新しい時代の始まり

──覚者より

   ベンジャミン・クレーム筆記

 人類が現在地上に存在する本当の状況を知ってそれを理解するとき、彼らの大多数は抜本的な変化のみが大破局を防ぐだろうということに同意するということを知りつつ、あなた方の兄であるわたしたちは人間の反応を辛抱強く待つ。
 ひとつ問題は、一般の人々が、人事をコントロールし、大体において、数えきれないほど多くの人間の必要と利権に反して働く巨大な既得権益についてほとんど知らないことであった。現在、世界の富の80%がわずかな数の一族や機関によって所有されている。その富の多くが“静的”であり、不動産や船舶、金、宝石、美術品につぎ込まれており、したがってほんのわずかな人々を益するのみである。そのような不均衡は、至るところの政府がある程度の社会正義に基づく社会を確立しようとする努力を混乱させる。
 この不均衡は非常に古くから存在し定着してしまっているので、大変な努力か、あるいは世界的な経済の大惨事のみがその支配力を揺さぶるだろう。この状況に直面して、諸国の政府は国事の運営にあたってどうして良いか分からず、同時に、市場獲得のために互いに競争している。その結果は、必然的に大混乱の繰り返しであり、不安定状態であり、そして基本的な公共事業や海外援助のためのお金は慢性的に欠如している。世界の貧困国は苦しみ、したがって、人々は変化を求めて声なき声で祈る。より積極的な者たちは増大しつつある世界のテログループに加わる。
 では、いかにして、受け継がれた富、停滞、そして革命をもたらす憎悪と暴力というこの悪循環を破るのか。
 マイトレーヤは、公の出現の際に、この問題について語り、その仕組みとそれが国家および国際的な生存のすべての面に及ぼす否定的な影響を示されるだろう。世界の富の正しい、公正な分配のみが、すべての人間の望む平和を実現することができることを示されるだろう。分かち合いのみがそのような分配を可能にする信頼をつくることを、人類にはその他の選択はないことを──その他のすべての方法はすでに試みられそして失敗したことを、時間の猶予はなくなりつつあることを、マイトレーヤは示されるだろう。
 そのように、偉大なる方は語るだろう。そのようにして、彼は、人々の意識を上げ、そして彼らが自分たちの窮状の理由を理解するのを助けるだろう。互いに深く依存し、非常に多くの危険な問題に直面している世界にとって、そのような不均衡は耐えられないことを示されるだろう。現在の役に立たなくなった制度機構の合理的な変容のみが、人間が未来へと前進し、その名に相応しい文明を築くことを可能にするだろう。
 人々がマイトレーヤのことばを聴くとき、彼らは三つのグループに分かれるだろう── 一つはマイトレーヤの思いと彼らの行動を呼びかける訴えに心(ハート)から全力で応えるグループである。もう一つは対抗の妨害策を構築して真っ向から立ち向かうグループ。三つ目は、より小さなグループであり、不安のうちに脇に座して傍観する人々である。
 徐々に、変化を、少なくとも試みなければならないということが明らかになり、何らかの実験的な試みがなされるだろう。これが多くの人々に分かち合いの実行可能性を確信させ、そして大宣言の日につながるだろう──新しい時代が始まったという合図である。
(シェア・インターナショナル誌2005年12月号)