現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2006年 4月 われわれの時代に飢餓を終わらせよう

われわれの時代に飢餓を終わらせよう

モンテ・リーチによる
前米国上院議員ジョージ・マクガバン氏へのインタビュー

ジョージ・マクガバン氏は、南ダコタ出身の前米国上院議員で、1972年の大統領選挙で民主党の大統領候補者であった。1960年に彼は、当時のケネディ大統領によって「平和のための食糧計画」の初代長官に指名され、(前)大統領クリントン氏によって1997年に、国連食糧農業機関への米国代表に任命された。2001年にマクガバン氏は、世界的飢餓に関する国連グローバル大使に任命された。彼は、自著『第三の自由:我々の時代に飢餓を終わらせよう』、共著『今、飢餓を終わらせよう:信仰ある人々の挑戦』を含む数冊の書を執筆している。モンテ・リーチがシェア・インターナショナルを代表して彼にインタビューした。
シェア・インターナショナル(SI):あなたは長年、飢餓問題に取り組んでこられましたね。なぜすべての人を養うのに十分な食糧が用意されているにもかかわらず、世界から飢餓がなくならないのでしょうか。
ジョージ・マクガバン:それは政治的な問題です。つまり政治的な意志の欠如の問題です。私たちが、自分たちを養うに足る食糧を生産できない貧しい人たちに、必要とする食糧を確保してあげようとするだけのエネルギーと熱意を持ち合わせていないからです。  世界の人口の7人に1人が慢性的な飢餓の状態にいます。しかしそれは、決して解決のできない問題ではありません。豊かな国であろうと貧しい国であろうと、世界の政府は、このギャップを埋めるべく本気になって取り組まなければいけません。例えばイラク戦争に費やしているエネルギーのほんの一部であっても、各国の政府はそうすることができるのです。国連は、飢餓問題に精通した立派な機関を幾つか持っています。その一つは、私が1962年に設立するのに関与した「世界食糧計画」です。この機関は、世界史上、食糧分配の機関として類のないものです。そこは、飢餓に陥っている人々に莫大な量の食糧を届けていますが、もっとそうする必要があります。米国は主要な供給国です。もし私たちが現在の約2倍に量を増やし、他の国もそれに倣い、そして貧しい国の政府が私たちに協力すれば、私たちは何ら重圧なしに、15ないしは20年以内に飢餓を終わらせることができるでしょう。私が現在かかわっているのは、まさにこのことなのです。ボブ・ドール前米国上院議員と私は、今は何も支給されていない世界中で約3億人の学童たちに、米国が率先して毎日栄養に富んだ給食を届けるよう、国連に様々な方面から働きかけることを決意しました。現在のところ私たちは、これに集中的に取り組んでいます。

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SI:もっとこの国際学校給食計画について話してもらえませんか。誰がこの計画を運営するのですか。

マクガバン:これを運営するのは、国連世界食糧計画です。彼らは国際赤十字や救世軍、カトリック救済奉仕事業やアメリカ友愛奉仕委員会のような民間ボランティア団体の支援を取りつけます。現在、この計画の運営を支援できる35のボランティア団体があり、それらは国連世界食糧計画の管理下で行われることになります。

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SI:この計画は現在実施されているのですか。それとも、まだ開発中なのですか。

マクガバン:私たちは、38カ国と大規模なパイロット計画を実施してきました。私たちは、クリントン政権を説得して、それを始めるのに3億ドルの資金を得て、2003年には基金が可能になりました。さらに、ブッシュ政権から別に2億ドルの資金を得ました。私たちは、他の諸国に協力を呼びかけており、今までのところ約6カ国の協力を得ています。私たちは、3億人の飢餓に苦しむ子供たちに行きわたるまで努力を続けていきます。

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SI:あなたは、学校給食計画が過剰人口問題の緩和に役立つという副産物について述べてこられましたね。

マクガバン:世界のどこにおいても、貧しい家庭の子供を学校へと送り出す最上の魅力になるものは、十分な食事を約束することでした。もし子供たちを学校に送り、その子らが少なくとも6年間の教育を保証されるなら、出生率を半分、すなわち出生率平均6人の子から2.9人の子まで抑えることができるのです。この情報は、国連による研究によっています。この出生率の低下は、全く初等教育の強化によってもたらされるのであり、妊娠中絶などの外科的手段でもたらされるのではありません。少しでも教育を受けた少女は、頻繁に妊娠することがなくなります。彼女たちは、今より4、5年遅く結婚し、人生とは何であるかの理解力が備わります。子供を持てば、より良く子供を世話するようになります。

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SI:学校給食計画は、世界食糧計画の「1日に19セントを」と同じなのですか。

マクガバン:ええ、そのとおりです。19セントとは、1人の児童に必要な1回分の給食費です。

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SI:たった1日に19セントで、誰かの食事を賄えるなんて、驚くべきことですね。

マクガバン:しかもそれは栄養の優れたものです。3億人もの子供を養うと考えると、1日19セントいうのは、(合わせると)かなりの額になりますが、それは十分に価値のある額です。イラク戦争に要する額と比べれば、取るに足りない額です。もし米国が飢餓やエイズやすべての子供の病気を取り除く道を歩むのであれば、私たちはテロ主義の問題解決に、飛躍的な前進を見ることになるでしょう。そういったところにこそ、米国はその持てる資源を使わなければなりません。世界の人々がもし私たちが世界の飢餓や貧困を無くす支援を行うのを知れば、私たちを殺すために自爆するほど憎む人はほとんどいなくなるでしょう。

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SI:米国のような先進国が何かの援助ができるということについてですが、私たちの機関誌の名は『シェア・インターナショナル』と言い、私たちの基本的な理念は、豊かな国が世界の資源の大部分を浪費している現状に対して、私たちは世界の資源を豊かな者にも貧しい者にも平等に分かち与えなければならないというものです。

マクガバン:私たちはもっと分かち合わなければなりません。もし私たちがお互いに団結し合う国際社会を目指すなら、私たちは共に働くようになります。飢餓は最も緊急を要する問題の一つですが、いつも解決するのに最も困難な問題でありました。

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SI:あなたは、解決策はすでにでき上がっており、あとはそれらを実行するのみであるとお考えでしょうか。それとも、私たちは何かさらに別な解決策を見つけるべきなのでしょうか。

マクガバン:私たちはすでにどうしたら飢餓を解決するかについて知っています。人々は、それは分配の問題だと言います。私たちは食糧をどう分配したらよいかを知っています。提供の仕方を知っています。すなわち、それを行う過程を知っているのです。私たちは、学校給食計画の効果的な運営方法を知っています。私たちはただ、問題に取り組もうとする、神が与えた脳と心と良心を使おうとする意志を開発しなければなりません。このことは、次の15~20年間になされると思います。

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SI:この希望の感覚をあなたに与える、どのようなことが今起こっているとお考えでしょうか。このことがなされるであろうとする証拠がありますか。

マクガバン:はい。私たちが学校給食のためのパイロット計画を行っている38カ国の中にそれを見いだすことができます。これに携わる人々は、本当に夢中になっているのです。彼らは自分たちの政府に、この計画をすべての(貧しい家庭の)子供に拡大すべきであることを説得しています。Aという国がこれを実行しているBという国を見ると、こうしてはいられないというプレッシャーを受けます。しかし、こうした種類のことには時間が必要です。1週間とか1カ月の問題ではありません。数年間の問題です。私は物事には忍耐が必要であるのを知っています。がっかりしてはいられないのです。努力を続けなければならないのです。

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SI:どのようにして飢餓を終わらせる政治的意志をつくり出すのでしょうか。現状をどのようにしてどう変えていけばいいのでしょうか。

マクガバン:私のような者は、ただ努力を続けるのみです。私たちは教会を味方につけようとしています。私の最近の共著を『今、飢餓を終わらせよう--信仰ある人々への挑戦』と名付けた理由がここにあります。私たちはこの本を教会、シナゴーグ、モスクに配布しております。やがて仕事を完成させるだけの支援を集めることができるでしょう。

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SI:さらに、貧困と飢餓(救済)のために政治家たちに働きかける非営利団体の「世界のための食糧」とか「リザルツ(結果)」があります。彼らも飢餓を終わらすために、米国内で政治的意思を高めるのを支援していますね。

マクガバン:彼らは素晴らしい、第一級の団体です。首都ワシントンには、「世界食糧計画の友」という団体もあります。彼らはとても良い仕事をしており、この国際学校給食計画を強力に後押ししてくれます。数百万ドルの予算しかありませんが、さらなる努力と支援を求めて、米国議会や市民を啓蒙するのに貢献しています。

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SI:人々が何かお手伝いすることがありますかと質問したとしたら、あなたはどう答えますか。

マクガバン:私は彼らに、あなたの教会やシナゴーグや慈善団体を支援してください、と言います。それぞれの教会は、世界に奉仕する部門を持っています。人々はそのような機能を持つ教会やシナゴーグを探し、そこを支援すべきなのです。飢餓をなくすために資金を使ってほしいのですと言ってください。もしお望みなら、あなたの資金を直接、国連世界食糧計画へ送ってください。

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世界食糧計画の「1日に19セントをキャンペーン」について、さらに詳しくは、
www.19centsaday.org を参照してください。

参考文献:
George McGovern, “The Third Freedom: Ending Hunger in Our Time,”
Simon & Schuster, New York, USA, 2001.
George McGovern, Bob Dole, Donald E. Messer,?
“Ending Hunger Now: A Challenge to Person of Faith,”?
Augusburg Fortress, Publishers, Minneapolis, USA, 2005.


「飢餓を終わらせるには、二つの根本的要素が必要である。短期的には、戦争、内紛、飢饉、洪水、疫病、エイズの勃発のために現在お腹をすかせ飢えている人々に対する食糧の直接配給を保証しなければならない。スーダンやルワンダや北朝鮮は国全体で緊急な飢餓対策の必要のある現在の例である。
長期的には、農業生産と食糧配給を強化し、世界の大多数の人々が暮らす村や農場の生活の質を高めるために、技術的、顧問的、金融的支援の提供が必要である。またわれわれは森林、漁業、土壌、水、そして大気を保護強化する必要がある。
これはアメリカ人だけの任務ではない。それは国連の仕事であり、多くの国々の貢献を調整することで、単一国が単独で行うよりも大きな影響を生じさせることになる」
ジョージ・マクガバン
『飢餓を終わらせよう--信仰を持つ人々への挑戦』より

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