一人であり、1980年代後半以降、和平交渉でパレスチナ人を代表するにあたって効果的な役割を果たしてきた。彼女は中東和平プロセスへのパレスチナ代表団の公式スポークスパーソンを務めてきた。パレスチナ解放機構(PLO)執行委員会のメンバーでもある。1998年にはミフタ運動──パレスチナ人の人権、民主主義、平和の尊重に向けて活動するイニシアチブ──を創設し、それ以降その事務局長を務めてきた。アシュラウィ博士は、平和、人権、民主主義に関する無数の国際的な賞の受賞者である。その中には、オロフ・パルメ賞、民主主義擁護者賞、ジェーン・アダムズ国際女性リーダーシップ賞、バージニア大学女性センター優秀卒業生賞、平和と和解のためのマハトマ・ガンジー国際賞、シドニー平和賞がある。彼女はまた、パレスチナの文化と政治に関する幾つかの詩、短編、記事、本の著者でもある。
アンドレア・ビストリッヒは、本誌のために2回にわたって電話でインタビューを行った。1回目のインタビューは2013年8月後半に行われたが、当時は発表されなかった。2回目のインタビューは、ほぼ1年後の今年6月に行われた。2013年の状況に関するアシュラウィ氏の恐ろしいほど現実的な評価は、現在の危機を暗示している。
2013年8月
シェア・インターナショナル(以降SI):イスラエルは本当に交渉に向かう準備ができていると思いますか。
ハナン・アシュラウィ:いつもどおり、彼らが対話を望むのは自分たちのためだと思います。それは現実とは全く関係なく続くプロセスであり、不法活動を続けるための偽装として活用しようとするものです。その一方で、何のおとがめもなく、自分たちが望むことを行うことができます。しかも、彼らは対話だけでなく和平の機会も壊しているのだということを、アメリカ人は彼らに告げておりません。これは非常に深刻な状況であり、対話には信頼性や真の包括性など全くないと思います。イスラエルは、必要とされることと正反対のことを行っており、対話の目標を完全に損ねているからです。
SI:どのように進めたいとお考えですか。あなたが交渉のテーブルにのせることを計画している主な問題は何ですか。
アシュラウィ:最終地位交渉のための議題は過去20年間そこにありました。エルサレム、境界線、入植、難民、水、安全保障──これらはすべて、最終地位交渉のための議題の項目です。この交渉はもちろん、何年も前に行うことになっていました。これらは交渉の対象となるのではなく、実施される必要のあるものです。占領を終わらせる必要があります。1967年境界線の回復、そしてもちろん、すべての入植活動の中止、囚人の釈放、イスラエルが実施していない署名済みの協定や合意の履行が必要です。
要は、進展のための進展や、イスラエルが時間を稼ぐためだけの交渉、永遠に話し続けるためだけの交渉には関心がないということです。拘束力のある時間枠が必要です。イスラエルが和平条件や国際法と合致したやり方で行動することも必要です。
SI:パン・ギムン(潘基文)国連事務総長が今月始めにエルサレムを訪問したとき、イスラエルとパレスチナの双方がラビン氏の遺産を思い起こし、二国家解決策を実現することを期待すると述べました。
アシュラウィ:はい、知っています。誰もがこれについて語っています。誰もが二国家解決策について話します。誰もが和平を望みます。しかし肝心なことは、イスラエルの暴力と不処罰を終わらせるためには誰も介入せず、取り組まないということです。それは単に口先だけであってはなりません。単なる話し合いであってはなりません。話し合いと合致したやり方で行動することでなければなりません。二国家解決策を望むならば、実現可能なパレスチナ国家というチャンスをイスラエルがつぶすのをやめさせなければなりません。しかし、実際のところ、誰もそのようなことはしません。
SI:この点について国連はどのような役割と責任を負っていると思いますか。
アシュラウィ:国連は当初からもっと大きな役割を負うべきだったのです。国連は除外されてきたように思えます。つまり、四当事者の、あまり多くのことを行わなかった関係者でした。国連は、拘束力のある解決策を講じるべきだと私たちは考えます。国連は、そもそも国際的な法律制定の拠点であり、国際社会の意思を表明すべきです。オブザーバー国家としてであれパレスチナ国家を承認することは、独立した完全な主権国家としてパレスチナ国家を承認することであり、パレスチナ人たちを力づけ、私たちの土地をパレスチナ占領区域というよりもむしろ係争中の領土として描写しようというイスラエルの試みを終わらせることになると思います。それはまた、1967年当時の国境線を描き出し、エルサレムを首都と描写することにもなるでしょう。そして、私たちが国際機関に加盟することや、それを可能にする憲章や協定に同意することを可能にするでしょう。
したがって、国際社会の拠点である国連は主要な役割を担っています。残念なことに、アメリカはほとんど常に拒否権を行使し、様々な個別の国家に圧力をかけ、イスラエルに一国主義と武力外交という方針を推進する権利をいっそう付与するために強要しています。
SI:誰もが平和について話します──しかし、正義はどうなのでしょうか。二つの国家の日常生活において正義は何を意味するのでしょうか。これはメディアで議論されるような話題ではありません。
アシュラウィ:それが肝心な点です。それは絶対的な、鍵となる概念です。あなたがこのことを取り上げてくれてうれしく思います。占領があるということです──それは不法であり、残酷であり、不公正であり、国家全体への絶え間ない攻撃、違反です。私たちは捕らわれの国なのです。しかし誰もが、それが単なる交渉の問題であるかのようにこの問題に取り組みます──権力の不均衡、占領者と被占領者を生み出す権力の道具化ということは認識せずに。両者が話し合うのが簡単な解決策だと誰もが考えます。一方が強力で、弱い方に対して力を行使しているときに、どうして話し合いができるでしょうか。ですから、この不公正な状況の中から生まれてくるものは何であれ、公正ではないのです。法的、人道的、道徳的な解決策によって、正義が保証されるべきです。
SI:イスラエル・パレスチナ紛争は、この地域での暴力と戦争の絶え間ない噴出のまさしく原因になり得るとお考えですか。
アシュラウィ:ご存じのとおり、この地域全体が移行の過程を通っており、それは当然ながら不安定な期間であり、しばしば非常に危険で予測不能になりがちです。状況をそのようにとらえ、いくらかの安定をもたらす協定を結ぶ代わりに、イスラエルは、不安定で暴力的な状況を助長し悪化させるような、そしてもちろん、過激主義をあおるような政策を追求しています。この状況に対処する唯一の方法は、長期にわたる占領と不正な状況を終わらせ、公正で安定した何らかの体制を導入するという合意に達しようと努力することです。
SI:パレスチナの将来にとって非常に有望な若いパレスチナ人の政治運動というものはあるでしょうか。
アシュラウィ:若い人々の運動が幾つかありますが、彼らは新しい政治課題をまとめ上げたり導入したりしてはいません。とても流動的で形成中の状態にありますが、市民社会の中には幾つかの若者の組織などがあります。彼らはいまだに主張をまとめ、口に出して言おうとしています。大きな不信、不満の感覚があります──自分たちの状況、自分たち自身のリーダーシップ、和平プロセスについて。そしてもちろん、占領という不正義に対する激しい憤りがあります。しかし、これらを政治課題へとまとめ上げるには、きっといくらか時間がかかるでしょう。暴力という反応ではなく、責任ある政治的反応があることが期待されます。しかし、ご存じのとおり、イスラエルは暴力を使っており、したがって暴力を喚起しています。それが、イスラエルがこの地域に導入し、パレスチナ人に関して今後も使い続けようとする言語です。
2014年6月
ハナン・アシュラウィ氏へのインタビューから1年後、本誌は、最近の進展について彼女と再び話す機会を得た。短い電話会談で、現時点での中東の状況は非常に危険であるとアシュラウィ博士は警告した(翌月、7月7日に、激しさを増す双方の暴力に触発され、イスラエルは空爆とその後のガザ侵攻を始めた)。
SI:昨年8月に話し合ったとき、あなたは和平交渉の準備で多忙でした。今や交渉は止まってしまいました。昨年交渉が始まって以来数カ月で達成されたことについて話していただけますか。正しい方向への何らかの──漠然としたものであれ──進歩はありましたか。
アシュラウィ:それは悲惨で、高い代償を伴いました。イスラエルは入植運動を始めるために、もっと多くの土地を盗むために、もっと多くの入植地を建設するために、エルサレムを併合してその性格を変えるために、さらには、暴力の使用を加速させてパレスチナ人を殺すために和平交渉を利用しました。和平交渉はパレスチナ人の権利にとって弊害となりました。実際、例えば、イスラエルが約束を破った時には、逆の効果をもたらしました。あるいは、イスラエルが交渉から抜けた時には、イスラエルは不安定な状況をつくりたがっていたということや、交渉を続けるうちに我慢しきれなくなるようパレスチナ人を挑発しようとしていたということがはっきりしました。
SI:双方の派閥の間で実際に何年間も不和や相違があったにもかかわらず、なぜ現時点でパレスチナに統一暫定政権が形成されたのでしょうか。
アシュラウィ:国民的合意に基づく政府は、私たちが長い間取り組んできたものです。双方の側の必要ゆえに、特に、それが可能になる段階に至るまで交渉が進展したために、現在、状況は重大なものとなっています。それはパレスチナ国民の側からの差し迫った要求なのです。
SI:ローマ法王フランシスコがほんの2週間前に、シモン・ペレス前大統領とマフムード・アッバース自治政府大統領をバチカンでの祈りのサミットに招待したとき、彼は「機会の窓を世界に対して開くこと」を求めました。この点について彼は成功を収めたと思いますか。
アシュラウィ:それには道徳的な意義、人道的な意義、精神的な意義がありましたが、政治行動や、現場でのイスラエルの一国主義の問題に関して言えば、影響力はありませんでした。イスラエルの暴力は止まりませんでした。イスラエルは国際法を順守しませんでした。イスラエルは、和平の必要条件と合致した何らかの行動を取るには至りませんでした。彼らにとってそれは単に、彼らが平和を望んでいるかのように見せかける機会にすぎず、彼らが同時に、平和と合致したやり方で行動することはありませんでした。
SI:現在では、イスラエル・パレスチナ紛争を終わらせることは、かつてのように中東地域全体にとっての鍵とはならないという感覚が増大しているようです。分離独立したパレスチナ国家の出現がシリアやエジプト、イラクで起こっていることのダイナミクス(力学)に影響を及ぼすことはないのでないかと多くの人が思っています。この点についてあなたはどのようにお考えですか。
アシュラウィ:イスラエルの占領を終わらせれば、地域全体でのこのような侮辱や怒り、過激主義の一つの源をなくすことになるのは明らかです。パレスチナ人が自己決定の権利や自由を得るならば、それは地域全体のダイナミクスを変えるでしょう。
※[国連は2012年11月にパレスチナを承認し、国連総会内で「非加盟オブザーバー国家」の地位を与えた。アメリカとイスラエルは、この計画に反対した9カ国のうちの2カ国である。(非加盟国の)オブザーバーの地位は国連でのみ付与され、有効である]