1977年9月6日にベンジャミン・クレームを通して一般大衆に伝えられたまさに最初のメッセージで、世界教師マイトレーヤは、世界が直面する主要な問題を指摘した上でこう説明された。「これらすべてを変えるためにわたしはやってきた。あなたがたに前進への道を示そう、もっと簡素で、健全な、より幸せな生活へ向かって、共に進む道を。もはや人が人に、国が国に相対立することなく、兄弟同胞として、共に新しい御国へと前進しよう」
今や、これまで以上に、こうした言葉を心に受け止め、分断や憎悪、戦争のない世界において同胞愛と健全さは選択的なものではなく、必須であることを改めて思い起こす必要がある。しかし、現状はこうである──私たちは最初の四半世紀の終わりにかけて、破滅的な戦争の真っ只中にいる。
四半世紀の終わりのこの2025年という年、そして今の時期は、不朽の知恵の教えや、知恵の覚者方の働き、ベンジャミン・クレームと彼の師との緊密な協力関係に親しんでいる読者にとって重要である。シェア・インターナショナル誌は、マイトレーヤの存在の事実や、この惑星のための聖なる大計画の存在の事実、その大計画の管理者たち──知恵の覚者たち──の活動を知らせるために存在する。私たちはマイトレーヤの出現の過程の概略を描き、その過程に伴う困難について説明してきた──そうした困難をつくり出したのは、人類の全般的な洞察力の欠如、物質主義を超克する能力のなさ、恐怖や貪欲、分離主義という習慣である。
「物質性の勢力」の影響に加えて、こうした要因を考えると、マイトレーヤがいつ御自身を世界に示されるのかに関して具体的な日付を発表することはできない。しかし、アリス・ベイリーを通して教えを伝えたジュワル・クール覚者は、2025年がマイトレーヤの出現の過程において重要な年であることを示唆した。それは四半世紀の終わりでもあり、古代からの伝統に従って霊的ハイアラキーの覚者方が特別な会議を開き、過去を評価すると共に、自分たちの仕事の次の局面とこの惑星の大計画のために調整を行い、計画を立てる時期である。
マイトレーヤが前面に出るのに好ましい状況のように思われたちょうどその時に戦争が勃発したのは、おそらく偶然ではないだろう。「混沌の勢力」は、マイトレーヤと覚者方が完全に認知された公の生活へ入るのを阻止するために土壇場の抵抗を試みているのである。そうした勢力は何よりもまず、心を動転させ、恐怖と分断を通して弱気にさせ、人類を行き場のない混沌の状態へと追い込もうともくろんでいる。事実であれ偽情報であれ、主流メディアであれ代替メディアであれ、惨事が伝えられている。必然的な出来事──キリストの「再臨」──を押しとどめようと働いている勢力にとって、このすべては好都合である。この重大な出来事は、新しい霊的な摂理の確立を合図するものである。その摂理の中で私たちは皆、自分自身が唯一なる大生命の一部であることを知る──すべての人が必要とされ、相互につながり合い、目的と意味を捉え、「私たちがその中で生き、動き、存在する」唯一なる大意識の計画に沿って進むことになる。
妨害のパターン
過去40年間、条件が整うたびに、ある重要な出来事のパターン(様式)が展開するのを協働者たちは目にしてきた。1982年、機会の窓が開いて、マイトレーヤの公の生活への完全な出現が可能になったとき、ちょうどその瞬間、世界のメディアと一般大衆の注目を逸らすようなことが起こった。戦争が勃発したのである。その結果、その特別な機会の窓は閉まってしまった。
マイトレーヤが前面に出てくることができるほど十分に状況が好ましくなるとすぐに、混沌と雑音のパターンが再発する──いつも戦争とは限らず、国際情勢を乱すような何かであり、メディアと一般大衆の注目がそれに奪われることになる。志向と焦点が散漫になり、その後の苦悩や混乱、憎悪の雰囲気の中で容易に操作される。生贄がすぐに見つかり、敵が容易につくり出される。
1982年以降、これが繰り返し起こるのを私たちは見てきた。この過程が遅れるたびに、マイトレーヤと覚者方は待ち、計画を適応させなければならなかった。さらに、私たちが希望を失い、昔からの敵対的なやり方に逆戻りしてしまわないように、人類を励まし、奮い立たせ続けなければならなかった。人類には自由意志がある。私たちの本来の姿である潜在的な神々にふさわしい社会へと進歩していくかどうかを任せられている。「混沌と物質性の勢力」は分断をつくり出すために恐怖を利用する。協力と和合の報酬や恩恵がやがては、善意の勝利を必然的なものにすることを知っているからである。
次に述べることを証明することはできないが、繰り返し起こるパターンから判断すると、マイトレーヤがもっと完全に公の場に進み出ることを可能にする機会の窓がまさに開いていた(おそらくまだ開いている)と仮定しても、突飛すぎるというわけではないようである。
戦争が再び勃発し、世界の注目がそれに集中していることは、繰り返し起こるパターンがぶり返していることを示唆しているのかもしれない。このように述べることで、不正で悲惨な戦争を軽く考えようとしているわけではない。また、情勢に対するこのような見方をすることで、いずれかの「側」との連帯を宣言しようとしているわけでもない。私たち一人ひとりが人類のカルマの一部を担っている。すべての国に失敗や過ち、怠慢がある── 一部の国では他国よりもひどいが。私たちが戦争や気候危機、飢餓、テロ、暴力を抱えているのは、進行中の諸問題に公正に対処するのに集団として失敗しているからである。私たちはあらゆる国で、社会正義に対する要求を無視してきた。
人々は「事実」をめぐって争い、戦時中だけでなく、何年も前に無節操な操作の餌食になった真理をめぐって論争を重ねている。そのため、真理と事実は随意的になり、意見の問題になってしまった。ベンジャミン・クレームの師は、意見が事実となる時代について警告を発していた。「第一の優先事は、事実についての本当の知識である。しかしながら、これは見つけることが難しい。非常に多くの声が、様々に矛盾する情報を繰り返し唱え、または叫んでいる。あまりにも多くの意見が、あたかも事実であるかのように扱われており、尊重して耳を傾ける価値のあるもの、信じられるものはほとんどない。そのような状況のもとでは、慎重さと抑制を促すことが賢明である」(ベンジャミン・クレームの師、「権力のグラマー」、本誌2002年11月号)
シェア・インターナショナル誌は、人類全員の味方であり、一方の側にはつかない(片方の考えが不快だとしても)。一方の側につくという問題ではなく、ただ単に、苦しんでいる人々に対して自然な同情心を表すという問題である。
ロシアを弱体化させようとするあからさまな政策があり、また、交渉しないという公表政策が米国側にあることによって、ウクライナの人々への共感が妨げられてはならない。世界の大半は、米国と北大西洋条約機構(NATO)が挑発的であったことを知っている。同様に世界の大半は、独裁体制下にあるロシアでは、あらゆるものが公正でも自由でもないことを知っている。世界は確かに、オリガルヒ(ロシアの新興財閥)とその資金を歓迎する一方で、本当に困っている難民を拒絶するイギリスの日和見的な姿勢のことを知っている。ヨーロッパは、可能な限り米国とNATOに歩調を合わせると都合が良いことを知っている。謀略と武力外交が進歩を押しとどめていることは、一般に受け入れられている事実である。悲しいことに世界は、腐敗が至るところに、社会のあらゆるレベルと部門にはびこっていることを知っている。
本誌がこれまで行ってきたこと、そしてこれからも行うことは、同胞の人間の苦しみに対する心からの反応を表現することである──国籍や肌の色、信条がどうであれ。それ以外ではあり得ない。これまでかすかに把握することができたにすぎないにしても、もし私たちが、愛そのものである途方もない御方と一体となり、自分自身がその御方の一部であることを知っているのであれば、他の人々の苦しみと必要に対する私たちの自然な反応は、その同じ愛を降り注がせることであるだろう──私たちにできるどのようなレベルにおいてであれ。
一方への同情を示すことは他方を憎むことである、という思い込みがあるようである。分かち合いに基づく信頼がない限り、戦争があるだろう。地球上のどの国にも、他国を理不尽に破壊する権利はない。自衛権は、国連憲章を含めて法律に明記され成文化されている。
志向と理想は行動へと変換され、実際に適用されなければならない。ベンジャミン・クレームと彼の師である覚者、そしてマイトレーヤによって世界に伝えられた情報は、単なる理想や秘教理論ではない。進化とは、高位我をより反映することができるように自分自身を変えること、徐々に成長することである。マイトレーヤは、私たちの裡で私たちを通して働かれる可能性について話された。必要な変化を成し遂げ、分かち合いを新しい文明の基盤にしない限り、永続的な平和は私たちをすり抜けていくだろう。
ベンジャミン・クレームは、現在の危機に関連するいくつかの質問に答えている。
Q:(1)ウクライナに関して、あの国はロシアの勢力圏内の一部ではないのですか。(2)EUとアメリカは彼らの内政事情に干渉すべきではないのではありませんか。(シェア・インターナショナル誌2014年10月号)
A:(1)はい、そうです。(2)はい。しかしながら、ウクライナはもはやソ連の一部ではなく、ロシアの勢力圏内にとどまってはいますが、その主権は尊重されなければなりません。
Q:ロシアはかつてのソビエト連邦時代の諸共和国をどのように扱うべきでしょうか。チェチェン(そしてモスクワに対して同じ関係にある他の国々)の独立は聖なる計画の一部ですか。(シェア・インターナショナル誌2004年10月号)
A:すべての民族が彼ら自身の進化と運命を決める自由を持つことは、聖なる大計画の一部です。ロシアはずっと以前に何らかの形の自治権を求めるチェチェンの要求に応じるべきでした。
Q:民衆の力という潮流にメディアはますます注目し始めています。キルギスタンはその最新の例です。(1)これは扇動者たちによって“支援”されたものですか。(2)ウクライナの“オレンジ革命”は扇動者たちによって煽られたのですか。(3)キルギスタンの事例は、これまでの民衆の力の事例が次の蜂起を鼓舞したように、地域全体にドミノ効果をもたらすでしょうか。(シェア・インターナショナル誌2005年5月号)
A:(1)いいえ。(2)はい、両方の側で煽られました。(3)はい、おそらくそうなるでしょう。
Q:マイトレーヤの任務の一つは私たちのハートを他の人々の苦しみに対して開くことでしょうか。……(本誌2000年12月号)
A:確かにマイトレーヤの願いの一つは私たちのハートを他の人々の苦しみに対して開くことです。彼は世界にエネルギーを放出するたびにそうしておられます。それが彼の言われるすべてのことの中心にあり、私が本や講演の中で言ってきたすべてのことの中心にあります。私たちのハートを他の人々の苦しみに対して開くこと、それこそまさに彼の望んでおられることです。そのようにしてあなたは世界を変えるのです。彼はこう言われました。「あなたの兄弟の窮乏をあなたの行動の尺度となし、世界の問題を解決しなさい。その他の道はない」(メッセージ第52信)。彼はそのことをはっきり言われています。
Q:1982年、大宣言が最初に予定された時期には、イギリスとフォークランド島の戦争が起こりました。今、マイトレーヤの出現が再び間近になっている時、リビア、アメリカの問題やテロリズムが緊迫しています。これに関係がありますか。(シェア・インターナショナル誌1986年11月号)
A:はい、マイトレーヤの出現によって失うものが最も多い者たち、つまり物質性の勢力、悪の勢力は、それを妨げようと力の限りのことをします。戦争、テロリズム、緊張、恐怖、混乱は彼らの主な武器です。多くの世界の指導者たちは彼らの手の内に見事にはまります。指導者たちが悪だからではなく、しばしば無知で、独善的で、愛国主義的であり、世界観に欠けているからです。