現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2007年 4月 ウェブ融資が世界の貧困層を助ける

ウェブ融資が世界の貧困層を助ける

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モンテ・リーチによるマット・フラナリー氏とプレマル・シャー氏へのインタビュー

「キバ」という語はスワヒリ語で「合意」もしくは「統一」を意味する。この名称は、小さな事業を始めたいと思っている開発途上国の人々に対し先進国の人々が直接お金を貸し出すことが可能となるようウェブサイトを運用する、ある非営利団体のことを適切に表現したものである。マイクロレンディングつまり小規模融資は、貧しい人々が貧困から抜け出すのに役立つ最も有効な手段の一つと考えられている。今日では、世界の貧困層の1億人以上がこの少額融資を利用できると推定されている。2005年に活動を開始して以来、キバは開発途上国の3,500人以上の小規模起業家への貸付として200万ドル以上の融資を促進してきた。モンテ・リーチが本誌のために、キバの共同設立者であり会長であるマット・フラナリー氏とキバの社長であるプレマル・シャー氏にインタビューを行った。
シェア・インターナショナル(SI):キバが行っていることを説明していただけますか。
マット・フラナリー:キバは少額融資のためのオンライン融資プラットフォームです。私たちのウェブサイトを訪問していただければ、小規模事業を始めるために融資を必要とする開発途上国の起業家のプロフィールや写真を目にするでしょう。それは衣服販売や仕立業やヤギ集めの仕事かもしれません。こうした人々は他のところでは金融サービスを利用できなくて、先進国にいるあなたや私のような人々からインターネット上で提供される融資を受けているのです。必要なのはローンを組むためのクレジットカードだけです。もしあなたが起業家の一人に融資すれば、12カ月にわたって返済金を受け取ります。それからそのお金を引き出すか、もしくは他の誰かに貸し出すことができます。
SI:キバは少額融資の世界で、これまで満たされていなかったどんな必要を満たしているのですか。
フラナリー:キバが設立される以前は、個人が低料金で少額融資に参加する方法はありませんでした。私たちが打ち出した主な新機軸は二つあります。一つは、一目見て借り手に直接お金を送ることができることです。もう一つは、寄付するだけでなく投資や融資も行うことができるので、お金が戻ってくるということです。キバは本来、技術関連の会社です。バングラデシュでモハメド・ユヌス氏が創設したグラミン銀行のように、現場にいて地域社会の人々に実際にお金を貸し出すわけではありません。私たちはここサンフランシスコのオフィスに座り、先進国の人々と開発途上国の人々の関係を構築し促進するためにテクノロジーを駆使しています。


ウガンダのエリザベスへの融資
SI:誰かの生活に特別に劇的な影響を与えた特定の少額ローンについて話していただけますか。
フラナリー:私の家族と私は、ウガンダのチュロラ郊外の村に住んでいるエリザベスという女性に融資を行いました。彼女は毎日道路端で魚を売っていました。融資を受ける前は1日に3匹か4匹売り、わずかな利益を得ていました。私たちは彼女の商売におけるお金の流れを追跡し、毎日ナイル川からやってきて彼女に魚を届ける卸売業者から魚を買っていることを突き止めました。しかし、その業者は極端に値上げをして魚を売っていました。  私たちはエリザベスに、彼女にとっては大金の500ドルを融資しました。ナイル川はバスでたった10ドルの距離にありましたので、彼女はそこに行くことができるようになりました。余ったお金で、3~4匹ではなく何十匹という魚と、保存用の冷凍器も買うことができました。そのため、エリザベスは長期にわたって在庫を管理し、利益を増やすことができました。彼女は仕入れ先に直接行って、ずっと安い値段で魚を買うことができたからです。以前と同じ値段で魚を売っても、3倍の収益が上がりました。そのため、エリザベスは子供たちを学校に通わせることができるようになりました。稼ぎが多くなったので、いくらか貯蓄して家族に投資することができました。薬を買い、緊急事態に備えることもできました。家族の生活を安泰にするために経済基盤を確立したのです。貧しい人々に起こる出来事がそれほどひどいものではなくなるようにするためです。


人々に融資を行う
SI:小規模融資を必要としている開発途上国の人々をどうやって見つけ、選ぶのですか。
プレマル・シャー:私たちは少額融資機関(MFI)のネットワークを活用します。世界には、地元の1万人未満の借り手にサービスを提供しているMFIが何千もあります。そうした機関は資金繰りに苦しみ、資金を切望しています。お金がもっと多くあれば、もっと多くの貧しい人に手を差し伸べることができるでしょう。今日、少額ローンを利用できるのは、低収入労働者5人のうちたったの1人、つまり約1億人です。  キバは利用しやすい、安い資金源だという情報が流れています。MFIが私たちに関心を示せば、私たちは彼らと一緒に十分な調査過程を経ることになります。彼らの証明書や財務情報に目を通します。彼らがどれほど安全なのか感触をつかもうとします。ある程度の信頼性が確かめられれば、キバのホームページに彼らの事業を掲載し始めることを許可します。安全性や危険性を確かめた上で、特定の月にどのくらいの数の事業を掲載できるか、どのくらいのお金を調達できるかが決定されます。
フラナリー:MFIには、地域社会に出かけていく、ソーシャルワーカーによく似た融資担当者がいます。彼らは現場で活動し、優れたアイディアを持ち資金を必要としている地元の事業主を見つけます。こうした融資担当者は融資申込情報を記録し、しばしば借り手の写真を撮ります。彼らは事務所に戻り、写真、借り手のプロフィール、事業計画、融資金額などの詳細を私たちのウェブサイトに直接アップロードします。サイトを訪問する人は時には数分で、その人に資金を提供することを決定します。  月末になると、そのMFIがどこにあろうと--例えばカンボジアにあろうと--私たちはそのMFIに対し、融資された資金をすべて電信で送金します。電信送金であれば、1日でカンボジアに届き、その借り手は融資を受けることになります。翌年あたりに、融資担当者が返済金を集めるために1カ月毎かそれより短い間隔で訪問し、私たちのウェブサイト上に返済額を記録します。先進国の貸し手は、カンボジアでのその借り手の財務実績について頻繁に最新情報を受け取ります。12カ月の終わりに、私たちはMFIに請求書を送り、返済された貸付金の中からお金を集めます。貸し手は、希望次第で自分の資金を引き出すことができます。
シャー:しかし実際は、返済金を受け取る貸し手の80%以上は、このシステムの中にお金を戻して再循環させることを決定します。
SI:あなたがたがウェブサイトで促進している典型的な融資はどのくらいの金額ですか。
シャー:およそ600ドルです。この金額は多いように思えないかもしれませんが、1日2ドルの収入しかないウガンダの人にとっては、4頭か5頭の牛を買って酪農事業を開始できるほどの大金です。キバのウェブサイトでは、75ドルから約2,000ドルまでの融資を行っています。
SI:融資の返済率はどうですか。
フラナリー:100%です。つまり、返済期限が来るまでにすべての貸付金は完全に回収されています。これまでのところ、12カ月の返済期限が完了している例はわずかであり、融資の大部分はいまだ貸し出し中です。長期的に見て、95%の返済率が確保できればよいと考えています。
SI:キバの資金調達はどうしているのですか。
フラナリー:貸し手が任意で支払う手数料によってです。私たちのユーザーは、融資を行うとき、その融資の10%を任意にキバに寄付することができます。貸し手のほとんど全員がそうしています。このようにして、インターネット上で少額を寄付しているアメリカやヨーロッパの3万人以上の市民が、私たちの経費を支払っていることになります。私たちが行っていることを支持してくれる金融機関の寄付者もおります。


貧困層向けの利率
SI:キバを通して融資を受ける人に通常課される利率はどのくらいですか。
シャー:私たちのMFIは通常約16%の利率を課しています。これは驚くほど低いものです。少額融資業界で課されている平均的な利率の半分以下です。
SI:なぜ利率はそんなに高いのですか。
シャー:そのような数値になる理由を説明します。貧困ライン以下で生活している低収入労働者は約5億人おります。今のところ、少額融資を受けているのは約1億です。この1億人は、少額融資機関に対して平均で約35%の利息を支払っています。利率が高いのは、こうした融資を行うためのコストが高いからです。たったの100ドルか500ドルの融資ですが、例えば、毎月その村に出かけなければなりません。さらに、資金のコストも高いのです。MFIは貧しい人々に貸し出すために地方の貸出機関からお金を借りています。貸し出すための共同基金をつくるのにお金がかかります。もう一つの理由は、インフレが高いことです。ここ米国では、3%のインフレ率にすぎません。しかしウガンダでは、インフレ率は2桁台です。特定の利率で融資を行わなければならないのは、返済金を受け取るときにインフレをカバーしなければならないからです。  世界の低収入労働者のうち他の4億人は、村の金貸しに支払っています。唯一の現実の選択肢は、非公式の信用市場です。彼らは地方の都市銀行に入ることができず、少額融資機関の手が届かないところにいます。村の金貸しの現行歩合は約80%から800%までの幅があります。少額融資機関はその利率を約35%まで引き下げるために多くのことを行ってきました。それによって、世界の低収入労働者うち1億人が恩恵を受けました。キバはMFIと協力して費用構造をいっそう引き下げようとしており、その利率は少額融資の平均である35%のおよそ半分になっています。
SI:手頃な少額融資を利用できない他の4億人の低収入労働者に手を差し伸べるにあたって、制約要因は何でしょうか。
フラナリー:相互に関連した二つの要因があります。最初の要因は、担当地域で貸出額を増やすことができるように、十分なスタッフを育成・雇用し、適正な技術を整備する少額融資機関の能力です。二つ目の制約要因は、彼らが貧しい人々に貸し出すことができる資金を獲得できるかどうかです。たったの10万ドルしかなければ、たったの1,000人にしか貸し出すことができません。もし銀行に50万ドルあれば、その5倍の人々に貸し出すことができます。キバはインターネットを通して少額融資機関により多くの資金を、新しい資金源を提供するという役割を果たします。
SI:来年に向けてどのような目標を抱いていますか。
シャー:1年ちょっとで、私たちは30の少額融資パートナーと共に22の国へと拡大を遂げました。毎月およそ5つの新しいパートナーと契約を結んでいます。しかし、私たちはもっと多くの国に展開したいと考えています。
フラナリー:私たちは今年、1,000万ドルを融資したいと考えています。昨年は200万ドルを融資しましたので、それを5倍に増やしたいと考えています。
SI:キバについて他に何かおっしゃりたいことはありますか。
フラナリー:ウェブサイトを開いて、調べてみて、事業主に小規模融資を行い、その結果どうなるかご覧になってください。
詳細については次のサイトを訪問してください: www.kiva.org

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