シェア・インターナショナル誌には創刊以来、ベンジャミン・クレームの師である覚者が提供してくださった記事が毎月掲載されてきた。それは、書かれた時のみならず、世界の状況に応じて適切と思われるときにはいつでも掲載してよいようにである。2011年に書かれたこの記事は、ウイルスによってすべてが露呈した全面的な不正義という現在の危機をわれわれに示している。何世紀にもわたってわれわれは他者の苦しみに目を背けて、人種差別から得をしてきた。今やついに、われわれには人類の一体性を受け入れる希望が出てきているのである。
人間の本質的同胞愛
──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記
数え切れない長い間、人間は食物、利得、安全、平和を求めて地球を放浪してきた。部族として、あるいは国家としてでさえも、人間は惑星を何度も何度も縦横に彷徨いながら、長い間連続的に異種の民族と戦い、そして異族間の結婚で結ばれてきた。この尽きることのない放浪の結果が今日のひとつの人類なのである。皮膚の色や宗教や伝統や言語が何であろうとも、すべての人間は共通の先祖からの子孫であり、同じ方法で現在の状態にまで進化してきたのである。現在の状況が、確かにあるグループにとって他よりも有利なのは多くの歴史的要因の結果であり、知性や適応性における先天的な違いの結果ではない。歴史を通じて、様々なグループが長期間あるいは短期間、突出し、名声を上げ、そして、彼らの存在を後々の世代に思い出させるための彼らの創造性を残して、再び埋もれ消えていった。
これはすべて本当であり、現代の人類は自分たち自身をひとつとして見なし、姿形の違いは、様々な人種タイプの出現を通じて、定期的に顕現してきた光線の影響であると共に、比較的最近の気候的条件の結果であると見なすことが非常に大切である。人類は、ひとつとしての意識を培うことにおいて、まだ共に進化しつつあるのである。
共に進化成長しながら、各々の種族や亜種族が何らかの新しい特質を全体に寄与する。輪廻転生の過程は、徐々に各人が新しい知識と新しい時代についての認識を受け継いでいくことを保証する。もし人間が本当にこの過程の複雑さと美しさを理解するならば、今日の“人種差別”のような嫌悪感や不信感は永遠に消え去るだろう。本当に、人間は兄弟であり、終わることのないように思える自己発見の行路を共に歩んでいる仲間であることに気づくであろう。
あなた方の兄であるわたしたちが、より公に働くとき、これが人間の特質と関係についてのわれわれの理解の中心的真理であることを知るだろう。人間家族はわれわれのいのちを養う基礎である。その中でわれわれは協力し、われわれの分かち合われたアイデンティティー(本体)の豊かな織物を形成しながら、共に創造するのである。
ではいかにして、人間はこの本質的な理解に到達することができるのか。わたしたち同胞団(ブラザーフッド)が、この関係を、わたしたちが行うすべてにおいて実演するだろう。かくして人間は、彼ら自身をすべて同胞として見るようになるだろう。分かち合いが人間をこのうれしい峠に導き、真理についての彼らの新しい実演(デモンストレーション)が彼らに栄光を与えるであろう。そのようになるだろう。
そうして人間は彼らの知識と経験を分かち合って、達成の高台を征服するだろう。人間はついにお互いを自分自身として認識することで、兄弟たちとの距離を置くために立ててきた偽りの障壁を永遠に消し去るだろう。
(2011年1月号)