現在位置: ホーム シェア・インターナショナル記事 2012年 11月 次の世代が声を上げる

次の世代が声を上げる

タカイヤ・ブレイニーへのインタビュー
ゲーリー・ドーコ

タカイヤ・ブレイニーさんは、スライアモン先住民族(カナダ)出身の11歳の環境保護活動家、女優、シンガーソングライターである。2009年以来、持続不可能な開発に反対するよう、特にブリティッシュ・コロンビア州全域を横切り、先住民族の土地にもかかるエンブリッジ社が建設を計画しているパイプラインに反対するよう、人々に積極的に促している。タカイヤさんはカナダ各地で、そして世界中至るところで話をし、歌ってきた。彼女は国連環境計画(UNEP)が後援するインドネシアでの「リオ+20への道」会議に出席したほか、2012年6月にリオデジャネイロで開催された国連地球サミットそのものに代表として派遣された。彼女の考えでは、必要とされるものは「地球革命」にほかならない。ゲーリー・ドーコが本誌のために彼女にインタビューを行った。


シェア・インターナショナル(以下SI):あなたは、自分の心配や希望についてのメッセージを伝える歌を書き、歌っています。このことについて話してもらえますか。

タカイヤ・ブレイニー:私は4歳の頃からずっと歌ってきましたので、それは私が情熱を注ぐものの一つになっています。アルバータ州のタールサンドからブリティッシュコロンビア州を通って太平洋岸までの建設が計画されているノーザーンゲートウェイ・パイプラインについての新聞記事を読んだとき、政府とCEO(最高経営責任者)は私の文化を、はるか昔から何世代にもわたって受け継がれてきた太古からの文化を台無しにしようとしていることを知り、ショックを受けました。もしオイルがそこで流出すれば、私たちの聖なる水源も分水路も完全に破壊されてしまいます。水路は、私たちの文化の通路なのです。そこは、サケが住むところでもあります。サケは私たちの文化の大きな部分です。
ですから、もし一つのものを取り出せば、生態系全体を取り出すことになります。ドミノ倒しのようなものです。揺らせば、すべてのものが倒れ始めます。雪崩に直撃されたり山火事に巻き込まれたりする危険があるのに、ロッキー山脈にパイプラインを通そうとするなんて信じられません。「もし」流出が起こったならばという問題ではなく、「いつ」流出が起こるかという問題です。
私は、自分が大好きな、歌うことを通してメッセージを伝えたいと思いました。それで、「浅瀬(Shallow Waters)」という歌を書きました。パイプラインやタールサンドからオイルが流出すれば、将来、私たちにどのような影響が及ぶのかについての歌です。その歌が伝えているメッセージは、もし私たちが何もしなければ、すべてなくなってしまうだろうということです。

SI:ノーザンゲートウェイ・パイプライン建設計画について声を上げた結果、バンクーバーやブリティッシュコロンビア州ではどのような反応がありましたか。

ブレイニー:ブリティッシュコロンビア州には、地球上でも珍しい美しい大自然がありますから、私たちの土地を手つかずのまま残しておきたいと願う人がたくさんいます。ゴミを踏みつけることなく歩いていける森があります。夜には星が見えます。そのようなところにパイプラインはいりません。
そこには利益という動機があります。私たちの文化がお金の力の周りを回っているのは悲しいことです。多くの人にとってお金は非常にまばゆく見えることがあります。多くの人はお金儲けしか頭にないからです。
ですから、反応は半々だと思います。私たちの半分は大地や水路、空について本当に気遣っていますが、もう半分は利益が頭にあります。そういう人たちが大地を破壊したくないと思ったとしても、こうした美しさを永遠に失うという可能性を利益が覆い隠してしまうのです。

SI:あなたとお母さんはバンクーバーにあるエンブリッジ社本部へ行って、彼らと話そうとしましたが、建物に入ることを許されませんでしたね。

ブレイニー:それは私にとってとても理解しづらいことでした。私が当時10歳だからといって(今は11歳ですが)、私を中に入れてくれなかったのです。私は自分の心配を表明することを楽しみにしていましたので、とてもがっかりしました。それは、私がエンブリッジ社に対して取った最初の公の行動でした。10歳の子とは話をしたくないということがはっきりしたので、かえってよかったと思っています。それは、エンブリッジ社の印象を本当に悪くすることだからです。

SI:あなたはその後、エンブリッジ社のCEOに手紙を送りました。彼はその返答の中で、このプロジェクトはあなたのような次の世代のために雇用やエネルギーを提供するものだと述べていましたね。

ブレイニー:パイプラインはお金によって駆り立てられていると思います。私の世代のためにそのようなことを行っているとは言っても、私が彼のような年齢になってから、釣りに行って三つの頭のある魚をつかまえたくはありません。クークパ〔祖父〕が話していたことをやり、ここにある手つかずの大自然を楽しむことができればと思います。ここは動物だけでなく、私たちにとっても故郷であるからです。人々は、ここが私たちにとっても故郷であることを忘れがちです。私たちはただ遮蔽壕を借りて、そこに未来永劫住むことはできません。私たちが汚染し破壊するすべてのものにより、私たちは母を、母なる大地を傷つけているのです。それはやがて私たちに跳ね返ってきます。それなのに、私たちは何をしようとしているのでしょうか。
ですから、私の世代やまだ生まれていない世代のためにオイルで浸された大地を残したいのか、それとも、私たちが遊ぶことのできるきれいな手つかずの野原を残したいのか、ということが大きな問題なのです。私はこの大地を新鮮できれいにしておきたいと思っています。私は地球を守りたいのです。彼らはそれを未来のためのプロジェクトだと考えるかもしれませんが、私が見る限り、それはまさに破壊であり、私たちが救うことができるものへの嘲りの沈黙なのです。

SI:あなたの先住民族としての背景と、それがあなたの環境に対する見方にどのような影響を与えてきたかについて話してもらえますか。

ブレイニー:クークパと父は海辺や湾に行ってニシンを捕り、クジラが泳ぐのを見たという話をよく私にしてくれました。海水が手つかずのままであれば、二人はニシンや海草が毒を持っているかどうかを心配する必要はないでしょう。父は、いのちと大地と水は聖なるものだと私に語りました。この教えは、クークパや遠い先祖たちから私に伝えられました。今では、このような話を聞くと悲しくなります。なぜなら、二人が話すようなことは2度とやれないのではないかという思いに駆られるからです。私たちは、ニシンが産卵しているときの海水を表すトシュスムという名前の村から引っ越さなければなりませんでした。村は製紙工場の建設のために水浸しにされました。

SI:幾つかの演説の中で、あなたは「地球の癒しと伝統の癒し」について述べています。

ブレイニー:私たちの文化では、すべてのものが結びついています──大地、水、空気は全体の一部であり、分離していません。「浅瀬」という歌に込められたメッセージの一つは、もし何もしなければ、すべてなくなってしまうだろうということです。何十年もの間、地球を汚染し続け、そのような多くの破壊を行ってしまった今、癒しの時期を迎えている、と私は信じています。もしこの世界に存在し続けたいと思うなら、破壊の代わりに多くの癒しが行われるべきです。たくさんの人手が必要かもしれませんが、すでにいくつかの解決策があります。太陽光、地熱、風力があります。そのようなより持続可能な変化に向けて方策を講じなければなりません。企業や政府が物事を変えてくれることを待つことはできません。私たち自身が変化にならなければならないのです。

SI:あなたは最近の国連持続可能開発会議(リオ+20)に参加されました。その会議での体験について話していただけますか。

ブレイニー:私は行くことになってわくわくしていました。各国政府と世界の代表者が集まり、あまり行われない持続可能性についての話し合いが行われる時間になるだろうと考えていたからです。「すごいことだ! 私たちはついに、重要な事柄に関して行動を起こすことになるのだ」と考えていました。しかし、そこに着くと、とてもがっかりしました。それは企業主体の会議だったからです。私たちは、大きな白い文字で「ペトロブラス」と書いてある大きな黒いバスで到着しました。それはブラジルの大きな石油会社の一つです。地球サミットの記念ダイヤモンドも売っていました。なけなしのお金をはたいて自分たちの村からはるばる旅してきて、石油会社と、採掘によって自分たちの地域社会に及ぼされる影響に抗議していた人々にとって、それは非常に偽善的に映りました。コカコーラ社のような最悪の企業のいくつかがスポンサーになっていました。
サミットに参加したことについては、幾つかの肯定的な側面もありました。大地と水は聖なるものであるという同じ教えを自分たちの文化の中に持つ、私のような先住民と会いました。彼らは、土地を水没させる恐れのある水力発電ダムや、資源をめぐって争い、生活様式を脅かす企業のような、カナダの先住民の多くと同じ問題に直面しています。ですから私は、同じメッセージを伝えようとし、同じような力を獲得した各地の大勢の人々に会うことになりました。アマゾン出身の酋長と会ったことは驚きでした。そのような人と日常生活で会うことはないからです。それは私にとって非常に勇気づけられることの一つでした。さらに、地球と世界のために同じビジョンを抱く子供や若者にも会いました。自分一人だけで戦っているのではないと知るのはうれしいことです。私は、同じような情熱と気遣いをもった私と同じ年齢の人々と一緒にいるのです。

SI:あなたは演説や歌の終わりにこう言われることがあります。「主張する声をあなた方は持っています、それを聞かれるようにしてください。あなた方は才能を持っています、それを分かち合ってください」と。それについて話してもらえますか。

ブレイニー:創造主は私たち一人ひとりに才能を授けてくださったのだから、その才能について感謝し、それを隠しておくべきではない、それを分かち合うべきだ、とお父さんはよく語っていました。お父さんはまた、私は主張する声を持っており、怖がるべきではないと私に言いました。心配と情熱を持っていたら、正々堂々と意見を述べて、他の人に自分の声が聞こえるようにしなさい、と。ですから、私は人々にそう言います。自分の意見を述べるのを怖がっている人々、特に子供が──そして大人も──いることを私は知っているからです。
私が同じ年齢の人たちに言うことは、私たちは今日の世代だと呼ばれているということ、「今の世代」だということです。採掘し、開発し、ドリルで未来に穴を開けようとしている企業は、私たちの未来や大地、空気、水に値札を付けています。彼らは永遠にはここにいないでしょう。いつか、その大地を私の世代の子供たちや、まだ生まれていない子供たちに手渡さなければならないでしょう。私たちに何を手渡すのでしょうか。木が切り払われた森、沈殿池化した川、かつては美しかった瓦礫化した山を手渡すのでしょうか。それは、私が期待している未来ではありません。多くの子供たちが大人になるときに期待する未来ではありません。私たちの未来なのですから、私は人々に、自分たち自身の未来を取り戻すように言うのです。

SI:あなたは若い人たちに語りかけています。彼らに思いを届けるために、いろいろな学校に行きますか。

ブレイニー:私は自分のメッセージを子供たちだけに向けているわけではありません。私たちはすべての人を必要とするからです。変化を生むためにたくさんの人が必要です。できるだけ多くの人が必要です。政府や企業は、持続可能な未来に向けて方策を講じてはいないからです。私たちは自分たちでそうした方策を講じる必要があります。私はWE CANADAと呼ばれるリオ・サミットのグループと一緒にカナダを横断する列車旅行に参加し、様々な小学校で話をしました。同じ年齢の子供たちに思いを届け、彼らができることについて教えることができたことは、とても良い体験でした。

SI:読者と分かち合いたい考えは他にありませんか。

ブレイニー:自分自身の未来のために立場を公言するのを恐れないでください。立ち上がり、声を上げ、あなたは若すぎると人々に言わせないようにしてください。世界で最も賢い人間になる必要はありません──私は世界で最も賢い人間ではありません。しかし、あなたに情熱と関心があれば、頑張ってやってみるべきです。

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地球革命
タカイヤ・ブレイニーとアイリーン・デ・ラ・クルスによる歌

遠くから見れば
まだ何百万マイルも行かなければならない
変化をもたらすには
それが、私が持ちたい唯一のトロフィー。
諸国の状態は
汚染、貪欲、戦争に毒されている
解決策があることを私たちは知っている
行動は言葉よりも雄弁だ

明日まで待つのをやめよう
昨日を生きるのはやめよう
明日は来ないかもしれないから
もし私たちが今日、変わらなければ

私たちは今の世代、未来の子供たち、地球の革命
創造物が叫んでいる、私はその痛みを感じる、歩いて行ってしまうことはできない
壊れたものを直し、私たちが奪ったものを戻すために、私は自分の役割を果たす、
新しい時代の夜明けを願って
一人ひとりに呼びかける、地球革命のために私に加わって、と

最後まで頑張ろう
私たちは強力な何百万という声
抵抗に遭うかもしれない
でも、善と悪を選択する機会がここにある

私はこの偉大な大地を歩いてきた、かつては美しく、かつては故郷であった大地を
私は川が干上がるのを見てきた、そしてコミュニティーは故郷を持たなくなった
鳥や木々はどこに行ったのか
彼らはそれらをコンクリートの夢で置き換えてしまった
私たちはこれを逆転させることができる、私たちはたった今、これを解決することができる。