アメリカの運命と役割――選集

The destiny and role of America ── a compilation

「アメリカの運命と役割」というテーマに関する引用文の選集を掲載する。引用文は、マイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』と『いのちの法則』)、アリス・ベイリーを通してのジュワル・クール覚者の言葉(『光線とイニシエーション』と『ハイラーキーの出現』)ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第1巻と第2巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。

 世界は本当にアメリカの魂の特質が顕現するのを待っている。そうなるとき、アメリカは世界全体としての必要を真剣に考えるだろう。マイトレーヤの教えの影響の下に、初めて、その見解を広げるだろう。マイトレーヤがアメリカの魂の様相を喚起し、アメリカが豊かに保持する資源を分かち合うように鼓舞するだろう。その結果は、世界規模での新しいマーシャル・プランである。それはこの国の国民としてのあなたたちの前に掲げ得る最も望ましいことの一つである。アメリカは偉大な国家である。ひどいこともやってきたが、それは他の諸国も同様である。アメリカは若い国家であり、したがって時には手に負えなくなることも予期される。しかし非常に強力で、非常に大きく、非常に金持ちなので、世界に途方もない影響を持つのである。その影響は、その国民の知性と創意の自然な流出である。

(『多様性の中の和合』)

 アメリカのみではなく世界中で、人々は変化の必要とその可能性に目覚めつつある。政治家や経済学者たちは現状を景気の“下降期”とか“後退”と呼ぶ。本当には、われわれは古い秩序の最後のよろめきのステップを目撃しているのである。規制されない競争と貪欲は人間にとって最も安全な道ではないことを、そのような物質主義教理は軽率な者たちに対して“すべり易い坂道”をつくり、そして究極的に、今日のような世界的危機をつくり出すということを、大勢の人々が認識しつつある。……
 諸国の民衆にとって変化への機は熟している。彼らは変化とより意味深い人生を求める。マイトレーヤは人間に本質的なものを思い出させるだろう──それなしには人間の未来はない。すなわち、正義と平和である。そしてその両方への唯一の道は、分かち合いを通してである。

(『覚者は語る(2)』── マイトレーヤの最初のインタビュー ──より)

 あなたがたがわたしを見るとき、神の本質が光と愛と意志であることを知るようになる。これらの聖なる様相があなたを通して反映されるように。そうなるとき、わたしはあなたを通して働くであろう。わたしはあなたを必要とする。あなたがた、すべてを必要とする。人間に信と喜びを回復させ、地球上の貧しい人々に、必要な資源を解き放ち、均衡を取り戻すために、この世界を再建する仕事を、わたしと分かち合ってくれるすべての人々を必要とする。わたしの役割は、あなたがたに方法を示すことである。あなたがたの役割は、行動し、わたしの計画を実施することである。わたしはあなたがたを信頼することができることを、頼むことができることを知っている。わたしの愛がすべての者を包む。

(『いのちの水を運ぶ者』第76信より)

 アメリカ合衆国(魂2光線、パーソナリティー6光線)は、魂のレベルからは、世界の和合と平和に深い、真摯な願望を持つ。しかし、アメリカはあまりにも若い国であり、大きく、強力であり、グラマーに満ちたパーソナリティーのコントロールの下にある。彼らの理想は和合と平和であり、それを世界に表示していると想像している。すべての国が、経済、政治、宗教においてアメリカの先導に見習うとき、必然的に平和はその結果として起こると信じるのである。その姿勢で、アメリカは世界を支配しようとして、平和の名の下に繰り返し戦争をしてきた(朝鮮、ベトナム、イラク、アフガニスタン)。アメリカがこのグラマーを克服して、第2光線の魂の影響が世界の諸事に顕されることを、世界は待っている。
 これが起こるとき(おそらくキリストによる大宣言の前ではないだろうが)、アメリカの魂の和合への生来の願望が行動へと活気づけられるだろう。そして総体への奉仕というアイディアが現在の支配への欲求に取って代わるだろう。世界の壮大な再建設が、数え切れない多くの個人によって始められるだろう。奉仕への欲求が、今のアメリカのあらゆることにおける優越感に取って代わるだろう。そして本当の平和の時代が訪れるだろう。

(『覚者は語る(2)』──「和合」についてのさらなる考察──より)

 わたしにあなた方を助ける機会を与えてください。そのためにわたしはここに来たのである。もしあなた方がわたしを受け入れてくれるなら、あなた方をあなた方の運命へと導こう、この世の始めから定められている、その運命へと。すべてはあなた方にかかっている。あなた方がそれを可能にする歩みを踏み出さなければならない。兄弟姉妹たちよ、わたしたちは自分たちをひとつと見なければならない、そしてすべての者のために共に働かなければならない。わたしたちは表面的にどう見えようと、別々な存在ではない。わたしたちはひとつのグループであり、わたしはその一員である。わたしはそのために、わたしのいのちのすべての瞬間を捧(ささ)げている。……
【フランスのパリで、ラジオ番組「Ici & Maintenant(今ここで)」でのインタビューの終わりにベンジャミン・クレームがマイトレーヤから受け取ったメッセージ】

(シェア・インターナショナル誌2010年5月号より、
『覚者は語る(2)』収録)

 第6光線の理想主義がアメリカの生活を支配しています。アメリカはそのパーソナリティーの器を通して生きています。それが今日の現実です。欲望原理が極端に強力であり、アメリカの人々を通して表現されています。富、お金、支配への欲望、そして最高で最大であること、勝つことへの欲望です。これはすべてパーソナリティーの欲望です。アメリカの(国家の魂を支配する)第2光線の志向は全く違ったものです。それは世界に奉仕し、世界を助け、より良い場所にしようとすることです。しかし、それにはほとんど機会が与えられていません。なぜならパーソナリティーがあまりに強力で、すべてに浸透しており、魂の様相はあのマーシャル・プラン〔第二次世界大戦後のヨーロッパの復興を目指して行われたアメリカ合衆国の経済支援、「ヨーロッパ復興計画」〕のときのように、たまに表現されるにすぎないからです。

(『生きる術』)

 マイトレーヤの教えがアメリカ合衆国の理想主義的魂を目覚めさせ、喚起させるだろう。そしてアメリカの最良の市民たちを、彼らがいつも心(ハート)に抱いてきた光に向けさせるだろう。彼らは世界中の兄弟姉妹たちと協調して、マイトレーヤに鼓舞されて、一致して、待っている世界に正義を、したがって平和をもたらすだろう。

(『覚者は語る(1)』──待っている世界 ──より)

 もうすぐ、あなたがたは、具体的事実としてわたしを見るであろう。あなたがたはわたしの存在を知るだろう。もしあなたがたの反応が、わたしの希望する通りであるならば、我々は出会い、友達として一緒に働くであろう。わたしの意図は、人類の窮地を乗り越える答えを、あなたがたの前に提示し、すべての人間にとって、未来は信じ難い約束をはらむことを示すことである。あなたがたの神性を解き放ち、生得の権利を受け継ぐための道を、わたしの兄弟である覚者たちと共に、あなたがたに示す。わたしの計画は、人類を真なる価値に、その真なる可能性に目覚めさせ、すべての人の裡〔ルビ:うち〕に聖なる神の子が宿ることを示すことである。

(『いのちの水を運ぶ者』第24信より)

質問:いま現在、米国が対処すべき重要な問題は何ですか。

覚者:現在の時点で、米国の主要な任務はその魂を見つけることであり、そしてそれと共に、支配することではなく、世界に奉仕することの必要を見いだすことである。今日、米国はそのパーソナリティー表現に集注しているので、真の奉仕がその政策にほとんど顕示されていない。分離主義、利己主義、貪欲〔ルビ:どんよく〕があの偉大な国の行動の多くをまだ条件づけている。ソ連の消滅がこれらのグラマー(錯覚)をさらに大きくした。米国にとっての前進の道はその多様な資源と才能とエネルギーを世界共同体のために供し、諸国家を新しい、生存可能な世界の創造へリードすることである。世界はそのような目的の成就を待つ。しかしながら、この非常に望まれる行動はキリストの出現とその受け入れを待つようになるのかもしれない。

(『マイトレーヤの使命 第3巻』)

今は、アメリカのみがスーパーパワー(超大国)なので、異なった世界を創造していく責任があるのです。アメリカは国家の魂の様相である第2光線が示顕するときのみそれを果たすことができるでしょう。
 それは誰を通して示顕することができるのか。弟子たちやイニシエートたちを通してのみ示顕することができます。なぜなら彼らがその国の魂の様相に表現を与える人々ですから。アメリカが経済的な意味でつくり出したグローバリゼーション(世界化)に沿う世界的規模の協力についてのアイディアを、教えを、鼓舞させる想念を前面に押し出していくのはイニシエートと弟子たちにかかっています。その政治的な対応物をつくり出すだけ十分な善意と信頼がまだ国家間に存在しません。ですから市場フォース(エネルギー)に沿った競争精神、すなわち人生のあらゆる面の商業化(それは市場エネルギーの一部です)が支配しています。……
 人類の霊的危機は今日、政治と、特に経済の分野を通して集中しており、そこで解決されねばなりません。ということは、魂の様相、霊的な様相が持ち込まれねばなりません。

(『協力の術』)

 そこに西欧世界の過失がある。これらの“成功した”国々はその富と支配力を主に歴史に負うており、また世界経済を強引な“市場のフォース”を通して彼ら自身に有利なように操る彼らの能力に負うのである。世界の哀れな極貧の者たちは、今や自分たちの分け前を要求する。もしわれわれがこの単純な正義への当然の権利に対処し改善しなければ、世界に平和はないだろう。テロリズムは嵩じて、戦争に発展し、それは地球上の人間の未来を脅かすだろう。
 あなた方の兄たちであるわたしたちは、まさにこの世界の未来が脅威にさらされているのを傍〔ルビ:かたわ〕らに立って眺めていることはできない。アメリカは世界に提供できる多くの良いものを持つ偉大なる国である。アメリカは今、奉仕し、平和と正義の中に生き、そして調和と協力の中ですべての国々と一緒にこの世界をつくり直すために共に働くことを請い願うアメリカの魂に目覚めなければならない。

(『覚者は語る(2)』──アメリカの選択──より)

 アメリカは愛そうという意志を表現している。その意志は、大きく異なる要素を吸収しながらも、すべての人に平等な機会を与える能力に示されている。……使われる方法は緩やかな調整ではなく、迅速な同化という方法である。この国においてはまた、民衆がハイラーキーの影響に非常に敏感である。

(アリス・ベイリーを通してジュワル・クール覚者、『ハイラーキーの出現(上)』AABライブラリー)

 人事に、国事に、人間関係の中に、愛と正義が必要であることを彼らに語る。そしてこの崇高なる愛と正義なしには、すべての人間が滅びることを示す。わたしの望みは──いや、我が兄弟よ、わたしの知るところでは──人類はわたしの召集に応えるであろう。そうなることを、わたしは知っている。人間の裡に聖なる存在の宿ることを、わたしは知っている。愛と正義が勝利すべきであるというのは、その裡なる存在の計画によるものである。そうであるから、結果は保証されている。

(『いのちの水を運ぶ者』第77信より)

 アメリカは偉大な国であり、さらに偉大な国になるでしょうが、悲しいことに、その運命を逸脱しており、自分の理解していないフォースを弄んでいます。アメリカは若く、強く、極端に傲慢な国です。それは若者、特に強い若者の傲慢さです。より年長の、賢明な国家がアメリカの行動に反対の声を上げるべき時です。
 最良の方法は、分かち合いを受け入れるよう促すことです。分かち合いと正義は世界に均衡とバランスをもたらすでしょう。

(『多様性の中の和合』)

 私たちが待望しているのは、アリス・ベイリーを通してジュワル・クール覚者が述べたように、アメリカの魂の第2光線の愛の顕現です。アメリカの魂の様相が示顕するとき、それは世界から競争を除去するでしょう。これまではアメリカのパーソナリティーの面──貪欲で強引で重苦しく、法規を敷くのがうまくて、非常に競争的な第6光線のエネルギー ──が主に示顕してきました。

(『協力の術』)

 ジュワル・クール覚者はアリス・ベイリーを通して、問題と可能性について次のように説明している。「アメリカでの衝突は、ほとんど無責任と放縦にまで登り詰めた自由への愛と、世界奉仕と非分離性をもたらす人道主義的なイデオロギーの成長の間にある。……
 この理想主義の若々しい解釈は、アメリカのすべてのものが他のどこよりもよいというアメリカ国民の完全な信念、全世界の人々に向かって、どうすべきでどうすべきではないかを積極的に述べる気持ち、あらゆる支配に対する反抗、その先入観や偏見に同調するどのような情報も無思慮に受け入れる姿勢に見ることができる。アメリカ人の理想主義の成熟した様相は、真、善、美に対する、そして活発な人道主義と、リアリティーに対する祈願的な霊的取り組みを表現することへの国民の素早い反応につながっている」

(アリス・ベイリー『光線とイニシエーション(下)』AABライブラリー)

 マイトレーヤがもっと受け入れられるようになり、世界の世論が活気づけられるとき、変化に抵抗する人々は少数派になるでしょう。何百万もの善意のアメリカ人は変化と正義のためにマイトレーヤの側に立つでしょう。世界の飢えたる人々を救うために新たなマーシャル・プランのような活動が生み出されるでしょう。以前には決して結集されなかったような巨大で劇的な援助活動が国連機関を通して組織化され、配分されるでしょう。これは世界の世論とアメリカの世論に非常に深遠な影響を与えるでしょう。

(『大いなる接近』)

質問 米国には、この国の魂のエネルギーが顕現するかどうかを左右することができるイニシエートはどのくらいおりますか。(1998/5)

 およそ3,000人位です。つまり、第2、第3、第4段階のイニシエートたちです。あまり多くはありませんが、仕事を行うには十分です。彼らの一人、アブラハム・リンカーンであった第4段階のイニシエートはワシントンDCに住んでいます。彼は政府の下級職に就いている官僚です。彼は公に認知されることがないにしても前面に出てきて、力と洞察力と過去の経験をそのグループに提供するようになるでしょう。

(『協力の術』)