「誰も窮乏することのない」──資本主義体制の次に来るものとは

フィリス・パワー

今日の資本主義は、確実に死の間際にある。貪欲と搾取が極度に増加している。世界の富裕層の1%が世界全体の富の半分以上を所有している社会、私たちが生活しているまさにこの惑星を破壊している社会、それは持続可能ではない。多くの人々が取り残されており、彼らはこの状況にずっと甘んじることはないであろう。人々の声は大きくなりつつあり、そして聞かれるだろう。
今月(2018年5月)は、共産主義の父であるカール・マルクスの生誕200年である。共産主義は、良い社会関係のモデル、そして現在は失敗した、残酷な全体主義の統治モデルと考えられている。人民による人民のための統治は、偽物であることが判明した。革命派は支配者となり、人々に立ち向かい始めた。その当時、自由は存在しなかった。しかし現在の資本主義の状況下でも、豊かな国においてさえも、まさに多数のための見せかけの自由が存在するだけであり、人々はどうにか生活していくのに四苦八苦している。世界で最も豊かな国の一つである英国では、フードバンクや路上生活者が、ほぼ社会的に容認されるようになっており、非常に身近なものとなっている。また金持ちにも真の自由はなく、常に自身の富の消失を恐れている。そして、保守的なこの国においてさえも、暴力が増大している。
カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによる共産党宣言は1848年に出版されたが、現在ギリシャの経済学者であり政治家のヤニス・バルファキス氏によって、興味深い序文が加えられたものが再刊されている。彼はこの宣言を、不必要な多くの苦しみを終わらせる未来の代理人となること、そして本当の自由が持つ可能性を人類が認識するように鼓舞する未来の仲介者となることを私たちに求める、より良い未来のための集団的行動のインスピレーションとして称賛している。
バルファキス氏は、この宣言は国家権威主義を呼び掛けるものではなく、共産主義を実践させるためのものではなく、また永続的に続く困難な階級闘争の分析書でもなく、むしろ「リベラルテキスト」であると解釈しており、その宣言が書かれた当時よりも、現代の方が、より意味があると考えている。彼は次のように書いている。「共産党が政治的舞台からほとんど完全に消滅しているとしても、共産主義の原動力としてのこの宣言の精神は、沈黙することが難しいことを証明している。・・・・」
「自由、幸福、自立、個性、霊性、自己発達は、マルクスとエンゲルスが何よりも重要視した理念である。彼らがブルジョア階級に対して怒りを覚えたとしても、それはブルジョア階級が、大多数が自由になる機会を否定しようとしているからである。人間は鎖に繋がれている限り、自由ではないというヘーゲルの素晴らしい思想に対するマルクスとエンゲルスの強い支持を前提として、彼らのブルジョア階級に対する論点は、彼らはすべての人々の自由と個人性を資本主義の蓄財の祭壇に捧げているというものである」
ベンジャミン・クレームの覚者は、それを次のように表現している。「商業主義が人類の喉元をつかみ、あらゆる寛大な思考や意思表示を彼らの人生から奪い取っている。人間の魂は、この抑圧をもはやこれ以上耐えることはできず、苦悶とフラストレーションで声高に叫んでいる」
2.2段階のイニシエートであったカール・マルクスは、知られてはいないが、イエス覚者の弟子であったこと覚えておくことは、価値のあることである。彼はその生涯で、貧しい人々の味方となり、固定化した特権と権力の自己中心的な行動に反対した。マイトレーヤの優先順位は明らかに単純である。すべての人々への食料、住居、保健医療、教育の提供である。これらすべては基本的人権となるべきであり、それ無しには真の人類の解放は不可能である。それらはマルクスの時代やイエスの時代と同様に、さらに現在でも強く主張する必要がある。ベンジャミン・クレームは「人類は、資本主義と共産主義(社会主義もしくは民主社会主義)の最良の部分を組み合わせることによって、自由を達成するでしょう。そしてハイアラキーは、健全な社会の結合と正義のための理想的な関係は、70%の社会主義と30%の資本主義であるという見解を持っています」と語っていた。
物質的価値観に基づいた物欲社会の中に、自由はない。私たちすべては、思考しない動き回る歩兵であり、自分たちのコントロールを超えた力によって、無意味な存在に向かって速足で進んでいる、とバルファキス氏は表現している。この共産党宣言は、現代の不正義に反対する行動を常に取るようにと、人々を奮起させる呼びかけを行っている。彼は「最終的に、何が勝利するかは私たち次第である」と述べている。

参照文献:
ヤニス・バルファキス氏による共産党宣言の紹介、Vintage Classics、2018年(Guardian.com)
「教師としてのキリスト」、ベンジャミン・クレームの覚者『覚者は語る(・)』石川道子訳、シェア・ジャパン出版、2017年
ベンジャミン・クレーム『マイトレーヤの使命 第一巻』石川道子訳、シェア・ジャパン出版、再改訂版、1998年
ベンジャミン・クレーム『多様性の中の和合』石川道子訳、シェア・ジャパン出版、2012年

カール・マルクス(1818-1883)
光線構造:魂6;パーソナリティー2(3);メンタル体5(7);アストラル体6(6);肉体3(7)。進化段階2.2