協力の術

シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師である覚者はほとんど40年近くにわたって、毎月記事を提供してこられた。協力という言葉は覚者の四つの記事のタイトルに含まれ、他の記事にもよく出てくる。しかし、分かち合いと同様に、それは依然として、私たちがまだ試みていない解決策である。

協力の術

──覚者より
   ベンジャミン・クレーム筆記

 人間は、今日彼らが直面する問題の重大さをますます理解しはじめている。政治、経済、社会のすべての前線において、これらの問題はどんどん増大し、大きな頭痛の種になり、彼らに悲しく頭を振らせる。これらに加えて、自然とその資源に対する人間の軽率な態度が生じさせた環境の問題があり、人類の未来はますます暗澹としている。人類の生命が危機にさらされており、手遅れにならないうちに何か抜本的なことをしなければならないという認識が目覚めつつある。
 事実、人間は自分自身を救うために一体何ができるのか。人間の福利に対する脅威を緩和するためだけにでも、どんなステップを取ることができるのか。
 答えは比較的単純である。しかし人間は、彼ら自身の条件づけられた網の中に捕らえられているので、それを本当に把握することは困難なようである。
 人は競争という毒物から自分たち自身を解き放たなければならない。それがグラマーであることに気づかなければならない。実際そうなのであるから。そしてすべての人間の一体性を悟り、「全体的な善」のために協力を喜んで抱きしめなければならない。協力と正義(公正さ)のみが人間を、彼ら自身がつくり出す大惨事から救うだろう。協力と正義のみが彼らの未来を保証するだろう。これがそうであることを考慮するならば、人間は、救済への鍵として協力を受け入れる以外に選択肢を持たない。……
(シェア・インターナショナル誌、2000年9月号)

協力

──覚者より
   ベンジャミン・クレーム筆記

 人類は今日、まさに未来への偉大なる飛躍をせんとしている──その未来において人間の本質的に聖なる特性が顕示されるだろう。人間は知らないかもしれないが、完全なる大人として、その未来を形づくる知識と力の受託者となるためのテストに合格したのであり、そして合格しつつあるのである。
 現在は、人類種族の案内人の内的視覚にのみ、このリアリティーは明瞭であるが、それはまことであり、来るべき時のために良い兆しである。今日人間が集う所には、新しい危急感が、この惑星とその王国の福利に対する新しい責任感が見られ、また感じられる。
 生存と進歩のための苦闘に永劫の時を費やし、やっと今、人間は成熟したと言える──人間自身にはまったく隠れていて見えないが、わたしたちにはその成熟さが認識できる。
 今や人類の進歩にとって重要な前進への機会が訪れ、その速度と達成においてこれまでのすべての前進をはるかに凌ぐものである。今まではゆっくりした着実な進歩が望ましく、またその方が好ましかったのであるが、新しいダイナミックなリズムがつくられつつあり、その勢いが人類を全世界的な変化の波に乗せて未来へと押しやるだろう。今日の分裂した世界の緊張はあまりにも大きく、方向の急速な転換のみが破局を防ぐであろう。この急速な変化に適応するには、多くの者に問題を生じさせることは疑うべくもない。しかし、それよりはるかに多くの者たちは、これらの変化を新しい人生への機会として喜んで迎えるだろう。
 舞台の背後にいるわたしたち労役者は、人類がその機構の根本的変容を始動させることに自信を持っている。それはもはや人間の必要に応じ切れず、新しいものの出現を阻む。わたしたちは見守り、導き、すべてを監督する。少しずつ新しい意識が人類を彼らの内的要求に目覚めさせている。古い競争心はなかなか死なないが、それにもかかわらず、新しい協力の精神もまた見え始めている。これは未来への吉兆である。なぜなら協力によってのみ、人類は生き延びられるだろうし、協力によってのみ、新しい文明が築かれるだろう。人類は彼らの神性の内的真理を知り、それを具現することができる。
 協力は正しい関係の自然の結果である。正しい関係はまた賢い協力に伴う。協力はグループの努力のすべての成功への鍵を握り、聖なる善意の顕われである。協力なしには、長続きするものは何も達成されない。というのは、協力は多種多様の見解の統合をもたらすからである。
 協力は和合のもう一つの言葉である。和合と協力がすべての人間にとっての未来への跳躍台であり、達成への保証である。人類の裡に偉大なる力の貯蔵池が未開拓のまま横たわっており、協力の魔術によって解き放たれるのを待つ。
 競争は自然の秩序に無理を強いる。協力は人間の内なる善意を解き放つ。競争は自己のためのみに関わり、他方、協力はすべての者の最高の善のために働く。
 競争はすべての罪の起源なる分裂に導く。協力は唯一の聖なるいのちの多色の糸を混ぜ合わせ融合することを求める。
 競争は人間を絶壁に導いた。協力のみが道を見いだすのを助ける。
 古い時代の後ろ向きの者は競争を好む。新しき時代の者は聖なる協力を喜んで抱擁する。
 世界の人間は二つの種類に分けられる──競争する者と協力する者とである。
 心(ハート)から競争のしみを洗い浄めなさい。心(ハート)を楽しい協力に開きなさい。 (シェア・インターナショナル誌、1984年12月号)