現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2008年 2月 水こそが鍵─アフリカのより良い未来

水こそが鍵─アフリカのより良い未来

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ギル・ガルセッティ氏は1992年から2000年までアメリカのロサンゼルス郡地方検事を務めた。35年以上にわたって写真に関心を抱いてきたが、2000年に再選への挑戦に失敗して初めて、フルタイムで写真を追求する決心をした。彼は今、自分の作品への幅広い称賛を受けており、4冊の写真集を刊行し、ワシントンのナショナル・ビルディング・ミュージアムやカリフォルニア芸術のパサデナ博物館、最近ではロサンゼルスのファウラー博物館などで展示会を開催してきた。2003年にはアメリカンフォト誌がガルセッティ氏を米国の4人の名写真家の一人に選んだ。彼はロサンゼルス市倫理委員会の会長でもある。 ガルセッティ氏の最新刊『水こそが鍵──アフリカのより良い未来』は、西アフリカへの数回の旅行から生まれた。ガルセッティ氏は『鉄:ウォルト・ディズニー・コンサート・ホールの建設』と『キューバの踊り』という2冊の場合と同様に、世界の注目をめったに受けないが注目を受ければ恩恵を得ることが多い人々についての、大衆の意識を引き上げようと努力を続けている。『水こそが鍵』は、安全な水なしで長い間暮らしてきた西アフリカの人々の苦境に関する話である。ガルセッティ氏の写真は、安全な水を手に入れて生き延びてきただけでなく力強く成長してきた人々の困難や楽観主義、経済的な成功を描写している。 マクネア・エザードがシェア・インターナショナル誌のためにギル・ガルセッティ氏にインタビューを行った。
シェア・インターナショナル(以下SI):最新刊の企画はどのようにして始まったのですか。
ギル・ガルセッティ:2000年12月、私は地方検事を退任したばかりでした。妻は、西アフリカでの安全な水のプロジェクトのために長年の間資金を提供してきたヒルトン財団と一緒に、すでに西アフリカに行くことになっていました。私はカメラを片手について行きましたが、それが安全な水の問題に初めて触れるきっかけとなりました。他の様々な問題──貧困、病気、低収入──を理解すると同時に、現地の美しさや希望を見ることにもなりました。 このような写真で自分が何をしようとしているのか確信が持てませんでしたが、9・11以降、そこでの経験を生かして、何か価値のあることをやろうとしなければならないと決心しました。 これらの国は主としてイスラム諸国です。私たちは、イスラム教徒を含めた他の人々を気遣っている者たちとして見られる必要があります。それを行うことは、正しく道徳的なことであるだけでなく、政治的にも正しいことであるに違いないと思いました。そう思った時、私はヒルトン財団に出かけて行き、本の出版を引き受けて、その本を無料で西アフリカで活動するNGO(非政府組織)に提供することに関心があるかどうか尋ねました。
SI:具体的に、あなたの本はどのように援助することを意図したものですか。
ガルセッティ:二つの方法によります。一つは、ヒルトン財団はNGOに本を無料で提供しています。次にそのNGOは、西アフリカでの安全な水に関する活動のための資金集めにその本を活用します。二つ目は、私はあらゆるイベントで、あるゆるNGOと一緒にボランティアで活動してきました。そしてそのNGOに募金するよう民衆や団体、企業に向けて宣伝してきました。もしNGOが私の芸術作品のどれかを使いたければ、その芸術作品の売り上げの少なくとも50%がそのNGOの収入になります。
SI:あなたは個人的にその本から収益を得ていますか。
ガルセッティ:いいえ。
SI:西アフリカに初めて行った時にあなたが知った驚くべきことには、どのようなことがありましたか。
ガルセッティ:こうした国々の70%以上の人々が安全な水を得ていないことを知ったことです。西アフリカには水が豊富にありますが、すべて地下にあります。世界で最も貧しい国々(ニジェールが最も貧しいとされています)に入るこうした国々は、安全な水を人々にもたらすための資金や技能を全く持っておりません。
SI:西アフリカではどの国を訪れたことがありますか。
ガルセッティ:ガーナ、マリ、ブルキナファソ、コートジボワール、ニジェールです。
SI:マリの大統領と会見したことがあるそうですね。あなたの仕事について大統領はどのように述べていましたか。
ガルセッティ:私がしていることは最も大切なことだと言っていました。マリ国民のために彼にしてやれるたった一つのことがあるとすれば、それは安全な水を提供することでしょう。なぜなら、彼の言葉を借りれば、「すべての良いことは安全な水から流れてくる」からです。しかし、この大統領には資金が全くないのです。彼の国は世界で最も貧しい国の一つです。
SI:なぜ水がそうした大問題となっているのですか。
ガルセッティ:水は生活必需品の一つです。汚くて、清浄でない、不衛生な水がある時、しかも水が乏しい時、どうなるかご存じでしょう。西アフリカの水の状況のいいところは、水が豊富であり、補給されているということです。これは、掘られたあと数年で干上がってしまう井戸とは違います。
SI:西アフリカでは、人々は伝統的にどのように水を得てきたのですか。
ガルセッティ:水たまりや湖、小川で得てきました。「伝統的な」井戸も掘り、おそらく地下9~12メートルにある、あまり深くない水を利用することもできます。しかし、その水や井戸に覆いをかけないため、すぐに汚染されてしまいます。井戸の近くで動物たちに排便させているため、汚染が地下水面へとしみ込んでいきます。
SI:人々はどんな悪影響を受けますか。
ガルセッティ:一般に、健康状態が悪化します。人々は腹痛に苦しみ、赤ん坊は下痢で死亡します。ギニア虫は汚染された水を介して人体に入り込む寄生虫です。それは信じがたいほど人々を衰弱させる非常に長い虫として成長します。河川盲目症もあります。想像できるほとんどすべての疾患は、劣悪な水から生じています。
SI:安全な水がほとんど入手できない、あるいは全く入手できない時、村は他にどのような影響を受けますか。
ガルセッティ:女の子たちは水を汲んでこなければなりませんので、学校に通うことができません。農業は大きく衰退します。夫たちは他の都市や国で仕事を見つけるために家を離れなければなりません。
SI:なぜ女性や女の子たちは水汲みという役割を担っているのですか。それが伝統的な役割なのですか。
ガルセッティ:はい、そのとおりです。男性は動物たちのために水を汲みに行きます。
SI:井戸が利用できない場合の、女性の生活の典型的な1日について描写していただけますか。
ガルセッティ:女性たちは水を得るために、時には朝5時に長旅へと出発します。行かなければならない距離によっては、水を持って戻って来るのに数時間かかることもあります。必要ならば、2回出かけます。女性は通常行うあらゆる雑用も抱えています──家を掃除したり、服を洗ったりする仕事です。しかし、女性たちの時間のかなり多くが、単に水を汲みに行き、それから水を濾過するのに使われています。このためだけに1日に4時間や5時間や6時間費やすのは珍しいことではありません。
SI:男性の役割は何ですか。
ガルセッティ:主に農業です。小屋を建てたり、おそらくは学校や穀物倉庫を建てたりもします。
SI:ボーリング井戸について話しているそうですね。それと伝統的な井戸との違いは何ですか。
ガルセッティ:伝統的な井戸では、比較的浅い穴を堀り、縁をわずかな量のコンクリートで固めます。ボーリング井戸では、水を探し当てるために掘削装置を使い、密閉した形で水を引き上げます。パイプにはふたをし、ポンプを設置し、大きなコンクリート板で覆い、動物を入れないように周囲にコンクリートの壁を建てます。それから、人々はポンプの維持の仕方について訓練を受けます。
SI:新しいボーリング井戸が建設されると、女性の生活はどのように変化しますか。
ガルセッティ:私が決して予想していなかった現象が起きています。女性たちは突然、自分たちには時間がたくさんあることに気づきます。その時間を家族や子供たち、村の向上のために重点的に使うようになります。学校や医療を要求し始めます。女性たちは力をつけてきます。 女性たち自身がしばしば、小額融資を受けた村の起業家になります。学校やより高い生活水準という点から村全体に利益をもたらすような、信じがたい成功を見てきました。女性たちは村に、これまで手にしたことがなかったようなお金をもたらします。医療サービスを提供したり、干ばつなどの非常事態に備えて穀物を買ったりするためのお金です。すべての人が、自分自身の価値について、それまでとは違った感覚を持つようになります。
SI:小額融資のプロセスは、西アフリカではどのように機能していますか。
ガルセッティ:資金を持った様々な団体が、安全な水が利用できるようになりつつある村に入り、村人たちに小額融資──50ドル、70ドル、100ドル──を提供します。小規模の事業を始めるためにその提供を受けるのは必ず女性たちです。彼女たちはお金を返済しなければなりませんが、返済されるお金という観点からは驚異的な成功率を収めています。西アフリカでは融資の95%以上が1年半以内に全額返済されます。人々は実際に、安全な水を手にする前よりも遥かに大きな繁栄を享受し始めています。
SI:村人たちが小額融資を通じて資金を入手すると、どのような機会があるのですか。
ガルセッティ:村人たちは何でも行うことができます。女性はパン屋、石けんの製造、ろうけつ染めなどの小規模事業を始めます。人々が家庭で使うことのできる敷物やその他のものを織ったりもします。市場で売る農産物を育てたりもします。ある村では、小額融資のプログラムが、ヤギを育て売ることから成っていました。この村は6,000頭以上のヤギを売りました。彼らは皆、自分たちで達成できたことを非常に誇りに思っています。
SI:あなたは展覧会で、村の歴史を通じて初めて学校に通った女の子について話をされていましたね。そのことについて母親にインタビューを行ったとおっしゃっていました。彼女は何と言いましたか。
ガルセッティ:女の子の母親は非常に誇りに思っていました。なぜ娘を学校に通わせたいと思ったのかと尋ねた時、最初は、娘に学ばせたいという考えを持っていただけでした。学ぶことにどんな良い点があるのか尋ねました。私は彼女を少し突っつきました。ついに彼女はこう言いました。「娘はたぶん看護師になるでしょう。この村には妊娠中や妊娠後、または出産中に女性を助けることができる人はおりません。ここにそんな人がいたら素晴らしいでしょう」
SI:あなたの本の中に次のような引用があります。「私はここで8年間教えています。ボーリング井戸ができる前、生徒数は46名でしたが、今では400名です」
ガルセッティ:驚くべきことです。そのような資源を使ってできることはまさに驚くべきことです。
SI:あなたの本の序文には、ピーター・グレイク氏からの引用があります。「私たちには、水に対するすべての人の基本的必要を満たすだけの資源と頭脳と資金がある」という部分です。もしこれが本当だとすれば、世界がもっと効果的に応えていないのはなぜだと思いますか。
ガルセッティ:人々がこの問題を本当に理解しているかどうか確信は持てません。人々は西アフリカでのエイズの問題については知っています。このことについて話しているうちに気づいたのですが、アフリカの安全な水の問題については誰も知らないようです。いったん人々が知ることになれば、反応は顕著に現れるでしょう。
SI:あなたの本には、何十億人もの世界の最も貧しい人々が、信頼できる水へのアクセスを欠いていると書かれています。この問題への答えは何ですか。
ガルセッティ:本当の答えは、個人や企業や奉仕団体が関与することです。世界銀行のような西欧社会の機関をこの問題に取り組ませなければなりません。私たちが関心を抱いていることを政府にはっきりと示すならば──米国だけでなく先進国全体について話しているのですが──各国政府はおそらくもっと関与したいという動機を持つでしょう。
SI:国連機関とNGOは大きな仕事を行ってきましたが、西欧諸国政府の側にはいまだに自己満足感があり、開発途上国の問題の解決に本腰を入れるには至っていないようです。
ガルセッティ:はい、そのことについて疑問の余地はありません。理解できる部分もあります。アフリカの政府と公選された様々な役人の支援団体にはとてつもない腐敗がありました。人々はお金を提供してそれが無駄に使われるのを見たくありません。そのようなわけで、このプロジェクトのためのお金は政府役人には一銭も届けられず、NGOに届けられるのです。
SI:安全な水の問題に関して最も大きな仕事を行っているのは誰ですか。
ガルセッティ:明らかにNGOですが、フランス、英国、日本、スウェーデン、スイスも行っています。そうした国々は深く関与しています。米国は現在よりも一層深く関わる必要があります。
SI:民衆がもっと参加することを要望するならば、それは役に立つでしょうか。
ガルセッティ:はい。本や写真を購入すれば、収益金はNGOに行きます。しかし、あなたが助力できる非常に直接的な方法もあります。wateriskey.orgのサイトを訪問して10ドルかそれ以上を寄付することができます。私の目標は、少なくとも10ドルを寄付する10万人の人々を見つけることです。そうすれば、国会に行って、この安全な水の問題に私たちがもっと関与することを望んでいる10万人の個人から100万ドル以上を集めましたと言うことができるでしょう。
SI:あなたが実際のところ話しているのは世論のことですね。
ガルセッティ:はい。公選された役職者に対して民衆の圧力を加えるならば、彼らは応えるでしょう。すべての人が利益を享受するような方法を彼らに与えるならば、私たちすべてが勝利します。
SI:あなたは自著を行動への呼びかけと位置づけていますね。読者には他のどんな方法で反応してほしいと思いますか。
ガルセッティ:たくさんの方法で関与してほしいと思います。地域の新聞にせよ、地方の公共テレビ局にせよ、あるいはCNNにせよ、私や他の人々がメディア市場に参入するのを手伝うことによって、西アフリカの安全な水の問題について大衆意識を引き上げるのを手伝ってほしいと思います。民衆を安全な水の問題に目覚めさせるには、メディアによるしかありません。第二に、この本の読者や私が提示していることに耳を傾けておられる方には、この本の巻末に列挙されているNGOのいくつかについて調べて、関与してほしいと思います。最も簡単な方法はお金を寄付することですが、NGOは人々が直接関与する様々な方法を提供しています。 あなたの団体、あなたの教会、あなたの学校を関与させてください。私は来月、カリフォルニア州パロス・ベルデスの学校で講演を行うことになっています。そこの生徒たちに対して、自分たちとは経済的に正反対の状態にあるニジェールの学校で変化を起こすためには、何ができるかを理解するよう彼らの意欲をかき立てるつもりです。ニジェールでは安全な水がありません。多分、パロス・ベルデスの生徒たちには何かできるでしょう。多分、十分なお金を集めたり、ニジェールの子供たちに十分な希望を与えたりすることができるでしょう。そのようにして、彼らの生活に本当の変化を起こすことになるでしょう。
SI:あなたは本の中でこう問いかけています。「私たちがお互いに助け合うためにここにいるのでないならば、何のためにここにいるのでしょうか」と。説明していただけますか。
ガルセッティ:ある弱々しい、年配の女性が停止信号のところまで歩いてきて、道路を横断しようとしているとします。あなたはその女性の隣に立っています。あなたは彼女を助けるべきでしょうか。もちろん、助けるべきでしょう。それは、この世界には生活と繁栄のための基本的な要素──つまり、安全な水──を持たない人々がいることを知ることから、かけ離れたことでしょうか。私たちは助けることが、気軽に助けることができるでしょうか。答はイエスです。あなたは助けようとするでしょうか。それはあなた次第なのです。
詳しくは次のサイトを訪問してください: www.wateriskey.org

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