2023年5月号目次

 

覚者より
人類の選択
ベンジャミン・クレーム筆記

今月号の内容概説

奉仕の歓びという贈り物
キリスト・マイトレーヤからのメッセージ

視点
米国の新しい外交政策の必要性
ジェフリー・D・サックス

人類の商品化はピークに達しているのだろうか?
トム・ハートマン

慈善だけではこの危機を解決できない
BBC「ハード・トーク」 でのインタビューを振り返る
ポーリン・ウェルチ

時代の徴
コネチカット州のカトリック教会の奇跡、 他
国連が地球規模の水と気候の問題に関して先導する
シェア・ギルモア

仏陀
アート・ユリアーンス

仏陀によって予言されたマイトレーヤの到来
「日は近い。 マイトレーヤの像は立ち上がる準備ができている」

シェル石油は、 ずっと前から地球規模の気候への悪影響を知っていた
ジェシカ・コーベット

マイトレーヤの出現におけるメディアの役割―選集
The role of the media in Maitreya’s emergence – a compilation
メディアへの呼びかけ 覚者より/ベンジャミン・クレーム筆記、 2008年1月12日

寛容さに溢れる世界をつくる

編集長への手紙
アーカイブからの二つの記事: 1982年の読者の視点、 他

質疑応答
ベンジャミン・クレーム

人類の選択

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 意識しようがしまいが、人類が向上する道は無数にある。わたしたちの観点からみれば、これらの前進への歩みは明らかに見られる。現在の混乱と危機にもかかわらず、多くのところで人間の生活の最悪の状況は速やかに緩和されつつある。非常に深刻な欠乏が存在し放置されている地域が存在することも確かである──何千万の人々がいまだに飢え、そして原因も必然性もなく死んでいる。世界の半分が正義を求めて叫ぶかたわら、他の半分は無関心と無知という陽だまりの中でひなたぼっこをしている。にもかかわらず、本当の広範囲な変化は起こっており、将来への良い前兆である。これが、人類のマイトレーヤに対する反応は熱心で速やかなものだろうという希望をわたしたちに与えてくれる。

 マイトレーヤは、世界の前に公に現れるとき、世界の再生のためのプログラムの輪郭を示すだろう。人類が多くの問題に対処する現在の方法は競争と自己利益に依存しており、非常に欠陥があることを示すだろう。現在の緊張と危険は、無関心と貪欲によってつくり出される不均衡の直接の結果であることを、協力によってのみ世界の問題は解決され、貧困で飢えている人々に食糧が与えられ、惑星の健康が確保され、戦争が忘れられた過去の悪夢となることを、示すだろう。

 人々は耳を傾け、討議し、自らの態度を決めるだろう──同胞愛と分かち合いを受け入れてそれに基づいた新しいより良い生活様式を創造するか、あるいはさらに深く退廃と暴力に落ち込み、そして最終的に自己破壊へと突っ込むか。
 人類は選択をしなければならない。至るところに住む男女は、これがその新しさと壮大さにおいて想像できないほどの人生への選択か、あるいは人類自身の手による屈辱的な死への選択か、そのどちらかの選択をしなければならないことを理解すべきである。破れて、底知れない奈落へと這っていくよりも、大胆に未来に立ち向かい、共に新しい世界を築くほうがより良い。

 では読者の皆さんはどのような選択をするだろうか。あなたの人生(のサイコロ)をどのように投げるだろうか。マイトレーヤと共に立ち、正義と自由への彼の呼びかけに応えるだろうか。分かち合いと愛によってつくり直された世界を選ぶだろうか。あなたの神性を知り、そしてあなたの同胞の神性を知るようになるだろうか。星々につながるあなたの道はあなたの前にある現実だろうか。

 この決断、すなわちあなたの魂の選択は、あなたを歓びで満たすだろうか。そして「愛そのものの本源」へあなたを連れていくだろうか。
 マイトレーヤは、すでに彼が頼りにすることのできる者を知っておられる。マイトレーヤは、人類の心(ハート)は健全で強く、それを頼りにすることができることを知っておられる。彼の軍勢は「共通の善」のために善戦を戦う用意が整っている。至るところにいる善意の男女はマイトレーヤの臨在を感知しており、世界の必要に反応しつつある。
 マイトレーヤは、今日の男女が普遍的善のために彼らの票を投じ選択をするという運命的な機会を見逃しはしないかということに懸念を抱いていない。彼らは、恐れることなく、未来へ向かう準備ができており、奉仕することを願望している。

(シェア・インターナショナル誌2002年4月号)

今月号の内容概説

 不朽の知恵の教えを提示する機会が、シェア・インターナショナル誌5月号により再び提供されている。ベンジャミン・クレームの師によって書かれた記事「人類の選択」が掲載されている。また、新たな仏陀、マイトレーヤの到来を予言したゴータマ仏陀の次のような言葉が紹介されている。「聖なる者、至高の啓発されし者、行動における知恵を備え、宇宙を包含し……」。さらに、1976年に伝えられたマイトレーヤからの未発表のメッセージも掲載されている。これら三つのものは、読む者たちの心をとろけさせ、「共通の善」のために行動するよう燃え立たせるかもしれない。共通の善は、今月号の他のいくつかの記事で繰り返し登場するテーマである。世界は、解決策が必要とされる諸問題に立ち向かっている──これは本質的に、同じくらい霊的な努力であり、ジェフリー・サックス氏のような人々が引き受けている任務である。サックス氏の記事「米国の新しい外交政策の必要性」は、他国を犠牲にして自国を「偉大」にするよりも、多極的な世界を創ることを呼びかけている。トム・ハートマン氏は「人類の商品化はピークに達しているのだろうか?」と問いかけ、コモンズ(共有財)──「私たち民衆」──に向けた移行の重要性を強調している。これは、すべての人が入手すべき物品やサービスの商品化・商業化に対抗するものである。

 水と食糧以上の基本的な必要、共通の善はあるだろうか。シェア・ギルモア氏は「国連が世界の水と気候に関して主導する」ことについて報告し、ポーリン・ウェルチ氏は国連世界食糧計画(WFP)を退任する予定のデイビッド・ビーズリー事務局長へのインタビューの抜粋を提示している。これは間近に迫った飢餓と飢饉について警告するものである。巨大石油会社に関する暴露は、そうした会社の貪欲と、地球の健康に対する「認識ある過失」を引き続き明らかにしている。「シェル石油は、ずっと前から地球規模の気候への影響を知っていた」を参照していただきたい。

 一年におけるこの重要な時期を際立たせるために、仏陀に関する文献や、第五仏陀としてのマイトレーヤについての仏陀の描写に焦点を当てることにした。ジュワル・クール覚者はウエサクに注目するよう促している。この古の聖なる時期における奉仕の重要性を非常に力強く指摘している。「5月の満月つまりウエサク祭のときにハイアラキーのためにどれだけ大きな犠牲を払っても大きすぎるということはない。そのときに特に可能になる霊的なイルミネーションを得るためにどれだけ高い代価を払っても高すぎるということはない」(アリス・ベイリー『新時代の弟子道シリーズ5』)

 今月号を貫いているのは共通の善というテーマと、選択をすることの重要性というテーマである。私たちは決断の時期におり、新しい摂理へと今にも踏み出そうとしている。ベンジャミン・クレームの師が表現しているように、新しい摂理は「その新しさと壮大さにおいて想像できない」ものである。覚者はまた、選択をするよう読者に求めている。「では読者の皆さんはどのような選択をするだろうか。あなたの人生(のサイコロ)をどのように投げるだろうか。マイトレーヤと共に立ち、正義と自由への彼の呼びかけに応えるだろうか。分かち合いと愛によってつくり直された世界を選ぶだろうか。あなたの神性を知り、そしてあなたの同胞の神性を知るようになるだろうか。星々につながるあなたの道はあなたの前にある現実だろうか。この決断、すなわちあなたの魂の選択は、あなたを歓びで満たすだろうか。そして『愛そのものの本源』へあなたを連れていくだろうか」

奉仕の歓びという贈り物

 師である覚者と世界教師マイトレーヤから受け取った情報を一般大衆に提示するよう求められる数年前、ベンジャミン・クレームは師の監督の下、厳しい訓練に数年を費やした。この訓練の一つの側面は、テレパシーの能力と信頼性を高めることであった。大事なのは、世界教師の言葉と師である覚者の言葉を大衆に伝える任務を負った者として、ベンジャミン・クレームは完全に正確でなければならないということだった。不正確さや明瞭さの欠如、混乱、曖昧さは許されなかった──それは決定的に重要であったため、すべての言葉とすべての微妙なところが最大限の正確さをもって伝えられた。
 その情報は、シェア・インターナショナル誌のためにベンジャミン・クレームの師によって毎月書かれる記事という形を取った。そのため、この月刊誌自体が、マイトレーヤ御自身によって率いられたハイアラキーの覚者方の外的顕現という過程における重要な手段となった。

 さらなる教えと情報が140信のメッセージという形でベンジャミン・クレームを通してマイトレーヤによって与えられた。マイトレーヤはその中で、導きや知恵、励ましを提供された。クレームはこう書いている。「これらのコミュニケーションを通じて、救世主(キリスト)マイトレーヤは、社会変革の方向を暗示される。どのようにしてマイトレーヤを認知することができるか、そのヒントを与え、聴衆に御自身の存在の事実を広く伝えるよう要請する。また、分かち合いたいという願望や、人類と御自身に奉仕したいという願望も呼び起こされる。……これらのメッセージを集中した思いで声に出して唱えると、必ずといってよいほど、キリストのエネルギー、如来の心(ハート)の反応を呼び起こすのである。それは、表面的には単純で、心(ハート)から心(ハート)へ送られるのだが、しかしあらゆる次元において働きかけがなされる。メッセージの真なる意味が心に伝わるよう一つ一つ瞑想しながら読む必要がある」(『いのちの水を運ぶ者』1999年[英語初版は1980年発行])

 一般的に知られていないことは、自分がテレパシーで聞いていることを即座に再生する能力を実演し磨くために、クレームがロンドンの自宅での伝導瞑想の後、受け取ったメッセージを声に出して言うよう師によって依頼されたということである。そのように要請されたときのために、テープレコーダーがいつでも使えるように用意された。このようにして、クレームの師とマイトレーヤの両方からの数多くのメッセージが、初期のテープレコーダーで録音され、それから書き起こされ、正確を期すためにクレームの師と一緒にチェックされた。

 次のメッセージは、マイトレーヤが1977年に現代世界にお入りになるために古の山地の隠遁所を去る前の1976年に与えられた。
 このメッセージは直接的で率直(シンプル)な語り口で伝えられており、今月号用に選ばれたクレームの師の記事「人類の選択」にある問いかけや訴えかけに何となく似ていることに読者は気づかれるかもしれない。

キリスト・マイトレーヤからのメッセージ

簡素(シンプル)でありなさい。平静でありなさい。
この愛の贈り物を受け取りなさい。
あなたの心(ハートとマインド)を開き、愛の光線を受け取りなさい。
この愛を受け入れ、この愛を輝かしなさい。
あなた自身を愛として知りなさい。
わたしの贈り物を受け入れなさい。
わたしの存在を肯定しなさい。
わたしの民を褒めたたえなさい。

わたしは間もなくあなたがたの中に入る──あなたがたはこのことを真理として知っている。
行って、教えなさい。
簡素(シンプル)でありなさい、用意を整えなさい、目覚めていなさい、
間に合うようにしなさい、わたしの民となりなさい、
そうして、わたしの帰還を知りなさい。
恐れるでない、わたしの愛に抵抗できるものは何もないのであるから。
わたしの愛が人の心(ハート)に花開くのを妨げることのできるものは何もない。

このことを知りなさい。
そして行動し、語り、わたしの道を明らかにしなさい。
わたしの民として、あなたがたは責任を負っている。
わたしがただちに戻るということ、わたしとわたしの兄弟たち、弟子たちがすぐにあなたがたの中に入るということを、他の人々に告げる責任を負っているのである。
そうして、あなたがたは神を知るであろう。

わたしの到来を知らせ、わたしの心(ハート)を満足させなさい。
わたしの到来を知らせ、あなたの兄弟たちに仕えなさい。
わたしの到来を知らせ、奉仕の歓びという贈り物を受け取りなさい。
わたしの祝福を受け取りなさい。

唯一なる神の光と愛と力とが、あなたがたの心(ハートとマインド)の裡に、いま在るように。

この光と愛と力とが、あなたがたの裡に今もそして永遠に宿る真理として顕れるように。神と共に行きなさい、我が親愛なる子供たちよ。

(ロンドン、1976年12月20日)

マイトレーヤの出現におけるメディアの役割――選集

The role of the media in Maitreya’s emergence── a compilation

「マイトレーヤの出現におけるメディアの役割」というテーマに関する引用文の選集を掲載する。引用文は、マイトレーヤの教え(『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第Ⅰ巻、第Ⅱ巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。

 現在、世界についての真実でない画面が主に、強力なメディアの販売代理店によって提供されている。彼らは市場のフォース(エネルギー)と商業至上主義によって条件づけられており、彼らの見解はお金と“市場”という偽りの価値によって支配されている。かくして、ほとんどの人間は現在起こっている事柄を理解しようとして逆に混乱し、ストレスに苦しめられている。
 マイトレーヤの出現で、この懐疑的で物質主義的な見解は、人類が直面する多くの問題に対するより敏感な反応に取って代わるだろう。徐々にお金に関するグラマーは奉仕の達成へと道を譲るだろう。そして何千万の人々が世界中の兄弟姉妹の奉仕を通して得ることのできる勝利に拍手喝采するだろう。
 このようにして、思考の新しい風潮が支配するだろう。新しい真剣さが公の領域に入ってきて、すべての政府とその代理機関は国民の必要と関心に耳を傾けざるを得ないことを発見するだろう。
 このようにして、「国民の意志」が行動の方向をますます条件づけるようになり、公共の必要を満たし得ないものはほとんど何もなされないだろう。
 現在の無秩序で激しい襲撃は大勢の人間のフラストレーションを表しており、民衆は自分たちの力と行動する必要の感覚を示す。彼らの行為は盲目的で統制が取れていないかもしれないが、それにもかかわらず、それは新しい時代の徴であり、まだまだたくさん見られるものの最初である。
 世界の制度機構が現在の人類の必要に対処するようになるまで、そのようなデモンストレーションは続き、ますます大胆になるだろう。民衆は彼らの力(パワー)と出来事に影響を与え、自分たちの意志を実施することのできる能力を感じはじめつつある。

(『覚者は語る 第1巻』─ 民衆は奮起する─より)

メディア──未来の人類社会は、環境とエネルギーの間の平衡の概念をモデルにして建設されるだろう。政治もそうである。生活や政治の中に分割をつくり出すことに耽る人々はすべて、もうお終いである。「わたしが栓を引き抜いた。そこにはもはやエネルギーは残っていない」とマイトレーヤは言われる。
 政治の腐敗やスキャンダルを覆い、真理を隠すメディアの時代は、もう日数が限られている。これからは、メディアはオープンになり、政治や司法制度の腐敗や混乱を写し出していくだろう。司法は憲法から独立することはできない。それは憲法の一部であり、適切にそれに応えていかなければならない。

(『いのちの法則』)

 アメリカ人は、第三世界、インドやアフリカどころか、ヨーロッパの貧困な地域、東ヨーロッパでどのようなことが起こっているかを、本当に分かっていません。悲惨さの深刻度は途方もないものです。インドやアジアの多くの地域において、第三世界において、アメリカに住んでいる人々には想像することすらできないような苦難があるのです。あなた方のメディアは、第三世界の苦難や貧困についての報道をすべて番組から外してしまっています。そのようなことに思いを至らせるようなメディアの番組はほとんどありません。ほとんどが第三世界の貧困についての報道はビジネスに悪いと考えています。そのような画面を見ると、人々はチャンネルを変えてしまいます。局を変えるとコマーシャルを見ません。
 コマーシャルを見なければ製品を買いません。ですから、彼らは、悲惨な状態を画面から外すことによって、見ないで済むようにしています。

(『協力の術』)

 多くの人々は変化をやかましく要求しながらも、その到来を恐れる。彼らの心(マインド)は既成の制度やメディアによってあまりにも影響されているゆえに。マイトレーヤが間もなく出現されるとき、人々は彼の唱導する変化はすべての人間の福利のためであり、誰も未来を恐れる必要はないことを知るだろう。このようにして偉大なる主は様々な「善」のためのフォース(勢力)を結束させ、すべての人間の裡に潜在する「善意」を喚起するだろう。

(『覚者は語る  第1巻』─共通の福利─より)

Q:ある国民が他の国民よりも容易に操作されやすいのはなぜでしょうか。(2004年6月)
A:教育に力を入れず、民主的原理をあまり尊重しない国では、国民を操作する政府の力は強まります。メディアのコントロールを通した操作は、もちろん、今日政府によって用いられている最も危険な(そして最も効果的な)手段です。

(『光の勢力は集合する』)

Q:マイトレーヤはわれわれのすべての制度の変換を呼びかけられます。(1)これにはメディアも入っていると考えてよいですか。(2)ハイアラキーはメディアに対して特別のプランを持っていますか。(1986年12月)
(1)はい、メディアは教育という点で非常に重要な役割を持っています。マイトレーヤが人々に教えるためにメディアを使われることは確かでしょう。(2)メディアを使うためのプランは持っておられますが、それを変えるための計画はお持ちではありません。それはわれわれの責任です。

(『マイトレーヤの使命 第2巻』)

メディアの責任──今は、世界のテレビ・ネットワークにとって非常に大切な時である。新しい時代には、テレビが最も効果的なコミュニケーションの手段になるだろう。コミュニケーションのテクニックと術に対する需要が非常に大きくなるだろう。メディアは世界の隅々の町や村にまで行き渡り、情報伝達が行われるだろう。コミュニケーションを通して、世界は本当に統合されていくだろう。だからテレビがその新しい責任に応じるために正しく組織されていなければならない。

(『いのちの法則』)

 BBC(英国放送協会)は世界のあらゆるメディアと同様にこの話を知っています。BBCはたいていのメディアよりもよく知っています。なぜなら彼らは1986年の1月、2月、3月にすでにマイトレーヤにインタビューをしており、彼が姿を現しご身分を世界に紹介される記者会見の場を設けることにさえ同意していたからです。BBCがこの約束を破ったために、マイトレーヤは主要メディアの後押しのないまま、困難な方法で出現の過程を進めなければならなくなり、長い遅々とした過程を経なければなりませんでした。

(『大いなる接近』)

メディアへの呼びかけ

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記、2008年1月12日

 人々は、マイトレーヤが本当にわれわれの中に存在し、彼の仕事を実行するという証拠を何年もの間、確かにいらいらしながら待ってきた。われわれの世界に膨大な変容が起こっていることは明確であり、その一つ一つがマイトレーヤによって予言されて、それは一般の人々にそして世界のマスコミに伝えられてきたことを考えると、この疑いがなぜ、そんなに長い間執拗に続いたのかを理解するのはおそらく困難である。
 そのような歓迎すべき出来事が確かに起こったということを──たとえ一つの仮説としてでも──受け入れることを阻むものは何か。
 世界のマスコミはこの情報のあらゆる面を知っている──しかしながら、この情報の特質についてほとんど一般の人々に知らせていない。多くのメディアの代表がマイトレーヤにお会いしたことがあり、彼が話をするのを聞いたにもかかわらず、彼ら自身はいまだ沈黙したままである。
 なぜそうなのか。この歓迎すべきニュースを一般に発表するのを抑制するのは何か。主に問題は恐怖心である──嘲笑や不信に対する恐れ=彼らの地位や職を失うことへの恐れ=自分たちが欺かれたのではないか、本当は自分が見たと思ったことを見なかったのではないか、聞いたと思ったことを聞かなかったのではないかということへの恐れである。自分の体験を脇に置いて、マイトレーヤ御自身にお任せして──もし本当に彼が存在するならば──彼が前面に出て来られて、世界に実際の臨在の姿を示すのを待つほうが容易である。
 この見解は、かように黙って待つ者たちには論理的ではあるが、マイトレーヤのような御身分のお方の出現を支配する『法』についての理解の欠如を示す。
 多くの立派な教師たちがわれわれの生活の中にやって来て、仕事をし、人間の思考と行動の表面にわずかな波紋を起こす。彼らは、彼らの道を整えるための先駆者を滅多に必要としない。しかしながら、マイトレーヤは世界教師であり、ハイアラキーの長であり、次の世界周期全体にわたって、そのような方として奉仕しようとしておられるのである。人類に対する彼の影響は計り知れない。彼の到来はまさに極めて重大な出来事であり、その前に準備が整えられなければならず、あらゆる分野・場所にいる人間に十分に説明されなければならない。
 世界のマスコミは、われわれの時代の本当の出来事を人類に知らせるために理想的な位置にある。真実を求め、知識と希望を渇望する何百万の人間はマスコミに情報を、しばしばガイダンス(導き)を求める。マスコミに携わる男女、善意の男女は、この情報について、必要ならば、彼ら自身がよく理解し、そしてそれを真剣に紹介することによって公共に奉仕する義務を持つ。そうすると、彼らは、いかにして世界を正すかをわれわれすべてに示そうとしておられるマイトレーヤを公に見るだろう。

(シェア・インターナショナル誌2008年1・2月号)

編集長への手紙

アーカイブからの二つの記事:
1982年の読者の視点

拝啓 シェア・インターナショナル誌へ
 シェア・インターナショナル誌のメッセージは、すべてのまともな心の持ち主であれば賛同するような、申し分のないものです。私はこの世界におけるキリストの存在を信じる人間ではありませんが、もしあなたの言われるキリストがはっきりと出現して、このおぞましい軍拡競争を取り除き、より良い世界をもたらす唯一の方法を語るならば、信じる方へともっと心を向けるべきだと思っています。もしも私たちや他の国々が核兵器の製造を中止したならば、第三世界の貧困を一夜にして解決することも可能でしょう。もしキリストが実在していて、こうした軍拡競争はこの世界がこれまで目の当たりにした中で最大の悪であるとはっきりと宣告しないならば、私は仰天するでしょう。もしこのことがあなたのメッセージの一つに含まれているなら、私はあまり懐疑的に感じないかもしれません。今日の世界で最も重要なことは、これらの大量破壊兵器を撤廃することです。兵器は甚だしく人道に外れており、恐ろしいほどに費用がかかり、ゾッとするほど危険なものなのです。

敬具
J.B.
英国、デボン

ベンジャミン・クレームによるコメント:あなたは全く正しいです。兵器は人道に外れ、高価で危険なものです。マイトレーヤがこの意見に同意するであろうことは疑う余地がありません。しかしながら、この常軌を逸した軍拡競争を停止させることができるとどの程度信じるかについて、私たちの間には明らかに違いがあります。兵器はそれ自体、費用のかかるものであり、危険で人道に外れると言えるものですが、問題の原因ではなく、結果なのです。兵器は人類が危険なまでに分離し、結晶化した構造の中に囚われており、錯覚に基づいた物質主義的な安全保障に浸りきっているという事実の結果であります。軍拡競争を止めるよう大国勢に求めても、それぞれの勢力圏が相手の善意をあまりにも信用していない限り、ほとんどあるいは全く効果がないでしょう。
 このような理由から、問題の本質を追求するようマイトレーヤは勧告されます。マイトレーヤは分かち合いの原則の実現を推奨しておられます。この分かち合いという方法により、現在交戦中で敵意を持った国々は将来の見通しを完全に変更させることができます。武器が必要とされるような事態を招く政治的相違は、大体において経済的要因によるものです。経済的問題の核は、分配と再分配の問題です。分かち合いの原則を受け入れることによって、こうした経済的な差異は解決されるでしょう。そうした新しい状況の中で、武装化と戦争を終わらせたいという動機が生じるでしょう。私たちの見解では、富める者と貧しい者との分断は、核軍拡競争と同じくらい大きな脅威を世界の安定性にもたらします。こうした見解を抱くのは私たちだけではありません。ブラント委員会報告書に記載されているものの中心となっています。どんなに良い意図を持っていたとしても、分かち合いを受け入れることなく単なる非武装化を提唱する人たちは、私たちが思うに、馬車を馬の前に置いているようなものであり、失望する運命にあります。
 核兵器という悪に一方的な攻撃をするよりも、分かち合いの原則がより根本的であることを強調するのには、もう一つの理由もあります。誰でも、限られた手段しか利用できないにしても、分かち合いというアイディアを自分自身の環境の中で適用させ始めることができます。そのようにしてだんだんと、すぐ身近な社会的変化に貢献するようになります。一方、軍拡競争を停止するという決議が採択されるのは──民主主義においては──そのアイディアへの半数以上の人々の支持がある場合だけです。独裁政権下にある国々においては、軍備の政策にいかなる変化をもたらすにも、それよりはるかに多くの支持が必要となるでしょう。私たちはそのような変化をすでに何十年も待っています。したがって、分かち合いは目的を実現するためのより一層直接的で、より効果的な手段であり、私たちもあなたと共に、飢餓や貧困のない、兵器の存在する余地のない世界が成就されるのを見たいと願っているのです】

(シェア・インターナショナル誌1982年10月号)

マイトレーヤ──『非常に特別な教師』

 数年前、おそらく1983年から1985年の間に、私はニュージーランドのテレビで英国のドキュメンタリー番組を見ていました。それは社会科学のドキュメンタリーで、英国でのパキスタン人とインド人の移民の生活実態を探ろうとするものでした。番組では、(ほとんどが工場などで働く)移民の生活の向上や状況を調査し、インドに留まった人々との比較を行っていました。番組はイングランド北部の工業都市での移住者の生活を調べるところから始まり、その後突然、イースト・ロンドンの移民たちに焦点を定めたのです(ベスナル・グリーン地区が頭に浮かびましたが、100%の確信を持っているわけではありません)。次に、移民たちの精神的な共同生活に焦点が当てられました。番組制作陣は、(外観は刑務所に似ている)一軒の大きな家への取材を許可されました。そこはパキスタンの人々のためのコミュニティーセンター、アシュラムとしての役目を果たしていました。センター内の活動は豊富で多岐にわたり、スピリチュアルセンターとしてのみならず、文化的な活動や結婚式なども含んでいました。
 霊的指導者たちはその時、自分たちの直中に『非常に特別な教師』がいるということをテレビジャーナリストに明らかにしました。彼らはその人物をクリシュナの生まれ変わりだと主張していました。私はその当時、(イスラム教徒の)彼らが、霊的教師としてのムハンマドよりも、クリシュナの生まれ変わりがいることを主張するのは大変に寛容だという印象を抱きました。「キリストの再臨」を含めて、アリス・ベイリーの教えの勉強を長年続けていたので、私はじっくり考えて、「ことによったら、これがそうなのかもしれない!」と思ったのです。
 『特別な教師』を撮影できないかというテレビジャーナリストの依頼は、その教師から放射されているエネルギーは一般の視聴にはあまりにも強力すぎると思われるという理由で、地域のリーダーたちによって断られました。その教師と個人的に会ったとき、そのジャーナリストは、彼らが拒否する理由を理解し、その『人物』の眼差しと存在によって完全に圧倒されたように感じた、と告白しました。その後、私たち視聴者は、人々と交流する『教師』の後ろ姿を見る機会に恵まれました。私が覚えている限りでは、彼は背が高く、白衣をまとっていたようでした。
 私にはそれ以上の詳細を書き加えることはできませんし、もちろん今になって、制作会社の名前を書き留めておかなかったことを後悔しています。視聴者がとても限定されていたことにも気づいていませんでした。ニュージーランドの人々はその番組の内容にほとんど関心を寄せなかったのではないかと思います。番組を覚えている人を一人も見つけていないからです。私が個人的に関心を抱いたのは、若い時分にイングランド北部に住んでいた1960年代の初め頃、初期のアジア人移民に対する社会福祉事業を行ったことがあるからでした。この件について、どのような形でも話に尾ひれをつけたりしていないことは確かです。

D.E.ダービー
ニュージーランド、クライストチャーチ

シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されている。

質疑応答

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。そのいずれもこれまでシェア・インターナショナル誌に未掲載のものです。

Q キリストの再臨に関して仏陀が果たすべき役割は何ですか。

A 仏陀は、一般にはあまり知られていませんが、非常に強力な果たすべき役割を持っています。彼は終始マイトレーヤと共に、ある意味でマイトレーヤの背後で働きます。彼はもはや肉体を持っていませんが、肉体を放棄し、私たちの惑星の最高の霊センター、つまりシャンバラ、ゴビ砂漠のエネルギー・センターにおられます。そこには世界の主(サナット・クマラ)と彼を囲むクマラ方、そして仏陀(ゴータマ仏陀ではなく、ゴータマを通して働かれた方。ゴータマ王子はもはやこの太陽系にはおらず、シリウスにおられます)のような非常に進化された方々がおられます。
 仏陀はキリストの背後に立ち、東洋に関する彼の思考に影響を与えています。“仏陀の衣”と呼ばれるものに関する古い東洋の教えがあります。それは現在安全に隠されていますが、キリスト、つまり“来るべき方”によって取り上げられるでしょう。これらの“衣”は仏陀の情緒――直観性質の総計と彼の知識と思考の総計、つまり仏陀のアストラル体とメンタル体です。これらがキリスト御自身の情緒的、メンタル的装備を増大します。
 仏陀は知恵のエネルギーを体現し、マイトレーヤは愛のエネルギーを体現しておられます。東洋との関係において、マイトレーヤはこのようにして仏陀の経験を獲得し、仏陀の情緒――メンタル装備の使用を通して東洋人のマインドに、おそらく可能な他のどの方法よりもさらに深く入ることができます。
 仏陀は今、宇宙的レベルからの知恵の様相を体現しており、彼はこのエネルギーをマイトレーヤを通して世界に伝導します。

(シェア・インターナショナル誌1993年6月号)

Q 私の経験では、キリスト原理はそれを認識し、受け入れ、体現するすべての人々に利用可能なものです。私たち各々に何が可能かをコメントしていただけますか。

A 私たち各々に可能であり必然であり、運命づけられていることは、その原理を体現し、私たちの人生においてそれを実演することです。それがその意味です。それが難しいところです。「私はキリスト原理を信じる。それが私や皆の中にあることを信じる」と言うのは簡単ですが、その証拠はどこにありますか。その表現はどこにありますか。もしそうであるなら、戦争は起こらないでしょう。豊かさの中で飢え死にする人々はいないでしょう。飢える子供はいなくなるでしょう。今日世界で貧困の中にいる、絶対的貧困と呼ばれる状態の8,000万の人々は存在しないでしょう。もし人類の中でキリスト原理が実演されていれば、このいずれも存在しないでしょう。なぜなら、「キリストは私の中にいる。ロンドンや他の場所で彼に会う必要はない。キリストは私の中にいる」と人々が言うのはグラマーだからです。よろしい。キリストはあなたの中にいます。あなたはそれをどうやって示していますか。それを実演してください。キリスト原理とは、自由、正義、分かち合い、正しい関係という、その原理の性質に従って生きることを意味します。このような現実に直面しなければなりません。それがキリスト原理の性質です。

Q パラマハンサ・ヨガナンダの教えはマイトレーヤの使命と一致しますか。

A (これは私が他のグループの仕事や教えにコメントしないというルールの例外です)
 パラマハンサ・ヨガナンダはセルフ・リアリゼーション・フェローシップ(真我実現協会)の創設者です。良い名前です。マイトレーヤが話されているのも真我実現についてです。あなたも私たち全員も真我であり、問題はそれを認識すること、真我であるということです。それに気づき、実現し、実際に真我にリアリティを与え、実演することが私たちの運命です。これは一つの過程です。一夜にして起こるものではありません。それは過程であり、誰もがそれを認識することができます。すべての子供は真我を認識しています。それから堕落します。マインドをあらゆる条件づける概念で一杯にし、真我としての自己を見失います。そしてキリスト教徒や、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、仏教徒、共産主義者、民主主義者、資本主義者などになります。真我であることをやめ、マインドを閉ざし、条件づけられたイデオロギーや概念に従って生きるのです。しかし人はマインドではありません。マインドは道具であり、器にすぎません。
 この新しい時代のために与えられた祈りを読みましょう。今始まっているこの新しい周期にマイトレーヤによって与えられたものであり、私たちが本当に誰であるかに注目を集めるものです。日々何度も唱えることで、意識の中に徐々に真我としての自己認識がもたらされます。

わたしは宇宙の創造主である。
わたしは宇宙の父にして母である。
すべてがわたしから来る。
すべてがわたしに戻る。
心と生気と肉体はわたしの宮殿である。
真我はその中にわたしの至高の存在と生成を実現する。

 これがマイトレーヤによって与えられた新しい時代のための新しい祈りです。これは一種の是認(アファーメーション)であり、自分自身の中に瞬間ごとの認識を植え付けます。知的なものではなく、私たちの本質である偉大な不死の神聖な存在としての自己の認識です。キリストはそれを達成し、真我を実現し、そのリアリティに非常に近づいたので、その全体的で神聖な原理、キリスト原理を彼自身の存在の中に体現したことの故にキリストなのです。

(テキサス州ダラスでの講演より)

2023年4月号目次

 

覚者より
ばくち的ジェスチャー
ベンジャミン・クレーム筆記

今月号の内容概説

視点
史上最大の自然保護の勝利!
海洋を保護するための世界的な条約が成立する
ジョン・クエリー

S.O.P. (Save Our Planet) - われわれの惑星を救え!
リーダーシップが大切だ!

世界情勢
人々の意識を変えることで絶滅危惧種を救う、 他

イエス覚者
アート・ユリアーンス

フランシスコ教皇によるアフリカへの歴史的な 「平和巡礼」

今、私たちが直面している世界的な課題
パトリシア・ピッチョン

エンリケ・バリオス著 『アミ 小さな宇宙人』 三部作
ドミニク・アブデルヌールによる書評

時代の徴
トルコのブルサ上空のUFO雲、 他

ルシル・テイラー・ハンセン著 『主はアメリカを歩めり』第二部
ベッティ・ストックバウワーによる書評

心理学における統合のアイディアー統合心理学
ロベルト・アサジオリの現代心理学への貢献
マーチンホフシュミット

民衆の声
サッカー選手、 BBC 放送、 英国政府、他

「明日では遅すぎる」 気候変動ストライキは 世界中で化石燃料産業への投資を標的に定める
ジェシカ・コーベット

すべての人のためのベーシックインカム -霊的な法令?- 第二部
アンネマリエ・クヴェルネヴィック、 アンジャ・アスケランド

編集長への手紙
『お知らせ用』 ナンバープレート、 他

読者質問欄
回答 ベンジャミン・クレーム

ばくち的ジェスチャー

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 人々が正しい関係に向けて断固たるステップを取るときはいつも、対決に向けて同様の断固たるステップを取る人々が必ずいる。大勢の人間がより大きな自由と正義のために働き、そして死んでさえいる──と同時に、他の勢力は減少する彼らの力(パワー)を強固にするための冷笑的な試みで平和を脅かす。その間、全体としての人類は、放棄され克服されるべき昔の古い憎悪の思考の再発を目撃して、恐れおののきながら見守る。

 あなた方の兄たちであるわたしたちもまた、この危険なやり方を注意深く見守るが、恐れてはいない。良識は、得るものと失うものとを大体、はかりにかけてみるとき、少なくとも不安定な平和を受け入れることを強いることを、わたしたちは知っている。

 これからは、このシナリオが世界中で繰り返されるだろう。“超大国”は彼らの力を維持しようと、あるいは増すことさえ試みるだろう、しかしながら、現状維持を損なわないように慎重にやらなければならないことを知っている。

 一体いつまで、諸国家はこの無益なゲームをすることができるのか。唯一の分別あるコースは、すべての者のための平和と繁栄のために、共に働くことである。この方法によってのみ、諸国は国民に、平和の歓び、正義(公正)の繁栄、そして分かち合いの至福を得るための用意をさせることができるのである。

(シェア・インターナショナル誌2014年6月号)

今月号の内容概説

 西洋ではさまざまな形で象徴化されている復活祭、復活を祝うあの特別な聖なる時は、読者が今月号を受け取る頃には目前にあるか、あるいは過ぎ去ったばかりだろう。毎年、春になると、さまざまな宇宙的エネルギーがその強さを増し、人類は再び希望を取り戻す──このように言えるのは、キリスト教の隠喩を使うと、世界は「物質主義の墓」から抜け出して、社会正義を現実のものとするために、システムを再編する新たな方法を復活させようと苦闘しているからである。復活祭の時期であるので、イエス覚者に関する記事が掲載されている。これはイエスの生涯についての聖書の見方というよりも、より秘教的な見方を紹介している。また、『主はアメリカを歩めり』第二部にあるように、イエスの後年の仕事にも焦点が当てられている。
 適切に行えているとしたら、本誌は毎月、一般的な考えよりもはるかに幅広い霊性(スピリチュアリティー)についての定義を裏づける多くの事例を提供しているはずである。このため、私たちの情報があらゆる分野の活動家にとって受け入れやすいものとなることは明らかである──このことは地球の保全についての記事や、そうした闘いにおいては誠実な政治と聡明なリーダーシップがいかに大事であるかを説明する報告に示されている。社会正義とは──万人のための最低賃金保障制度の確立のような──経済への新たなアプローチという形で実行に移される霊性のことである。「すべての人のためのベーシックインカム──霊的な法令」第二部が今月号に掲載されている。霊性についてのより包括的な理解のさらなる証拠が、ロベルト・アサジオリが開発した心理学への統合的アプローチの評価という形で見られるほか、霊的な知恵や警告、導きが、エンリケ・バリオス著『アミ 小さな宇宙人』の書評の中で天から私たちに降り注いでいる。パトリシア・ピッチョンは「今、私たちが直面している世界的な課題」という記事で、ヌリエル・ルービニの最新刊『メガスレット』について論じている。
 ベンジャミン・クレームの師である覚者は2014年に「ばくち的ジェスチャー」を書かれた。この記事は、現在の苦悩の原因となっている根本的な不安を描写する、覚者による別の短い記事(読者質問欄を参照していただきたい)と同様に、薄気味悪いほど現在の状況に当てはまる。
 ある日、生涯の最後の年に、ベンジャミン・クレームはファシズム(全体主義)について語り始めた。ファシズムが現在、私たちの生活の非常に多くの分野でいかに支配的になっているかについて語った。ファシズムはいつでも存在していたが、特に金融や経済、さらには政治の分野で、ファシズムのさまざまな形態が現代ほど蔓延した時代はなかったようである。
 クレームが言おうとしていたことは、商業主義が私たちの生活のあらゆる側面へと狡猾に忍び込み、無傷でいられるものはほとんどないということであった。金持ちがより裕福になり、いのちのあらゆる様相が収益活動へと投入され、いのちや惑星そのもの、世界の未来が彼らの貪欲の犠牲になっているだけでなく、あらゆるものが彼らの力への渇望を満足させるために行われている。何の力なのか。心(マインド)を支配する力、政策やイデオロギー、社会の傾向を左右する力、選挙の結果に影響を及ぼす力である。真理が攻撃を受けており、必要とされる物語を支えるために歪曲されている。クレームの師はそれについて(シェア・インターナショナル誌2002年11月号掲載の「権力のグラマー」の中で)こう述べている。「第一の優先事は、事実についての本当の知識である。しかしながら、これは見つけることが難しい。非常に多くの声が、さまざまに矛盾する情報を繰り返し唱え、または叫んでいる。あまりにも多くの意見が、あたかも事実であるかのように扱われており、尊重して耳を傾ける価値のあるもの、信じられるものはほとんどない」。もし真理が信用できないものであれば、意見がそれに取って代わり、世論の操作を容易にする。私たちの共通の価値観と基準はむしばまれ、ほとんどあるいは全く意味をなさなくなる。民主主義は、一般大衆を代弁すると主張する政治家によって「危険だ」と宣告される。皮肉なものだ、では片付けられない。大衆の抗議行動は違法とされ、言論の自由は奪われつつある。クレームの師の言う「マネーの男たち」、権力に飢えたメディア王と国際的な新興財閥は自由を恐れ、自分たちの富を用いて国を買収し、政治家を籠絡し、鉱物資源が豊かな地域の広大な土地を収奪し、農業や医療、武器、エネルギーなどの部門全体を意のままにしている。現在の経済ニュースが示唆しているように、おそらく別の経済的混乱の期間がもうすぐ彼らの権力を失墜させ、世界が緊急に必要とする「更正(リアセスメント)」を引き起こすかもしれない。
 マイトレーヤが抗議者たちを活気づけ、デモ行動に加わり、自由や正義、平等、平和を要求するために行進する人々を支持するのも不思議ではない。ベンジャミン・クレームの師が平和の歓びと分かち合いの至福のために一緒に働くよう呼びかけるのも不思議ではない──分かち合いは、商業主義という横暴に対抗することのできる健全な世界を築くための唯一の基盤だからである。

シェア・インターナショナル誌は、新しい時代の思考の二つの主な方向――政治的と霊的――を統合する。