読者質問欄

この欄では、インタビューや講演の膨大な記録の中から、ベンジャミン・クレームと彼の師である覚者が40年にわたるたゆみない奉仕の一環として提供してきた、幅広い話題に関する質問への回答を紹介する。

ベンジャミン・クレームがテロリズムやイスラエル・パレスチナ問題、正義の必要について説明する

 『過去の悪を克服するために、すべての人間が必要とされていることを知るべきである。分割や分離は大昔にその根を持ち、それが捕えているものを容易に放棄しないだろう。であるから、一人ひとりが、キリストを助け、変換の仕事を助けることを自分たちの任務と見なして、世界の再建に最善を尽くしなさい。
 間もなく、世界はその直中に壮麗なる輝きを見るだろう。間もなく、人間はマイトレーヤのお姿に歓喜の涙を流すだろう。間もなく、彼らは救助の仕事を自分たち自身で担い、人間の真の和合を確立するだろう。かくあるだろう。このようにして、人間は、長い間心にいだきながら、今まで見つけることのできなかったあの兄弟同胞愛を、ついに知るだろう』
(「偉大なる主、お出まし給う」、シェア・インターナショナル誌1988年6月号)

 人類は前進しているのではなく、かえって逆戻りしていると、思うかもしれません。9・11のような、あるいはイラク攻撃のような大惨禍があるたびに、わたしたちは逆戻りしているような気がします。人々は私に手紙をよこします──「これはマイトレーヤの出現に影響を与えますか? 彼の出現を遅らせましたか?」 実際、答えはいつも「ノー」です。
 これらの出来事は何でもないわけではなく、たしかに人類に影響を与えます。9・11の出来事はアメリカに最近の歴史において類を見ないような影響を与えました。これは極めて異常です、なぜなら9・11の攻撃は二つの都市の二つの建物だけ、すなわちニューヨークのツインタワー(まあ二つの建物ですが)とワシントンにあるペンタゴン(国防総省)の建物、それに不成功に終わったホワイトハウスへの攻撃だけだったのですから。そして3,000人あまりが殺されました。それはあっという間に起こった大きな出来事でした。しかしそれ以前の何年もの間に、海外でのアメリカに対するテロの攻撃、IRAによる英国でのテロ、スペインにおけるETAの攻撃などで失われた人命に比較すると、そんなに大きな数ではありません。絶え間なく起こるテロの攻撃、何年間も毎月のように起こる絶え間ない攻撃に比較すれば、それほどのことではありません。人々はそれに馴れてしまうのです。もし攻撃が完全に破壊的なものでなければ、人々の日常生活の重要な部分を破壊するのでなければ、人は絶え間ない攻撃に本当に馴れてしまうのです。
 しかし9・11は、アメリカの人々に途方もない心理的な影響を与えたようです。そしてそれが現政権によって煽られ、釣り合いを欠いて拡大されました。ですからそれを忘れることさえ許されません。イスラエルが、ユダヤ人大虐殺(ホロコースト)を何がなんでも人類が決して忘れてはならないものにしているのと同じです。彼らはそれを彼らの痛みと苦しみの大きなシンボルとして高く掲げ、パレスチナ人に対する極端な報復を許しているのです。
 至るところに住むユダヤ人は──イスラエル建国前に何百万のユダヤ人に起こった出来事ゆえに──日々、あの恐ろしい出来事の追想の中に生きてきました。600万人のユダヤ人がドイツの死の収容所の中で死にました。しかし他の民族も、ジプシーやポーランド人や、ハンガリー、ルーマニア、ロシアの人々が何百万も同じようにして同じような場所で死にました。しかしロシア人やポーランド人やジプシーから、あるいはルーマニアや東ヨーロッパの国々の国民からはそのような哀悼の声を聞きません。
 私は死の収容所の重要性やその恐ろしさを減少させようとしているのではありません。しかし人類は、人間が他の人間に対していかに恐ろしいことができるかということの描写として、永遠にそれを高く掲げていくことはできません。それはユダヤ人とそして特にイスラエル政府の大きな間違いだと思います。そのために、世界は彼らの体験を、彼ら自身の自己憐憫の目を通して以外に見なくなってしまうでしょう。それは、彼らがパレスチナ人に対する彼ら自身の非寛容さと非妥協的態度についての現実を直視することを妨げています。災難を受け、苦しみを、何年にもわたって本当の一瞬一瞬の苦難を知る人々の中では、ユダヤ人がおそらく賞を勝ち取るかもしれませんが、それはパレスチナ人にとっては重要性を持ちません。ホロコーストがイスラエルに、パレスチナを冷酷なやり方で抑圧することを許しています、そしてそれは世界全体にとって非常に大きな危険をはらみます。……
 テロは特定の国だけではなく、世界中に散在し、それに対して戦争を挑むことはできません。それは幻想です。しかしそれはアメリカの現政権が、テロ活動を援助したりけしかけたりしていると感じる国々に対して戦争をしかける権利を与えます。
 アメリカ政権自体がテロ活動を助け、けしかけているのです。彼らはイスラエルを支持します。イスラエルに対して、武装のために年間30億ポンド(約60億ドル)もの援助をし、イスラエルの軍隊はあの地域で最強の軍隊となり、世界でも最強の軍隊の一つです。核爆弾を保持しています。イスラエルは核爆弾を所有すべきではないと考える者はいません。なぜイラクが核爆弾を所有することが許されなかったのか。もしイスラエルが大量破壊兵器を持つことが許されるならば、なぜイラクが大量破壊兵器を持つことが許されなかったのか。現アメリカ政権がイラク攻撃について提供した理由の一つは、イラクに対する国際連合の決議のうちの19が実施されていないということでした。イスラエルは63の国連決議を破っているのです。なぜか? アメリカが安全保障理事会において拒否権を持っており、決議が実際に実施されることを許さないからです。
 残念ながら、そのような政府であり、それがアメリカで権力を握っています。パレスチナの抑圧を援助し、けしかけていながら、同時に、イスラエル国内にパレスチナ国家を設立することを助けるふりをしています。……
 1967年のイスラエルによる先制攻撃までは、ヨルダン川西岸地区はヨルダンの国王のものでした。マイトレーヤはヨルダンの故フセイン国王に(1990年4月にロンドンでマイトレーヤが主催した会議の席上で)ヨルダン川西岸地区の支配権を放棄してパレスチナの人々のための国土にするように頼みました。ヨルダンの善良な国王はその提案に同意し、ヨルダン川西岸地区が、ガザ地区と併せて、パレスチナ人の国になることが可能になったのでした。
 それ以後、ヨルダン川西岸地区の大部分がイスラエル人の入植者の住宅建設によって削り取られてきました。それらの安全を守るために周りに壁と小規模の軍隊が備えられた建物の巨大な密集です。そしてそれらをつなげるためにヨルダン川西岸地区全体にわたって道路がつくられてその地域を分断しており、パレスチナ人に与えられたのはヨルダン川西岸地区の約40%です。それが現実であり、だからマイトレーヤはアラファト氏に協定書類に署名しないように助言されたのです。
 それがこれまでに提案された最高のものだったのです。入植建設は今でも次々に続いています。それはヨルダン川西岸地区を完全に撤収し、パレスチナ人を彼らの土地や畑から分断し、彼らが生計を立てるのを不可能にしています。そして今度は、イスラエルは壁をつくっています。それは、パレスチナ人のテロリズムと彼らが呼ぶところのことへの仕返しという名目で、冷淡に、職業的に行われています。パレスチナ人は、何らかの賠償を得るために、あるいはイスラエルが自分自身に欲している自由の形だけでも得るために、彼らがなし得る唯一の方法を使っているのです。
 初期のイスラエルがパレスチナ人にテロリズムを教えたのです。イスラエルはテロによってつくられた国家です。スターンギャングとかイーグン・ゼヴァイ・ルーミ等のギャング組織が幾つもありました。彼らは、英国に対して、パレスチナに対して、テロリストとして戦い、そしてイスラエルとして知られる地域を勝ち取ったのです。パレスチナ人が、彼らが自分たちの国と呼ぶことのできる少しばかりの国土を死守するために戦っているのと同じように、彼らはあのとき、そのために戦い奮闘したのです。それは非常に不公平であり、イスラエルの建国の背後にはアメリカ政府の重みとアメリカのドルの力と軍隊があったのです。あの状況が持続する限り、世界に平和は決してないでしょう。パレスチナに平和がなければ、全体としての世界に平和はないでしょう。
(シェア・インターナショナル誌2005年1月号)

ベンジャミン・クレームがコンピューターの役割とオートメーション(自動化)についての質問に答える

Q:コンピューターは新しい世界秩序において何らかの役割を果たしますか。

A:コンピューターは新しい文明において非常に大きな役割を果たすでしょう。今日、何百万もの人々が工場で働き、大量の製品を製造しています。将来、人間のマインドの発達とともに(人間のマインドはまだやっと顕現し始めたところです)、私たちは人間のマインドに反応する一段と優れたコンピューターを創り出すでしょう──科学者たちはすでにこれをし始めています。これらは完璧に反応し、私たちが日常生活で使用するすべての加工品を作るようプログラムすることができるでしょう。これは人類に余暇を与え、私たち自身の本質と創造性の探求へと人類を解放するでしょう。今日のロボットは、将来のコンピューターを特徴づける信じられないような知識と比較できるようなものではありません。
 それは、私たちが創造する方法で創造するように、思考によってプログラムされるコンピューターです。
(シェア・インターナショナル誌1993年11月号)

Q:仕事に対する関係、例えば工場などの、製造業の世界化をどのように見ますか。

A:考慮すべき法則が二つあります──機械の法則と人間の法則です。これらの二つは互いに作用し合うべきではありません。機械が働く場があり、それをロボットと呼んでいます。ロボットは、自動車、テレビ、コンピューターのような、他の機械的な物体を生産するために人間がしている仕事のほとんどを、現在行うことができます。他方、人間は、機械的になってはいけないし、機械的になることが許されてもいけませんでした。
 機械の法則もまた法則です。機械は、結局のところ生きている物です。あなたを失望させたからといって車に悪態をつくよりも、車に優しく話しかけた方が、もっと良い結果を生むでしょう。車であれ、どんな機械であれ、それを信頼し、丁寧に扱い、いたわり、オイルやガソリンや水などの適切な「栄養」を与えれば、それはそれ自体の機械の法則を通してよく機能するでしょう。それがよく造られたものであり、それを正しく扱っていれば、そのような扱い方に反応するでしょう。なぜなら、マイトレーヤが言われるように、すべての資質の原子は連結しているからです。
 機械的な思考や行動を強いられてきた人々は、おそらく長い間、そうであり続けるでしょう。彼らはおそらくもはや搾取されることはないでしょうが、心(マインド)の習慣が壊れるには長い時間がかかります。
 何世紀もの間深く酷く搾取されてきた人々は、自分たち自身のものを取り返したいと欲するでしょう。復讐したがるでしょう。日雇い労働者たちは雇い主をつかまえて、一番近くの木に吊るし上げたいと思うでしょう。なぜなら、彼が、彼らの家族の者たちに、何世紀もの間、ひどく貧しい暮らしを強いてきたから。それを最小限にとどめ、彼らに許すことを教えるには、マイトレーヤが持っておられる行動における熟練さのすべてが必要とされるでしょう。
 人々は許さなければならないでしょう。覚者は寄稿の多くで、そのことについてはっきりと述べておられます。古い罪を許し、昔の過ちを忘れるべき時がやって来るでしょう。これはなされなければなりません。そうでないと、今よりも悪くなるでしょう。
 マイトレーヤと覚者方は、この復讐したいという欲望をくじき、この欲望を矯正する手段として、人々の心をキリスト原理であふれさせ、分かち合いの原則をすみやかに実現するという責任を担っておられます。スピードが非常に重要でしょう。人々がこのような復讐のための時間と思考を持たないように、分かち合いの原則が第一の優先事項として実施されなければなりません。
 「そうしよう。今われわれは必要とするものを手にしているんだから」と人々は言うでしょう。このことを認識することは大変重要です。そうでないと、人々は「マイトレーヤは平和をもたらすと思っていた。ところがどうだ。世界は前よりも悪くなっているではないか」と言うようになるでしょう。これが、たぶん、あまり深く物事を考えない大勢の人々の反応でしょう。
(シェア・インターナショナル誌1997年1月号)