リチャード・ウルフ教授との対談──第2回
フェリシティ・エリオット
リチャード・ウルフ氏は、マサチューセッツ大学アマースト校の名誉経済学教授である。1973年から2008年まで同大学で経済学を教えていた。現在は、ニューヨーク市にあるニュースクール大学大学院の国際関係論プログラムの客員教授を務めている。それ以前は、イェール大学とニューヨーク市立大学シティ・カレッジで経済学を教えていた。1994年には、フランスのパリ第1大学(ソルボンヌ大学)の客員教授を務めた。また、「デモクラシー・アット・ワーク」の共同設立者であり、全国ネットで配信されている番組「エコノミック・アップデート」の司会者でもある。多くのメディアからマルクス経済学の分野で影響力のある人物とみなされており、ニューヨーク・タイムズ・マガジンは彼を「アメリカで最も著名なマルクス経済学者」と評している。
フェリシティ・エリオットは2025年11月、ゾーラン・マムダニ氏がニューヨーク市長に選出されてから数時間後に、本誌のために彼にインタビューを行った。二人の詳細な対談は、今後数回に分けて掲載される。
(1回目の対談の内容は2025年12月号に掲載)
ウルフ教授と私は2025年11月、ゾーラン・マムダニ氏がニューヨーク市長に選出されてから数時間後に対談した。この瞬間が私たちの対談の決定的な瞬間となり、移民や「他者」に対する怒り、恐怖、憎悪を国内政策と地政学的戦略の両方の足掛かりとして利用する、現アメリカ政権の露骨なポピュリスト的アプローチといった話題に触れることになった。法の支配、国際条約上の義務、そして国家の主権を踏みにじる現在の暴動を「戦略」という言葉で表現するのが適切かどうかは疑問である。こうした事態はすべて、昨年11月以降に起きており、今ではほぼ10年前のことのように感じられる。
シェア・インターナショナル(SI):主流メディアが企業利益に買収され、事実よりも企業利益に奉仕するようになったため、代替メディアの重要性が高まっているという話をしたところでした。
リチャード・ウルフ:私はここアメリカでラジオとテレビの番組をやっています。
SI:「デモクラシー・アット・ワーク」のことでしょうか。そのリンクを公開する予定です。
ウルフ:そのとおりです。ご存じのとおり、YouTubeのフォロワーは60万人います。これはかなりの視聴者数です。新聞社なら60万人の購読者は大成功と言えます。そう主張するつもりはありませんが、私にはチャンスがあります。主流マスメディアでは、終わりです。私の記事を一切掲載しません。
私は、アメリカにおける支配的な感情や見解、そして事実の操作、あるいは一般的なイデオロギー的立場のために真実が犠牲にされ、それがアメリカの自己認識や世界における役割に対する歪んだ認識につながっていることについて尋ねた。
ウルフ:もし過去半世紀にわたってアメリカを形作ってきた最も重要な経済プロセスは何かと問われれば、資本主義産業のアメリカ国外への移転だと答えます。資本主義産業はアメリカから、主にアジアへ、そしてラテンアメリカやアフリカなどへ移転しました。
SI:もちろん、安い労働力のある場所へ移るでしょう。しかし、誰が決めるのでしょうか。
ウルフ:そのとおりです。安い労働力です。この最大の受益者は中国です。これは、中国が経済的成功物語を築くために行ったすべてのことを否定するものではありません。工業生産の中国への移転、つまり国内の工場を閉鎖して基本的に向こうへ移転させることは、すべてのアメリカ人が経験することです。アメリカ人はまた、シカゴやセントルイス、ニューヨークなどにある工場を閉鎖し、上海に移転するという決定は、移転した各企業の大株主と取締役会によってなされたものであることを知っています。政府でも、労働組合でも、国民でもなく、彼ら自身が決定したのです。米国国勢調査によると、米国民の3%が雇用主です。残りの97%はそうではありません。つまり、産業、あるいは企業体としての将来を中国に託したのはこの3%なのです。賃金ははるかに低く、市場は世界最大の市場であり、他のどの国よりも急速に成長しています。
問題は、母国、例えば米国では、失業率が高く、物価が上昇しているため、国民の怒りを買ってしまうことです。しかし、この国の企業エリートたちは、そのことについて非難することはもちろん、口にすることさえタブーにしています。いや、私たちは中国人を非難します。より大きな富を求める労働者を非難します。あらゆる人を非難します。しかし、エリート層は例外です──彼らへの非難は一切ありません。しかし、人々は今やこのことに気づいています。そうではありませんか。ますます増えています。左派、右派を問わず、あらゆる層で。アメリカや他の国々で起こっている興味深いことは、古いシステムで当然のことと思っていたことがもはや通用しなくなっていることだ、と私は考えています。左派にも右派にも、怒っている人々がいます。しかし、ここに違いがあります。私が皆さんに明確に申し上げるのは、それが私の希望でもあるからです。その一部が私の希望だということを否定したくありません。トランプ氏がそのすべてを体現しています。右派は、自らの行動を通じて、見捨てられた労働者階級の苦々しく怒りに満ちた挫折感を表現しようとしています。トランプ氏が壇上で、女性や非白人、政敵に対して常軌を逸した振る舞いを見せるとき、彼は自分を支持する人々の苦渋や怒りを体現しているのです。
SI:つまり、これは粗野なポピュリズムなのですね。
ウルフ:数え方にもよりますが、30%から40%がいわゆるMAGA(マガ=アメリカを再び偉大に)派です。しかし、トランプ氏がやっていることは、彼に資金提供している超富裕層を遠ざけることなく、見捨てられた労働者階級の怒りを代弁しようとすることです。トランプ氏は、寄付者の感情を害さないよう気を配らなければならないため、この狭い政治的な綱渡りを強いられています。民主党幹部も同様に、女性と白人以外の人々の圧倒的な支持を得ているために、身動きが取れません。しかし彼らも、アメリカ合衆国で選挙に立候補するには数十億ドルも使わなければならないため、資金への依存を許してしまっています。つまり、この二つの古い指導者たちは、タブーを守りながらも、怒り狂う国民に語りかけなければならないという窮地に立たされています。この問題に陥っていない唯一のグループは左派です。バーニー・サンダース氏、オカシオ=コルテス氏、マムダニ氏は手探りで、寄付者階級に依存せずに、見捨てられた労働者階級の代弁者となる道を模索しています。
マムダニ氏の選挙戦が示したのは、他のどことも比べものにならないほど多くのアメリカ人億万長者がニューヨーク地域に住んでいるという事実です。ニューヨークは金持ちの街です。私はマンハッタンに住んでいます。マンハッタンから皆さんにお話ししますが、お金がなければ、ここは快適に暮らせる場所ではないと断言できます。とにかく物価が高すぎるのです。そこで、大口寄付者たちはいつものように動きました。マムダニ氏を7対1で圧倒したのです。なんと! そして負けたのです! 世間でどんなうわさを耳にしようとも、私は断言できます。彼らは、私が今座っている場所から数ブロック離れたところで会合を開いてる、と。そして、この状況にどう対処するか、どうすればマムダニ氏のような候補者がいなくなるかを顧問たちと協議しているでしょう。
賢い連中はこう助言するでしょう。このジレンマを解決せねばならん、と。金に依存しているから支持基盤を失っている。金への依存が、怒りを表現する能力を阻害している、と。すると、右翼がこう反論します。いや、われわれには解決策がある。労働者階級の怒りの最も醜い表れを取り上げ、あおり立て、集中させ、増幅させる。かつてやったように黒人を木に吊るす。ドイツ語の「子供、台所、教会」というフレーズ(語句)を誰もが思い出すような方法で女性を従属させるのだ、と。このことを覚えていますか。
以前のウルフ教授との対談の中で、私たちはこのフレーズに触れた。ナチス・ドイツで支配的なスローガンであり、今再び注目を集めているこのフレーズは、女性の役割は文字どおり、「子供、台所、教会」に限定されるべきだと主張するものである。現代の「出産奨励主義」や女性の権利を抑圧しようとする動き、そして「男社会」の象徴である筋肉質で支配的な男性の地位向上と対比させて考えてみていただきたい。私は確かにそのプロパガンダは知っていると答えた。そして、このことやそれが社会全体に与える影響について人々に警告しようと努めているが、私が指摘する影響を誰もが受け入れるわけではないと付け加えた。「まさか自分の国で? まさか現代において?」と。人々は、台所の扉から忍び込むファシズムの兆候としてこれを認識できていないと思う。
ウルフ:彼らはとんでもない行動に出ます。トランプ氏がこの2カ月で何をしたかを見てください。彼は軍に、カリブ海や太平洋で人々が乗船している船を破壊するよう指示しました。……乗っている者が誰で、何をしているのか、船の中に何があるのかを誰も知りませんでした。何も知りませんでした。逮捕もせず、弁護士もつけず、誰からも証拠を提示されず、陪審員も裁判官もいませんでした。ただ、即決処刑したのです!
ここアメリカでは、麻薬ビジネスで人を逮捕することがしょっちゅうあります。これは深刻な問題です。しかし、それで殺される人はいません。死刑に値する罪ではありません。アメリカの多くの州では、誰も処刑されません。裁判を受け、弁護士をつけ、その他、諸々の権利があります。しかし、私たちは今、市民ですらない人々、何千マイルも離れた船に乗っている人々、つまり、いかなるアメリカ人にも差し迫った危険を与えていない人々を、即決処刑しています。これは一体どういうことでしょうか。これは、怒りに満ち、自分ではなく悪人が罰せられることを望む労働者階級の怒りを代弁する機会となっています。これは移民税関捜査局(ICE)運動と同じです。ICE部隊は街頭に出て問題を起こし、人々を逮捕します。適正な手続きなしに、人々は連行されています。
SI:同じ現象だとおっしゃるのですか。
ウルフ:では、これがどれほど驚くべきことか、改めて強調させてください。ICEへの最大の支持は中西部と南部から来ています。そこはトランプ氏の強固な支持基盤です。彼の支持基盤のもう一つの要素は、中西部と南部はキリスト教原理主義が最も強い地域であるという事実です。こうした人々は教会に通うことを真剣に考えています。日曜日に教会に行き、多かれ少なかれ牧師の話を注意深く聞きます。聖書が「見知らぬ人を歓迎せよ」と説いていることを知っています。ご存じのように、ヨセフとマリアは難民でした。馬小屋で歓迎されました。頬を打たれてももう一方の頬を差し出し、見知らぬ人を歓迎するよう教えられているキリスト教徒に、人々を暴行するICE※を支持させるのは容易ではありません。そのように暴行を受ける人々の罪とは、家や教会、学校、隣人、言語、その他すべてを捨てざるを得ないような恐ろしい状況から必死に逃げ出したという罪です。〔※ このインタビューが行われて以来、 国家機関であるICEが自国の白人市民を射殺する事件が起きている。〕
SI:なぜ教会に通うキリスト教徒たちはICEを容認できるのでしょうか。
ウルフ:答えは、彼らがそれほど怒っているからです。あまりにも苦々しい思いを抱えているため、心理的な解放や安堵感を求めています。誰かが自分たちの苦しみの代償を払わなければなりません。そして移民を責め、スケープゴート(身代わり)にするのは当然だと教え込まれてきました。しかし、もしそれが変わり、左派が勝利すれば、トランプ氏の支持基盤がトランプ氏に背を向けることになるはずです。それは見苦しいものになるでしょう。イタリアのファシズム終焉時にムッソリーニに何が起こったか、ご存じでしょうか。もし私がトランプ氏だったら、そのことを心配するでしょう。私たちが初めて会談した直後に、チャーリー・カーク氏が殺害されました。一部の支持者はトランプ氏から離れていく事態になっています。そうした支持者は、例えば、エプスタイン文書やイスラエルへの支持など、あらゆることを知りたがっていました。こうした要素が入り混じり、非常に不透明で奇妙な社会が形成されています。
SI:では、お聞きしたいのですが、それほどの怒りや緊張が渦巻いているのなら……バーニー・サンダース氏が以前、今回は違う、と言っていたのを覚えています──貪欲によって動機づけられたわけではないのに、まるで権力への渇望が爆発したかのようだ、と。私には、これは単なる貪欲さや分断だけでなく、権力への渇望と、ある種の残酷さへの飢えのようにも思えます。そこで疑問が浮かびます。社会がこれほど怒りに満ち、緊張が高まり続ければ、心理的にも、文化的にも、社会的にも、もちろん経済的にも、何らかの爆発や内破が起こる瞬間が必ず来るのではないか、と。これについて、どうお考えですか。
ウルフ:全く同感です。常にそうなるだろう、と考えています。こんなことを言うべきではないかもしれませんが、それは私の頭の中にあります。何が爆発の引き金となるのか、何が限界点を超えるのか、その瞬間には常に不可解な要素が伴うでしょう。何が触媒となり、事態を頂点に導くのか。時にそれは全く無関係な些細な出来事のように思えます。
SI:そのとおりです。第一次世界大戦もそうやって始まりました。
ウルフ:そうですね。取るに足らない出来事がきっかけでした。振り返ってみると、無名のアナーキストか何かに無名の皇太子が暗殺されたからといって、第一次世界大戦を正当化することは不可能です。その引き金となるものが何かについて、アメリカ国内でもさまざまな憶測が飛び交っています。例えば、エプスタイン事件について私たちが知っていることの表面下には、もっと大きな物語が隠されていて、トランプ政権は、その物語の残りの部分を公に知られたくない他の勢力と結託して、多大な努力を払ってきたという見方がかなり広まっています。隠蔽と文書破棄のプロセスが行われています。しかし、十分な数の人々が十分に知っています。……
ウルフ教授は、エプスタイン事件をめぐって大統領の不人気が高まっていること、そしてこのスキャンダルが、以前は熱狂的だった右派の支持者の間に亀裂を生じさせていることに触れた。イスラエルとガザの破壊に対する批判もあるが、国内ではエプスタイン文書が世間の注目を集めている。
ウルフ:こうした問題には、多くの下品な興味が寄せられます。マスコミはこぞってこの問題を取り上げます。どんなに従順な大手メディアでさえ、この問題が世間の注目を集めるため、注目せざるを得ないでしょう。それはそれで一つですが、もう一つあります。トランプ氏が選挙に勝利したのは、選挙運動を通して際立った姿勢を示したことが一因です。彼は、戦争に反対だと何度も繰り返し主張しました。ウクライナ、ガザ、イラン、イラク、ベトナムといった終わりのない戦争に反対だ、と。「私は戦争を止める」と言ったのを覚えていますか。「私は最初の1週間で戦争を止める。電話をかける。必ず、必ず、必ず」と。
彼は一体何をしたのでしょうか。まあ、今のところ、基本的には何も起きていません。イスラエルはガザで以前と同じことを続けています。これは極めて異様な停戦です。ウクライナ戦争は止むことなく続いています。彼はイランを攻撃したため、そこで戦争が続いています。一方、彼はベネズエラを脅迫しています。ここ数日は、ナイジェリアを脅迫し、メキシコも脅迫しました。カナダに対しても常に脅迫を続けています。トランプ氏は戦争を終わらせるどころか、戦争を増殖させています。実際のところ、いつか誰かがここに政治的な好機を見いだすでしょう。私の推測では、共和党員でしょう。昨日、トランプ氏が支持した候補者全員が選挙で敗北しましたので、なおさらその可能性が高まりました。勝利した候補者は皆、彼が支持した人物の対抗馬でした。これは彼を弱体化させます。現在は2期の任期のうちの2期目です。トランプ氏が次の任期を得られるかどうかは全く不透明です。私の推測では、おそらく再選は不可能でしょう。つまり、いわゆるレームダック(弱体化した大統領)なのです。このことは、彼自身の副大統領をはじめとする他の共和党員が、彼を怒らせることなく彼を脇に追いやったり、その座から引きずり降ろしたりしようと試みることに既得権益を持つことになるということを意味します。
