カテゴリー別アーカイブ: 政治・経済・環境・社会

フランスのコンタクティー、ピエール・モネ氏

分割した世界への緊急のメッセージ
ゲラード・アートセン

自らの世界の終わりを感じて、舞台の背後にいる権力屋たちは、人類の間に分割を生み出すためにあらゆることをしている。そして日々のニュースが示すように、今日政治指導者たちは入札を続けている。なぜなら彼らには、未来への唯一の持続可能なビジョン──普遍的自由と正義の創造を通して一体性を顕現すること──が欠けているからである。

拙著『転換期にある惑星――いかに正義と自由は実現されるのか』(大堤直人訳、アルク)で詳しく述べたように、宇宙からの訪問者は、1950年代の核開発時代以来、人類の分離的傾向と世界的滅亡への可能性への懸念を寛容に共有してきた。
ジョージ・アダムスキーは他の惑星の人々との出会いと彼らの緊急のメッセージについて公に話した最初の人物であったが、既得権者たちによる徹底した人格攻撃によって、彼の業績は歴史の周辺に追いやられた。しかし、真剣な調査は続いており、彼の主張と使命を回復させる努力は行われている。1998年には英国の作家ティモシー・グッドによる『エイリアン・ベース』が出版され、レネ・エリック・オルセンによる最近の調査『ジョージ・アダムスキー物語』、ミシェル・ザーガーによる『ジョージ・アダムスキー事件の検証』が共に今年の夏に出版された。
ベンジャミン・クレームが、ジョージ・アダムスキーの主張に加えて、『光の勢力は集合する』の中で示しているように、宇宙人にはこの惑星で「宇宙の兄弟たちの現実を世界に知らせるための」人々がいる。私たちに知られているのは、バック・ネルソン、トルーマン・ベサラム、ダニエル・フライ、ハワード・メンガーのような人々であり、彼らはアダムスキーのようなアメリカ人で、おそらく当時と今の世界情勢の中でアメリカにおいて重要な役割を与えられていた。
ブラジルの物理学者アラディノ・フェリックス(通称ディノ・クラスペドン)、カナダ政府の研究者ウィルバート・スミス、そしてスイスの農家エドワルド・ビリー・マイヤーを除けば、他のアメリカ以外の1950年代のコンタクティーたちは、「イタリア・フレンドシップ事件」を通してごく最近になって知られたにすぎない。その中には外交官アルベルト・プレゴ、心理学者ブルーノ・サマチッカ、そしてステファノ・ブレッカ教授も含まれる。
今でもほとんど知られていない名前は、ピエール・モネというフランスの徴集兵で、彼の最初の接触体験は1951年、アヴィニヨン近くのクーテゾンで起こった。彼の二つの著書『宇宙人が私に語ったこと』(1978年)と『宇宙からの接触者』(1994年)はいずれも英語には翻訳されず、スペイン、ポルトガル、オランダでのみ読まれている。モネ氏の話が広く知られていない理由はそのことにあると思われる。その本の中で、彼は7月のある夜、クーテゾンからオレンジ近くにある彼の家まで帰る途中で、同じ道沿いにある、オレンジから3、4キロ離れた石切り場に「テレポートされた」様子を述べている。バイクを押して岩場を歩きながら、彼はあたかも青白い銀色の光を発するレンズ状の円盤に導かれたようであった。他のコンタクティーの描写を思わせるが、「その円盤の『鉄』は物質で同時に非物質であるように見えた。少なくとも内部に絶えず動いている原子構造があるようだった。ほとんど生きているもののようだった。それは印象的で、美しく同時に当惑させるものだった」。
モネ氏が、近くの交通の音も全く聞こえない完全な沈黙を体験したと述べるとき、彼は肉体の外にいたのだと想像するのは困難ではない。「この完全な沈黙は、あたかも私が釣鐘状のガラスの下にいて、完全に外部の世界から隔離されているような印象を与えた。私には自分の呼吸音と鼓動と脈動の音のみが聞こえた」。宇宙船に近づいて歩いていると、彼は自分が見たものに興奮し、その前に立っている人間のようで同時に地上離れした存在を見過ごすところだった。彼はその存在が彼と「テレパシー的な交流のプロセスで」彼と交信しようとし始めたと述べる。彼らはそれを「全く自然で常に存在してきた方法だが、人類は普遍的な法則を見失うにつれてそれを失った」と述べた。
日々の旅程の開始地点に戻ったとき、彼は自分の時計と街の時計を見て、彼の体験の間物理的な時間が経過していなかったことに気づいた。しかし彼は自分が与えられた情報とメッセージを、その意味を伝えるのにふさわしい言葉に「翻訳する」ために長い年月を要した。遂に、1978年に彼は最初の著書を出版し、1979年から1981年までの間に多くの講演会への招待を受けた。
1974年に彼は再び宇宙人と接触するようになった。彼らはこう述べた。「私たちはあなた方の間におり、あなた方の間で行動しているが、あなた方はそのことを知らない」。世界中で70万人がコンタクトしていると彼は告げられた。本物の「コンタクティー」と思われる人々の体験を確認すると、モネ氏は次のように告げられた。「愛の法則に従うことのみが真の生活に導くという私たちの確信のために、私たちはあなた方よりもはるかに進歩してきました。しかし、私たちもまた状況の求めに応じて振舞いを適応させなければなりません。しかし私たちはそれを行い、過去の間違いから学んでいます。自由意志の法則を侵害することなく、このことを私たちはあなた方に教えます」
宇宙の訪問者たちは人類の歴史における現在の重要性を示唆した。「天地の動きに従って、私たちは間もなくアクエリアスの時代と天文学者が呼ぶものに入り、そこでは数千年にわたって地上における智恵の進化が頂点に達するでしょう。このことが可能になるのは、人間が個人としての自己ではなく全体としての社会とより同一化するようになることによってです。来るべき世紀に、人間は知的、霊的、心理的、科学的、技術的分野において必要な変化のための明確な指導を受けるでしょう。人間はこれらの指導を受け入れることも拒絶することも自由です」
実際、モネ氏の接触は、宇宙の兄弟たちが教師の帰還のための霊的基盤をつくることに関わっていることを示すように思われる。ベンジャミン・クレームによれば、「歴史を通じて、霊的に進化した人々が、宇宙人との接触によって、人間に自然と宇宙と調和して生きるための法則と価値観を教える公的なメッセンジャーの到来に向けて人類を準備してきた」。
ジョージ・アダムスキーは繰り返し、私たち全員が個人的により良い世界をつくる責任を持っていると述べてきたが、ピエール・モネ氏も同じことを伝えている。「もし私たちが自らの行動を自発的に変えるならば、私たちは輝かしい未来に入り、そこでは攻撃、憎悪、死はもはや存在しない。私の宇宙人たちが言うように、『憎むことをやめ、強く愛し合いなさい』。しかし、この知恵は各人が個人的に内的に苦闘することを通じてのみ手に入れることができる。すべての人間が全人類に責任を持つという事実に目覚め、恐ろしい出来事が起こるのはそれぞれの個人の行動の反映であることを自覚する必要がある。どんな行為もどんな思考も消すことはできない。各人の発するすべての思考は、憎しみか愛、幸福か不幸、生か死を生み出す」
「愛は生きることができるのみである! 愛は放射を通じて可視化する。愛は自己を忘れ、自己を他者に完全に与える。愛することは易しく同時に困難である。人が自己の内部を深く見つめ、自己に直面するならば、それはやさしい。そうすれば、人は自己を、私たちを囲い、自由に呼吸し愛に生きることを許さない行動や思考の沼地から抜け出させることができる。しかし努力を怠るならばそれは難しい。朝起きて仕事に行き、出会う人々すべてに敵対的な目を向け、邪魔な運転手に叫び、妻にストレスをぶつけるなどすること以上のものがあるのだということを見たくないのなら、それは難しい」
世界教師の出現のために活動している人々と同じように、宇宙の兄弟たちのメッセージを広める活動を長年行っている多くの人々に負担が強いられることについて、訪問者たちはこう促している。「愛の法則を真に理解する栄誉を享受しているあなた方に、私たちは次のことを求める。
忍耐を失わず、愛が何であるかを示し続け、あなたの生活のあらゆる瞬間に無限の愛を与えなさい。なぜなら間もなく人間の心は変わり、あなた方は報われることになるからです。あなたが与えた愛は何百倍にもなって戻って来るでしょう」
そして、物質的価値観──商業主義──への絶え間ない強調の必然的な結果としてのファシズムの台頭と共に、地球自体が危機を迎える中で、宇宙の兄弟たちのこれらの言葉は、人類の歴史の分岐点で特に緊急性を持っている。私たちは分離と憎しみを生む政策に明確かつ積極的に反対しなければならない。「私たちはあなた方を助けるためにここにいるが、あなた方全員の同意が必要である。あなた方のハートとマインドが愛と知恵で満たされることを希望する。私たちはあなた方を見守っている。しかし急がなければならない。時間は短いのだから」

 

ジェレミー・レント氏との会話

意味とつながりの探求
フェリシティ・エリオットによるインタビュー

ジェレミー・レント氏は、現在の持続可能性の危機へと文明を追い込んだ思考パターンについて研究する著作物の筆者である。また、人類が持続的に繁栄することを可能にする世界観を追求する非営利の「リオロジー研究所」の創設者である。著書として『パターン化する本能(The Patterning Instinct)』と『人間の魂のレクイエム(Requiem of the Human Soul)』がある。フェリシティ・エリオットが今年9月に彼と会話した。

シェア・インターナショナル(以下SI):本誌の読者は、5月号に掲載されたあなたの記事により、あなたのことをかなり知っているでしょう。そのタイトルは「文化的転換──実り豊かな未来へと人類の道を再び方向づける/より深いつながりの感覚に基づく新たな世界観を構築すべき時」です。人類は変わらなければならない、方向を変えなければならない、と示唆しているようです。支配的なメタファー(象徴)と、私たちが自分たちを定義する方法をおそらく変える必要があるだろう、と。
ジェレミー・レント:あなたが今おっしゃったことに少しだけ変更を加えたいと思います。私の見方は、人類が変わらなければならないということではなく、人間としての私たちの中核にある価値観をより忠実に反映するように、現在の文明の根底にある価値観が変わる必要があるということです。76億人いる私たちすべてを集団として見れば、私たちを本当に人間的にしてくれるものだが、この文明の様々な傾向によって私たちから切り離されてしまった本質的価値観と再びつながる必要があると思います。

SI:それは少しの変更以上のものですね。それはとても大切なことで、あなたのご意見はよく分かります。あなたが表現されているような、私たちの本質的価値観を再定義する必要についてもっと話していただけますか。
レント:私たちの文明は最も深いレベルで、「分離」対「つながり」というたくさんの層に基づいています。根底にあるこの「分離」対「つながり」という概念を見る必要があります。最初にどのように進化したかを見てみるなら、私たちを人間にする最初の出発点として考えることのできる確かな分離があります。分離した自己であることについての認識や、文化や言語を発達させ、道具を作り、自然界を支配し始める能力につながるような概念的意識の発達などです。

SI:ジェレミーさんはさらに、農業の発展に伴い拡大したような他の主要な分離の瞬間を描写しました。それはお互いや自然界からの分離を人々に経験させる原因となったものでした。しかし、主要な変化──つまり二元論的思考の隆盛──は古代ギリシャにおいて生じたと述べておりました。
レント:それは特異な一歩であり、その当時までのあらゆる他の思考と異なっていました。現実を分裂した宇宙として捉える二元論的な考え方でした。別の次元にある完璧で永続的な宇宙と、その一方で、汚れていて生き物が死滅する世俗的な領域があるという概念です。それは常に変転しており、そのために信頼することができません。プラトンはそうした概念を結晶化させましたが、彼だけがそうしたわけではありません。こうした初期の思想家とともに、人間もまた分裂しており、魂と肉体は分離しているという概念が生まれました。この永遠の魂が私たちを神と結びつけて私たちを完璧にする、それは不滅の存在であり究極の善である、といった概念です。それに対して、肉体は悪いものであり汚れています。死ぬとき、魂は肉体という墓から解放されます。そのようにして魂は再び永遠へと戻ることができます。このことが意味するのは、私たちが行う必要のあることは肉体を離れて魂を完成させることだという概念です。

SI:したがってそれは、分離があらゆる生活の様相に対して分極効果を及ぼしているという問題なのですね。
レント:はい。それに加えて、人間はこの分離を抱えているという概念と、私たちを神聖にするのは魂だということをいったん受け入れるなら、このような理性的な魂を持たない自然界の残りのものを見るとき、論理的にはそれ(自然界)を神聖ではないと考え始めなければなりません。これこそが、キリスト教の二元論的な宇宙論体系へとつながったのです。それは世界を神の聖なるドラマの一種の機械的な舞台と見なしました。肉体はまたもや分裂しており、魂は永遠の救済を求めようとします。一方、肉体はあらゆる種類の誘惑をもたらすものでした。したがって、それは別のレベルの分離と二元論でした。それは科学の革命へとつながりましたが、それもまた別のレベルの分離でした。そうした二元論的な思考からデカルトが生まれ、デカルトの考え方が生まれたのです。それは分離を全く新しいレベルへともたらすものでした。

SI:それはもちろん、必ずしも否定的なものではありませんでしたね。
レント:そのとおりです。科学の革命から生じたものが悪いと言おうとしているのではありません。あらゆる種類の驚くべき恩恵が、巨大な進歩がなされた数世紀の間にこうした概念から生じました。例えば、私たちはいま驚くべき知識を手にし、科学的な探求を行っています──それは途方もないことであり、それに対して大いに感謝してもよいでしょう。

SI:おそらく科学は幾つかの点で行き過ぎてしまった、もしくは、私たちの生活の特定の要素と様相を強調し過ぎてしまったと言えるのではないでしょうか。
レント:そうですね。科学は人間の力の感覚、自然界の見方のいっそうの不均衡にもつながりました。私たちは現在、自然界は機械にすぎないという見方をしています。

SI:さらに、私たちは自然界を支配し、征服しているという見方ですね。
レント:まさしくそのとおりです。私たちは征服します。基本的に、自然界は私たちが調査し、その中の細部に至るまで理解し、それから征服するための機械となっています。

SI:こうした概念を他者や他国、他の文化に広げていくのは容易だったのですね。
レント:はい。それは世界の残りの部分を「征服する」ことへとつながりました。そのため、ヨーロッパ文明は、自分たちが動物とはかなり異なっているのと同じくらい、他の文化とかなり異なっていると思い込みました。そして、他の文化は「原始的」だと見なされました。

SI:そして劣っていると見なされたのですね。
レント:他の文化は啓蒙される必要があり、この自分たちのレベルまで引き上げられる必要があると見なされました。したがって、経済的な観点からは信じ難い不均衡のある世界へと今やつながっている不均衡が見られるわけです。世界の最も裕福な6人が世界の全人口の貧しい方の半分と同じくらいの富を所有しています。
さらに、もちろん、私たちが環境の中につくり上げてしまった不均衡も指摘すべきです。気候崩壊による災厄が迫っているだけでなく、森林破壊から始まって海洋生物の絶滅、急速なペースで進む飲料水の枯渇、表土の喪失に至るまで、非常に多くの持続不可能な状況があることを私たちは今や知っています。それは目に見える実質的にほとんどすべての場所にあります。「オーバーシュート(行き過ぎ)」と言われるほど、地球の資源を破壊しています。文明の崩壊となるかもしれないものへと、あるいは裕福なエリート層の分裂と、残りの人類にとっての本質的な崩壊へとつながるかもしれないものに向かって突き進んでいます。

SI:実際に、その分裂、二元性の結果を目にしています。それは、あなたが描写されたように歴史を通じて維持され変化してきたものです。そして今は、両極端に面と向かい合う時点にいます──惑星の資源の極端な乱用、富とひどい貧困という途方もない両極端です。何かが変わる必要があるのは明らかです。
レント:私たちのほとんどは、文明の崩壊というアイディアを目も当てられない状態だと見なすでしょう。この文明に批判的な者たちでさえそうでしょう。崩壊に由来する大量死と人類史上最大の災厄を実際には誰も目にしたくありません。私たちのほとんどは、裕福なエリート層を別にすれば、このような分岐については根本的に道義に反するものだと感じるでしょう。人類の大半はこの崩壊をただ耐えるしかない一方で、少数の大金持ちは自分たちが期待するテクノユートピア(科学技術による理想郷)へと引きこもるでしょうから。

SI:事態がそのような成り行きをたどる必要はありません。たぶん、それによって人類は団結するのではないでしょうか。
レント:もし中核にある基本的な人間的価値観から始め、他の人々と相互につながり合っていることを認識し、私たちが実際に自然界の一部であることを認識するならば、私の考えでは、ある枠組みを発達させることができます。それは私がますます考えるようになってきているもの、私が「エコロジカル文明」と呼ぶものの枠組みです。言い換えれば、自然界とのつながりの感覚の上に築かれる違った種類の文明です。その文明においては、人間は自然の生態系の中で独特であるけれども持続可能な役割を担っていることが認識されます。そのようにして私たちや周りにいる人々は、自分の潜在能力を最大限に発揮することができ、しかもガイアの生態系全体が栄えることができるような社会を創造するために働くことになります。それは私たちが行く必要のあるところです。

SI:私たちが完全に相互につながり合ったシステムの一部分であることや、惑星そのものを含めて地球上のすべての生命形態は相互に依存し合っており生きていることを、大勢の人々が当然だと受け止めています。認識の変化の引き金を引いているものは何でしょうか。自然界を搾取し誤用してきた悲劇的な状況にただ目覚めたということなのでしょうか。
レント:この新しい目覚めをつながり合いの感覚へと導く、三つの関連し合った根本要素を見てみるならば有益かもしれません。そうした要素の一つは、世界システムが機能していないという単純な事実です。それは破綻しつつあります。新しい世代の人々はこのことを理解しています。共に育った自然の美が失われ、打ちのめされたように感じる人々がいます。その美が壊されているのを目にします。それから、この不平等な世界経済システムがとても大きな人間の苦しみを引き起こしている有り様を目にします。そうした苦しみは、不正義に抗議するように新しい世代の人々を駆り立てています。これは人種差別主義者の台頭、部族主義的な思考型という形でのいっそうの分離へと、別の極端へとつながる可能性があります。人々は現在進行中のことに非常に不満を抱いており、どちら側にも行く可能性があります。分離主義を徹底しようとする者もいれば、新しいシステムが必要だということを受け入れる者もいます。現在のシステムへの不満が一つの主要な原動力です。
私たちがたぶんあまり認識していない別の要素もあります。この世代は、いにしえの時代から発達してきたあらゆる世界的な知恵の伝統を、より深い方法で実際に利用することができる最初の世代です。(およそ100年前に遡ることですが)西洋の少数の先駆者が発見した土着の知恵や仏教の伝統、道教やベーダの伝統です。彼らは教えを一種の「東洋主義」へと美化し、それをあまり現実的でないものへと変えてしまったかもしれません。しかし、現在の世代は、こうした非常に多くのアイディアが相互につながり合うようになった世代です。それは代替的な思考方法を探し始めるすべての人が入手できるものです。何千何万年も前からの全人類の知恵を入手できるようになったことは、人類の意識を引き上げることにおける途方もなく大きな変化です。
三番目の原動力は現代科学のシステム思考の隆盛です。科学的な観点から言えば、科学の偉大な進歩の多くは還元主義を通して生じました。還元主義は基本的にこう主張します。最小の不可視の部分へと還元することによって自然界を最もよく理解し、そうした部分がどのように機能するかを確かめ、それから自然界を再構築することができる、と。それは目を見張るような成功であり、多くの異なった方法で物事を理解するための偉大な象徴となっています。それはまた、それ自体の成功の犠牲者となっています。人々はそれを存在論的な信念体系と受け止めているからです。全宇宙を、無作為にお互いにぶつかり合う別個の部分のまとまりにほかならないと見なします。物事をこのように見ることによって、別の科学的な理解の要素、つまり、つながりの科学を見落とします。現代においては、これはときどき「科学」対「信念」として定義されます。

SI:そうですね、それは「宗教の価値観」対「科学的な世界観」というように、二つの根本的に相反する立場の間の衝突と見なされます。この議論に関してあなたはどのような見解をお持ちですか。
レント:私はとても異なった立場を取ります。私は科学そのものを、幾つかの世界の見方を取り入れ、世界についての知識を増やすために仮定や透明性、検査、理解という概念を取り入れる手続きの方法論と見なします。それは人類の偉大な発展と達成の一つです。しかし、科学はシステム科学を通して表現され得るものです。それは、私たちが複雑思考、システム生物学、ネットワーク科学、カオス理論のように物事を見る場合です──すべてのこのような異なった理解の仕方が、物事がいかにつながり合っているかを検証しています。いかに物事がつながり合っているかを見るとき、還元主義的な方法とは非常に異なった世界との関わり方を思いつきます。物事がつながり合っている様は決して完全には予測できないことが分かります。そしてこのシナリオにおいては、私たち人間が物事を理解しようとするとき、私たちは事実、その中での担い手であります。ですから、物事を理解しようとする方法そのものと私たちが行うことが、この全世界的なシステムの一部となるのです。

SI:それについてはあまり知りませんが、観察される現実のものに対して科学者や観察者が影響を及ぼすという量子力学的な考えのことをあなたは言っておられるのだと思います。
レント:はい、そうです。私たちは演技者であり担い手であり、システムの一部です。そして物事を完全には予測することができませんから、それは謙虚さへとつながります。私たちの行動が予測することさえもできないほど深く浸透するということを受け入れるからです。それは世界にある人間についての非常に異なった見方や、この相互につながり合ったウェブ(網)の一部であることを経験する非常に異なった方法へとつながります。こうした異なった要素──現在のシステムの破綻への不満、何千何万年も続く人間の伝統から入手できる知恵についての知識、現代のシステム思考の発見──を一緒にするとき、それらは重なり合うことが分かります。私の考えでは、すべてのうちで最もわくわくすることの一つは、現代の科学的な理解を知恵の伝統の偉大なる発見と統合させるという可能性であり、そのようにして本当に持続可能な、つながりに基づいた世界観をつくり出すことです。

私はここで、2050年に設定された想像力豊かな短編映画をいかに楽しんだかについて触れた。これはジェレミー氏が「大いなる変容、つまり私たちは、いかにして(かろうじて)気候災害を回避したのか」※ と呼ばれる彼のウェブサイトのためにつくったものである。それはユーモアを交えつつも深遠な内容を伝えようとしており、現在の危機の原因となっている様々な要因を浮き彫りにしている。私たちはこの映画について簡単に話し、私は彼が映画の中で提示しているネットワークシステムについて聞いた──それはまたしても、つながり合いと密接に関連し、未来との関係性を持っている。彼はそれについてさらに詳しく述べ、相互依存と「相互存在」について話した。この「相互存在」という言葉はティク・ナット・ハン(ベトナム人の仏教徒、教師、作家、詩人、平和活動家)による造語である。

レント:それは私が「意味のウェブ」と呼ぶものを提供します──つまり、物事は私たちの理解という観点から、あるいは人類が変化を起こすために一緒に活動することができる方法という観点からお互いにつながり合っているだけでなく、意味そのものが私たちのつながりの一つの機能として生じるということです。私にとってこれは全く根本的なものです。私が『パターン化する本能』という本のために調査したときに得た洞察の一つは、私たちが自らの存在から創造する「意味」は、文化を動かし歴史を形づくる価値体系につながるものだということです。

ジェレミー氏は、人々や物体や場所に意味を付与しているつながりについての理解に関してさらに詳しく述べた。つながりがもっと多くなれば、意味ももっと多くなるという。

レント:もし全世界的な相互のつながりの感覚から意味をくみ取るとすれば、私たちが行おうとすることはその感覚に基づくことになるでしょう。私たち自身と宇宙との最も深いつながりの源としての霊的な意味を見ることもできます。誰かが人生は無意味だと感じるとき、それはしばしば、他者や環境とのつながりの感覚を全く持たないことにさかのぼることができます。つながりは、私たちが人生から意味を取り出すことのできる源であります。それはまた、私たちが下す決定や人生において抱く価値観を後押しする場合があります。例えば、私たちが行う選択、毎日すること、属する集団や組織、世界において起こそうとする変化などです。

※ www.youtube.com/watch?v=H0VsHViz
M6Y&feature=youtu.b

このインタビューの第2部は、本誌12月号に掲載される予定である。

宗教間に橋を架ける

マクネア・エザードによるウィリアム・スウィング司教へのインタビュー

ウィリアム・スウィング司教は「宗教連合イニシアチブ(URI)」の会長であり設立者である。これは、異なった宗教や土着の伝統を持つ人々に正義と平和のために協力して働くよう促す異教徒間の世界的ネットワークである。スウィング司教は元カリフォルニア聖公会主教であり、1980年から2006年までその立場にあった。20年近く全米エイズ研究財団の理事であったため、主教のときに、エイズ危機対応のために国内外で指導者として奉仕した。スウィング司教は『ある司教の追求──宗教連合の設立(A Bishop’s Quest: Founding a United Religions)』(2015年)の著者である。マクネア・エザードが本誌のために彼にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI):宗教連合イニシアチブ(URI)の使命はどのようなものでしょうか。
スウィング司教:URIは、世界中のおよそ270の地域出身の草の根の人々と75から85の部族集団で構成されており、地域社会で問題に取り組んだり地球規模の問題に対処したりするために団結しています。
人々は「協力の輪」により団結し、それぞれの輪が独自の路線を決めます。URIの前提や目的、原則に沿う限り、希望するどのような問題にも目を向けることができます。一つの協力の輪には、三つの異なった伝統出身の少なくとも7人がいなければなりません。
URIは橋を架ける組織です。世界には十分な数の宗教がありますが、それらの間には十分な意思疎通や橋渡しがありません。ですから、もし私たちが絶えず殺し合ったり競争し合ったりすることをやめれば、神の名のもとに幾つかのことを一緒に行うことができるでしょう。

インスピレーションと始まり

SI:URI設立の背後にはどのようなインスピレーション(鼓舞)がありましたか。
スウィング司教:カリフォルニアの主教として、1993年に国際連合から電話をもらいました。彼らは50周年を祝うためにカリフォルニアに来たがっていました。国連憲章はサンフランシスコですべての国によって起草され署名されたからです。
ですから、国連は故郷に帰り、大きな祝賀行事を行いたいと思っていました。彼らはグレース大聖堂〔カリフォルニアの聖公会聖堂〕に来て、祝い事を行えるかどうか、そして私がそれを主催できるかどうか尋ねました。「主催できればうれしく思います」と私は答えました。その儀式について彼らが考えていたことは、すべての国をそこに集め、すべての宗教を一緒にして、1時間の和合の儀式を行うというものでした。「私たちが世界のすべての国の外交官を招きますから、あなたにすべての宗教を招いていただきたいのです」と彼らは言いました。
はい、と言ったものの、その夜ベッドに入ってこう考えました。「何てこった!  何というものに首を突っ込んでしまったんだ。イスラム教やヒンドゥー教のことは何も知らない。こうした宗教関係者をどうやって大聖堂に招くというのか」
諸国家は50年の間、日毎に歩み寄り、全世界の利益のために苦闘してきました。同じ50年の間、世界の宗教は話し合ってきませんでした。しかし、国家間の平和は宗教間の平和がなければ決して実現しないでしょう。そして、一堂に会することのできる冷静な祈りの場を誰かが設けない限り、宗教間の平和は生まれないでしょう。
その夜、宗教連合の創設の旗振り役になることに残りの人生を捧げることを誓いました。国際連合(United Nations)があるのなら、宗教連合(United Religions)もできると考えたのです。それがどのようなものになるかは分かりませんでした。何を行うのか分かりませんでしたし、どうやってそこにたどり着くのか、どうやって経費を賄うのかも分かりませんでした。私はただ、こうしたアイディアを思いついた一人の人間でした。

草の根の人々に働きかける

SI:それを始動させ、人々をその気にさせるにあたっての次の段階は何でしたか。
スウィング司教:世界の国々のリーダーシップが国連で代表されているのであれば、世界の宗教のリーダーのところに行って話をし、宗教連合を創設するにあたって協力してもらえるかどうか聞くべきだと考えました。1995年に、妻のメアリーと私は飛行機に乗りました。私たちはマザー・テレサと話をしました。ローマに行って、法王と話をしました。ロンドンのカンタベリー大主教、インドのシャンカラチャリアの信者、エルサレムのユダヤ教宗教指導者、イスラム教の大法学者、カイロのアル=アズハルのグランドシェイク、韓国の仏教徒と話をしました。思いつくことのできるあらゆる宗教指導者と話をしました。彼らに一つの質問をしました。宗教間の平和を追求するために他の宗教の代理人と会うことになるあなたの宗教の誰かを代理人として派遣する用意があるかどうか、という質問です。宗教間でもっと平和があれば、世界の歴史が変わるでしょう。彼らすべてに同じ質問をしました。「そうする用意がありますか」と。彼らは皆、「とんでもない」と答えました。
私は多くのことを学びました。世界の宗教はお互いに会おうとしないし、接触を保とうともしません。しかし私は、草の根の人々がお互いに会い、地方の問題に対処することを可能にする枠組みを見つけることができれば、世界をより平和で、より健全にすることができるだろうと考えました。あらゆる宗教の人々の間には多くの善意があります。宗教指導者に関してはあきらめ、草の根の人々から始めることにしました。それは転機となりました。

SI:何もしたくないという宗教指導者の態度の背後には何があったのでしょうか。
スウィング司教:宗教を見てみると、宗教は三角形のようです。頂点には、自分の下にいる人々の信仰を擁護することを第一の責務とする誰かがいます。もし彼らが他の信仰の宗教指導者と対等に会っているところを目撃されると、神との彼らの関係が、神との他の人の関係と同等であることを意味することになります。宗教指導者として、他の人々と会い、彼らを対等と見なす自由がありません。「私たちの信仰が最高の信仰だ。すべての信仰のうちで最も大きな真理を含んでいる」ということを前提として他の人々に接しなければなりません。したがって、民主的で冷静な祈りの場というものは宗教の頂点にいる人々にとって不可能なのです。
私は自分が会った人々を愛しています。素晴らしい人々ですが、ほんのわずかな自由しか持っておりません。エルサレムにいた時のことを覚えています。ダライ・ラマと私は会議を開催していました。彼と私はアルメニア正教会総主教に会いに行きました。彼は上の王座におり、ダライ・ラマと私は下の床にいました。私はこう言いました。「諸宗教が世界の利益のために一緒に働くことができれば、あらゆる可能性が生まれますよね。私たちを助けていただけませんか」。総主教はこう言いました。「ご覧のとおり、私は自分の王座で囚われの身になっています。この王座を離れることはできません。あなたたちは世界中を回ることができますが、私にはできません。私の仕事は、この王座に座って私の民を気づかうことです」。これは、私がいま話していることの良い例でした。

SI:宗教指導者によって拒絶されたことで、あなたは実際に、世界に本当に変化を起こす人々を見つけることになったのですね。
スウィング司教:はい。平凡な人を動員することができます。そうすると、世界における真の力を得ることになります。とても勇気づけられることです。

世界規模の協力の輪

SI:協力の輪について話してください。
スウィング司教:2000年に〔URIの〕憲章に署名しました。ある国で最初の協力の輪を始めました。私たちが行った最後の国はサウジアラビアでした。そこに行くことになるとは思ってもみませんでしたが、今ではサウジアラビアでスンニ派、シーア派、キリスト教の人々が一緒に活動しています。これは奇跡的なことです。先程も言いましたが、協力の輪には三つの異なった伝統の出身の少なくとも7人がいなければなりません。人々は自己組織化し、取り組みを始めます。

SI:「自己組織化」とは何を意味するのですか。
スウィング司教:もし協力の輪が環境の仕事を一緒に行いたいのであれば、そうすることができることを意味します。紛争の解決に取り組みたいのであれば、そうすることができます。女性の問題に取り組みたいのであれば、そうすることができます。核軍縮に取り組む協力の輪もあれば、芸術などに取り組む輪もあります。

SI:協力の輪はどのようにして形成されるのですか。
スウィング司教:2種類の協力の輪があります。一つは、既存の団体や、すでに異教徒間の活動を行っている人々のグループがURIのネットワークに加わり、URIの一部になる場合です。もう一つは、異なった宗教や部族の出身で、今まで一度も会ったことのない人々が自分たちで協力の輪を立ち上げる場合です。

異教徒間の英雄的行為

SI:特に啓発的だと思った協力の輪はありますか。
スウィング司教:最近印象に残ったものはスリランカにあります。その協力の輪はサルボダヤと呼ばれています。それは社会の底辺の安全網として機能しています。エイズを扱っているのであれば、それに取り組みます。貧困を扱っているのであれば、それに取り組みます。識字であれば、それに取り組みます。
最近、仏教徒のトラック運転手が3人のイスラム教徒の少年に殴り殺されました。ここは仏教徒の国です。仏教徒は怒り狂い、村々を焼き払い始めました。モスクを焼き、人々を殺し、家から追い出しました。突然、立ち退きと破壊が生じたのです。これについて誰が何をすればよいのでしょうか。
私たちのグループは、人々に水と食料をどうやって届けるか、家やモスクをどうやって再建するか思案し始めました。この状況は、タミル・イーラム解放の虎〔主としてヒンドゥー教徒の少数派〕とシンハリー人〔主として仏教徒の多数派〕との内戦を受けてのものでした。その内戦では多くの人が死にました。協力の輪は国を癒し、断片を元通りにつなぎ合わせるために活動します。
この前、エボラ・ウィルスが発生した西アフリカでは、キリスト教徒はイスラム教徒に血液を提供したくありませんでした。イスラム教徒はキリスト教徒に血液を提供したくありませんでした。そのため、URIの協力の輪は無条件の信頼に基づく血液バンクを始めました。地域の誰もが血液を受け取り、血液を提供することができました。異教徒間で血液の寄付を実施することによって、地域が安定するのに役立ちました。

SI:ヨルダン川を回復させるために、イスラエル人、ヨルダン人、パレスチナ人が活動している中東には協力の輪はないのですか。
スウィング司教:素晴らしい協力の輪があります。イスラエル政府やヨルダン政府、そしてパレスチナ人を相手にするのは、ご想像どおり、本当に大変な仕事です。ヨルダン川はたいていの場所でチョロチョロとしか流れていません。上流で皆が水を吸い上げているからです。下流に届く水からは悪臭がします。あそこでは水が生存への鍵を握っているのです。すべての人が恩恵を被ることのできるように、異なった政治、文化、宗教のグループを水問題に一緒に取り組ませることは大変なことです。

SI:パキスタンには、「パキスタン全体にとってのより良い地域社会」という協力の輪もあります。彼らは世界でも特に不安定な地域にいます。彼らの仕事はどのように進んでいますか。
スウィング司教:信教の自由のあるアメリカのような国に住んでいれば、宗教連合イニシアチブはたくさんの良いことの中の一つの良いことです。神について信じていることのせいで明日殺されるかもしれないような国に住んでいれば、宗教連合イニシアチブは人々にとってすべてを意味します。私たちの若いリーダーの一人はそこで3年前に吹き飛ばされました。クウェッタで死亡した聡明な若者です。私たちが行っている仕事を行うときには大きな危険があります。命を危険にさらす人々もいます。
パキスタンには50の協力の輪があります。私は個人的に何度かそこで働き、最高裁判所や弁護士、草の根の人々と知り合いになりました。私たちの仕事にとっては大いなる国です。

SI:あなたは協力の輪に入っていますか。
スウィング司教:はい。輪に参加している人々の中には、〔アメリカの〕国務長官であったジョージ・シュルツ、〔アメリカの〕国防長官であったビル・ペリー、〔アメリカ軍縮担当外交官であった〕トム・グラハム大使がいます。私たちは電話やズーム〔視聴覚インターネット・コミュニケーション・プログラムのこと〕で毎月連絡を取り、核廃絶に向けて何ができるかを検討します。彼らは核兵器に直面してきた人々です。彼らは私たちが取り扱っているものの恐ろしさを知っています。
私たちはこの惑星を破壊することによって、神が創造したすべてのものを破滅させる可能性があります。瀬戸際まで来てしまったのです。こうした兵器に長らく固執していれば、この世界を破壊してしまう可能性があります。私たちには直ちにそのようにしてしまう力があります。
兵器を近代化しなければならないと言われています。それは兵器をより強力にすることを意味しますが、他の核保有国も同じことをします。そうすると、100年後、200年後には、この世界を破壊するどれほどの力を持つことになるでしょうか。そこから身を引かなければなりません。
そのようなわけで、大勢の人が月に1回、1時間集まります。なお、私たちはいつも、話し合いを始める前に祈りを捧げます。誰かがこう言いました。「祈りを捧げているユーチューブのビデオを作りませんか」と。実際に作り、それは「核の祈り」と呼ばれています。ジョージ・シュルツやビル・ペリーのような人々が信仰や核兵器、そして神とこの地球への深い敬意について話すのを聞くと、心がとても動かされます。

SI:最近、アメリカで銃に関する法律を変えようとする若者の運動が勢いを増しています。若者はURIの仕事に関与していますか。
スウィング司教:宗教連合イニシアチブのおそらく80%が35歳前後かもっと若い人々、宗教に縛られているという感覚をあまり持たない人々です。寛容さや融通性を持っているのは若い人々です。同行するとき、私たちはこう言います。「あなたの宗教だけがあるのではありません。他の宗教のことも考慮しなければなりません。私たちはここで、もっと大きな世界をつくり上げなければなりません」。若い人々はこのことを理解します。彼らは現在、私たちの重荷を背負っている人々です。

SI:URIの将来についてどのようなビジョンを抱いていますか。
スウィング司教:URIは適応し変化し続けなければなりません。私は自分のビジョンの終点へと到達したような感じがします。私たちはそれを開始させました。世界と聖霊は、私たちが次に何をすべきかを明らかにするでしょう。「未来を知っており、どこに行かなければならないかを知っている」と言ったりする、創設会長のようなものにはなりたくありません。私はいつも神秘の中を歩いており、自分が主のお仕事をしていること、聖霊が私を導いてくれることを望んでいます。創設者は未来を知っているというような、自我が行うものにはしたくないのです。私は過去に関して謙虚であるのと同じくらい未来に関しても謙虚です。すべて奇跡的なことなのです。それは神の手のうちにあると究極的には信じていますが、私は冒険しようと意気込んでいます。要はこういうことです──冒険しようと意気込んでいるということです。

より詳しい情報についてはuri.orgを参照してください。

「誰も窮乏することのない」──資本主義体制の次に来るものとは

フィリス・パワー

今日の資本主義は、確実に死の間際にある。貪欲と搾取が極度に増加している。世界の富裕層の1%が世界全体の富の半分以上を所有している社会、私たちが生活しているまさにこの惑星を破壊している社会、それは持続可能ではない。多くの人々が取り残されており、彼らはこの状況にずっと甘んじることはないであろう。人々の声は大きくなりつつあり、そして聞かれるだろう。
今月(2018年5月)は、共産主義の父であるカール・マルクスの生誕200年である。共産主義は、良い社会関係のモデル、そして現在は失敗した、残酷な全体主義の統治モデルと考えられている。人民による人民のための統治は、偽物であることが判明した。革命派は支配者となり、人々に立ち向かい始めた。その当時、自由は存在しなかった。しかし現在の資本主義の状況下でも、豊かな国においてさえも、まさに多数のための見せかけの自由が存在するだけであり、人々はどうにか生活していくのに四苦八苦している。世界で最も豊かな国の一つである英国では、フードバンクや路上生活者が、ほぼ社会的に容認されるようになっており、非常に身近なものとなっている。また金持ちにも真の自由はなく、常に自身の富の消失を恐れている。そして、保守的なこの国においてさえも、暴力が増大している。
カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによる共産党宣言は1848年に出版されたが、現在ギリシャの経済学者であり政治家のヤニス・バルファキス氏によって、興味深い序文が加えられたものが再刊されている。彼はこの宣言を、不必要な多くの苦しみを終わらせる未来の代理人となること、そして本当の自由が持つ可能性を人類が認識するように鼓舞する未来の仲介者となることを私たちに求める、より良い未来のための集団的行動のインスピレーションとして称賛している。
バルファキス氏は、この宣言は国家権威主義を呼び掛けるものではなく、共産主義を実践させるためのものではなく、また永続的に続く困難な階級闘争の分析書でもなく、むしろ「リベラルテキスト」であると解釈しており、その宣言が書かれた当時よりも、現代の方が、より意味があると考えている。彼は次のように書いている。「共産党が政治的舞台からほとんど完全に消滅しているとしても、共産主義の原動力としてのこの宣言の精神は、沈黙することが難しいことを証明している。・・・・」
「自由、幸福、自立、個性、霊性、自己発達は、マルクスとエンゲルスが何よりも重要視した理念である。彼らがブルジョア階級に対して怒りを覚えたとしても、それはブルジョア階級が、大多数が自由になる機会を否定しようとしているからである。人間は鎖に繋がれている限り、自由ではないというヘーゲルの素晴らしい思想に対するマルクスとエンゲルスの強い支持を前提として、彼らのブルジョア階級に対する論点は、彼らはすべての人々の自由と個人性を資本主義の蓄財の祭壇に捧げているというものである」
ベンジャミン・クレームの覚者は、それを次のように表現している。「商業主義が人類の喉元をつかみ、あらゆる寛大な思考や意思表示を彼らの人生から奪い取っている。人間の魂は、この抑圧をもはやこれ以上耐えることはできず、苦悶とフラストレーションで声高に叫んでいる」
2.2段階のイニシエートであったカール・マルクスは、知られてはいないが、イエス覚者の弟子であったこと覚えておくことは、価値のあることである。彼はその生涯で、貧しい人々の味方となり、固定化した特権と権力の自己中心的な行動に反対した。マイトレーヤの優先順位は明らかに単純である。すべての人々への食料、住居、保健医療、教育の提供である。これらすべては基本的人権となるべきであり、それ無しには真の人類の解放は不可能である。それらはマルクスの時代やイエスの時代と同様に、さらに現在でも強く主張する必要がある。ベンジャミン・クレームは「人類は、資本主義と共産主義(社会主義もしくは民主社会主義)の最良の部分を組み合わせることによって、自由を達成するでしょう。そしてハイアラキーは、健全な社会の結合と正義のための理想的な関係は、70%の社会主義と30%の資本主義であるという見解を持っています」と語っていた。
物質的価値観に基づいた物欲社会の中に、自由はない。私たちすべては、思考しない動き回る歩兵であり、自分たちのコントロールを超えた力によって、無意味な存在に向かって速足で進んでいる、とバルファキス氏は表現している。この共産党宣言は、現代の不正義に反対する行動を常に取るようにと、人々を奮起させる呼びかけを行っている。彼は「最終的に、何が勝利するかは私たち次第である」と述べている。

参照文献:
ヤニス・バルファキス氏による共産党宣言の紹介、Vintage Classics、2018年(Guardian.com)
「教師としてのキリスト」、ベンジャミン・クレームの覚者『覚者は語る(・)』石川道子訳、シェア・ジャパン出版、2017年
ベンジャミン・クレーム『マイトレーヤの使命 第一巻』石川道子訳、シェア・ジャパン出版、再改訂版、1998年
ベンジャミン・クレーム『多様性の中の和合』石川道子訳、シェア・ジャパン出版、2012年

カール・マルクス(1818-1883)
光線構造:魂6;パーソナリティー2(3);メンタル体5(7);アストラル体6(6);肉体3(7)。進化段階2.2

 

歩いて行くのをやめる

 

マイケル・テイルズ

水は地球上のすべての生き物と私たちを結びつけている。 安全な飲み水を手に入れることは、女性や子供たち、および家族の健康を改善することによって教育と仕事の展望を生み出し、あらゆる困難をチャンスへと変換する。

国連の水と衛生に関する持続可能で発展可能な開発目標「目標6」は、2030年までに安全で手頃な価格の飲料水が、世界中に平等に与えられることを求めている。
しかし、2025年までに世界の人口の半分が水不足地域に住んでいるだろうとも言われている。 これは、「目標6」が達成されるまでに世界の人口の半分が、すでに水不足地域に住んでいることを意味している。

挑戦

きれいな水が貴重な必需品となっている。2018年1月、南アフリカのケープタウン市は、清潔な飲料水不足が近づいていることを明確に表明した。メディアはこの状況を「ゼロの日──水道蛇口から水が出ない日」と呼んだ。ケープタウンの市民の水は、わずか3カ月しか残っていないと推定されていた。水不足の原因は、気候変動、人口増加、この百年間の最も深刻な干ばつとの相乗効果によるものと考えられていた。
南アフリカの水不足は、残念なことに唯一の状況ではない。 統計的データは、落胆させるような世界の姿を示している。
■ 5歳未満の子供たち30万人以上が、安全でない飲料水、不潔な衛生施設、および劣悪な衛生状態のため、毎年下痢症で死亡している。
■ 90秒に一人の子供が、水が原因の疾患で死亡している。
■ 8億4,400万人が安全な水にアクセスできないでいる。
飲み水を汲みに行く責任は、もっぱら、いや文字通り、この貴重な資源の集め役となりがちな女性と子供たちの肩にかかっている。国連児童基金(ユニセフ)は、女性と少女たちは、毎日飲み水を汲みに2億時間を費やしていると述べている。これは時間の無駄であるだけでなく、女性を貧困のサイクルに閉じ込めてしまう。 比較的安全な飲料水を収集するために費やされた時間の長さは、教育、仕事、または他の自発的な活動に費やされる時間を縮めていくのである。

好機

カナダアルバータ州立大学のジット・パテル氏とルトゥ・メータ氏の2人の学生が行動を起こすことを決心した。ルトゥ・メータ氏は21歳で、現在はビジネス経済学と法学の学位取得へ向けて、副専攻科目の財務管理を含め学習中である。彼女の将来の計画は、企業の弁護士になるだけでなく、アクア・シーラム(Aqua Caelum:学生によるビジネス・コンサルティング会社)が、世界中の何百万人もの人々を援助できる企業に成長するのを確実にすることである。ジット・パテル氏も21歳で、現在機械工学の学位を目指して勉強中である。彼の将来の目標はMBAの学位を取得し、アクア・シーラム(Aqua Caelum)が数百万の人々を助けることができる大いに成功した企業にすることである。
彼らは 「水危機を終わらせ、何百万人もの人々がきれいな水を手に入れることができるようにする」という使命を持つ企業を、一緒に共同設立した。本質的に、彼らは(水を手に入れるための)遠出をやめることを目指している。 彼らの研究と努力は、除湿器によく似た「大気水発生器」(AWG)システムの製造にたどり着いた。 その装置は、熱力学を使用して水滴を空気中から抽出し、水を濾過システムに通してきれいな飲料水をつくり出すものである。
マイケル・テイレス氏はシェア・インターナショナルのために、ジット・パテル氏とルトゥ・メータ氏にインタビューし、世界的な水危機に役立つことを望んでいる彼らの発明について話し合った。

SI(シェア・インターナショナル):どのように「大気水発生器」(AWG)に対する考えが浮かんだのですか。
私たちにその考えが閃いたのは、2017年の夏でした。数社のメディアの記事の見出しには、繰り返し書かれているテーマがあることに、私たちは気づきました。それは水危機でした。 ケープタウンのような大都市は水不足に直面していましたが、それは10年後に起こることではなく、今起こっていることでした。調査を行った結果、約10億人の人々が清潔な飲料水を手に入れることができず、国連によると、2025年までに人口の3分の2が水不足に直面することになります。何かをしなければならないことを実感した時、私たちは何百万人もの人々に清潔な飲料水を提供できる解決策を考え出すことにしました。

SI:「大気水発生器」(AWG)はどのように作動するのですか。
本質的に「大気水発生器」(AWG)が行うことは、空気から水を凝縮することです。 高温の湿った空気が冷たいコイルの上を通過すると、その空気中に閉じ込められた水分子を凝縮させます。凝縮された水は飲み水用に濾過されます。このプロセスは除湿器と同じです。

SI:1台の「大気水発生器」(AWG)で生産できる水の量は何リットルですか、また、その量をつくるのにはどれくらいの時間かかりますか。
現在、私たちは1日に20リットルの清潔な飲料水をつくり、汚染された水を飲む必要がないようにしています。 私たちが製品の研究開発を続けていく中で、この能力を向上させ、より多くの人々を援助することを目指しています。

SI:「大気水発生器」(AWG)が最高に有用性を発揮するのは湿度の高い地域のようです。より乾燥した気候下でも使用できますか。
現在、当社のシステムは湿度の高い場所で使用するように設計されていますが、40~50%の湿度でも使用できます。さらに研究を重ねることで、乾燥した気候下でも水を生産するシステム構築を目指しています。

SI:もし汚染レベルが高く空気の質が悪い場合は、その装置がつくり出す飲料水の品質に影響しますか。
汚染は間違いなく飲料水の品質に影響を与える大きな要因です。 汚染物質が空気中から侵入するのを防ぐための最も有効な解決法を決定するために、様々なエアー・フィルターをテストしています。バクテリアのような他の汚染物質は、水を浄化するのに役立つ水フィルターで処理されます。 私たちのフィルターは数カ月ごとに交換する必要があり、その手順はかなり簡単に学ぶことができます。 付属の取扱説明書には、これらのフィルターの取り付けと交換手順が段階的に示されています。

SI:その装置は、途上国にとって費用効率は高いですか。
現在、途上の国々の政府にいろいろな「大気水発生器」(AWG)を販売し、彼らが容易に導入して都市に普及することができるように検討しています。さらに必要な開発は、製造単価を大幅に削減し、これらの国々にとって費用効果が高くなることを保証することです。

SI:あなたはこれまでにどのような財政的または政治的支援を受けていますか。
われわれは、アントルプルヌール・シップ(Entrepreneurship:創造性のある起業家精神を持つ個人事業家)に対する財政的支援を、アルバータ州立大学、アルバータ・リンク(AlbertaLink)、アルバータ・エメラルド基金(Alberta Emerald Foundation)、およびコノコ・フィリップス(ConocoPhillips:世界6大石油企業)から受けています。

SI:あなたと仲間の学生は、学生・学者・ビジネスリーダーで構成される国際的な非営利団体エナクトゥス(Enactus)が主催する次回の「コンペ」で、このデザインを発表します。 過去の結果はいかがでしたか。
「コンペ」は2018年5月14日に行われます。われわれはアクア・シーラム(Aqua Caelum)と一緒に他の二つのプロジェクト、ヘンパクト(Hempact=小・中規模の企業・起業家へのサービス提供)とソーシャル・コミュニティー・コンサルタント(SoCo Consulting)をトロントのエナクトゥス大学(Enactus)・ナショナルコンペで発表します。

SI:あなたがインスピレーションを受けているこの道に沿って他の人が動くよう促すアドバイスはありますか。
私たちのアドバイスの一つとしては、いかなる解決策も大き過ぎたり小さ過ぎたりしないということです。 あなたが有益な何かを創造する可能性があると信じるなら、それを求めて行くべきです。世界は素晴らしいアイディアでいっぱいですが、成功するには行動が必要です。また、企業が成功する前には多くの間違いを犯しますが、そのことであなたが失望したり、諦めたりしてはなりません。 小さな努力のすべてが重要なのです。

詳細情報:www.aquacaelum.com

環境正義の追求

ジェイソン・フランシスによる ロバート・バラード博士へのインタビュー

ロバート・バラード博士は「環境正義の父」と説明されることが多い。博士はテキ サス・サザン大学で教鞭を取っており、都市計画と環境政策の特別教授である。 博士は、共著である『間違った保護方針──政府の災害対応がいかにアフリカ系アメリカ 人社会を危険にさらしているか(TheWrongComplexionforProtection:HowtheGovernment ResponsetoDisasterEndangersAfricanAmericanCommunities)』(2012)を始め、18冊の本を 著した。他の栄誉としては、ニューズウィーク誌は、2008年に博士を今世紀の13人の環 境指導者の一人として名を挙げた。ジェイソン・フランシスが、本誌のためにバラード博 士にインタビューをした。

シェア・インターナショナル(以降SI):あなたは どのようにして「環境正義の父」として知られる ようになったのですか。

ロバート・バラード:これは、早い時期に私に与え られたようなものです。私は数多くの研究や著作を生み出しており、1978年から、民族問題や環境問 題の周囲で発生している問題を概念化し定義しよ うと試みながら、地域の団体と共に活動してきま した。私は多くの要望を受け、多くの人が私に支 援と援助を求めました。人々が持つ問題や挑戦を引き受け、多くのコミュニティーを援助すること は、その説明がどのように展開するかということで す。それは行き詰まり、私が推進しようとしていた ことではありませんでした。

SI:あなたは「環境的人種差別」をどのように定 義しますか。
バラード:それは制度化された差別の形態であり、 人種、肌の色、出身国を元にした環境の法や規制 の適用に関して言えば、差別的待遇という結果に なります。それは、住居選択、投票、雇用におけ る差別と似ています。もし人種が、どのような保 護を得られるかを決定する最も重要な要因である 場合、環境的人種差別は、このような種類の差別 の基本的な要素です。つまり、環境的な不正義と いう形での環境的な人種差別です。

SI:あなたの代表的な仕事について、お話しいた だけますか。
バラード:約40年の間、研究、政策、市民活動へ の参加と有権者参加がありました。私が行った最 初の研究は、1979年のテキサス州ヒューストンの 黒人コミュニティーに関するものでした。アフリ カ系アメリカ人の多い中流階級の郊外地域に廃棄 物埋め立て地が位置しており、認可されていまし た。環境的差別を変え、公民権法を適用する最初 の訴訟のためのデータを私は収集しました。それ は、「ビーン対南西部廃棄物管理会社」という訴 訟でした。私の妻はこの事例の弁護士であり、私 は鑑定人でした。
1930年代からこの訴訟が起こされた1978年まで、 市有の埋め立て処分場の100%が、黒人の多い地域 に隣接していました。八つの市有の焼却場のうち の六つ、四つの私有地の埋め立て処分場のうちの 三つが、その同じ期間内に黒人の多い地域に隣接 していました。「ビーン対南西部廃棄物管理会社」は、黒人は人口の25%を占めていたにすぎないの に、ヒューストンで処理された全廃棄物の82%が黒 人の多い地域の近くに送られたことを明らかにし ました。
その研究と訴訟から、もしこれがヒューストン で起こっているのなら、おそらく南部の他の地域 でも起こっているのではと、私は考えるようになり ました。私は研究をヒューストンから拡大し、テ キサス州のダラス、バトンルージュからニューオー リンズにかけてミシシッピ川に沿って広がるルイジ アナの『がん回廊』、世界で最も有害な埋め立て処 分場のあるアラバマ州のエメルまでを含めるように しました。
私はウェストバージニア州に行き、施設内の黒 人コミュニティーに位置する化学工場を見ました。 その当時は、ウェストバージニア州に黒人がいる ことを、多くの人は知りませんでした。この会社 は彼らを見つけ、1950年代に彼らのコミュニティ ーの中ほどに工場をつくりました。
私たちがアメリカ南部で起こっていることを調べ、基本的に発見したことは、南部の黒人コミュ ニティーは環境汚染の不公平な負担を負っており、 有害な人種差別が現実であり継続していたことで した。こうして私は、『南部諸州への廃棄 (Dumping in Dixie)』(1990)という本を書いたので す。私は研究を南部からアメリカ全体に拡大し、 『不平等な保護──環境正義と有色人種の社会 ( Unequal Protection: Environmental Justice and Communities of Color)』など、この問題を調査する 他の本を書きました。

国民的、国際的運動になる

SI:あなたの活動は、その後、どのように進展し たのですか。
バラード:1991年に、私たちは最初の「全国有色人種環境リーダーシップサミット」を開催しまし た。キリスト連合教会に所属するベンジャミン・ チャビス博士が各団体を結集させました。50州の すべてと少なくとも6カ国からの代表団が参加し ました。(チャビス博士は、マーチン・ルーサー・キン グ・ジュニア牧師のアシスタントを務めた公民権運動 の指導者である。サミットの代表団は、環境正義運動 の礎となった環境正義の17の原則の草稿を作成し採択 した)
1992年に、私たちはリオデジャネイロの地球サ ミットに向けて準備した環境正義の原則を採用し ました。地球サミットに行くまでに、私たちの原 則は六つの言語に翻訳されました。1992年から、 パリ、マラケシュ、ボンを始め、国連の主要な気 候サミットの度に環境正義の代表団を派遣し、世 界で何が起きているかを見てきました。
環境正義と環境的人種差別はアメリカの小さな コミュニティーで始まったものですが、こうした問 題を調査する際に、その枠組みは世界中に適用で きます。地球温暖化の影響があり、最初に汚染さ れ、それが最もひどく最も長く続いたコミュニティ ーは、発展途上国か、地球温暖化に最も影響を与 えていない貧しい国の貧しいコミュニティーにあり ます。その状況は、アメリカと同様です。私たち の環境正義の枠組みは、1992年のリオのサミット で拡大され、現在地球規模で起こっていることを 見るようになりました。

SI:長年の間に、環境正義の運動はどのようにし て統合され、成功していったのでしょうか。
バラード:環境正義の運動は、自分たちだけの小 さな孤立した奮闘から、地元の指導者が生まれ、 国民的、国際的な運動の一部となるまでに成長で きました。
1978年にヒューストンで、私たちは公民権や環 境などの、どの団体からも援助を受けていませんでした。しかし今日では、環境正義の運動は、公 民権、人権、環境、宗教的活動、教育などの運動 を包含しています。環境正義のパラダイムという 考え方は、現在では、法科大学院、公衆衛生大学 院を含む、あらゆる種類のコース、カリキュラム、 プログラムを持つ大学で教えられています。私た ちは、そのような形で入り込んでいったのです。
あなたがもし、1994年にクリントン大統領が発 令した環境正義に関する行政命令の後での、そし て1970年に成立した国家環境政策法の下での(「人 間環境の質に著しく影響を与える」連邦政府の行動案 に必要な)環境影響評価書を見れば、それらすべて の分析と報告書について、現在では環境正義のア セスメントと分析を行う必要があることが分かる でしょう。
歴史的に取り残され、必要な人に資金が適正に 割り当てられていないコミュニティーの地域計画 や災害対応を見てみると、環境正義の枠組みが、 今では政府組織や非政府組織や宗教的活動を行う 団体の活動の一部となっているのです。たとえ枠 組みがそこにあっても、それがどのように実現され ているかは、場所によって異なります。
環境正義の考え方はアメリカで生まれたもので すが、今では世界的な運動となっています。貧し い人々や有色人種に関係があるか、もしくはある 種の特性や不利益に基づく、環境的な問題や困難 のある場所で、環境正義の枠組みが適用されてい ない場所を見つけることは困難です。認可が与え られた場合、このような種類の分析や枠組みが考 慮されるようにする上で、この運動は大きな影響 があります。
最後に、この運動の最も大きな影響は、草の根 活動を援助し支援することであり、またこのよう な奮闘をしているコミュニティーが、地元のコミ ュニティーの外で、支援し資金調達を助けてくれ るような弁護士、専門家、科学者に関して、援助を受けられることを明確にすることです。

SI:2012年のビバリー・ライト博士とあなたの共 著『間違った保護方針』の中で、アメリカの自然 災害や人災で地元のコミュニティーに対して政府 がどのように反応したかを、あなたは調査しまし た。何が分かったのですか。
バラード:私たちは、1927年のミシシッピ大洪水 から2010年のメキシコ湾でのBP(ブリティッシュ・ ペトロリアム)の原油流出事故に至るまでの災害を 調査しました。ハリケーン、洪水、干ばつ、産業 的な流出事故などです。そこで分かったことは、そ の80年間で、地元の自治体や政府(州、連邦)は、 すべてのコミュニティーに同じように反応したわけ ではないことです。農家であれ、中小企業であれ、 在宅勤務者であれ、誰がお金を持っているか、ど の団体が政治的影響力を持っているか、どの人種 や民族に属しているかによって、自治体や政府の 反応は違っていました。
つまり、自治体や政府の反応に関しては、特に 復興の場合、お金のある所にお金が集まり、力の ある所にお金が集まることが多いのです。通常お金 は、復興用機器をそろえるために政治的影響力を 持つ所に集まります。最初に立ち直るコミュニテ ィーが資力を持つコミュニティーであることは、何 も驚くにあたりません。そして場合によっては、災 害復興において、大きな被害に苦しんでいないコ ミュニティーが、書かれた規則に従って追加の資 金を得る結果になります。
置き去りにされた脆弱なコミュニティーは、災害 に直面したことで、さらに置き去りにされ、災害 によって貧困に投げ込まれます。貧しい人々は、 より貧しくなります。災害の発生後、復興が軌道 に乗り始めると、お金を持つ人がお金を持たない 人に対して競争するようになります。どちらが勝ち そうなのか、予想できるでしょう。住宅不足、生活必需品の値上がり、賃料の上昇、希少な資源に 対する競争によって、経済的に不利な人、つまり 貧しい人、高齢者、子供のいる家庭、病気の人な どが、さらに経済的に不利な立場に置かれます。 それが、80年にわたる自治体や政府の災害への反 応で分かったことです。ヒューストンのハリケー ン・ハービー、フロリダのハリケーン・イルマ、バ ージン諸島とプエルトリコのハリケーン・マリアな ど、昨年の災害では、同じパターンが大規模に続 いていました。

SI:環境正義の運動は、将来はどうなるのでしょ うか。
バラード:環境正義の運動は、継続しており健在 です。運動の根幹にあるのは、それが世代を超え ていることです。環境正義の運動は、もっと大き な環境運動の一部であり、若者や学生を引き付け る大きな力を持っています。環境保護主義や人口 動態の変化、正義と公平を私たちのすべての運動 に導入することを話すとき、私にとって、環境正 義の運動はこの国の未来となるでしょう。その運 動が環境問題であれ、投票問題であれ、刑事司法 制度に係わる問題であれ、私たちの環境正義の枠 組みは、この国だけでなく、世界の広い地域にお いて、数多くの運動に置き換わり、引き継がれて います。

詳しくは次のウェブサイトを参照してください。 drrobertbullard.com

 

移民危機の最前線で──ギリシャのレスボス島での生命救助活動

シェレーン・アブデル・ハディ・テイレスによるランス・ブシェ氏へのインタビュー

移民の国際化はグローバル化した世界の必然的な結果である。しかし、グローバルな発展に貢献するという積極的な影響力は、しばしば誤解とか曲解、政治上の公開討論の場における加熱した議論によって削がれる。

移民国際機構(IOM)によると、現在、約2億5,000万人の移民が世界に存在する。彼らの圧倒的多数は、完全に通常の方法でホスト国に移ってきて留まっている人々である。移民たちがホスト社会に経済的かつ社会的にマイナスの影響を与えているという一般的な見解は思い違いである。移民たちが良い生活を求めて故郷を離れることを選んだことで、ホスト国の地域社会から仕事を奪い、その地域社会の社会資源を脅かすと考えるのは神話にすぎず、真実からほど遠い見方である。IOMによると、変則的な移民を含む、あらゆる職種レベルの移民がホスト国に、彼らの所得の約85%の経済的貢献をしており、彼らが受けるサービスのコスト以上の税金を払っている。加えて、彼らは送金という形で収入のおおよそ15%を故郷に送っており、発展途上国の経済発展に貢献している。恐怖ではなく事実に基づくことが、移民政策上肝要であり、移民たちが彼らの社会にしている肯定的かつ本質的な社会的、経済的、そして文化的な貢献に光を当て、評価すべきである。
移民は、そこで繁栄するためではなく生き残るために、自分たちの命や子供や家族の命へのリスクを抱えて、住み慣れた故郷から逃れて来る。彼らは、習慣や言語や持ち物や友人たち、またしばしば家族さえ、すべてを置いてくる。そして、彼らの新しい土地に安全に到着するのを援けると約束する密輸業者に、あらゆるものを差し出してしまう。もし彼らが新しい土地への危険極まる旅を何とかして終えると、彼らは、生活環境がみじめで過剰人口で安全ではないキャンプに留め置かれる。
ギリシャでは2016年以降、移民数が急増し、毎日200人が押し寄せ、その40%が子供であった。2018年2月に、エーゲ海の諸島連合の法律家たちは、隣国トルコを経てやってくる難民や移民の強制的拘束に反対を表明した。
ランス・ブシェ氏はカナダの軍隊にほぼ20年間勤め、また約30年間カナダのアルベルタ河川保安消防署に勤めた。2016年に彼は、トルコ経由でやって来る移民を救済すべく、ギリシャのNGOの国際緊急対応センターを支援するために、レスボス島に7週間配置されるカナダ救済専門チームを立ち上げた。2017年にこのグループは、再び配置され、移民が可能な限り安全に到着することができるように、移民の生命を保護するための人道的支援団体、カナダ海洋救助支援国際機構(CMRAI)を組織した。CMRAIは、2018年度ノーベル賞受賞候補の63団体の一つである。シェレーン・アブデル・ハディ・テイレスがランス・ブシェ氏に、シェア・インターナショナルのためにインタビューした。

シェア・インターナショナル(以降 SI):あなたいかにして移民船であることを調査し判断するのか、また、移民船であると判断した場合、何をされるのかを述べていただけますか。
ランス・ブシェ:日中に私たちは訓練と船の管理とを行います。夜間に私たちの船は深夜から日の出までの間、移民船についてパトロールをいたします。私たちは移民船を様々な方法で発見します。移民船が恒常的に到着する地域の海域を見渡せる双眼鏡と夜間観察用装置を使って探索する海岸専門のチームがあります。船には双眼鏡と共に赤外線装置や海岸およびギリシャ沿岸警備隊(HCC)と船との間で連絡し合う無線電話機が装備されています。そして、調査にとって肝心なことは、エンジンを切って、人々の声を聞き取り、モーターボートのエンジン音を聞くことです。
移民船を調査するときには、沿岸警備艇が私たちの許可を得て船舶に近づき、移民たちが海岸に上陸する際に、崖や岩などの危険な地域に近づかないように誘導します。

SI:ギリシャでの救援活動をしている他の組織がありますか。
ブシェ:ギリシャ沿岸警備隊(HCG)やヨーロッパ国境沿岸警備機関「フロンテックス」の委託を受けた団体がありますが、それらのほとんどは、非専門家集団の混成体であり、NGOです。しかし、一旦それらHCGやフロンテックスの乗組員が私たちと共に働くとなると、彼らの活動レベルは向上し、頻繁に私たちのチームと無線ラジオで交信し、私たちの仲間になります。私たちはまた、この地域を管轄するNATOの軍艦とも共同で働き、その際、コールサインを使って情報を共有しています。

SI:ギリシャに到着した人々にとって避難者のための環境はどのようなのでしょうか。
ブシェ:キャンプは人でごった返しており、避難のためにどれだけ時間がかかるかは定かではありません。ギリシャの避難民キャンプの一つであるモリアの場合、私たちが島にいた間の2017年に、火事が起ったり、数回の抗議行動があったりしました。HCGが難民たちをどういう風に上陸させるかを決めると、難民(移民)たちは最寄りの港に上げられ、いわゆるステージ2の段階になります。これは、NGOによって、医療処置や洗浄や衣類贈呈などの運営がされる臨時キャンプになります。モリアで政府による書類作業が始まり、それが終了するまで、彼らはステージ2の段階に置かれます。

SI:あなたは、レスボス島に移された移民たちの環境が悪くなっていると思われますか。
ブシェ:ええ、キャンプの環境は悪くなっています。ここは人であふれており、現状のシステムを超えて移民たちを何とかしようという動きはありません。移民船の到着数は2015年の危機時と比べて減少していますが、70人以上という過剰な人や物を乗せる(難民用の)ゴムボートはなくなってはいません。その上、密輸船が横行しており、高速船を使って国境を越え、発見されにくい最悪な場所に難民を降ろしています。誰かに発見されるまで、難民は真夜中に海岸に放置されているのです。行き場のなくなった人々のために毎朝、北に面した長い海岸線を探索し救出するのがNGOの仕事になっています。真夜中に海峡の国境線に沿ってパトロールするのは、HCGでもフロンテックスでもなく、NATOの仕事です。

SI:際立ったものだと思われる何か特別な事例がありますか。
ブシェ:今年の夏、すなわち2017年7月に私がそこに居合わせたのですが、私たちは多数の難民を救助いたしました。私の子供と同年齢の二人の年少の子供に関与した時がそれです。私たちは午前3時にNATOの軍艦からの通報で、海岸にたどり着いたばかりの難民の救助に向かいました。海岸のチームがこれに呼応した結果、二人の年配の男性と一人が傷を負っている年老いた二人の女性と、二人の6歳の子供以外の難民たちは、危険な岩から離れることができました。HCGからの接触許可を得るのに1時間ほど遅れた後で、私たちは岩場をくぐり抜け海岸へと救助船を操縦いたしました。二人のボランティアが、濡れて凍えている男性と子供たちを注意深く船へと運びました。彼らは最後に、一人の女性と傷を負っている女性を注意深く乗船させました。恐怖におびえる子供たちの顔を見た時のことを決して忘れることができません。彼らはひどく恐怖に満ちた様子をしており、なぜ、何が起こったのかを全く理解していませんでした。私は彼らをなだめ、毛布に包み、船の操縦席にいる私の後ろの席に座らせました。真夜中のしじまの中で私たちは難民たちを、沿岸で待っている、これまでとは全く異なる雰囲気を持つフロンテックス船に運びました。フロンテックスの職員は子供たちをなだめたり落ち着かせたりすることがなかったため、子供たちのストレスレベルが高まりました。このことはとても悲しいことでしたが、どうすることもできず、私たちが救助し、慰め、励ました彼らがヨーロッパに無事に着くように祈ることしかできませんでした。

SI:何かほかに加えることがありますか。
ブシェ:カナダ海洋救助支援国際機構(CMRAI)は、カナダ出身の救助専門家によって設立された組織です。私たちは、行動力に限界があり、訓練を必要とし、救助船操作の支援や活動資金を必要とするNGOを引き続き支援していきたいと思っています。私たちは、これからも使命を果たし、直接命を救い、移民危機の防波堤になるための資金的援助や資金提供者を求めています。集められた支援金は、保険金、(難民の)収容施設、そして私たちが支援するNGOの装備や必需品に使われます。

 

アフリカの地方部のトゥルー・トレード

ヴィクトリア・ゲーターによるジェニー・ラファノメザナ氏へのインタビュー

ジェニー・ラファノメザナ氏はウガンダを拠点としており、アフリカの小規模農家に市場への確実な経路と生産物の価格のより公正なシェア(取り分)を提供している社会事業、「トゥルー・トレード(TruTrade)」の責任者である。ヴィクトリア・ゲーターが、本誌のためにジェニー・ラファノメザナ氏にインタビューをした。

シェア・インターナショナル(以降SI): あなたは、どのようにしてこの仕事に引き付けられたのですか。

ジェニー・ラファノメザナ:私は生態学の学位を持って職業生活を始め、生態学的な問題に携わり、人々が持続可能な生活を送れるようにすることは極めて大切であることを学びました。私は何年もの間、アジア、南アメリカ、そして次にアフリカのNGOと共に活動し、農家を援助することで、農家の自然資源を管理し、農業生産を増加させました。しかしながら、農家が生産物を捨て値で売っている場合には、これらの努力は限定された効果しかないことが分かり、これは深刻な問題の一つのように感じられたのです。つまり、小規模農家にとって市場をどのように機能させるかという問題です。私は常に挑戦することに魅力を感じていて、小規模農家が持続可能なサプライ・チェーン(供給網)にどのように統合され得るのかについて注目してきました。アフリカの小規模農家の未来のためには、これは絶対に重要です。私は以前からフェア・トレードを支持しており、価格連鎖に関係する(生産物を売る農家から最後の仕入れ業者に至るまでの)すべての人が、生産物の最終的な価格の適正な割合を受け取るようにすることは、地元の市場、地域の市場、さらには輸出市場の基本理念であるべきだと思います。

SI:あなたはどのようにしてトゥルー・トレードの設立に着手したのですか。

ラファノメザナ:私はアフリカで働いていたことがあり、歩合制のマーケティング・モデルのアイディアを検証していました。この過程を通して、同じアイディアを共有し、ケニアの会社としてすでにトゥルー・トレードに登録している業者のネットワークと私は提携していました。2015年から、私たちは力を結集し、投資を呼び込み、チームを採用し、アイディアを現実に変えるために活動しています。初期投資は「セルフ・ヘルプ・アフリカ」からのもので、このアイルランドのNGOは、サハラ以南のアフリカで小規模農家が繁栄するように援助の活動を行っています。
私たちは、二つの優先事項を持つ社会事業として設立されました。まず第一に、小規模農家が副収入を得られるようにして、社会的な影響を生み出すことです。第二には、商業的に実現可能な方法でそれを行う必要があります。そうすることで、何百万もの農家の必要を満たしながら、持続可能なサービスを提供し成長を続けられるのです。私たちには現在、ケニアとウガンダで15人のスタッフがいます。2015年から2017年の間に、私たちは約90万米ドルに相当する、およそ1,700万トンの生産物の取引きを仲介しました。私たちは、20以上の異なったバリュー・チェーン(価値連鎖)で取引きを行いましたが、現在は、私たちが最も大きな影響を与えられると分かったものに集中しています。それは、大豆やゴマなどのオイル種や、キャッサバ、アボカド、木の実などです。

SI:アフリカ中の典型的な小規模農家はどのような状況でしょうか。

ラファノメザナ:アフリカの小規模農家は勤勉であり、低品質の種や困難な状況に苦しんでおり、彼らが実際に生産物を手にすると、そのための市場を探す必要があります。ほとんどの農家は農場の門で待つ中間業者に売ります。彼らは通常、できる限り安く買い、できる限り高く売るため、多くの場合、農家は安い価格で売ることになります。従来の価値連鎖では、途中に多くの中間業者がいることが考えられます。誰かが村から農産物を集め、次の上位の人に売り、そして次の人がいて、誰がどれだけ報酬を取るのかを誰も知りません。非常に遠い地域の中間業者が非常に多くの仕事をしている場合もあり、大きなリスクを取りながらも報酬は少ないのです。一方で、上位の人をたまたま知っていて、農産物を渡すだけで何も価値を付け加えないのに大きな分け前を取る人もいます。そこには信頼はありません。あらゆる段階で、すべての人が騙されることを想定しています。

SI:それでは、トゥルー・トレードはこの状況に対処するために、どのように活動しているのですか。

ラファノメザナ:トゥルー・トレードは、農家から最後の仕入れ業者に至るまで、価値連鎖上のすべての人が生産物の価値を分かち合うようにしています。農家は、より高額で、市場への確実な経路で売却できます。仕入れ業者は、確実で追跡可能な方法で正しい分量と品質の生産物を得ることができます。その鍵は取引きの透明性であり、それは、私たちのオンラインとスマートフォンの取引きプラットフォームによって可能になっています。それは、価値連鎖上のすべてのコストをすべての人が見ることを可能にしています。
私たちは、トゥルー・トレードのマーケティング・サービスを提供できる、ケニア中とウガンダ中の村の代理店ネットワークをつくっています。トゥルー・トレードと代理店が得る手数料は農家の売却価格に連動しているため、取引きを効率的にする動機が働き、農家が最高の価格で売却できるようにすべての人が一致しています。一度、仕入れ業者が良い品質を認めると、より良い価格での交渉が可能になり、それは価値連鎖上のすべての人に還元されます。

SI:あなたのビジネス・モデルの根底にある原則は何でしょうか。それは、どのように機能するのですか。

ラファノメザナ:まず第一に、私たちは共通する価値観をつくり上げています。それは、トゥルー・トレードとして直接に、そして農業関連企業や農産物の他の仕入れ業者が彼らの購買力を使って、共通する価値観を創造できるようにすることによって行います。
二番目に、私たちは透明性のために尽力しています。これは取引きを実行可能にする上で鍵であり、信頼を築く上で不可欠です。私たちは、オンラインとスマートフォンのプラットフォームを使い、すべてのコストを可視化しています。まず初めに、農家が生産物を引き渡す際に初期の支払いがあります。トゥルー・トレードの代理店が生産物の重量を計測し品質をチェックすると、私たちはそれを『袋の中の現金』と呼びます。次に、その後のすべての取引きコストがあります。梱包、仕分け、等級付け、洗浄、荷積み、荷下ろし(輸送はいつでも一番お金が掛かります)、課税などです。
三番目に、私たちは市場の力を使い、現地の環境に適した穀物の生産を促進していることは明確です。例えば、気候変動に対して回復力の高い樹木作物への投資を増やしました。そして一般的には、ある地域で市場を開拓する場合、小規模農家にとって長期的に意味があるようにします。
最後の原則は、金融参入に関するものであり、私たちは、農家に対して電子マネーで直接支払いをしており、そのため、農家は取引き履歴を築くことが可能になり、それは金融サービスへのアクセスに利用可能です。以前、農家は高利貸しに対して脆弱でした。彼らは、資産に投資することが可能になります。例えば、地方の集積所で、生産物のできる限りの洗浄と等級付けを可能にする基本的な装備への投資です。これは、地方での追加の雇用機会と同時に、農家に可能な最高の利益を提供します。

SI:トゥルー・トレードは、人々の生活にどのような影響を与えていますか。

ラファノメザナ:農家は、農場の門で待つ従来の中間業者から得られていた収入に比べ、生産物から平均で20%以上も多い収入を得ることが可能になりました。追加の収入は、子供を学校に通わせることや、健康管理などにしばしば使われます。市場への確実な経路を持つことで、将来の計画を立てることが可能になりました。農家は、生産のためにより多くの投資を行っており、例えばもっと多くの生産量が見込める高品質の種を購入しています。なぜなら、彼らは、投資には価値があり見返りが得られるという、大きな自信を持っているからです。私たちはまた、地方で雇用機会を増やしています。現在では、村の代理店が140個所あり、その数は急激に増加しています。代理店は手数料を得て、通常はこれを地域に投資します。代理店はまた、他の私的な労働機会を提供します。私は、オンラインでアフリカ地方部の代理店を繋ぎ、彼らが互いに学び合い、援助し合えるようにしています。

SI:仕入れ業者は、どうしてトゥルー・トレードを選ぶのでしょうか。

ラファノメザナ:私たちは、何千もの小規模農家から生産物を取りまとめる手段を提供し、大企業が必要とする分量を提供することができます。私たちは、品質にも気を配ります。世界規模の食品ビジネスにおいて、公正な産地の選択を表示する圧力が高まっています。人々は『農場から食卓へ』という物語をますます求めるようになっており、私たちはその情報を提供できます。持続可能性を明らかにしたいと考え、食べ物の産地にこだわる会社に対して、サービスを提供しています。それはまた、私たちが公正な取引きのために追跡可能性や有機認証を提供できることを意味します。私たちの仕入れ業者には、ビール会社や製粉会社など、地元の加工企業などが含まれています。

SI:今後はどのような方向に行こうと考えていますか。

ラファノメザナ:私たちは、現在は主にウガンダ北部とケニア西部で活動していますが、規模を拡大中です。最初の数年間は、商業的に実現可能な方法で、何が上手くいき、どのように影響を与えられるかを見つけ出す作業でした。2018年の間、私たちは、活動を両国全体に拡大し、代理店数を275まで増やしており、そして、取引きする生産物の量と金額を4倍にする目標を持っています。2020年までに3万以上の農家に到達することが目標です。私たちは非常に野心的で、農業の価値連鎖をデジタル化する最前線にいます。私たちは、トゥルー・トレードがアフリカ中に広がるのを見たいと考えており、小規模農家に市場への確実な経路を提供しながら、追跡可能性を必要とし、農家がどのような支払いを受けているかを気に掛ける企業のための『行くべき』場所になりたいと考えています。

SI: つまり、トゥルー・トレードは小規模農家を存続させられるということですか。

ラファノメザナ:はい。この事業は、アフリカの小規模農家の未来を改善しており、それは現在均衡が取れた状態にあります。多くの人は、先にある道は大規模な商業農業だと考えていますが、正しい資源とサービスを使用できる小規模農家は大規模な商業的農業よりも実際には効率的だと、私たちは信じています。
小規模農家が繁栄できるような効率的なマーケティング・システムがなければなりません。トゥルー・トレードは実行可能なビジネス・モデルを持っており、それを拡大しようとしています。それは、分かち合いの価値を実践している実例であり、それに対するニーズは常にあるでしょう。

詳しくは次を参照: www.trutradeafrica.net

クール・エフェクト: 気候変動との闘いを援助し、一度に1トンの二酸化炭素を削減

モンテ・リーチによるマリサ・デ・ベロイ氏へのインタビュー

クール・エフェクト(Cool Effect)は2016年に設立されたカリフォルニアを本拠とする非営利団体であり、団体のウェブサイトによると、「気候変動を緩和するための具体的な即時の行動を起こす」ための手段を個人や団体に提供している。cooleffect.orgに掲載されている科学的に実証された二酸化炭素削減プロジェクトの1つに寄付することで、サイトの訪問者は1トン当たりわずか6ドルで二酸化炭素の排出を削減することができる。世界中から選ばれたプロジェクトには、低所得地域の共同体を援助したり、植物や動物の絶滅危惧種を保護するなどの付加的な恩恵もある。マリサ・デ・ベロイ氏はクール・エフェクトの最高責任者である。モンテ・リーチが本誌のために彼女にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以降SI): クール・エフェクトとは何か、どのような活動をされているのかを教えていただけますか。
マリサ・デ・ベロイ:クール・エフェクトは、二酸化炭素排出量の削減プロジェクトのためのクラウドファンディングの基盤です。私たちの科学者チームは、私たちがベストと考える、二酸化炭素排出量を削減する最も効果的なプロジェクトを世界中から選びました。
ウェブサイトでは、このようなプロジェクトに関して、背景、地域、良い点と悪い点、適正評価文書など、できる限りの情報を提供しており、興味を持ったプロジェクトを援助できるようにしています。
基本的には、私たちは気候変動に関心を表明している1億4,500万人のアメリカ人と世界中のさらに多くの人々に焦点を当てています。それは、リサイクルを行い、肉食を減らし、旅行を減らし、二酸化炭素の排出量削減のために可能なことをすでに行っていて、さらに何かをしたい人々です。これは何か行動をするための手段です。気候変動との戦いにおいては、あなた自身の排出を相殺するか、何かを行うかのいずれかです。

SI:クール・エフェクトは、このような各プロジェクトをどのようにして見つけたのでしょうか。
ベロイ:私たちは、炭素クレジットを発行した数多くのプロジェクトから始めました。それらは世界中に約1万あります。これは、各プロジェクトが、カリフォルニアのGold Standard、Carbon Action Reserve、Verified Carbon Standardなど、炭素クレジットの主要な国際標準の要件の1つをすでに満たしていることを意味します。これはクール・エフェクトから完全に独立しています。
そのプロセスの一環として、各プロジェクトは第三者によって検証されています。プロジェクトは、最初に彼らが行っていると主張していたことを継続して行っていることを証明する文書を毎年提出する必要があります。
すでに述べましたが、私たちには科学者や実務担当者のチームがいて、このような科学的に証明されたプロジェクトのうち、どれが最良の活動をしているかを判断します。プロジェクトの詳細な適正評価を、財政面からだけでなく科学的にも実施します。私たちはプロジェクトを訪問し、彼らが主張している活動を実際に行っているかどうかを調査します。
こうした各プロジェクトに関して、第一の目的は大量の二酸化炭素の排出を削減することです。しかし私たちのプラットフォーム上のすべてのプロジェクトには、補助的な恩恵(co-benefits)と呼ばれるものがあります。それには、ウガンダでの調理用コンロのプロジェクトなど女性や子供の健康を改善することから、ペルーの林業プロジェクトでの希少動物と希少植物の保護活動や、アメリカ先住民保護区における雇用の提供、コロラドでの私たちのメタンの分離プロジェクトまで、様々なものがあります。

ホンジュラスで
クリーンな調理用コンロを提供する

SI:クール・エフェクトのウェブサイトに掲載しているお気に入りのプロジェクトについて、お話しいただけますか。
ベロイ:その一つは、ホンジュラスのミラドール・プロジェクトでしょう。彼らはホンジュラス地方部の地元の家族と共に活動し、伝統的な調理用コンロと比べて薪を半分しか使用しない改良型の調理用コンロを開発しました。クリーンな調理用コンロは薪を節約し、家族の時間とお金を節約し、家庭から有害な煙をなくします。そして森林を保護し二酸化炭素の排出を削減することで、地球を守ります。
ミラドール・プロジェクトは、このような調理用コンロによって人々の生活を劇的に変えます。以前、女性は小さな小屋のような住居でむき出しの火の上で調理していました。女性は信じられないような割合の呼吸器疾患や他の病気に苦しみ、お母さんが料理するときに傍らにいる子供たちも同様でした。女性が効率的な調理用コンロを手にし、煙が屋外に排出されるようになり、それは過去のことになりました。
コンロはレンガとモルタルで作られており、煙突を持ち、より多くの料理をより速く作れるように設計されているため、薪の購入を減らしたり薪を集める時間を節約することで、家族はお金を節約できます。
ミラドール・プロジェクトはコンロを製造し、その使用をモニターする組織も持っているため、地域に雇用を提供しています。コンロの材料は、家族が負担します。組織としてのミラドールは、コンロを作り、家族に使い方を教え、彼らと連絡を取り続け、正しく使用されメンテナンスが行われるようにします。
2004年にミラドール・プロジェクトが開始してから、14万5,000個所以上でクリーンな調理用コンロを作り、65万人に恩恵を与え、約100万トンの二酸化炭素の排出を削減しました。コンロで調理する際に使用する薪が少なくてすむため、毎年約9平方マイルに相当する森林が守られています。継続した援助により、私たちは、ホンジュラスで次の年に少なくとも2万の調理用コンロを新しく作りたいと考えています。

寄付金の追跡

SI:ウェブサイトでは、削減する二酸化炭素のトン数を指定して寄付できることに気がつきました。これはどのようにして機能するのですか。
ベロイ:クール・エフェクトで寄付するには、2つの方法があります。最も基本的な方法は、プロジェクトに直接寄付することです。サイトを訪問し、プロジェクトの一覧を見て、最も興味のあるプロジェクトを選び、次にトン数を指定して寄付します。1トンは1炭素クレジットに相当します。炭素オフセットは、炭素クレジットを表す別の用語です。ここでの考え方は、炭素クレジットが国際規格と私たちの両方から検証されることにより、1トンの二酸化炭素の排出が実際に削減されるというものです。
私たちのウェブサイトを訪れ、何トンでも良いのですが、「よし、1トン削減しよう、5トン削減しよう」と言うことができます。平均的なアメリカ人の炭素フットプリント(二酸化炭素排出量)は、1年に17トンです。そのため、17トンの削減を指定する人もいます。サイトを訪れ、「私は毎年恒例の夏休みを取り、フライトは約2トンの二酸化炭素の排出と見積られるので、2トンの二酸化炭素を相殺します」と言う人もいるでしょう。
また私たちは、プロジェクトに直接寄付できる機能も実現しました。寄付をサイト上のプロジェクト数によって分割し、その寄付金をプロジェクトに直接送ります。

SI:クール・エフェクトのすべてのプロジェクトの中で、1トンの二酸化炭素の排出を削減する平均のコストはどの程度でしょうか。
ベロイ:1トン当たり平均で約9ドルですが、それより安いプロジェクトと高いプロジェクトがあります。現在最も安いプロジェクトは1トン当たり6.04ドルで、最も高いプロジェクトは1トン当たり13.18ドルです。

SI:私がクール・エフェクトのプロジェクトに寄付した場合、私の寄付金は実際にどのようにして恩恵を受ける人の元に渡るのでしょうか。
ベロイ:クール・エフェクトのウェブサイトで寄付すると、私たちは9.87%の手数料を差し引きます。その中の3%から4%がクレジットカードの手数料であり、そして他に何種類かの管理手数料があります。このように、とても安い手数料です。残りのお金をプロジェクトに直接送金します。
プロジェクトの側からは、私たちは送金した際にプロジェクトにお金が戻ることを検証し、お金がどこに行くのかを正確に知ります。私たちは、各プロジェクトの経過、お金の使用状況、プロジェクトのストーリーなどに関しての季刊のニュースレターをすべての寄付者にお送りしています。
炭素クレジット1単位に相当する金額が設定されており、プロジェクトにどの位のお金が行くのか、どこで使われているかを正確に伝えることは、炭素クレジットの世界では本当に革新的なことです。すべての人がそれを知りたいと思われるでしょうから、それはばかげていると思われるかもしれません。私たちが知る限り、私たちはそのレベルの透明性を提供する唯一の炭素クレジットや炭素オフセットの提供者です。

SI:個人によるクール・エフェクトのプロジェクトへの寄付は大切ですが、あなた方は、非常に大きな影響力を持つ財団、企業、他の団体とのつながりをお持ちですか。
ベロイ: はい、持っています。例えば、私たちはセールスフォースの公式なオフセット・パートナーでした。セールスフォースは、2017年にスケジュールを33年前倒しで、企業としてカーボンニュートラルを達成しました。私たちは、彼らがそれを達成するためのオフセットを提供しました。私たちは、他の企業とも一緒に活動しています。私たちは、マーチ・フォー・サイエンス(March for Science)などの団体とも一緒に活動しており、2017年にワシントンDCへの科学者のデモのためのフライトを援助し、彼らの旅行を相殺しました。私たちは、全米オーデュボン協会(National Audubon Society)や他の環境団体のパートナーになりました。私たちの中心となるモデルは、個人が何かを行う手段を提供することです。しかしながら私たちは、より大きなグループと共に活動する力を理解しています。

SI:何か他に付け加えることはありますか。
ベロイ: クール・エフェクトに関して素晴らしいことは、それが説明可能であり、検証可能であることです。私は個人的に、数多くの環境団体に寄付をしています。しかし、こうした団体について、どのような影響を与えているかを知るのは難しいです。それは、彼らに寄付すべきではないということではありません。しかし、クール・エフェクトに寄付することは、説明可能で測定可能な行動を今すぐ起こす手段なのです。
1日の終わりに、クール・エフェクトはプラットフォームを通して19万トン弱の二酸化炭素の排出を削減したと、私たちは言うことができます。それは大変なことです。気候変動を解決することは、重要な課題です。私たちは何トンもの二酸化炭素を毎日大気中に放出しています。そして、その量を常に削減する必要があります。これは、あなたが何か役立つことをしたと確信できる方法です。

詳しくは次を参照:cooleffect.org

 

新しいパラダイム

イスラエルの女性が現状に挑む

シェリーン・テイルズによる

ビビアン・シルバー氏へのインタビュー

 

平和を遂行する女性(Women Wage Peace=WWP)は、様々な民族的、社会的、政治的、宗教的、地理的背景を持つイスラエル女性の草の根運動であり、2018年までにイスラエル・パレスチナ紛争の「 高潔で双方で受け入れ可能な政治的合意」を達成することを目的としている。

彼ら自身の言葉では、この運動は、イスラエルがガザ地区で開始した『境界防衛作戦』として知られる20147月の軍事作戦の後の「深い落胆と批判から生まれた」。 その結果、ガザ地区とイスラエルの両方で多くの犠牲者を出し、ガザ地区の広い地域が荒廃することになった。この運動の目的は、両者の間で平和の希望を再び呼び覚ますことであった。

WWPは非常に活動的であり、急成長しており、イスラエルに28,000人以上のメンバー、全世界でさらに50,000 人の後援者がいる。WWP はイスラエルとパレスチナの指導者に対して、実行可能な和平合意に向けて動くように圧力をかける活動を定期的に企画している。シェリーン・ テイルズが、本誌のために、WWPの中央委員会の一員であるビビアン・シルバー氏にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI: あなた方の大義に気づきをもたらすために、どのような活動を始められたのですか。

ビビアン・シルバー:まず第一に、私たちは階層的な運動ではありません。それはフラットな組織構造であって、完全にボランティアによって運営されています。私たちは、18の専門チームと60の地理的な区域に分かれています。私たちは運動を成長させることで、政治家や政府に影響を与えられるような必要最小限の勢力になろうとしています。

私たちは、色々な都市でパーラー・ミーティングを開催しています。お話ししましたように、60 の地区があり、各地区でパーラー・ミーティングを開催しています。各会場ではアビゲール・ディズニーの映画『悪魔よ地獄へ帰れ(Pray the Devil Back to Hell)』を上映しています。これは、内戦を止めたリベリア女性の役割についての映画です。また私たちは、類似性や違いに関するディスカッションを開催しています。女性を活動的にするための、そして「彼女たちが酷い状況でそれをできたのなら、私たちもここで同じようにすることができる」と言うための勇気づけの映像として使っています。 私たちが誰であるかを説明したり、より多くの女性を私たちの仲間にお誘いしようとしているのです。

毎月、木曜日の午後に、私たちはイスラエル中の交差点に立ちます。約80の交差点やショッピングセンターに立ち、エジプト・イスラエル間の最初の和平合意のときのメナヒム・ベギン氏、アンワル・サダト氏、ジミー・カーター氏を示すカードを掲げています。これらの肖像は、これが党派対立問題ではないことを示しています。なぜなら、ベギン氏は極端な右派の政府から出た右派の首相だったからです。そしてそれが私たちのメッセージなのです。つまり、これは左翼運動ではなく、すべての政治的見解を対象とする運動です。和平はすべての人にとって最優先の問題なのです。それが交差点に立つ私たちのメッセージです。信仰を持っていても持っていなくても、右派でも左派でも、主流派でも、ロシア系移民でも、エチオピア系移民でも、現地生まれでも、これはすべての人に訴えかける問題です。

私たちはまた、毎週月曜日に国会に行きます。私たちの地域チームが、誰が国会に行くかを決めます。私たちはイスラエル国会の総会に参加し、平和運動として非常によく知られ無視できない存在になりました。私たちは国会に行き、委員会の会合に参加し、総会に参加します。国会で演説した政治家たちが、私たちと話してくれます。彼らは、白い服を着て青緑色のスカーフをした私たちを認めてくれて、私たちはどこに行っても非常に目立ちます。

 

SI:あなた方のグループは、今までのところ、和平プロセスに影響を与えましたか。

シルバー:実際の和平プロセスではまだですが、和平について話をすることを、希望を思い描き、現状を揺さぶることを、私たちが再び正当なものにしたと、政治家たちは言いました。つまり、私たちが70年の間教えられてきた戦争のみが和平をもたらすというパラダイムは明らかに真実ではなく、政治的な合意のみが安全保障をもたらすと言えるようにパラダイムを変えることです。安全保障は私たちすべてにとって実存的な必要です。私たちがユダヤ人であってもアラブ人であっても、イスラム教徒であってもキリスト教徒であっても、パレスチナ人であってもイスラエル人であってもです。世界中のすべての人が安全だと感じたいのです。女性であることによって、私たちの安全保障の考え方は、単なる防衛の安全保障よりも幅広いものになりました。私たちが話をしているのは、教育、福祉、雇用、経済における持続可能な人間の安全保障のことなのです。安全保障は、より深い方法で見る必要があります。

 

SI:運動の成功の要因は何だとお考えですか。

シルバー:私たちは、イデオロギー的な運動とは異なり、実際的な運動です。ほとんどの平和運動が非常に小規模にとどまる理由は、彼らが非常に狭いイデオロギーに固執するためであり、そのため、大きなグループがイデオロギー的な偏向にしがみつく非常に小さなグループに分かれてしまうのです。私たちは、最初から単一問題の運動にしようと決めただけなのです。そして私たちは、いかなる特定の政治的解決も支持しません。それは、私たちにとって実際には重要な意味を持たないからです。それが二国間のものであり、双方に受け入れられるものである限り、本質的には、それは双方にとって賞賛に値する合意となるでしょう。そうでなければ、受け入れられないでしょう。ですから、私たちは、どの和平合意かには立ち入りません。私たちが主張しているのは、あなた方は合意に達するのであって、合意に達するまではテーブルを離れないと決心する必要があるということです。

他の成功の要因は、多様性へのアプローチです。私たちは、すべての政治的見解の、すべての宗教の、すべての社会経済的状態の、すべての民族集団の人々を対象とすることを強く主張しています。そのように広く多様なメンバーがいることで、私たちはより多くのメンバーに対して話ができるからです。私たちは女性として、新しい言葉づかいをしています。非難したり侮辱したりするパターンから離れ、実のところ、キャロル・ギリガン教授が「急進的な傾聴」と呼んだものを私たちは採用しようとしています。そこでは、他の人の話を聞くことに一生懸命取り組み、全く異なる意見があり、それを受け入れる必要があるという事実を受け入れます。

 

SI:異なった背景、政治的見解、宗教を持つあなた方のメンバーは、一つの大義のためにどのようにして集まったのでしょうか。

シルバー:私たちは、二つだけの目標を持つ、一つの大義に集中しています。目標の一つは外交的な合意に達することで、もう一つは国連安保理事会決議1325号に定められたように、女性を和平交渉の不可欠な部分とすることです。この決議は2000年に採択され、世界のあらゆる場所でのすべての和平交渉と和平を築く努力において、女性は不可欠な部分でなければならないと定めています。各国はそれを法律に採用することが期待されており、イスラエルはそれを実際に採用しました。

 

SI:和平プロセスにおいて、何が問題だと思いますか。

シルバー:起こらなければならないのは、両方の側で選挙で選ばれた指導者が、現状が両方の側にとって良くないと判断を下すことです。パレスチナ人は、そのことを明確に繰り返し主張してきましたが、イスラエル側は現状を受け入れるつもりでいるようです。ネタニヤフ首相は、私たちは剣によって生きる運命なのですと言いました。私たちが主張しているのは「違います。私たちは剣によって生きる運命ではありません」ということです。私たちは変化を起こすことに責任を持つ必要があります。それが私たちの目標です。そのような影響を及ぼし、現状は受け入れられないと主張することです。

 

SI:活動地域に住んでいない女性は、あなた方の大義をどのように援助することができますか。

シルバー:世界中に、私たちを援助しようと希望し、私たちの活動を確認しながら地元で活動をする女性たち──Women Wage Peaceの女性大使がいます。例えば、昨年( 2016年)10月の希望の行進(March of Hope in October)の間、サンフランシスコでゴールデンゲートブリッジのデモ行進がありました。シカゴでは、次の年に大規模なイベントを開催することを検討中です。ブラジルでは大きなイベントを行ったばかりで、イタリアやスペインでは、大きなイベントをつい最近行いました。世界中で何かが起こっています。

Prayer of the Mothers』を書いた歌手のヤエル・デッケルバウムさんが、色々な国でWWPの援助によって開催されたイベントに招待され、歌を披露しています。YouTubeでは、彼女が様々な国々で歌うのを見ることができます。それは本当に素晴らしいものでした。彼女は彼女自身のアンサンブルを持っていますが、彼女と私たちの運動の間には相乗関係がありました。なぜなら、彼女は自分自身で曲を作り、私たちの活動がきっかけで世界的名声を得ることになり、運動は彼女の歌によって恩恵を受けました。それは本当に良いことであり、何か特別なことでした。

 

SI:何か他に付け加えることはありますか。

シルバー:私たちは2017年の9月と10月に、2週間の活動のイベントを成功させたばかりです。国中での2週間のデモ行進の最後の日には、死海の湖岸に作ったテントにパレスチナ人とイスラエル人の女性が集まりました。テントは『サラハとハガールのテント』という名前で、私たちが解決しようとしている長年の紛争を象徴するものでした。実際には、2,500人のパレスチナ人の女性が参加しました。それは、両方の側にパートナーがいることを示す大きな印でした。本当に長い間、私たちにはパートナーがないと言われてきて、あちら側に求めていたパートナーに、まず最初に自分たちがなる必要があると主張しています。彼らはそこにいました。パレスチナには、私たちが求めていたように同じことをしたいと考える男性や女性がいたのです。

 

詳しくは次を参照:

womenwagepeace.org.il/en/

 

シェリーン・ テイレルズは、カナダ、エドモントンに居住するシェア・インターナショナルの協働者である。