2021年9月号目次

 

覚者より
人間の責任
ベンジャミン・クレーム筆記

今月号の内容概説

視点
「貧困は政策上の選択である」
ジェイク・ジョンソン

すべてのいのちとの正しい関係——選集
Right relationship with all Life — a compilation

パンデミック以降、飢饉的な状態に苦しむ人々が6倍に増加

奉仕——「再教育、再建設、そして変革」
マイトレーヤのメッセージ 第13信

奉仕への召集
ベンジャミン・クレームの師

地球のバイタルサインが危険な「転換点」に到達しつつある
ジュリア・コンリー

青年活動家が国連初のフード・システム・サミットを実現する

「あなたは確かに知っているから」

時代の徴
「霊的使命を帯びてここにいる」

フクシマから10年——第二部
松本まり子

隠れたエネルギー ークリーンで健全な世界への希望
ジーン・マニング氏との対談

フランシスコ教皇:分け与えること

「編集長への手紙」希望と平和の徴 他

読者質問欄
回答 ベンジャミン・クレーム

人間の責任

──覚者より
2011年3月13日、ベンジャミン・クレーム筆記

 太初(はじめ)のときから、人類はわれわれの住処なる惑星の自然の騒乱を恐れた。想像し難い狂暴さを持つ地殻の激変によって、繰り返し、繰り返し、地球の表面の巨大な部分が破壊された。多くの人々にとって、この事実を受け入れることは難しく、多くの宗教人の心(マインド)に神の人類に対する愛の真実性について深刻な疑問が持ち上がる。地震や津波などで何千人もの人々が殺されるのを許す慈愛深い神を信じることができようか? もし人類がそのような惑星的破壊に彼ら自身の関わりを理解するならば、その出来事を防止するのに大きな役割を果たすことができるのである。

 地殻は長い年月にかけて変化しており、単一に平均的に世界に広がっているのではない。よく知られているように、それは異なった深さの様々なプレートの形をとっており、それらは重なり合い、相対的に絶えず動いている。プレートの端や断層ラインの上や近くにある国や街は地震や、海に近い地域では津波に、絶えずさらされる。神の愛が人類を守れないという問題ではなく、地震による圧力であり、それは解き放たれなければならない。では、何が、そのような大きな破壊に至るまでに地震の圧力を増大させるのかと問うかもしれない。

 デーヴァエレメンタル(あるいは天使的フォース)がこれらの巨大なエネルギーを働かせる、あるいは緩和させるメカニズム(仕組み)を管理するのである。地球は生きた存在であり、これらのフォース(エネルギー)の影響に様々な方法で反応する。一つの大きな影響は人類から直接来るのである。人類が、その通常の競争心で、戦争や政治、経済危機を通して緊張をつくるにつれて──すなわち、われわれが平衡を欠くとき──、デーヴァ界も平衡を欠くのである。その必然的結果は、地震や火山の爆発や津波である。責任はわれわれにあるのである。

 では、この破壊の周期を終わらせるにはどうすればよいか。人類は方法手段を持つのだが、これまでは変えようとする意志を持たなかった。われわれは自分たち自身をひとつとして見なければならない。一人一人が神の反映であり、兄弟姉妹であり、唯一なる御父の息子や娘たちである。われわれはこの地球から戦争を永久に追放しなければならない。われわれはこの惑星の資源を分かち合わなければならない、それはすべてに属するのである。われわれはお互いに調和した未来を知るようになるために、惑星自体と調和して生きることを学ばなければならない。

 マイトレーヤは人間に道を示し、人間の活動を活気づけるためにやって来られた。世界中で、人々は彼らの声を見いだし、正義と自由を呼びかけている。多くの人々が自由と正義に対する彼らの天与の権利を主張するために死んだ。マイトレーヤは、至るところにいるすべての男女が自分たち自身を、マイトレーヤが彼らを見るように、神として、神(神聖なる存在)の聖なる息子、娘として見ることを呼びかける。

今月号の内容概説

 現在のニュースの見出しを見れば、なぜこの惑星とその住人はこれほどまでに苦しんでいるのだろうか、と人々が思うのも無理はないだろう。恵み深い神への信仰は浅はかで愚かだということを今日の状況は示唆しているのだろうか、と多くの人が疑問に思うかもしれない。「人間の責任」という記事の中でベンジャミン・クレームの師は、私たちを苦しませている圧倒的な外的出来事と、この状況における私たちの役割とを結びつけている。これらは、断然、「神の働き」でも「自然災害」でもなく、私たち全体の行く手に立ちはだかっているものなのかもしれない。覚者は、すべてのいのちの相互のつながりを明らかにしている。私たちは、原因と結果の法則を生きており、私たちがその原因であることを理解し体験し始めている。幸いにも、覚者は慰めと解決法も提示しておられる。私たちはその両方をつかみ取るべきである。「われわれは自分たち自身をひとつとして見なければならない。一人一人が神の反映であり、兄弟姉妹であり、唯一なる御父の息子や娘たちである。……われわれはお互いに調和した未来を知るようになるために、惑星自体と調和して生きることを学ばなければならない」

 今月号のすべての記事とレポートは、肯定的な変容の可能性を提示している。私たちは、生態系を調査し、より公正な方法を見つけることができる。どのような不正義と苦悩が続くのを許しているかをはっきりと見定めることができる。この惑星の未来を確かなものにするために、より良い、より精妙なエネルギー形態を選ぶことができる。自然を回復させ、世界資源を分かち合うことを選択することができる。すべての人とこの惑星を益するために、いのちのあらゆる様相に奉仕し、あらゆる様相を救い、拡大させることができる。なぜか。それが将来の青写真だからである。そのために、世界教師マイトレーヤは今ここにおられる。「マイトレーヤは人間に道を示し、人間の活動を活気づけるためにやって来られた。世界中で、人々は彼らの声を見いだし、正義と自由を呼びかけている」

 ニュースの見出しを見て、人々と惑星の両方の苦しみを体感し、次のことを確実に理解しなければならない。今こそ、私たちの声に、知性を加え、責任を取り、私たち自身のすべて、持っているものすべてを、地球上のすべてのいのちの必要に奉仕すべき時であり機会であるということを。

すべてのいのちとの正しい関係――選集

    Right relationship with all Life ──  a compilation

「すべてのいのちとの正しい関係」というテーマに関する引用文の選集を掲載する。引用文は、マイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』と『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第Ⅰ巻と第Ⅱ巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。

マイトレーヤは、誰も──すべての男性、女性、子供──が、この惑星そのものを維持することを世界の第一の優先事項として見なければならないと言われました。

(『協力の術』)

 早晩、人間は下層王国(動、植、鉱物界)との関係の真のあり方を理解するようになり、彼らの進化のために世話係の役割を喜んで引き受けるだろう。これが飼育業や農業、林業、漁業のすべての面における変容につながるだろう。今日の方式
 ──森林と土壌の略奪、やせた土地の過度な耕作、多種の動物や魚類の貪欲で無謀な捕獲、これらは永遠に消え去るだろう。
 自然の恩賜に対するこの不浄な戦いに、直ちに停止の号令がかけられねばならない。人はもはや大地と水を毒することを許してはならない。それは人間と動物を同様に脅かすものである。運動および空気と日光に浴する基本的権利を抑制するような飼育の方式に携わることは、もはや適切でない。実験のための数え切れない生物のむごい利用の仕方は、より健全な方法の研究と知識に道を譲らねばならない。
 今日、多くの人々がこれらの問題に関心を寄せ、変えることを呼びかけている。人間の心は正しい方向へ動いており、何ものもこの勢いを止めることはできない。しかしながら、世界の生態均衡を維持するためには、直ちに非常に大きな変化が必要である。
 地球が、生きている存在として、その全体にとってそれぞれ欠くことのできない各部分をすべて整えた完全な存在として見なされるとき、新しいビジョンと新しい正常さが普及するであろう。人間は自然の秩序の世話人として自分たちを見るようになるだろう。大計画に沿って、人類の上位も下位も、それぞれの王国が関連し合い、和合と美の中に機能することを前もって定められているのである。

(『覚者は語る(Ⅰ)』─人間の役割─より)

 今日の人間の問題は、人間自らがつくり出したものである。これは常にそうであり、神の計画に内在するものではない。天与の自由意志を誤用し、人間は自分たちの未来を、そして動植物界の未来を危難にさらしている。多くの者が、今日、これに気づきはじめ、破局をさけるために出来る限りの手段を取りつつある。これは良いことである。しかし勢いを増しつつ人類に直面してきているこの危険を、すべての人間が知るわけではない。人間の真の役割と目的に適った世界を再建するために、残された時は短い。わたしの役割は、あなたがたに道を示し、可能性を描くことのみである。新しい世界は、人間自身によってつくり上げられねばならない。

(『いのちの水を運ぶ者』第12信より)

 最近の異常な気象状況──地震、ハリケーン、洪水──は彼の到来に伴っている。これらの災害は大体において、人類の間違った思考と行動の結果である。これらは起こる必要はないのである。「神の采配」ではない。それは原因結果の法則、またはカルマの法則の下で起こるのである。われわれが地球上での生活の中で混乱や不均衡をつくり出すにつれて、われわれは自然界にも影響を及ぼすのである。森羅万象のすべての原子は互いに連結している。どこにも分離はない。

(『世界教師と覚者方の降臨』)

 この世代が直面している最も重大な問題は生態系の不均衡であり、それが地球の膨大な領域を脅かすことを人類が認識する時が間もなくやって来る。知ってのとおり、この問題がどの程度のものかについて人間の意見は分かれている。しかし、この生態系のジレンマを真正面から直視して対処しない限り、多くの者にとってその将来が危ぶまれる。
 間もなく、多くのグループがこの危険の深刻さに気づくだろう、そして年毎に、彼らは大災害に近づいていく。地球温暖化によって放たれたエネルギー(フォース)は、今や人間が使用できるコントロールの装置をはるかに超えている。
 だから、まだ少し時間がある間に、注意して聴きなさい──海の水位は容赦なく上昇しており、しかも人間は、のんびりと、彼らの将来を賭けている。

S.O.P. ── Save Our Planet(我らの惑星を救いなさい)。
(『覚者は語る(Ⅱ)』─理性への呼びかけ─より)

 人の道とは、同胞愛であり、密接な協力と相互の信頼であり、奉仕であるということを示そう。これが唯一の道である。他はすべて失敗に終わった。我が友よ、もしこれをなさなければ、人間はこの地上に存続し得ないのである。脅しているのではない。真実を述べているに過ぎないのである。時間は残り少ない──自然とこの世界との間に均衡をとりもどす時間は。

(『いのちの水を運ぶ者』第12信より)

デーヴァ・エレメンタルとは何ですか。

 それは自然現象を管理し組織する自然の勢力です。エネルギー勢力であり、人類の想念に反応します。私たちの想念が安定していれば、それも安定しています。今日のように私たちの想念が破壊的で混乱していれば、デーヴァたちも混乱します。それは世界の気象の完全な歪みとなって現れます。例えば、それまでは決して起こらなかった場所で洪水や大地震、火山の噴火、大雨が起きたり、それまでは正常だった場所に干ばつや台風が訪れたりします。これらの現象は昔からありましたが、一定のパターンを持っていました。
 しかし、今では世界の気象に決まったパターンは存在しません。私たちが──共に平和に生き、世界の資源を分かち合い、それによって世界に調和を生み出すことで──安定した状況をつくり出すとき、デーヴァたちも元の状態に戻り、もう一度安定を取り戻すでしょう。それらは人類の想念に速やかに反応します。

(『マイトレーヤの使命 第Ⅲ巻』)

 世界のすべての人が汚染や地球温暖化、海面の上昇などの大きな問題の影響を受けています。協力を通してこうした問題に取り組む必要があります。他の方法はありません。それは自分に関係ない、と言うことができる人はいません。地球上のいのちが脅かされています。

(『協力の術』)

 地上に存在する苦難はすべて人間がつくり出したものである。人間自身が進化のパターンを乱す。マイトレーヤは軍隊に告げる。「家屋や橋などを破壊するためにハイテクの戦争機器を使い、無実な生命を破壊するとき、あなたたちは破壊のエネルギーを解き放つのである。この同じエネルギーが自然界の要素に影響する」

(『いのちの法則』)

 私たちは無害であることを、自分自身および周りの環境(これは他の人々や惑星全体という意味ですが)と平衡を保って生きることを学び、自分たちの周りに平衡をつくることを学ばなければなりません。私たちが貪欲で、利己的で、競争に満ちているとき、必然的に私たちは不調和をつくり出します。そうすると、天候、海洋、雨などをコントロールするデーヴァたちは平衡を失い、世界中に今のようなとても異常な気象パターンがつくり出されます。それはある程度、私たち自身の不均衡の結果です。私たちは分離しているという錯覚を抱いていますが、宇宙には分離はありません。個々の原子は宇宙のあらゆるところの他の原子に関連しています。ですから、私たちが行うことで、世界の他のどこかに、あるいは自分自身の人生に、善きにつけ悪しきにつけ、影響しないものは何もありません。

(『大いなる接近』)

 人間は自分たちが住むこの惑星に対する責任を自覚せねばならない。人間は、強くはあるがしかし敏感な有機体の世話人なのであり、それを害から守らなければならない。これを行っていると主張できる者は今日ほとんどいない。それどころか、人間は自然界の豊かな寛大さを濫用し、その上を土足で踏み荒らす。多くの者がこの問題に目覚めつつあることは本当だが、それがすべての者の関心事として理解されて、世界的規模で取り組まれるようになるまで、方向を転換させる上での進歩はほとんどないだろう。
 もし人間がこの差し迫った困難を無視すれば、それが人類にとってどれほど危険かを、マイトレーヤが心に留めていることは確かである。マイトレーヤはすべての人間がこの惑星の復興のために働くことを促されるだろう。そしてより簡素な、より幸せな人生への道を指し示されるだろう。
 再びこの惑星が健康を取り戻すとき、それは、気遣いと愛をもって接する者すべてにその恵みを与え続けるだろう。下位王国(動植鉱物界)のエレメンタル(精霊)は彼らの任務を良くわきまえている。人間の無秩序の思考の影響から解放されるとき、これらの勤勉なビルダー(建造者)たちは、調和のうちに、新しい、より良い世界を創造することができる。

(『覚者は語る(Ⅰ)』─偉大なる母─より)

奉仕―「再教育、再建設、そして変革」

親愛なる友よ、このようにして再びあなたがたと共に居ることをうれしく思う。

わたしの使命は計画通りに進んでいる。すべてが順調にいけば、あなたがたはもうすぐわたしの声を聞くであろう。それまでの間、次のことを言っておく──人類は道に迷い、神が用意なされた道から遠く離れてしまった。このことを悟り、祈り求め、そして光に向かって働く者が、今日世界に多く存在する。しかし盲目で災難に向かって突っ走る者は、さらに多い。わたしの計画は、この無鉄砲な突入を止め、情勢を一変させることである。

わたしの存在が、すでに人の思考に、人の心に、変化を起こさせており、人々はこれを不思議に思っている。わたしの努力は、表面には見えないが、すでに効果をあげている。人間は再び、真理に、神である法に、心を向け始めている。

わたしに「新しい時代」への道を示させてください。もし望むならば、あなたがたのものとなすことの出来る栄光の輪郭を示してあげよう。人間は神と人とに奉仕するために創られており、正しい奉仕を通してのみ、神への道を歩むことが出来るのである。再教育、再建設、そして変革の仕事を、あなたがた自身の任務としなさい。

人間一人ひとりが燈台であり、その灯を同胞のために遠くまで照らすのである。あなたのランプの灯を明るくともし、輝かせ、道を示しなさい。一人ひとり、すべてが必要である。この世界を救済し、復旧するためのこの偉大な計画に参加するのに、小さすぎる者も、若すぎる者もいない。これをなす決意をしなさい、そしてわたしの援助があることを確信しなさい。

如何にして始めるか。あなた自身を、あなたのすべてを、世のために、至るところにいるあなたの兄弟姉妹たちのために、捧げることから始めなさい。一日たりとも真の奉仕の行為をなさずに過ごすことのないようにしなさい。そしてわたしの援助があなたに与えられることを確信しなさい。奉仕の道こそ、真なる人としての唯一の道である、なぜなら、この道は神につながる道であるから。

わたしの民は、わたしの周りに集い、わたしの呼びかけに応え、彼らが想像し得ないほどの成果をあげている。一緒に新しいより良い世界を創ろうではないか。わたしの呼びかけがあるときに、あなたがたの心は開いて、用意ができているように。わたしの祝福をあなたがたすべてに授ける。

唯一にして最も聖なる神の光と愛と力とが、あなたがたの心(ハートとマインド)の裡に在るように。この光と愛と力とが、あなたがた自身であるところのもの、神の真なる子供達となるようにあなたがたを導くように。 

マイトレーヤのメッセージ 第13信、
ベンジャミン・クレーム 伝、1978年1月19日

奉仕への召集

 奉仕への召集がかけられるとき、真剣な弟子にとっては、提供されたその機会を両手で掴みとることが必要である。召集が二度繰り返されることはめったにない、なぜなら覚者たちは浪費する時間を持たないから。「多くの者が召集されるが、選り抜かれる者は少ない」という言葉があるが、それは「多くの者が召集されるが、応える者は少ない」と解釈されるべきである。

 大いなる奉仕において、さようである。選り抜かれた者のみが、大計画に仕える機会が授ける祝福を認識する。奉仕は神聖なる義務であり、弟子たちにとってこの地球上における逗留を何転生も短縮することを可能にする。多くの弟子たちがこのことを知っているのだが、最も軽い任務にさえ尻込みする。多くの者が、昔、自分がたてた誓いを忘れて、心の裡に感じる不安を無視する。覚者たちが悲しげに頭を振りながら、(召集を)待っている光(弟子たち)の中を再び捜し求めるのは、いわれがないわけではない。

 奉仕する者すべてが、自分が奉仕していることを自覚しているわけではない。魂の、覚者の呼びかけに対する彼らの反応は非常に本能的であり、彼らは躊躇することなく大胆に飛び込む。彼らは非常に非自己集中的であり、世界の必要のみが彼らの唯一の関心事である。彼らは息をするように奉仕する。しかし、時代の必要に関連した奉仕をする者は非常に少ないのである。内界にいる覚者たちは、いくらかでも大計画を知る者たちを、そして自分が優先すべきことについて健全な考え方を持つ者たちを、捜し求める。わたしたちは、強い熱意を持ち、愛と犠牲で燃え立つ心(ハート)を持つ者を捜す。そのような勇敢な者たちをわたしたちの直中に迎え入れて、喜んで奉仕の分野を提供する。そうして、わたしたちは脇へ寄って見守る。繰り返し繰り返し、彼らの当初の喜び勇んだ歩みは遅くなり、そしてためらいがちになるのである。彼らの明るい期待はあまりにもしばしば倦怠と疑いに変わり、高尚な志向は萎え、そして消滅する。

 これらの悲しい出来事の中に、信の欠乏が不気味に浮かび上がる。信なしには、永続するものは何も達成されない。ただこの特質を欠いたために、これまでに多くの有望な弟子たちが失敗した。時代を通じて、様々な教えが信の必要性を強調してきたのは、いわれがないわけではない。信は奉仕のまさにハート(中心)として考えられてきた。

 信とは、盲目的な受け入れや単に信じることを意味するのではない。それとは逆に、本当の信とは、直観が、魂の声が内的な認識を促すときにのみ生まれるのであり、あらゆる反論を乗り越えて、心(ハート)があなたに告げるのである──これは真実だ、と。その瞬間が訪れるとき、この新しく見いだした真実をしっかりと握りしめて、そして『そこに留まっていなさい』。

 妬みや疑いの声があなたを攻め立てるとき、落ち着いて自分の任務を固守しなさい。あなたの心(マインド)はあなた自身に属するものであり、何を考えるべきかをあなたに指示する権利を持つ者は誰もいないことを覚えておきなさい。
 賢明なリズムを培いなさい。それが奉仕の自然な拡大を可能にするだろう。時々思い出したように奉仕をすることを慎みなさい。なぜならそのようなやり方では、勢いはみな失われてしまう。あなたは大計画に奉仕するためにここに存在するのだということを覚えておきなさい。あなたは気づかないだけであって、それがあなたの魂の願いである。あなたが自分の魂との接触をつけていくにつれて、経験の客観化が起こりはじめる。魂は好みも欲望も持たない。その目的と一致調和するものとだけ交わる。その目的とは、進化の大計画に最大限に仕えることである。

 覚者たちの影響が学習と経験の分野を提供する時がやってくるだろう。それによって、いま門口に立っている者たちが光と知識の領域に入り、自分自身で本来の己の姿を知るだろう。多くの者が新しい時代の創造を待っている。それは現存の機構に深遠な影響を及ぼすだろう。奉仕し、そして成長しなさい。奉仕し、そして成長することがあなたの人生の基調となるべきである。

        
(ベンジャミン・クレームの師、
シェア・インターナショナル誌1991年9月号)

「あなたは確かに知っているから」

「プロアクティバ・オープンアームズ」は、海上での探索救難(SAR)に専念するスペインの非政府組織(NGO)である。このNGOはレスボス島に恒久的な基地を持つだけではなく、エーゲ海や地中海中央部で救助活動を行っている。サビナ・クレシが、本誌のためにプロアクティバ・オープンアームズのマール・サベ氏にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI):オープンアームズはどのようにして始まったのですか。
マール・サベ:オープンアームズは一枚の写真に応えて始まりました。それは、2015年9月にトルコの海岸で遺体で発見された3歳のアラン・クルディちゃんの写真です。当時、スペイン東岸のバダロナを拠点とする海難救助会社を経営していたオスカー・キャンプスは、その写真がメディアに出された日に11歳の娘と一緒にいました。娘はオスカーに対して、彼がライフガード(水難救助員)であるのに、なぜ海岸に亡くなった子供がいるのかと尋ねました。オスカーは自問しました。「何が起こっているのだろうか。自分はライフガードであるが、亡くなっていく子供がいても、自分は何もしていない」
 そして、彼と会社のもう一人のライフガードはギリシャのレスボス島に行きました。スペインや他のヨーロッパの人で、レスボス島で何が起こっているのかを知る人は誰もいませんでした。彼らに分かったことは、想像よりもはるかに酷いものでした。そこには、NGOや政府関係者など、人々を救う人は誰もいませんでした。このことがはっきりと分かったのは、2015年10月28日にギリシャで最悪の難破事故に直面した時でした。400人以上の人が乗った船がエーゲ海で転覆しました。オープンアームズのわずか4人のライフガードと何人かの地元の漁師がそこに行き、乗船していた人々を救助しました。漁師は網を使って海中から人々を救出しました。しかし、多くの人が溺死してしまいました。
 ギリシャ政府は次の日、死亡者はわずか5人であったと発表しました。オープンアームズのライフガードは、それが真実でないと知っていました。彼らは人生で初めて、誰を救うかを選ばなければならなかったのです。起こっていることを世界に知らせなければならないと悟りました。もちろん、海の中では誰もいなかったので、そうしなければ誰も知ることはなかったからです。そのためオープンアームズは、乗船しているジャーナリストにその任務についてすべてを語り始めたのです。コミュニケーションは活動の非常に重要な部分です。
 オープンアームズは、決してあってはならない存在です。その目標は常に変わらず、無くなることです。しかし、オープンアームズの船が外洋に出るときは、いつでも手遅れです。各国政府が関わりを持ち、移民する人々を守るべきだと思います。

S I:オープンアームズの活動中に、地中海の状況に変化はありましたか。
サベ:はい、状況は悪くなりました。2015年には、エーゲ海の状況は非常に困難でした。多くの人がギリシャの海岸に辿り着こうとしていました。オープンアームズは、毎日何千人もの人々を援助していました。そして2016年3月には、欧州連合はトルコとの間で、60億ユーロと引き換えにEUへの非正規な移民者の流入を制限する協定を締結しました。ギリシャの海岸に辿り着こうとする人の数は、すぐに1日に数千人から数十人に落ちました。オープンアームズは、必要な場合に備えて現地にチームを一つ残していましたが、必要がより大きな地域に活動を集中することを決定しました。
 地中海中央部の移民ルートは世界で最悪の移民ルートであり、当然の選択でした。わずか4カ月の内に、オープンアームズは1万5,000人以上の人々を救助しました。当時は複数のNGOから13の船が来ており、すべてがイタリアの湾岸警備隊と協力していました。これらすべてのNGOが一緒に、そして各国政府と協力してよく働きました。彼らは多くの人の命を救い、保護することができました。
 しかしながら現在では、このルートにはオープンアームズの船が一つあるだけです。なぜでしょうか。それは関係各国の政府が、基本的には政治的理由で他のNGOの活動を強制的に停止させたからです。オープンアームズは人々の命を救うだけではなく、何が起こっているのかを世界に伝えているので、政府はオープンアームズに出て行って欲しいのです。
 ヨーロッパは現在、何が起こっているのかを知りたいと思っていません。もしヨーロッパの人々が知れば、それについて何かをしなければなりません。そこはヨーロッパの海岸であり、それはヨーロッパの責任です。ヨーロッパに流入する移民を防止する条約に調印したヨーロッパの国々は、彼らが来ないようにすることにも取り組んでいます。そのため、オープンアームズは歓迎されていないのです。それは、オープンアームズがなぜ多くの困難に直面しているかという理由でもあり、その困難は年々大きくなっています。そして現在、新型コロナウイルスにより、すべてが悪化しています。移民者がコロナウイルスを持っているかもしれないという言い訳を各国政府が使用できるからです。オープンアームズは、それぞれの任務の前後で乗船するすべての人に検査を実施していますが、乗組員が次の任務を開始できるようになる前に、2週間の検疫期間を強制しています。これは、オープンアームズのすべての船に適用されます。(移民者は他の船で、または上陸後に検疫を受けます)

S I:オープンアームズが救う人々には、あらゆる年齢の人がいますか。
サベ:今はそうではありません。ギリシャでは[2015年には]様々な年齢の人がいましたが、現在では違います。オープンアームズが出会う移民者は何年も旅を続けてきた人々であって、拷問や迫害を受け、泥棒に合い、レイプされてきた人々だということを理解する必要があります。最後までやり抜く人々は最も強い人々であり、残念なことにすべての人がやり抜く訳ではありません。私たちは多くの子供を救助しており、それはもちろん悲惨なことです。オープンアームズの最後の任務では6カ月の赤ちゃんが救助されましたが、その男の赤ちゃんは2時間の心臓蘇生の末に結局は亡くなりました。残念なことに、妊娠した女性もたくさんいます。その多くはレイプされた結果です。それは狂気の沙汰であり、本当に辛いものです。

S I:オープンアームズは、より良い生活を求めて移民する人々の他に、戦争や紛争から逃れる人々にも遭遇しますか。
サベ:人がなぜ逃れるのかは、オープンアームズとは関係ありません。あなたがロンドンに行って英語を学ぶ権利があるのなら、なぜこのような人は、行きたい場所に行き、したいことをする権利を持たないのでしょうか。

S I:オリジン・プロジェクトは、現在オープンアームズの活動の大きな部分です。その目的は何ですか。
サベ: オープンアームズが始まったとき、救助した人々を最も近い安全な港に連れて行くことができませんでした。船にはその港に入港する準備がなかったため、何時間も離れた場所に行きました。後に(2017年)オープンアームズは船を取得し、それが可能になりました。その結果、オープンアームズの人員は、救助した人々と一緒に時間を過ごしました。多くの人は戦争中ではない国、どのような形でも紛争中ではない国から来ました。これは、戦争中であるシリア、イラク、イエメンから来てギリシャで救助された何千人もの人とは対照的でした。
 オープンアームズのボランティアは、セネガル、モーリタニア、コートジボワールから来た人々に、もし旅の行き先がリビアだろうと知っていたら国を出ていたかどうか質問することを始めました。リビアは完全な地獄です。そこでは人が奴隷として売られ、拷問され、レイプされます。このことはリビアにいたことのある多くの組織が示しており、ジャーナリストが非難しており、オープンアームズが救助するすべての移民者がこれを確認しています。オープンアームズのボランティアは、このような移民者に次のような質問をします。「もしこれらすべての問題と遭遇すると知っていたら、砂漠を横断しなければならないと知っていたら、あなたは家を出ていましたか」。彼らは知らなかったと答えました。もし知っていたら、絶対に国を出ることはなかった、絶対に旅を、少なくともこのような形で始めることはなかったと言いました。オープンアームズは、この情報を知らせる必要があると考えました。砂漠で起こることを誰も話しません──それは広く知られていません。しかし、多くの人が砂漠で亡くなっているのです。
 そのためにオープンアームズは、オリジン・プロジェクトを開始したのです。オリジン・プロジェクトは、移民問題に長年取り組んできた、移民者が出発した国の地元NGOとの協力関係をつくり出します。人々がこの旅に出れば遭遇することが予想されることについてうわさを広めるのに役立つよう、手段や戦略、方法論は共有されます。地元企業との協力で経済的な機会が生み出され、移民とは別の選択肢を提供します。通常の移民に関する情報も提供されます。しかし、オープンアームズは、人々に何をするのかを伝えるわけではありません。彼らは自由に判断を下さなければなりません。

S I: 欧州連合はドローンを購入して地中海で飛ばし、そこで何が起こっているかを観察しています。(1) あなたはEUが何をしようとしているのかをご存じですか。
サベ:2013年にランペドゥーザ島の近くで大規模な難破事故がありました。イタリア政府は乗船していた人々を救うことが可能であったのに救わなかった、とする報告書を国連は発表しました。移民分野で法的義務の遂行を怠ったとして国連がヨーロッパの国を直接に非難したのは初めてのことです。
 その難破事故の後、イタリア政府は海洋で遭遇した人々の命を守るための「マーレ・ノストラム」と呼ばれるプロジェクトを開始しました。1年後、EUはマーレ・ノストラムへの支援を停止し、(2)「フロンテクス」(3) が運営する新たなプロジェクトを開始しました。しかし、フロンテクスの目的は国境を守ることであり、人権を守ることではありません。そのためフロンテクスは、多くの労力とお金(船舶、ヘリコプター、航空機)を、他のどの場所でもなくヨーロッパの海岸に注ぎ込んだのです。
 もちろん、アフリカからヨーロッパに行くためには、長い距離の国際水域を横切る必要があります。これらの海域で発生する可能性のあるすべてのことは、自分たちの責任ではないから「知らない」という考え方でした。欧州連合はその加盟国が調印した条約をもはや支持しておらず、むしろヨーロッパ人の特権を保護しているとオープンアームズが認識したのは、その時でした。オープンアームズは現在、ヨーロッパには人権は存在しないと主張しています。その代わりに、ヨーロッパ人の権利、むしろ特権があります──それはアフリカの様々な地域から逃れてきた人々の特権や権利とは反するものです。
 オープンアームズは、このことを2014年に初めて知りました。このことは、フロンテクスが新たな業務を作り続けるにつれてさらに高まりました。フロンテクスが最後に人を救助したのは、オペレーション・ソフィアと協力していた時でした。オペレーション・ソフィアは船を使いました。海洋法では、どのような船に乗っていようとも、もし難破した船を見た場合には、乗船している人々を救助する義務があるとされています。それを見なかったふりはできません。そうすると、罪を犯していることになるからです。オペレーション・ソフィアは海で人々を救助しました。それでも、移民者が辿り着くには困難な地域であったので救助された人は少数であり、多くの人がすでに溺死していました。
 2020年3月、オペレーション・ソフィアは終了し、オペレーション・イリニが開始されました。このオペレーションでは、船を使わずに飛行機のみを使います。上空から移民者を見ることができますが、救助はしません。海上の船の上にいるわけではないので、救助する義務はないのです。(4)
 それは、地中海で何が起こっているかを調査する範囲を完全に変えることに向けて、さらに一歩踏み込むものです。フロンテクスが地中海での移民者の状況へのアプローチを変えていることを前提とすると、フロンテクスはおそらくこのような方法、ドローンを使用した活動を続けるでしょう。

S I: NGO「アラームフォン」(5) は、このように主張しています。「ヨーロッパの活動主体は、義務に縛られないように、海での存在感を無くそうとしていると私たちは考えています。彼らは存在感を示し続けていますが、それは空からの探索であり、そうすればリビアの海岸を出発する複数の移民船に気づき、その情報をリビアの沿岸警備隊に提供することができます」
サベ:オープンアームズは、アラームフォンと非常に密接に連携しています。オープンアームズは人々を救助できますが、何が起こっているのかをアラームフォンに伝えてもらう必要があります。
 2017年にイタリアとスペインは、リビアのいわゆる沿岸警備隊のトレーニングを開始しました。その当時はリビアに政府が存在しなかったので、それはリビアの本当の沿岸警備隊とは言えませんでした。イタリア、スペイン、ヨーロッパ全般が行っているのは、リビア内の他のグループと共謀している反政府軍に物資とトレーニングを与えることです。その結果、これらの国々はリビアの内戦に参加していることになり、最も苦しむのは常に移民者なのです。リビアの沿岸警備隊は、リビア政府と共にある現在でさえ、リビア沖の移民者の命を救うことができません。(6)

S I:オープンアームズは危機の解決策は何だと考えていますか。解決策はどこから生まれますか。それはどのように機能しますか。
サベ:多くの可能な解決策があります。もしヨーロッパの各当局が、壁を建設し国境を守るために現在使用している予算や資源を命を守るために投入すれば、全く新しい戦略となるでしょう。戦略の完全な変更が必要です──もしヨーロッパが本当に人権を気にかけるのならば、ですが。
 ヨーロッパでのポピュリズムとフェイクニュースの高まりは、極右政党がヨーロッパの政治分野で立場を得ることにつながっています。ヨーロッパ中で右翼への段階的な移行があり、それまで一度も右翼的でなかった政党でさえも、今ではこの種の話法を受け入れ、この動きに応答しています。現在では、白人の人権はありますが、黒人の人権はありません。人権が普遍的なものに違いないと認められれば、すべてが変化するでしょう。

S I:人権侵害の多くは、地元レベルでも国際レベルでも、少なくとも当初は法廷を通して解決されます。ヨーロッパの各国政府や欧州連合に対して起こされている海洋の移民分野での人権侵害に関わる裁判の事例はありますか。
サベ:オープンアームズは、2019年にイタリアの副首相、内務相であるマッテオ・サルヴィーニ氏を提訴しました。オープンアームズの船は、サルヴィーニ氏がつくった治安判決が理由で2019年8月にランペドゥーザ島のドックへの入船を許可されませんでした。(7)
 19日間、彼は私たちの船のドックへの入船許可を出すことを拒否しました。私たちは、誘拐、政治的虐待、文書詐欺で彼を告訴しました。この裁判は進行中です。(8)法廷を通して裁判を進めることは重要ですが、何が起こっているのかを説明することで人々の考え方を変えることも重要です。メディアはそれを行う力を持っています。
 オープンアームズの第一の目的は無くなることですが、その活動が必要とされる限り無くなることはできません。この仕事を確実に実行する政治家、人命を守ることに本当に集中する政治家が選ばれるまで、オープンアームズは必要とされ続けるでしょう。こうした変化を起こすために、社会は力を持つ必要があります。そのために、オープンアームズと一緒に活動を続けるすべての人が、自分が見てきたものを、戻った時に話すのです──子供の学校や職場で、そしてオープンアームズの活動について話すことを求められたらどこでも。そうすれば、地中海で何が起こっているのかを知らせることができます。

S I:オープンアームズは、多くの賞を受賞しました。市民社会がオープンアームズの活動を評価しているのは明らかです。課題は、これをアイディアに対する政治的支援、人命を尊重し救うプロジェクトに変えていくことです。国連はこれを支援するために、何らかの声明を発表したり、何か前向きなことをしたりしたでしょうか。
サベ:オープンアームズは国連に登録されており、欧州議会、欧州委員会、多くの国の政府から表彰されています。しかし、オープンアームズには、表彰は必要ありません──必要なのは彼らに仕事をしてもらうことだけです。オープンアームズは賞を受けるたびに、このことを公に主張しています。
 オープンアームズは、寄付者の支援のおかげで活動をすることができます。予算の90%以上が小規模な寄付で賄われており、それが推進力なのです。オープンアームズは完全に独立しており、どの国の政府にも依存していません。

S I:今現在、オープンアームズの最大の課題は何でしょうか。
サベ:いつもどおりに、海上と陸上で人権を守り続けることです。各国政府、メディア、フェイクニュース・キャンペーンがこれに反しており、オープンアームズのボランティア個人の命にも反しているので、これはとてつもない課題です。課題は単純に継続することです。

S I:他に何か付け加えることはありますか。
サベ:オープンアームズに声を与えていただき、ありがとうございます。一般のヨーロッパ人にとって最も重要なことは、これは私たちが招いたのだと認識することであると、私は思います。人はしばしば、自分には何ができるのだろうか、何が最も必要なのだろうかと自問します。まず初めに、それが起こっていることを認識することです。20年か30年後に誰かがあなたの家に来て「あなたのまさに目の前でこの虐殺が起こっていた時に、何をしていたのですか」と尋ねたときに、知りませんでしたとは言えません。あなたは確かに知っているからです。オープンアームズはあなたに伝えていて、このことのすべてを説明しようとしているのです。情報はここにあります。問題は、それがかなり隠されている場合があることです──それを隠そうとする意思が存在するからです。
 それについて知ることは、ヨーロッパ人として私たちの責任であり、また、それが起きていることへの責任が私たちにあります。なぜなら、私たちは皆変化の一部であるからです。

S I:つまり、私たちはそのような政治的な声を使う必要があるのですね。

サベ:はい!

参照文献
(1) 英国、ガーディアン紙
(2) イタリア政府はマーレ・ノストラムに、その活動中の12カ月間で月に900万ユーロを費やした。欧州連合はその年、外部国境基金から180万ユーロを供出した。(ウィキペディア)
(3) フロンテクスは欧州連合の国境安全保障機関である。
(4) 「2021年の地域の犠牲者数が1,000人に近づく中で、リビア沖で難民船が転覆し、57名が死亡した。国際移住機関は、死亡者数の増加を海域パトロールの減少と関連づけている」(英国、ガーディアン紙)
(5) 活動家プロジェクト「WatchTheMedアラームフォン」が2014年秋に開始され、海上で困難な状況にある移動者のためのホットラインとして機能している。(「ムーブメンツ──移民・国境体制に関する批判的研究ジャーナル」)
(6) 「今日は休日だ──地中海の移民者が置き去りにされ亡くなったことが盗聴により判明」
スクープ: 流出ファイルに含まれていたイタリア当局者とリビア沿岸警備隊との会話記録(英国、ガーディアン紙)
(7) 2019年8月5日にイタリア上院で可決されたいわゆるサルヴィーニ法は、地中海で救助されたアフリカの移民者をイタリアに連れて来ようとする人道的慈善行為に対する制裁を強化した。(テレスール・イングリッシュ)
(8) イタリアの前内務相、マッテオ・サルヴィーニ氏は、2019年8月にスペインの移民救助船を2週間以上も海上で足止めした罪で公判に付される命令を受けた。シシリアでの法廷審問では、ロレンツォ・イアネリ判事は2021年9月15日を公判期日と設定した。パレルモの検察は、サルヴィーニ氏を職務怠慢および、オープンアームズの船舶と147名の救助された乗客がイタリアのドックへ入船するのを19日間拒否したことによる誘拐の罪で告発した。入船拒否の間、船長が安全な最寄りの港を必死に求める中、絶望のあまり船外に身を投げる移民者たちもいた。最終的には裁判所の命令により、残りの89名の乗船者は2019年8月20日にランペドゥーザ島への上陸を許可された。
(euronews.com)

読者質問欄

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。そのいずれもこれまでシェア・インターナショナル誌に未掲載のものです。

Q 二酸化炭素回収貯留技術についてどう思われますか。つまり、二酸化炭素を捕捉して、長期間地下に貯蔵することに関して。

A このようなアイディアすべての主要な問題は、廃棄物を除去することの必要性です。原子力エネルギーを使用すること自体は、問題とは見なされません。核科学者が問題と見ているのは、原子力エネルギーを使用することで生じた廃棄物の処理です。それは鉄やコンクリートの缶に入れられ、海中に投棄さえされています。それは海洋生態系を大きく変えています。それらは現在でも十分に悪化していますが、宇宙の兄弟たちの仕事がなかったならば、比べものにならないほど悪くなっていたでしょう。
 気候が変動しつつあります。放射能廃棄物の貯蔵のせいで、あらゆる種類の魚の生命が影響を受けています。そうした廃棄物のすべては「小規模の放射能」と呼ばれます。しかし、それは規模とは関係ありません。廃棄物を海中に捨てると、それは最初から汚染されており、現在の装置ではある地点までしか放射能を検知することができません。それ以上測定する技術がないからです。したがって、影響がないと考えられています。しかし、それが最も危険なレベルの放射能であり、それについては全く知られていません。
 炭素の貯蔵も似たような問題を抱えています。それをどこかに貯蔵しなければなりません──どこか害が及ばないところに。どこに貯蔵すると害が及ばないというのでしょうか。私の家の裏庭ではないですね。他の人も皆、自分の裏庭ではないと言います。誰も自分の裏庭には、放射性廃棄物も炭素貯蔵廃棄物も置きたくありません。では、他にどこがいいのでしょうか。ロシア人は「中国はどうだろう」と言うかもしれません。中国人は「いいや、チベットだろう」と言います。そしてチベット人は「いやいや、アメリカだ」と言います。アメリカ人はこう言います。「いいえ、ここには置けません。とんでもないです。ベネズエラに置きましょう」と。それぞれの国が最も関係の良くない国を選んで、そこに貯蔵することを勧めます──それが問題になっています。それが安全である所はどこにもありません。缶に入った炭素を地中深く何千年も貯蔵しておいて害を及ぼさない所はあるでしょうか。それがもたらす害は知られておりません。それがいつ、例えば地震の際に地球の力によって壊れ、ふたが開き、再び放出されるのか分かりません。
 それはいつも間違った側から問題に対処するようなものです。私たちは原因を追究してその原因に対処するということをしません。何がこの問題を引き起こしているのか。何が放射能をもたらしているのか。何が地球温暖化を引き起こしているのか。もし地球温暖化の一因が森林破壊だとすれば、森林伐採をやめなければなりません。特に、二酸化炭素を大量に吸収し、その代わりに大気中に酸素を吐き出す、古代からの原生林を切るのをやめなければなりません。大気には酸素が少なくなり、二酸化炭素が行き場をなくして、地球温暖化が生じています。しかし、もし私たちが木材を浪費しなければ、地球温暖化の大きな原因を取り除くことになります。
 私たちは原因が好きではないため、原因を追究しません。原因は法則に、原因と結果に関係しており、私たちはそれが好きではありません。どういうわけか、現代の機械的なマインドは決して原因を追究しようとしません。そのテクノロジーを変えたいと思わないからです。私たちは木材なしではやっていけないと言うかもしれません。しかし、富裕国がすることは自国の広葉樹を保存して、自国が必要とするものをブラジルやアフリカ諸国のような貧しい国々から買うことです。そうして、これらの国々は古代林を伐採するのを強いられるか、あるいはその伐採を許可することを強いられます。その古代林は人間の生命にとって必要不可欠なものです。
 したがって、何かについてどうすべきかを知りたいならば、その原因を追究することです。原因を突き止めたならば、その原因を是正するよう努力することです。すべては単純なことです。私たちは、長さが23kmあり、建設するのに20年の歳月と何十億ドルもの費用がかかるサイクロトンを建設することができます。しかし、秘教を学んでいる人に聞けば、その人は答えを教えてくれるでしょう。ただで、すぐに、教えてくれるでしょう。
(シェア・インターナショナル誌2009年1・2月号)
ベンジャミン・クレーム講演会
2001年6月、アメリカ、ニューヨーク

Q 真我実現と霊的な意味での真我への気づきに話を戻すと、それを達成するのに役立つ祈りのようなものはありますか。

A すべての祈りはそれを達成するのに役に立つでしょう。「主の祈り」もそうです。しかし、マイトレーヤは「新しい時代のための祈り」と呼ばれる新しい祈りを授けられました。それはあなたを真我と同一認させます。
 「私は宇宙の創造主である」とは、あらゆる被造物の背後にあるという意味です。それはあなたであり、私であり、すべての人々です。誰もが宇宙の被造物であり、それゆえにあなたは真我の感覚を得るのです。あなたが真にそうであるところの遍在する存在としてではなく、あなたであるところの万物を通して動く霊的な本質としてです。
 マイトレーヤは、私たちは何ものかが自分の背後に、周囲に、上部にあるという感覚を持つときがあると言われます。それが真我です。それはあなたが独りであるときに起こります。ほとんどの人は独りであることを恐れます。孤独を感じます。しかし、彼はこう言われます。実際には、孤独の状態は素晴らしい状態であり、その中で真我を感じることができる、なぜなら私たちは様々な関心事のためにそれを自分自身から覆い隠しているからである、と。私たちは娯楽やラジオやテレビに殺到します。友人に会います。独りで静かに坐って真我としての自分を体験する以外のあらゆることをします。誰もがこれを必要とすると彼は言われます。自分の周りに他人に邪魔されない空間を必要とします。何かを頼まれたり強いられたりしない、魂が強力な方法で真我に気づくことのできる空間が必要なのです。この瞬間、目に見えない真我に入り込むのはあなた自身の認識です。ですから、「新しい時代の祈り」を唱え、無執着と、マインドの正直さと、スピリットの誠実さを実践するならば、いくつかの人生のうちに、真我認識が真我実現に至る状況を生み出すでしょう。
(ベンジャミン・クレーム講演会 2001年6月、アメリカ、ニューヨーク)