「均衡」
「画家が求めるのは調和であり、作曲家が求めるのも調和です。画家や作曲家によっては、その芸術はそれほど調和があるようには感じられないかもしれませんが、彼自身は、絵画や音楽の中で創造したものが彼にとって調和があり、生命があり、その本性の法則に従い、完成し、もう一筆加えたり、音を追加したりすれば、それが損なわれ、均衡が乱されてしまうというところまで追求するのです。常に均衡を求めます。意識的に求めてはいないかもしれませんが、良い画家や作曲家であれば、無意識的に求めます。この直観の感覚が、色や形を適用する中で彼を導きます。なぜなら他に誰もいないからです。彼を導くものは彼の直観しかありません。直観に従うならば、彼は完全性を目指し、その完全性は和合です。一見していかにバランスを欠いているように見えても、彼は均衡を生み出さなければなりません。すべてを静的な状況に置くことで和合を生み出すことはできません。静的でない状況を生み出し、それに均衡をもたらすことによって和合を生み出すことができます。その均衡が絵画や音楽作品の生命であり、あなたが働いている共同体の生命です。
人生のあらゆる側面に均衡を生み出すことができるとき、人類は正しい人間関係が生まれていることを知るでしょう。正しい人間関係は無害と均衡です。均衡とはバランスを取ることです。人生には多くの要素があり、絵画や彫刻と同じように、あなたはそれらを統合しなければなりません。死んだバランスではなく、最終的には均衡が生み出されるような方法でそれを創造しなければなりません。このようにしてあなたは生きた仕組みをつくり出すのです。色彩の調和が欲しければ、すべてを一つの色で描くこともできます。しかし多くの色、多くの面、多くの音に表現を与えたいならば、一生懸命働き、それらすべてに均衡状態をもたらすために、直観を用いなければなりません。均衡は静的なものではありません。人生に均衡があるときに真の人生と言えます。均衡がないとき、破壊的か静的であり、それは死にかけています。静的な人生が静的であるのは一瞬の間だけです。現状維持とは過去の一瞬ですが、すでにその瞬間は終わっています。だから現状維持というようなものはありません。存在するのは常に動きであり、その動きは安定を求めています。それは和合を求めており、言い換えればそれは均衡です」
(シェア・インターナショナル誌2006年1月号。ベンジャミン・クレーム
『生きる術』も参照)