クール・エフェクト: 気候変動との闘いを援助し、一度に1トンの二酸化炭素を削減

モンテ・リーチによるマリサ・デ・ベロイ氏へのインタビュー

クール・エフェクト(Cool Effect)は2016年に設立されたカリフォルニアを本拠とする非営利団体であり、団体のウェブサイトによると、「気候変動を緩和するための具体的な即時の行動を起こす」ための手段を個人や団体に提供している。cooleffect.orgに掲載されている科学的に実証された二酸化炭素削減プロジェクトの1つに寄付することで、サイトの訪問者は1トン当たりわずか6ドルで二酸化炭素の排出を削減することができる。世界中から選ばれたプロジェクトには、低所得地域の共同体を援助したり、植物や動物の絶滅危惧種を保護するなどの付加的な恩恵もある。マリサ・デ・ベロイ氏はクール・エフェクトの最高責任者である。モンテ・リーチが本誌のために彼女にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以降SI): クール・エフェクトとは何か、どのような活動をされているのかを教えていただけますか。
マリサ・デ・ベロイ:クール・エフェクトは、二酸化炭素排出量の削減プロジェクトのためのクラウドファンディングの基盤です。私たちの科学者チームは、私たちがベストと考える、二酸化炭素排出量を削減する最も効果的なプロジェクトを世界中から選びました。
ウェブサイトでは、このようなプロジェクトに関して、背景、地域、良い点と悪い点、適正評価文書など、できる限りの情報を提供しており、興味を持ったプロジェクトを援助できるようにしています。
基本的には、私たちは気候変動に関心を表明している1億4,500万人のアメリカ人と世界中のさらに多くの人々に焦点を当てています。それは、リサイクルを行い、肉食を減らし、旅行を減らし、二酸化炭素の排出量削減のために可能なことをすでに行っていて、さらに何かをしたい人々です。これは何か行動をするための手段です。気候変動との戦いにおいては、あなた自身の排出を相殺するか、何かを行うかのいずれかです。

SI:クール・エフェクトは、このような各プロジェクトをどのようにして見つけたのでしょうか。
ベロイ:私たちは、炭素クレジットを発行した数多くのプロジェクトから始めました。それらは世界中に約1万あります。これは、各プロジェクトが、カリフォルニアのGold Standard、Carbon Action Reserve、Verified Carbon Standardなど、炭素クレジットの主要な国際標準の要件の1つをすでに満たしていることを意味します。これはクール・エフェクトから完全に独立しています。
そのプロセスの一環として、各プロジェクトは第三者によって検証されています。プロジェクトは、最初に彼らが行っていると主張していたことを継続して行っていることを証明する文書を毎年提出する必要があります。
すでに述べましたが、私たちには科学者や実務担当者のチームがいて、このような科学的に証明されたプロジェクトのうち、どれが最良の活動をしているかを判断します。プロジェクトの詳細な適正評価を、財政面からだけでなく科学的にも実施します。私たちはプロジェクトを訪問し、彼らが主張している活動を実際に行っているかどうかを調査します。
こうした各プロジェクトに関して、第一の目的は大量の二酸化炭素の排出を削減することです。しかし私たちのプラットフォーム上のすべてのプロジェクトには、補助的な恩恵(co-benefits)と呼ばれるものがあります。それには、ウガンダでの調理用コンロのプロジェクトなど女性や子供の健康を改善することから、ペルーの林業プロジェクトでの希少動物と希少植物の保護活動や、アメリカ先住民保護区における雇用の提供、コロラドでの私たちのメタンの分離プロジェクトまで、様々なものがあります。

ホンジュラスで
クリーンな調理用コンロを提供する

SI:クール・エフェクトのウェブサイトに掲載しているお気に入りのプロジェクトについて、お話しいただけますか。
ベロイ:その一つは、ホンジュラスのミラドール・プロジェクトでしょう。彼らはホンジュラス地方部の地元の家族と共に活動し、伝統的な調理用コンロと比べて薪を半分しか使用しない改良型の調理用コンロを開発しました。クリーンな調理用コンロは薪を節約し、家族の時間とお金を節約し、家庭から有害な煙をなくします。そして森林を保護し二酸化炭素の排出を削減することで、地球を守ります。
ミラドール・プロジェクトは、このような調理用コンロによって人々の生活を劇的に変えます。以前、女性は小さな小屋のような住居でむき出しの火の上で調理していました。女性は信じられないような割合の呼吸器疾患や他の病気に苦しみ、お母さんが料理するときに傍らにいる子供たちも同様でした。女性が効率的な調理用コンロを手にし、煙が屋外に排出されるようになり、それは過去のことになりました。
コンロはレンガとモルタルで作られており、煙突を持ち、より多くの料理をより速く作れるように設計されているため、薪の購入を減らしたり薪を集める時間を節約することで、家族はお金を節約できます。
ミラドール・プロジェクトはコンロを製造し、その使用をモニターする組織も持っているため、地域に雇用を提供しています。コンロの材料は、家族が負担します。組織としてのミラドールは、コンロを作り、家族に使い方を教え、彼らと連絡を取り続け、正しく使用されメンテナンスが行われるようにします。
2004年にミラドール・プロジェクトが開始してから、14万5,000個所以上でクリーンな調理用コンロを作り、65万人に恩恵を与え、約100万トンの二酸化炭素の排出を削減しました。コンロで調理する際に使用する薪が少なくてすむため、毎年約9平方マイルに相当する森林が守られています。継続した援助により、私たちは、ホンジュラスで次の年に少なくとも2万の調理用コンロを新しく作りたいと考えています。

寄付金の追跡

SI:ウェブサイトでは、削減する二酸化炭素のトン数を指定して寄付できることに気がつきました。これはどのようにして機能するのですか。
ベロイ:クール・エフェクトで寄付するには、2つの方法があります。最も基本的な方法は、プロジェクトに直接寄付することです。サイトを訪問し、プロジェクトの一覧を見て、最も興味のあるプロジェクトを選び、次にトン数を指定して寄付します。1トンは1炭素クレジットに相当します。炭素オフセットは、炭素クレジットを表す別の用語です。ここでの考え方は、炭素クレジットが国際規格と私たちの両方から検証されることにより、1トンの二酸化炭素の排出が実際に削減されるというものです。
私たちのウェブサイトを訪れ、何トンでも良いのですが、「よし、1トン削減しよう、5トン削減しよう」と言うことができます。平均的なアメリカ人の炭素フットプリント(二酸化炭素排出量)は、1年に17トンです。そのため、17トンの削減を指定する人もいます。サイトを訪れ、「私は毎年恒例の夏休みを取り、フライトは約2トンの二酸化炭素の排出と見積られるので、2トンの二酸化炭素を相殺します」と言う人もいるでしょう。
また私たちは、プロジェクトに直接寄付できる機能も実現しました。寄付をサイト上のプロジェクト数によって分割し、その寄付金をプロジェクトに直接送ります。

SI:クール・エフェクトのすべてのプロジェクトの中で、1トンの二酸化炭素の排出を削減する平均のコストはどの程度でしょうか。
ベロイ:1トン当たり平均で約9ドルですが、それより安いプロジェクトと高いプロジェクトがあります。現在最も安いプロジェクトは1トン当たり6.04ドルで、最も高いプロジェクトは1トン当たり13.18ドルです。

SI:私がクール・エフェクトのプロジェクトに寄付した場合、私の寄付金は実際にどのようにして恩恵を受ける人の元に渡るのでしょうか。
ベロイ:クール・エフェクトのウェブサイトで寄付すると、私たちは9.87%の手数料を差し引きます。その中の3%から4%がクレジットカードの手数料であり、そして他に何種類かの管理手数料があります。このように、とても安い手数料です。残りのお金をプロジェクトに直接送金します。
プロジェクトの側からは、私たちは送金した際にプロジェクトにお金が戻ることを検証し、お金がどこに行くのかを正確に知ります。私たちは、各プロジェクトの経過、お金の使用状況、プロジェクトのストーリーなどに関しての季刊のニュースレターをすべての寄付者にお送りしています。
炭素クレジット1単位に相当する金額が設定されており、プロジェクトにどの位のお金が行くのか、どこで使われているかを正確に伝えることは、炭素クレジットの世界では本当に革新的なことです。すべての人がそれを知りたいと思われるでしょうから、それはばかげていると思われるかもしれません。私たちが知る限り、私たちはそのレベルの透明性を提供する唯一の炭素クレジットや炭素オフセットの提供者です。

SI:個人によるクール・エフェクトのプロジェクトへの寄付は大切ですが、あなた方は、非常に大きな影響力を持つ財団、企業、他の団体とのつながりをお持ちですか。
ベロイ: はい、持っています。例えば、私たちはセールスフォースの公式なオフセット・パートナーでした。セールスフォースは、2017年にスケジュールを33年前倒しで、企業としてカーボンニュートラルを達成しました。私たちは、彼らがそれを達成するためのオフセットを提供しました。私たちは、他の企業とも一緒に活動しています。私たちは、マーチ・フォー・サイエンス(March for Science)などの団体とも一緒に活動しており、2017年にワシントンDCへの科学者のデモのためのフライトを援助し、彼らの旅行を相殺しました。私たちは、全米オーデュボン協会(National Audubon Society)や他の環境団体のパートナーになりました。私たちの中心となるモデルは、個人が何かを行う手段を提供することです。しかしながら私たちは、より大きなグループと共に活動する力を理解しています。

SI:何か他に付け加えることはありますか。
ベロイ: クール・エフェクトに関して素晴らしいことは、それが説明可能であり、検証可能であることです。私は個人的に、数多くの環境団体に寄付をしています。しかし、こうした団体について、どのような影響を与えているかを知るのは難しいです。それは、彼らに寄付すべきではないということではありません。しかし、クール・エフェクトに寄付することは、説明可能で測定可能な行動を今すぐ起こす手段なのです。
1日の終わりに、クール・エフェクトはプラットフォームを通して19万トン弱の二酸化炭素の排出を削減したと、私たちは言うことができます。それは大変なことです。気候変動を解決することは、重要な課題です。私たちは何トンもの二酸化炭素を毎日大気中に放出しています。そして、その量を常に削減する必要があります。これは、あなたが何か役立つことをしたと確信できる方法です。

詳しくは次を参照:cooleffect.org