良心を持ったオンライン本屋
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- ジェーン・シェリントン博士とのインタビュー
- メーガン・シェーラー
- ウェブ上のオンライン本屋である“グッドブックス”は、その売り上げの100%を太平洋地域の持続可能な発展プロジェクトであるオックスファムに寄付するボランティアの組織である。それは慈善事業とインターネットの本のディーラーである“ペーパーバックショップ英国(PBS)”が手がける商業ビジネスとのユニークな共同事業である。“グッドブックス”のウェブサイトはPBSの本のカタログを幅広く持っており、顧客に送料無料で提供している。ニュージーランドを本拠地に“グッドブックス”は2006年にジェーン・シェリントン博士によって設立された。博士は、責任を持って購入することが市場の構造の役割となることを思い描いている。 メーガン・シェーラーがシェア・インターナショナル誌のためにシェリントン博士とのインタビューを行った。
- シェア・インターナショナル(以下SI):ペーパーバックショップ(PBS)のオーナーであるあなたのお父さんが、本の販売において“Amazon(アマゾン)”に代わるものを立ち上げるというアイディアを最初にあなたに与えたのですね。
- シェリントン博士:彼はこう問いかけて私にアプローチしてきました。「もし、お前がAmazonに取って代わるものを創るとしたら、何をするかい?」。それは唐突な質問でしたが、私は商業と非営利的なものとを繋ぐ架け橋となるものを長い間ずっと探していましたので、一つの機会と見なしました。私は言いました。「もし、私がすべての利益を差し出して、 それを慈善的な事業とするならば可能でしょう」と。 彼は最初とても懐疑的でしたが、私は最終的に彼を説得しました。なぜならPBSは別個のものとして存在するので、何の損失もないからです。難しかったのは私たちが全く違った価値を持つ二つの会社――利潤と商売に方向付けられた営利会社と、それとは逆に価値の高い顧客サービスと関係を培うことに重点を置いた慈善事業――との関係をどう扱うかということでした。
- SI:営利的な会社としては、PBSはどのようにして損失を出すことなく、無料で顧客に本を配送することができるのですか?
- シェリントン博士:PBSは何百万冊もの本を配送しているので、本の価格と郵送料において彼らは非常に有利な取引ができ、その恩恵を私たちも受けられるのです。これらの本はPBSによって様々な卸業者から購入され、PBSはそれらを私たちのために梱包し、送るのです。PBSはこれらの本を卸値で買い、それに配送料、梱包料と手数料を足し、一つの価格にするのです。なので、郵送料は本の価格に組み込まれているので、私たちはそれ以上請求しません。郵送料を一まとめで価格に入れることは、私たちの利幅を減らすことを意味します。グッドブックスで私たちは20%を上乗せし、この20%全部が慈善事業の収入となるのです。
- SI:なぜあなたはオックスファムと組むことを選んだのですか?
- シェリントン博士:私はグッドブックスを利用する人たちへの障壁を最小限にしたかったのです。そして、それは世俗的な団体を選ぶことを意味しました。私たちを通して買ってくれる人々には多くの宗教を持った人たちがいます。しかしまた、多くのもっと非宗教的な人々もいます。私は世俗的な団体の方がもっとも問題発生が少ないと思います。 また、オックスファムは維持可能な発展を追求するという非常に明確な使命があります。彼らは自然災害や人災といった非常時にも動きますが、それに私たちは資金援助をしていこうとしているのではありません。私たちは、コミュニティーが持続可能になるような方法で発展していく機会を創ることに真の関心があるのです。その一番適当な方法は、そのコミュニティー自身が決めていけばいいのです。ある人が言いました「あなた本当に蛇口とトイレにいますね」。それは魅惑的ではありませんが、水と衛生は非常に大きな問題で、私たちにとって基本的なところなのです。
- SI:これまでにどれだけの資金をオックスファムのプロジェクトに寄付することができましたか?
- シェリントン博士:5万ドルです。そして私たちはさらに1万ドル寄付しようとしているところです。これは1万5,000人が水を手にすることができるということです。
- SI:世界のどの地域がこれらのプロジェクトの拠点となっているのですか?
- シェリントン博士:太平洋地域です。私たちは世界の他の地域で起こっていることにも関心を持っていますが、そこが私たちの位置しているところだからです。バヌアツやソロモン諸島と同様に水と衛生に関するパプアニューギニアでのプロジェクトを含む、私たちの基準にあった多くのプロジェクトが太平洋地域にあります。私たちは他のオックスファムの支部と一緒に、私たちが国際的に進んでいくにはどのようにパートナーシップを持っていけるだろうかと話し合っています。
- SI:あなたの過去の仕事の経験はどのように現在の役割に結びついているでしょうか?
- シェリントン博士:私は様々な仕事をしてきました。広告業界からの転身ですが、その前はセールスマーケティングをしていました。そのとき、良いことをしたいとの思いから、私はメンタルヘルスの世界へと飛び込み、ニュージーランドのメンタルヘルスファンデーションのマネージャー、後にそこの管理主任の仕事に就きました。それは私にとって、急進的な学びの経験でした。利益追求ではないセクターで働き、彼らが直面している問題を理解し、市場のフォースが彼らにどのような影響を与え、また競争的な環境を作り出しているのか。 私は慈善セクターがやりくりするために、その日暮しの状態であるのを知り、また献金者に、それも同じグループの献金者にいかに多くを頼っているかを知りました。
- SI:グッドブックスの従業員達は、あなたも含めてですが、皆ボランティアなのですか? もしそうなら、他で賃金を支払われているのでしょうか?
- シェリントン博士:私も含めて、誰一人としてこの仕事で賃金はもらっていません。ボランティアの場合、彼らが学生であれ、他で賃金の支払いを伴う仕事をしていても同様です。私たちは、私たちが必要とする以上のものを持っています。他の人々には私たちが手伝うに見合う必要性があります。あなたが手助けできる手段を持っているとき、どうしてあなたの隣人の飢えと渇きをそのままに放っておくことができるでしょうか?
- SI:グッドブックスの100%の収益を慈善事業のために寄付することができるということは明らかにコミュニティーの多くのサポートを必要とします。時間とサービスをボランティアに提供することでどのような恩恵を人々や組織が受けるとあなたは考えますか?
- シェリントン博士:まず私たち自身に満足することができると思います。そして人々が必要としている資源を手に入れることを手助けしたとき、明確に何かをやり遂げたと言う達成感を得られると思います。ネット上で本を買うことで同じことをしているのです。人々は皆、どう手助けができるのか知りたがっています。しかし、世界の必要は圧倒されてしまうほどに大きく思えるのです。グッドブックスで私たちは言います。「あなた方がするべきことは、意図してここで本を買っていただくことです。」別の言い方をすれば、あなたがすべきことはあなたが普段していることです。あなたがそれをすると選ぶことが違いを生んでいくのです。
- SI:あなたは明らかに“内側からのシステム変革”力を信じています。あなたはこの変化はビジネスが社会的良識をより発展させることを通してもたらされると考えますか、それとも責任を持って買いたいという消費者によって起こると考えますか?
- シェリントン博士:両方だと思います。組織は彼らが従事している供給のつながりの関係を理解したところで、もっと配送方法を見直すことに焦点を当てるべきだと思います。あなたは外の環境で何が起こっているのか知らない振りをすることはできず、またそれでいいのだと言うことはできません。したがって、組織的な変化のための圧力が生まれています。気候の変化、環境問題は方法を模索している国々、組織、個人に巨大な圧力を生んでいます。 批判的に目覚めた消費者でも、概してまだ彼らの行動の影響力に部分的にしか気づいていません。一日の終わりに、人々は忙しく、生活がありますから、どうやってあなたは彼らのためにそれを容易にしてあげられるのでしょうか? どうしたら批判的な考えを鼓舞するのでしょうか? 今という時代は、社会的に責任のある生き方の可能性、本当の出現の時としてこれまでにない時なのです。私たちが生きている西洋社会のやり方を見てください。そこには自分たちの多くの特権をなかなか捨てられず、また特権を持たない人々にとって不利なシステムを自分たちが維持していることをなかなか認めたがらない人々がいます。
- SI:人々が、すべてのもの――ビジネス、環境、コミュニティー――が、いかに互いに連結しているかに気づいてきていることは、面白いことです。
- シェリントン博士:長い間、このように考え、そしてそのために働いてきたコミュニティーはたくさんあります。 私たち西洋社会のこの非常に個人的なモデルは問題であり、それはより広範な連結、互いの関連性とコミュニティーの理解、私たちは単なる個人ではないという理解を鼓舞するものではありません。私たちは複雑なネットワークで関連し合った存在です。
- SI:現在のシステムを変えるためには、ビジネスが彼らの利益や商品やサービスの一部を寄付しなければならないという法律をおそらく政府がつくらなければならないでしょう。 あなたもそう思われますか。もしそうなら、それが将来起こると思いますか?
- シェリントン博士:変化はプロセスにおいて非常に複雑です。文化的な変化を遂げるには、あらゆることが変化しなければなりません。究極的には、私の考えでは、それは法律の制定の問題にならなければならないのと同じように、内側から来るものでなければなりません。要求されているのは、システムの変革です。それは会社、組織が違った働きをすることを要求します。そこで私たちは別々の世界にいる振りをすることを止めなければなりません。私たちは皆繋がっていることを認識し、家族の価値のような類のものを理解する必要があります。家族の役割を社会の中でのビジネスの役割よりもずっと恩恵のあるものにしなければなりません。それを法律に組み込むことができるかどうかは、私にはわかりません。 西洋社会においては、ビジネスの世界が支配的です。ビジネスには重要な役割があり、信じがたいほど創造的で、面白く、賢い人々がいます。民間業界がNGO(非政府組織)と共有できるとすれば、それは彼らのエネルギーとダイナミズムです。私はボーダフォンのような組織がやっていることは大好きです。自社の従業員をある一定の時間、コミュニティーに関係し、その一部である好きなプロジェクトに従事させ、賃金はボーダフォンが支払うのです。他の側でも同じことが起こり得るでしょう。NGOの管理主任にとって、多少の時間を創造的な企業で過ごし、どのように企業が従業員を動機づけて効率と責任を生み出しているのかを学ぶことは、価値あるものになるでしょう。慈善事業とビジネスの間に流れを起こす架け橋を作ることが必要とされています。
- SI:あなたは“グローバルになる”ビジョンをお持ちだと聞きました。どのようにしてグッドブックスはより多くの世界の人々に自らを売り込んでいくのですか?
- シェリントン博士:私たちには国際的な土壌がありますが、まだそれでやっていけてはいません。誰でもが、世界中のどこからでも私たちを利用することができます。彼らがニュージーランドの通貨で買うことを気にしない限りは。なぜなら私たちはオンラインの組織であり、人々がインターネットを介して他の人々に伝えていくことは私たちのようなメディアにとって有利です。なぜなら私たちはメディアにとっていい話だからです。私たちのずっと続いている売りはこうです。「私たちはお金を使いません。手伝ってくれますか?」
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