文明と文明を結ぶ世界―いかにして変化の苦痛に対処すべきか

ゲラード・アートセン

 新著『一体性(ワンネス)の先覚者たち』の中で著者ゲラード・アートセンは、科学と宗教との統合の認識を促す新時代の基調について、不朽の知恵と宇宙からの訪問者たちの存在を導入して、何が真実であるかの見解を示している。彼らからの示唆によって、今日の激しい分離傾向とそれから来る耐え難いストレスを、今ある分離主義を直視することによって克服し得ること、及び、それを人間性の夜明けを告げる新しい一体性(ワンネス)の感覚が目覚めるための産みの苦しみとして見なすことで克服し得ることを示している。

 二つの宇宙サイクルの入れ替わりという歴史上の転換期において、私たちは古い構造が崩壊しつつあり、新しい宇宙時代の基調となる一体性(ワンネス)と統合性が、今はまだでもやがて人類に訪れるであろうと著者は述べる。

 政治と経済のシステムがいつまでたってもうまく機能しないことにより、“イルミナティ”とか“秘密の政府”といった秘密組織が世界を支配しているからという陰謀神話が生まれており、それによる根拠のないうわさが広まっている。世界各地の残虐行為がエリートたちによって伝えられ、人々の不信感があおられている。これに乗じて、極右活動家たちがその陰謀神話を広めている。そして、この不確定な時代に、破綻している組織を建て直すべく“敵”をつくりだそうとする不寛容で無責任なリーダーたちによって、パンデミックへの恐怖や憎悪感や他のウイルスへの恐怖心があおられている。その結果、人々の中の不安感情が、1930年代のユダヤ人社会や現代の難民や移民の社会がそうであるように、異なる存在に向かってたやすく転化されている。

 しかしながら、古い構造はもはや有効ではなくなったとメディアが言及することが稀ではなくなり、新しい世界の訪れが間近であるという予感が強まっている。17歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんは2020年6月に、不正義がもはや許されない分岐点に達しているという表現でこう述べている。「気候と生態系の危機は、現在の政治的・経済的システムの中では解決できません。このことは意見ではなく事実なのです」

 この予測は、新時代に関する不朽の知恵の教えに含まれており、また同様に、宇宙からの訪問者たちからの情報にも示されているのは驚くべきことではない。世界で初めてクロップサークル(穀物畑サークル:ミステリーサークル)について書かれた最初の本の一つである『クロップサークル──世界的変化の前兆』において、考古学者のミカエル・グリーン氏は、UFOとクロップサークル現象の間の関係性について概説している。彼はH. P. ブラヴァツキーやアリス・ベイリーの様々な文献を挙げて、結論部の章で、様々な偉大な宇宙からのパワーが人類の上に注がれているとしてこう述べている。「この過程は新時代の公式的な始まりを、またはキリスト教的な表現では『第二の(主の)到来』と言われるものに相当し、ミステリーサークルの顕現は、黄金時代が訪れることを人類に目に見える形で示したものである」

 何人かのコンタクティー(宇宙人と接触したと主張する人物)も同様の情報をもたらしている。例えばエンリケ・バリオス氏は、アクエリアス時代は「惑星地球にとって革命的なステージに達すること、すなわち、暴虐の千年紀が終わること、愛の新世紀が訪れること、ある種の『成熟期』に達することを意味しています。私たちはすでにアクエリアス時代に入っているのです。しかし、入ってはいるのですが、実感されてはいません。地球は別な種類の法則と宇宙の磁力線によって支配されつつあります。言い換えると、人々はもっと愛情深い存在になります。しかし、人々は依然として以前の進化上低いレベルの原理に従って生きています。人々が内的に感じていることと外的に動かされていることの間に大きなギャップがあるのです」と述べている。

 もし私たち人類が、私たちが望んでいる状態とか望んでいる社会に住んでいるのではないと感じているのであれば、私たちは、宇宙または地球に起源を有する身代わりとなる存在や救世主を探すのではなく、自分たち自身が現状を変えようと何かをしているかどうかを自問すべきである。チャールズ・アイゼンシュタイン氏は、「もちろん、私たちの社会には大勢の悪役がおり、極悪な行動に関与する冷酷な人々がいます。では一体彼らは、分離システムと分離神話をつくり上げてきたのでしょうか、または、単にそれにつけ込んだだけなのでしょうか」と大変鋭い問いかけをしている。

 人類が宇宙に浮かぶこの青い宝石のような惑星全体の構成要素の一つであると見なして、私たちが惑星上の生命を育むべく働き貢献することは、私たちが霊的に一体性を感じそれを経験することになる。しかし、どれくらいの人がグローバルなスケールで、この一体性(ワンネス)を達成したら足りるのであろうか。それについて、ベンジャミン・クレーム氏は、世界人口のわずか半数あれば足りると述べている。人口の半分だけが「到来しつつあるアクエリアス(宝瓶宮)的な人々です。パイシス(双魚宮)的な人々が残りを構成し、世界のあらゆる政府を形成しています。過去のやり方を踏襲するあらゆる人々、世界のお金のほとんどを持つ人々です」。

 さらに言えば、世界の半数を占めるアクエリアス時代の人々は、決して均一なグループではない。社会的である活動家は、霊性を求める人々が現実世界の問題を回避していると非難するかもしれない。一方で霊性を求める人々は、(社会的活動家たちは)問題の背後にある霊的な原因を無視していると指摘するかもしれない。しかし、両者が抱く中心的な動機は、物事の原因を洞察するという点では決して違っているわけではない。活動家の動機は、明確に意識してはいないにしても、社会的不正義が生命の内的統合や一体感をないがしろにしていると観るにある。同様に、霊性を求める人々は、たとえ実際問題を扱うのが困難であるとしても、共通の人間性の根底にあるものに感じて反応するのである。それゆえ、私たちを駆り立てる一体性(ワンネス)の感覚を顕し活動する方向性が違うにもかかわらず、私たちが尊重する方向の根底は同じである。共通するのは、私たち自身との、または他者との、そして他の惑星との正しい関係性の意識を高めかつ表現することである。それゆえ、それが活動家であれ霊性を求める人であれ、意見に相違があったとしても、努力し続けることをやめるべきではない。限界を克服する努力について、ジュワル・クール覚者は『新しい時代の教育』の中の霊性(スピリチュアリティ)に関する定義の箇所で、活動家は自分の行動を促す霊的な根源を自覚する必要があり、一方、霊性を求める者は一体性の認識を行動に移すことで初めてそれは確実になることを自覚する必要があると指摘している。
 社会正義に対する最初のステップが、私利的な特権が失われることを憂慮し現状維持を望む商業主義者の勢力から激しい抵抗に遭遇する現在の社会状況を見ると、社会活動家と霊性を求める者たちがこの「霊性を物質化する」努力と、「行動を霊性化する」努力をして互いに協力することが大切である

 この観点から、「戦略的国際研究センター」※ は、2020年3月に極めて意味深い以下の声明を発表した。「私たちは、頻度においても範囲においても規模においても歴史上先例のないグローバルな大衆的抗議運動が展開される時代に生きています。(……)最近、抗議行動の規模と頻度は1960年代末のものや1980年代末のものおよび1990年代早期のものなどの歴史的抗議行動を覆い隠すほどになっています。広い視野で見ると、『アラブの春』は個別の現象ではなく、広範囲で増加しているグローバルな傾向の特に顕著な例です」

 事実、ベンジャミン・クレーム氏の覚者は、「今日この惑星に浸透している物質主義に基づく不正を心の中で排除している人が大勢いる。彼らは正義と平和を待ち望み、その達成のためにデモ行進を行う」と述べている。
 そして抗議行動は時にエスカレートし、暴力を伴ったり略奪を起こしたりするが、そのような過程があっても、抗議行動は恐れるべきものでも避けなければならないものでもないことが研究の結果わかっている。米カリフォルニア州のハンボルト州立大学の社会心理学者アムバー・ガフネイ氏は、人が極端に走ることは、私たちが間違ったことや欠けていることに対する完全に人間的な反応であることを見いだし、こう述べている。「人々が自己自身と自己の動機に関して極めて不安定になったとき」(つまり、人々が自己存在の核である魂とのつながりを見失った状態になったとき)、「誇張的な表現で主張する民主社会の独裁的リーダーのような、今までとは異なるタイプの存在に人々は惹きつけられる」。例えば「我々は自分たちが何者であるかを見失っている」というような発言をしながら、この不確かさにつけ込もうとする。しかし、彼女が言うには、最大級の積極的な社会変化は「強い結合とはっきりとしたアイデンティティーを持つマイノリティー(グループ)によってもたらされてきました。私たちが積極的な社会変化を体験する場合には、それはマイノリティーからもたらされるのです。市民権運動や女性選挙権獲得運動を思い起こしてください。それらはおおむね信じ難いほど肯定的なものでした。しかし、それらはマイノリティー(グループ)から始まったのです。彼らは社会の中枢から疎外されていたアウトサイダーの労働者たちであったのです」。

 宇宙の兄弟たち(スペースブラザーズ)からのメッセージに基づき、また世界教師の出現を広めるために何十年と働いてきた多くの人は、これらの希望あふれるビジョンが実現するのに一体どれだけ待てばよいかと嘆くかもしれない。ジョージ・アダムスキーの1963年ヨーロッパツアーに関する報告書の締めくくりで、陸軍少佐であったハンス・ピーターセン氏は、現代にも当てはまるようなことを述べている。「皆さんは一人で孤独な道を辿り続けなくてはならないでしょう。いまだかつてなかったように(理想と現実との)不一致が際立っていたことはありませんでした。(……)スランプ状態が以前にはないほど大きく、殺人や暴力、犯罪や事故、搾取、病気、ストレス、これらはすべて程度が大きくなりすぎて、もっと悪化することを考える余裕がない状態です。しかし、空飛ぶ円盤が私たちの大気圏内に現れ、私たちの中で宇宙人(スペースピープル)が働いていることが間もなく知られるようになります。このことが起こると、極めて大きな変化が発生します。そのペースは加速されています。私たちの中で進歩が促され、原因と結果の法則によって私たちの世界のバランスと平衡とが整えられるでしょう」

出典:ゲラード・アーセン『一体性(ワンネス)の先覚者たち─UFOと宇宙の兄弟たちの科学と霊性(Pioneers of Oneness. The science and spirituality of UFOs and the Space Brothers)』BGA出版、2020年10月、276頁、ISBN:978_90_830336-0-0

※「戦略的国際研究センター(CSIS)」は、米国の首都ワシントン市を拠点とするシンクタンクで、1962年にジョージタウン大学に設立された。世界の政治的、経済的、安全保障的問題に対する政策研究と戦略的分析を行う機関である。特に国際関係や貿易、科学技術、財政、エネルギー、そして地政学的問題に焦点を当てている。