偉大なる母

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 世界は人間が考える以上に、より良い方向に変化しつつある。時折、この惑星全体に漂う不気味な暗雲にもかかわらず、さまざまな出来事の主な傾向は肯定的で希望に満ちている。多様な手段を自在に使えるハイアラキーが突き止めることができることは、人間の目に明らかに映るものよりもずっと大きいので、これはなおさらそうなのである。しかしながら、差し迫った危険にもかかわらず、いまだに人間が無視している重大事がある。その中でももっとも主要なものは環境である。それを人間は日々傷つけていることを知っているに違いない。自然界の略奪は今やすべての者の福利を脅〈おびや〉かすレベルに達しており、かくして人間の生来の免疫力を弱め、かつては永久に克服したと考えられた病気を再び台頭させている。

 人間は自分たちが住むこの惑星に対する責任を自覚せねばならない。人間は、強くはあるがしかし敏感な有機体の世話人なのであり、それを害から守らなければならない。これを行っていると主張できる者は今日ほとんどいない。それどころか、人間は自然界の豊かな寛大さを濫用し、その上を土足で踏み荒らす。多くの者がこの問題に目覚めつつあることは本当だが、それがすべての者の関心事として理解されて、世界的規模で取り組まれるようになるまで、方向を転換させる上での進歩はほとんどないだろう。

 もし人間がこの差し迫った困難を無視すれば、それが人類にとってどれほど危険かを、マイトレーヤが心に留めていることは確かである。マイトレーヤはすべての人間がこの惑星の復興のために働くことを促されるだろう。そしてより簡素な、より幸せな人生への道を指し示されるだろう。

 再びこの惑星が健康を取り戻すとき、それは、気遣いと愛をもって接する者すべてにその恵みを与え続けるだろう。下位王国(動植鉱物界)のエレメンタル(精霊)は彼らの任務を良くわきまえている。人間の無秩序の思考の影響から解放されるとき、これらの勤勉なビルダーたち(建造者)は、調和のうちに、新しい、より良い世界を創造することができる。

 人間が自然界をすべてのものの「偉大なる母」として理解するとき、彼女(自然界)に対して敬愛の念をもって接するだろう。かくして、偉大なる母は人間に彼女の秘密と法則を明かすだろう。この新しい知識を携〈たずさ〉えて、人間は本当に神々として顕現するだろう。

 人間は坩堝〈るつぼ〉であり、その中に新しい「存在(Being)」が創造されつつある。燃えるような体験の熱の中で、人間は徐々に神のなされ方を学んでいる。最初の歩みは遅々とした、苦しいものであるかもしれないが、やがてそのペースは早まるだろう。次々に明かされていく啓示が人間の意識を拡大し、やがて創造性と知識の最高潮につながるだろう。人間は「神の子」として顕れるだろう。

 最初のステップは、現状の危険に目覚めることである。これはすでにかなり進んでおり、多くの者が世界的規模の行動に影響を与えようとしている。その他の非常に多くのことと同様に、その世界的規模の行動は、主要な国々――惑星の汚染に関する最悪の違反者――の心(ハート)の変化を待つ。

 マイトレーヤは来るべき討議に、彼の「声」といにしえからの知恵を添えるだろう。そして声を持たない者たちのために、沈黙のうちに苦しむ者たちのために語るだろう。

(シェア・インターナショナル誌2001年6月号)

今月号の内容概説

 この合併号[日本語版は7月号と8月号に分けて発行]には、六つの「真理の献酒」が見つかるだろう──知恵の覚者によって書かれた記事と、世界の第一人者の一人──ジェフリー・サックス氏──によって書かれた記事「JFKならウクライナの平和をどう追求するのか?」である。現在の危機に関するこの洞察は非常に貴重である。世界の指導者たちが彼の助言を受け止めてくれさえすればよいのだが。また、この合併号に掲載されているのは、一流の経済人類学者──ジェイソン・ヒッケル氏──の声(フィリス・クレーム氏による『より少ないことはより豊かである』の書評を参照)、先住民族の声、出身国での英雄的な蜂起〈ルビ:ほうき〉を描写するイラン人女性、シーダ・コーランギ氏の声、自国での大衆の抗議行動を分析するフランス人、ルーク・ギオリー氏の声、そして自らの生涯と活動を通して新しい世界の建設を呼びかけている同国人、シリル・ディオン氏の声である。
 さらに、ベティ・ストックバウワー氏(「先駆者たち」を参照)は、不朽の知恵の教え──私たちの進化を支援するために覚者方によって提供される、目に見えず認知されることもない援助と鼓舞──を学ぶ者の観点から、歴史を幅広く概観している。ポーリン・ウェルチ氏は信仰と金融を統合し、世界の諸宗教がいかに地球のために実際的な行動を駆り立てているかを描写している。アート・ユリアーンス氏は未来を見つめて「新しい世界宗教」について描写する一方、シェア・ギルモア氏は、太陽系内の他の惑星から来た兄弟姉妹たちとのコンタクト(接触)について報告する『神のUFO』を批評している。彼女の書評およびUAP(未確認航空現象)やUFO(未確認飛行物体)のさらなる報告や写真はすべて、急速に進展する興味深いニュースの流れ──他の惑星上の生命に関する事実の浮上──に完全に合致する。何百万もの人々が、「スペース・ブラザーズ(宇宙の兄弟たち)」による慈悲深い訪問や仕事や存在の目撃者となってきた。何百万もの人々が、宇宙の他のところにいる知的生命の存在を信じている。「体験者」やコンタクティー(接触者)、さらには数え切れないほど多くの目撃者が、目撃報告や時にはコンタクトの報告を携えて前面に出てきている。また、何百万もの人々が、政府が知っていることや60年以上にわたって秘密にしてきたことを「白状する」よう要求している。世界中の政府がこの問題を扱ってきた方法について、多くの人々が批判している。特に、自国民を怖がらせ、他の惑星からの訪問者を中傷しようとする軽率な試みの中で各国政府が広めた誤報や偽情報についての批判が高まっている。各国政府は不合理にも、他の惑星からの訪問者の存在を否定している。
 シェア・インターナショナル誌は、過去への洞察、現在についての理解、未来への希望を──すべてを同時に──提供している。

編集長への手紙

緩やかな着地

 先週(手紙は2023年6月1日着)、パーキンソン病を患っている85歳の父が、自宅の吹き抜け階段から後ろ向きに落ちてしまいました。夫と私には大きな物音が聞こえ、まるで物でいっぱいの重い戸棚が壁から倒れてしまったかのようでした。それに続いて、恐怖の叫び声がしたのです。私たち二人が玄関へ走ると、父が陶製タイルの床の上に、右向きの胎児のような格好で倒れているのが見えました。けれども、夫と私が階段脇に置いたさまざまな物はすべて、ちょうどポストに届いたばかりだった鍵や木材用ニスの缶の入った大きな箱も含めて、置かれた場所にありました。ニスの缶一つが明らかにへこんではいました。つまり、私たちに聞こえた物音は何によるのか想像もつかないのです。父は階段の五段目から落ちていましたが、その高さから落ちたにしては、怪我は比較的少なく、どのように落ちたら、あのように着地できたのかも不可解なのです。結局、父は足を骨折しましたが、タイルで頭を打つことも、気を失うこともなかったので、神聖なる源から助けられたに違いないと私たちは感じました。ショックが徐々に消えていくと、父は私に、倒れた時に「神の存在」が共にあることを感じて、助けられたことが分かると言いました。またその瞬間、時が止まったとも言っていました。

エリッサ・グラーフ
ドイツ、シュタイヤーベルク

【編註:この体験は、覚者あるいはマイトレーヤ御自身によって助けられたとベンジャミン・クレームの師によって確認された、他の出来事を思い起こさせるものである】

安心な運転手

 2022年11月、アムステルダムのある病院で転倒にかかわる診察が終わり、車椅子に乗ったヨス・クイルを病院のボランティアが通用口へと連れていってくれました。配車を頼んでおいたタクシーを待つためでした。
 絶え間なくタクシーが出入りしていました。しばらくすると、私たちの頼んだタクシーは地下の駐車場に待機しているという連絡がボランティアに入りました。それで私たちは地下へ行くために建物の中へ戻りました。そこの中央ホールで、とても背の高いタクシー運転手が立って待っていました。彼は挨拶をして、そっと車椅子を押すのを引き受けて、下の駐車場行きのエレベーターに向かいました。私は彼らから少し遅れていたので、タクシー運転手とヨスがエレベーターを待っていたところに追いついて、ヨスの同伴者だと説明すると、その運転手は「分かっています」と言いました。
 タクシーの中で、私たちは運転手にスピード防止帯(バンプ)を越える時には極力穏やかに運転してもらいたいとお願いしました。かなり高さのある最初の防止帯が駐車場の出口付近にあり、間近に見えていましたが、運転手は即座に反応してくれました。とても慎重に運転してくれたので、防止帯であることを全く感じませんでした。さらに、彼は防止帯のないルートを選んでくれました。タクシーの中で私たちはラジオのニュースを聞いていました。降りる時、そのなめらかな乗り心地についてお礼を伝えました。
 後になってヨスと私はお互いに情報交換をしたのですが、その男性は明らかにタクシー運転手としてはあまりにも並外れていました。その上、非常に背が高く、はっきりとした顔立ちの、鼻の高い人で、つま先がこれ以上ないほど長く尖った黒い靴を履いていました。生まれつき備わった威光があり、静けさのある人物でした。
 夕方になってようやく、この出会いについて電話で話していた時、突然、彼が非常に特別な運転手だったに違いないと感じて、感動してしまったのです。数年前にヨスは事故にあい、奇跡的に一人のタクシー運転手に乗せてもらったのですが、その時にも運転手はどこからともなく、知らないうちに現れていました。依頼を受けていたわけではありませんでした。彼はヨスを家に送り、料金はすでに支払い済みだと言ったのです(シェア・インターナショナル誌2017年5月号参照)。

ヨス・クイル
オランダ、アムステルダム
ミエンケ・ラマン
オランダ、ドリーベルゲン

「苦難の襲うとき、わたしは共にいよう」
(詩編91)

 2023年5月2日の火曜日、一人の女性がアムステルダムのインフォメーションセンターにやって来ました。彼女は真っ直ぐな黒髪の小柄な女性で、加齢のせいで少し腰が曲がっていました。インド出身の人のようでした。とてもフレンドリーで話しやすい人でした。
 彼女の語ったことの多くは、私も自分自身で認識していたことでした。彼女を理解するのが難しかったのは、話し方と言葉遣いのせいでもありました。オランダ語と英語を交互に話していましたが、どちらも彼女の母国語ではありませんでした。ある時点で、彼女がアムステルダムに住んでいるかどうかを尋ねましたが、返事はありませんでした。
 この話題が持ち上がってきた会話の流れはよく覚えていないのですが、あらゆる問題が頭の中を駆け巡ってしまうために、瞑想は彼女にとって大変に難しかったという内容は覚えています。自分の思考に注意を払わないようにと仏陀が言われた、と彼女は言っていました。私たち二人は、瞑想は依然として難しいけれども、やり続けていくしかないことに同意しました。
 彼女は呼吸ヨガを行っており、それは自分を落ち着かせてくれると言いました。彼女がやり方を私に示してくれました。それから突然、数字の91が出てきたのです。聖書を知っているか尋ねられ、詩篇91を意味していることがはっきり分かりました。
 彼女がインフォメーションセンターでの公開伝導瞑想について尋ねてきました。私は彼女に日時と、もし参加したいのなら、最初の時には早めに来て、どのように行うかについて誰かの説明を聞くのが最善だろうということも伝えました。そのことで彼女は疑わしそうな顔つきになったのは、月曜日には必ず見ているテレビ番組があって、見逃したくなかったからでした。私が『そう、分かりますよ』と思ったのは、『遠隔で』瞑想する時に、伝導瞑想が始まる前まで、時折私もテレビ番組を終わりまで見ているからでした。
 それから私たちは分かち合いやマイトレーヤについて話し、私は『全人類のための世界教師』と『人類の目覚め』の本を彼女に見せました。どちらにするか彼女は決められませんでしたが、最後にはうれしそうに二冊とも選びました。彼女は『目覚め』の意味について尋ねました。同義語として『意識的になる(becoming conscious)』ように努めた後、彼女は『用心している(alert)』という言葉を思い付きました。彼女はそのことに満足していました。その後、去っていきました。
 ところで詩篇91は今、私のコンピューター近くの壁にピンで留められています。それは美しく、言葉が慰めになり、とても気分が安らいで励みになるのです。
 明らかに私にぴったり合ったアドバイスとメッセージを与えられたので、彼女は特別な方であると信じています。彼女の訪問に心から感謝しています。

ミエンケ・ラマン
オランダ、ドリーベルゲン

追伸
 その女性が見せてくれた呼吸法を、必要な時いつでも行っていますが、『夢のように』素晴らしく効果があるのです!

2023年6月号目次

 

覚者より
裂開の剣
ベンジャミン・クレーム筆記

今月号の内容概説 「人類がこれほどまでに用意を整えたことはかつてなかった」

キリスト・マイトレーヤからのメッセージ

視点
貧困と飢餓が急増する中、 アムネスティが
世界規模の「普遍的な社会的保護」 を要求する
ジェイク・ジョンソン

S.O.P.われわれの惑星を救え!
2023年に気候訴訟が急増する
シェア・ギルモア

コンクリートと鉄鋼に関する確かな事実
「断絶」 – 華美、 虚飾、 貧困と窮乏
フィリス・クレーム

新しい世界宗教 (1)
アート ユリアーンス

民衆の声
フランスの鍋たたきコンサート

2023年ゴールドマン環境賞:
6人の傑出した地球の擁護者が表彰される

時代の徴
世界中の奇跡 光の祝福と光の模様、サイババからの祝福、他

資本主義に怒るのは当然だ
オックスフォード・ユニオンでのバーニー・サンダース氏の演説

腐敗行為の終止—選集
The end of corruption – a compilation

編集長への手紙
目覚めようとしている! 他

読者質問欄
ベンジャミン・クレーム

裂開の剣

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 多くの人々は、世界にマイトレーヤが臨在されるにもかかわらず、すべてがこれまでより、いっそう険悪で不安定になりつつあると信じる。今日のさらに高まった緊張のために彼らを恐れさせ、対処する用意のない多くの問題や困難を緩和するために、ハイアラキーは何をしているのかと不思議に思う。

 本当のことを言えば、世界は用意されつつあるのである。大いなる緊張と変化の時には、人々は社会の本当の状態について限られた見解──必然的に持つのだが──で問題を見る。

 人類は、これらすべての出来事が将来に対して同じ影響と重要性を持つと思うのだが、本当の見解は、それは覚者たちのみが見ることができ、全く異なるのである。覚者たちは様々な出来事をあたかも平面上(界)で起こっているものとして見、それらを単なる可能性として見るのである。あるものは凝結して〔現実のものとなり=訳注〕世界の変化に影響を及ぼすが、あるものは全く凝結せずに、ただ立ち消えになるということを知っている。人類はその限られたビジョンで、これらの出来事すべてを彼らの将来に関連するものとして見るが、そうではないことは確実である。覚者たちの見解からすると、人類が、これほどまでに、将来がもたらすだろう新しい世界を迎える用意を整えたことはかつてなかった。これほどまでに、共通の福利のためのインスピレーションと用意の整うときに近かったことはかつてなかった。

 キリストが(われわれが想像しないほど早い時期に)戻ると言われたとき、彼は、見せかけの平和という心地良いことばではなく、剣を、「裂開の剣」をもたらしたのである。それは父と子を、兄弟と兄弟を引き裂く剣である。今日われわれが目撃しているのは、まさに「裂開の剣」の働きである。マイトレーヤの愛のエネルギーはすべての者を刺激する

 ──正義と分かち合いを愛し、そのために働く者も、世界に不和と分離を引き起こす者も同様に刺激する。このようにして、「裂開の剣」によって産み出される明確な対比を通して、人々は将来についての本当の選択を──すべての人間、貧しく飢えたる者たち、そしてマネーの男たちや世界の平和の破壊者たち、の未来のための選択を──することができる。われわれ一人ひとりがこの分割のどちらの側に真実を見いだすのかを選択しなければならない。

(シェア・インターナショナル誌2014年10月号)

今月号の内容概説

「人類がこれほどまでに用意を整えたことはかつてなかった」

「前方には多くの困難が横たわる。しかし、われわれの完全勝利よりも確かなものはない」。マイトレーヤは(1976年の暮れか1977年の初めに)このような約束をされた。3ページのメッセージをご覧いただきたい。ベンジャミン・クレームの師は2014年にこう書かれた。「覚者たちの見解からすると、人類が、これほどまでに、将来がもたらすだろう新しい世界を迎える用意を整えたことはかつてなかった。これほどまでに、共通の福利のためのインスピレーションと用意の整うときに近かったことはかつてなかった」
 そうであるから今月号は、「共通の福利」のために、地球を保護し復興させるために働く人々についての、インスピレーションをかき立てる記事で満ちている。ゴールドマン環境賞の受賞者たちはまさしく、地球の一部を確実に保全しようという断固たる決意の模範である。シェア・ギルモア氏は「2023年に気候訴訟が急増する」の中でこう書いている。「市民とコミュニティーは、他の手段が妨害され、そして制限され、もしくはその課題には不適切であることが判明する中で、気候危機に関する正義と説明責任の問題解決のため、裁判所への訴訟を増加させている」
 バーニー・サンダース上院議員は明らかに、現在の政治、経済、社会システムに内在する不正義に憤慨している。サンダース氏は最近、最新刊『資本主義に怒るのは当然だ』に関する講演をオックスフォード・スチューデント・ユニオンで行った。今月号の視点の記事「貧困と飢餓が急増する中、アムネスティが世界規模の『普遍的な社会的保護』を要求する」は、そのような不正義についてさらに深く考察し、「世界中の政府に対し、医療、育児、年金、障害者手当などを必要とするすべての人が利用できるように、普遍的な社会的保護の実施」を求めるという、この人権団体の要請を際立たせている。
 フィリス・クレーム氏は、時代錯誤の華麗さと深刻な貧しさとを対比し、イギリスの現状について重苦しい見方をしている。すべての優れた記事と同様に、多くの疑問が提起されている。
 全体にまたがる重要な疑問は、緊急の変更を実施するのになぜそれほど時間がかかるのか、という疑問である。この疑問に対する答えはある程度、「腐敗」という話題に関する今月号の選集に示されている。また、ベンジャミン・クレームは読者質問欄で自己満足と腐敗を扱っている。
 敏感で理想主義的な人たちにとって、この時代は現在のところ非常に困難であるかもしれない。私たちは毎日、選択に直面しており、生活のあらゆる様相について各人が選択をしなければならない。しかし幸いなことに、ベンジャミン・クレームの師は、厳しいけれども安心感を与えてくれる真相(リアリティ)についてまざまざと知らせてくださっている。「今日われわれが目撃しているのは、まさに『裂開の剣』の働きである。マイトレーヤの愛のエネルギーはすべての者を刺激する──正義と分かち合いを愛し、そのために働く者も、世界に不和と分離を引き起こす者も同様に刺激する。このようにして、『裂開の剣』によって産み出される明確な対比を通して、人々は将来についての本当の選択を──すべての人間、貧しく飢えたる者たち、そしてマネーの男たちや世界の平和の破壊者たち、の未来のための選択を──することができる。われわれ一人ひとりがこの分割のどちらの側に真実を見いだすのかを選択しなければならない」

キリスト・マイトレーヤからのメッセージ

 下にある最初の文章は、マイトレーヤからの日付のない短いメッセージである。このメッセージは、ロンドンへの旅路の出発点となったパキスタンの平原にマイトレーヤが降りられる前に伝えられた。マイトレーヤは飛行機でロンドンへ向かい、このようにして「雲に乗って来る」という聖書の預言を成就された。このメッセージに続いて掲載されているのは、マイトレーヤの短い勧告を是認する、ベンジャミン・クレームの師である覚者からのメッセージと祝福である。

(1976年の暮れか1977年の初め)

 前方には多くの困難が横たわる。しかし、われわれの完全勝利よりも確かなものはない。霊(スピリット)の旗を、あなたの目に輝く霊の光を、高く掲げなさい。そのようにして、心を尽くし魂を尽くして兄弟たちに奉仕する用意を整えなさい。
 わたしはすぐに、本当にすぐに、あなたがたの中に入るであろう。

ベンジャミン・クレームの師である覚者からのメッセージ

このメッセージを聞くすべての者がこれを信じることを期待している、それは純然たる事実であるから、と覚者は言われる。

 われわれの師、キリスト、主マイトレーヤ、平和の王子は今、降りつつあり、まもなくあなたがたの中に入られる。まさしく、まさしく、まさしく、そうなのである。然り、我が友よ、彼の言に耳を傾けなさい。今や、遠い先のことではない。

覚者はそれから祝福を与えられた。
 愛の精神があなたがたの上に流れ降るように。この聖なる愛があなたがたの心(ハートとマインド)に入り、あなたの存在の最奥部に達し、あなたを光へと引き上げるように。その光の中で神を見ることができるように。
 おやすみなさい、我が親愛なる友よ。

マイトレーヤからのメッセージ

(1977年1月19日)

我が親愛なる友よ、

 わたしはまもなく、完全なる事実としてあなたがたと共に在り、わたしが約束した祝福をあなたがたにもたらすだろう。この祝福はあなたがたを神の御膝へと導き、すべての自由なる神の子たちに知られている喜びをあなたがたにもたらすだろう。あなたがたにとって、まもなくそうなるように、我が親愛なる者たちよ。

 わたしは、ご存じのとおり、わたしの民に王の御前に立つ用意をさせるために世界に戻ろうとしている。その御方の輝きは言語に絶し、想像を超えている。わたしはあなたがたをその御方の恵み深き足下へと導き、我々は一緒にひざまずいて敬愛を捧げることになるであろう。

 その日が来るまで、世界においてなすべきことは多い。わたしと、わたしと共に降りる弟たちは、任務のために準備を整えている──われわれの前にある長期にわたる任務であり、人類を神の御腕へと連れていくという、喜びに縁取られた任務である。

 わたしの到来はこの時期にはあり得ない、とあなたがたは考えるかもしれない。しかし、わたしは決断を下したのである。

 わたしはまもなく、あなたがたと共に在るであろう。あなたがたはわたしを見て、わたしを認知しない者たちに教えるであろう。それはあなたがたの祝福された仕事となるであろう。あなたがたが喜びをもってその仕事をなすことをわたしは知っている。

 わたしは今、短い間だけ、わたしの高所へと戻らなければならない。よく見、わたしの足音を聞こうと耳を澄まし、わたしの降臨が近いことを知りなさい。

 おやすみなさい、我が親愛なる者たちよ。いつものように、わたしの祝福をあなたがたに授ける。

腐敗行為の終止――選集

The end of corruption── a compilation

腐敗というテーマに関する引用文の選集を掲載する。引用文は、マイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第1巻、第2巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。

腐敗行為の終止

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記
2005年4月

 ますます諸国家は、昔から続いてきた問題、すなわち腐敗行為を認知し始め、それを深刻に受け止めて対処し始めている。世界のある地域では、腐敗行為は何世紀ものあいだ生活様式になってきた。それはもちろん、多数の人々の犠牲の上に少数の者たちを利してきた。数え切れない長い間、腐り切った指導者や強力な政治家が、臣民や市民に賦課した税金の上に富を増やしてきた。現代では、西洋の大企業が大規模に“勘定をごまかしてきた”ことが発覚している一方、東側においては、すべての取引きが、誰かの手に“賄賂をつかませる”ことを必要とする習慣が当たり前になっている。
 腐敗行為は特定の民族や国家に特有であり、ある社会では、大統領や総理大臣から警察やスポーツに至るまで浸透している。最近の選挙が示したように、自由と民主主義を奉じているはずの国々においてさえも、選挙の腐敗は蔓延する。そのような腐敗した政府は失敗し、その国民を裏切り、そうすることで統治する権利を放棄するのである。
 そのような腐敗の直中で、信頼を生み出すことは可能だろうか。信頼なしには人間の未来はまさに荒涼たるものである。信頼なしには、より公正な資源の分かち合いはむなしい望みであろう。信頼なしには、われわれの惑星という家を維持するために必要とされる包括的な意思決定は決してできないだろう。神聖で有益な信頼なしには、人間は地球という惑星の管理人としての権利を喪失するだろう。
 そのようになるであろう。かくして人間は、即刻、社会のすべての層に、地球上の生活の隅から隅まですべてに染み込んでいる腐敗の腐食的影響に真剣に取り組むべきである。
 人間がこれをなすのを助けるために、マイトレーヤは様々な形で現れる腐敗行為の腐食的影響を人間に示そうと骨を折られるだろう。もし人間が本来の特質なる神になるためには、欺瞞とごまかしの古いやり方を放棄しなければならない。深刻な環境問題に取り組むために、人間は信頼のうちに共に働かねばならないことを、彼は説明されるだろう。信頼なしには、できることはほとんどないことをマイトレーヤは強調されるだろう。諸国家の指導者たちは彼ら自身があまりにも腐敗の中につかっているので、彼らは誰も信頼しない。
 人間が必要な信頼を生み出すためには選択は一つしかないことをマイトレーヤは示されるだろう。この豊かな地球の産物を世界中により公平に分かち合うことであり、そして豊かさの中で死んでいる何千万の人々の飢餓と貧困を永久に終わらせることである。                                     
 指導者たちはマイトレーヤのことばに耳を傾けるだろうか。多くの場合、おそらく最初は否であろう。しかし間もなく至るところにいる民衆が耳を傾け、マイトレーヤの助言の賢明さを知るだろう。彼らはマイトレーヤの賢明なことばに全面的に同意し、彼の大義を支持するだろう。世界の世論は自分たちの声と良き指導者を見いだすだろう。その力に対して、貪欲な独裁者や腐敗した政治家の妨害しようとする声は次第に消えていくだろう。そのようになるだろう、そしてこの世界の浄化と変容が始まるだろう。

政治と経済

 世界中で、特に若い人々の間に、変化を求める強い願望が表現されつつある。若い人々は新しい種類の世界を、彼らを、そして彼らの抱負を包含する新しい構造を欲する。これらの抱負は正義と分かち合いへの、そして意味ある仕事と適度に満ち足りた平和な世界で家族を養育する機会を求めるものである。あまりにも長い間、彼らは貧困と無名の中で衰え、彼らの人生の努力の中での発言権を拒否されてきた。
 今後は、世界の諸政府はこれまで無言の大衆であった人々のこれらの抱負を真剣に考慮しなければならないだろう。そして、それに応じて、政府の計画を変えなければならないだろう。……
 古い仕組みは崩壊しつつあり、いかなる政府もこの過程を止めることはできない。宝瓶宮(アクエリアス)の新しいエネルギーはますます強くなり、古い腐敗した退廃的な秩序をばらばらに壊している。若い人々、および心(ハート)の若い人々が、正義を求める新しい熱望の出現を最初に銘記するだろう。

(『覚者は語る 第2巻』──若い人々の抱負──より)

……私たちは真なる人間になり、分かち合い、そして例外なくすべての人間が可能性を、言葉の最も深遠な意味での霊的可能性を引き出す権利を持てる条件をつくり、物質界、アストラル界、メンタル界、霊的界層において彼らの人生をより良くする準備ができているか。人間が転生してきたまず最初の目的を顕現し、実際に生きることです。私たちがこれを行うのを妨げているのは、主に堕落した政治、経済、社会の構造のせいです。それには心(ハート)の変化が必要です──そしてそれは今起こっていると思います。さもなければ、マイトレーヤはここにおられないでしょう。……

(『マイトレーヤの使命 第3巻』)

腐敗や混乱は政治家によってつくられたものであり、覚者方は、それらすべてを終わらせて、政治家は国民の下僕であり、主人ではないことを認識させるためにやって来た。

(『いのちの法則』)

国民との接触

 政治家は国民に対して法律を制定するだけで何もしないままでいることはできない。より良い統治とは、現実の人間との本当の接触を含まなければならない。国民の必要に注意が払われなければならない。そのときにのみ、彼らは自己尊重という意味で教育され、それが自己認識につながる。個人の価値は保護されなければならない。現在のところ、リーダーと国民との間のコミュニケーションのメカニズムは非常に少ない。しかしながら、現場での接触は必要である。もし政治家が本当の必要に対処するならば、腐敗は減少し、牢獄の人口も減るだろう。

(『いのちの法則』)

 マイトレーヤは誰にも分かち合うことを強いることはありませんが、彼は、正義をつくる合理的な経済制度を生み出す唯一の方法として分かち合いの必要性を語るでしょう。現在の経済制度を挫折させているのは、その不正義です。それは終わろうとしています。なぜなら、それを生み出した時代が終わったからです。それは少数の人々にとっては良く、多くの人々にとっては非常に害となる、腐敗し、衰退し、結晶化した形態です。もちろん、それが良いと思われる少数の人々にとっても害になっています。それは世界を毒し、分割し、脅威となっています。そのため、それは消えなければならないのです。

(『多様性の中の和合』)

 世界中で今日初めて、個々の人間が、自分たちの国がいかに統治されるか、自分たちの運命がいかに形づけられるかに関して、発言権を得ることを要求しはじめている。古い習慣に疑問が出され、昔ながらの汚職腐敗に対してますます非寛容になっているのがあらゆる側に見られる。
 当然ながら、大衆のこの健全な反応は、いかなる国家においても権力の中心には好まれない。それは彼らの特権と威信の独占を脅かすものであるから。しかしながら、過去の不正義を後にして、新しい世界が創り出されており、何者も変化の高潮に長い間抵抗することはできない。

(『覚者は語る 第1巻』──正義の時代──より)

 経済についての話を嫌う多くのいわゆる霊的グループがあります。彼らにとって政治とは汚い言葉です。なぜなら、多くの政治家が堕落しているからです。人類は実際、大きな霊的危機を通過しつつありますが、その危機は政治と経済の分野に集中されており、これらの分野でのみ解決することができます。もしそれを解決できなければ、私たちはこの惑星上のすべての生命を破壊するでしょう。世界の資源を分かち合うことは霊的な決断であり、一つの国家に民主主義を創造することは道徳的、霊的な決断です。私たちは道徳を宗教的信仰から分離し、それが本来属するところ──霊性そのもの──に据えることが必要です。

(『マイトレーヤの使命 第3巻』)

司法制度

 政治の腐敗やスキャンダルを覆い、真理を隠すメディアの時代は、もう日数が限られている。これからは、メディアはオープンになり、政治や司法制度の腐敗や混乱を写し出していくだろう。司法は憲法から独立することはできない。それは憲法の一部であり、適切にそれに応えていかなければならない。
 「もし自分が幸せになりたければ、あなたの隣人が幸せであるようにしなさい。あなたが金持ちで隣人が貧乏ならば、隣人と分かち合いなさい」

(『いのちの法則』)

 あらゆる制度が何らかの程度腐敗しているように、今日の法制度は腐敗しており、それは必然的に変化するでしょう。その結果、より大きな均衡が生まれるでしょう。今日、非常な金持ちのために一つの法律があり、それとは別に非常に貧困な人々のためにまた別の法律があります。毎日の新聞やテレビの報道を見ればそれは明らかです。ですから、この仕組みを変えるために何かがなされなければなりません。すべての国に、それをどのような名前で呼ぼうが、カースト制度が組み込まれており、影響力と権力と金を持つ人々と、これらのものを何も持たない人々に対して、法律は不平等に行使されています。マイトレーヤと覚者方の影響力はフェア・プレーと正義の感覚をもたらすでしょう。経済と政治のレベルで正義が行われるようになれば、それは必然的に社会のあらゆる分野に浸透し、法制度もその中に含まれるでしょう。

(『大いなる接近』)

 このような自己満足的な思考風潮の中に浸かると、彼らは本質的に真の己から切り離されてしまい、単調な日課、つまり明けても暮れても決まりきった同じことをする生活の中に落ち込んでしまう。人生は動きである。しかし自己満足に陥った人々は、実際、止まった状態にいる。であるから、マインドは新しい体験を求め、それはしばしば腐敗や倒錯のさまざまな形態につながる。それによって社会全体が破壊され得る。

(『いのちの法則』)

 長い間、腐敗と誤った統治の泥沼にはまりこんでいた国々が、いま世界中に浸透している新しいエネルギーの浄化の火をくぐり抜けている。その数はますます増えている。この変換と再生の過程を逃れることができるものは何もない。すべての領域にほとばしり入る「いのち」の火に抵抗できるものは何もない。
 変化への準備として内的な緊張の集積がなければならない。古いエネルギーと勢力(フォース)が新しいエネルギーに道を譲るにつれて、そのような緊張がこの惑星全体に生じている。最近の出来事は、民衆の真の必要が過去の圧政者や腐敗に対して優勢を得ていく世界的な過程への序曲にすぎない。爆弾車や恐怖は支配しないだろう。人々は自由と正義の香りをかいだ。彼らの意志を挫くことは誰にもできない。

(『覚者は語る 第1巻』──新しいいのち──より)

宗教

 この地上における悪の勢力の最大の勝利は、世界中の教会や宗教団体が霊性の概念を独占するのをわれわれが許してきたことである、とジュワル・クール覚者は書いております──つまり、宗教なるものは何であれ、霊的、精神的であり、その他はすべて霊性とは関係なく、いくら腐敗していてもかまわない。ですから、腐敗した政治や経済機構が、腐敗した社会機構、そして腐敗した宗教制度が存在するのです。寺院や教会は、他に比べればそうでもないかもしれませんが、しかし腐敗しています。私たちは霊性についての概念を拡大しなければなりません。そして霊的基礎にたつ政治、経済機構をつくらなければなりません。つまりそれは分かち合いと公正です。これらが霊的な様相です。マイトレーヤは言われます。「分かち合いは聖なることである。……あなたが分かち合うとき、あなたは兄弟の裡に神を認知する」

(『マイトレーヤの使命  第2巻』)

新しい文明

 新しい文明は過去の土台の上に築かれるのだが、当然のことながら、古きものの多くが現状のままでは腐敗して役に立たず、一掃されなければならない。見る目を持つ者にとっては、新しい徴候はすでに明らかである。今日どこへ目を向けても、新しい風景が姿を現しており、新しいアイディアが心を引き付け、新しい機構が仮の形を取りはじめている。流動する世界は変容しており、変化に伴う成長の苦しみをすべての者が感じている。

(『覚者は語る 第1巻』──優先順位の立て直し──より)

 今日、世界中どこを見回しても、変化が起こっている。上部から下部まで、古き腐った秩序の綾はほころびている。これを見て大いに満足している。

(『いのちの水を運ぶ者』第130信より)

編集長への手紙

シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されている。

マイトレーヤと覚者方が、社会正義に関係する政治的な問題や事柄にいかに密接に関与し焦点を当てているかを明らかにするために、われわれのアーカイブからささやかな手紙の選集を掲載する。

目覚めようとしている!

編集長殿

 先週土曜の2003年2月15日に、私たちはロンドンのハイドパークでの反戦集会に出かけました。ジェシー・ジャクソン師が演説を始めましたが、最初はジャクソン師の演説はそれほど心を引くものではありませんでした。しかしその後、突然、その演説が別のエネルギーと語調を帯びたように思えました。この時、演説者に目をくぎ付けにしている一人の黒人が私たちの隣に立っているのに気付きました。
 その後、若い歌手のミス・ダイナマイトさんが「愛」と「平和」について語り始めました。「それに、正義だ!」と、私たちの隣にいた男性が腕を振り上げて言いました。その男性は「そのとおりだ、お嬢さん、いいこと言うね」など、言われていることすべてについてコメントを差しはさみました。
 この男性の物腰には、マイトレーヤか覚者ではないかと思わせるような何かがありました。男性はとても陽気で、葉巻をくわえ(しかし吸うことはありませんでした)、小さなウイスキーのボトルを持っていました(アルコールの臭いは全くしませんでした)。私たちはカメラを持った取材班がいるのに気付き、その男性にインタビューしてはどうかと提案しました。
 彼はマイトレーヤか覚者の一人でしたか。

ダニー・パラシェチャク、デービッド・ジョンストン
ロンドン

【ベンジャミン・クレームの師は、その男性がマイトレーヤであったことを確認した。ビデオには、インタビューの終わりに彼と一緒に歩いて帰る若い黒人男性も写っており、二人が元気いっぱいこぶしをぶつけ合っている様子も撮られていた。ベンジャミン・クレームの師は、この二番目の男性は覚者の一人の弟子であることを確認した】

 ロンドン反戦デモ行進での演説が終わって群衆が三々五々帰ろうとしていたとき、取材班は、ダニー・パラシェチャクとデービッド・ジョンストンが描写した「陽気な」アフリカ系カリブ人男性を含めて、現場にいた人々にインタビューを行った。その2分半のインタビューの内容を以下に掲載する。

アフリカ系カリブ人:「目覚めようとしている! 目覚めようとしている! 世界は人類のものだよ、兄弟」
インタビュアー:「まさにそのとおりだね、おじさん」
アフリカ系カリブ人:「そう、辺りを見ればそのとおりさ! 嬉しいねー! 私が参加するようになって長いからね──よくCND(核武装反対運動)などに参加していたのさ。でも、こんなのが見られるなんて素晴らしい限りだよ。その上にだ、この状況全体を目覚めさせたのはわれわれのような年を取った世代だが、それが目覚めようとしているのさ! 特に息子や孫のような若い世代が後に続いてくるのが見られて嬉しいね。今日は兄弟姉妹たちが真理を語り、嘘を、嘘を、暴き出すのを聞くことができて誇りに思うよ。これは素晴らしいことだ。若い世代全体が、黒人も白人もみんなこの場所に集まってきている。こういうのを見るのが大好きなのさ。100万ポンドに代えても見逃したくないね。それに、ここにいる私の幼い兄弟たちみんな、私の幼い兄弟姉妹たちみんなが、遠いところからはるばるやってきているのだよ! 嬉しいよ、本当に嬉しいよ! われわれは目覚めようとしているのさ! われわれは眠っているとでも連中は思っていたのか!」
インタビュアー:「ちょうど眠たい目をこすっているところかなぁ……」
アフリカ系カリブ人:「そう、そう! (笑いながら)兄弟よ、目覚めないか! 信じていろよ。褒美から目を離さないようにしろよ。その褒美は人類そのものさ! 人類はわれわれみんなのものだからね。バートランド・ラッセルが言うように『君たちの人間性を心にとどめ、そしてその他のことを忘れよ』だよ。そうしなければ、前にあるのは暗闇だけだ。でも、新しい世代の君たちは、新しい秩序の夜明けを見たのさ。その秩序は人類のものだ──ジョージ・ブッシュのものでもなく、トニー・ブレアのものでもない。こうしたいわゆる『神々』の一人のもので・ヘないのだ──こうした『新しい神々』のことは知っているよね──今やそれは君たちすべてのものだよ! 私は70歳を越えているがね、その私が言うのだよ、信念を持ち続けろよ、兄弟!」

(インタビュアー:M.R.マッキューン、
カメラ: アンバー・マクルーア)
(シェア・インターナショナル誌2003年4月号)

士気の向上

 私は2003年3月22日にロンドンのハイドパークでの反戦集会に気が進まないながらも出かけ、戦争が始まってしまった今ではあまり意味もないと思っていましたが、それでも私たちが参加してともに異議を唱えるべきだという、ベンジャミン・クレーム氏の師である覚者とマイトレーヤの勧めを心に留めていました。陽気な人々と交流し、友人たちやマイトレーヤとその教えに興味を示してくれる多くの人々に出会って嬉しかったのです。
 翌日、ノッティングヒルにある地元の食料品店にいた時、シルクハットに黒い眼鏡をかけたエキセントリックな黒人の男性が店に入ってきました。彼は戦争について話し始めたのですが、2月15日にハイドパークに(ファミリアとして)現れたマイトレーヤにそっくりな声で、トリニダード訛りがありました(本誌2003年4月号参照)。頭に包帯を巻いて泣いている子供の写真を指差しながら、彼は大きな声で「彼らは子供たちを殺している」「これは帝国主義だ」と断言し、彼の声はハイドパークの時のように響き渡りました(その時には非常に多くの子供たちの死亡や怪我のぞっとするようなニュースの完全な詳細は新聞には出ていなかったのです)。その間中、彼は私をまっすぐに見つめていました。私は彼の言葉よりむしろ彼の声の響きを聞きながら、ハイドパークの時の彼と外見は似ていませんでしたが、もしかしてマイトレーヤだろうかと考えていました。白状しますが、彼の熱烈さに少なからずへき易して、彼に応えようかどうかためらっていました。彼は突如出て行きました。私は新聞の代金を払って彼の後から急いで店を出ましたが、彼は消えていました。
 私が思ったのは、彼はマイトレーヤに違いなく、デモについての私の疑問に答えるために来られたのだということでした。

イディーナ・ル・ゲイ
英国、ロンドン

【ベンジャミン・クレームの師は、その『トリニダード人』がマイトレーヤであったことを確認した】

(シェア・インターナショナル誌2003年5月号)

読者質問欄

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。そのいずれもこれまでシェア・インターナショナル誌に未掲載のものです。

質疑応答──米国テキサス州ダラスにおけるベンジャミン・クレーム講演会より(日付不明)

Q 今日の米国における主要な霊的問題は何ですか。

A 米国だけでなく、世界中の主要な霊的問題は、マイトレーヤが「悪の根源」と呼んでいるものです。お金のことだと思うかもしれません。関連はありますが、お金ではありません。それは自己満足です。マイトレーヤは、自己満足は大きな罪であると述べています。あなたがたや私の住んでいるような裕福な国が、何百万もの人々が餓死し、何百万もの人々が劣悪な環境で暮らし、病気などに侵されているのを見て次のように言えるのは、その自己満足のせいです。「そのことについて私たちにできることはあまりない。彼らはいまだローンの利息を支払わなければならない」
 自己満足は次のような態度を生み出します。「そこで何が起こっていても重要なことではない。黒人やアジア人やヒスパニックは私たちのようではない。彼らにはこれ以上良い人生を送る資格はない。市場の力がすべてを解決してくれるだろう」
 これは、市場原理が経済の基本的な基盤であるという、私たち自身の貪欲さ、利己主義の最も異常な合理化です。そうではありません。私たち全員が同じ時点から始めればそうなるでしょうが、そうではありません。巨大な国もあれば小規模な国もあり、莫大な資源を持っている国もあれば、ほとんど資源を持っていない国もあるときに、どのようにして市場原理が合理的であり、ある意味現実的であり、公正であることができるのでしょうか。市場原理はどのようにして本当の意味で公正に作用することができるのでしょうか。それは全く不当であり、自己満足だけがそれを許すのです。
 今日人類を悩ませているのは、大きな霊的問題です。それは政治と経済の分野に焦点を当てており、政治と経済の分野でのみ解決できます。私たちは2,000年もの間、宗教こそがすべてであると宗教団体から教えられてきました。神を知りたければ、宗教に参加し、宗教的な人間にならなければならない。キリスト、仏陀、クリシュナ、ムハンマド、あるいは誰かを信じなければならない。ただ信じるだけで何とか救われると信じなければならない、と。それはナンセンスです。救われない限りは、救われません。信じるだけでは救われ得ません。

Q 自己満足と腐敗の間には関連性がありますか。

A この国の主な問題は自己満足です──自己満足とは汚職であり、汚職そのものです。この国を上層部から下層部まで悩ませている経済腐敗と、その結果としての犯罪と麻薬がこの国を崩壊させています。これらに対して何ができるでしょうか。あなたは立ち上がって、私が話しているように話すことができます。現実について話すのです。選挙の時期になると、あなたの代表者が特定の質問に答えます。そうした代表者が、特に発展途上国の搾取されている大衆に対する懸念を示し、現状に満足してはいないと堂々と述べるのであれば、あなたはその人に投票すると言うことができるでしょう。

Q 宗教は自己満足を制限する役割を果たすことができますか。

A 現在[2008年以前]、地球上で最も宗教的なこの国では、約3,300万人が公的な貧困レベル以下で暮らしています[2021年の公式の貧困率は11.6%であり、3,790万人が貧困に陥っている──census.govより]。彼らは路上で生活しています。そうした人々はロンドンにもいます。これらG7の豊かな国々には、家を持たずに暮らす人々がいます。避けられない株式市場の崩壊の後、どの政府も新たな現実に直面しなければならないでしょう。その現実とは、人類のニーズ(必要とするもの)になるでしょう。誰もが食べる必要があります。それはあらゆる生き物の基本的なニーズです。食べ物がなければ生きていくことはできません。何百万もの人々が食糧不足で命を落としており、食糧は先進国の倉庫で腐りつつあります。それは腐敗です。あなたの代表者に発展途上国について何をするつもりなのか尋ねてください。税金を下げるつもりはないのか、増税を支持しているのか、それとも減税を支持しているのか、私はもっと金持ちになるのか、それともそうではないのか。もし私がもっと豊かになるのなら、あなたが何をするにしても、私はあなたに投票します。それは自己満足です。貪欲です。最も極端な形での利己主義であり、社会を腐敗させています。それが、この国が世界で最も犯罪率が高い理由、この国が世界で最大の麻薬問題を抱えている理由です。この国の人口の信じられないほどの割合が薬物[処方薬の服用または違法薬物の使用]に関わっています。

Q この状況はもっと長く続く可能性があると思いますか。

A 崩壊せずにこの状態をどれくらい維持できるでしょうか。分かりません。あなた方次第です。しかし、それについて何かをしなければなりません。あなた自身の生活状態を変えなければなりませんし、もちろん私たち全員がそうしなければなりません。私はただあなたと話しているだけではありません。先進国は成長して現実を受け入れる必要があります。来るべき経済崩壊により、そうせざるを得なくなるでしょう。そのとき、すべての根底にあるのは私たちの相互依存性であることに気づくでしょう。最も大きな国や最も裕福な国でさえ、単独でやっていくことはできません。世界は一つであり、今起こっているこの経済変革は、私たちが一つであり、それぞれがお互いを必要としているということを証明するでしょう。そうすれば政府の優先順位も変わるでしょう。

Q 政府は何を優先すべきですか。

A 最優先事項は、すべての人々に十分な食糧を提供することです。 第二に、すべての人々に適切な住宅や避難所を提供すること。第三に、世界人権宣言が明らかにしているように、すべての人々に適切な医療と教育を提供することです。これらはそれほど革新的とは思えません。十分な食糧、十分な住居、十分な医療と教育など、これほど単純なことはありません。それほど多くを要求しているわけではありません。しかし、これらすべてが普遍的な権利となっている国は世界中にありません。ただの一つの国も、世界で最も裕福な国でさえも、ありません。それを受け入れるとき、人類の生活は変容するでしょう。

シェア・インターナショナル誌は、新しい時代の思考の二つの主な方向――政治的と霊的――を統合する。