現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2013年 1月号 S.O.P(Save Our Planet)――われわれの惑星を救え!

S.O.P(Save Our Planet)――われわれの惑星を救え!

市民気候圧力団体――持続可能な気候のための政治的な意志を創造する
マーシャル・サーンダース氏へのインタビュー
シェア・ギルモア

不動産仲買人を退職したマーシャル・サンダース氏は、2007年10月に市民気候圧力団体(CCL)を創設した。このグループのウェブサイトによると、CCLは、「議会のメンバーたちに持続可能な気候のための先導者と代弁者になるよう鼓舞するために、自由投票で選ばれた役人、メディア、地域社会の人たちに力強く語りかけるようボランティアの人たちを訓練している。CCLのボランティアの人たちは持続可能な気候を進展させるために、議会のメンバーたちに会い、手紙を書き、キャンペーンに着手し、編集者や新聞の投稿論説欄に手紙を送り、論説も作成している」。
2012年12月現在、CCLはアメリカの72の都市とカナダの10の都市に市民圧力団体を持つ。CCLのボランティアたちは、気候変化の問題や税収中立の炭素税のような立法的な解決策について議論するために、過去3年間に連邦議会議員と848回の会議を開き、1,000件以上の新聞論説を書き、編集者に手紙を送り、意見記事を公開してきた。

シェア・ギルモアが『シェア・インターナショナル』誌のためにマーシャル・サンダース氏にインタビューした。

シェア・インターナショナル(以下SI):あなたが市民気候圧力団体を始めた動機は何ですか。

マーシャル・サンダース:私はマイクロクレジット・サミット・キャンペーンと呼ばれる組織に入っていました。そのグループは1997年に集まり、2005年の終わりまでに1億件の少額融資を非常に貧しい女性たちに行うことを、世界と私たち自身に約束しました。1億件の融資という目標を達成したのは、その1年後のことでした。しかし、これらの女性たちの約25%がバングラデシュの人たちで、この国の多くが事実上、海抜ゼロメートルです。私たちはここメキシコで別の5,000件の貸付を受け付けようとしているが、一方で、バングラデシュの洪水により約50万件の貸付を失うことになりそうだな、と私は考えました。それが私に影響を与えたことの一つです。
市民気候圧力団体を始めたことについては、私がアル・ゴア氏の映画『不都合な真実』を見たことから始まります。私はまたそれを観るために戻り、10日か2週間の間に3度観に行きました。私はそれに衝撃を受けました。私たちがそれほどまでに困った状況にあることを知りませんでした。その映画を観たとき、私は何かをしたいと思いました。では、私は何をしよう? ゴア氏と彼のチームが千人の人たちを訓練しようとしているのを知りました。それは2006年のことです。そして、私を訓練してくれるよう彼らに頼みこみました。そして私は訓練を受けて、プレゼンテーションを始めたのです。ある朝、台所の隅に座って、『サンディエゴ・ユニオン・トリビューン』紙を読んでいたときのことをはっきりと覚えています。私はすでに4、5件のプレゼンテーションを行っていました。新聞には、その前日に議会が石油企業と石炭企業への180億ドルの税額減免を採択したと書かれていました。それまでに私は18人くらいの人々を説得したと思いました。そしてこんなやり方はうまくいかないと思ったのです。
マイクロクレジット・サミット・キャンペーンは「リザルツ」(飢餓や貧困の最悪な面を終わらせる政治的な意志を生み出すために1980年に創設された市民圧力団体)と呼ばれる組織の一部です。私はサンディエゴでの協働者でグループ・リーダーをしていました。私は、私たちに必要なのはリザルツのような組織で、気候に関してロビーするグループだと考えました。そこで、私は周りを見回してそのようなグループがないかどうかを探しました。しかし、私自身がそれを行うか、それともあきらめるかしかないように思えました。もちろん、私はあきらめることはできず、サム・ダレイ・ハリス氏(リザルツの創始者)に電話をしたところ、助けてくれるとのことでした。私には環境問題に関心を持つ人々の住所録もなく、知らないことばかりでしたが、サムはそれについては心配いらないと言ってくれました。そこで私は、私の知っているほとんどすべての人に電話をし、29人が地域の図書館に集まりました。私たちは約3時間話し合い、三つの圧力団体のチームをつくりました。それは上々のスタートでした。

SI:CCLの役目は何ですか。

サンダース:それは非常にシンプルで明白です。私たちには二つの目的があります。一番目は安定した気候のための政治的な意志を生み出すことで、二番目は個人のそして政治的な力を発揮する上での突破口を切り開くよう人々に力を与えることです。二つ目に関しては、私が初めてリザルツと一緒に働き始め、議会の議員と初めて会ったときのことですが、議員はブルーのサージ・スーツを着て、共和党のネクタイをし、ぴかぴかの靴を履いていました。私は50歳で、公の場で何度も話したことがありましたが、言葉が出てきませんでした。力があると感じたものを前にして、何を話すつもりだったかを忘れてしまったのです。そのとき、リザルツのチームメートの何人かが私に一つ二つ質問を投げかけて我を取り戻させてくれ、かなりうまく行うことができました。

SI:ロビー活動をするためにボランティアの人たちを訓練する方法をお持ちだと思いますが。

サンダース:訓練法はあります。私たちが最初にすることは、電話での紹介に参加するよう人々に勧めることです。私たちはこの電話を毎週水曜日の太平洋標準時刻の午後5時にしており、約1時間行っています。私たちは、自分たちが何をし、どのようにしてそれをするかの基本目標を示し、グループを始めたいと思っている人たちには、翌日か翌々日に私たちに電話をかけてくるよう求め、そして次のステップに進みます。次に、私たちは詳細な指導をして、友人を誘ってグループを始めるミーティングに一緒に集まるよう奨励します。それは約3時間のブレゼンテーションで、非常に参加型のものです。彼らは下院と上院の地元の議員たちと会う練習をし、私たちが賛成している法案について多くのことを話し合います。
次に、私たちは、議会の地元の議員たちや新聞の編集局の人たちに会うようやんわりと奨励します。
私たちはまた、仲間への継続的訓練の意味で、月に一度、来賓講演者を招いて全国的な電話講演を開きます。私たちは、炭素税などの分野でのリーダーである経済学者、物理学者、科学者、エンジニアに電話に出てもらいます。私たちには、彼らに働きかける方法を教えてくれる議会のメンバーがいます。ジム・ハッサン氏(NASAの主要な気候変化科学者)は2度講演者になってくれました。そして、経済学者のロブ・シャピロ氏もです。実際に一流の人たちです。このようにして、私たちは訓練を続けます。そして、ほとんど週に1度、グループのリーダーたちが約45分話します。
多くの訓練がやる気にさせることと何ができるかを見ることです。人々はこれらのやり方を知りますが、それをやるだけの力量が自分にあると思えないので、やらないのです。彼らはそれがこれまで行われてきたことを知りませんでした。そのため、私たちは現場から報告を受け、例えばオクラホマ州ノーマンのグループが『デイリー・オクラホマン』紙に意見記事を載せてもらったことを彼らに知らせます。また、クリーブランドのグループが『クリーブランド・プレイン・ディーラー』紙に論評や論説でさえ掲載してもらったことを知らせます。彼らは考え始めます、「そうか、彼らにできるのなら……」と。そのようにして人々に可能性が生まれます。
私たちは彼らに、成功だけではなく失敗についても語ってくれるように言います。もし彼らが成功だけについて語るならば、「ああ、私にはそんなことはできない」というようなことになるからです。しかし、彼らが意見欄の編集者に10カ月の間に14回電話をしても誰とも話せなかったが、何らかの理由で編集者が偶然電話をとり、手短に会話をすることができたと言われたならばどうでしょう。もしあなたが仲間たちにそのように語ったなら、「そうか、それなら私でも失敗することもありますね」と言うでしょう。

SI:近くにグループがない場合、個人でも参加できるのでしょうか。

サンダース:できます。個人の人たちは全国用の会議電話をかけ、ウェブサイトを見て、アクションシートをダウンロードすることになるでしょう。毎回全国電話用に3、4ページの素晴らしいアクションシートを載せています。そこには、その月に電話をする講演者の名前、人物紹介、主題が何か、そして人々に求められる2、3の行動が書かれています。そこには、議会のメンバーたちに伝え、編集者や意見欄に手紙を書いてほしいと私たちが思っている(その月の最も重要な考えを載せた)短い話が書かれています。アクションシートにはまた、議会のメンバーや新聞に送る手紙の例が書かれていることもあります。そのため、簡単に書くことができます。
政治的な意志をつくり出すことは団体競技だと私は確信しています。誰も非常に長い間それを一人でできるとは思えません。なぜなら、やる気が失せてしまうからです。あなたが社説欄の編集者に10回電話をし、誰にも話を聞いてもらえなかったとして、あなたに話しかけて勇気づけてくれるチームがなければ、あなたはそれを続けることはできないでしょう。そして、議会のメンバーたちに会おうとし始めたとき、一人で行きたいとは思わないでしょう。何を言うつもりだったか忘れてしまうかもしれません。私たちは多少なりともお互いのためにそうしています。チームメートに親近感を覚え──フットボール・チームのように──、一緒にゲームを楽しむのです。

SI:必要な大勢の人たちが関与し、結果を得ているのですか。

サンダース:私たちの人数は毎年倍増しています。議会のすべてのメンバーを楽に訪問することができるほどです。2013年の終わりまでには50の州すべてにグループができると思います。今できているのは33州です。過去3年間に、私たちは1,000件の記事を発表しました。今年の国際会議には400人の参加が期待できると思いますが、それは適切な数字と考えていいでしょう。
私たちに訴えかける力があると私が考える理由の一つは、私たちは党派心が強くなく、対立的ではなく、力で勝とうとしていないことです。私たちは友人になるよう試み、人々の最高の関心事に訴えかけています。私たちは、真実は私たちの側にあると思っており、そう言い続けていますが、私たちはフレンドリーです。私たちは常軌を逸した否定者ではありません。私たちは、彼らを中傷するつもりはありません。私たちは、彼らと友人になろうとし、彼らに語り続けています。
長い間(1800年代には)、議会で奴隷について語ることは禁じられていました。それはタブーと呼ばれましたが、私たちは同じことに直面してきました。議会では新しい税金について語ることは禁じられ、気候変動について語ることも禁じられているようです。しかし、約3週間前、アラスカ州のマーカウスキー上院議員が市中の炭素税は話題になっていると言いました。その後、非常に保守的なアメリカンエンタープライズ公共政策研究会が、国際通貨基金、ブルッキングズ研究所ともう一つのグループと共同で、炭素税に関する終日のセミナーを開きました。このようにして、沈黙が破られました。私たちはそれに関して大きな役割を果たしたと考えています。

SI:それがこのグループの最も重要な業績だと思われますか。

サンダース:私はそう思います。ワシントンでの炭素税に関する沈黙を破ったのですから。私たちは1トン当たり100ドルから130ドルの税金を得るために税金を徐々に上げることに賛成です。それは二酸化炭素の排出を減少させるための土台石になり、その税金は実際に、二酸化炭素とメタンやヒドロフルオロカーボンのようなそれに同等するものに対するものになると私たちは考えています。

SI:適正な炭素税法案が作成され、次の議会で可決されることもあり得るとお考えですか。

サンダース:そうです、それが私たちの目標です。起こり得るでしょうか? それはどうだか分かりませんが、私が持っているすべてのもの──財産と時間──をそれにつぎ込むつもりです。仲間も同じでしょう。私たちには今、これらの全国電話作戦に約500人の仲間がいます。私たちに反対する多くの権力もありますが、私たちは踏みとどまります。私たちは立ち去るつもりはありません。

SI:変化のために必要な牽引を得るためには、環境に関わるすべての組織が共同で努力して一緒に働くことが重要なのではないでしょうか。

サンダース:私たちには非常に重点的な解決策があり、私たちはこの運動全体の不可欠な要素だと信じています。私たちにすべてのことはできません。私たちが、炭素税と払い戻しに非常に切迫した焦点を合わせ続けるためには、大規模な運動とそれに必要なすべてのことに注目を向けることは難しいのです。私はCCLを槍の先のようなものと考えています。税収中立な炭素税は行われなければならないことです。それは基礎的な要素です。しかし、私たちすべては一緒に活動していると私は考えています。すべての人たちが自分たちの役割を果たしているのです。

SI:私たちは勝利するのでしょうか。

サンダース:私は世界中の霊的な書物を広く読んでおり、あなたに読んであげたいものがあります。これは、スリ・クリシュナがアルジュナに語っていることです。「成功に対してあるいは失敗に対していかなる権利があなたにあるのか。どのような結果があなたにとって最良かを私に言う権利があなたにあるのか。一生懸命に働き、無私無欲な目標を選び、最善を尽くし、心を尽くし努力のすべてをそれに注ぎなさい。時が来たときに、あなたの行動の果実をあなたに与えるかどうかは、私次第なのだ」

SI:人々はどのようにして手助けすることができるのですか。

サンダース:人々にできることはたくさんありますが、もし私たちが公序を導入しなければ、他のことは重要ではなくなるでしょう。私たちには公序が必要です。人々が絶望や無力感を捨てることが必要です。自分たちを教育し、人々のグループに参加し、公序がアメリカ議会に生まれつつあることを認識することが必要です。私たちは、世界のリーダーであり、政府に接触でき、民主主義と対話力とインターネットを持つ類い稀な立場にいます。私たちはこれらすべての道具を使うことができます。さあ、それらを使いましょう。

SI:気候変動に関してあなたが話したいことは他にありますか。

サンダース:私たちは絶対に目覚めなければなりません。すべての人たちが氷が溶けつつあることを知っていますよね。氷が溶けないようにするにはどうすればよいのでしょう。温めるのをやめて、冷せばいいのです。もし氷が100万分の390ppm(大気中の現在の二酸化炭素濃度)溶けたならば、それを350ppmに戻すことが必要です。そうです、ただ排出を減少させるだけではなく、濃度を減少させるのです。私たちはそうする必要があります。人間は責任に目覚めなければなりません──私たち自身の小さな自我のためではなく、すべての生命のためにです。すべての生命です。私たちはすべての生命に対して責任があります。
率直に言って、人間の変容が必要です。究極的にそれが問われているのです。C・ライト・ミルズからの次の引用を聞いたことがありますか。「私たちの時代において、争点になっているのは人類の性質そのもので、私たちが私たちの限界と可能性について持っているイメージである。歴史ではまだ、人間であることが何を意味するかについてのその調査は行われていない」。私たちは、人間がすべての生命に対する責任を学ぶことができるかどうかを見ているところだと思います。人類は目覚めつつあり、それはCCLの第二の目的が意味すること──目覚めです。あなたには責任があり、あなたには持っていることを知らない力があります。それを使いましょう。

さらなる情報をお求めの方は──www.citizensclimatelobby.org

S.O.P. ――われわれの惑星を救え!
知恵の覚者の言葉によると:
「戦争とは別に、汚染ほどすべての人間の未来に非常に深遠な影響を与えるものはない。ある国々はこの事実を認めて、汚染と地球温暖化を制限するステップをいくらか取っている。他の国々は、ときには汚染の主要国が、地球温暖化の現実を、圧倒的な証拠があるにもかかわらず、否定する。今や、日ごとの気候の変動は、惑星が病んでおり、その均衡を取り戻すために即刻、熟練した看護が必要であることを、疑いの余地なく証明している。この惑星地球が毎日被っている変質を停止させるために残された時間は切れつつある。すべての男女が、子供が、この仕事に彼らの役割を果たさなければならない。まさに時間はない。S.O.P.―― われわれの惑星を救え!」
〔「われわれの惑星を救え!(S.O.P.――Save Our Planet!)」2012年9月8日、――覚者より? ベンジャミン・クレームを通して〕

炭素税と配当規制の提案
石油、ガス、石炭が燃やされたとき、強力な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)が大気中に排出される。炭素税と配当規制は、燃料が生み出す二酸化炭素のトン数に基づいて料金を課すものである。その源──鉱泉、鉱山、輸入港──が収集され、料金は最初は低く、そして環境によいエネルギーが化石燃料に負けなくなるまでに毎年増加される。料金の具体的な金額は議会によって決定される。徴収された料金は100%、国民に還付され、クリーン・エネルギーへの転換の財政的影響から国民を守る。化石燃料の価格高騰とその結果としてのグリーン・テクノロジーへの投資の流れがグリーン・エコノミーへの移行を加速させるであろう。