今月号の内容概説

 年末はしばしば、じっくりと考える時期である。また、私たちが今年に関して祝ったり悔やんだりすることをもとに、次の12カ月の目標を設定し始める時期かもしれない。私たちの目標が、ベンジャミン・クレームの師の記事「暗闇の終わり」で提示されたアイディアのいくつかに沿っているなら、徐々に「正気を取り戻し」、「政治家や他の人々の中に良心の目覚め」があることを期待できるかもしれない。そのように理性を取り戻すことが是非とも必要であることが、今月号の視点の記事(「一人の億万長者は……」)で強調されている。大勢の人々とこの惑星の健康を犠牲にして消費し蓄積する少数者の日常生活が、信じられないくらい異質であると論じられている。これはまさに、社会的不正義の度合いを測るもう一つの方法である。あらゆる機構を直ちに徹底的に変革することをもはや先延ばしすることはできない。第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)の活動家たちが明らかにしたように、私たちは自分自身の貪欲と、この惑星の豊かな資源の誤用の犠牲者である。

 世界中の活動家が化石燃料産業と、この惑星のいっそうの破壊を支持する政治家を批判してきた。ヴァネッサ・ナカテさんはこう述べている。「あなたたちが石炭、石油、ガスの種を撒いている一方で、最前線にある地域社会は、大惨事、荒廃、破滅という実を刈り取っているのです」と。主要メディアはようやくのこと、気候危機を深刻に捉えているようであり、これは大きな転機である。ほとんどすべての大陸の国々の30を超える主要メディアが、化石燃料関係の巨大企業に対して超過利潤への課税をするよう11月15日の社説で各国政府に呼びかけた。貧困国が気候変動による壊滅的な影響に直面し、世界中の人々が自宅を暖め家族を養うのに苦闘する一方で、そうした企業は何十億ドルも儲けてきたからである。

 現在のエネルギー危機と化石燃料への依存を解決することのできる無限の「フリーエネルギー」に関する先駆的な研究が、ある若い科学者へのインタビュー記事「豊富なエネルギー」で検討されている。これは(数名を挙げるとヴィルヘルム・ライヒやテスラを含めて何百人もの人々によって取り組まれ、ジーン・マニングによって書かれてきた)研究のさらなる突破口であり、それによって私たちの生活と自然界との関係が変革されることが待たれる。

 「未来への青写真」の第一部は、私たちの手の届くところにある未来のビジョンを提示している。そのような未来の文明がいかに現実的であり可能であるかを強調するために、「時代の徴」という選集を掲載することにした。この選集では、マイトレーヤと覚者方によって提供される美や導き、慰めに焦点が当てられている。秘教徒のアート・ユリアーンスは、私たちの神聖なる潜在的可能性という概念を次のように提示している。

 「これまでのところ、霊的王国は主に内的な主観的世界に──つまり覚者方や完成した人間や天使がいるハイアラキー的な界層──にその座を占めてきた。しかし、地上にある魂を吹き込まれたすべての人間は、魂の王国の年少メンバーでもあり、そのため、この王国を人間が努力を行う世界によりしっかりと固定する役割を担っている。人々の間には常に神の王国の前哨部隊がおり、ハイアラキーを物質界につなぐ役割を果たし、愛ある理解、善意、奉仕の流れのための経路として働き、人間の霊的進化に対して責任を負う人々がいた。これらの人々はあらゆる国に存在し、『キリスト意識』を吹き込まれた人々だった──この意識がどのような名前で知られていたかはともかくとして。

 このような魂を吹き込まれた人々は、現在、天上の領域と人間の世界をつなぐ重要な『魂の橋』を構成している。この橋はすでにしっかりと架けられ、日々、新しいメンバーたちによって拡張され、強化されている」

 2023年には何が私たちを待ち構えているのか、と世界はきっと考えているだろう。今月号に集められたすべてのものは人類の手の届くところにある。「20年にわたる労苦の成果が実り始めている。マイトレーヤの慈悲心に富むエネルギーがその魔法のような働きをしており、新しい精神が力を強めつつある」

豊富なエネルギー

 ニールス・ボスによるカルステン・ファン・アスドンク氏へのインタビュー 

シェア・インターナショナル誌の定期購読者にとって、フリーエネルギーは未知の現象ではないだろう。ニコラ・テスラのような先駆者やジーン・マニングのような主張者の業績は、この雑誌の中で読者をフリーエネルギーの基本的な特質に少なくとも親しませるだけの十分な注目を受けてきた。カルステン・ファン・アスドンク氏(現在27歳)は、若い頃──大学在学中──にこの主題に触れ、進行中の研究や開発に専念し続けた。アスドンク氏は、オランダを本拠地とする自身の「豊富なエネルギー」財団において、フリーエネルギーについて広い意味で意識を向上させることに集中している。それには、講演、ウェブサイト、そして間もなく『豊富なエネルギー』というタイトルで出版される本が含まれる。ニールス・ボスが、本誌のために彼にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI):「豊富なエネルギー」財団の始まりについて、何かお話しいただけますか。

カルステン・ファン・アスドンク:はい、それは2019年11月、私が「地球ブレークスルー・エネルギー運動会議」に参加した時のことでした。私が初めて参加したフリーエネルギーに関する会議であり、たまたまオランダで開催されました。長年、フリーエネルギーに対して情熱を持ってきましたが、実際に会場に行き、発明者や現場の人たちと会う機会となりました。とても印象的な会議であり、私と同様にフリーエネルギーに情熱を持つ映像制作者、キャスパー・ブーム氏と出会うことができました。私たちはすぐに友人になりました。
 この出会いから、フリーエネルギーに関するドキュメンタリーを制作するというアイディアが生まれました。二人とも、フリーエネルギーについてすでに多くの知識とインスピレーションを集めていたからです。また、テクノロジーはそれほど大きな問題ではなく、人々がより意識的になる必要がある、と私たちは感じました。つまり、最初に自分自身や世界について、次にフリーエネルギーについて意識的になるのです。そのため、意識を向上させる媒体としてドキュメンタリーを利用するというアイディアが生まれました。このようにして「豊富なエネルギー」財団が生まれました。その名前は、フリーエネルギーに関する普及と啓発を、またその研究を表しています。パンデミックの最中で、その素晴らしいドキュメンタリーへの野望は大きすぎることが分かり、おそらくは実行不可能ですらあり、アイディアは徐々に消えていきました。1年後には、自分がフリーエネルギーの技術的側面に関心を持っていることに気づきました。

SI:フリーエネルギーはどのように機能し、どのようにして私は自分で実現することができるのでしょうか。

アスドンク:私の背景は理科系であり、アイントホーフェン工科大学の応用物理学修士コースで生物医学テクノロジーを学びました。そのため、私はフリーエネルギーの背後にあるテクノロジーに興味を持っており、電磁気装置を使ってエーテル──周囲を取り巻いている場──からどのようにフリーエネルギーを引き出すことができるのかについて、独りで調査を開始しました。それが昨年からの私の調査分野でした。ドキュメンタリーのアイディアは期限切れになったかもしれませんが、私たちは今でもオランダや他の国の現場での多くの進展を見守っており、多くの人と情報交換をしています。いまだに多くの人やグループが関心を抱いているため、危機が深刻化するのに伴い、フリーエネルギーはますます興味深く重要なものになっています。
 そのようなものが私たちの二つの主要な目標です。一つ目は、人脈づくり、人の橋渡し、意識の向上です。もう一つは、物理的な研究を行うことで、実際にテクノロジーを実現することです。

SI:あなたは本の執筆もされていますが、この本の主な焦点は何でしょうか。

アスドンク:この本のタイトルは『豊富なエネルギー』であり、希望は、この本がフリーエネルギー現象の新たな標準的な紹介となる可能性があることです。ジーン・マニング氏とスーザン・マネウィッチ氏が書いた本や、ジョエル・ガルボン氏とジーン・マニング氏による以前の本など、すでに何冊かの本があります。それらの本は、フリーエネルギーとは何かについての第一印象が得られる素晴らしい本です。しかし隣人に対して、「見てください。これでフリーエネルギーとは何かが分かります。どうしてフリーエネルギーはまだ使われていないのかが分かります。どうして異なった形態があるのか、フリーエネルギーに関して私たちには何ができるかが書いてあります」などと言いながら渡せるような本ではないと思いました。私たちは、単純明快で短く簡潔な本が欲しいと思っていました。それがこの本の目的であり、最初の導入の役割をする本です──とても簡潔で、私たちの時代に適した新鮮なアプローチの本です。

SI: あなたは先ほど、「エーテル」または「エーテル領域」について触れました。この話題を隣人に対してどのように説明しますか。

アスドンク: 良い質問です。エーテルは、至るところに常に存在する「背景の場」と説明することができます。最初、それは非常に抽象的なものです。というのも、エーテルを見たり感じたりすることが全くできないからです。しかし、エーテルを次のように考えることができます。宇宙の中のあらゆる原子や分子はある種の基質、専門用語での基質につながっており、それを通してすべてがつながっている、と。そして、原子や分子が全く存在しない空間においても、その基質は依然として存在する、と。このことを実証することができますが、伝統的な科学の観点から、そこからエネルギーを取り出せるとはまだ言えません。ただし、それがどれだけのエネルギーを含んでいるのかを計算することはできます。それは膨大です。宇宙全体の背景の実体であり、すべてのものがそこから発生し、そこにつながっていると言うことができます。

SI:過去において、この背景の場とエネルギー供給とを結び付けた人はいましたか。

アスドンク:はい、それには相当豊かな歴史があり、私の本でも触れるつもりです。しかし、一言で言えば、エーテルの概念は非常に古くからあり、実際、数千年前からありました。古代インドの文化にもエーテルを表す言葉がありました。そこではアーカーシャと呼ばれていました。アーカーシャは、スピリチュアルな分野で今でも使用されている用語です。つまり、あらゆるものがそこから発生する根源的なエネルギーのスープなのです。それを物質的な現実のすぐ上にある次元、エネルギーの階層と言うことができます。このレベルや現実のずっと上にあるものの話ではありません──さらに多くの次元があると言うことができます。2,500年前、ギリシャ哲学では、エーテルと呼ばれていました。アリストテレスによれば、エーテルは、地、水、火、風の次の5番目の元素でした。
 エーテルは他の四つの元素をつなぎ、それらに存在する権利を与える基本的な実体と考えられていました。つまり、そのようにして五つの元素の体系が存在するに至ったのです。そして近代の歴史を通して、エーテルの概念は、近代的な物理学の歴史の中で時代遅れになる時点までは保たれていたのです。エーテルがようやく科学へと戻ってきたのは、物理学で量子力学が発展してからです。そのため1920年代以降、それまで本当に空であると考えられていた空間──概念としてのエーテルは時代遅れになっていたからです──は実際には、空ではあり得ないことが明らかになりました。量子力学は、あらゆるものが波動で構成されていると述べているからです。海に波があれば、波を起こすのはもちろん水ですが、私たちの現実の中の物質を海の中の波と考えた場合、海とは何でしょうか。ですから、エーテルという概念が再び登場するのです。私たちが現実と呼ぶ波動が存在する媒体が空ではなく、実体であるからです。それは、波動を伝搬することが可能な実体です。

SI:あなたは活動の中で霊性についてよく話されていますが、霊性はあなたにとって何を意味しますか。

アスドンク: 簡単に言えば、私にとって霊性とは、あらゆるものが一つの意識の場によって構成されており、その意識の場から放射しているという概念です。あなたが見るあらゆるもの、触れられるあらゆるもの、そしてあなたが見ないもの──思考や感情、愛などの抽象的な概念──は意識から発し、意識を構成しています。その背後には神──あらゆる宗教の核──とも呼ぶことのできる特定の知性がありますが、最終的にそれらはすべて一つであり、意識の場においてつながっています。この認識は私の中で大きくなりました。科学が停止して限界に達したところで、私はそれに遭遇したからです。量子力学の世界と似ています。観察対象と意識を持つ観察者は分離できないということも明らかになりました。それらは絡み合っています。何がその核心なのでしょうか。それは認識です。意識は私たちの現実の駆動力ですが、別の現象の中にも見ることができます。
 私は、UFO現象のような他のあらゆるものを調査しました。歴史の中には、本に書かれた歴史よりもずっと納得できるような代替的な理論で説明できることが数多くあります。私たちは現在、あらゆる問題を抱えた社会に住んでいますが、そうした問題を解決することのできる対策をすでに手にしているのはなぜなのでしょうか。霊性や、思考の力による自己治療、9.11などの特定の出来事の代替的な歴史など、それぞれのパズルのピースは実際に、意識や私たちの意識の進化を指し示しています。私たち人間の集合体の中で、成長し学ぼうとする過程が進行中です。それらすべてのパズルのピースが同じ中心を指し示しており、それが意識や霊性です。そのことにもっと気づけば、私たちは違った世界に生きているでしょう。

SI:あなたは、ご自分の未来をどのように考えていますか。

アスドンク:非常に楽観的に考えています。私たちは本当に成長せざるを得ません。私たちは、リアリティ(実在)の中に本来存在するそうしたつながりを再びはっきりと経験する新しい意識状態に向けて成長します。私たちは現在、お互いから、そして環境や自然から完全に分離しているような人間の発達段階にあり、それは悪化してきました。人々は現在、自分が誰であるのか、何であるのかを再び認識しつつある転換点にあります。それは実際のところ、全領域なのです。このように、各個人が宇宙全体を代表しています。ですから、あなたはそれだけ強力なのです。しかしそれはまた、あなたがすべてのものとつながっていることを意味します。ですから、あなたと私は、そのような場とつながっていながら同時に、このコンピューターや机、私が吸う空気ともつながっています。そのつながり、それが愛なのです。宇宙の力は、あらゆるものの間のつながりです。それが愛する力です。そして究極的には、そのような愛は、私がすることの背後にある駆り立てる力でもあるのです。

新しい時代の徴、なぜ今なのか ――選集

Signs of the new time, why now ? ── a compilation

「奇跡」もしくは「新しい時代の徴」というテーマに関する引用文の選集を掲載する。なぜ今、徴がこれほどまで広く見られるのかというテーマである。引用文は、マイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』と『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第Ⅰ巻と第Ⅱ巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。

 人々がそのような徴を思い出し、それらを来るべき日々についての真の予告として受け入れる時が間もなくやって来る。それらを、歴史上のこのユニーク(独特)な時に、マイトレーヤと覚者たちの一団の出現と同時性を持たせた計画された顕現として理解するだろう。何か途方もない素晴らしいことが地球上で進行中であるということを人間に合図するそれらの徴はあまた存在し、変化に富む。見る目を持つ者たちにとってそれらは、人生にはまだまだ未知で神秘的な領域がたくさんあることを、人間がそれについてほとんど知らない法則があることを、そして何にも増して、人間はひとりではないということを、思い出させるものであった。

(『覚者は語る(Ⅱ)』─おびただしい徴─より)

……キリスト・マイトレーヤの到来は、聖骸布やその他の徴に左右されません。しかし今、全く予想外の出来事が起こっており、それはキリスト教徒の信仰だけではなく、人類の希望の光を甦らせるものであることを人類に示すための徴なのです。

(『世界教師と覚者方の降臨』)

 すべての側において、徴は確かに明らかであり、“奇跡の時代”に終わりがないというはっきりとした徴候がある。われわれの直中にある奇跡を、いかに遠回しであろうと、指している徴が、毎日のように沢山起こっているのを否定できる者はほとんどいない。「人の子」が確かに彼の民の中にいることを、長い待ち時間は終わったことを、この大教師は公に彼の使命を始めようとしていることを、そして新しい道が人間を彼らの運命づけられた未来へ前進するように招いていることを、間もなく世界は確実に知るだろう。

(『覚者は語る(Ⅰ)』─ 世紀の終わり─より)

 すべての奇跡の中で最も説得力のあるものはおそらくマイトレーヤ御自身の手形である。それは2001年にスペインのバルセロナのある家の浴室の鏡に奇跡的に現れた。その手形は単なる手の痕ではなく、立体的なイメージで、細部まで映し出されている。この“手”は、マイトレーヤの癒しのエネルギーと助けを喚起するための手段である。自分の手をこの手の上に置くか、ただ見つめることによって、マイトレーヤの癒しと助けを(カルマの許す範囲で)喚起することができる。マイトレーヤが完全に姿を現され、私たちがその顔を見るまでの間、彼はそのようにして私たちのすぐそばにいてくださる。マイトレーヤは「わたしの助けはあなたがたの意のままである。ただ求めればよいのである」と言われる。

(シェア・インターナショナル誌2008年12月号より)

 あなたがたは、もうすぐ、人それぞれのかたちでわたしを見つけるであろう。このことを告げにきた。わたしの愛する弟子イエスを求めるものは、イエスの特性をわたしの中に見いだすだろう。教師としてのわたしを探す者は、より的に近い、わたしは教える者であるから。徴を求める者は、それを見つけるであろう。しかし、わたしの顕れ方は、もっと単純である。あなたがたとわたしを分かち隔てるものは何もない。もうすぐ多くの者が、そのことに気づくであろう。

(『いのちの水を運ぶ者』第10信より)

 間もなく、この方が巧みにつくられた多くの奇跡によって、至るところにいる男女の心(ハート)がこの方を慕うだろう。癒しの水は一つずつ発見されるだろう。そして人間の宮殿の大浄化が始まるだろう。

(『覚者は語る(Ⅰ)』─扉を叩く者─より)

 [マイトレーヤは]水源をアクエリアス(宝瓶宮)星団からのエネルギーで活性化します。その治癒の水は陽極の水素原子を含み、そのペーハー(pH)は変えられています。最終的にマイトレーヤはそのような水源を世界中、777カ所につくられるでしょう。それが人類の健康を著しく改善させるでしょう。これまでにそのような水源が4カ所で発見されました──メキシコのトラコテ、インドのナーダナ、ドイツのノルデナウ、ケニヤのナイロビです。水源が「発見される」タイミングと様式や場所はマイトレーヤがコントロールされるでしょう。

(『大いなる接近』)

 われわれは一つの文明の始まりと終わりにいることを、世界の歴史の中で、桁外れの時代であることを忘れないようにしなさい。したがって人々は変化の痛みを感じるのだということを理解しなさい。ある人々にとっては自由への解放である。他の人々にとっては、保証と平穏の喪失である。しかし、我が兄弟よ、痛みは長く続かないだろう、すでに多くの人々はそうであることを知っている。あなた方がこの困難な時期を通り抜けるのを助けるための援助はあり余るほどある。この「時代」を喜んで受け入れなさい、そして新しい事どもの徴を認知しなさい。

(マイトレーヤからのメッセージ、『覚者は語る(Ⅰ)』)

 奇跡はあふれ、驚かせ続けるだろう。いわゆる科学者や専門家たちの絶望的な望みは、人間の目がとらえる証拠を否定するのには役に立たないことが証明されるだろう。これらの顕現が引き起こす希望に心(マインド)を向けることで、人々はそれらをマイトレーヤの賢明な言葉に関連づけるだろう。そして彼の導きに従うだろう。

(『覚者は語る(Ⅰ)』─ 奇跡の時代に終わりはない ─より)

“星”

 2008年12月12日に、シェア・インターナショナル・ファンデーションは世界のメディアを通して、「輝かしいパワーの星のような発光体」が非常に間もなく世界中で見られるだろうという情報を流した。その予報どおり、“星”についての最初の報告がクリスマス頃に届き始めて、その後世界中から“星”の目撃情報が寄せられ始めた。それは、イエスの誕生のとき3人の賢者(覚者)たちを東方からベツレヘムまで導いたと伝えられる聖書の物語の“星”に関連づけられる。現代の“星”と二千年前の“星”の両方とも、実際には宇宙船だったのであり、現代の“星”は世界の東、西、南、北と四つ出ており、世界中をカバーしている。そしてその“星”は、「徴」であり、われわれの惑星の霊的ハイアラキーの長である世界教師マイトレーヤ(いまだ名乗りあげないまま)の非常に間近に迫った公の出現の先触れなのである。

(『光の勢力は集合する』)

 彼は、人間の中の一人として現れ、彼の兄弟たち(人類)の必要と思いを声にするだろう。やがて時を経て、非常に多くの人々が反応するとき、彼の本当の名前と身分は確認されるだろう。その時までの期間は短いことが期待されるが、その認知の速度は人間自身の手のうちにある。今や世界的規模に広がっている奇跡現象の現段階はまだ続くだろう。そしてこの時期におけるその意義をもはや誰も否定することができなくなるまでこの過程に伴うだろう。

(『覚者は語る(Ⅰ)』─将来の青写真─より)

 [奇跡は]私たちが一つの時代の終わり、新しい時代の始まりに来たという徴であり、キリストがこの新しい時代を開始するために世界に戻られたという徴です。これらの徴は、人々の信仰と将来への希望を鼓舞し霊的基盤に基づいた生活に目覚めさせ、私たちが絶えず変化する世界に生きており、奇跡の日々は終わっていないということを彼らに認識させ続けるために与えられています。例えば、聖書の奇跡が、そしてそれ以前の時代の奇跡も、現在、毎日ほとんど毎時間ごとに世界中で繰り返されています。これらの出来事は人類にとって、キリストが世界に公に再臨する時が近づいているという非常に明確な証拠になっています。

(『マイトレーヤの使命 第Ⅲ巻』)

 世界中で、徴はその仕事を成し遂げた。人々はますますそれらの意義を認識し、それがもたらす慰めを新たな感謝の心でつかみとる。真理を知る者たちの心に新鮮な歓びが沸く──「使者」は真昼の光の中に出現すべく待っておられることを、彼の使命を始めるための呼びかけを待つのみであることを。間もなく召集がかけられ、新しい時代が始まるだろう。

(『覚者は語る(Ⅰ)』─ 運命の時─より)

編集長への手紙

シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されている。

クリスマスと新年の光

幸せな光景

 2009年12月31日の夕方、東の空に光り輝く星を見つけました。それが木星ではあり得ないと分かっていたのは、木星が数週間、南西を移動していたからでした。そのため、木星はその場所には見えなかったはずです。そのうえ、この星はもっと輝いていたのです。息子と私は外に出ました。息子は部分月食の写真を撮りたかったためで、私はその星を眺めたかったからでした。外に出ると、息子は月を見るために望遠鏡を立て始めました。私はその星が小さくなったか消えてしまったことに気づきました。最初に目撃したほど輝くものは何もありませんでした。
 その後、突然、騒音が聞こえてきました。ヘリコプターだと思い、二人で空を見上げました。騒音が止まり、大きなオレンジ色の光の球体が目に入りました。息子はそれをヘリコプターだと決めつけてしまって無視していましたが、いや違うと私は言いました。他に光は見当たらず、音もしませんでした。オレンジ色の光はゆっくりと建物の屋上を越える高さまで移動して、やがて見えなくなりました。それは宇宙船に違いないと確信していました。それからしばらくして、シェア・インターナショナル誌2010年1・2月号で、他の人たちがオレンジ色の光の球を目撃して、それがマイトレーヤの光船と確認されたという手紙をいくつか読みました。私は今、その夜、私たちも彼の船を目撃したのだろうかと思っています。

アンジェラ・ゲルストン
英国、ランカスター

【ベンジャミン・クレームの師は、その物体が実際にマイトレーヤの光船であったことを確認した】

正しい星

私たちは『星』を見ることを心待ちにしてきて、度々目撃しています。カラフルな赤と青に点滅する星を、西オーストラリアのパース市の北の空の、ごく低い位置でしばしば目撃します。これはカペラかもしれない、と私は思っています。他にも二つの光り輝く星が、晴れた(雲のない)暗い空から突然現れたのを私たちは目撃したことがあります。それらは同時に連携して移動して、その数秒後に突然消えてしまいました。西の空の木星は素晴らしいものでしたが、今は見えなくなりました。
 南半球ではどこを見るべきでしょうか。あるいは私たちはすでに目撃したのでしょうか。

キャサリン・ガートン
オーストラリア、西オーストラリア州パース

【ベンジャミン・クレームの師は、赤と青に点滅する星がマイトレーヤの『星』であったことを確認した】

新年を迎える輝く光

 新年(2010年)が明けてすぐ、真夜中からほんの数分後に、友人たちと私はロンドン西部の南イーリングの空に、非常に明るいオレンジ色の光の行進を目撃しました。初めのうちは風船だと思いましたが、後になってそれらがすごいスピードで、音もなく移動しているのが分かりました。その光は私たちのすぐ近くに見えていても、実際には遠く離れているのだと私たちは結論づけました。それらが20分間ほども空に現れ続けていたので、私たちは大変驚きました。その光はとてもたくさんあって、おそらく20個か30個か、数え切れませんでした。同じような光の行進がリンカン上空で数カ月前に録画されていました。その映像は「リンカン上空の輝くオレンジ色の光のUFO」というタイトルのユーチューブで見ることができます。とりわけクリスマスと新年辺りでの、同じような体験を伝える何千件ものコメントがあるのです。
 その後、午後3時頃、台所の窓の外に完璧な十字架の形をした明るく輝く光のパターンを見ました。私はそれをボーイフレンドに教えて、その前の体験のことも合わせて、それがもう一つのマイトレーヤの徴かもしれないと伝えました。その日遅く、私たちがガナーズベリー・パークに出かけると、私たちの方へやって来るかのような、空中の明るい光を再び目撃しました。私は大変興奮して、今度はできれば携帯電話で写真が撮りたいと思いました。それはさらに光り輝いて、より大きくなり、その後方向を変えると空に消えてしまいました。

クリスティアーニ・マツナガ
英国、ロンドン

【ベンジャミン・クレームの師は、その輝く光がマイトレーヤの光船であったことを確認した。十字架はマイトレーヤの光船によって現された】

読者質問欄

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。そのいずれもこれまでシェア・インターナショナル誌に未掲載のものです。

Q:いわゆる自然災害や地震などについて教えてください。なぜこれほどたくさんあるのですか。

(ベンジャミン・クレームのラジオ・インタビュー、Phenomenews on the Air、米国ミシガン州デトロイト、1993 年 6 月 23 日)

A:この不均衡な世界は、私たちの破壊的な思考形態、世界に不均衡をもたらす私たち自身の破壊的な態度の結果です。例えば、地震が次々と起こっています。私たちが地下核実験を行う限り、地震は起こり続けるでしょう。それは避けられません。ですから、それは私たち自身の手の中にあります。
 それがすべての地震の原因であるという意味ではありません。地震の原因は様々です。現在の地震の大部分は、いわゆる制御された地下核爆発の直接の結果です。世界のどこかで地震を起こさずにそれを行うことはできません。
 私たちの間違った考えや行動のもう一つの影響は、天候への影響です。人々はつながりを認識していませんが、自然界のすべては相互に関連しています。人類の破壊的な思考形態は、世界の気象パターンを管理するエレメンタルの諸力にいわば敵対し、衝撃を与え、均衡を崩します。そのため、異常でバランスの取れていない気象パターンが至るところに見られます。私たちが均衡に達するやいなや、平和と正義、したがって世界に調和を生み出すやいなや、エレメンタル自体も均衡に達し、気象パターンはかつてのリズムに戻るでしょう。

Q:それはミシシッピ州やミズーリ州で起きている洪水についても同じですか。

A:ミシシッピの洪水、地震、豪雨、季節外れの天候、台風その他のすべてが、非常に頻繁に起こっています。ある程度ならいつもあることですが、これほどの頻度と季節外れであることはありません。このすべては人類の破壊的な想念形態の直接的結果です。私たちは原因と結果の偉大な法則を認識しなければなりません。あらゆる想念、あらゆる行為は原因を始動させ、その原因の結果が私たちの生活を良くも悪くもします。私たちは自分自身に対してそれを行っているのです。

Q:では、私たちの意識は本当に世界を変えているのですか。

A:マイトレーヤが言われるのは、内的な環境が調和していれば、外的な環境も調和するということです。世界に不均衡があるのは、私たちが内的にアンバランスで均衡を欠いているからです。そのために私たちはこの惑星を破壊しています。私たちは環境を破壊しています──しかしこれは世界で第一の優先事項になるでしょう。平和が復興し世界の何百万人もの飢餓の事実に取り組むやいなや、私たちは環境問題に取り組み、健全さを回復しなければなりません。さもなければ、地球は存在しなくなるでしょう。

Q:では、あらゆる物事はつながっているのですか。

A:私たちが気づくようになることは、私たちが神と呼ぶもの、自然と呼ぶもの、人類と呼ぶものはすべて一つであり同じであるということです。それらはすべて内的につながっており、自分自身の一部分や環境の一部分を害することは全体を害することです。神と人類には親密な関係があるという信とつながりの感覚を持たなければなりません。神と人との内的つながり、平和の必要、正義の必要、間近な問題に取り組む必要、これらが常に全人類に影響します。

Q:それはまた、意識を引き上げることでもあります。教会の中に最も霊的な場所を見いだすことはないと思います。

A:マイトレーヤは言われます、「あなたがわたしを見いだす唯一の場所は、あなたのハートの中である。あなたが無執着であれば、わたしは常にそこにいる」。常にあなたと共にそこにいる、と彼は言われます。「ハートの中にわたしを探しなさい」。彼はまた、「飢えや争いがある暗い場所にわたしを探しなさい。人々が苦しむすべての暗い場所でわたしを見つけることができる」と言われます。[彼がここにおられるのは]人類の苦しみを終わらせるのを手助けするためです。なぜなら彼は愛の主だからです。すべての苦しむ魂に彼は仕えます。彼は世界に幸福を回復するのを手助けするために来られたからです。マイトレーヤとは幸福、「幸せな人」を意味します。世界に幸せをもたらす方です。

Q:昨夜、夢の中であなたにインタビューをしていたようです。あなたとマイトレーヤがそこにいたようです。マイトレーヤが本当にいたかどうかは分かりませんが、夢の中でインタビューをしたのはこれが初めてです。

A:これが彼の現れ方です。彼は通常、夢の中で人々が認識できる想念形態で現れます。彼が現れる次の方法は一種のビジョンとしてです。実際には固体ではありませんが、夢を見ているわけでもありません。そして三番目の方法は、様々な形での、実際の、しっかりした物理的な出現です。個人にもグループにも現れます。彼はこの奇跡的な方法で、世界中の原理主義者グループに直接現れます。

Q:偏見、怒り、憎しみについてどうすればいいでしょうか。

A:これは人間のドラマであり、同一化した結果としてイリュージョン(幻想)の界層から生じています。私たちは自分の間違った側面と同一化しています。偉大な聖なる存在としての不滅の魂の側面と同一化している人々もいます。しかし大半の人々は肉体と同一化しています。私たちの感情、マインドと同一化しています。しかしこれらは器であり、それを通して魂が物質界にそれ自身を表現するためのものです。私たちはこれらの器の延長にある怒り、恐怖、憎しみ、嫉妬などと同一化しますが、これらはいずれも私たちではありません。私たちが神の真の様相である魂と同一化し、その背後にある真我と同一化すれば、怒り、憎しみ、恐怖といったすべてのアストラル界のイリュージョンもまた消滅するでしょう。

Q:天国と地獄についてはどうですか。

A:イエスは言われました、「天の王国はあなた方の中にある」と。

2022年11月号目次

 

未来に備えて
ベンジャミン・クレーム筆記

今月号の内容概説

視点
人類最大の課題は、 気候非常事態に立ち向かうために団結することである
ジョン・フェファー

賢者の言葉と新しいビジョン

『アメリカ寡頭政治の隠された歴史』 トム・ハートマン著
ルーク ギオリーによる書評

民衆の声
「もうたくさんだ」 英国の生活のコストに何十万人もの抗議の声

『あなたが思っているよりもあなたは重要』
アナ・スウェストラ・ビエによる書評

ケニア農村部の子供に専門医の遠隔医療を届ける
ウィルソン・オディアンボ

時代の徴
空の徴、 他

瞑想と魂―選集
Meditation and the soul – a compilation

S.O.P. (Save Our Planet) -われわれの惑星を救え!
何千という若者が 「気候変動にかかわる賠償と正義」 を求めて世界中で抗議を展開

“傲慢さの衝突”
ジェフリー・サックス教授へのインタビュー

核戦争への懸念が高まる中、
米国の40以上の都市のデモ参加者が緊張緩和を要求する
ジュリア・コンリー

編集長への手紙
遊び旅の仲間他

読者質問欄
回答 ベンジャミン・クレーム

未来に備えて

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 一つの時代の終わりと新しい「宇宙の周期」の始まりにかけて、すべてがばらばらになり始める。古い、試みられてきた生活のあり方はもはや機能しないか、あるいは前進しつつある人類の必要を満たさない。確信が不確かに代わり、知られていることはその説得力を失い、人々は当惑し、途方にくれ、恐怖でいっぱいである。かくして、古い双魚宮(パイシス)の時代と新しい宝瓶宮(アクエリアス)の律法の間にあるこの移行の局面にあって、今日われわれは当惑しながら立つ。
 宝瓶宮の時代はおよそ2,350年続くだろう、そしてそのエネルギーが次の数世紀にかけて力を増大させていくにつれて、人々に多くの恩恵をもたらすだろう。しかしながら、現在は双魚宮の、もはや用をなさないのだが、まだ抜け出せない古いやり方が大多数の人間の思想と行動を左右し、支配する。そうであるから、数え切れないほどの大勢の人間が、現在のところ強力で支配的な国々のリーダーたちの行動によって牛耳られている。かくして今は激変とストレス、不調和と葛藤の時である。
 この苦悩の時はもはやあまり長く続かないだろうということは確実である。すでに、変化の兆候は、あなた方の兄であるわたしたちには明らかである。現在のものとは全く異なった状況の輪郭がはっきりと見える。わたしたちには、平和な世界が、正義が支配し、自由が至るところにいる人間の生活を飾る世界が見える。現在の病は過渡的で過ぎ去るものであることを、新しい夜明けの光が人間の生活を照らし、彼らを行動へと駆り立てることを、わたしたちは知っている。また、人々は心(ハート)の中で変化への用意ができており、それを願望していることを、そしてそのチャレンジに熱意と意志をもって立ち向かうだろうということを、わたしたちは知っている。彼らは鼓舞(インスピレーション)と導きを待つのみである。
 マイトレーヤは約束の時刻を待ちながら、その鼓舞(インスピレーション)と導きを、完全に、そしてより多く授けることを切望する。それは、カルマの法則によって、彼が進行するのを可能にする。
 そのとき、偉大なる主は公に人間の分野にお入りになるだろう。そうして、彼は権力と富を持つ人々の思い上がりに挑戦するだろう。マイトレーヤは声なき何千万の人々のために、日々苦悩の中に生きる貧窮し飢えた人々のために、彼らの“上位”の者たちの勅命にあえて挑戦し獄中で衰えている人々のために、語るだろう。マイトレーヤは、正義と自由を愛する者たちのために語り、彼らの大義の声を高らかに上げるだろう。彼は、戦争によって支配する者たちの激怒を和らげるだろう。そして人間の王国を汚す戦争が入り込む扉を永遠に閉ざすだろう。これらのすべてを、マイトレーヤは人間を通して達成し、地球に平和と健全さを復興させるだろう。
 穏やかに、そして目的をもって、彼は人間が受け継ぐべき黄金の未来に備え、そのような未来を形づくっていく男女である“輝ける光”を集合させるだろう。

(シェア・インターナショナル誌2007年12月号)

今月号の内容概説

 私たちは毎月、述べる必要のあるあらゆること、注目を要するすべてのことについて書くことができればと思っている。すべての人が認識すべき問題が非常に多くあるからである。早急に解決策を必要とする危機や状況、問題を省くのは困難である。世界の全領域は、善意の人々がそれぞれ適切な行動を取ることを求めている。この11月号も例外ではない。良い点や問題点、解決策、後退、進歩が提示されている。非常に多くの奉仕の機会に関して述べるべきことは非常に多い──そのため、今月号は通常よりもページ数が多くなっている。
 ベンジャミン・クレームの師である覚者は、問題の核心を突いている。つまり、古い秩序の崩壊と、何がそれに取って代わるかという論点である。覚者はこう述べている。「今は激変とストレス、不調和と葛藤の時である」と。しかし覚者は、絶望が入り込む前に、正義や自由、平和という美しい規範を持った未来の概略を描いている。「未来に備えて」という同じ記事で、マイトレーヤがいかにして働かれるかを覚者は明らかにしている。マイトレーヤは「権力と富を持つ人々の思い上がりに挑戦するだろう。マイトレーヤは声なき何千万の人々のために、日々苦悩の中に生きる貧窮し飢えた人々のために、彼らの“上位”の者たちの勅命にあえて挑戦し獄中で衰えている人々のために、語るだろう。マイトレーヤは、正義と自由を愛する者たちのために語り、彼らの大義の声を高らかに上げるだろう。彼は、戦争によって支配する者たちの激怒を和らげるだろう。そして人間の王国を汚す戦争が入り込む扉を永遠に閉ざすだろう」
 フランスの通信員の一人、ルーク・ギオリーは、アメリカの低迷──民主主義や国の諸機構、国の未来に対する寡頭制の悪辣な影響──についてのトム・ハートマン氏の分析に脚光を当てている。別の書評(『あなたが思っているよりもあなたは重要』)では、ノルウェーの通信員、アナ・ビエが、相互に結び付いた世界において、肯定的な変化の連鎖反応に寄与するためにそれぞれの人が果たすことのできる役割に焦点を当てている。紛争の継続に対するフラストレーション(不満)の高まりが世界中で見られ、それに付随した核エスカレーション(深刻化)に反対する運動が盛り上がりを見せている。
 瞑想とは何か、なぜ瞑想をするのか。ベンジャミン・クレームと彼の師、そしてマイトレーヤが、人を奮い立たせるような選集の中で説明している。
 ケニア農村部での遠隔治療の進展についての記事は、新興国が健康管理などの基本的権利のためにいかに苦闘しなければならないかを明らかにしている。教皇や国連事務総長、世界中の若い気候活動家、ジェフリー・サックス教授らは皆、私たち──人類──に正気に返って、私たちの惑星と生命を救う解決策を見つけるよう促している。彼らの訴えは緊急性を帯びている。
 現在の危機にもかかわらず、マイトレーヤは人類を通して、私たちが長らく待ち焦がれてきた未来を成し遂げられるということを、シェア・インターナショナル誌の読者は知っているだろう。マイトレーヤは今でも働いておられ、「人間が受け継ぐべき黄金の未来」に備えておられる。

瞑想と魂 ――選集

Meditation and the soul ──      a compilation

Q   なぜ瞑想はそんなに重要なのですか。

A 魂は肉体人間ではなくリアリティ(実相)です。物質界はそれ自体の観点から見れば現実ですが、魂の観点から見れば現実ではなく、それは相対的なものです。問題は、私たちがそれを全体だと思っていることです。しかし、それはより偉大な全体の相対的な部分でしかありません。部分は全体を見ることはできませんが、全体は部分を──そして様々な部分を──見ることができます。魂の観点から見れば、何度も何度も転生する魂の努力はこの橋を徐々に築く一連の器を創造し、バラバラであったものを融合することです。物質への退化の過程を逆に戻り、物質の霊化が起こります。
 私たちは自分自身の諸体の物質(メンタル体、アストラル体、肉体)を霊化します。魂は各々の転生で、螺旋上のより高い旋回において、より高い振動の一連の諸体を創ります。(もしすべてうまくいくならば)私たちはやがて、あまり多くの制限なしに、そして究極的にいかなる制限もなしに魂を表現することのできる肉体を持ちます。
 瞑想はそれを始動させる過程です。あらゆる宗教や精神修養の中に、上昇へのあらゆる道の基礎に、何らかの瞑想があるのはその理由によります。伝導瞑想ではないかもしれないし、あなたが本で読んだり、知ったりした様々な瞑想でもないかもしれません。しかし、何らかの瞑想によって魂との整列が起こるに違いありません。なぜなら転生しているのは魂だからです。魂を避けたり回避したりすることはできません。魂がリアリティ(実相)です。その現実を認知しなければならず、それを認知する方法は橋、帰還の道、アンタカラーナの構築を通してです。

(『マイトレーヤの使命 第Ⅲ巻』)

 今までは、「超魂」についてのわれわれの知識は宗教の関連からきていた。そのため、「超魂」は人間から遠い存在であり、認識され、遠くから崇拝されるべき何かであるという印象を残した。しかしながら、人が進化するにつれて、「超魂」は自分自身であることを、自分の、より高位でより純粋な部分であるが、にもかかわらず、自分自身であることを理解するようになる。かようにして、人は進化し、自分の真の本質と目的についての知識を深めていく。
 今日、非常に多くの人間がそのような道程を歩むことについて、意識的に認識している。彼らにとって人生の意味は深まり、より優れた知識と体験を探究する。かくして、やがて彼らは瞑想に向かい、その実践を通して、より大きな発見が彼らのものとなる。一歩一歩、彼らは自分たちが「超魂」であることを確信し、それは何か遠く離れたアイディアではなく、まさに彼ら自身であることを知る。徐々に、彼らの人生のテンポ(速度)は変化し、より深い意味と目的が彼らの行うすべてを強化する。かようにして、人間は超魂の神性と知恵をますます反映させながら、完全への道程を前進する。

(『覚者は語る(Ⅱ)』─上昇の道─より)

 瞑想には、いろいろなやり方がありますが、一般的には、多かれ少なかれ魂との接触を持ち、徐々に魂と一体となるための科学的手段です。そして魂はこの物質界に明確に強力に自身を顕すことができるようになります。
 魂の特質を顕している人間に出会うとき、生命の意義と目的とが輝き出ているような人間であると感じます。例えば、ずば抜けて創造的な科学者とか芸術家とか政治家とか教育者とかのように。そのような人々は、明らかに普通一般の人々と全く異なるエネルギー、力によって支配されています。それは魂のエネルギーであり、それが彼らを通して流れ出るのであり、われわれの文化、文明を豊かにしてくれる創造的人間をつくり上げています。
 伝導瞑想は、魂との繋がりを持ち、そのエネルギーがわれわれを通して流れる最も簡単な手段であると思います。普通、瞑想を正しく行うためには、非常に強力な精神集中の力が必要であり、ほとんどの人にとってこれはかなり困難な仕事です。一般に人々が瞑想と呼んでいるのは、しばしば瞑想ではなく、単なる精神集中あるいは沈思にすぎません。瞑想には、精神集中も含めれば、五つの段階があり、第一段階から次の段階へと徐々に深められていきます──精神集中、瞑想、観照、照明、霊感。

(『伝導瞑想──21世紀のヨガ』)

 誰もあなたを導くことはできない。あなたは、自分自身について認識するように、自分自身の裡なる師を知るように、生まれついているのである。あなたの内的な空間は聖なるものである。そこで、すべての物事が、あらゆる問題が解消するのである。あなたが疲れて、脅えて、腹に据えかねたとき、あなたが自分の空間を見つけるために一人にしておいて欲しいとき、そこに行くのである。「あなたはその空間を与えられているのであり、そこであなたの周りの混乱や混沌を解消するのである。その空間をあなたの本当の真我以外に、誰にも譲り渡してはならない。瞑想とは実に、安らぎと幸せを見つけるためにその空間に戻る旅である」

(『いのちの法則』)

 ダーウィンおよび彼の考えに正しく従った者たちは、われわれはすべて意識の発達に従事しているということを大体において無視しており、人間の外的な肉体的発達のみを描写する。人間の肉体はほとんど完成の段階に到達しており、さらに成し遂げるべきものはほとんどない。しかしながら、意識という面からは、人間はその開花に向けてほとんど最初のステップすら踏み出していない。その開花は人間がまさに神性を内在させていること、すなわち魂が転生しているということを証明するだろう。いつの日か、魂の事実が科学によって証明され、一般的に受け入れられるようになるだろう。そして古い意見の対立は癒されるだろう。

(『覚者は語る(Ⅱ)』─進化論 対 創造説─より)

 瞑想の真の目的は、自分自身を己の魂とつながり、整列状態にもっていくことです。瞑想を通して肉体の頭脳と己の魂との間に橋をかけること、光の導管をつくることです。サンスクリット語で、これをアンタカラーナといいます。アンタカラーナを通して、魂のエネルギーがその媒体であるパーソナリティー(肉体人間)に注ぎ込まれます。瞑想は個人がだんだんに魂と融合していくことに関連しているのです。自己の魂のエネルギーがだんだんに染み込んでいくのです。それは魂の目的のエネルギーであり、愛の特質であり、知の側面のエネルギーです。

(『世界教師と覚者方の降臨』)

 すべての人間の裡に神が宿る。その神はあなたの真我である。わたしの任務は、その聖なる存在をあなたの裡に解き放ち、神の大計画を完了させることである。
 神よりも単純なるものは存在しない、なぜなら、すべてのものの背後にその聖なる原理があるのだから。人がこれに気づくとき、真に偉大となる。そしてその人から、創造的エネルギーが流れ出づる。わたしの計画は、その聖なる原理を顕す道を一歩一歩あなたがたに示し、あなたがたを本源へと導くことである。

(『いのちの水を運ぶ者』第54信より)

 人間は本質的に魂であり、神の完全なる反映である。言い知れない永い間、数え切れない多くの転生を通して、人間の魂はその聖なる特質を時間と空間の中で表現することを求める。魂は物質界における己自身の対応物をつくり、それ自体の完成に向けて進化していくために必要な手段を賦与した。このようにして、神の大計画は成就されていく。
 この発達への鍵は志向(アスピレーション)である。すべての人間に内在するものは完全無欠への願望であり、善きもの、美しいもの、真なるもの──すなわち魂の属性──を表現したいという衝動である。行動がいかにぐらついたものであろうとも、それがいかなる表現方法をとろうとも、より良いものへの欲求を持たないものは誰もいない。裡にこの願望を持たない者はいない。それでは、人間の逸脱を、暴力や憎悪をどのように解釈すればよいのか。
 その答えは、人間の独特の位置、すなわち霊と物質の出会いの場にあり、そしてそれが同時に存在することで発生する緊張にある。人間は永遠の魂であり、それが物質の中に飛び込んで、そのために物質が強いる限界に従属させられる。完全を求める人間の闘いは、これらの相対する二つの極にある特性を完全なる和合と解決に導くことを伴う。

(『覚者は語る(Ⅰ)』─ 一対の極─より)

 瞑想を通して魂との接触は深まり、強められ、徐々に魂によってパーソナリティーの融合がもたらされる。魂のエネルギーと属性──霊的意志と愛と知──が肉体人間を通してますます顕現し、その二つが完全に融合するまで続く。

(『マイトレーヤの使命 第Ⅰ巻』)

 変化のための手順を開始し、人間の裡なる神が輝き出づるように、人の生活を変換させる時がきた。これは、我が友よ、なにもむずかしいことではない、なぜならあなたがたの裡にそのような聖なる存在が宿るのであるから。わたしの任務は、その輝かしい光をあなたがたの裡に呼び起こし、本源へお連れすることである。

(『いのちの水を運ぶ者』第74信より)

 魂をますます多くその人の生活の中にもたらすために、二つの過程──瞑想と奉仕──が存在しています。瞑想と奉仕以上に、私たちが魂を呼び込むのに役立つものはありません。それらは与えられた道具であり、魂が浸透するようになるための道です。魂の浸透は非常に緩慢です。それは少しずつ発達します。転生する度に、人は魂へと近づきます。あまり多くのものが取り込まれないとき、非常に怠惰な生涯や後退的な生涯があるかもしれません。しかし、すべてがうまく行けば、魂はその人に光を分け与えます。……
 人が正しい方法で、利他的に、自我の感覚を持たないで瞑想し奉仕するにつれて、自動的に魂からの光を吸収していきます。人は瞑想の中で、その光を絶えず喚起しています。魂は自身の光を、発達しつつある人間に注ぎ、諸体は変化していきます。旅路の終わりまでに、その人は完全に亜原子的つまり光になります。

(『光の勢力は集合する』)

 すべての意識の拡大の前には緊張がある。人間が今通過している争いと困難のこの時期の後に、平安と落ち着きの時が続き、直観が徐々に開花するための舞台が整えられるだろう。それが起こるとき、人間は、すべての論争を通り越して、神のイメージに似せて創られた魂としての自己の特性を直接知るだろう。

(『覚者は語る(Ⅰ)』─理性と直観─より)

 わたしの教えは、もし必要とあれば、この世には人間がなし遂げ得ないものは何も存在しないことを示すであろう。人は神であり、その神性を顕し、栄えさせることのみ必要なのである。これが確かであることを、わたしの存在が保証する、なぜならわたしの兄弟である覚者たちとわたしとが共に、あなたがたの聖なる本性の驚嘆すべき不思議を見せてあげるのだから。このようにして、あなたがたは己の可能性に気づき、光の中に成長するであろう。

(『いのちの水を運ぶ者』第71信より)

 瞑想は魂との接触への王道であるが、いったんこれが達成されたら、真の志向者が弟子道へと進む道は奉仕の生活をも共に受け入れることである。内的焦点と外的焦点との均衡が保たれなければならない、そして最も低い弟子からキリスト御自身、そしてさらにその上位のすべての真なる神の子たちを招く無限の道、奉仕の道の上の歩みが始まるのである。その同じ奉仕への要求がロゴスをして顕現せしめ、われわれに生命を与える。

(『マイトレーヤの使命 第Ⅰ巻』)

 あなたがたに新しい生き方を見せてあげたい、人間に生来そなわる同胞愛に基づく生き方を、愛し、分かち合う能力と、人間の本質的な神性に基づく生き方を。聖なる人間になる過程は、単純で自然であり、すべての人間に開かれている。それは、あなたがたの裡にはじめから宿るあの神を解き放つ過程である。わたしは約束しよう──もしあなたがたがわたしに従いて新しい時代に前進するならば、あなたがたの裡に宿る聖なる本質を解き放ってあげよう。

(『いのちの水を運ぶ者』第28信より)

 世界は人間存在の真理に目覚めつつある──人間は神聖なる存在であり、魂としての本当のリアリティ(実相)の外的な表現である。あらゆる栄枯盛衰を通して、人間の魂はその人を守りそして道を示してきた。神経がすり減っているときも、高邁な仕事をしているときも、いやいやながら努力をしているときも、魂がそこにいなかったときは決してない。人間(肉体人間)と魂はひとつである。それが、人間に発見されることを待っている真理である。魂はこの啓示の目覚めを待っている。人間は人生における見習い修行の終わりにきている。これからは、その魂がより高位のそしてより明確な道を示す。

(『覚者は語る(Ⅰ)』─ ミッシング・リンク─より)

“傲慢さの衝突”

ジェフリー・サックス教授へのインタビュー

ジェフリー・サックス教授は、アメリカの経済学者、学術研究者、公共政策アナリストである。彼は、持続可能な開発、経済開発、貧困との闘いに関する研究で知られている。フェリシティ・エリオットは2022 年10月9日、 シェア・インターナショナル誌のために彼にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI): ウクライナ戦争について一般に流布されている情報は次のようなものです。一方は完全な悪であり、もう一方はすべて善であるというものです。常識と実際は違うかもしれません。これをどう見ますか。

ジェフリー・サックス:これは、ウクライナを中心とする二つの超大国間の戦争です。一方で、米国は軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)をロシアとの国境どころか、黒海全体にまで押し進めたいと考えています。ロシアは30年間、「軍事同盟を東方に移動させるのはやめなさい」と言い続けてきました。他方、ロシアは、1991年にソビエト連邦が解体し、ウクライナが独立国となった時に、進行中の国内紛争と国境紛争の渦中にあったのです。ウクライナ戦争は、二つの異なる側面を持っています。一つは、ウクライナにおける政治の内部分裂です。ウクライナ語を話す西部とロシア語を話す南東部です。1991年以来、そこにはずっと緊張が続いていました。しかしその後、私の見るところでは不運なことに、米国は2008年に、ウクライナが米国主導の軍事同盟の一部になると言って、この状況に最も挑発的な方法で首を突っ込んで来ました。それはヨーロッパの指導者たちには無謀で挑発的であると知られていましたが、米国は非常に強力であるために、米国の思いどおりとなり、ヨーロッパの指導者たちは陰では話すことを公の場では言わなくなっているのです。
 これは2014年にさらに悪化しました。親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領は、ある種の微妙な安定を保っていましたが、ウクライナは中立であるべきだと述べたのです。しかし、彼は放り出されてしまいました。西洋諸国の言い分は、彼は大衆の抗議行動によって打倒されたというものです。ロシア側の言い分は、彼は米国主導のクーデターで追い出されたというものです。

SI:これらの見解は正しいですか。

サックス:はい。米国は抗議運動の組織化に深く関与しており、2014年に資金提供を行ったため、これらの立場の両方に真実があります。
 米国は他人のビジネスに干渉し、挑発と被害をもたらします。そして、西側の主流メディアがそれについて語らないので、あなた方はそれについて聞くことはありません。そのため、多くの宣伝活動(プロパガンダ)が行われるが、米国政府は非常に強力であり、これが知られることを望んでいません。その結果、親ロシア派のウクライナ大統領が2014年に追放されたというわけです。この出来事は、内政・外交の両面でウクライナを完全に不安定な状況にさせました。なぜなら、新しい親米ウクライナ政府は北大西洋条約機構(NATO)への加盟を望んでいると発表したからです。

SI:米国はどのように対応しましたか。

サックス:米国は何十億ドルもの軍備を惜しみなく投入し始めました。そしてロシアの人々は「そんなことはやめて!」と言い続けました。ロシアがクリミアを奪還したのは、そこが彼らの海軍基地であり、ロシア語を話す人々がいる場所だからです。そして、米国は事態を徐々に深刻化させました。実際、私たちは2014年にすでに代理戦争に突入していました。そして、両陣営には分別のある人々がいないため、事態はさらに悪化しました。
 2021年、プーチン大統領は次のように述べました。「あなた方は私たちの隣国を武装している。これは非常に挑発的です。私たちはNATOの拡大を止める必要があります──これは私たちの安全保障にとって核となる脅威だからです」。米国の反応は、「あなたと話す必要はない」でありました。それが外交の終焉となったのです。そして今年2月、ロシアは侵攻を開始しました。

SI:この責任は双方にあると思いますか。

サックス:誰がこの紛争を引き起こしたのかを問うことができます。両陣営です。そして信じられないほど苛立たしいのは、私たちがこれを止めなければ、私たちを核戦争に導く傲慢さの衝突があることは明らかだということです。しかし、私たちは自分の傲慢さを見ることができません。その理由の一部は、西側メディアがほぼ完全に政府主導のプロパガンダを流しているからです。
 私はこれについてよく知っています。この地域に携わって32年間、私は直接関与してきました。ゴルバチョフ大統領とエリツィン大統領に助言をしました。私はウクライナのクチマ大統領にも助言しました。言い換えれば、私は両方の側で働いてきました。私は細部に至るまで状況をよく知っています。米国がいかに挑発的であったかを知っています。

SI:イライラする要素の一つは、主流メディアです。既得権団体は明らかにメディアの口封じをしました。たまたま、あなたがインタビューを受けているニュース番組を見た時、あなたはいきなり番組から外されましたね。あなたがその時に語ったことに対して反発の声が上がりました。民主主義はどこへ行ってしまったのでしょうか。

サックス:はい、私はこれらについて言及することを許されていません。バイデン大統領がまさに語ったように、ノルドストリーム・ガス・パイプラインを爆破したのは米国だと思うと私が言ったので、彼らは私をプログラムからすぐに追い出しました。バイデン大統領は、そのことを2月に話していたのです。すべての証拠を合わせると、米国である可能性が最も高いのです。ついでながら、もしジャーナリストに個人的に聞いてみるなら、そう答えます。これらの同じ新聞の記者たちが、あなた方にそれを内密に話します。でも西側のメディアでそれを言うなら……まあ、言わないかもしれませんが、意見や見解を述べたり、レポーターに米国政府に対して質問してもらったりすることはできません──これはレポーターがなすべき義務なのですが。

SI:はい、残念ながら主流メディアは大衆を失望させました。数分前にあなたが言ったことに戻りたいと思います。あなたは現在、分別のあるリーダーが不足していることを嘆いていました。そして、そのことが非常に分別のあるアメリカの指導者、J・F・ケネディ大統領を思い出させました。私は彼のスピーチを読んでいます。この素晴らしいスピーチは、この時代とこの特定の危機に非常に関連しています。彼の平和へのアプローチは素晴らしいです。そして彼の常識は今とても必要とされています。あなたがこの演説を賞賛していることは知っていますが、言い換えれば、核保有国や敵対者に対して屈辱を与えるか、核兵器に訴えるかのどちらかを選ばなければならない立場に追いやることは絶対に避けるべきだと彼は言っています。そして、私の考えでは、まさにそれが今日の私たちの置かれた状況です。

サックス:そのとおりです。それは狂気の沙汰です。それでは、この事実の前後関係を紹介させてください。私はこのスピーチがとても好きだったので、これについて本を書きました。人々はオンラインで、1963年6月10日のアメリカン大学卒業式でのJ・F・ケネディ大統領の演説を見つけることができます。事実の前後関係は次のとおりです。米国とソビエト連邦は、異なる時代(1962年10月)に、同様な緊張をもたらしました、キューバのミサイル危機に遭遇したのです。それは奇妙に聞こえるかもしれません。なぜなら、西側の人々の耳には異なった情報が流布され、とにかく一方的だったからです。「ソビエト連邦がキューバにミサイルを設置していただけ」であったのです。 
 実際の物語は、キューバがソビエト連邦との同盟を望んでいたため、米国がその前年にキューバを侵略したということです。米国のキューバ侵攻は失敗に終わりました。ソ連の最高指導者フルシチョフ首相は米国に教訓を与えることにしたのです。当時、アメリカはソ連を狙った核ミサイルをトルコに配備していたので、キューバにミサイルを配備することにしました。当時の外務大臣アンドレイ・グロムイコ氏はぞっとし、これは戦争を意味するのか、とこの政策に疑問を呈しました。フルシチョフ首相の反応は、これが戦争ではないことは確かだ、というものでした。単にアメリカ人に同じ手口で仕返しをすることを意図した動きであったのです。私がこれに言及する理由は、リーダーは、賢明であろうとなかろうと、災難に遭遇するためです。こうした人々を信頼することはできません。当時、J・F・ケネディという素晴らしいリーダーがいました。しかし、彼でさえ、核による絶滅にすんでのところで遭遇したのです。

SI:サックス教授は、ソビエトのミサイルがキューバで発見された時、ケネディ大統領に攻撃を促したすべてのトップ・アドバイザーたちを、ケネディ氏はどのように結集させたかを説明した。当時の米国国連大使であるアドバイザーのアドレー・スティーブンソン氏は、危機の初日にケネディに偶然会い、ケネディに攻撃しないように忠告した。彼は外交の必要性を強く主張した。翌日、ケネディはフルシチョフを理解し解決策を検討することに時間を費やした。タカ派のアドバイザーたちからの圧力が高まっていたが、ケネディは彼らを抑えてフルシチョフ氏と話すことにしたのである。両者は、どちらも戦争を望んでいないことに気づいた。彼らは譲歩するために妥協と外交という方法を見いだした。ケネディは妥協した。トルコからミサイルを撤去し、キューバを侵略しないことに同意した。ソ連がミサイルを撤去することを想定し、双方が約束通りに行動したのである。

サックス:どちらの指導者も、継続するのは正気ではないと認識していました。部分的核実験禁止条約として知られるようになったものに署名することを決定しました。そして、あなたが適切に言い換えた素晴らしい引用文を、その雄弁さと重要性のゆえに、今読ませていただけるなら、次に紹介します。
 「何よりも、核保有国は、われわれ自身の重要な利益を守りながら、屈辱的な撤退か核戦争かの選択を敵に迫る対立を回避しなければなりません。核の時代にその種の方針を採用することは、私たちの政策の破綻の証拠、または、世界に対する集団的な死の願望の証拠にすぎません」
 しかし、現在、私たちの愚かな指導者たちは──失礼、このような表現は使いたくないのですが──私たちを核戦争へと駆り立てています。なぜゼレンスキー大統領は、核兵器を保有している隣国をあざけっているのでしょうか。核兵器の多くは世界中の都市を狙っているというのに。からかわないでください──抜け道を見つけてください。
 最後に、バイデン大統領は、キューバのミサイル危機以来、ハルマゲドンに最も近づいていると述べました。多くの人が彼を攻撃したり、なぜ彼がそのようなことを言っているのかと尋ねたりしました。彼がそれを言った理由は明らかです──それが本当だからです!
 「私たちの側」では、人々は歴史を知らないようで、完全な悪に対する善の観点から考えています。バイデン政権が北大西洋条約機構(NATO)拡大について正直に、かつ、まともに交渉できなかったことを知りません。NATOは、ウクライナとグルジアに拡大する権利を持っていません。それは挑発でしかありません。嘘に基づいています。アメリカはゴルバチョフ氏に「ワルシャワ条約機構を破棄するなら攻撃しない」と約束したのです。その後、米国は「考えを変えた」と述べています。それは嘘と呼ばれ、現代における最も重要な問題の一つとなっています。

SI:あなたの見通しは、かなり暗いようです。交渉の余地はありますか。

サックス:いわゆる「思想的指導者」や政治指導者が、私たちの命が無謀で無意味な方法で危機に瀕していることを理解していないように見えるため、私たちは本当にひどい混乱に陥っていると思います。バイデン氏とプーチン氏は(交渉の準備のために)座っているべきです。あなたの質問への答えはイエスです、双方の間で交渉することができます。しかし、それに反対する声もあり、「われわれは勝たなければならない」と言います。核兵器を持っている敵に対して勝つ、というのです。

SI:それでは、交渉の条件は何でしょうか。NATOの侵略を核心的な要因にしなければならないと思いますか。あなたもホワイトハウスに電話して、ロシアとの交渉を開始するよう懇願したと思います。言い換えれば、この段階でさえ、あなたは交渉を信じていますね。

サックス:「この段階でさえ」だけでなく、とりわけ今です。もちろん、核戦争に行く前には交渉するでしょうが、「私たち」はエスカレートし続けるでしょう。ですから、そうです、交渉なのです。

SI:サックス教授は次のように続けた。ロシア人が実際に交渉を歓迎するだろうという事実を反映して、多くのロシアのブログ (および「私たち」の側のブログ)で外交的解決を求める意見を何カ月間も目にしている、と。プーチン大統領は交渉を呼びかけたが、サックス教授が言うには、「私たち」は交渉すべき相手がいないと主張している。これはサックス教授の体験と真っ向から矛盾している。

SI:振り返ってみると、3月に非常に奇妙なことが起こりました。ある種の交渉を仲介しようとする試みがありました。調停役のトルコとの会談がありました。かなり早い段階で、交渉にはいくらかの希望があったようです。突然、不思議なことに、それは中止になったのです。何が起きたのでしょうか。

サックス:分かりません。私たちの政府はこれらのことについて真実を語っていないので、正しく解釈することはできません。私たちが知っていることは、3月に三者すべてが、目前に突破口があると述べたことです。書類の交換もありました。当時、私は高官に話を聞きました。ウクライナは、保証に裏打ちされた中立の考えを提唱し、ロシア側にそれを伝え、ロシア側は肯定的な反応を示しました。プーチン大統領はそれに基づいて、「交渉文書、合意草案を提出しましょう」と言いました。その文書はウクライナに渡されましたが、ウクライナは突然、そこから身を引きました。その理由は分かりません。私は、米国と英国がウクライナの中立の申し出を拒否したことを示唆する状況証拠を持っています。両国は中立の申し出にノーと言い、ゼレンスキー大統領とウクライナ指導部に、さらに多くの武器輸送により支援すると述べ、この戦争に勝利するために前進するよう促しました。それは私自身の見解です。この進展への支持を表明するどころか、米国は交渉が可能な瞬間に強硬路線を取ったのです。最近、ゼレンスキー大統領はプーチン大統領と交渉しないと述べました。ウクライナは平和を要求するべきですが、毎日のようにウクライナはロシアに屈辱を与えることを目指し、完全な軍事的勝利を要求しています。これが私たちの同盟国でしょうか。挑発を続けるよりも、私は交渉して地球を救いたいです。 

SI:現在の緊張状態と関係当事者たちの立場を考えると、交渉できるのは誰でしょうか。トルコにはまだ可能性がありますか。また、中国はどのような役割を果たすことができますか。

サックス:はい、トルコは依然として有効な仲介者であり、他の国々もそうです。中国は良い仲介者になる可能性があります。中国はこの戦争を望んでいませんが、ロシアの正当な安全保障上の利益が危機に瀕していると考えています。実際にそのとおりです。インドもまた、インドネシアと同様に建設的である可能性があります。しかし、今なすべきことは、バイデン大統領が電話を取り上げてプーチン大統領と話すことです。これは私たち全員にとって非常に破壊的であり、この混乱から抜け出す方法を見つける必要があるからです。それがアメリカ大統領の仕事です。

SI:ホワイトハウスがサックス教授の電話にどのように対応したかを尋ねたところ、サックス教授は、2021年末にホワイトハウスと話をしたと述べた。これに対する彼らの反応は、以前からずっと話し合うという考えは拒否しており、NATOに参加するのはウクライナの選択であるが、ウクライナは交渉の検討を拒絶した、というものであった。サックス教授は、これは馬鹿げた考えだと思っている。それはウクライナの選択の問題ではないからである。ロシアとの国境が1,000キロを超える国に軍事同盟を押し付けないというアメリカの抜け目のなさに関することである。西側はそれがどれほど危険かを知っている。サックス教授は、ホワイトハウスに通信を送り続け、平和のために働くよう行政に要請していることを示唆した。幸いなことに、バイデン大統領は状況がいかに不安定であるかを認め、問題視している。それはサックス教授にとっては朗報である。バイデン大統領はまた、プーチン大統領の「出口」とは何かを尋ねている。

サックス:プーチン大統領の「出口」または条件は、30年前から知られていました。 つまり、NATO のウクライナへの拡大を止めることです。もちろん、クリミアなど、他の問題もありますが。

SI:平和コミュニティーには役割があると思いますか。何が起こる必要がありますか。

サックス:平和コミュニティーは各国政府と話し、交渉のために声を上げるよう要求する必要があります。「この惑星を破壊しないでください!」と主張するだけでよいのです。平和コミュニティーは、国連総会に次のように言うことができます。「交渉のための全会一致の決議に投票してください。誰が交渉に反対しているか見てみましょう。投票しましょう。実際に見てみましょう。何ですって。米国が決議案に反対票を投じようとしているのですか。本当ですか。確かめてみましょう」。このようなことが今起こるべきことです。
 全世界がこれに関係しています。私たちは皆、この状況に利害関係があります。2人、3人、または10人の男性に──通常は男性ですが──地球の結末を決定させることはできません。あらゆる人が声を上げる必要があります。私たちは次のように言う必要があります。「ドンバス、クリミア、NATO拡大についての議論で世界を終わらせるつもりはありません。私たちは地球を爆破しない方法を見つけるつもりです」と。それは私にはかなり基本的なことのように思えます。平和コミュニティーは大きな役割を果たすことができます。街路に出て、政府指導者たちと連絡を取り、正気を取り戻し、完全に手に負えなくなる前にこの狂気を止めるよう促すべきです。

SI:私の理解では、すでに手に負えなくなっています。つまり、ここには時間的要素があるに違いありません。

サックス: 交渉に行く時間はありません。二つの超大国が一時後退して話し合う必要があります。バイデン大統領とプーチン大統領は、お互いに話し合う必要があります。ツイートや仲介者を通してではなく、向き合って話し合い、仕事を始める必要があります。彼らの仕事は世界を救うことです。

SI:ちょっと話はそれますが、私はこれが恐ろしい混乱であると考えずにはいられません。世界は気候危機、大規模な生態学的劣化が起こっていることを忘れています。私たちは飢饉、飢餓、貧困、干ばつなどを忘れています。

サックス:これらの問題を解決するには、グローバルな協力が必要です。これがベースライン(基本線)です。戦争中にこれらの問題を解決することはできません。そして、対立の最前線は一つだけではありません。ここ数日間にすべての混乱に加えて、米国は中国へのハイテク、マイクロ回路の輸出を遮断しています。中国経済を壊そうとする意図的な試みです。私たちはもう一つの戦線を開いています。アメリカ合衆国下院議長ナンシー・ペロシ氏を台湾に行かせました。それは信じられないほど挑発的でした。

SI:アメリカ合衆国とこの政権を正気に戻すものは何ですか。

サックス:バイデン大統領は危険に気づき始めています。今は、平和コミュニティーと真実を知っている世界中の150カ国 のすべての指導者たちが声を上げ、交渉による平和を要求する必要のある時です。ウクライナの中立性は国連や他の国々によって保証される必要があり、私たち全員が狂気を終わらせるよう呼びかける必要があります。

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