分かち合いの経済

ダルハ・ブティックによるロック・クラリ氏へのインタビュー

経済学者、教育者、作家、ブロガーのスロベニア人ロック・クラリ氏は、シリウス・カムニック中等学校特殊学級で働いている。彼は協力の原則と物の公正な分かち合いの原則に基づいた代替的な経済モデルを開発し促進している。彼はスロベニアで何冊かの著作があり、協力と物の相互分かち合いに基づく新しい経済的手法について世論を喚起している。ロック・クラリ氏はダルハ・ブティックによるシェア・インターナショナル誌のインタビューを受けた。

シェア・インターナショナル(以下、SI):「経済」という言葉はどういう意味ですか。経済とは本当に生産、資本の増大、資源の搾取にのみ関わるものですか。
ロック・クラリ:「経済」という言葉はしばしば恐ろしい言葉に感じられます。経済とは経済の専門家にとっての問題のように思われます。彼らの言葉はしばしば理解不可能で私たちには専門的すぎるので、私たちが自分でする代わりに経済的なことは彼らに考えて実行してもらえばいいと考えてしまいます。しかし、そうであるべきではありません。経済は本質的に単純なものであり、私たち全員に関わるものです。実際には、私たちは皆、経済学者なのです。経済という言葉は古代ギリシャ語のオイコス(家、家族、家族の所有物、品物)とノモス(管理する、支配する、法)の複合語です。経済の元々の意味は、「家庭環境(家庭、家計)の賢明な管理」と「家族全体への日用品のための関連する品物(建物、土地、生活用品)」という意味です。後に、その定義はより広い共同体──家族全体、全市民の家としての国家──に拡張されました。今日では、私たちは最も広い意味で経済を理解しなければなりません。例えば、地球環境の賢明な管理、私たちの共通の家としての地球、そしてその家族全体の──人類の──日用品の賢明な管理という意味です。個人と家族の一員として、また地域社会のメンバーとして、あるいは国家や地球の一員として、私たちは経済学者であり、共通の環境と物をいかに管理するかを学び、皆が豊かに生きると同時に未来の世代のために地球を保全することができるようにならなければなりません。これは経済の本質です。

SI:今日の経済はどのようなものですか。
クラリ:今日の経済の特徴は貪欲、利己主義、争いであり、経済学者は競争という心地よい呼び方をしています。競争と利己主義はスポーツにおいて受け入れ可能であるとしても、経済の分野ではそれらは完全に破壊的です。なぜなら、それらはある人々に極端な富をもたらしますが、大半の人々に貧困と苦痛と不必要な死をもたらすからです。人類すべてに属する物を求めて競争し、多数の犠牲の下にそれを所有することは、現代社会の最大の諸問題──飢饉と貧困、軍事や社会紛争、気候変動と環境汚染、経済危機、移民など──の根本原因です。

SI:どうやってすべての人々に役立つための将来の経済を形成すべきでしょうか。
クラリ:経済がすべての人々に役立つために、それは協力と分かち合いの原則に基づいているべきです。実際には、そのような経済制度は分かち合いの経済と呼ばれます。この制度の本質は、すべての人が基本的必要を満たすことのできる物にアクセスすることができるように物を分かち合うことです。基本的必要とは、世界人権宣言において基本的人権として明記されているものです。それらは、食料、水、衣服、住居、医療、教育です。分かち合いの経済は地方で、国家で、グローバルなレベルで組織し実行可能なものであり、家族や家計の中で常に存在してきたものです。

SI:グローバルなレベルで分かち合いの経済のための計画は存在するのですか。
クラリ:最も期待の持てるアイディアの一つは、グローバルな規模で国家間の物資の分かち合いを調整する新しい機関を設立することです。最良の選択肢は国連機関の活動の中に設けることです。国々はその主要資産の余剰と不足をその機関に報告し、特に基本的必要を満たすために必要なものについて報告します。その機関は、これらの物資の総評を行い、輸送を調整し、欠乏している地域に輸送します(今日の市場はこの機能が非常に不十分です)。私が強調したいのは、今日はすでにこれを可能にする情報コミュニケーション技術、輸送、ロジスティクスが存在するということです。物資のグローバルな分配のための機関はハブの役割を果たし、言い換えれば、食料、水、医薬品、医療品、衣服、エネルギー資源などのような主要なグローバル物資の流通と分かち合いの核心です。したがって、この機関はこれらの物資を所有せず、調整者、仲介者の役割を果たすだけです。国々自身が物資の直接輸送を提供し、インフラや学校(医師やエンジニアのため)の建設の援助をします。

SI:国家と地域のレベルでの分かち合いの経済についてはどうですか。あなた自身は分かち合いの原則を実行する具体的なプロジェクトに参加されたことはあるのですか。
クラリ:いわゆる福祉国家はある程度物資の分かち合いに基づいています(その良い例がいわゆるスカンジナビア諸国です)。共通の資金は税金や他の寄付などから充填され、多かれ少なかれ公正にすべての市民の間で分配されます。例えば公共教育、保健、社会保障、共通のインフラの形態を取ります。不幸なことに、さらに大きな程度で、商業主義の影響の下でこの原則に従う国はますます少なくなっています。ローカルなレベルでは、私たちはすでに多くの形態の分かち合いの経済を持っています。例えば、自転車、車、衣服、道具や他のアクセサリー、サービスの分かち合いなど。不幸なことに、ここにおいてもますます利潤が重要になり、相互協力、理解、共感、尊重、そしてもちろん互いの愛に基づく分かち合いの経済を破壊しています。この側面は、家族を除いては、今まで経済において知られていませんでした。しかしながら、地域社会においては、世界のほとんどすべての場所で、物資の分かち合いの様々な形態が出てきて栄えています。例えば、私が教えている学校では、長年私たちはいわゆる見本市を組織していて、そこではおもちゃ、衣服、家の調度品、スポーツ用品、書籍を交換したり寄付したりしています。すべての品物が同じ価値があり、見本市の前に一つのクーポンと交換します。余剰のクーポンを持っている人々は通常それを社会的経済的に不利な状態にある人々に、愛情、報酬、友情のしるしとして寄付します。見本市の場では、クーポンはすべての見本市の品物のための「支払いの手段」です。社会的に不利な立場にある人々は、自分たちが劣っているとか、今日のチャリティーに共通の結果である「感謝することを強いられている」とは感じません。より広いレベルにおいても、分かち合いは同じ効果を持ちます。

SI:あなたが提唱する分かち合いの経済という概念は、一般に受け入れられているものとはかなり異なっていませんか。これらのアイディアは世界の経済の流れと一致するのですか。
クラリ:最近、政治家や経済学者は循環経済について語っています。それは少なくとも分かち合いの経済の最小限の特徴を含み、それは特に物質が長い時間をかけて人々の間を循環し、「購買──使用──廃棄」という原則とは異なるという意味においてです。しかしながら、分かち合いの経済の概念とより共通するのは、普遍的ベーシック・インカム(UBI)というアイディアです。UBIでは、少なくとも最も緊急で本質的な物資とサービスの支払いに十分な月収を同じだけ全員が受け取ります。しかしながら、この場合の大きな危険は、通貨制度が市場の法則と反復する危機に従属することです。したがって、より良い「通貨」とは、誰もが基本的必要を満たすことができる主要な物資とサービスへの普遍的なアクセスであり、それは分かち合いの経済の核心でもあります。

SI:肯定的に総括するために、人々が相互の物資の分かち合いの原則を実行することに成功している実例を示していただけますか。
クラリ:歴史上、マーシャル・プランが際立っており、それはアメリカ人が、財政的物質的援助の拡大によって、第二次大戦後のヨーロッパの急速な復興を可能にしました。多くの人々が今日グローバルなマーシャル・プランを支持しています。現在、豊かな国々が余剰資源を森林伐採地域に提供しています。財政と「慈善」の援助だけでなく、基本的インフラ、学校、病院、発電所、井戸、衛生設備などの建設もあります。豊かな国々はこの種のプロジェクトにとって十分な財政的物的資源を持っています。これはグローバルな分かち合い経済にとって大きな導入です。この比較的短い期間(おそらく数年間)の経験に基づき、人類はグローバルな日用品の分かち合い(例えば、私が前に述べたようにグローバル物資の分配の枠内において)を定式化することができ、それが永続的に飢餓と貧困を除去し、結果的に、今日の人類を束縛している相互の国際的な不信感、恐怖、不安を除去するでしょう。ですから、私たちは真に繁栄と相互尊重と平和の新しい時代に入っていくでしょう。そして遂に、これと共に、力強い愛のエネルギーそのものが、地上で初めて顕現し始めるでしょう。ロック・クラリ氏の著書『Ekonomija delitve: uresni itev 25. lena v 21. Stoletju(分かち合いの経済──21世紀における25条項の実現)』『Kako deliti dobrine(いかに物を分かち合うか)』『Pravi na delitev dobrin(物の公正な分かち合い)』『Svet za vse(皆のための世界)』

ベンジャミン・クレーム「分配と再分配にのみ携わる新しい国連の機関が設置され、それに関連する問題を取り扱うでしょう。その長官には覚者か、あるいは少なくとも第3段階のイニシエートがなるでしょう。必要とする人々に正しく食糧が分配されるようにすることが彼らの責任でしょう」(SI誌1989年12月号)マイトレーヤは、世界資源の再分配を通して分かち合いの原則を受け入れることを呼びかけるだろう。食糧、原料資源、エネルギー、テクノロジーの知識の大部分は今日先進国によって占有され、(浪費され)ている。われわれが分かち合いの原則を受け入れる時(各国の政府は世界世論によってそれを強いられるだろう)、各国は必要分以外の余剰を世界への信託として移管することを要請されるだろう。各国はその資源と必要の明細目録を作ることを要請される。これらの統計はコンピューターに入れられ、この目的のために設置される国際連合の機関が、この情報に基づいて世界資源の合理的な再分配の計画を作る。このようにして先進国と後進国との間により良いバランスが達成される。再分配のプログラムは、実施に2~3年かかると見積もられている。この企画のための計画と青写真は高度のイニシエートたち──相当な実績を持つ経済学者、金融財界人、産業人──によって、すでにかなり以前に作られており、その実施を求める人類の要請を待つのみである。高度に複雑な物々交換の形態が今日の経済システムに取って代わるだろう。(SI誌1986年1/2月号)