現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2008年 5月 社会的な不正義の影響

社会的な不正義の影響

エバ・ボージョンによるヤン・プロンク氏へのインタビュー

ヨーロッパの卓越した政治家としても国連高官としても、ヤン・プロンク氏は輝かしい経歴の持ち主である。持続可能な経済と環境の開発を促進するにあたって重要な役割を果たし、2002年にヨハネスブルグで開催された持続可能な開発に関する世界サミットのための国連事務局長特使も務めた。1980年代には、国連貿易開発会議(UNCTAD)の事務次長であり、国連事務総長補佐官でもあった。ブラント委員会の会計責任者を務めたこともある。 彼はオランダの開発協力大臣を3期務め、環境大臣を1期務めた。ウィム・コック首相は彼のことを「国の良心を代表する大臣」と描写した。 2004年半ばから2006年末まで、プロンク氏は国連事務局長特別代表(スーダン問題担当)としてハルツームに住み、そこで国連スーダン・ミッション(UNMIS)を率いた。 今は再びオランダに住み、ハーグにある社会研究機関で国際開発の理論と実際の教授となっている。 エバ・ボージョンがシェア・インターナショナル誌のためにヤン・プロンク氏にインタビューを行った。
シェア・インターナショナル(以下SI):ミレニアム開発目標は2015年までには達成されないかもしれないと、各種報告書が明らかにしています。富裕層と貧困層の格差が広がり、貧しい人々の数が増加した主な原因の一つは、まさしくグローバリゼーションの進行であるとあなたは述べています。
ヤン・プロンク:不平等が拡大したのは事実です。このことを示す証拠が無数にあります。主要な問題は、世界市場を促進するためにすべてのものが回転するという方向にグローバリゼーションが進んでしまったことです。これはそのグローバリゼーションから利益を得るという結果につながりましたが、その一方で不利益を被った人々もいます。グローバリゼーションが加速するにつれて不平等は増大し、より早く金持ちになる人々もいれば、早いペースで貧しくなる人々もいます。人々はますます疎外されています。彼らは非常に貧しく、自分たちの土地から脆弱な地域へと絶えず追い立てられている人々です。そうした地域は生態学的にはほとんど生存不可能です。なぜなら気候変動のせいで、利用可能な水がますます少なくなってきているからです。私たち自身の社会では、「不法」移民は歓迎されません。水、エネルギー、肥沃な土地の不足が増大するにつれて、そうした希少な資源の利用権をめぐる争いが増加し、先んじた者たちが資源を占有して他の人々を締め出してしまいます──これは不平等の拡大のもう一つの原因です。 それはもう、資本主義過程の初期段階の場合のように、非常に豊かな人々が非常に貧しい人々と敵対するといった問題ではありません。資本主義の「民主化」が起きたため、今や世界中で「最上流階級」と裾野の広い「中流階級」が存在しています。非常に裕福な人々と普通の中流階級はよい暮らしをしています。西側諸国のほとんどの住民は、少数の例外を除いてそのグループに属しているため、その過程から恩恵を受けている西側の普通の市民にはある程度の責任もあります。罪は誰にもありませんが、すべての人が責任を負っているのです。 西側の社会民主主義政党は、わが国(オランダ)の労働党を含めて、労働者階級を助けることを主眼とした過去の時代のように、社会の最も弱い人々の福祉のために尽くすということはなくなったようです。労働党はかつての労働者階級と共に「発展」してきましたが、今では中流階級の一部になっています。彼らは貧しい人々、私たちの国の不法入国者たちを、そして世界の他の地域の貧しい人々のことを忘れてしまいました。彼らはまた、資本主義に対する以前の批判的な姿勢を和らげました。その一方で、資本主義そのものがグローバリゼーションを通して力を増していきました。
SI:格差の拡大は国家間で起こっているだけでなく──西側諸国や途上国を問わず──国内でも起こっています。あなたはダルフール紛争解決の支援にたずさわってこられました。このような格差はスーダンのような国にどんな影響を及ぼしますか。
プロンク:グローバリゼーションは、世界の至るところで投資を行うのを容易にしました。新たに拡大した中流階級が世界中で同じ階級の人々と取引をしています。国々が国内で分断されています。例えば、ハルツーム、中国、インドには富裕層がおります。そうした国々には、はるか後方に置き去りにされた何億もの人々もおります。途上国世界は、先進国世界が彼らに対して行ったことを繰り返しています──つまり、途上国世界の富裕層は今や、自国の貧しい同国人たちを差別しているのです。 スーダン政府は、安全な飲料水や教育をスーダン南部やダルフール地域に提供するためには1ディナールさえも使いません。そのようにして不平等をさらに拡大させています。ハルツームは急成長しています。石油があり、たくさんの投資が行われ、工業化が進展しています。政治的には独裁的な体制であり、貧しい人々による潜在的な反乱が力によって抑え込まれています。世界中の中流階級は手段と力を持っており、例えば、国家予算のどの程度が教育や保健医療に使われるかを決定しています。彼らはその大部分を自分たちの利益のために使いたがる傾向があります。
SI:今世紀の最も大きな課題の一つが気候です。世界は予想以上に速く温暖化しています。私たちは何を行うべきかを知っていますが、実施は非常に緩慢です。
プロンク:西側諸国は今日、私たちが経験している気温上昇の原因である大気中のCO2の大部分について責任を負っています。西側諸国は気候変動と戦うための対策を講じ始めるのに手間取りました。2012年に向けて私たちが2001年に合意した目標に到達することが重要です。そうしないと、最初の段階に参加しなくてもよかった中国やインドと共に、次の段階について話し合う際に信頼性に欠けてしまうことになります。この両国やその他の国々は大きな汚染源になろうとしており、したがって次の段階に参加する必要がありますが、そうした国々は、2012年までに達成するという約束を西側諸国が尊重して初めて参加しようとするでしょう。〔2012年は、先進国が温室効果ガスの排出量を各国の特定レベル以下まで削減しなければならない期限として、京都議定書によって定められた年である〕
SI:この問題がどんなに深刻かを人々は十分に認識していないような印象を受けます。
プロンク:人々は以前よりも認識していると思いますが、その認識に基づいた正しい決定を行うためには政治的なリーダーシップを必要とします。少数の人々を除いて、人々は自分たちでそうしようとはしません。ここでもまた、西側社会の人口の大部分を占める中流階級は消費を減らしたいと思わないからです。そのため、旗振り役は公共部門が務めなければなりません。同じことは大企業にも当てはまります。自動車メーカーはこれまでよりずっとクリーンな車を生産することができますが、コストがかかるため開発を遅らせます。石油会社はクリーン・エネルギーに投資したいと思いません。彼らは自分たちが持続可能性を追求する会社だという印象を与えようとしますが、明らかにそのような会社ではありません。決定の時が来ると、二の足を踏んでしまいます。誰も自分たちの経済的な権益を失いたくないからです。そのため、誰も率先して行おうとしません。それは一緒になされなければならないものです。 ヨーロッパでは、これを達成するのにヨーロッパ内での協力が重要です。欧州委員会は2012年以降に加盟国が実施すべき具体的な提案を採用しようとしています。こうした提案はあまりにも野心的であるというわけではありません。例えば、2020年までに持続可能なエネルギーの割合を20%にするというのは大変なように思えますが、実際はちょうどいいぐらいです。次のステップは、そうした提案が各国にとって具体的には何を意味しているかについて交渉することです。それは難しいプロセスであり、ブリュッセルでは戦いが繰り広げられるでしょう。私たちが欧州連合を組織した方法に従えば、平等な立場でより大きな持続可能性を追求するという方向に進まざるを得ないことを、私はある程度信じています。このシステムはうまく機能するはずですが、多くの時間がかかります。
SI:現在、世界には非常に危険な紛争がいくつかあり、その一つがアフガニスタンです。オランダはNATOの活動、つまり国際治安支援部隊(ISAF)に参加しています。なぜあなたはこの活動を批判しているのですか。
プロンク:それは大規模で激しい紛争であり、米国と(オランダを含めて)NATOが行おうとしているように軍事手段だけで解決できるものではありません。 タリバンはテロリスト集団ではなく、すべての外国人を、アフガニスタンから追放しなければならない占拠者と見なす民族主義的な運動です。彼らは政治的な目的を持っています。第二に、彼らは国民に根ざしています。オランダ政府は最近の文書で、アフガニスタン国民は惑わされていると述べましたが、それは非常に近視眼的な見方です。なぜなら、非常に多くのパシュトゥーン人(アフガニスタンで最大多数を占めるグループ)がこの運動に賛成しているからです。タリバンは人々を抑圧しますが、それは民衆の一部なのです。人々が彼らを見放すと、彼らはまた人々を抑圧し始めます。実際のところ、国民にはあまり選択の余地がありません。この運動はここでは定着しています。それは歴史的な事実です。それはアフガニスタンの過去に根ざしています。ますます強い復讐の感情を持った若者たちが、アフガニスタンだけでなくもっと広い地域からやって来て、絶え間なく志願しています。 このすべてのことは、あなたが彼らと対話し、彼らをシステムの一部として、国家の一部として、権力の一部として受け入れなければならないことを意味します。結局のところ、あなたは誰でしょうか。あなたは外国人なのです。 あなたが彼らを無視するならば、あらゆる党派から解決の機会を奪うことになります。それは、実現不可能な使命に従って部隊を派遣することを意味します。ですから、オランダの兵士は、全く実現不可能で誤った政治目的に基づいて殺されているのです。 あなたの「敵」が将来アフガニスタンで国づくりの参加者として見られるような政治的解決策と関連させるならば、平和的な使命を遂行するために部隊を派遣することができます。現在のところ、わが軍は平和部隊ではなく、戦争部隊となっています。
ヤン・プロンク氏は、敵が国民に根ざしているために打ち負かすことができない状況が世界にはもっと多くあると説明した。 彼は次のように続けた。 例えばハマスがあり、ヒズボラがあり、ソマリアのイスラム法廷会議があります。人権を侵害する集団もありますが、それは大体において、紛争がますます激化したせいです。彼らを無視すれば、彼らはいっそう過激になり、対話をすることが困難になります。そして、彼らが犯す人権侵害のせいで、自分の国の人々に合理的な説明をするのが難しくなります。 第二に、こうした集団は政治的には成功していないため、その国の国民は彼らを見放し、もっと過激で極端な立場を取るようになります。PLOからハマスへ、ハマスからハマス内のより過激な集団へ、そしてハマスがイスラム聖戦機構へ、という具合にです。このようにしてますます当初の目的──永続的な平和──から遠ざかることになります。敵を排除することによって、あなた自身でその敵をまさしく敵にしてしまうのです。したがって、紛争の継続と犠牲者の増加に手を貸してしまうことになります。どこかで、その敵を対話のテーブルへと招かなければなりません。 一般市民を保護するために平和部隊を投入し平和的な介入を行うことには全く賛成します。しかし、安全保障理事会全体の承認と関係者全員の賛成を得なければなりません。イラクで行われたような一方的な介入は、もっと多くの暴力と戦争につながるだけです。アフガニスタンで行われたような平和維持活動に見せかけた介入は、アフガニスタンのすべての人に損害を与えるものです。
SI:このような紛争が拡散する危険性についてはどうでしょうか。
プロンク:これが起こってしまうのは、至るところにいる人々が紛争の一方の当事者を明確に支持するためです。なぜなら、人々は国際社会、米国、国連を信頼しないからです。そのような不信を、自分たちの紛争を解決しない口実として利用する派閥もあります。 もう一つの要因は、多くの紛争が本質的に「国境を越えた」もの、つまり、国境内に限定されるものではなく、民族的、部族的、政治的、文化的、あるいは宗教的なものを原因として起こっていることです。紛争は世界の他の地域の社会に直接衝撃を及ぼし、そのため、さらに拡大していきます。このようなわけで、テロリストの活動は地球の他の部分に広がっていくのです。
イラク侵攻の前、ヤン・プロンク氏は率直に意見を言い、この戦争に反対するデモを何度も行い、大災害になるだろうと警告した。オランダ政府が連合軍に参加することを決めた理由に関して国会喚問が不可欠であると彼は信じている。2007年9月に行われたオランダの新聞でのインタビューで、彼は「参戦する理由という根本的な事柄について嘘を言う首相をどうして信用することができるだろうか」と問いかけ、「喚問は過去を振り返るという目的のためだけに行われるのではない。私はイランとの戦争の脅威について心配しているのだ。そのとき、オランダはどうするのだろうか」と述べている。
SI:どうしてこのようなことが非常に簡単に起きてしまったのでしょうか。
プロンク:いわゆる民主主義国であっても、自分たちの意志と目的のために事実を曲げ、情報を操作し、完全に受容できる形を装って自分たちの目標を提示することのできる権力エリートがおります。自国民に売り込もうとするのです。イラクに対する場合がまさしくそうでした。その後、国際社会に対して同じ嘘をつくことになります。イラク侵攻は嘘に、米国の公的な嘘に基づいていました。どうしてこのようなことが起こり得たのかとあなたは尋ねるでしょう。おそらく、米国には大統領と副大統領に情報を正しく伝えることを望まない特定の既得権団体があったのでしょう。しかし、大統領と副大統領は、情報がよく知らされなかったことについて責任を負っています──民主主義はそのように機能します。米国を支持し、相変わらず同じ意見を受け入れて、その意見を自国民にふれ回っている他の国々も、国際社会の法的秩序を乱したことについて責任を共有しています。
プロンク氏は引き続き、そのような状況に対処するために行えることについて概略を描いた。
プロンク:民主的なプロセスを強化することが最も重要です。そうするには、可能な限りの開放性、反対運動、対諜報活動を目指すことです。市民一人ひとりが絶えず警戒していなければなりません。報道の自由が必要とされています。政権を引き継ぐことができる政党がなければなりません。つまり、数年たったら退陣するような指導体制のことであり、そうすれば別の政権が誕生することになります。米国でそれが起こることを期待しましょう。英国では幾分、そのようになりました。問題は、そうなったからといって自動的に、新しい異なった政策がとられるようになるわけではないということです。例えばオランダでは、新政権はイラク戦争に関する調査を実施しようとしませんでした。 このようなことが延々と続きます。政府はメディアや情報伝達を通して人々の意見を操作する多大な権限を持っています。私はそれについて心配しています。こうした目的のために、ますます多くのお金が使われています。 一方、幸いなことに、教育の全般的なレベルが高まっているだけでなく、インターネットを通じて情報のグロール化が進んでいます。それでも、権力者はとても有利な立場にあり、よからぬことをたくらんだ場合には軍隊を利用することもできます。
SI:メディアは、特に非常に商業化されている場合には、その嘘を長引かせるのに一役買っているのでしょうか。
プロンク:はい、米国ではメディアがすっかり商業化されています。C-SPANのような独立した公共メディアもありますが、その数は多くなく、視聴者数も少ないのです。文化を伝える一般的な手段が一つの価値体系に支配されているときは、非常に危険な状態です。当然ながら、嘘をついても無傷なままでいられることが保障されるからです。 教育を考えてみましょう。たいていの西側諸国で過去数十年に行われた教育制度改革は、雇用市場のための教育につながってきました。もちろん、大学レベルも含めて、コースはより短く職業志向であり、教育のかなりの部分がビジネスによって融資されています。そのため、文化を伝えようとする別の手段は脆弱になり、脅威にさらされることになります。もちろん、人々は別の大学を創設することができるし、学生は抗議することができます。自由があるので、あらゆることが可能です。しかし、このようなことはしばしば、小さな規模で起こっています。その他、突然の暴動につながることもあります。人々が社会によって尊重されていないと感じるときにそのようになります。例えば、フランスのバンリュウ(集合住宅のある郊外)の人々のように経済的に社会の辺境に置かれた集団のことを考えてみてください。支配的な中流階級から理解されないため、このもう一つの価値体系から暴動が生じますが、中流階級はその後、そのような反乱を武力で鎮圧します。 白黒をはっきりつけたがっているわけではありませんが、明らかに情報操作のプロセスが進行しており、情報が意図的に人々に知らされておりません。
SI:テロとの戦いとますます増加する国内紛争は、国際的な法体制と国連を弱体化させました。人権も脅かされました。どうやって国連への信頼を取り戻すことができるでしょうか。
プロンク:国連は弱体化しました。世界の大部分の人々の目には、国連はますます正当性を失っているように見えています。これは、国連制度を構築した西側諸国による権力の横領と関係しています。彼らはその権力を放したがりませんが、その結果としてアジアと中東の人々が国連を容認したがらなくなります。こうした地域の国々は、自分たちの問題を解決するのに役立つことはほとんど実施されていないと考えています。 国連は良い制度であり、悪く言う人たちの目にも正当性を取り戻したように見えるよう、改革という手段によって国連を強化することが重要です。安全保障理事会の常任理事国がまず認識しなければならないことは、他国が参加する余地をつくることが自分たちの利益にもなるということです。それは簡単ではありませんが、おそらく気候変動やテロリズムによって、世界の諸問題への対処は他の国々の援助と支持がなければ不可能であり、したがって、除外された国々も意思決定の過程に参加すべきだという結論に達するよう導かれるかもしれません。今のところ、疎外された国々は、支配的な強国が決めたことは何でも受け入れるしかありません。 安全保障理事会を通さないで決断が下されるような、迅速に反応するメカニズムも国連内に必要とされています。これは、国連事務総長の地位を強化することを意味するでしょう。国連事務総長は徐々に、独自の権限を持たない公務員のようになってしまいました。 もう一つの重要な問題は人権問題です。少数民族を抑圧する独裁制が多くの国にあります。この問題は安全保障理事会の議題に上りません。国家の主権があり、加盟国はそのようなどんな動きも阻止することができるからです。他の国がそうした人権問題を議題にのせることを要求できても、実現することはめったにありません。本気でそうしようという意欲がないからです。しかし、自国の政府が賛成していなくても、少数民族が何かを議題にのせる可能性を創造することはできます。このようにして、国連を民衆にいっそう近づけることができます。
SI:スーダン政府は国連平和維持軍の展開を妨害しています。しかも、アフリカ連合の部隊は現在のところ実際には機能していないため、ダルフールの難民キャンプは保護を受けていません。政府はしたいことを何でもできるように思われます。この状況に対処するのに、国際社会にはどんな手段が残されているのでしょうか。また、スーダンに関連して中国はどのような立場にあるのでしょうか。
プロンク:国連はもっと多くのことをすべきです。経済制裁を行うこともできるし、外交的もしくは政治的な圧力をかけることもできます。しかし、中国の協力なくしては大きな効果を上げることはないでしょう。中国はスーダンの最も重要な経済パートナーであり、したがって、スーダンに影響力を持っている数少ない国の一つです。しかし、中国人はこの立場を活用していません。 中国人は、スーダン政府を支持することが自分たちの利益にならないことを認識すべきです。なぜなら、彼らがスーダンに投資して出来た石油施設が攻撃されて再び戦争が勃発し、石油を得ることが不可能な状況が生じる可能性もあるからです。持続可能な平和を達成しようとすることは、彼らの利益にもなります。彼らはそうするのを延ばし続けています。戦争がすぐには勃発しないだろうと思っているからです。
SI:経済措置を講じることについて、もっと話していただけますか。
プロンク:経済措置は、十分に徹底して行おうとする意欲があれば、効果的になり得ます。米国では今、若い人々が国会に大きな圧力をかけ、スーダンから米国の投資をすべて引き揚げることを要求しています。彼らはまた、大学や教会に、スーダンと取引関係がある銀行と会社とは取引しないように説 得しようとしています。それには雪だるま式の効果があり、特定の政治的な効果をもたらす可能性があります。今後も圧力をかけなければなりません。スーダン政府は今のところ圧力を全く感じていま せん。
SI:人権侵害に関して、若者たちの間でこのような懸念が高まっていると思いますか。
プロンク:はい、特にアメリカとカナダで。大虐殺に対して行動を起こすよう政府に圧力をかけている若者たちが多くの運動に関与しています。しかし、この圧力に対して、政府は口先だけの賛同しか示していません。 北米の若者たちは、ここヨーロッパの若者たちよりもずっと活発です。私は2007年10月にモントリオールのマクギル大学が主催した大虐殺に関する会議で、そして12月にはニューヨークのコロンビア大学のダルフールに関する会議で講演を行いました。最近では、驚いたことに、特に米国とカナダで非常に多くの活動団体、会議、機関が大虐殺に真剣に取り組んでいます。率先して行っているのは主に若い人々です。彼らはこの不正義を受け入れることを拒否しています。彼らは今のところ街頭でデモを行わず、自分たちの関与を表現する他の方法を探しています。
SI:最も支援を必要とする国々が支援を受けていないため、開発政策は現在のようには適用されるべきではないというご意見ですね。
プロンク:ほとんどすべての開発援助が、ほどほどに良い統治状態にあるほどほどに安定した国々に 届けられます。しかし、これは公的資金の浪費です。こうした国々は自力で十分な民間資本を入手し、実際のところこのような援助を必要としないからです。 一方、リスクが大きすぎて誰も投資したがらない多くの社会、いわゆる失敗しつつある国家や紛争状態にある国家があります。このような国々こそが、まさしく支援すべき国家です。特に、水と女子のための初等教育のような、ほとんど商業的な利益をもたらさない生活上なくてはならないものに焦点を当てた支援が必要です。女子教育は、国家政府がめったに関心を示さないものです。うまくいかないことも多いかもしれませんが、確実な支援の道をずっと行く代わりに、これこそが公共リスクを負う必要のある分野なのです。開発の過程は、本質的に葛藤の多いものです。成功は保証されていません。それはプロセスなのです。 徐々に、援助を行う機関の利害が絡む状況が生じてきます。行われる援助は失敗することが許されません。失敗は彼らの経歴を台無しにするかもしれないからです。 お役所仕事がかなり多くあります。すべてにおいて短期間でそれなりの結果を出さなければなりません。このような方法で公共部門を組織するようになります。例えば、私たちの国の保健医療の部門を見てください。数分で診察が終わり、過程は全く重視されません。 支援を受けなければならないのは、とりわけ、不適格な政権を持った不安定な国々です。なぜなら、もし私たちが支援を行わなければ、もっと多くの惨状、もっと多くの人権侵害、もっと多くの不安定さがもたらされ、それはこうした国々の国境線を越えて流出するからです。私たちは緊急に改革を必要としています。行うべき仕事はたくさんあります。
詳しくは次のサイトをご覧ください:www.janpronk.nl

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