『グラウンドスウェル・ライジング(Groundswell Rising)』

マーク・リヒティ氏へのヴィクトリア・ゲイターによるインタビュー

マーク・リヒティ氏は、水圧破砕法(フラッキング)に関するドキュメンタリー映画、『グラウンドスウェル・ライジング(Groundswell Rising)』の制作責任者である。映画は、アメリカでダビデとゴリアテの対決を繰り広げている人々の情熱を捉えており、深く人を惹きつけるその映画の中で、人権、公衆衛生、社会正義を扱っており、視聴者が彼らのコミュニティーで変化を起こすための力を与えてくれる。『グラウンドスウェル・ライジング(Groundswell Rising)』は、率直なインタビューと実話を通して、フラッキングから直接の影響を受けた人々や、この形式のガスの抽出方法を停止することに専念する最前線の人々の人生へと視聴者を案内してくれる。ヴィクトリア・ゲイターが、本誌のためにマーク・リヒティ氏に、彼のイギリス上映ツアーの最中にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以降SI):あなたはどのようにして映画、『グラウンドスウェル・ライジング』に関わるようになったのですか。

マーク・リヒティ:私は元々、フラッキングに賛成でした。私は以前、製造工場を所有しており、ペンシルバニアに安いガスがあることを聞いたため、ガスに転換することに決めました。以前は石油で加熱していたので、ある化石燃料から別の化石燃料に転換したことになります。そして、友人のレナード・コヘンがこの問題に関する映画を作りたいと私に言ったとき、私は初めてこのプロジェクトに関わりを持つようになりました。私は調査を開始し、水と大気の汚染問題、気候危機へのそれらの影響、そしてフラッキング事業にまつわるすべての悪いことを知ったとき、ガスへの転換に関して間違いを犯したことを知りました。私は、石油からガスへの転換で20万ドル以上、実際には今のお金で30万ドル以上費やしてしまい、問題は、現在私は代替エネルギーに使う30万ドルを持っていないことです。ですから私は、地球上で起こっていることのまさに『小宇宙』なのです。私たちは、再生可能な未来のためにお金を使うべきなのに、化石化した未来にお金を使っています。そして、私たちがパイプライン、インフラ、圧縮機ステーションなどに何百万ドルも使うとき、再生可能な未来のために使うお金はすでになく、お金は尽きています。そして私たちは、化石化された未来に向けて、自分たちの穴をさらに深く掘っているだけなのです。

 SI:あなたがお住まいのペンシルバニアでは、フラッキングはどのような状況でしょうか。

リヒティ:依然として盛んです。宗教界、保健関係者などに、私たちのようにフラッキングに強い関心を持つ医師や看護師がたくさんいます。私たちの多くは禁止、一時停止を求めていますが、私はそれをフラッキングを停止するための『一時停止』と呼んでいます。これを安全に行うことはできないと、私は確信しています。ガス・ビジネスでお金が蔓延しているため、それは非常に難しいです。そしてガス業界が政府をどのくらい私物化していることでしょうか。政府にフラッキングをやめさせることは、ほとんど不可能です。私たちは、裁判制度である程度の成功を収めました。ペンシルバニア最高裁判所は、フラッキングは「健康と環境に対して有害である」と述べ、裁判制度はお金の蔓延がより小さいため、私たちはこのゲームを裁判制度の中で行う最善の方法を探しています。

 SI:あなたは多くの人に映画を観てもらいましたが、映画は聴衆にどのような影響を与えていましたか。

リヒティ:それには大きく感情を動かされます。映画そのものが感動的です。ナレーターがいないため、違ったものです。映画に出演するフラッキングの影響を受けた人々がナレーターです。私たちは、希望のストーリー、個人のストーリーの映画を作りたかったのです。このことに関わることで変化を引き起こした人々の多くのストーリーがあります。ですから視聴者は何が起こっているかを見て、気持ちを強く動かされ、衝撃を受けます。彼らが気持ちを動かされるのは、変化を引き起こした人々がいるからです。私たちは、それを作り出したかったのです。人々が変化を起こせると感じて欲しかったのです。昨晩、イギリス西部のフォレスト・オブ・ディーンで映画を上映したとき、ある男性が立ち上がって言いました。「私はフラッキングに関する映画を何本も観てきましたが、この映画には本当に感動しました」。 彼は非常に心を動かされていて、こう言いました。「私たちは、これを止めなければなりません」。そのような言葉を聞くと、映画が役割を果たしており、私たちが望んだような影響を及ぼしていることが分かります。

 SI:映画の中に宗教界についての部分があります。フラッキングに反対する運動において、彼らの関わりはどのように重要だと思いますか。

リヒティ:大切なのは、この問題に関して宗教界が立ち上がるようにすることです。市民権の時代には、宗教界はとてつもない変化を起こしました。彼らはイギリスの奴隷制を終わらせる過程で非常に大きな変化を起こしたので、これが鍵だと思います。アメリカでは、宗教界の関わりが大きくなりつつあります。4年前と比べ、現在ではより多くの宗派が、イギリスよりも多くの宗派が参加しています。もちろん、イギリスよりもアメリカの方が宗教宗派の数は多いのですが、あなた方の意志と集中力がそこにある限り、イギリスでも参加は拡大するでしょう。

 SI:あなたは現在、イギリスで映画を上映するツアーを行っています。あなたは、なぜ特にこの国に来られたのですか。そしてイギリスでのフラッキングの状況に関して、どのようにお考えですか。

リヒティ:私がなぜこの国に来たかは、すべて偶然によるものです。映画は昨年(2015年)の 12月、私がパリで COP21に参加しているときにパリで封切られ、私は2人のイギリスの気候活動家と会いました。彼らは私に、イギリスに来て映画を上映することを求めました。タイミングは実に適切でした。なぜなら、イギリスは実際、9年前のペンシルバニアのような状況だったからです。そしてイギリスの政治家はガス会社に汚染されていますが、それでも、アメリカのお金の蔓延ほどはひどくありません。アメリカでのお金の蔓延は、現在コミュニティーのレベルにまで来ており、隣同士で半目し合っています。ですから、今が行動のときです。人々が本当にその事実を認めていることが分かり、人々がペンシルバニアを見て次のように言うことを映画は助けています。「ああ、大変だ。私たちはあのようにはなりたくない。そこは住みたい場所ではない」。 私は、このような活動家が他の人を勇気づけるビジョンを持っていることに感謝したいと思います。私は本当に多くの献身的な人々や、この(私は『邪悪な』という言葉を使います)力と戦うために事実上、人生を捧げている人々に出会いました。これには心を動かされます。昨晩、誰かが私に尋ねました。「これは疲れませんか。あなたは、どのようにしてやり続けているのですか?」。私はこれを6年間続けており、映画の制作から始め、このような視聴者がいてくれて、私は自分が心を動かされたことを発見しました。これは私が望んだとおりの展開です。

 SI:あなたは映画の制作を3年前に終了しましたが、もし今日、映画をもう一度作ることになったら、何か違うことをしますか。

リヒィ:もちろんです。当時私たちが全く理解していなかったことの一つは、フラッキングの気候変動危機への影響でした。フラッキングは、メタンが過度に流出するため、石炭よりも悪いのです。メタンは、二酸化炭素より 84 倍も有害です。現在行われているフラッキングの方法は、石炭の燃焼よりも有害です。ペンシルバニアで起こっていることですが、石炭を燃焼する多くのプラントがガスを燃焼するプラントに転換される予定です。これらをガス・プラントに転換するために、何百万ドルものお金を使わない方がよいのです。その代りに、そのお金を再生可能エネルギーに使った方がよいのですが、あいにく私たちはまだそれを分かっていません。メタンに関して、そして地震に関して、もっと多くの時間を割いておくべきでした。映画の中に含まれていないビデオ・クリップを幾つか、私たちのウェブサイトで見ることができます。

 SI:他に何か付け加えたいことはありますか。

リヒティ:今が行動のときだと思います。私たちはこのツアーの間、イギリスでの戦略について話してきました。それは、地域で非フラッキング・ゾーン(Frack Free Zones)を獲得する戦略に向けて進化しているようであり、フロリダで成功したものや、オーストラリアの『門をロック』の戦略に匹敵するものです。地元のレベルで人々に声を与える努力は、非常に良い戦略だと私は思います。私たちはまた、省エネルギーのために個人として私たちに何ができるかを考える必要があります。もしあなたが個人として行動すれば、私たちがどのような波紋をつくり出すか分かりません。ここで、私個人のストーリーを付け加えたいと思います。

11年前、私は前立腺癌と診断されました。私の父も、悲劇的にも前立腺癌でした。彼の状況は、私に(変わるように)影響を与えました。私は菜食の食生活を続け、前立腺癌に対処するために様々なことを行い、そして現在は今までで最も健康です。その結果として、食生活に関する私の二酸化炭素排出量は、肉を食べていたときに比べて16分の1になり、二酸化炭素排出量のかなりの削減になったのです。このように、私たちにできることがあり、個人として大きく発言できることがあります。地球を守る決定を今日すぐに下すことができ、それらの影響を見ることができます。

(詳しくは: www.groundswellrising.com参照してください)

大うねりが高まる(Groundswell RISING)

子供たちの空気と水を守る

「よくバランスの取れたドキュメンタリー映画であり、不安な産業的損害に光を当て、私たちの未来への希望で結んでいる」