地球と民主主義のための反逆

ポントゥス・ベルゲンダール氏へのインタビュー
エイドリアン・トロットナー、ホーカン・エークヴァル

 ポントゥス・ベルゲンダール氏は、自分の人生を根本的に変え、行動を起こさせたものが何なのかについて次のように語る。「私は3人の素晴らしい娘を持つ普通の父親で、つい最近まで20年間ソフトウェア・マネージャーとして働いていました。3年前に仕事を辞め、エクスティンクション・レベリオン(絶滅への反逆、以下XR)のボランティア、『いのちのための反逆者』として活動するまでは、人生を楽しみ、まっとうな人間であること以上の野心を持たずに静かに暮らしていたのです。今は妻が家族を養っています。私は職業柄、産業界で働き、あらゆるレベルの多くの政治家と話しましたが、今必要なのは覚醒と行動であると絶対的に確信しています。
 気候変動と災害を防ぐための闘いについて学べば学ぶほど、強化された深い民主主義が変化の鍵であることを実感します。私たちは、一体性、正義、平等をもって、人種差別の構造や現在進行中のポストコロニアリズム(ポスト植民地主義)を打破する必要があります。忘れられているかもしれませんが、それこそが民主主義にほかなりません。私たちは、一体性に向けて、新しい手法で組織や会議を民主化し、政治プロセスに国民を参加させる必要があるのです」
 エイドリアン・トロットナーとホーカン・エークヴァルは、シェア・インターナショナル誌のためにスウェーデンの気候変動活動家、ポントゥス・ベルゲンダール氏にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI):気候や生態系の危機について、あなたの考えをお話しください。

ポントゥス・ベルゲンダール:歴史上のあらゆる暗黒時代と同様、これまで以上に重要な二つの美徳、すなわち「決断」と「勇気」が生まれています。決断とは、人類としての責任を持ち、この危機が私たち自身に大きく関わっていることを理解し、直面している状況に応じて必要な決断を下すことです。勇気は、実践できるものです。ですから、次回のスウェーデンの選挙では、私は国会議員への立候補を目的とする非イデオロギー的な活動であるクライメート・アライアンス(気候同盟)の広報担当者の一人であり、また候補者の一人でもあるのです。私たちは、気候変動という一つの問題に焦点を当て、政党間の同盟関係を構築することだけに専念しています。
 また、「未来のための金曜日」の運動にも参加しており、金曜日のストライキにできるだけ参加するようにしています。初めて気候変動デモに参加したときは、友人や家族から除外されるのが怖くて、プラカードを持つことさえできませんでした。今ではそのような状況への対処法を身に付けたので、毎回デモの前には胃が痛くなりますが、必要なことはできます。

SI:気候の危機に対して何かしなければならないと実感したのはいつですか。

ベルゲンダール:2018年、スウェーデンで大きな森林火災が発生しました。同じ頃、グレタ・トゥーンベリさんが気候変動ストライキとスピーチを始めました。火災とグレタの明解なスピーチが合わさり、とても恐ろしいことが起こっていて、何かをするのは自分次第なのだと理解したのです。彼女は私の心に直接語りかけてきました。16歳の少女が、会ったこともない52歳の男性の人生を完全に変えることができるのは、とても素晴らしいことだと思います。
 私はずっと気候危機を意識してきましたが、それが自分に直接関係していることに、2018年になるまで気づきませんでした。個人の生存に関わる問題であり、行動を起こすのは私の責任であり、権利でもあるのです。2018年の夏以前は、気候変動は世界にある多くの問題の一つだと考えていて、他の問題に焦点を合わせていたのです。覚醒後、私は、それまで自分がするなど夢にも思わなかったことを実行しました。例えば、道路のパイプに自ら閉じこもるなど、まるで私の潜在意識が私に代わって決断してくれたかのようでした。生きとし生けるものに対する申し訳ないという気持ちから、このようなことをする強い思いも生まれました。それは、あらゆる人間や動物、他の生き物に対する愛から生まれたものです。

SI:XR内では、あなた方が自分たちを活動家よりも反逆者と呼ぶことを好むのはなぜですか。

ベルゲンダール:気候変動活動家として、あなた方は主に危機に対する意識を生み出しています。意識するだけでは十分ではありません。私たちは今、行動する必要があるのです。XRは、スウェーデンの支配的な政党と私たちが暮らす破壊的な社会に対する反乱なのです。平和的かつ市民的不服従によって、政府に行動を起こさせ、交渉の席に着かせることが私たちのやり方です。私たちは議会制度を変えたいのではなく、強化したいだけなのです。

SI:XRの要望は何ですか。

ベルゲンダール:私たちの要求は、以下のとおりです。
 「真実を伝えること」。メディアや政治家に、生態系の状況がどれほど酷いのか、いかに大きな変化が必要かを伝えてもらう必要があるのです。「今すぐ行動すること」。今すぐ排出ガスを削減しなければなりません。「変わること」。私たちの反逆の運動(XR)は、例えば空港や銀行を閉鎖するなど、従来通りのビジネスに付き合わないことで、変わることを目指しています。それこそが直接行動するということなのです。何よりも大切なのは、民主主義を強化することです。市民集会が必要です。市民集会とは、科学者や専門家と共に、あるテーマについて審議し、政治家に提言する、膨大な人口を広く代表する小さな集団のことです。

SI:市民的不服従とは何ですか。また、なぜそれが重要なのですか。

ベルゲンダール:市民的不服従とは、政府が出す特定の法律、要求、命令、指令に従うことを拒否することです。私たちには、人類の大惨事を防ぐという道徳的な義務があります。私たちは、さらに悪いものを防ぐために法律を破っているのです。
 少なくともこの30年で、私たちは政治体制と社会の失敗を目の当たりにしてきました。その失敗とは、危機に対処する能力が政治家にないことです。スウェーデンでは、今年、そして今後数年で、排出ガスを20%の範囲内で削減する必要があります。これは気候や生態系の危機であるだけでなく、同様に大きな政治的危機でもあります。政治家は戦術的な行き詰まりによって無力となり、産業界では進捗があまりにも遅すぎるのです。
 XRは、物理面でも言葉の上でも非暴力的な市民的不服従を採用しています。
 調査によれば、変化をもたらす最も効果的な方法は、活動的な市民による大規模な市民的不服従によって世論を喚起することです。
 平和的で非暴力的な市民的不服従は、婦人参政権運動に始まり、ガンジーと植民地主義からの解放運動、マーティン・ルーサー・キングと公民権運動、労働運動、LGBTQ権利運動などに至るまで、これまで何度もうまくいった例があります。市民的不服従は常に、西洋民主主義の本質的な部分だったのです。

SI:スウェーデンでは、市民的不服従について忘れられてしまっているようです。XRにおけるあなた方のやり方のいくつかに対して、人々が反対するのはなぜだと思いますか。

ベルゲンダール:スウェーデンでは、政府に対する信頼が非常に高いのです。政府は私たちの面倒を見てくれる良い父親だと思われています。スウェーデン人はまた、自分たちの社会と民主主義は最善であり、変化をもたらす方法がその社会の中にあると考えています。しかし今や、政府が気候変動に対処できないことは明らかです。
 また、私たちが説明さえすれば政治家は動いてくれるだろう、という共通の理念もあります。しかし政治家は、現状がいかに悪いか、そして、いかに対策が取られていないかを認めることはできません。なぜなら、それはつまり自分たちを非難することになるからです。その代わり、自分たちがすぐに責任を取らなくてもいいような、遠い将来の目標を提案するのです。
 スウェーデンでは、ほとんどの人が私たちの理念には賛同するが、やり方には賛同しないと言います。マーティン・ルーサー・キングは「バーミングハム刑務所からの手紙」の中で、「正義よりも『秩序』を重んじる」人々や、「正義がある積極的な平和よりも緊張のない消極的な平和」を好む人々が、直接的な行動に対して見せる反応から示される課題を述べています。多くの人は、私たちが組織化して声を上げる必要はない、政治家が私たちにとって何が一番良いかを知っていると考えています。長い間、政治的に安定して戦争がなかったため、私たちの社会が実は市民的不服従という行為によって形成されてきたことを忘れてしまっているのです。

SI:XRがどんなことを成し遂げたか、いくつか例を挙げてください。

ベルゲンダール:2021年のオスロでは、300人が私たち反逆者のグループにいました。選挙討論を変え、おそらく選挙結果も変えました。討論は、ノルウェーの石油および環境に優しい未来に関する議論が可能かということから、政治家はどちらか一つ、つまり石油か環境に優しい未来のどちらかを選ばなければならないという認識へと変わったのです。私たちは400以上の記事を掲載し、7日間にわたり全国ネットのテレビ放送を行いました。その1週間で議論は変わり、これが私たちの貢献であると多くの報道機関が認めました。
 2020年には、スウェーデン最大のプリーム製油所の拡張を阻止しました。2019年には、ヨーテボリにある化石ガスターミナルの拡張を止めました。わずか数人の反逆者が、スウェーデンの大手伐採企業による森林の過剰伐採を阻止しました。法律を破る市民的不服従により次々と勝利を得たのです。次のステップは、制度を変えることです。

SI:制度を変えるとはどういうことでしょうか。それはどのような分野で必要なのですか。また、なぜ重要なのでしょうか。

ベルゲンダール:限りある地球で成長を続けることは不可能です。グリーン・ニューディールの時代は過ぎ去りました。地球を無限の資源と考えず、消費を抑えて経済を縮小する必要があります。成功の評価方法を変える必要があるのです。必要な変化は、経済基盤と私たちの生活様式を転換することです。私たちは、利益よりも生存を優先させなければなりません。それをどのように行うかは、私たち全員にかかっています。この転換には、民主主義が非常に重要となります。全員の声を届ける必要があります。また、私たちに道を示してくれる専門家や科学者も必要です。
 社会を変革するプロセスにおいて、気候正義は絶対に重要です。気候正義とは、負担を分担し、公正な変革を実現し、気候変動と変革そのものの両方の影響を最も受ける人々を支援することです。世界の富裕層である私たちは、気候変動に関して最大の債務を抱えていますが、ほとんどの場合、気候変動の影響を最初に受けているのは、気候変動に対する債務が最も少ない人々なのです。ここに、私たちが責任を持たなければならない大きな不正義があるのです。私たちは皆、生き残るために経済的な犠牲を払う必要がありますが、その過程で、生命の大切さを再発見できるかもしれません。

SI:XRはどのように活動を計画し、実行しているのでしょうか。

ベルゲンダール:私たちは分散型の組織です。一人の反逆者がアイディアを思い付き、それが人々に広がることがよくあります。グループが小さければ、地元や全国にあるより大きなXRの作業グループの助けを得るのです。
 XRでは、小さなアフィニティー・グループ(類縁集団)として何でも好きなことをすることができます。アフィニティー・グループとは、XRの価値観や目標の範囲内であれば、したいことは何でもできる権利が与えられた、通常5~8人から成る自律的で自己管理された一団のことです。
 分散型かつ包括的であることは、XRにとって絶対的に重要です。そのおかげで、より効果的に、また、迅速かつ機敏に行動できるのです。階級組織的な構造では生き残れないのです。
 さらに、問題や原因を示すだけでは終わらずに、それ自体が解決策の一部となる、有益な行動を心がけています。その良い例がルンド市で起こりました。交通渋滞を解消するために、高速道路を拡張する案がありました。その考えに反対するデモをただ行うのではなく、制限速度の標識を時速110キロから90キロに変えたのです。科学的な調査によると、制限速度を下げると交通渋滞が減るそうです。ルンドの人たちも、標識を変えることで問題が解決したことを容易に理解しました。

SI:どのように非暴力に取り組んでいますか。その方法をどのように人々に教えていますか。

ベルゲンダール:非暴力直接行動の講座と、市民的不服従で社会を変える方法に関する戦略的な講座があります。物理的な非暴力と言葉による非暴力のいずれにおいても、そして状況の段階的緩和に関して、常に訓練しています。また、平和的な行動を確実にするために、行動の前、最中、後に警察と話し合いをします。
 XR内では、社会のあらゆる部分で市民的不服従を奨励しています。それは違法である必要はありません。例えば、仕事の上では、環境に有害な仕事を拒否することです。したくないことをしなければならないなら、ゆっくりと、うまくいかないようにします。納得できないことがあれば、声を上げて抗議し、納得のいかない機関への協力は拒否するのです。

SI:XRの10の価値観とは何ですか。

ベルゲンダール:1.私たちは、変化──次の世代にふさわしい世界の創造──というビジョンを共有しています。
 2.私たちは、何が必要かを基準に目標を設定します。調査によると、制度の変更を実現するには、人口の3.5%を動員すれば十分であることが分かっています。
 3.私たちは、健康で、回復力があり、適応力のある、再生可能な組織内文化を必要としています。
 4.私たちは、私たち自身と有害な制度に公然と挑戦し、居心地のいい場所を離れて、変化のための行動を起こします。
 5.私たちは、反省と学習を大切にし、行動、反省、学習、さらなる行動に向けての計画というサイクルを続けています。自分自身の経験だけでなく、他の活動や出来事からも学びます。ウェブサイト「XRサイエンティスト」に掲載されている専門家や科学者からの最新情報にも注意を払っています。
 6.私たちは、すべての人と、すべての人のあらゆる部分を歓迎し、オープンで安全な空間づくりに積極的に取り組みます。
 7.私たちはより公平な参加を目指して、権力支配層を打破し、積極的に権力を弱体化させます。
 8.私たちは、責めたり、恥をかかせたりすることを避けます。私たちは有害な制度の中で生きていますが、誰一人責めることはできないのです。
 9.私たちは非暴力ネットワークであり、変化をもたらす最も効果的な方法として非暴力的な戦略と戦術を用います。
 10.私たちは、自治と分散型を基本としています。権力に挑むために必要な体制を集団でつくり上げます。
 これらの基本理念と価値観に従う人なら誰でも、XRの名の下に行動することができます。

SI:あなたは、すべてのプロセスや行動において、民主主義に重点を置くことが非常に重要だと言います。それはどのように行うのですか。

ベルゲンダール:私たちは、自己組織システム(SOS)の組織原則に従っています。例えば、私たちは投票を行いません。投票は多数派の専制政治であり、少数派は敗者となります。その代わりに、組織内で決定を行います。提案し、全員が納得するまで、その提案を改善し続けます。このプロセスには、尊敬と信頼の文化が必要です。もし、全く同意できない決定があった場合、自分自身に次のように問いかけるといいでしょう。「今のところ、これで十分なのか。試してみるには十分安全か」
 民主主義は、細部において一番目立ちます。例えば、会議の場です。様々な人が参加して話を聞く文化を確立するために、私たちは男女同権主義的な会議方法を用いています。権力構造を打破し、すべての人が会議に参加できるように、他のテクニックも使っています。効果的な活動をするために、少数の反逆者から成るグループに、残りのメンバーのために決定を下す権限を与えることもあります。堅実なSOS組織と健全な文化を維持するのに役立つ実践的なテクニックがたくさんあります。

SI:気候危機はどの程度深刻なのでしょうか。

ベルゲンダール:2019年に、複数の気候科学者が「最も可能性の高い結果は文明の終わりである」というタイトルで発表した論文がありました。
 そして、それはすでに始まっているのです。ほぼ毎月のように、世界中で気候変動による大惨事が起きています。今後10年の間に、飢饉、洪水、ハリケーン、熱波が発生し、社会的混乱、法と秩序の崩壊、戦争が起こるでしょう。
 かつてないほどの死と難民の流入を目の当たりにするでしょう。だからこそ、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、これは人類に向けた「非常事態発生」を伝える警告だと言っているのです。
 今すぐ地球規模で排出ガスを削減しても、気候のフィードバックループ(フィードバックを繰り返すことで結果が増幅されていくこと)がさらなる破壊の誘発点となるため、危機は拡大し続けるでしょう。1.5℃という目標や炭素収支はもう忘れてかまいません。今は0.01℃ごとに闘うのです。災害を止めることはできませんが、その被害を小さくすることはできます。
 気候変動の影響は、地球規模の核戦争のような規模になっています。それが今起きています。私たちは気候変動の最終段階にいるのです。それは誰にとっても直接的な存亡の危機です。

SI:あなたに希望を与えてくれるものは何ですか。

ベルゲンダール:私を鼓舞し、力を与えてくれるのは、確率がどうであろうと正しいことのために闘おうと行動することです。もちろん、0.01℃ごとにでも闘う価値はあります。地球規模の災害は起こるでしょうが、それがどれくらい深刻なものになるかは、私たちが左右できるのです。
 闘いは道徳と正義に関するものであり、希望に関するものが主ではありません。今、気温50℃のインドで死んでいく人たちに希望はありません。マダガスカルで飢えている子供たちにも希望はありません。私たちが唯一分かっていることは、今後数十年の間にさらに悪化するということです。
 また、日々の仕事の中で、仲間の反逆者たちから感じる愛と思いやりや、消費と欲に結び付かない別の生き方があることを知ることで、大きな力を得ています。
 この記事の読者への提案で終わりとさせていただきます。気候変動や環境に関する団体に参加し、入門的な会合に参加し、自分で本を読み始めてください。週に1日、あるいは月に1日、ボランティア活動に参加してください。休日の少しの時間を利用して、大規模なデモや集団行動の予定を入れてください。小さなことから始めて、それを書き留めて、冷蔵庫に貼っておきましょう。それは、あなたの人生で最も重要な決断の一つになるかもしれません。

参考文献

1.『これは訓練ではない─XRハンドブック』(エクスティンクション・レベリオン、2019年)参照。
2.https://extinctionrebellion.uk/act-now/resources/SOS/

詳しくはhttps://klimatalliansen.nu をご覧ください。