今月号の内容概説

 西洋ではさまざまな形で象徴化されている復活祭、復活を祝うあの特別な聖なる時は、読者が今月号を受け取る頃には目前にあるか、あるいは過ぎ去ったばかりだろう。毎年、春になると、さまざまな宇宙的エネルギーがその強さを増し、人類は再び希望を取り戻す──このように言えるのは、キリスト教の隠喩を使うと、世界は「物質主義の墓」から抜け出して、社会正義を現実のものとするために、システムを再編する新たな方法を復活させようと苦闘しているからである。復活祭の時期であるので、イエス覚者に関する記事が掲載されている。これはイエスの生涯についての聖書の見方というよりも、より秘教的な見方を紹介している。また、『主はアメリカを歩めり』第二部にあるように、イエスの後年の仕事にも焦点が当てられている。
 適切に行えているとしたら、本誌は毎月、一般的な考えよりもはるかに幅広い霊性(スピリチュアリティー)についての定義を裏づける多くの事例を提供しているはずである。このため、私たちの情報があらゆる分野の活動家にとって受け入れやすいものとなることは明らかである──このことは地球の保全についての記事や、そうした闘いにおいては誠実な政治と聡明なリーダーシップがいかに大事であるかを説明する報告に示されている。社会正義とは──万人のための最低賃金保障制度の確立のような──経済への新たなアプローチという形で実行に移される霊性のことである。「すべての人のためのベーシックインカム──霊的な法令」第二部が今月号に掲載されている。霊性についてのより包括的な理解のさらなる証拠が、ロベルト・アサジオリが開発した心理学への統合的アプローチの評価という形で見られるほか、霊的な知恵や警告、導きが、エンリケ・バリオス著『アミ 小さな宇宙人』の書評の中で天から私たちに降り注いでいる。パトリシア・ピッチョンは「今、私たちが直面している世界的な課題」という記事で、ヌリエル・ルービニの最新刊『メガスレット』について論じている。
 ベンジャミン・クレームの師である覚者は2014年に「ばくち的ジェスチャー」を書かれた。この記事は、現在の苦悩の原因となっている根本的な不安を描写する、覚者による別の短い記事(読者質問欄を参照していただきたい)と同様に、薄気味悪いほど現在の状況に当てはまる。
 ある日、生涯の最後の年に、ベンジャミン・クレームはファシズム(全体主義)について語り始めた。ファシズムが現在、私たちの生活の非常に多くの分野でいかに支配的になっているかについて語った。ファシズムはいつでも存在していたが、特に金融や経済、さらには政治の分野で、ファシズムのさまざまな形態が現代ほど蔓延した時代はなかったようである。
 クレームが言おうとしていたことは、商業主義が私たちの生活のあらゆる側面へと狡猾に忍び込み、無傷でいられるものはほとんどないということであった。金持ちがより裕福になり、いのちのあらゆる様相が収益活動へと投入され、いのちや惑星そのもの、世界の未来が彼らの貪欲の犠牲になっているだけでなく、あらゆるものが彼らの力への渇望を満足させるために行われている。何の力なのか。心(マインド)を支配する力、政策やイデオロギー、社会の傾向を左右する力、選挙の結果に影響を及ぼす力である。真理が攻撃を受けており、必要とされる物語を支えるために歪曲されている。クレームの師はそれについて(シェア・インターナショナル誌2002年11月号掲載の「権力のグラマー」の中で)こう述べている。「第一の優先事は、事実についての本当の知識である。しかしながら、これは見つけることが難しい。非常に多くの声が、さまざまに矛盾する情報を繰り返し唱え、または叫んでいる。あまりにも多くの意見が、あたかも事実であるかのように扱われており、尊重して耳を傾ける価値のあるもの、信じられるものはほとんどない」。もし真理が信用できないものであれば、意見がそれに取って代わり、世論の操作を容易にする。私たちの共通の価値観と基準はむしばまれ、ほとんどあるいは全く意味をなさなくなる。民主主義は、一般大衆を代弁すると主張する政治家によって「危険だ」と宣告される。皮肉なものだ、では片付けられない。大衆の抗議行動は違法とされ、言論の自由は奪われつつある。クレームの師の言う「マネーの男たち」、権力に飢えたメディア王と国際的な新興財閥は自由を恐れ、自分たちの富を用いて国を買収し、政治家を籠絡し、鉱物資源が豊かな地域の広大な土地を収奪し、農業や医療、武器、エネルギーなどの部門全体を意のままにしている。現在の経済ニュースが示唆しているように、おそらく別の経済的混乱の期間がもうすぐ彼らの権力を失墜させ、世界が緊急に必要とする「更正(リアセスメント)」を引き起こすかもしれない。
 マイトレーヤが抗議者たちを活気づけ、デモ行動に加わり、自由や正義、平等、平和を要求するために行進する人々を支持するのも不思議ではない。ベンジャミン・クレームの師が平和の歓びと分かち合いの至福のために一緒に働くよう呼びかけるのも不思議ではない──分かち合いは、商業主義という横暴に対抗することのできる健全な世界を築くための唯一の基盤だからである。