表紙の絵── ベンジャミン・クレーム

「ビジョン」(1961年)

「この絵は、オランダの画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)が述べたことに基づくインスピレーションの結果である。ファン・ゴッホは素晴らしい手紙を書いた。絵を1枚も描かなかったとしても、彼は手紙だけでも人類史において地歩を得ていたであろう、と私は考える。彼の手紙は、特に弟のテオに宛てたものは、私が読んだことのある手紙の中で最も雄弁なものの部類に入る。そうした手紙は人類への愛や深い内面の探究心を伝えているほか、自分自身や自分の行動、自分の生活を通して、そして何よりも自分の作品の中で、キリスト原理を表現したいという切望を伝えている。彼が絵画にたどり着いたのは後年になってからである。わずか10年で全作品を完成させており、途方もない集中力をもって制作に励んだ。
 彼は未来の芸術について考え始めていた。それについて彼が書いたものを読んだとき、私は未来の芸術についてのイメージを得た── これ[絵画]は、私が見たビジョンである。中心には宇宙の火、内的な霊的火があり、卵の形をした宇宙の形態、つまり「宇宙の卵」がそれを体現している。その宇宙の卵は、私が祭壇の形と考えるものの上にあり、ある媒介を通して人類に捧げられているかのようである。それはたぶん、宗教という媒介かもしれないが、この場合は芸術という媒介である」
──ベンジャミン・クレーム

(編注:これは、新しい作風を模索する、ベンジャミン・クレームの最も初期の作品の一つである)