2011年――覚者の見解
2011年は多くの意味において、本号(1月、2月号)で探求されるように、重要な年であった。シェア・インターナショナル誌に寄稿してくださるベンジャミン・クレームの師である覚者の記事が、それにいかに照明を当てていたのかを振り返ってみるのは有益であろう。矛盾しているようだが、覚者は(個人的なコミュニケーションの中で)、非常に多くの人々にとって本当に困難な年であったにもかかわらず、2011年はハイアラキーの大計画にとって「これまでで最も良い」年であった、と言われたのである。それはひどい自然災害の年であり、また、物質的な豊かさに慣れていた人々にとってさえ、大きな、深まりゆく経済危機の年であった。しかし、それはまたアラブの春に始まって、世界中で民衆の声が大きく決定的に聞かれた年であった。何百万の人々が何十年ものあいだ耐え忍んできた悪政の支配からの解放を要求して、彼らは恐怖心を、死に対する恐怖心すら失くしたのである。その呼びかけは、西洋全体に広がる資本主義の貪欲に対する抗議運動の中にその反響を見た。シェア・インターナショナル誌の7・8月号に覚者は書かれた――「このユニークな時期についての歴史が書かれるとき、人々は、おそらく初めて、中東における最近の出来事がいかに重要で、いかに中心的なことであったかを認識するだろう」(「和合への道」)。そして9月に覚者は、この時代は「世界の歴史の中で例のない時である。起こっている変化は途方もないものであり、人間の理解を超えるものであり、われわれが今知っているような生活を全くそして永久に変えるだろう」(「和合へ向けた変化」)。
年間を通じて、覚者の回想はますます増大する変化――革命(レボリューション)ではなく、進化(エボリューション)への――変化の勢いに共鳴した。いつものとおり、覚者の記事は、抽象的な大きなビジョンと、世界に起こっていることについてのより具体的な、実際的な観察を並置する。年間を通しての記事を眺めてみると、最も強く浮かび上がるテーマは、いつも融合されたかたちであるが、和合と一体性;民衆の声;新しい時代の希望についての約束である。
和合
覚者は、マイトレーヤの、そして秘教の教えの本質的な教義の一つを繰り返す――惑星全体を通じて社会的・政治的レベルおよび、より深い、宇宙全体を通じてすべての界との両方における人類の本質的な和合と相互の連結である。彼はまず年の初めに、和合についてのこの包括的な理解を、世界中の政治的出来事「人類は、ひとつとしての意識を培うことにおいて、まだ共に進化しつつある」(「人間の本質的同胞愛」1・2月号)と、その後に、惑星地球の健康「われわれはお互いに調和した未来を知るようになるために、惑星自体と調和して生きることを学ばなければならない」(「人間の責任」4月号)との両方について述べている。マイトレーヤの呼びかけは、「至るところにいるすべての男女が自分たち自身を、マイトレーヤが彼らを見るように、神として、神(神聖なる存在)自体の息子と娘たちとして見ること」(「人間の責任」)であると、覚者は言われる。いつものように、覚者は、和合についての新しい理解に人類を導く鍵は分かち合いであることを強調される。「人間はついにお互いを自分自身として認識することで、兄弟たちとの距離を保つために立ててきた偽りの障壁を永遠に消し去るだろう」(「人間の本質的同胞愛」)
民衆の声
2011年に世界中に起こった抗議デモは人類の基本的な和合と一体性に表現を与え始めた。世界を変えるようなカイロのタハリール広場でのエジプト人の蜂起に続いて、覚者は、抗議者たちは「彼らの和合と力(パワー)に目覚めた」と言われた。「18日の間、毎日、マイトレーヤはカイロで、主に広場の中で多くの時間を費やされ」、抗議者たちを励まされたのである。「偉大なる主は彼らの熱情と抑制力を導き、祝福された。そして深い愛と和合の感覚がすべての人々の心(ハートとマインド)を満たした」(「民衆の声は聞かれた」3月号)。
6月までに、世界的な団結した民衆の声はますます強くなり、将来への希望と楽観を生じさせた。「かくして新しい社会」を求める「民衆の声はますます強くなり、ますます雄弁になる」。新しい社会、「それはすべての国民の自主決定(自決)の権利と、自分たちの社会と未来に参加するという民主的な権利と、適切な生活水準と医療と教育を得る権利を侵すことのできない聖なるものとする。何にもまして、人々は平和のうちに生きる権利を主張するだろう」(「将来の道筋」6月号)。覚者は西洋での抗議デモと‘占拠’運動については直接言及されないが、11月号で、やや異なったトーンで、多くの者がそのせいで苦しんでいる放任された貪欲について話をし、ここでもまた約束される――「至るところにいる人々は変化を感じており、その呼びかけに彼らの声を添えている」(「マイトレーヤの約束」11月号)。
新しい希望
「未来を難なく心(ハート)の中に抱く」若い人々の間に、とりわけ政治的和合が「新しい時代を、平和と正義と分かち合い、自由と愛の時代」をもたらすだろう(「新しい時代のあり方」5月号)。新しい時代の希望は‘裂開の剣’である愛のエネルギーの不思議な働きによって強化されている(「裂開の剣を創造する」10月号)。マイトレーヤの約束は新しい時代へ向けた進歩についてであり、若い人々のための、そして恐怖の終結のための時代である。「古いやり方は廃れつつあり、人類種族を阻害する」(「マイトレーヤの約束」)。新しい世界の創造は、若い人々の役割に多くがかかっている。「若者が道を先導する、そしてその将来は彼らのためにある」(「裂開の剣を創造する」)。マイトレーヤの約束は、「この新しい世界はやってくる途上にあるということである」(「マイトレーヤの約束」)。今年の最後の覚者の記事は静かな調子で、しかし喜ばしい楽観で終わる。
「今日の痛みと喪失感は、世界がついに正しい道の上にあるという新たな希望と満足感に取って代わる……荒野の中での長い冬が、人間を将来のより簡素で、より幸せな時のために準備させたのである」(「新たな始まりの先触れ」12月号)
われわれは2012年を期待している。