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2026年ゴールドマン環境賞

6人の環境保護活動家が表彰される

「一人ひとり、すべてが必要である。
この世界を救済し、復旧するための
この偉大な計画に参加するのに、
小さすぎる者も、若すぎる者もいない」
──世界教師マイトレーヤ

 この言葉は、今年のゴールドマン環境賞のテーマである「変化は、あなたが立っている場所から始まる」というメッセージと一致している。

 「変化は私たちが日々下す選択から生まれる。
それは信念から生まれる。
不正義を避けられないものとして
受け入れることを拒否することから、
沈黙させられることのない声から生まれる」

 「変化は、あなたが立っている場所から始まります。これは、私たち全員が、一人残らず、変化の担い手だということです」と、授賞式の司会を務めたジャーナリストのヴァネッサ・ハウク氏は語った。
「変化は私たちが日々下す選択から生まれます。それは信念から生まれます。不正義を避けられないものとして受け入れることを拒否することから、決して沈黙させられない声から生まれます。それは隣人から、通りの向こうから、私たちの地域社会から始まるのです」
 「一般の人がもはや傍観していられないと決断したときに、変化は大きくなります。変化とは勇気のことです。困難な時に立ち上がり、危険を冒して声を上げ、不利な状況でも諦めずに持ちこたえることです」
 ハウク氏はまた、サンフランシスコでの授賞式に出席した350人の未来のリーダーたち、つまり「私たちの地球を受け継ぎ、次世代の環境保護者を形成していく」各地域から集まった若者たちの存在にも言及した。
 ゴールドマン環境賞は、世界の六つの有人大陸地域からそれぞれ選ばれた環境保護のヒーローたちに毎年授与され、世界中の草の根環境活動家の功績とリーダーシップを称え、世界中の人々に地球を守るための行動を起こすよう促している。
 この賞は37年間で、98カ国から239名の受賞者──そのうち112名が女性──を輩出してきた。その多くは、政府高官、国家元首、NGOのリーダー、ノーベル賞受賞者といった人々である。
 受賞者6人全員が女性となったのは今年が初めてであり、環境保護活動における女性の重要な役割を物語っている。
 今年の受賞者たち──ナイジェリア、韓国、米国、コロンビア、英国、パプアニューギニアの出身──は、自身の環境保護活動を継続するための資金援助を受けた。

2026年ゴールドマン環境賞の受賞者たち:(上段左から)サラ・フィンチ氏、アラナ・アカク・ハーレー氏、キム・ボリム氏。(下段左から)テオニラ・ロカ・マトボブ氏、ユベリス・モラレス・ブランコ氏、イロロ・タンシ氏

  ナイジェリアで
  熱帯雨林とコウモリを保護する

 ナイジェリア南東部に位置する2万5,000エーカーのアフィ山野生生物保護区には、西アフリカに残された数少ない原生熱帯雨林の一部が含まれている。
生物多様性のホットスポットであるこの地域には、多くのコウモリ種を含む数多くの固有種や絶滅危惧種の動物が生息している。森林火災は、熱帯雨林と周辺の16の農村地域の両方にとって、ますます深刻な脅威となっている。
 「森林火災の特徴は、それが農場で発生し、意図的なものではない点にあります」と、保全生態学者のイロロ・タンシ氏は語る。「人々は毎年、火を使って農地を整備していますが、気候変動によって降雨パターンが完全に崩れてしまい、今ではいつ安全に焼畑を行えるか予測できなくなってしまいました」
彼女は夫のベンさんと共に、西アフリカの小型哺乳類の生息地を保護するため、「小型哺乳類保護機構」を共同設立した。その主な活動内容はコウモリの研究と啓発である。
 「コウモリは過小評価されています」とタンシ氏は言う。「コウモリが重要なのは、種を運ぶからです。多くの花の受粉を助け、生態系において素晴らしい役割を担っています」
 2016年、タンシ氏はアフィ山脈において、この地域では絶滅したと考えられており世界的にも絶滅の危機に瀕しているカグラコウモリの生息を発見した。
しかし、生息の発見からわずか数日後、壊滅的な森林火災が森を襲った。「2016年に私たちを追い出したあの火事は、雨が降るまで土地を焼き尽くしました。ですから、火を消す場所はどこにもありませんでした。公園の50%が被害を受けました」
 この出来事は、彼女のチームにとって警鐘となった。もしこの地域で森林火災を減らすことができなければ、カグラコウモリをはじめとする絶滅危惧種は永遠に失われてしまうかもしれない。
 そこでタンシ氏は、2017年に「森林火災ゼロキャンペーン」の構想を地元住民に提案した。「地域集会を開くと、ものすごい数の人々が参加しました。まるで人々の心の琴線に触れたような感覚でした。人々は森林火災について話したがっていました。というのも、私たちはコウモリのために森林火災を心配していたのですが、地域の人々は農地を焼き尽くす火災を心配していたからです」
地域社会の全面的な支持を得て、森林火災ゼロキャンペーンは、村の指導者たちの協力により、既存の森林火災防止法を強化することになった。タンシ氏のチームはまた、森林火災と自然保護に関する意識を高めるため、地域社会で啓発キャンペーンを展開した。
 「このケースではコウモリに関する啓発活動も同時に行っていたので、コウモリと森林火災の両方の問題にとって良い結果となりました。その後、森林火災がいつ発生しているかを把握するために、気象データを収集する必要があると判断しました」
 タンシ氏のチームは、気象観測所を設置して気象パターンを研究することで、農地で必要とされる野焼きに適した日と不適切な日を正確に予測できるようになった。しかし、チームにはこの情報を農家に伝える手段が必要だった。そこで、米国で用いられている防火対策を参考に、標識を含む火災警報システムを導入した。
 「私たちはデータを収集し、分析し、リスクを予測し、その結果を伝えます。森林火災をゼロにしたいと考えたので、村々に森林警備隊を配置する体制を構築し、火災が万一制御不能になった際に実際に対応できるようにしました。森林警備隊には遠隔操作の消火装備を支給し、リスクの高い日には待機態勢を取っています」
 2022年から2025年にかけて、森林警備隊は74件の火災を鎮火させ、タンシ氏が掲げたアフィ山脈における森林火災ゼロというビジョンを実現した。
彼女のチームと地域コミュニティーの協力は、オナガコウモリや他の多くの絶滅危惧種にとっての生息地であるこの生物多様性の宝庫を守るのに役立ち、同時に農地を保護し、住民のための新たな雇用を創出することにも成功した。
 タンシ氏は、受賞に際して次のように語った。「私たちの地球は燃えています。私たち全員が行動を起こすために燃え上がらなければなりません」
 「気候変動の圧力の下、壊滅的な森林火災は今や、森林破壊の最も一般的な原因となっています。森林火災による排出は、あらゆる乗り物から出る排気ガスの合計よりも大気中の二酸化炭素の増加を助長しています」
 「しかし良いニュースは、私たちはこのような火災を止められるということです。私は願っています。……いえ、約束します。私たちはこのような火災を止めます。なぜ私はこれほど自信を持っているのでしょうか。それは、ゴールドマン環境賞によるこの注目が、マダガスカルの田舎の公園管理官を鼓舞してくれるからです。コンゴのどこかの少女は、先祖代々の森を守ることを夢見るでしょう。ブラジルの農民は、自分の作物を守るために別の道を思い描くはずです」

  韓国で若者主導の団体が
  画期的な環境訴訟に勝利する

 韓国は地球上で最も人口密度の高い国の一つだ。
 国土面積が比較的小さいにもかかわらず、この国は世界有数の温室効果ガス排出国であり、輸入化石燃料への依存度が高く、過去には、海外の石炭事業への投資を行っていた。地球の温度が上昇するにつれ、熱波、モンスーン(雨季)、洪水といった深刻な気候現象がすでに、韓国に頻繁に影響を与えている。
 2018年にソウルを壊滅的な熱波が襲ったとき、キム・ボリム氏は大学生だった。この熱波では数千人が体調を崩し、数十人が死亡した。その中には、キム氏の母親と同年代の地元の女性も含まれていた。
 ボリムさんと仲間たちは、気候ストライキや学校での授業ボイコットを組織し始めた。2020年3月、ボリムさんと彼女のチームは19人の若者の原告を組織し、政府を相手取って訴訟を起こした。訴訟では、政府の気候変動対策の不備が、将来世代の権利を根本的に侵害していると主張した。
 ボリムさんと彼女の団体「青少年気候行動」はその後、手紙を書く大規模なキャンペーンを展開し、街頭デモを調整するとともに、当初の憲法訴願を基に、市民社会全体から100人以上の原告が提訴するのを支援した。
 訴訟が徐々に進展する中で、ボリムさんの粘り強い活動は何千人もの動員につながり、気候変動対策は韓国全土に波及する社会運動へと発展した。
 2024年8月、韓国憲法裁判所は、政府の気候変動対策は違憲であり、国民の権利を侵害しているとの判決を全会一致で下した。
 この判決は韓国国会に対し、2050年までに、温室効果ガス排出量を実質ゼロにするための科学的根拠に基づいた排出削減目標を策定することを義務付けた。この目標が達成されれば、今後25年間で15億トン以上の二酸化炭素排出量──約500基の石炭火力発電所の年間排出量に相当──を削減できる可能性がある。またこの判決は、アジア各地で同様の若者主導の気候変動訴訟に影響を与えた。
 キム氏はこう語った。「私が気候変動活動を始めたのは、シンプルながらも切実な希望、つまり真の変化を起こしたいという思いからでした。過去8年間で、気候危機は単に気温の上昇の問題だけではないと気づかされました。化石燃料の燃焼と温室効果ガスの排出が依然として優先される社会では、災害は個人が一人で耐え忍ぶべき悲劇として扱われます」
 「権力を持たない人々は、権利を持っていることすら認められず、危機の中で安全に生きる権利さえも認められていません。リスクが不可逆的に増大する構造の中で、最も脆弱な人々の生活が──そして私の周囲の人々の平凡な生活さえも──危険な状態へと追いやられています」
 「だからこそ私は、この途方もない脅威に直面しても、誰もが平等に安全を享受する権利を持つべきだという考えに強く傾倒するようになったのです」

 アラスカで
 大規模な鉱山開発計画を阻止する

 アラスカ南西部のブリストル湾流域は、他に類を見ないほど生物多様性に富んだ景観を誇っている。その広大な水路網は相互に連結しており、地球上で最大の天然ベニザケの遡上を支えている。何千年もの間、この地を故郷としてきたユピック族をはじめとする先住民族の伝統的な生活様式において、サケは中心的な役割を担っている。
 ユピック族の指導者、アラナ・アカク・ハーレー氏は、15の部族国家を代表して、アラスカ州ブリストル湾地域で計画されていたペブル鉱山の巨大プロジェクトを阻止する運動を主導した。「ブリストル湾連合部族(UTBB)」の事務局長であるアラナさんと幅広い連合体は、2023年1月、米国環境保護庁から、この銅・金鉱山プロジェクトに対する歴史的な却下決定を引き出した。
 この勝利により、ブリストル湾とその流域全体が、北米最大規模となるはずだった露天掘り鉱山の建設から守られることになった。ハーレー氏とUTBBは、開発の侵食から湾を守るために活動を続けている。
 「結局のところ、これは人類のための闘いであり、率直に言えば、私たちがこの地球上で人間として生き続ける能力のための闘いなのです」と彼女は語った。
ハーレー氏は、受賞にあたり次のように述べた。「私は、部族の指導者たち、ブリストル湾の人々、多くの恩師や支援者、そして友人や素晴らしい家族を代表してこの賞を受け取ります」
 「この賞は私たち全員を称えるものです。あらゆる困難に立ち向かった人々、貪欲と破壊に対して声を上げることを決してためらわなかった人々です」
 「この賞は、毎年欠かさず手紙を書き、公聴会で証言し、抗議活動を行い、利益よりも人を大切にするように子供を育ててきた人々を称えるものです」
 「この賞は、今夜ここにお集まりいただいた、ブリストル湾に残る多くの人を代表して来られた部族の指導者の方々を称えるものです」
 「この賞は、私たちの地域社会に対する勇気、奉仕、そして犠牲を称えるものです」
 「この賞は、毎日目を覚まして先住民の価値観を実践し、神聖な生き方を実践し、後世に伝え続けている私たちのコミュニティーの人々を称えるものです。彼らの生き方そのものが、敬意と感謝と調和をもって地球上のすべての命を慈しみ、いかにして善き人生を送るかという先祖からの神聖な教えを体現するものなのです」
 「貪欲と個人主義がもたらす壊滅的な影響に苦しむ中で、世界はこの教えを切実に必要としています」
 「この賞は、この闘いの最中に先祖の元に旅立った多くの長老や指導者を称えるものです。彼らは、私たちが何者なのかを、どこから来たのかを、そして、私たちの生き方を守り未来へと受け継ぐために、できる限りのことをしなければならないのだと教えてくれました。彼らの遺産は、この重要な活動の中に、そして先祖代々の管理人、私たちの故郷の守護者としてこの灯火を受け継ごうとしている若者たちの中に生き続けています」

  コロンビアでの
 水圧破砕法反対運動

 マグダレナ川はアンデス山脈からカリブ海まで1,000マイルにわたって流れ、コロンビアで最も生物多様性に富んだ水系の一つである。また、主要な経済回廊でもある。
 マグダレナ・メディオと呼ばれる地域では、コロンビア最大の企業であるエコペトロール社が、1マイル以上にわたって広がる巨大な石油精製所を運営している。エコペトロール社の石油精製所のすぐ下流には、プエルト・ウィルチェスという町がある。
 ユベリス・モラレス・ブランコ氏は、プエルト・ウィルチェスで小規模漁師の娘として育った。彼女は若き成人として、二つの主要な掘削プロジェクトに反対する地元コミュニティーの運動を主導し、コロンビアへの商業的フラッキング(水圧破砕法)の導入を阻止することに成功した。
 2022年、フラッキングが国家的課題として取り上げられる中で、エコペトロール社はフラッキングのパイロット・プロジェクト(試験計画)に関する契約を一時停止した。2024年8月――プロジェクトが依然として停止されている中――コロンビア憲法裁判所は、地元団体による訴訟を受け、これらのプロジェクトがプエルト・ウィルチェスのアフリカ系コロンビア人コミュニティーが持つ「自由かつ事前の、十分な情報に基づく同意」の権利を侵害していたことを認定した。
 ブランコ氏は次のように述べた。「若者や子供は化石燃料のない世界を想像し、それが可能だと信じ、現実のものにするよう私たちに求めています。私たちの世代は、化石燃料の時代を生きてきたという点で特異です。しかし、聞いていただきたいのです。 これはマグダレナ・メディオからの直接の呼びかけです。私たちは生命の川で平和という夢を追い求め、フラッキングに抵抗し続けます」

ユベリス・モラレス・ブランコ氏、マグダレナ川の川べりにて
(Photograph: Christian EscobarMora for the Goldman Environmental Prize)

  イングランド南東部で
  石油掘削を停止させる

 地球規模の二酸化炭素排出量の削減が急務であるにもかかわらず、欧州有数の石油・ガス生産国である英国は、化石燃料インフラの整備を続けている。燃料の大部分は北海から採掘されているが、イングランド南東部の500平方マイルに及ぶウィールド地域には、大規模な石油・ガス埋蔵量が存在する。
 環境活動家であり作家のサラ・フィンチ氏と、彼女が共同設立した「ウィールド・アクション・グループ」は、10年以上にわたり同地域での石油掘削に反対する精力的な運動を主導してきた。彼女たちはサリー州での石油開発プロジェクトをめぐり、5年間にわたる法廷闘争が激化する中、粘り強く闘い続けた。2024年6月、最高裁判所の判決を勝ち取り、ついに計画を中止に追い込んだ。
 その結果として下された「フィンチ判決」は、当局が化石燃料の採掘許可を与える前に、それが地球規模の気候に及ぼす下流影響を考慮しなければならないと定めている。この判例はすでに、英国全土におけるその後の化石燃料採掘プロジェクトや他の産業開発を阻止しており、今後のEUの政策形成にも影響を与える可能性がある。
 受賞にあたり、フィンチ氏は次のように述べた。「長年にわたる地域社会の結集、市民による抗議活動、そして画期的な法廷での勝利を経て、私たちは英国における化石燃料の未来を変える手助けをすることができました」
 「これを実現するには、5年にわたる法廷での闘いが必要でした。大きな前進ではありましたが、政府や世界中の関係者が化石燃料の生産を段階的に削減し、真の繁栄をもたらすクリーンエネルギーに投資することが依然として必要です」
「ですから、ここにいる皆さん、そして映像を見ている皆さん、ご自分の住む地域でこの取り組みを進めることをやめないでください。気候変動について、地元の議員や国会議員に手紙を書きましょう。あなたが経験した影響について伝えてください。この問題に取り組む他の団体と協力しましょう。気候危機の影響を受けない社会の分野などありません。そして、すべての人がこれを最優先課題として取り組むようにしなければなりません」

サラ・フィンチ氏
(Photograph: Goldman Environmental Prize)

  パプアニューギニアの鉱業企業に
  環境の浄化を迫る

 ブーゲンビル島は、パプアニューギニアのブーゲンビル自治州で最大の島であり、面積は約3,600平方マイル、推定人口は35万人である。この島には、膨大な銅と金の埋蔵量、カカオやココナッツの生産に適した肥沃な土地、そして豊富な海洋資源が存在する。
 パングナ銅・金鉱山――島の中央部、山岳地帯の未開発地域に位置する――は、世界第2位の鉱業企業であるリオ・ティント社によって開発され、1972年から1989年まで子会社を通して運営されていた。その稼働期間中、同鉱山は世界最大級の露天掘り鉱山の一つであり、パプアニューギニアの輸出収入の44%を占めていた。
 テオニラ・ロカ・マトボブ氏は、長らく休眠状態にあったパングナ鉱山が引き起こした環境的・社会的破壊に対処するため、2024年11月、リオ・ティント社に覚書の署名を迫る画期的なキャンペーンを主導し、成功を収めた。
 同社は、鉱山に対する社会的な反発を受けて35年前に現場を放棄していたにもかかわらず、鉱山が引き起こした広範囲にわたる被害を正式に認め、緊急のリスクに対処し、長期的な救済の仕組みを確立することを目的とした共同修復プロセスを開始した。
 マトボブ氏は次のように語った。「鉱山が操業していた頃から、私たちは正義を求めて長い闘いを続けてきました。これは、私の子供たちが、私が育った世界とは異なる世界を継承できるようにするために、私が引き受けた闘いです」
「この賞は、私たちが直面するあらゆる困難にもかかわらず、前進し続けるための希望と力を与えてくれます。この賞は、この闘いにおいて、私たちが決して孤独ではないことを思い出させてくれます。皆さんのように私たちと共に立ち、支えてくれる方々が世界中に存在するからです」
(goldmanprize.org)

巨大石油企業(ビックオイル)はあらゆるものを破壊する

地球や民主主義、裁判を……
ビル・マッキベン

 正直なところ、この記事は読み飛ばしていただいても構わない。もしかしたら、私自身の心の癒しとしてこれを書いているのかもしれない。最悪の事態を回避するために、私たちにまだできることに意識を集中しようと努めているが、時折、なぜ私たちが急速に過熱しつつあるこの惑星にいるのか、その理由を思い知らされる(ところで、先週取り上げた大西洋海流の崩壊に関する新たな研究があり、この海流システムの第一人者は、今世紀中に海流が崩壊する確率が50%だと予測している)。1980年代に気候危機について書き始めた頃、私は20代であった。当時、この地球上に、貪欲と権力にまみれ、自らの狭隘(きょうあい)な利益のために地球とその住人を犠牲にするような勢力が存在し得るなどとは、完全には理解していなかった。しかし、それは確かに存在する。「ビッグオイル(巨大石油企業)」である。

 時が経つにつれ、彼らの悪行はますます鮮明になっていった。1990年代には、彼らが地球温暖化対策への反対運動を組織していることが明らかであった――エクソンモービル社のCEOは、地球は寒冷化していると主張したことで有名である。2000年の大統領選挙直後、この石油会社の首脳たちは新副大統領のディック・チェイニー氏と秘密の会合を持ち、その直後、ジョージ・W・ブッシュ大統領は二酸化炭素を汚染物質として扱うという公約を反故にした。さらに、このビッグオイルは、1990年代末に排出量取引制度の提案を阻止し、コペンハーゲン気候会議を頓挫させるために動員を図った。当時、私たちが知らなかったのは、こうした貪欲な策略がいかに卑劣なものであったかということである。エクソン社のような世界の企業が、1980年代の時点で気候変動に関するあらゆる事実を把握していたにもかかわらず、あえて嘘をつき通していたことを、記者たちが公文書を精査し内部告発者を取材して証明したのは2015年になってからである。もし彼らが当初から正直に認め、解決に向けて動き出していたら、私たちが住む地球はどれほど違ったものになっていたか。このことは常に私の頭から離れない。

 私がこんなことを考えているのは、今週、この悪がどれほど根深いものかを思い知らされるような新たな動きがいくつかあったからである。

 第一に、言うまでもなく、彼らが権力の座に就かせるために懸命に尽力した人物、トランプ大統領が仕掛けたイラン戦争から、信じられないほどの利益を得ているという単純な事実である。ダミアン・キャリントン氏は昨日、このことについて報じた。

 ガーディアン紙の独占分析によると、米イスラエルによるイラン戦争の最初の1カ月間、「世界の石油・ガス企業トップ100社は、1時間当たり3,000万ドル以上の不労利益を得ていた。サウジアラムコやガスプロム、エクソンモービルがこの大儲けの最大の受益者であり、このことは、気候変動対策の主要な反対者たちが繁栄を続けることを意味している」 

 1時間当たり3,000万ドルという追加利益、つまり私たちの懐から直接出ていく金を得るために、何か新しいことをしたり、より懸命に働いたりしたわけではない──ただくつろいで、自分たちが選んだ大統領が女子校を爆破するのを見ていただけである。これこそが棚ぼた利益であり、少なくとも数人、例えばカナダの著名なアナリスト、セス・クライン氏がその点について次のように指摘しているのは喜ばしいことである。

 「原油価格の高騰による棚ぼた利益は、圧倒的に富裕層に流れ、低所得世帯から超富裕層への隠れた富の再分配を生み出している。マサチューセッツ大学アマースト校の経済学者、イザベラ・ウェーバー氏とグレゴール・セミエニウク氏の研究によると、ロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされた価格ショックにより、2022年の上場石油・ガス企業の純利益は『世界全体で9,160億ドルに達し、これは(2020年を除く)過去数年の3倍以上の額である。最大の受益者は米国であり、米国に本社を置く企業は2,810億ドルの利益を上げた』。さらに、米国内では『化石燃料による利益の50%が最も富裕な1%の個人に集中し、人口の下位50%──6,600万世帯──は1%しか受け取っていない』ことが判明した」 
石油会社に課税する代わりに私たちは何をすべきだと彼らが考えているのか気になるなら、シェブロン社の幹部、アンディ・ウォルツ氏の言葉に耳を傾けてみよう。

 「人々は車の利用を減らすべきだ。エネルギーの節約に努めるべきだ」
これには「そのとおり」としか言えない。それと、「だったら湖に飛び込んでみたら」と。

 ビッグオイルの背信行為を思い知らされる二つ目の事例は、ニューヨーク・タイムズ紙のジョディ・カントール氏とアダム・リプタク氏による実に注目すべき報道である。彼らは最高裁判所担当記者であり(秘密主義に包まれている最高裁の取材は容易ではない)、「ロバーツ最高裁」が重要な問題に関する公開討論を、意見表明なしに大事件を即決できる「影の審理」に組織的に置き換えてきた経緯を解明しようと試みた。彼らはその経緯を2016年2月にまでさかのぼって調査している。

 「最高裁は当時、党派に沿った5対4の投票により、議論なしにバラク・オバマ大統領の看板環境政策『クリーン・パワー・プラン』を差し止める命令を下した。他のどの裁判所も同プランの合法性について判断を下す前に、最高裁は行動を起こしたのである。判決は定型的な法律文言のみで構成され、理由付けは一切なかった」

 二人の記者は、最高裁がこの重大かつ前例のない措置を検討していた5日間の内部メモを入手し、その背後には石油会社への入札要請があったことを明らかにした。

 「国と裁判所にとって極めて重要な局面において、ロバーツ最高裁長官はオバマ大統領の地球温暖化対策計画を阻止するために、まるでブルドーザーのように行動した」

 「同僚たちが前例のない行動だと警告した際、最高裁長官はそれを一蹴した。『この執行停止要請の姿勢が異例であることは承知している』と彼は記した。しかし、石炭火力発電所の規制を目的としたオバマ大統領の計画は『電力部門に課せられた史上最も高額な規制』であり、規模が大きく、費用もかさみ、影響も甚大であるため、裁判所は直ちに行動を起こさなければならない、と最高裁長官は主張した」

 過去数世紀であれば、裁判所は何カ月にもわたって議論を検討しただろう。しかし今回、ロバーツ最高裁長官は即時行動を要求した。

 「エネルギー業界は『今日中に事業計画を変更しなければならない』ため、裁判所は直ちに行動を起こさなければならない、と最高裁長官は主張した」
 「『執行停止がなければ、クリーン・パワー・プランは、この裁判所がその合法性を審査する機会を得る前に、国内電力部門に甚大かつ不可逆的な再編を引き起こすだろう(そしてすでに引き起こしている)』と彼は記した」

 彼の攻勢は他の判事たちの不意を突いた──例えば、ルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG)氏は、「悪名高きRBGとの対話」と銘打たれた講演のためにイタリアに滞在していた。彼らが交わしたメモの中で、判事たちはそのスピードと非正統的な手続きに疑問を呈したが、例えば、不運な石油会社がどうなろうと、地球温暖化が地球の「不可逆的な再編」をもたらすものなのかという点は誰も問題視していなかったようである(デビッド・シロタ氏は、『シチズンズ・ユナイテッド』の執筆者でもあるアンソニー・ケネディ氏の決定的な一票について有益な詳細を付け加えている)。ロバーツ最高裁長官がこの訴訟を選んだのも不思議ではない──彼は司法の右派による再編成の完璧な産物であり、その再編成はとりわけ、国内最大の石油・ガス王であるコーク兄弟によって支えられていたからである。しかし、彼がビッグオイルに媚びへつらったことで生じた損害は、大気汚染だけにとどまらない。カントール氏とリプタク氏はこう報告した。

 「その夜が最高裁判所の現代版『影の審理』の始まりであった、と多くの法律専門家は考えている。最高裁はその後、この秘密裏の手続きを用いて数々の重要な判決を下しており、移民問題から行政権限に至るまで、トランプ大統領に20件以上の重要な勝利を与えてきた」

 連邦司法府が国家生活において政治的に関与する存在ではなく、公正な仲裁者であるという認識は、この出来事によって完全に消え去った。これは、最高裁長官が行った最も冷笑的な行為と言えるかもしれない(民主党が政権を奪還した場合、最高裁改革を躊躇すべきではない)。

 しかし当然ながら、司法府がこのように振る舞えるのは、判事の指名を承認する議会の協力があってこそである。そして議会もまた、他の部門を汚している同じ「油流出事故」に巻き込まれている。今週、ワイオミング州選出のハリエット・ヘイグマン下院議員が、気候変動による被害をめぐる訴訟から産業界を免責する、待望の法案をついに提出したことで、その事実が改めて浮き彫りになった。これは、ここ数カ月で相次いで可決された同様の州法に続くものである。プロパブリカの画期的な調査によると、こうした法律は、右派の司法活動家、レナード・レオ氏(「フェデラリスト・ソサエティー」を通じてロバーツ最高裁を築き上げた人物)が、保守派の実業家、バーレ・セイド氏からの数十億ドルの寄付金を使って画策したものである。セイド氏はDDT増産運動だけでなく、ハートランド研究所にも資金を提供していた(同研究所は気候変動否定派シンクタンクの中でも最も過激な組織で、気候科学者をチャールズ・マンソンのような存在だと主張する一連の看板広告で何よりも有名である)。

 いずれにせよ、こうした州法は有用ではあるが、石油業界にとっての「聖杯」は連邦政府による免責の付与であり、それが実現すれば、ニューヨーク州やバーモント州などの州が近年可決したすべての「気候スーパーファンド」法や、現在裁判所で審理が進められているさまざまな訴訟が事実上骨抜きにされてしまう。石油業界は、自らが選出した大統領が就任するやいなや、この免責の付与を推し進め始めた。2025年3月のウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事には、彼らがその主張を展開したホワイトハウスでの会合の様子が記されている。しかし今──中間選挙後に共和党が議会の支配権を失う可能性が高まっている中──彼らは動き出した。これは実際には挟み撃ちの戦略である。最高裁判所がコロラド州の訴訟を審理し、多くの訴訟が却下される可能性があるからである。
 
 問題の核心はこうである。もしこの法律が可決されて成立すれば、石油業界は、地球の気候システムを故意に破壊したという事実について決して責任を問われなくなる。同様に重要なのは、この法律が、石油業界を何らかの包括的な合意へと導き、事業を縮小させるための唯一の実質的な圧力手段を奪ってしまう点である。これはまさに、最終的にタバコ業界を交渉の席につかせた手段そのものであるが、石油業界は自分たちのはるかに大きな罪を免れようとしている(フィリップ・モリスは喫煙者を一人ずつ死に至らしめたが、エクソン社の煙は地球全体を滅ぼす可能性がある)。カリフォルニア州の元保険長官、デイヴィ・ジョーンズ氏は最近こう述べている。

 「いかなる業界であれ──特に気候変動による住宅や企業、地域社会全体の破壊を助長する温室効果ガスの大量排出を引き起こしている業界が──法の上に立つことは、極めて危険な行為となる。もしビッグオイルが望みを叶えることになれば、それは永続的かつ連鎖的な被害をもたらす不正義となるだろう」

 私たちはこうした攻勢を続ける必要がある。「汚染者負担原則」に基づくスーパーファンド法案が複数の州議会で審議されている──あなたもこの闘いに参加できる。ハワイ州議会では、ラハイナの山火事や先月の大規模洪水といった気候変動関連の被害に対する賠償請求を、保険会社がビッグオイルに求めることのできる強力な新法案が審議されている。私はこのメッセージを伝えるために投獄された経験があるが、おそらくまた投獄されるだろう。

 しかし、私が代替エネルギーの普及推進にますます多くの時間を費やす理由の一つは、石油産業が私たちのシステムにどれほどの腐敗をもたらしてきたかを完全に理解するようになったからである。免責特権を覆す可能性のある民主党の多数派獲得と、石油業界に責任を負わせる新たな法律の制定のために私は全力で闘うつもりであるが、私たちが制限時間内にそうした闘いを勝ち抜くかどうかについては確信が持てない。

 石油産業が金で完全に買収できない唯一の法則は、物理法則と、最終的にはより安価で優れた製品が勝つべきであると示唆する市場原理だけである。石油産業は前者の法則について嘘をつきながら、後者の法則を回避しようと必死になっているが、この場合、彼らの貪欲さがかえって深刻な敗北を招くことになるかもしれない。トランプ大統領によるイランへの狂気じみた攻撃が、主に風力や太陽光といった代替エネルギーへの移行を加速させていることは、今や誰の目にも明らかである(例は数え切れないほどある。例えば、ラファエル・ラシッド氏は、韓国で突如として始まった再生可能エネルギー革命について語っている。ティム・マクドネル氏は、買い手がエジプトなどの国々からクリーンエネルギー製品を求めて中国に殺到する中、中国が有利な立場に立っている様子を詳しく解説している)。何十年もの間、あらゆる議論におけるビッグオイルの最終的な反論は、「温かいシャワーと冷たいビールが欲しければ、われわれなしではやっていけないだろう」であった。しかし今は、彼らなしでもやっていくことができる。

 私が太陽エネルギーに取り組むのは、それが気候変動による被害を抑えるのに役立つからであり、また、巨大多国籍企業ではなく地域社会に力を与え、解放をもたらす可能性を秘めているからである。しかし、エクソン社やシェブロン社といった、私が軽蔑する企業を攻撃する最も鋭い武器であるという理由から、太陽エネルギーに取り組むこともある。正直に言うと、私はこうした企業を憎んでいる。憎まないように努めてはいるが。彼らはこの世界の吸血鬼であり、私たちが幸運にも生まれ落ちたこの地球から生命力を吸い取っているからである。しかし私たちは皆、太陽光が吸血鬼に対してどのような働きをするかを知っている。
(「サブスタック」より、ビル・マッキベン氏の厚意により転載) 

 ビル・マッキベンは、60歳以上の人々を気候と正義に関する行動へと動員する団体「サード・アクト」の共同創設者である。『自然の終焉』やその他20冊の本の著者である。ライト・ライブリフッド賞やガンジー平和賞など、数多くの賞を受賞している。

「ジャスト・ストップ・オイル」の活動家たち、英国・ロンドンのホワイトホールにて(Photograph: Alisdare Hickson, Wikimedia Commons)

視点 中東におけるトランプ・ネタニヤフ戦争の集結

ジェフリー・D・サックス、シビル・ファレス

早急に止めなければ、この戦争は容易に世界的な大戦争、事実上の第三次世界大戦へと発展する恐れがある。

 イスラエルと米国によるイラン攻撃は中東全域を巻き込んでおり、世界的な戦争へとエスカレートする恐れがある。経済的な影響はすでに深刻であり、壊滅的な事態となる可能性がある。ホルムズ海峡は、世界中で取り引きされる石油の約5分の1、世界の液化天然ガス(LNG)の30%を輸送している。海峡の封鎖が長期化すれば、現代において前例のないエネルギー危機が引き起こされるだろう。
 この紛争は制御不能に陥る可能性が高い。米国とイスラエルが、アラブ世界および西アジアにおける覇権を強固に目指しているからである──その覇権とは、イスラエルの領土拡大と、米国が支援する政権による地域支配が組み合わさったものである。最終目標は、歴史的パレスチナ全域を吸収した「大イスラエル」であり、それに加え、石油や天然ガスの輸出方法や輸出先に関する選択権を含めて、真の主権を剥奪された従順なアラブ諸国やイスラム諸国の政府を併合することである。
 これは妄想である。この地域のどの国も、イスラエルが現在のように暴走し、地域全体で民間人を殺害し、ガザ地区やヨルダン川西岸地区を破壊し、レバノンに侵攻し、イラクやイエメンを攻撃し、テヘランを絨毯爆撃することを望んでいない。自国の炭化水素輸出が事実上、米国の支配下に置かれることを望む国などない。この戦争が終わるのは、米国とイスラエルの侵略に対する世界的な反発が、この両国に停止を強いる場合に限られる。それがなければ、中東は炎に包まれ、世界は現代史において類を見ないエネルギー・経済危機に陥るだろう。この戦争は容易に世界的な大戦争、事実上の第三次世界大戦へと発展する恐れがある。
 しかし、別の道は存在する。イスラエルと米国が世界各国から断固として責任を問われるならば、戦争は合理的な根拠に基づいて終結する可能性がある。戦争を終結させるには、すべての当事者、ひいては世界全体に基本的な安全保障を確保するための、相互に関連した一連の措置が必要である。イランは、米・イスラエルによる侵略の恒久的な終結を必要としている。湾岸諸国は、イランによる報復攻撃の終結を必要としている。パレスチナ人は独立国家を必要としている。イスラエルは、恒久的な安全保障と、ハマスおよびヒズボラの武装解除を必要としている。全世界は、ホルムズ海峡の開放と、イランが核不拡散条約を遵守することを確実にするための、イランの核開発計画に対する国際的な監視を必要としている。そして、すべての国は、自国と領土における真の主権を望んでいる。あるいは、望むべきである。
 集団安全保障は、相互に関連した五つの措置によって実現できる。第一に、米国とイスラエルは、地域全体にわたる武力侵略を直ちに停止し、軍隊を撤退させること。第二に、イランは湾岸協力会議(GCC)加盟国に対する報復攻撃を停止し、トランプ大統領が2018年に無謀にも破棄した「包括的共同行動計画(JCPOA)」の改定版に基づき、国際原子力機関(IAEA)の監視下に戻ること。第三に、ホルムズ海峡がイランとGCCの相互合意により再開されること。第四に、パレスチナを国連の正式加盟国として承認することで、二国家解決案を直ちに実施すること。イスラエルは、西岸地区および東エルサレムの占領を終了し、レバノンおよびシリアから軍を撤退させることが求められる。第五に、国連によるパレスチナ国家の承認が、国際的な監視下で検証される、すべての非国家主体による包括的地域軍縮の基盤となること。最終的には、国際法と国連憲章への回帰が実現するだろう。
 この計画で勝つのは誰か。この地域の民衆、つまりイスラエル、パレスチナ、レバノン、シリア、イラク、イラン、そして世界の他の地域の人々である。負けるのは誰か。世界を破滅の瀬戸際に追いやったベンヤミン・ネタニヤフ氏やイタマル・ベン・グヴィル氏、ベザレル・スモトリッチ氏、マイク・ハッカビー氏に率いられた、「大イスラエル」の支持者たちだけである。
以下に、五つのステップについてより詳しく説明する。

第一に、米・イスラエルによる武力侵略を終結させること。
イスラエルと米国は侵略を停止し、軍を撤退させる。その見返りとして、イランは報復攻撃をやめる。これは単なる停戦ではない。むしろ、包括的な和平合意と集団安全保障体制に向けた第一歩となる。

第二に、JCPOAに復帰すること。
核問題は、イランの濃縮ウランを国際監視の及ばない場所に追いやるだけの爆撃作戦ではなく、国際原子力機関(IAEA)による厳格な監視を通じて解決される。国連安全保障理事会は、2015年の包括的共同行動計画(JCPOA)の基本枠組みを直ちに復活させる。これに基づき、イランはIAEAの監視と核計画に関する合意された制限を厳格に遵守しなければならない。その一方で、イランに対する経済制裁は解除される。

第三に、イランとGCCの枠組みによりホルムズ海峡を再開させること。
ホルムズ海峡は速やかに再開され、イランと湾岸協力会議(GCC)が共同で安全な航行を保証する。GCC諸国は、自国の軍事基地に対する主権を主張し、こうした基地がイランに対する新たな攻撃の拠点として使用されないようにすべきである。

第四に、二国家解決。
パレスチナを国連の194番目の正式加盟国として承認することで、二国家解決案が実施される。これに必要なのは、米国が拒否権を行使しないことだけである。パレスチナ国家の樹立は、国際法に合致し、2002年から議論されている「アラブ和平イニシアティブ」とも一致する。これに伴い、域内の各国は、イスラエルとの外交関係を樹立し、国連安全保障理事会はパレスチナとイスラエルの双方の安全を確保するため、平和維持軍を派遣する。

第五に、武力紛争の終結。
二国家解決と並行して、ハマスやヒズボラなどの非国家武装勢力の武装解除を含め、地域におけるあらゆる武力紛争は直ちに終結する。パレスチナの場合、ハマスの武装解除はパレスチナ国家の権威を強化することになる。レバノンの場合、ヒズボラの武装解除はレバノンの完全な主権を回復させ、レバノン軍が国内唯一の軍事権威となる。
この武装解除は、国際監視団によって検証され、国連安全保障理事会によって保証される。

 重要な点は、イスラエルと米国によるイラン攻撃が、何もないところから始まったわけではないということである。1996年にネタニヤフ氏と米国にいる彼のネオコン(新保守派)支持者たちによって策定され、それ以来実行されてきた「クリーンブレイク」戦略は、米国を実行パートナーとして、政権転覆戦争を通じてイスラエルが地域における覇権を確立することを目的としている。北大西洋条約機構(NATO)最高司令官のウェスリー・クラーク氏が9.11後に明らかにしたように、米国は四半世紀前に7カ国の政権を転覆させる計画を策定していた。「イラクを皮切りに、次にシリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイラン」である。したがって、私たちは今、アラブ世界と西アジアを支配し、大イスラエルを創出し、パレスチナ国家の樹立を永久に阻止するという、イスラエルと米国による長年の計画の集大成を目の当たりにしているのである。
私たちの計画が実現する可能性について、私たちは楽観視していない。イスラエル政府は残虐であり、トランプ氏は米国の力について妄想を抱いているからである。私たちは恐らく、すでに第三次世界大戦の初期段階にあるのかもしれない。 しかし、事態の重大さを考えると、たとえ成功の見込みが薄くても、現実的な解決策を提示する価値はある。非西洋世界――つまり米国の属国ではない国々――は平和と安全保障の緊急性を理解している、と私たちは信じている。
 では、誰が和平計画を主導できるだろうか。米国とイスラエルは、あらゆる手段を尽くして抵抗し、世界的な反対の重みと経済的な破滅によって受け入れざるを得なくなるまで抵抗し続けるであろう。
 主なグループは一つある。それは新興5カ国(BRICS)である。
 ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、そして現在ではアラブ首長国連邦(UAE)、イラン、エジプト、エチオピア、インドネシアを含む拡大メンバー諸国は、世界人口の約半分、全世界の国内総生産(GDP)の40%以上を占めている(称賛されながらも過大評価されているG7諸国の割合は28%にすぎない)。BRICS諸国は、信頼性と経済的影響力がある一方で中東帝国主義への歴史的な加担はないという点で、世界を正気に戻す力を持っている。BRICSは緊急サミットを招集し、平和と安全保障の条件を盛り込んだ統一的な枠組みを提示すべきである。それから、その枠組みは国連安全保障理事会に提示されるべきである。世界の世論はその理事会の場で、米国とイスラエルに対して世界を破滅へと追い込むのをやめるよう求め、すべての国に対して国連憲章を遵守するよう促すことになるだろう。
(Common Dreams)

ジェフリー・サックス教授は、アメリカの経済学者、研究者、公共政策アナリストである。持続可能な開発、経済開発、貧困対策に関する研究で知られている。国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(UN SDSN)会長であり、国連開発のためのブロードバンド委員会の委員を務めている。 
シビル・ファレス氏は、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(UN SDSN)において、中東政策および持続可能な開発の専門家兼アドバイザーを務めている。

ワールド・スキャン 2026年冬季オリンピックと持続可能性をめぐる虚偽

この欄では、時事問題を検証し、新たなアプローチと永続的な解決策を緊急に必要とする問題を浮き彫りにする。世界は今、真実と事実こそが、法を遵守する、公正で慈悲深い社会が正しく機能するために必要不可欠であることを認識している。

2026年冬季オリンピックと持続可能性をめぐる虚偽
ポーリン・ウェルチ

 栄光や富への渇望、あるいは卓越性への追求を満たすため、あるいは耐え難いほど過酷な現実から目をそらすために、私たちのグローバルな消費主義文化が何をしようとしているかを象徴するものとして、ミラノからコルティナ・ダンペッツォに至るイタリア北部各地で開催された冬季オリンピックほど、ふさわしい例はないだろう。
 どれだけの人が、アスリートたちがその競技で最高の選手になろうと全身全霊を注ぐ姿を座って見守り、彼らの成功や悔しさを自分のことのように感じていたのだろうか。おそらく、多くの選手たちの間で交わされた温かい応援や祝福も、私たちにとって喜びだったのではないだろうか。しかし、刻一刻と温暖化が進むこの世界で、あの大量の雪が一体どこから来たのか、と疑問に思った人はどれほどいただろうか。あるいは、その「雪」こそが、実は見た目とは異なるものだったのではないか、と。
 国際オリンピック委員会(IOC)は、大会の持続可能性に関する方針を大々的に掲げている。しかし、ガーディアン紙の記事は、これを単なる幻想であると、あっさりと、そして極めて憂慮すべき形で論破している。その例をいくつか挙げてみよう。

 ● コルティナの平均積雪量は過去50年間で15センチメートル減少したため、スキー場に必要な1.5メートルの積雪を確保する唯一の方法は、四つの高地貯水池を建設し、年間の大半で干ばつに見舞われている河川から山へ汲み上げた水でそれらを満たすことだった。その水を人工雪にするためには、冷却処理が必要となる。さらに悪いことに、プロジェクトは予定より遅れ、当初合意していた量の3倍から5倍もの水を地元の河川から取水せざるを得なくなり、その結果、河川は干上がりに近い状態となり、魚が死に、汚染を引き起こした。水が枯渇しつつある資源であるこの世の中で、これはあまり理にかなっていない。
 ● 樹齢150年という貴重な森、ボスコ・ディ・ロンコは、新しいボブスレーコース建設のために完全に伐採され、その跡地には全長2キロメートルに及ぶ鉄とコンクリートの構造物が建てられた。地元の事業主の中には、コース建設によって新たなビジネスがもたらされることを重視し、森が失われたことを気にしていない者もいる。しかし、イタリアが過去に開催したオリンピックのために建設されたコースが、すでに長い間使われなくなっているという事実を認識していないようだ。
 ● IOCは、使用される会場の85%が既存の施設か仮設施設であると主張しているが、実際にはそのほとんどが今回の大会のために取り壊され、再建されたため、はるかに大きな土地を占有することになった。しかも、近隣に代替となる会場があったにもかかわらず、このような事態となったのである。
 ● これらの大会を真に持続可能なものにするため、IOCとの協力を要請された他の環境団体と同様に、世界自然保護基金(WWF)イタリア支部も、明確な取り組みが見られないとして交渉から離脱した。同団体はIOCの姿勢を「グリーンウォッシング」と批判し、「実質的な議論は行われなかった」と指摘した。
 ● 地球上で最も脆弱な生態系の一つでこうした事態が起きているにもかかわらず、イタリア政府は、プロジェクトの60%について環境アセスメントの実施を免除していた。

 作家であり活動家、元森林監視官であるルイジ・カサノヴァ氏は次のように述べた。「こうしたあらゆる状況において、イタリアの環境保護運動は代替案を提案してきたことを忘れてはならない。環境への負荷が少なく、費用も抑えられ、安全で、地域社会にも利益をもたらす案だ。オリンピックが環境や景観に与える影響の代償を払うのは、私たちに続く世代になるだろう」

視点 イランによる米国への包括的和平提案

ジェフリー・D・サックス、シビル・ファレス

 ジェフリー・サックス教授とシビル・ファレス氏は2026年2月9日、米国がイランから差し出されたオリーブの枝(和平提案)を受け取るだろうか、と問いかけた。今、シェア・インターナショナル誌3月号が発行されようとしているこの時、悲しいことに、全世界がその問いに対する致命的な答えを知っている。

 歴史には時折、紛争についての真実があまりにも明白に語られ、もはや無視することができなくなる瞬間が訪れる。2月7日にカタールのドーハでイランのアッバス・アラグチ外相が行った演説は、まさにそのような瞬間だったと言えるだろう。彼の重要かつ建設的な発言は米国による包括的交渉の呼びかけに応えるものであり、中東全域の平和に向けた健全な提案がなされた。
 マルコ・ルビオ米国務長官は先週、包括的交渉を呼びかけ、「イラン側が会談を希望すれば、われわれは応じる用意がある」と述べた。ルビオ長官は、核問題やイランの軍事力、地域における代理勢力への支援について協議することを提案した。表面的には、これは真剣で建設的な提案のように聞こえる。中東の安全保障上の危機は相互に関連しており、核問題を地域全体の動向から切り離した外交は長続きしそうにない。

 イランのアラグチ外相は2月7日、米国による包括的和平の提案に応えた。アルジャジーラ・フォーラムでの演説で、同外相は地域の不安定の根本原因に触れた――「パレスチナ問題は……西アジアおよび世界における明確な正義の問題である」と述べ、今後の道筋を示した。
 外相の発言は正しい。パレスチナ国家問題の解決が失敗に終わったことが、1948年以降のあらゆる主要な地域紛争の火種となってきた。アラブ・イスラエル戦争、反イスラエル武装勢力の台頭、地域の分断、繰り返される暴力の連鎖――これらすべては、イスラエル国家と並んでパレスチナ国家を樹立できなかったことに起因している。イスラエルがパレスチナを残忍な形で占領し続けた後、2023年10月7日にハマスがイスラエルを攻撃し、それからイスラエルによるガザ住民へのジェノサイド(集団殺害)が行われた。ガザはこの紛争における最も壊滅的な局面を象徴している。

 アラグチ氏は演説で、イスラエルが「安全保障の旗印の下に推進」している拡張主義的な計画を非難した。また、イスラエル政府高官やベン・グヴィル国家安全保障相が繰り返し主張し、クネセト(イスラエル国会)がすでに決議を可決したヨルダン川西岸地区の併合についても警告した。
 アラグチ氏はさらに、イスラエルの戦略におけるもう一つの根本的側面、つまり、地域全体における恒久的な軍事的優位性の追求についても強調した。イスラエルの拡張主義的計画には、「近隣諸国を軍事的、技術的、経済的、社会的に弱体化させ、イスラエル政権が恒久的に優位に立つこと」が不可欠だと述べた。これはまさに、30年前にさかのぼるネタニヤフ首相の「クリーン・ブレイク」戦略である。米国は、2000年以降、イスラエルに1,000億ドルの軍事援助を行い、国連では度重なる拒否権発動による外交的庇護を行い、イスラエルによる国際人道法違反に対する責任追及措置を一貫して拒否するなど、イスラエルを熱心に支援してきた。

 イスラエルの不処罰は、地域の不安定化を招き、軍拡競争、代理戦争、復讐の連鎖を助長してきた。また、残された国際法秩序をもむしばんでいる。米国とイスラエルによる国際法の濫用は、欧州諸国の多くを沈黙させ、国連憲章を深刻に弱体化させ、国連を崩壊寸前に追い込んでいる。
 アラグチ氏は演説の結びで、米国に対して政治的解決と前進の道筋を示した。「安定への道筋は明らかだ。パレスチナのための正義の実現、犯罪に対する責任追及、占領とアパルトヘイトの終結、そして主権・平等・協力に基づく地域秩序の構築である。世界が平和を望むなら、侵略に報酬を与えることをやめなければならない。世界が安定を望むなら、拡張主義を助長することをやめなければならない」
 これは、ルビオ氏の包括的外交への呼びかけに対する、妥当かつ建設的な回答である。

 この枠組みは、この地域の紛争のあらゆる絡み合った側面に対処できる可能性がある。イスラエルによるパレスチナ領土の拡張と占領の終結と、1967年6月4日の境界線への復帰は、この地域における代理勢力への外部からの資金提供と武器供与を終わらせるだろう。イスラエル国家と並んでパレスチナ国家が樹立されれば、イスラエルのみならず近隣諸国の安全保障も強化される。イランとの新たな核合意は、イランの核活動を平和的な活動に厳しく制限し、米国とEUによる制裁の解除と相まって、地域の安定にとって極めて重要な柱となるだろう。イランは10年前にすでに、国連安全保障理事会決議2231で採択された「包括的共同行動計画(JCPOA)」において、このような核枠組みに合意していた。合意から離脱したのはイランではなく、トランプ氏の最初の任期中の米国であった。

 包括的平和は、国連憲章そのものを含む、現代の集団安全保障の原則の基盤を反映するものである。永続的な平和には、主権や、領土保全、すべての国家の平等な安全保障の保証に対する相互承認が必要である。
 地域の安全保障は、地域内のすべての国家の共有の責任であり、それぞれの国家は歴史的な義務に直面している。この包括的な和平提案は目新しいものではなく、イスラム協力機構(57のイスラム主流国)とアラブ連盟(22のアラブ諸国)によって数十年にわたり提唱されてきた。2002年のアラブ和平イニシアチブ以来、これらの国々はすべて、土地と平和の交換という枠組みを毎年承認してきた。米国の同盟国である主要なアラブ諸国とイスラム諸国はすべて、オマーンにおける米イラン間の最新の交渉を促進する上で重要な役割を果たしてきた。さらに、サウジアラビアは、パレスチナ国家の設立を条件としてのみ、イスラエルとの関係を正常化することを米国に明確に伝えている。

 米国は正念場を迎えている。米国は本当に平和を望んでいるのか、それとも、イスラエルの過激主義に追随したいのか。米国は何十年もの間、イスラエルの誤った目的に盲目的に従ってきた。国内の政治的圧力、強力なロビー活動網、戦略的な誤算、そしておそらくはエプスタイン文書に潜むわずかな脅迫(誰が知るだろうか)が相まって、米国の外交はイスラエルの地域的野望に従属してきた。
 米国がイスラエルに従属することは、米国の国益にかなわない。米国は度重なる地域戦争に巻き込まれ、米国の外交政策に対する国際社会の信頼を損ない、1945年以降、米国自身が構築に尽力した国際法秩序を弱体化させてきた。

 包括的和平は、進路を修正する稀有な機会を米国に提供する。国際法に基づく包括的な地域和平について交渉することで、米国は真の外交を取り戻し、イスラエルとパレスチナを含むすべての当事者に利益をもたらす安定した地域安全保障体制の構築に貢献することができる。
 中東は、終わりのない戦争と包括的和平の岐路に立っている。平和の枠組みは存在する。何よりもまず必要とされるのは、パレスチナ国家の樹立、イスラエルおよび地域全体の安全保障の保証、10年前に国連で採択された基本合意を回復する平和的な核合意、経済制裁の解除、国際法の公平な執行、そして軍事力に代わる安全保障協力に基づく外交的枠組みである。世界は包括的な枠組みを支持し、この歴史的な機会を捉えて地域平和を実現すべきである。

(Common Dreams)

自然の精やデーヴァと協力して働く

第一部


シェア・ギルモア

 「自然の精」や「デーヴァ(天使)」という概念そのものを嘲笑する者もいる。私たちの物質主義的な文化では、目に見え、測定できるものだけが現実だと信じるよう教え込まれているからである。古代の人々は直感的に自然界の重要性を理解し、万物の相互のつながりを認識していた。しかし、自然資源を搾取し支配することを可能にする道具が発明されたことで、私たちは、生存のために依存している力との直接的な協働的関係を失ってしまった。私たちは今、こうした分離主義的なアプローチによって生み出された多くの危機を経験し、自然との関係を再評価し始めている。

 世界中のさまざまな場所で、グループや個人が、自然の営みを圧倒するのではなく、協働することがどれほど有益であるかを経験的に学び直している。エーテル視力を活用して自然の精やデーヴァを見ることが──あるいは意識をエネルギー的に彼らと融合させることさえ──できることに気づきつつある人々もいる。秘教を学ぶ者たちは、これと並行する霊的な視点を提供しており、現代科学でさえ、思っていたよりもはるかに広大な宇宙に私たちが生きていることを確認している。科学と霊性は一つにまとまりつつある。

 科学的には、量子力学と量子物理学が、宇宙は振動のみで構成され、完全に相互につながり合っていることを証明した。唯一の現実とみなされている物体は、実際には、単により高密度の周波数の振動にすぎない。後述する『フィンドホーン・ガーデン』と『神々の王国』に記録された体験によれば、こうしたより正確な宇宙論において、デーヴァは高い振動域に存在し、ほとんどの人には見えず、それぞれの植物種の原型的パターンを保持する役割を果たしている。巨木であれ一本の草であれ、デーヴァは個々の植物を物質界における高密度の形態へと導くためにエネルギーを方向づける。

 このようなより広い視点から見れば、自然の精やエレメンタル(精霊)は、デーヴァからのエネルギーを伝達し、それぞれの植物や顕現体の原型的パターンに従って「エーテル体」を創造する。
 このようなエーテル体は私たちのエーテル体に類似しており、キルリアン写真ではオーラとして確認できる。 
 私たちはほとんど気づいていないが、自然界のデーヴァは地球の内部構造の根幹を成しており、環境の働きや反応において大きな役割を果たしている。….

世界を変える人間の好奇心の力

──パレスチナ出身のノーベル化学賞受賞者
ノーベル賞晩餐会におけるオマール・M・ヤギ氏のスピーチ

2025年12月10日

 ヨルダンでパレスチナ難民の両親の下に生まれた化学者、オマール・M・ヤギ氏は、金属有機構造体に関する研究で昨年10月にノーベル賞を共同受賞した。ヤギ氏は自身の発見を次のように要約している。「私たちが作った構造体には、内部に空洞や開口部がありました。それらは空間を取り囲んでいます。そしてこの空間の中に、空気中の二酸化炭素や水を閉じ込めて飲料水を作ったり、水素をクリーンエネルギーに変換したりすることができます」
 ヤギ氏は、家計を支えるため、父親の肉屋で働きながら育った。「私はとても粗末な家で育ちました。……小さな部屋に12人ほどが住み、飼っていた牛たちと部屋を共有していました」。彼はかつて、少なくとも100人の研究者によって引用されるような論文を発表することを夢見ていたと語っている。

陛下、殿下、閣下、敬愛する受賞者の皆様、
ご列席の皆様、
 共同受賞者の北川進氏、リチャード・ロブソン氏、そして私自身の3人を代表し、この特別な栄誉を賜りましたことについて、スウェーデン王立科学アカデミーおよびノーベル財団に感謝申し上げます。

 今夜、私たちは偉業だけでなく、可能性──つまり人間の好奇心が世界を再構築する力──をも称えます。金属有機構造体(MOF)の開発は、シンプルでありながらも大胆なアイディアから始まりました。それは、原子レベルの精度で材料を設計し、強固で目的を持った結合を形成することで、驚くべき機能を解き放つことができるというアイディアです。                                     
 このアイディアから新たな可能性が生まれました。砂漠の空気から純水を抽出する力、大気中の二酸化炭素を直接回収する力です。これらはほんの始まりにすぎません。無数の構造と用途を持つMOFは、有望性から実用的なツールへと急速に進化しており、数え切れないほどの人々の生活を変えようとしています。
 私の旅は、実験室から遠く離れた場所で始まりました。私はヨルダンのアンマンで、10人の子供を持つ難民家族の中で育ちました。水道も電気もなく、生計を支える家畜と生活を共にしていました。苦難は至るところにありました。成功の見込みはほとんどありませんでした。ただ、自然が驚くべき方法で姿を現し、私たちを助けてくれるという可能性はありました。
 転機は10歳の時、学校の図書館で分子の絵を見つけた時でした。その美しさと神秘性に心を奪われ、それが生物・無生物を問わず、あらゆるものの構成要素であることを知った時、化学への情熱に火がつきました。私は永久に化学に魅了されました。化学は私の逃避先であり、進むべき道となりました。
 幼少期のもう一つの経験も、私に大きな影響を与えました。砂漠では、政府から水が1週間か2週間に一度しか届かなかったのです。近所中で「水が来るぞ」という声が囁かれ、水の流れが止まってしまう前に、見つけた容器に水を汲もうと必死に駆け回ったことを覚えています。
 何年も経ってから、MOFが水を吸収し放出する仕組みを研究するうちに、一見普通の行動に思えるものの中に革命的な何かがあることに気づきました。このMOFが砂漠の空気から水を吸い上げ、きれいな飲料水に変えることができるのを目の当たりにしたのです。それは私の子供時代のリズムを彷彿とさせましたが、同時に、かつて私たちが耐え忍んできた苦難そのものに対する解決策を提示していました。もし私がそれを経験していなければ、このデータのパターンに気づけただろうか、と私はよく考えます。

 しかし、MOFのより深い教訓は、そのメタファー(暗喩)の中にあります。MOFの強さは、分子間の絆に由来します──私たちの未来が、国や世代を超えて築く絆にかかっているのと同じように。MOF科学は現在、100カ国以上で実践されており、世界中の若者、特に発展途上国の若者たちに刺激を与えています。
 ここに、私たちの最大の希望があります。つまり、物質を再構築できる科学と、それを前進させようと熱望する世代です。私はリーダーたちに行動を促します。科学者は特権を求めているのではなく、可能性を求めています。科学者の好奇心を支え、障壁を取り除き、学問の自由を守ってください。世界中の才能を受け入れてください。
 気候変動に関しては、行動を共にする時がすでに到来しています。科学はここにあります。今、必要なのは勇気です。課題の巨大さに見合った勇気です。そうした勇気があれば、次世代に対して炭素回収技術だけでなく、彼らが抱く希望にふさわしい地球を贈ることができるでしょう。
 化学を実践するために化学者である必要はなく、発見が誰にでも開かれているような未来を想像しています。AIの進歩はこれを可能にするかもしれません。それは、化学が進歩の科学であるだけでなく、希望の科学となるような未来です。かつて私が経験したような限界に直面する子供が一人もいない未来、より安定し、より豊かで、より公正な世界へと向かって子供が成長していけるような未来です。
 ありがとうございました。

(https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2025/yaghi/speech/; aljazeera.com)

オマール・M・ヤギ氏
(Photograph: Christopher Michel, Wikimedia Commons)

ジュネーブ条約

1864年のジュネーブ条約とそれに続くジュネーブ諸条約は、敵対行為に参加していない民間人や、もはや敵対行為に参加しない人々(捕虜や傷病者など)の保護に焦点を当てている。
 これらの条約の重要性は、ユーゴスラビア(1993年)とルワンダ(1994年)にかかわる戦争犯罪法廷の設立、および、国際刑事裁判所の創設につながったローマ規程(1998年)に反映された。

集団殺害犯罪(ジェノサイド)

国家的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行う次のいずれかの行為をいう。

(a)当該集団の構成員を殺害すること。

(b)当該集団の構成員の身体または精神に重大な危害を与えること。

(c)当該集団の全部または一部に対し、身体的破壊をもたらすことを意図した生活条件を故意に課すること。

(d)当該集団内での出産を防止することを意図した措置を強制すること。

(e)当該集団の児童を他の集団に強制的に移すこと。

民族浄化

(a)武力や脅迫を用いて特定の集団に属する人々をその地域から排除することによって、その地域を民族的に均質にすること。

(b)ある民族または宗教集団が、テロを誘発する暴力的な手段によって、他の民族または宗教集団の民間人を特定の地理的地域から排除するために計画した意図的な政策。

人道に対する犯罪

民間人に対する広範または組織的な攻撃の一環として、そのような攻撃であると認識しつつ行う次のいずれかの行為をいう。

(a) 殺人。

(b)  絶滅させる行為。

(c)  奴隷化すること。

(d)  住民の強制追放または強制移動。

(e)  国際法の基本的な規則に違反する拘禁その他の身体的自由の著しい剥奪。

(f)  拷問。

(g)  強姦、性的な奴隷、強制売春、強制妊娠、強制不妊手術、または同等の重大性を有するその他の形態の性的暴力。

(h)  政治的、人種的、国家的、民族的、文化的、宗教的な理由、性別または国際法上許容されないと普遍的に認められている理由に基づく、この項に掲げる行為または裁判所の管轄権内にある犯罪に関連して、特定の集団または共同体に対する迫害。

(i)  人の強制失踪。

(j)  アパルトヘイトの犯罪。

(k)  身体または心身の健康に対して意図的に重い苦痛や重大な傷害を引き起こす類似の性格を有するその他の非人道的行為。

戦争犯罪

国際人道法(条約または慣習法)違反のうち、国際法上の個人刑事責任を負うもの。その結果、集団殺害犯罪や人道に対する犯罪とは対照的に、戦争犯罪は常に、国際的または非国際的な武力紛争の中で行われる。
 関連するジュネーブ条約に基づいて保護される人または財産に対して行われる次のいずれかの行為。

(a)  故意の殺人。

(b)  拷問または非人道的な扱い(生物学的実験を含む)。

(c)  故意に大きな苦痛を与えること、または身体または健康に深刻な損傷を与えること。

(d)  軍事的必要性によって正当化されず、不法かつ恣意的に行う財産の広範な破壊または横領。

(e)  捕虜その他の被保護者を強制して敵対国の軍隊に従軍させること。

(f)  捕虜その他の被保護者の自由および公正な正規の裁判を受ける権利を故意に奪うこと。

(g)  不法な強制送還、移送または不法な拘禁。

(h)  人質をとること。

国際法の確立された枠組みの中で、国際的な武力紛争の際に適用される法規および慣例に対するその他の重大な違反〔これは完全なリストではない〕。

(a)  民間人そのもの、または敵対行為に直接参加していない個々の民間人に対する意図的な攻撃の指示。

(b)  民間の物、すなわち軍事目標でない物への意図的な攻撃の指示。

(c)  武力紛争に関する国際法に基づいて、民間人または民間の物体に与えられる保護を受ける権利がある限り、国連憲章に従わない人道支援または平和維持の任務に関与する人員、施設、物資、部隊または車両に対する攻撃を意図的に指示すること。

(d)  予期される具体的かつ直接的な軍事的利益全体と比較して、攻撃が、巻き添えによる民間人の死亡もしくは傷害、民用物の損傷または自然環境に対する広範、長期的かつ深刻な損害であって、明らかに過度となり得るものを引き起こすことを認識しながら意図的に攻撃を開始すること。

(e)  手段のいかんを問わず、無防備で軍事目標でない町、村、住居または建物を攻撃、または砲撃すること。

(f)  占領国が直接的もしくは間接的に、その占領地域に自国の民間人の一部を移送、またはその占領地域の住民の全部または一部をこの占領地域内外へ追放または移送すること。

(g)  宗教、教育、芸術、科学または慈善を目的とする建造物、歴史的記念物、病院および傷病者の収容所に対する意図的な攻撃。

(h)  襲撃により占領した場合であるか否かを問わず、町や場所を略奪すること。

(i)  強姦、性奴隷、強制売春、強制妊娠、強制不妊手術、その他ジュネーブ諸条約の重大な違反となる性的暴力を行うこと。

(j)  国際法に従って、ジュネーブ諸条約の特徴的な紋章を使用して、建物、資材、医療ユニット、輸送機関、要員に対する攻撃を意図的に指示すること。

(k)  戦闘の方法として、民間人からその生存に不可欠な物品をはく奪すること(ジュネーブ諸条約に規定する救済品の分配を故意に妨げることを含む)によって生ずる飢餓の状態を故意に利用すること。

もし私たち全員が知っていたなら──おそらく私たちは知っている

「もしアメリカ人が知っていたなら(If Americans Knew)」は、2001年2月と3月にヨルダン川西岸地区とガザ地区を単独で旅したアメリカ人のフリージャーナリスト、アリソン・ウィアー氏によって設立された。彼女が見たことや経験したことは、アメリカのメディアで報道されていたものとは全く異なっており、驚くべきものだった。実際、現地の現実と米国の報道が伝えるイメージとのギャップは非常に問題であった。アメリカ人には、世界の他の国々が知っている情報が与えられていなかったのだ。この状況は変わったのだろうか。こうした疑問は、今もウィアー氏を悩ませ続けている。11月16日、フェリシティ・エリオットは、シェア・インターナショナル誌のためにウィアー氏にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI):あなたとは以前にも話したことがありますし、私の同僚が何年か前(2006年9月、2014年9月)にあなたにインタビューをしたこともあります。10月に再びあなたのウェブサイトを拝見して、統計自体がすべてを語る、事実に基づいた分かりやすい説明に感銘を受けました。何十年もの間、パレスチナ人が生きることを余儀なくされてきた環境、私たち世界が目を背けることを選んできた環境と言うべき日常的な現実が、不公正、不平等、抑圧、疎外、そして単なる狂気であることを、次から次へと示すグラフ以上に明確に示すものがあるでしょうか。しかし、私たちは知らなかった、誰も教えてくれなかった、と言う人が多いでしょう。ですから、あなたは「もしアメリカ人が知っていたなら」でそうした仕事を引き受けたのですね。

 あなたはガザ地区と西岸地区の状況に精通しています。現在の危機は予期しなかったものですか。

アリソン・ウィアー:ご存じのとおり、パレスチナ人は少なくとも16、17年もの間、圧力釜のような巨大な強制収容所で暮らし続けています。私が2001年にそこに行ったとき、すでに封鎖されているような状態でした。多くの人が知っているよりもずっと長く続いているわけです。ほとんどのアメリカ人は知らないと思います。

SI:私は、政治家、指導者、メディアが無知であることに驚いています。この地域の歴史に無知であり、まるで10月7日に突然、噴火が起こったかのようです。1967年や1917年の出来事、そして1948年のナクバについてどう思っているのでしょうか。

ウィアー:それよりもさらに前の1897年の第1回シオニスト会議から始まったと言えますが、今日に話を戻しましょう。アメリカ政府はイスラエルに資金を提供し、国際舞台でイスラエルの後ろ盾となっているので、アメリカ人にとってはかなり厄介な問題です。アメリカ人が最も情報に疎いのはおそらくそのためです。

SI:例えば、大虐殺が行われている中、バイデン大統領がネタニヤフ首相と握手を交わすなど、こういっては何ですが、ほとんどごますりのようなことを急いで行っている理由は何でしょうか。多くのヨーロッパ人は、自国の指導者たちの姿勢に戸惑い、拒絶しています。もちろん私は、軍産複合体があることや戦争が利益をもたらすことは知っています。イスラエルが地中海に位置している──地政学的に有利である──からでしょうか。

ウィアー:これは親イスラエルのロビー活動によるものだ、と私は結論づけました。どこの国の政治家も当選や再選を望んでいるため、選挙運動の資金提供者は大きな影響を与えます。他の問題に関しては、どのような立場であれ支持者がいますが、選挙運動に関しては、寄付をする人は親イスラエルの人が非常に多いのです。そして、文字どおり多くの億万長者が特定の選挙運動を支援しています。米国の政治家は、親イスラエルになるか、目立たないようにするか、すぐに学びます。
 メディアに関しては、その多くが、小規模であれ大規模であれ、イスラエルの支持者によって所有されているか影響を受けています。良い報道がないわけではありませんが、偏った解釈や偏見のある報道が多いのです。

SI:もうずいぶん前のことになりますが、あなたが実態調査旅行に行った2001年当時のガザ地区がどのような状況だったか教えてください。その時でさえ、状況が悪かったことは知っています。

ウィアー:それは、第二次インティファーダが始まった直後でした。小さな町のジャーナリスト兼編集者だった私は、調査することにしました。そのことを知らなかったのです。当時インターネットはまだ目新しいものでしたが、調べ始めると、子供を含む非武装のデモ隊がイスラエル軍に毎日銃撃されているという報道をいくつも読みました。にもかかわらず、米国の報道ではそのことについて耳にしませんでした。隠蔽工作が非常にたくさん行われていて、私はジャーナリストとして関心を持ちました。かなり早い段階で、米国がイスラエルにどれだけの資金を提供しているかを知りました。つまり、何が起こっているのかさえ知らないのに、この件に関して私たちには責任があるのです。国民は自分たちのお金、つまり納税者のお金がイスラエルの資金となっていることを知らないのです。そこで、自分で調べに行くことにしました。
 その段階では、ガザ地区からロケット弾が一発も発射されていなかったことを人々が知っておくことは重要です。しかし、多数の銃弾が撃ち込まれ、家屋は破壊され、何世代にもわたって人々が暮らしてきた屋敷がすべて破壊された地域がいくつもありました。私は甚大な破壊を目の当たりにしました。病院に行くと、ひどく苦しんでいる人や負傷者、そして銃で撃たれた多くの子供たちに会いました。多くの人にインタビューをしましたが、彼らはいつも「私たちのことをみんなに伝えて!」と言ったものです。その時でさえ、兵士たちによって生活が規制されたり指図されたりしていました。兵士たちはガザ地区や西岸地区への人の出入りを許可したり許可しなかったりしました。フェンスや検問所がいくつもありました。

SI:何十年にもわたって抑圧され、屈辱を受け、敬意を払われず、日々尊厳を奪われ、基本的人権は全く無視されていること、そこでは人生のあらゆる側面が別の力によって規制されたり制限されたりしていることを、人々は知りません。彼らには機会がないこと、劣悪な状況の下で育ち、成長しなければならないということを、親としてどのように子供たちに説明するのでしょうか。親自身がいじめや屈辱にさらされるのを目にしている子供たちに、どうやって理解させるのでしょうか。そして今、それは想像を絶するほど悪化しており、完全なる絶滅とも言える状況なのです。

ウィアー:自分の子供たちさえ守れないとき、何の権利も持たないとき、どんな気持ちなのでしょうか。事情を知る人は、ガザ地区が巨大な強制収容所であることを認めていますが、ヨルダン川西岸地区も同様です。西岸地区の町から町へ移動しようとすると、至るところに検問所──軍人が配置された検問所──があります。西岸地区でもガザ地区でも、パレスチナ人は自由に移動できません。パレスチナ人が囚われの民であることを忘れてはいけません。囚人なのです。イスラエルはパレスチナ人の出入りは制限できるかもしれませんが、その人生までコントロールすることはできません。すべては外国の力によって決められるのです。それを自分の国で想像してみてください。

SI:現在のメディアや政治家たちは、「公平」あるいは「公正」であろうとしているようです。その状況を「平等」の一つであると言っています。あなたはどう思いますか。

ウィアー:両者の間には大きな不均衡があります。それは非常に大きなものです。例えば、現在のアメリカのメディアは、ハマスが非常に強力であるか、少なくとも同等であるかのように報道しています。しかし、イスラエル軍は世界で最も強力な軍隊の一つと言われています。世界でもトップ10に入る軍事大国であることは間違いないし、トップ4だと言う人もいます。F-35戦闘機、F-16戦闘機を所有し、最高の戦車を持っています。私たちの資金で買うことができるのです。核兵器も持っていますが、アメリカの政治家はそれを口にすることさえ許されません。刑務所で暮らす人々を狙うために、あらゆる兵器や高度に発達したドローンを使っています。それは樽の中の魚を撃つようなものです!  一方、パレスチナ人は自家製ロケット弾を持っており、ハンググライダーやピックアップトラック、拳銃なども所有しています。つまり、兵器はとんでもなく不釣り合いなのです。アメリカの報道では常に、ガザから発射された数千発のロケット弾について伝えられています。ほとんどの報道が「ガザからのロケット弾」についてのみ伝えています。そこで、これについて調べることにしました。ロケット弾で実際に何人亡くなったのか知りたかったのです。30人でした。

SI:2000年からいつまでということですか。

ウィアー:今年までです。それだけの長い期間における死者数です!  もちろん、今ではそれ以上の人数になっています。現在、ガザからの空爆で死亡したイスラエル人は45人ほどになっています。何人のパレスチナ人が空爆で犠牲になったでしょうか。最初に数えたときは4,000人でしたが、今では2万人になっているはずです。善意ある慎重な人々であれば、「ハマスとイスラエルのどちらも戦争犯罪を行った」と言うでしょう。

SI:今考えるとするなら、イスラエルの意図が何なのかを問わなければなりません。最終的な目標は何なのでしょうか。次の仮説を考えてみましょう。ハマスによるひどい攻撃は、現イスラエル政府と主戦論者たちにとって、懲罰として激しい攻撃を続ける絶好の機会を与えましたが、その後も継続して「大イスラエル」樹立に対する障壁をすべて取り除くための機会を得ているという仮説です。戦時内閣にとって、唯一の「善良なパレスチナ人」とは、死者か、離散ユダヤ人のために先祖伝来の土地から逃れてきた人のように思えます。この説は間違っていますか。

ウィアー:過激派のシオニストがパレスチナ人を排除したがっているのです。

SI:極右、入植者、過激派のことですか。

ウィアー:そうです。しかしそれは賢明ではありません。人々は目覚め始めています。何が起きているか──土地の強奪、暴力、脅迫──分かっているのです。世界中の人々がこの状態を長く受け入れるとは思いません。アメリカ人は目を覚まし始めています。私はサンフランシスコ近郊に住んでいますが、つい先週末、抗議デモのためにゴールデンゲートブリッジが封鎖されました。前回それが起こったのはイラク戦争の時です。
 もし世論がひっくり返れば、過激派ではないシオニストは、パレスチナ人の残存者と彼らのための限られた土地──今よりもさらに少ない土地であっても──を受け入れなければならないかもしれないと分かっています。重要なことは、変化は遅いかもしれませんが、アメリカ人が目覚めつつあるということであり、それこそが変化をもたらすために必要なことなのです。問題は残ったままです。私たちアメリカ人がイスラエルに資金を与え続ければ、イスラエルはしたい放題するだけです。

SI:これは極めて重要なことであり、私たちの文明の汚点であり、私たち人類の瑕疵です。私たちは無法が蔓延る時代に生きています。あらゆる条約、国連憲章、人権宣言、あらゆる一連の原則、ジュネーブ条約、国際法が、単に無視されているのではなく、露骨にかつ明確に無視されています。戦争と騒乱で利益を得ようとする団体や政府の支援があるため、人道や人間性の喪失に対する犯罪は、法の支配と同様に、何のお咎めもなく無視されたままです。

ウィアー:そのとおりです。戦争と騒乱で利益を得ようとする団体や政府は、私の税金を使って人々を買収しており、ヨルダンとエジプトを買収しました。幸いなことに、国民と政府は別物です。政府がこれほど露骨であるなら、国民は自分たちの声を上げなければなりません。ですから、私たちの目標は、アメリカ国民にこれらすべてを知らせることなのです。私たちはそのことと非常に大きな、そしてあまりにも多くの場合、目に見えない個人的なつながりがあります。というのも、私たちの税金がイスラエルに渡ることによって、イスラエル社会の最悪の要素に力を与え、公正で平和で差別のない国家を目指して活動する人々を間接的に攻撃しているからです。
 アリソン・ウィアー『われわれのより良い判断に反して──イスラエル創設のためにアメリカがいかに利用されたかについての隠された歴史(Against Our Better Judgment: The Hidden History of How the US Was Used to Create Israel)』ISBN-13:978-1495910920

詳細についてはIfamericansknew.orgをご参照ください。

より繊細な次元を認識する

ジョン・クリスチャン・フロレスク氏へのインタビュー

ジョン・クリスチャン・フロレスク氏は、エーテルレベルのエネルギーを探求し、治療の方法とメカニズムを開発した発明家であり科学者であるハリー・オールドフィールド教授(シェア・インターナショナル誌2013年1月号参照)と知り合い、その教えを受けた。オールドフィールド氏が興味を持ったきっかけは、旧ソビエト連邦でキルリアン写真が発明されたことだった。

 ジョン・クリスチャンとハリーは、豊富な経験に基づき、治療に関する様々な技術や手法を共に生み出した。このことにより、人体も含めたあらゆるものが様々な周波数レベルで共振しているという彼らの理論が前進した。もし施術者が身体の特定の周波数を正常な状態に戻すことができれば、あるいは少なくとも改善できれば、治療はなされる。フェリシティ・エリオットが、シェア・インターナショナル誌のためにジョン・クリスチャンにインタビューを行った。
 私たちは、ジョン・クリスチャンが働いているロンドン・ナチュラル・ヘルス・センターで会うことにした。このセンターは、一般に患者の体内の精妙なエネルギーに焦点を当てた、様々な専門分野での治療を提供している。彼は、エーテルエネルギーシステムの存在を当然視し、チャクラとその機能や経絡などに精通しているようである。そのため、正統派医学の世界を想像したり門外漢が一体どう思っているかを想像したりすることは難しいと考えている。主流医学を完全に否定しているというわけではなく、人体、健康、治療についての代替定義にどっぷり浸かっているのだ。

シェア・インターナショナル(以下SI):どのような活動をし、どのような手法を用いているのか説明してください。

ジョン・クリスチャン・フロレスク:私が主に注目しているのは、システム、身体のバランスを整えることです。そのために使う核となる手法が、ハリー・オールドフィールドが考案した「電気クリスタル治療(ECT)」です。私がその組み合わせに加える要素は他にもたくさんありますが、主に身体のエネルギー場内の精妙な周波数のバランスを取るECTです。

SI:あなたが話していることを知らない読者のために、一つか二つの定義を使いましょう。あなたの視点から身体や物体を定義してください。

ジョン・クリスチャンは、もし人々が自分に近づいて助けを求めるほど心を開いているなら、懐疑的ではあっても少なくとも理論的には、これまでと違った観点から物理的現実を理解しようとすることを、多かれ少なかれ当然のことと考えている。人間や物体を見るとき、実際に見えているのは、別の精妙な「身体」、つまりダイナミックで絶えず変化しているエネルギー体の上に張られ、それに基づいて作られている外側の形なのだ、と彼は説明する。彼は(人間と動物の)体内のエネルギー場に関する知識と経験に基づき、チャクラというエネルギーセンターの存在を考慮している。

SI:あなたがしていることを理解するために、人々がクリスタルについて何か知っておく必要はありますか。

フロレスク:全くありません。患者も知る必要はありません。私が治療する人々は、様々な背景、年齢層、宗教、文化を持っています。予備知識は必要ありません。しかし、ある程度の猜疑心を持ってやって来る人はいますし、好奇心を最大にして帰っていく人もいます。

SI:明らかにあなたは、人体とは何かということについて、かなり異なった理解、先ほど触れたように、主流の医学的定義とは異なった理解をお持ちですね。

フロレスク:ハリーが行なったのと全く同じように、私もチャクラやエネルギーシステムについて話したり扱ったりしています。しかし、日常的な用語でたとえてみましょう。ボイラーで全体に燃料を供給する、建物のセントラルヒーティングシステムを思い浮かべてください。脊椎の基部にある(赤色と関連づけられている)基本チャクラを考え、それをボイラーにたとえて、主要な七つのチャクラを取り上げましょう。まあ、七つ以上あるのですが、差し当たりこの七つに絞ります。ボイラーが正しく作動しなければ、他の残りのシステムも正しく作動しないのは明らかです。この仕事における長年の経験と自身の研究から、私は常にベースチャクラを最初に見るべきだということを知っています。その人の基本(ベース)センターを見ることで、その人の健康状態が非常によく分かります。私が言う健康状態とは、肉体的、感情的、精神的、そしてエネルギー的な意味です。

SI:どうやって人体を調べるのですか。

フロレスク:「ニュー・エネルギー・ビジョン(NEV)」システムを使用しています。

SI:その説明をお願いできますか。確か、ハリーはNEVスキャンについて話していました。

フロレスク:ニュー・エネルギー・ビジョン(NEV)は、ハリーが開発したもので、彼の研究と発明をさらに一歩進め、研究の初期の段階を現代版にアレンジしたものです。ここ数年で、この研究は本当に進歩しました。キルリアン写真では、電子が写真板上で精妙なエネルギーとの干渉を起こします。それは二次元的ですが、その後、実験は三次元へと進化しました。NEVでは、単なる平面的な二次元のイメージだけでなく、三次元の形、例えばエネルギー場を持つ人間などを見ることができ、また、表面の肉体の下にある精妙なエネルギーを見ることができるのです。それは様々な形態や色彩として現れます。

SI:どうしてそうなるのか、想像しようとしているところです。

ジョン・クリスチャンは、ソフトウェアが入ったコンピューターにカメラをつないでいると説明した。このソフトウェアには、光子が人体のエネルギー場に出入りするときに起こっているものを見る特別な機能(アルゴリズム)がある。それにより、光子は様々な形や色で表示される。最近では、特殊なアプリが搭載されている携帯電話を使っているが、その携帯電話で患者の身体とエネルギーパターンを示すエネルギーマップや写真を撮影することができるという。
 健康な人と不健康な人の身体にどのような違いが見られるかという質問に対する答えとして、この場合は、エネルギーセンターに見られる色が著しく異なるようである。彼はさらに続けて、基本チャクラは一般的な健康状態、つまり患者の肉体的、感情的、精神的状態を示す主要な指標であり、うつ病や不安、ショック、何らかのトラウマは常にそのチャクラに現れるということをはっきりと述べた。セラピー・セッションの主な目的はもちろん、身体や基本センターが再び「充電」されたかのように、基本センターの機能を100%回復させることである。

SI:その「再充電」のレベルを安定させ維持するために、施術者であるあなた、あるいは患者のどちらかができることは何かあるのでしょうか。

フロレスク:それは非常に難しい質問ですね! その人が非常に深刻な病気に苦しんでいる場合、病気は明らかに充電──治療によってもたらされる新たな充電──を維持する身体の能力に影響を与えます。私は身体が持つ自然治癒力を強く信じていますが、時にはその方法を思い出すのに助けが必要なこともあります。つまり、治療はシステムを刺激する方法なのです。最初のスキャニングが終わったら、私はいつも水晶を使った簡単なダウジングで検討したり二重チェックをしたりします。それからは時間の問題です。充電を維持するために、セッションを何度もして治療をたくさん行い、身体を刺激するのです。

SI:私たちは少し立ち戻る必要があると思います。これまで身体についての議論の仕方において、多くのことを当然のこととして受け止めてきました。そして、私たちが言っていることの多くが、大きな懐疑心とそれ以上のものを引き出していることも、きっとご存じでしょう! あなたが参照する基準点はエネルギー体であり、物理的なものを支え、それを超えて広がっていくエネルギーシステムのことですね。

フロレスク:私たちがそれを「気」や生命エネルギー、バイタルエネルギー、生命力エネルギーのようなものだと言えば、多くの人がこのことに共感できると思います。

SI:シェア・インターナショナル誌の読者なら、エーテル体という言葉や、私たち全員がその一部であるエネルギーの海、エーテルという言葉に馴染みがあるでしょう。人は、自分自身のエーテル体に行き着くことになります。そのことに納得されますか。

フロレスク:もちろんです。

 ジョン・クリスチャンは、どのようにパターンを見て、電気クリスタル治療を使うかについて話した。彼はしばしばパターンや閉塞箇所を見つけるのだが、もちろん、確実に治療するには時間がかかる。時間がかかるということが、多くの場合、もともとある問題の一部である。その問題とは、内省したり休息したりする時間がない日常生活のストレスである。

フロレスク:最近、私たちには本当に「時間がありません」。当施設の患者は、私たちが時間をかけて病気の可能性のある原因をすべて調べることを高く評価しています。本当にもっと考慮しなければならないのは、環境要因です。あらゆる種類の公害が非常に多いので、どのような要素が合わさって病気の原因となるのか推測しながら調査を行うのに時間をかけています。

ジョン・クリスチャンが自由に使えるもう一つの手段は、「光クリスタル治療」(経絡バランシング)だという。電気クリスタル治療の革新的な点は、NEVシステムと経絡バランシングを組み合わせたことである。それは人間のエネルギー場のチャクラや経絡に具体的な影響を与えるようだ。発明者のハリー・オールドフィールド氏は、「分子マッサージ」のようなものだと話した。

SI:その場合、どうするのですか。

フロレスク:電気クリスタルを使うには、チューブに入ったクリスタルを体の特定の場所に置く必要があります。これらのチューブは電磁波発生器に取り付けられ、人間や動物のエネルギーシステムが必要とするチャクラのバランスを促進するために、エネルギー周波数のバランス化と正常化を管理します。変に思う人もいるかもしれませんが、写真を何枚かお送りします。電気クリスタルを使用する前、治療中、治療後の三つの画像をご覧になれば、違いが分かります。

SI:ありがとうございます。写真を見るのが楽しみです。つまり結論から言うと、これが進むべき道ですね。私たちは、より精妙な領域や、物質とエネルギーのより広範な定義を理解し、探求し、受け入れる必要があるのでしょう。

フロレスク:多くの人にとって、これは奇妙に思えるでしょう。時には長年の苦しみの末に安堵と健康を経験する患者たちは、理論やテクニックを理解しているかどうかにかかわらず、それが有効であることを知っています。私がしていることは、身体が自らを救うのを助け、励ますことです。身体には刺激を受けると周波数を維持し、自己を治癒する能力があると私は信じていますし、そのことを知っています。エネルギーという考え方が鍵なのです。