視点 イランによる米国への包括的和平提案

ジェフリー・D・サックス、シビル・ファレス

 ジェフリー・サックス教授とシビル・ファレス氏は2026年2月9日、米国がイランから差し出されたオリーブの枝(和平提案)を受け取るだろうか、と問いかけた。今、シェア・インターナショナル誌3月号が発行されようとしているこの時、悲しいことに、全世界がその問いに対する致命的な答えを知っている。

 歴史には時折、紛争についての真実があまりにも明白に語られ、もはや無視することができなくなる瞬間が訪れる。2月7日にカタールのドーハでイランのアッバス・アラグチ外相が行った演説は、まさにそのような瞬間だったと言えるだろう。彼の重要かつ建設的な発言は米国による包括的交渉の呼びかけに応えるものであり、中東全域の平和に向けた健全な提案がなされた。
 マルコ・ルビオ米国務長官は先週、包括的交渉を呼びかけ、「イラン側が会談を希望すれば、われわれは応じる用意がある」と述べた。ルビオ長官は、核問題やイランの軍事力、地域における代理勢力への支援について協議することを提案した。表面的には、これは真剣で建設的な提案のように聞こえる。中東の安全保障上の危機は相互に関連しており、核問題を地域全体の動向から切り離した外交は長続きしそうにない。

 イランのアラグチ外相は2月7日、米国による包括的和平の提案に応えた。アルジャジーラ・フォーラムでの演説で、同外相は地域の不安定の根本原因に触れた――「パレスチナ問題は……西アジアおよび世界における明確な正義の問題である」と述べ、今後の道筋を示した。
 外相の発言は正しい。パレスチナ国家問題の解決が失敗に終わったことが、1948年以降のあらゆる主要な地域紛争の火種となってきた。アラブ・イスラエル戦争、反イスラエル武装勢力の台頭、地域の分断、繰り返される暴力の連鎖――これらすべては、イスラエル国家と並んでパレスチナ国家を樹立できなかったことに起因している。イスラエルがパレスチナを残忍な形で占領し続けた後、2023年10月7日にハマスがイスラエルを攻撃し、それからイスラエルによるガザ住民へのジェノサイド(集団殺害)が行われた。ガザはこの紛争における最も壊滅的な局面を象徴している。

 アラグチ氏は演説で、イスラエルが「安全保障の旗印の下に推進」している拡張主義的な計画を非難した。また、イスラエル政府高官やベン・グヴィル国家安全保障相が繰り返し主張し、クネセト(イスラエル国会)がすでに決議を可決したヨルダン川西岸地区の併合についても警告した。
 アラグチ氏はさらに、イスラエルの戦略におけるもう一つの根本的側面、つまり、地域全体における恒久的な軍事的優位性の追求についても強調した。イスラエルの拡張主義的計画には、「近隣諸国を軍事的、技術的、経済的、社会的に弱体化させ、イスラエル政権が恒久的に優位に立つこと」が不可欠だと述べた。これはまさに、30年前にさかのぼるネタニヤフ首相の「クリーン・ブレイク」戦略である。米国は、2000年以降、イスラエルに1,000億ドルの軍事援助を行い、国連では度重なる拒否権発動による外交的庇護を行い、イスラエルによる国際人道法違反に対する責任追及措置を一貫して拒否するなど、イスラエルを熱心に支援してきた。

 イスラエルの不処罰は、地域の不安定化を招き、軍拡競争、代理戦争、復讐の連鎖を助長してきた。また、残された国際法秩序をもむしばんでいる。米国とイスラエルによる国際法の濫用は、欧州諸国の多くを沈黙させ、国連憲章を深刻に弱体化させ、国連を崩壊寸前に追い込んでいる。
 アラグチ氏は演説の結びで、米国に対して政治的解決と前進の道筋を示した。「安定への道筋は明らかだ。パレスチナのための正義の実現、犯罪に対する責任追及、占領とアパルトヘイトの終結、そして主権・平等・協力に基づく地域秩序の構築である。世界が平和を望むなら、侵略に報酬を与えることをやめなければならない。世界が安定を望むなら、拡張主義を助長することをやめなければならない」
 これは、ルビオ氏の包括的外交への呼びかけに対する、妥当かつ建設的な回答である。

 この枠組みは、この地域の紛争のあらゆる絡み合った側面に対処できる可能性がある。イスラエルによるパレスチナ領土の拡張と占領の終結と、1967年6月4日の境界線への復帰は、この地域における代理勢力への外部からの資金提供と武器供与を終わらせるだろう。イスラエル国家と並んでパレスチナ国家が樹立されれば、イスラエルのみならず近隣諸国の安全保障も強化される。イランとの新たな核合意は、イランの核活動を平和的な活動に厳しく制限し、米国とEUによる制裁の解除と相まって、地域の安定にとって極めて重要な柱となるだろう。イランは10年前にすでに、国連安全保障理事会決議2231で採択された「包括的共同行動計画(JCPOA)」において、このような核枠組みに合意していた。合意から離脱したのはイランではなく、トランプ氏の最初の任期中の米国であった。

 包括的平和は、国連憲章そのものを含む、現代の集団安全保障の原則の基盤を反映するものである。永続的な平和には、主権や、領土保全、すべての国家の平等な安全保障の保証に対する相互承認が必要である。
 地域の安全保障は、地域内のすべての国家の共有の責任であり、それぞれの国家は歴史的な義務に直面している。この包括的な和平提案は目新しいものではなく、イスラム協力機構(57のイスラム主流国)とアラブ連盟(22のアラブ諸国)によって数十年にわたり提唱されてきた。2002年のアラブ和平イニシアチブ以来、これらの国々はすべて、土地と平和の交換という枠組みを毎年承認してきた。米国の同盟国である主要なアラブ諸国とイスラム諸国はすべて、オマーンにおける米イラン間の最新の交渉を促進する上で重要な役割を果たしてきた。さらに、サウジアラビアは、パレスチナ国家の設立を条件としてのみ、イスラエルとの関係を正常化することを米国に明確に伝えている。

 米国は正念場を迎えている。米国は本当に平和を望んでいるのか、それとも、イスラエルの過激主義に追随したいのか。米国は何十年もの間、イスラエルの誤った目的に盲目的に従ってきた。国内の政治的圧力、強力なロビー活動網、戦略的な誤算、そしておそらくはエプスタイン文書に潜むわずかな脅迫(誰が知るだろうか)が相まって、米国の外交はイスラエルの地域的野望に従属してきた。
 米国がイスラエルに従属することは、米国の国益にかなわない。米国は度重なる地域戦争に巻き込まれ、米国の外交政策に対する国際社会の信頼を損ない、1945年以降、米国自身が構築に尽力した国際法秩序を弱体化させてきた。

 包括的和平は、進路を修正する稀有な機会を米国に提供する。国際法に基づく包括的な地域和平について交渉することで、米国は真の外交を取り戻し、イスラエルとパレスチナを含むすべての当事者に利益をもたらす安定した地域安全保障体制の構築に貢献することができる。
 中東は、終わりのない戦争と包括的和平の岐路に立っている。平和の枠組みは存在する。何よりもまず必要とされるのは、パレスチナ国家の樹立、イスラエルおよび地域全体の安全保障の保証、10年前に国連で採択された基本合意を回復する平和的な核合意、経済制裁の解除、国際法の公平な執行、そして軍事力に代わる安全保障協力に基づく外交的枠組みである。世界は包括的な枠組みを支持し、この歴史的な機会を捉えて地域平和を実現すべきである。

(Common Dreams)