暗闇の終わり

──覚者より
  ベンジャミン・クレーム筆記

 この地球ほど分割と不調和が蔓延している惑星はどこにもない。われわれの太陽系の中で、これほど競争の中に浸かりきって、協力の恩恵に無知な惑星は他にない。そのような愚行の結果、すなわち不安とあらゆる種類の病気、隣り合わせにある富と貧困、不安定と戦争、が見られるところは他にない。

 なぜそうでなければならないのか。なぜこの最も豊かで肥沃な世界の住民は、その所有権をめぐって争わねばならないのか。

 その答えは、ある程度は地球の資源の非常な豊かさにある。地球は最も密度の高い物質世界であり、長い間、人間はその物質的な富の奴隷になっており、その富をコントロールするために戦い、競争してきたのである。このことが人間王国(およびそれと共に動物王国)を絶滅の瀬戸際にまで追い詰めたのである。核爆弾の開発によって、人間は自分自身の存在そのものを危機に陥れた。

 何にもましてこの事実が、マイトレーヤに彼のグループと共に日常世界に戻る決意を促したのである、少なくとも予定されていた時期よりも千年も早く。彼の目標は人間を説きつけて、瀬戸際から引き戻すことであり、彼らの権力への渇望が、貪欲と競争が、いかに危険で破壊的であるかを示すことである。

 マイトレーヤは人間に、より容易な方法を、協力と正義と信頼の方法を示すだろう。

 この惑星全体に広まる現在の物質主義の不正を、心(ハート)のうちで拒絶する人々が今日たくさんいる。彼らは正義と平和を願い、それらの達成のために行進しデモをする。ますます多くの世界の民衆が一緒になるとき、強力な男たちの行動を変えるだけの力を持つことを認識し始めている。かくして、マイトレーヤは民衆を信頼し、彼らの要求に声を与える。かくして、彼は民衆の行進に参加し、彼の声を彼らの声に加えられる。

 全般的な貪欲のただ中に、幾つかの国々において、政治家や他の人々の中に良心の目覚めがある。極貧の国々の負債が帳消しにされ、そして非常に多くの人々のひどい貧苦に対する新しいアプローチがとられつつある。20年にわたる労苦の成果が実り始めている。マイトレーヤの慈悲心に富むエネルギーがその魔法のような働きをしており、新しい精神が力を強めつつある。

 かくして、数え切れない長い時代の心的態度と習慣は、マイトレーヤと彼のグループによって統御される新しい抑止され得ないエネルギーの前に崩れ始めている。人間は恐れる必要はない。まさに、至るところにいる従順なる者、貧しき者、無力なる者、労苦する者は地球を受け継ぐだろう。人間は協力と奉仕の素晴らしさを学び、そして権力の要塞は一つずつ陥落するだろう。分かち合いと一体性への新しい衝動が人々の心(マインド)を捉えるにつれて、権力と富の帝国は消えていくだろう。そのようになるだろう。かくして、人間は正気を取り戻し、再び(本源に向かって)登り始めるだろう。  

(シェア・インターナショナル誌2005年7、8月号)