現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2011年 12月 戦争に栄光はない

戦争に栄光はない

ジェーソン・フランシスによる マイケル・フェルナー氏ヘのインタビュー
1985年に設立されアメリカに拠点を置く非政府組織「ベテランズ・フォー・ピース(平和のために働く帰還兵)」は、国策としての 戦争を根絶することを求めている。このグループは、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、そしてイラクとアフガニスタンでの最近の戦争を含 む多くの時代と紛争を経験した帰還兵からなっている。彼らのウェブサイトによると、「私たちの経験すべてから見て、戦争は始めるのは容易だが、やめるのは 難しく、傷つけられるのは多くの場合、子供である。そのため、問題を解決する別の方法が必要である」とのことである。マイケル・フェルナー氏はこのグルー プの常任理事である。ジェイソン・フランシスが本誌のために彼にインタビューした。
シェア・インターナショナル(以下SI):「ベテランズ・フォー・ピース」はどのような背景で結成されたのですか。

マイケル・フェルナー:反戦ベトナム帰還兵会というグループが1967年に創設されました。そのほとんどがベトナム戦争からの帰還兵ですが、多く の帰還兵が1980年代中頃に集まり、特定の紛争の動静に注目するだけではなく、継続的な形で帰還兵たちのために討論の場を提供する組織の結成が必要だと いう決断を下しました。そのときに人々を呼び集めたのは、中央アメリカでのアメリカの政策――エルサルバドルとグアテマラでの暗殺団や、後のニカラグアで のコントラへの資金提供――に関する切迫感でした。

SI:以前は軍の一員であった人が、軍国主義を放棄し、非暴力のために運動を起こした動機は何なのでしょうか。

フェルナー:ベテランズ・フォー・ピースになぜ参加し、何によって反戦に関心を抱くようになったかについて語った多くのメンバーから私が聞いたの は、彼らが裏切られたと感じていることです。私たちは私たちの文化において、アメリカは例外だと教えられます。私たちが紛争に関与しようとするとき、紛争 を始めたのは他の誰かであり、私たちは自由と民主主義を推進しようとしているだけであると。軍隊に入ったとき、かなりの数の人たちがそれまでに見たことが ないことを見ることになります。アメリカの真の歴史について、アメリカが長い間いかに帝国であったか、帝国がどのようなことをするのかについてもっと多く のことに気づきます。若い男女が入隊したとき、自分たちの周囲で起こっていることが、政策とかなり密接に合致し始めます。彼らは若いときに、特に軍隊に関 して一つのことを告げられましたが、軍隊に入ったとき、非常に異なる現実を見始めたと感じるのです。
私たちのメンバーの中には戦闘に参加した人もいます。戦闘に参加した人のうち、それに見合うものがあると考える人は非常にわずかです。戦争に栄光はありま せん。私たちのメンバーはそのことを認識しており、さらなる紛争や戦争が起こるのを防ぐために何かをしたいと思っています。軍隊で見たり行ったりしたこと に反対している帰還兵の多くは、必ずしも組織に参加する活動家というわけではありませんが、同じ感情を多少なりとも抱いています。
私は戦闘には参加せず、海軍病院で2年間働き、ベトナムから戻ってきた若者の手当をしました。戦争が実際にどのようなものかを見ることはショッキングなこ とです。結局、私は良心的徴兵忌避者になり、海軍を除隊しました。それは私たちのメンバーの中では稀なことです――彼らは自分たちが実際に行ったり見たり したことの現実にとても幻滅し、二度と戦争には参加したくないと思っています。

SI:アフガニスタンやイラクの占領に反対し、あるいは戦争全般に反対するアメリカの一般国民に姿勢の変化は見られますか。

フェルナー:私たちは非常に興味深い世論の進展を見ています。ここ数年の世論調査では、国民の大多数がイラクとアフガニスタンの戦争と占領が間 違っていると考える点にまで戦争への支持が低下する傾向を示しています。それが間違っていると考えるだけではなく、一般国民はできるだけ早い部隊の帰還を 望んでいます。一般国民の大多数がそう望んでいます。どのような質問をするかによっては、もっと高い割合にさえなると思います。つまり、ここ数年の間に ゆっくりと変わりつつあるのです。

SI:2011年の終わりまでにはイラクでの戦争は終わるだろうというオバマ大統領の声明についてコメントしていただけませんか。

フェルナー:約22,000人の戦争請負人がいる事実を考えると分かりますが、それは空想です。その中には5,000人の報酬目当ての武装した戦 争請負人も含まれています。彼らはイラクに残るつもりです。さらに私たちは特殊部隊がどのくらいいるかを知りません。海兵隊が大使館を警護することになる でしょう。それは世界中のすべての大使館にも言えることですが、なかでもこの大使館が群を抜いて最も大きく、最も多くのスタッフを抱えるようになるでしょ う。
また、正規の空軍も駐留することになるでしょうし、無人飛行機もイラク上空を飛んでいます。そして、かなりの数の軍艦が容易に攻撃できる範囲に留まってい ます。当面はイラク内と周辺に軍が駐留するつもりです。大統領が誰であれ、イラクの何かを爆撃することが必要であると大統領が時々考えることは確実です。 ほとんどすべての部隊を撤退させながらも、傭兵を含む22,000人の戦争請負人を残すことは、とてもではありませんが、私が戦争の終結と呼ぶものではあ りません。
この点に私たちがどのようにしてたどり着いたかというと、それは「ベテランズ・フォー・ピース」を含む平和運動と、まさに二つの戦争と占領を同時に続けようとする際にかかる費用を共に考えてみたら分かるのです。

現在の運動――
ワシントンDCを占拠せよ

SI:「ベテランズ・フォー・ピース」が現在進めている運動について教えていただけませんか。

フェルナー:私たちの努力の何よりも重要なテーマは、戦争にかかる本当の費用を公表することです。私たちは全国に120の支部があります。ベテラ ンズ・フォー・ピースが行っている活動は主に支部レベルのものです。例えば、ある支部ではメンバーたちが、イラクやアフガニスタンで亡くなった軍人それぞ れのために十字架や墓石、つまり何らかの墓標を一時的に展示し、アーリントン国立墓地(国立の在郷軍人共同墓地)のようにそれらをきちんとした列を作って 並べてきました。この展示には通常、民間人の犠牲者に関する情報も含まれています。
他の活動として、高校で新兵募集の真実について話すというものもあり、軍の新兵募集者たちがはっきりと言わない問題について私たちのメンバーが生徒たちに 話しています。軍隊が目論んでいること、生徒たちが入隊したときに直面することについて、よりバランスのとれた見方を彼らに示しています。私たちはまた、 地域の祭やパレードにも参加して、戦争にかかる本当の費用について人々と話し合い、編集者に手紙を書き、議会の議員たちに戦争への資金拠出に反対投票する よう呼びかけています。私たちはいろんなことを望んでいますが、戦争にかかる本当の費用を人々に教えることで、国民がより良い政策を政府に対してもっと積 極的に要求するようになればと思っています。

SI:「機械を止めて、新しい世界をつくろう(Stop the Machine: Create a New World)」キャンペーンについて教えていただけませんか。

フェルナー:「機械を止めて、新しい世界をつくろう」は、ワシントンDCのフリーダム・プラザの占拠につけられたキャッチフレーズです。そのため の第一歩は、ベテランズ・フォー・ピースが昨年行った行動に端を発しています。2010年12月と2011年3月に帰還兵が先導するデモが組織され、それ ぞれ100人がホワイトハウスでの市民的不服従行為として逮捕されました。彼らのすべてがベテランズ・フォー・ピースのメンバーではありませんでしたが、 この行動のきっかけについては私たちに責任があります。
人々が3月の二度目の抗議を計画しているときに、チュニジアとエジプトでの行動がちょうど始まりました。何人かが次のように考えました。「これは悪いアイ ディアではない。私たちもここでこのようなことをすべきだ」と。そのため、2011年3月のデモが終わってすぐに、アフガニスタン侵攻10周年に合わせ て、2011年10月にワシントンDCを占拠する計画を立て始めました。
ベテランズ・フォー・ピースは、同様の行動に関心を抱いたワシントンやこの国の他の地域の別の組織や活動家たちとすぐに協力し合いました。フリーダム・プ ラザの占拠の計画を立て始めた2、3カ月後に、ほとんど時を同じくして、ウォール街を占拠することが発表されました――それが始まったのは9月でした。数 カ月間をかけて計画した私たちの行動は10月6日にワシントンで始まりました。
フリーダム・プラザの占拠は今も続いています。その近くでは、ウォール街を占拠した非常に熱心なもっと小さなグループがワシントンに移ってきて、同じよう にマクファーソン公園を占拠しています。毎晩総会に参加した人たちから受けた報告によると、彼らは以前よりも一緒に働くようになり、問題を通して働き、合 意に至る基礎について話し合っているとのことです。
アメリカ中で起こっているこうした占拠の興味深いことは、それらが単に、戦争への反対、差し押さえへの反対、人々が十分な健康管理制度を受けられないこと だけを言っているのではないことです。こうした単独の問題のどの一つでもなく、それらは民主主義について、企業の規則について問うているのです。人々は帝 国のためにお金を支払い、肉体を提供することにうんざりとしており、決定は国民の利益を全く心にとめない少数のエリート集団が下していると言っているので す。人々が次のように言うのを聞くと、本当に元気づけられます。「私たちはあまりにも長い間、貧乏くじを引いてきた。政府は国民のためにまともに仕事を始 めることを要求することが必要だ」と。

SI:ベテランズ・フォー・ピースの観点から見て、平和と正義と持続可能性はどのような関係にありますか。

フェルナー:私たちがすべてのチラシや演説のほとんどすべてで言っていることの一つは、私たちが正義ある平和のために働いているということです。 この二つが切っても切れないものであることを私たちは知っています。正義なくして平和はあり得ません。そして、正義なくして持続可能性はあり得ません。世 界人口の小さな割合が巨大な利益を得ており、人口の圧倒的な大多数が費用を支払っています。この不正義そのものが持続不可能であり、私たちの持続不可能な 社会の原因の一つです。私たちは持続可能でなければなりません。さもなければ、長い目で見て私たちは死滅することになります。

SI:非暴力的な占拠運動はもっと大きな何かにつながるとお考えですか。

フェルナー:ワシントンDCのフリーダム・プラザの占拠で、末端の周りをちょっと改善するのではなく、この国に革命を起こすことがいかに必要かに ついて話し合われました。その革命をどのようなものにすべきかについて話し合われました。大量の流血を必要としない革命は成功しないと言う人たちもいまし た。しかし、そうではありません。実際、戦闘に参加した人なら誰でも、流血革命は見たくないと言うでしょう。それは、そうしようとすることがそのとき悲惨 だからというだけではなく、復讐と暴力の連鎖を永続させることにもなるからです。長い目で見れば、良いことは何も生まれません。
私たちが社会で見ている変化は、より多くの人々が、政府がこれまでとは違ったふうに国民のために働くよう要求していることです。他の組織と一緒に、ベテラ ンズ・フォー・ピースは、非暴力について語り、敵を威圧することなく彼らを説得する声の一つになろうとしています。これから始まる議論においてこのような 声を発することは、これから先の期間ますます重要になるでしょう。

さらなる情報をお求めの方は:
www.veteransforpeace.org