生きた惑星のための権利
- ポリー・ヒギンズ氏へのインタビュー ジル・フライ
- スコットランド人の環境活動家、運動家、弁護士であるポリー・ヒギンズ氏は、「エコサイド」──生態系の大量破壊──を平和に対する5番目の国際犯罪と宣言し、それを集団殺害犯罪(ジェノサイド)、戦争犯罪、侵略犯罪、人道に対する犯罪と同様に扱おうとするキャンペーンを始めた。国連によって採択されるならば、これは環境に広く損傷を及ぼしているとして非難されている産業界に対して重大な影響を与えることになるだろう。ヒギンズ氏はエコサイドというすでに辞書に載っている言葉に法的な定義を与えた。「ある地域における人為的作用もしくは他の要因によってその住民の日常生活がひどく損なわれるほど広範囲にわたる生態系の破壊や損傷、損失」という定義である。
ヒギンズ氏によるエコサイドの定義には、どんな種に対する損傷も含まれる。それによって起訴が、現在の環境訴訟で起こっているように人間に害が及んでいるかどうかに関する法律的主張に巻き込まれてしまうのを防ぐことになる。彼女は国連委員会や欧州委員会で、気候科学者、環境に詳しい弁護士、国際的なキャンペーン団体からの支持を受けている。
ヒギンズ氏はすでに、世界人権宣言をモデルにして、地球の権利に関する世界宣言を提案する国連会議において成功を収めた。これは今やボリビア政府によって採択されており、ボリビア政府は国連で全加盟国による投票を提案する予定である。
ポリー・ヒギンズ氏は2010年6月12日にジル・フライによるシェア・インターナショナル誌のインタビューに応じた。 - シェア・インターナショナル(SI):現在の世界の状況をどのようにご覧になりますか。
- ポリー・ヒギンズ:古い世界システムの終わりです。私たちははるかにホリスティックな世界へと、最終的には機能しないシステムの終焉へと向かっており、説明責任や透明性に関してだけでなく、お互いや自然や世界を本当に理解し尊重することに関して、新しい時代へと突入しようとしています。地球を商品化し、地球から生み出すことのできるお金のためだけに地球を評価するという概念そのものから遠ざかろうとしています。もし地球を生きた存在として評価するならば、あなたは責任を負い始めることになり、それはアプローチの劇的な転換になります。地球は生きた存在であるということをますます多くの人が理解しつつあります。
- SI:このような混沌とした時代にあって、一般大衆は自分の生活や運命に対する支配権をほとんど持っておりません。私たちはそうした権利をどのようにして復活させたらよいのでしょうか。
- ヒギンズ: 国際法の最初の原則と自己決定という概念そのものに立ち返るならば、大企業によって踏みにじられている状況があります。先住民族の権利は民間の企業利益のために踏みつけられています。民間の利益だけを重視して身動きできなくなると、財産や大量消費を重視することになってしまいます。それは「私にとってどんな利点があるか」という精神構造です。一方、社会の利益を大事にするならば、お互いのことや相互関係を重視し始めていることになります。それらは非常に異なったアプローチです。一つは低位意識から来るものであり、もう一つは高位意識から来るものです。すべての生命が結び付き、相互に依存し合っていることを私たちは理解し始めます。蜂はとても良い例です。私たちは蜂のコロニーを壊す一方、蜂に大きく依存しています。たいていの人は、蜂が食糧の70%を授粉させていることを認識していません。そのため、蜂を失うと、私たちが食べていく能力も失うことになります。私たちは相互に依存し合っており、私たちは蜂を必要とするし、蜂も今や私たちの援助を必要としています。
- SI:あなたがどのようにキャンペーンの仕事にかかわるようになったか教えていただけますか。
- ヒギンズ:私は法廷弁護士として開業し、3年間続いていた訴訟を扱っていました。私は訴訟依頼人に和解するよう助言していましたが、彼らはその助言を無視しました。貪欲によって動機づけられた依頼人のために、すべての体験を「熊いじめ」と見なす判事たちの前で、私自身が信じない訴訟のために戦っていたのです。私は自分がなぜ、それよりもはるかに気にかけているもの、つまり地球のために活動していないのだろうかと思いました。
私は研究を開始し、環境法があまりにも妥協を前提にしていることに気づきました。それは断片的で反動的で、事後に制定されていました。それは汚染の源に対処するのではなく、汚染許可に基づいた法律により、社会そのものよりも民間企業を保護していました。実際に19世紀以降の環境法は、わずかな修正を加えながらも産業界が「いつも通りのビジネス」を持続させることを前提としていました。これは全く受け入れがたいことでしたが、私はどこから始めたらよいか分かりませんでした。 - SI:法律家としての訓練はあなたの現在の仕事においてどのように役立ちましたか。
- ヒギンズ:それは議論の仕方を学ぶことに関係しますので、たくさんの良い技能を教えてくれました。私の理想の世界には成文法はありませんが──私たちが必要としないので法廷も刑務所もありません──、その世界に至るための橋は必要です。そのような橋の一つが法律であり、アリストテレスは「理想の世界、地上の天国は、個人的にも集団的にも私たちが信じるものは何かについて合意しそれを支持する時に訪れるものだ」と述べましたが、法律はそのような地点まで私たちを導いてくれるでしょう。
地球環境の破壊の周辺には、企業によって容認可能な行動と見なされるものに関してたくさんの「常態」があります。私たちはその扉を閉めて、特定の活動は間違っているということが理解されるよう企業世界や世界全体を目覚めさせる必要があります。 - エコサイド──5番目の国際犯罪
- SI:「エコサイド」という用語について説明していただけますか。
- ヒギンズ:エコサイドは1970年代から使われていた言葉ですので、新しい言葉ではありません。しかし、それは法的に定義されたり法律で使用されたりすることは一度もありませんでした。第二次世界大戦の終わりにラファエル・レンプキンという国際弁護士が、ホロコーストの恐怖を言い表すのに新しい言葉を作り出す必要があると認識しました。彼は「ジェノサイド」という言葉が意味することを説明しようとして文字通り世界中で演台に立ちました。その結果、ニュルンベルク法廷が設置されました。彼はいくつかの決定的に重要な法的原則を取り上げました。ジェノサイドは国際犯罪であり、世界中の誰も責任を免れないという原則などです。
これは国際犯罪を容認しない国に関して鍵となる重要なことです。例えば、ピノチェト将軍が1998年にロンドンを訪れたとき、スペイン人判事は身柄引き渡し命令をボウストリートの判事たちに伝えました。チリは彼らに人道に対する犯罪を裁く資格はないと主張しましたが、貴族院はそれが国際犯罪であり、したがってすべての者に適用されると述べました。それは、その原則が試される非常に重要な機会でした。なぜなら国家や国家元首は、犯罪が行われていたとしても責任を回避しようとするからです。
ニュルンベルク裁判後には冷戦があり、国際犯罪法廷は1990年代後半まで設置されませんでした。1990年代後半には、ルワンダの大虐殺を受けて特別法廷が設置されました。国連の国際刑事裁判所(ICC)が2002年に設置されました。それは常設法廷であり、2006年に最初の裁判が行われました。国際犯罪を扱い始めてから4年しかたっておりません。それは新しいアイディアですが、私たちはそれが非常に効果的であることを発見しつつあります。 - SI:そこではどの犯罪を扱うことができますか。
- ヒギンズ:四つの国際犯罪があります。人道に対する犯罪、戦争犯罪、集団殺害犯罪、戦争につながる侵略犯罪です。
- SI:以前にはそのような犯罪を扱う国連機関はなかったのですね。
- ヒギンズ:加盟国の問題を扱う国際司法裁判所はあります。主に貿易摩擦を扱い、犯罪は扱いません。それは主として貿易問題に関して法的選択肢を提供します。加盟国は犯罪行為のために他の加盟国を裁判にかけることはなく、一般市民にも発言権はありません。一方、新しい国際刑事裁判所(ICC)には手続きを進める四つの方法があります。加盟国は要求書を提出することができる、安全保障理事会は行動がとられるよう勧告することができる、検察官は自発的に起訴することができる、起訴がなされるよう要求書を提出することができる、というものです。
- SI:そうすれば、例えば、ジョージ・ブッシュ氏やトニー・ブレア氏はイラク戦争の違法性のゆえに起訴されるべきだと何千人もの人々が提案すれば、ICCは調査することになるのですか。
- ヒギンズ:何千人も必要ありません。ICCが調査するかどうかを決定するには一人の人間からの手紙が必要となるかもしれません。最大の問題は、いつでも彼らには限られた数の訴訟を扱う能力しかないことです。しかし、大きな成功を収めようとしています。諸国は今や戦争を始めるのをしぶるようになっています。なぜならそれが違法であれば、説明責任を課され、裁判所によって起訴される可能性があるからです。それは容認できることと容認できないことの境界線をつくり出しています。
エコサイドについて興味深い点は、企業や銀行や政治のレベルで道徳的な認識のずれのようなものが生じていることです。例えば、スコットランド王立銀行は今や85%が納税者によって所有されており、政府の買収の結果として「民衆の銀行」になりました。しかしそれは「民衆の銀行」のようには行動しておりません。それはカナダ・アルバータ州でのタールサンドからの非在来型石油採掘に何百万ポンドもつぎ込んだイギリスの三つの銀行の一つです。そこでは、非在来型のタールからの石油採掘がもたらした毒性汚染により先住民族や野生動物が死にかけています。
スコットランド王立銀行が融資するもう一つのイギリスの会社はヴェダンタ社です。この会社はアルミ箔や兵器を製造するためにアルミニウムを採掘しています。彼らの計画はアルミニウムを採掘するためにインドの聖なる山〔ニヤムギリ〕を完全に削り取ることです。先住民族はすっかり憤慨しています。エジンバラにあるその銀行の年次総会で2010年4月、あるドキュメンタリー制作者がなぜ非常に破壊的で損傷をもたらすプロジェクトに私たちのお金、民衆のお金を融資しているのかと尋ねました。スコットランド王立銀行の社長は笑いながら、それは犯罪行為ではなく、自分たちにはそうする完全な資格があると言いました。これは損傷と破壊という観点から容認可能なことについての理解を見事に欠いていることを示すものです。最高経営責任者(CEO)が次のように言うには国際法が必要であることを実証するものです。「私がその道をたどることはできない。私は株主や重役、投資家たちに対して直接の説明責任を負うことになるからだ。私が犯罪に手を染めたり、危ないことをしようとしたりするのを容認しないだろう」と。
私たちは目覚め、地球に対する容認可能な損傷と破壊であると考えるものを根本から見直す必要があります。もしそうしなければ、デイビッド・キング卿が「資源戦争の世紀」と呼ぶものへとジェットコースターのように突き進むことになります。実際に私たちはそのような戦争を開始してしまいました。イラク戦争は石油のために戦われた戦争でした。 - SI:私たちは潮力発電や太陽光発電のような代替エネルギーの技術において長足の進歩を遂げました。これらは私たちのエネルギー需要を満たすでしょうか。
- ヒギンズ:私たちは解決法を手にしています。手にしていないとしても、発明することができます。アメリカがアポロミッションにより10年後に月面に到着することを決断したとき、私たちは月への行き方を知りませんでした。彼らはそうする方法を開発しただけでなく、8年後にそこに到達したのです。これは、自分たちが住みたい世界を共同で創造する人間の力と能力を示すものです。志を抱き、それを実現しなさい。このようにして世界は機能しているのです。
ウィリアム・ウィルバーフォースは200年前に奴隷制の廃止を主張しました。彼は「奴隷の使用を少し減らしてくれませんか」と言っても意味がないことにすぐに気づきました。それは今日のエネルギー不足と似通っています。奴隷はある種の人間エネルギーだからです。彼は問題の根源にさかのぼり、三つのことをしなければならないことを知っていました。その制度を下支えしている助成金を廃止すること(多くの者が働かされていた砂糖プランテーションには多額の助成金がつぎ込まれていた)、奴隷制を違法なものにすること、そして、企業が一からやり直せるように新たな助成金を投入することです。それは会社を廃業させることではなく、会社を別の軌道に乗せること、事業利益を破壊的でない慣行へと移行させることに関わるものです。 - SI:そのため、今日の状況との類似点があるのですね。
- ヒギンズ:はい、ウィルバーフォースは企業からの同じような反論に直面しました。奴隷制を廃止するのは経済的でない、雇用の喪失につながる、一般市民がそれを望んでいる、だから必要なものだ、というような意見です。彼らは貿易量を制限しよう、奴隷により良い状況を与えよう、一種の競売や取引の形をつくろうという提案を検討しました。200年前と現在の違いは、そうしたすべての提案が国会で一笑に付されたことです。今日の気候変動に関する交渉では、実際にそのような産業界からの提案(排出量取引、キャップ・アンド・トレード条項)をすべて生かしました。京都議定書の下ではクリーン開発メカニズムや炭素取引は失敗であったこと、そして排出量はいまだに増大していることが知られています。暴利をむさぼる一方で、問題を他のところに押しやっているにすぎません。地球は商品化されてきました。そうするのではなく、地球を生きた存在として見るならば、あなたは責任を負い始めることになります。
奴隷を平等な権利を持つ人間として見なし始めるならば、責任を負い始めることになります。ウィルバーフォースはそのような戦いをするために命を捧げ、亡くなる2日前に法律が施行されました。彼は奴隷制に関与していた300社が速やかに一からやり直すことを知っていましたし、実際にそうなりました。そうした会社は一夜にして奴隷の取引から紅茶や陶器の取引へと、あるいは海洋の警備へと移行しました。奴隷を鎖につないでおくことが決まりであった前の年から、それが社会の中で完全に受け入れられない状況へと意識が大きく変わったのです。私たちは歴史から教訓を学び、それを元にして向上していく必要があります。 - SI:それはまた、偉大なアイディアが支持されるまでには何年もかかり、それから突然、一夜にして受容されることも示していますね。
- ヒギンズ:はい、それが転換点というものです。私たちは今、そのような地点にいます。私たちの惑星がこれから何年も持ちこたえることはできません。転換点について言えることは、そのアイディアを捉えるのが人口の50%である必要はないということです。今日、情報や知識を評価し、それを世界中に広める能力を持っているため、それがいつ、いかに速く取り込まれるのか何となく分かります。アイディアを形成し、新しい言葉を提供することが、その転換点に至る過程の一部です。ですから、私の出発点の一つは「エコサイド」という言葉が使われるようにすることでした。私たちは2010年4月にウェブサイトを立ち上げ、ガーディアン紙がそれについての記事を掲載したとき、その最初の週末に28,000回のヒットがありました。
- SI:メディアは気候変動懐疑論者からの報告を定期的に公表しています。あなたのアイディアに対してどのくらいの反対論がありますか。それは主にどこから来るのでしょうか。
- ヒギンズ:私の提案に抗議する記事を書く人々に対して私はあまり注意を払っていません。むしろ、私はそれを議論の一部と見なし、この情報を広めるための生産的な方法として見ています。エコサイドは気候変動を否定する人々を告発するような法律だと考える人々がいますが、これは意見を持っているからというだけで人々を告発する法律ではありません。これは直接、気候変動に関わるものというよりも、地球の破壊を阻止すること、言い換えれば問題の源を刑事罰の対象とすることに関わるものです。気候変動はその症状にすぎません。
- SI:そのため、環境法を緊急に施行する必要があるのですね。
- ヒギンズ:はい。法律は何の得にもならないごまかしや妥協であることもあれば、急進的なものであることもあります。完全に一から出直す必要はありません。すでにそこにあるものをもっと穏やかなところから再び紹介する必要があります。例えば、信託の原則は他者の利益のために信頼に基づいて何かを預けることに関係しています。一方、財産法は暴利をむさぼることと個人に関係しています。この二つの法律体系──財産法と信託法──は二つの異なったパラダイムに由来しています。
- SI:あなたは他の弁護士のグループと一緒に働いていますか。
- ヒギンズ:世界中に国際的なネットワークが存在しています。私たちはすべて連結しており、お互いを知っています。アメリカでは大気を保護するために信託原則を施行しようとしてある弁護士が活動しています。イギリスにはランド・コミュニティー・トラストがあります。様々な活動領域がありますが、それだけでは十分ではありません。私たちはもっと速く動く必要があります。私たちが変化を少しずつ起こしていくのを時間は許してくれません。私たちの権利に関する私たちの理解を劇的に変えた1948年の世界人権宣言のように、これに関連して国際法が速やかに施行されなければなりません。
- 地球の権利に関する世界宣言
- SI:地球の権利に関する世界宣言というアイディアはいつ生まれたのですか。
- ヒギンズ:私は砂漠に太陽光発電用ミラーを設置するための新しい法律について研究していました。私たちのエネルギーをすべてまかなうのに世界の砂漠のたったの0.3%しか必要とされません。しかも、世界の90%は砂漠の2,000キロメートル以内で生活しています。そのため、すべてのクリーンエネルギーを提供してくれる集光式太陽光発電所を砂漠に建設することができます。それから私は、世界のエクソンモービルがやってきて土地を奪い取るのを阻止するものは何かと考えました。その土地の権利を、そして現実に地球全体をどのように保護すればよいのでしょうか。惑星を気づかう義務をどのように課したらよいのでしょうか。
その法律は国際的で普遍的であり、地球に対して諸権利を与えるものでなければなりません。ですから、それは「地球の権利に関する世界宣言」になるでしょう。私は研究を開始し、自然の権利に関する30年にわたる思索や資料があることに気づきました。いったん西洋世界の思考様式を抜け出ると、先住民族がどのように世界を見ているかが分かります。
夫と私は2週間スコットランドの西海岸に出かけ、最初の10の権利はどのようなものになるかについて話し合い、20分後に文字通りまとめあげました。私たちはこうしたアイディアについて細かい点まで話し合い、「このように本当に大きなアイディアを一体どうやって国連に届けたらよいのだろうか」と思いました。3日後、丘の上にいる間、携帯電話を取り出しました。それには受信履歴がありましたが、その地域からかかってきたものではありませんでした。すると、電話が突然鳴りました。国連からある若い女性がかけてきたものでした。彼女は「女性と環境」に関する会議で話をしてみないかと私に持ちかけるために電話をかけてきたのです。私はこう答えました。「いいえ、国連が考慮する必要のあるずっと重要なものがあります。私はちょうどそれに取り組んでいるところです。それは地球の権利に関する世界宣言です。あなたが尋ねる必要がある人を誰でも見つけて、私が話そうとしていることを言ってみてください。でも、急いでください。雨が降りそうですし、私は山の上の方にいますが、ここが150マイルの範囲内で受信できる唯一の場所だからです」と。彼女は15分後に再び電話をかけてきて、「あの会議のことは忘れてください。気候変動に関する大きな国際会議で3番目の演説者として話していただきたいと思います」と言いました。私は電話を切り、「私の疑問に対してたった今答えが出されたようだ」と言いました。
私はそれを弁論趣意書のように扱いました。私の依頼人は地球そのものであり、職務を遂行するのに5カ月しか残されていませんでした。私はすべてのものを投げ捨て、研究に没頭しました。会議の前の週末、私は徹夜で演説原稿を書き上げました。それは過去2年間の思考と研究の成果でした。私はまるで世界で最も過激なことをしようとしているように感じました。五つの大陸で五つの会議が行われましたが、これはヨーロッパ向けのものでベルファストで開催されました。私は演説を行いましたが、とても無防備であるように感じました。なぜなら私は通常の気候変動に関する議論の枠組みにないものについて話していたからです。 - SI:聴衆の反応はどうでしたか。
- ヒギンズ:演説を終えると人々が拍手をしていたのを覚えています。休憩時間となり、出て行こうとすると、文字通り会議の参加者の半数が演台の方にやって来ようとしているのが分かりました。後ろを振り向きましたが、私以外の人はおらず、こうした人々はみんなどこに行こうとしているのだろうと思いました。彼らはみんな私に話しかけようとしていたのです。本当にびっくりしました。
会議の残りの時間はこのアイディアの検討のために費やされ、人々は口々に、気候変動に関する会議に参加するのに全人生を費やしてきたが、これが世界を本当に変えることのできる最初の大きなアイディアだと言いました。それは録音され、ニューヨークの国連本部で再生されました。
私は自宅に帰り、ここからどこに向かったらいいのだろうかと思案しました。私の頭の中には、連絡を取る必要があるいくつかのトップクラスのNGOがありました。その一つが地球憲章インターナショナルでした。その週の終わりまでに偶然ある人が、地球憲章イギリス委員会の委員長に私を紹介する電子メールを私に送ってくれていました。 - ポリーは次の週末、オランダでの国際会議に出席するよう招待され、そこで彼女のキャンペーンを拡大することになるもっと重要な接触を持った。
- ヒギンズ:国家がこれを取り上げるようになるにはどうしたらよいのだろうか、誰を標的にする必要があるのだろうかと考え、最初の数カ月は非常にストレスがたまりました。それから私は「心配する必要はない。いずれ起こるだろうから」と考えました。私はそのような国家はおそらくボリビアのような先住民族の国家になるだろうと考えました。そして実際にそうなりました。
- SI:したがって、その宣言は今や国連で提案される必要があるのですね。
- ヒギンズ:はい、加盟国がその宣言を国連総会に提案することになります。その宣言の起草はすでにかなり進んでおり、やがて投票にかけられるでしょう。すべての国家元首が自国の国連代表団に賛成か反対か棄権をさせるでしょう。今後18カ月から2年以内に投票にかけられると予想しています。
ボリビアはそれを強く推しており、それが忘れ去られないようにしてくれるでしょう。そのためには、それを支持するよう人々が政府に圧力をかける必要があります。 - SI:シェア・インターナショナル誌は、現在の経済システムの不正義に対処するには世界規模で資源を分かち合う必要があることについて論じています。もし十分な政治的意志があるならば、これは速やかに起こり得ると思いますか。
- ヒギンズ:物事は一夜にして起こらないと誰もが推測しますが、実際には信じられないくらい速く起こるものです。緊急事態であれば、本当に──文字通り──一夜にして起こります。第二次世界大戦では、アメリカ人は遅れて参戦したため、航空機が必要となりました。航空機を大量生産する航空産業が確立されていなかっため、彼らはヘンリー・フォードに〔車ではなく〕航空機を製造するよう依頼しました。彼が断ると、政府は「緊急法を可決した。あなたが車を製造することは今や法律違反になる」と言いました。そのようなわけでそれは「緊急法」と呼ばれています。そのような決断を速く下すためには政治的意志が必要です。
- SI:物事を現状のまま維持しようとする非常に多くの既得権益があります。どのようにしてそれを克服できるとお考えですか。こうしたアイディアを支持するために、個人は何をすることができるのでしょうか。
- ヒギンズ:これは民衆の力の問題であり、個人の既得権益から社会の利益へと移行することだと思います。民衆の声が高まって無視できないものになると強く感じています。そのような地点に到達するのに世界の半数は必要ありません。それよりもずっと少数になり、国際的レベルだけでなく地域や国家のレベルでも起こるでしょう。
2009年にコペンハーゲンで行われた気候に関する国際的な交渉は本当に有益なものでした。交渉のために5万人がベラ・センターにいただけでなく、民衆の気候サミットのために5万人がダウンタウンにいました。こうした人々には議題が一つだけありました。彼らはNGOの代表であったからそこにいたのではありません。彼ら途方もなく大勢の人々は気づかっていたからこそ、そこにいたのです。
それは立ち上がること、当てにされることに関係しています。人々は時代時代を通じていつも何かのために窮地に立って戦ってきました。ある意味で、私たちはそのようにする方法をほとんど忘れてしまっています。こうしたことは本当に民衆からやってこなければなりません。なぜなら、自らの裁量に任されている政府はまさに企業から圧力を受けることになるからです。 - SI:人類は十分に速く変化することができるでしょうか。
- ヒギンズ:私はそう信じています。何かについての誰かのビジョンを広げるならば、彼らの心を新しいアイディアに開かせたことになります。彼らは、初めはあなたを軽蔑し、それからあなたのことを笑い、それからあなたに味方するでしょう。
すでに3億8,000万人の先住民族が調和のうちに生活しており、別の3億8,000万人の仏教徒が母なる大地と調和しながら生活しています。合わせて
7億5,000万人の人々です。したがって、ヨーロッパと同じ人数の人々がすでにこうしたアイディアを知っています。何百万もの人々がすでにこのように生活しているということを理解するのに長い時間がかかりました。軌道を完全に外れてしまったのは、いわゆる先進国世界です。私たちが標準と見なすものは、多くの人々にとって標準ではありません。それは実際に西洋世界が理解することに関係するものです。
したがって、自分のアイディアが開発途上国の最果ての地に届くかどうかを私が心配する必要はありません。そこではおそらく、民衆がいずれにしても乗り気でしょう。私の焦点は西洋世界にあります。私は自分の役割をメッセンジャーとして見ています。私はこうしたことを伝えるために自分の技能を活用し、まるで自分が地球に奉仕しているかのように非常に光栄に思います。 - SI:なぜあなたはやり続けようとするのですか。
- ヒギンズ:私たちはより良い世界へと向かっており、現代はその過程の一部だという確信があるからです。私たちは歴史上かつてない最も胸踊る時代に生きていると私は本当に信じています。私たちはすべてが変化しようとしている地点、すべてがすでに変化し始めている地点にいます。私たちは幸運な人々です。地球で最高のショーを前列で見るだけでなく、実際に舞台に上がり、それを実現させようとしているからです。それは素晴らしいことです。私たち一人ひとりがステップアップをし、そのショーの共同制作者となる選択肢を持っています。やがてあなたもそのショーの観察者になるか、もしくは制作者になることができます。私は制作者となることを選びましたが、すべての人にとってそうすることは可能だと思います。
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