現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2015年 3月 化石燃料からの解放

化石燃料からの解放

ジェイソン・フランシスによる
ジェイ・カーモラ氏へのインタビュー

「フォッシル・フリー(化石燃料からの解放、Fossil Free)」は、350.orgという環境団体によって創設され、188カ国で地球的気候変動問題に取り組んでいる。それは、個人だけでなく、大学や基金、市町村、宗教や他の組織が、石油、石炭、ガスなどの化石燃料を貯蔵する企業からダイベストメントする(化石燃料への投資をストップする)よう求めるキャンペーンである。ジェイ・カーモラ氏は350.orgのアメリカ国家共同体ダイベストメント・キャンペーンのマネージャーである。ジェイソン・フランシスがシェア・インターナショナル誌のために彼女にインタビューした。


シェア・インターナショナル誌(以下SI):ダイベストメント運動の主な目標は何ですか。
ジェイ・カーモラ:ダイベストメントを通じて、私たちは民衆や惑星の犠牲の下で利益を追求している化石燃料産業の社会的権利や力に直接的に挑戦しています。私たちは化石燃料を超えた未来を創造する機会を持っており、民衆や大きな組織の指導者たちが指導力と行動力を発揮して、この産業に立ち向かい、未来に向けて動くことを必要としています。

SI:世界の石油、石炭、ガスの備蓄の大半を保持しているのは、どのくらいの企業なのですか。
カーモラ:炭素追跡機関(Carbon Tracker Initiative)が公表したリストがあります。それはフォッシル・フリー・インデックス(Fossil Free Indexes)とカーボン・アンダーグラウンド(Carbon Underground)によってさらに調査され、アップデートされ、公表されました。それは世界の石炭、石油、ガスの備蓄の大半を保持している上位200社のリストです。世界の気温を非常に危険なレベルに上昇することを防ぐためには、それらの備蓄は地下に留まっている必要があります。

SI:化石燃料企業に投資されている資金はどのくらいあるのですか。
カーモラ:何兆ドルにもなります。それは世界の資産の約10%に上ります。
化石燃料資産を座礁させ続ける

SI:「座礁資産(stranded assets)」とは何ですか。
カーモラ:その考え方は、この惑星の気温を摂氏2度以上上昇させてはならないということです。なぜなら、それによってこの惑星で進化する生命の基礎となる環境が本質的に変化するからです。摂氏2度という数字は、世界中のほとんどの政府がそれ以下にする必要について合意しています。その数字に達する前に、どのくらいの化石燃料を燃やすことができるかを私たちは計算できます。実際には知られている化石燃料の80%を地下に留めておく必要があります。これらの化石燃料を地下に留めておくか、つまりそれを売ってお金を稼ぐことができないということですが、あるいはそれらを燃やして、地球を破滅させるかのいずれかです。それらは無価値であるか、地球を熱くしすぎるかのいずれかです。ダイベストメント運動は、それらが無価値であると言います。

SI:世界的に見て、上位200社の化石燃料企業への投資をストップした団体や個人はどのくらいいるのですか。
カーモラ:ダイベストされたお金の総量は、500億ドル以上に上ります。180以上の団体、宗教団体、基金、大学、地方公共団体、650人以上の個人などです。最近、ニューヨークのニュースクールがダイベストメントに加わりました。彼らの寄与は2014年3月時点で2億2千万ドルです。これは世界で2番目に大きな大学の寄与です。

若者主導の運動を支援する

SI:フォッシル・フリーは団体や個人にどうやって化石燃料への投資をストップさせるのですか。
カーモラ:私たちは自分たちのことを、これを行う仕組みを支援するための存在と見なしています。ダイベストメント運動は、アメリカ東部とカナダの学生からスタートしました。多くの意味でこれは若者主導の運動です。私たちがいなければ運動は維持できなかったと思われるかもしれません。しかし、真実はその反対です。この若者たちによる信じられない運動は私たちを前進させているのです。フォッシル・フリーがここにあるのは、支援が必要なところに提供し、私たちのはるか先にある運動との有益なつながりを持つためです。実際、その大きな影響と関与する人々の多さのせいで、毎日ついていくのが大変です。私たちは支援が必要なところに提供し、キャンペーンを結びつけ、世代やキャンペーンを超えてリーダーシップを紹介し、世界的な取り組みの炎を煽っています。

SI:組織や団体に化石燃料のような利益の出る投資をストップさせるのはどのくらい困難ですか。
カーモラ:それは組織のタイプと、どのくらいのお金について話しているかによります。大きな資金が動くのはゆっくりです。特に年金基金はそうです。人々の生計を担っていますから。彼らは、ダイベストメントにまつわるすべての事案、とりわけ金融の事案を考慮したがります。金融資産に影響を与えることなく投資をストップできることを示す六つの報告書があります。座礁資産のような問題に関わると、化石燃料のダイベストメントは、実際には化石燃料産業の変動性から金融資産を保護します。金融の事例を聞いて、将来の世代への関心から、特に子供や孫のいる基金のメンバーは、多くの指導者を動かしてきましたし、今後もより多く動かすと思います、組織にダイベストを納得させるのは困難ですが、実はだからこそ私たちがそれをしなければならないのです。リーダーシップとはそういうことであり、変化とはそういうことです。最初は容易ではありませんが、実際には途方もなく重要な物事を行うことです。

SI:最近の原油価格の世界的な暴落はダイベストメント運動に影響を与えましたか。
カーモラ:重要なのは、それがどれほど人々の年金基金や投資に影響を与えたかということです。人々はそれらに生計と未来を依存しています。ブルームバーグ社は統計を取って、安価な石油がすでに投資家のポケットから3,900億ドルを燃焼させたことを発見しました。特に、年金基金や保険団体のような大きな投資団体の動きはゆっくりになります。他方、ウォール・ストリートは、素早く売ることができます。原油価格の下落は、民衆、特に年金基金から大量の資金を奪っています。人々が言っていることは、金融資産のためだけでなく、この惑星のためにダイベストしなければならないということです。これらの投資は長期的にも短期的にもよくない事例を促進しています。

経済に影響を与える

SI:ダイベストメントが企業自体に与える影響は何ですか。
カーモラ:企業は非常に大きな予算と、そのために働く優秀な人々を抱えています。彼らは、それが目的自体に影響を与えないと言い続けています。ですから、私たちは企業自体への影響を特に見ていません。経済全体を見ています。経済全体で見れば、ますます多くの化石燃料以外への投資オプションが消費者の需要に基づいて行われています。例えば、より多くの資本が再生可能なエネルギーに向かっています。さらに共同体への投資や自らの資産を信念に従って運用することを考える熱心な投資家が増えています。彼らは未来に関心を持っています。それが影響をもたらします。私たちが実際に影響を与えようとしているのは、前進する経済です。化石燃料会社は既得権益を持っているので、この運動が彼らに影響を与えていることの兆候を示そうとしません。
世界ダイベストメント・デー

SI:世界ダイベストメント・デー(2015年2月13-14日)について話していただけますか。
カーモラ:世界ダイベストメント・デーは、化石燃料産業を脱合法化させる地球的運動における転換点となります。その日には世界中ですべての時間帯に何千もの人々が一緒に参加する多くのキャンペーンが行われます。デモ行進、ハウスパーティーのような多くの集団行動があります。個人は、化石燃料に投資している銀行や年金基金の口座を閉鎖します。大学の学生は監視、シットインなどの直接的行動により、化石燃料から解放された未来への投資を呼びかけます。金融センターでは人々は集合して行進し、化石燃料産業とのつながりを断つよう投資家に呼びかけます。6大陸の48カ国で326の計画があります。北米だけでも、カナダからフロリダまで90のイベントが登録されています。世界ダイベストメント・デーには、化石燃料産業への幅広く深い反対運動が展開されます。

SI:さらに付け加えることはありますか。
カーモラ:ここで中心となるのは、人々がとてつもなく強力で危険で破壊的な産業に取り組んでいる運動だということです。彼らは地域社会や学校でそれに取り組んでいます。それが中心的な話です。人々はそれにあらゆるレベルで、さまざまな場所や方法で取り組み、化石燃料産業の経済と政治への支配に反対して世界中で声を上げています。ダイベストメントは世界的なメッセージです。それは若い人々によるとてつもない運動でもあります。私は指導者に耳を傾けるよう挑戦し、人々に加わるよう招いています。これは私たちの子孫に関わる問題なのです。

さらなる情報は:
www.gofossilfree.org , www.350.org ,
www.fossilfreeindexes.com