今月号の内容はおそらく、「リアリティ・チェック(現実把握)」や行動への呼びかけ、可能性への指針であると言えよう──このすべてが緊急に必要とされている。今起こっているあらゆることが、私たちに目覚めるよう告げているからである。私たちは事実を直視するよう呼びかけられている。私たちは、そして全世界的な構造とシステムのすべては、厳しいストレステストを受けているところであり、それによって根本的な欠陥が明らかになっている。最近の出来事は政治システムの裂け目と弱点を明らかにした。同じように、政治的な出来事は経済システムがいかに不安定かをさらけ出している。こうしたあらゆる失敗により、各国政府と民衆は、自然界のために行動するよう促されるべきである。
おそらく、最大のリアリティ・チェックは、世界が二つの主要な事実を認識するよう強いられているということである。つまり、生活のあらゆる構造と分野が相互に絡み合っているということ、そして最も重要なことは、私たち人類が相互に依存し合っている──事実、一体である──ということである。これは必然的に、私たちの心理を変えるに違いない。私たちは自分たちを再創造し、すべての者の必要に仕えるシステムを創造する機会を与えられている。これは完全に、私たち自身の手のうちにある。ベンジャミン・クレームの師が今月号で指摘しているように、「長期の目標は保証されている。それについては疑う余地はない。人間のみが大計画の進行していく道が突飛なものになるかどうかを決めるのである」
グレアム・マクストン氏とバーニス・マクストン・リー氏は、挑戦しがいがあり、得るところが多く、希望に満ちた本、『ニワトリはアヒルの卵を産めない──新型コロナウイルスはどのように気候危機を解決することができるか』の中で、警鐘を鳴らすだけでなく、未来のための青写真を提供している。ベンジャミン・クレームは霊性(スピリチュアリティ)の定義を拡大している。それは、生活のあらゆる様相を「霊化する」必要性を理解するのに役立つものである。「霊化する」とは、言い換えれば、すべての者が繁栄できるように、生活のあらゆる様相をすべての者の必要に見合うものにすることである。フランシスコ教皇は同じように、新しい回勅──「フラテッリ・トゥッティ(兄弟である皆さん)」──の中で、私たちは「トゥッティ・フラテッリ(皆、兄弟)」であり、皆が一つの存在であるという事実を尊重するよう呼びかけている。そして、それが受け入れられるときは必然的に、実際的な、具体的な変化につながるに違いない。
ジョッシュ・ティッケル氏とレベッカ・ティッケル氏による「キス・ザ・グラウンド」のような映画は、地球と生物多様性を大事にするよう人々を鼓舞することを目指している。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏とアビ・ルイス氏、オパール・トメティ氏によって脚本が共同執筆された2本の動画、「未来からのメッセージ」Ⅰ・Ⅱは、私たちが未来を想像し、どういう存在になることができるかを想像するのを助けてくれる。集団全体を抱擁し、そのようにして惑星のいのちを保証する義務が私たちにはある。
「手紙」の欄では、ある8歳児が世界の指導者たちに大きなリアリティ・チェックを呼びかけている。指導者たち(そして私たち)に、私たちには(まだ)、変化し、惑星を救い、自分たち自身を変容させる力があることを思い起こさせてくれる。
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今月号の内容概説
この惑星の歴史の中で奉仕が求められた時代があるとすれば、それは現在である。自ら進んで行う私心のない奉仕の模範が以下のページに全面的に集められている。生活と思考のあらゆる面が変わる必要のある時代に、ベンジャミン・クレームの師は次のような助言をしている。「あなた方の兄弟の必要が満たされるように気をつけなさい。そうすれば、あなた方は道を間違えることはないだろう。『どの方向に進めばよいですか』と聞かれたら、喜んで答えなさい、『最大の必要に仕えること、人類同胞愛へ』と」
二つ目の力強いテーマは、世界の現状を解明し、この大きな変化の時代において立場を明確にしようと努めている人々を支援することを目指すものである。多くの者が相反する世界観に取り組み、こう問うている。何が本当なのか。何が事実なのか。誰を信頼することができるのか。
腐敗やエリート主義、貪欲、権力への渇望が現実であるというのは否定できない事実であるが、シェア・インターナショナル誌は、マイトレーヤや覚者方、その弟子たちによって与えられた知恵や助言に見られる理性の声と常識を尊重する。読者は以下のページで、ベンジャミン・クレームによって提供され、ここに再掲載されているようなアイディアや提案、事実や答えを見いだすだろう。
私たちの仕事の主眼は、グローバル社会が「当たり前」として受け入れている弱点や失敗、不平等を暴露すると同時に、いったん特定されたら、マイトレーヤや覚者方が差し出している導きや分析、インスピレーションに基づいて前進する道を指し示すことである。したがって当然、私たちはいつも前向きである。今月号の記事は欠陥を示唆し、可能な解決策を提供している。グラハム・ピーブルズ氏は、様々な弱点があるものの、人類に奉仕し、人類を支援し保護するために存在するに至った国連の改革を期待している。大堤直人氏はある人物の私心なき奉仕の生涯を描写する一方、シェア・ギルモア氏は地球の健康を回復するためのプロジェクトを紹介している。ジェレミー・レント氏は「五つの本当の陰謀」という記事の中で、意図的に操作された「フェイクニュース」によって生じた混乱の中で脇に置かれている緊急の問題に注目している。ソーシャルメディアでかき立てられている不安や混乱は、手の届くところにある奉仕や解決策を人々が取り上げるのを妨げている。目下のところ、恐怖心は無理もない反応であるが、それは覚者方のために働いている人々のエネルギーと努力に対してブレーキの働きをする。まさしく、恐怖心は破壊的であると言えよう。
この変化の時は確かに、人類にとっての巨大な試みであり、変容の速度は、私たちが今なす選択に直接依存している。「人類同胞愛」という言葉で私たちの前に差し出されているような社会を日常的な意味で現実のもの、実際的なものとするために、私たちは新しいビジョンや新しい考え方、新しい技能を必要としている。
今月号の内容概説
自由意志という概念が私たちのマインドに初めて入って以来、宇宙の法と自由意志との関係が人類を鍛えてきた。人類が自由意志を持っているかどうか、そしてどの程度持っているかが、不朽の知恵の教えによって昔から問われてきた質問である。同時に、アート・ユリアーンスの今月号の記事が明らかにしているように、弟子は責任を負わされてきた。「道に沿って進歩するうえで弟子にとって不可欠な必要条件の一つは、独りで歩む能力を培うことである。このためには勇気が必要であろう。弟子が周囲の人々の意見に反することは避けられないことであり、絶えず起こることである。勇気がしばしば必要とされるが、親しい人や世界的な権威と認められている人の意見と衝突しようとも、自分の正直な確信に従って、正しいと思うことを実行することを学ばなければならない」
私たちは今日、正念場に立っており、すべての者の生活を向上させるために集団的な勇気を奮い起こす必要がある。ここでの議論に追加してもよい質問は、パンデミック(世界的大流行)によってはっきりと浮かび上がった変化への必要に耳を傾けるほど、私たちが集団的にも個人的にも成熟しているかどうかである。フランシスコ教皇が表現しているように、私たちは世界が「うめいている」のを聞くことができるだろうか。変容のために働き、惑星を癒すだけの想像力や共感、勇気、忍耐を持っているだろうか。法についてのベンジャミン・クレームの師による二つの記事から引用するとしたら、人類は法の働きを受け入れ、変化を受容し、勇気をもって「自分たちの思考と行動を再調整するために一致した努力をし、かくして『法の規定』を正しい状態にする」ことができるだろうか。勇気と決意が今、問題の核心となっているのは確かである。
今月号の内容概説
現在、世界の現状を困難なもの、不可解なものとして経験していない人はほとんどいないはずである。今月号でベンジャミン・クレームの師である覚者の記事「新しい状況の到来」を選んだのは、このような時代の落ち着かない状態から尻込みすることなく、人類の苦境の中から生じて「この時代のチャレンジに応えるために彼らの能力をますます発揮」するかもしれない可能性を指摘しているからである。
チャレンジに応えるというテーマは、今月号の記事やインタビューで取り上げられている。例えば、コロナウイルスの衝撃で悪化した不景気、失業、貧困や、(たとえ臨時措置としてであれ)国連が最近提案したようにユニバーサル・ベーシックインカム(全世界市民向けの最低所得保障)のようなアイディアを推進することによって人々がどのように応えているかが取り上げられている。フランスの経済学者、セバスチャン・ヴィユモ氏は、主流の資本家たちがどう言おうとも、分かち合いがいかに現実の選択肢であるかを指摘している。
日常生活の大部分が今や新型コロナウイルスという観点から見られており、科学はウイルスの起源を調査しているが、本誌は動物たちとの関係や動物たちの意識について探るマクネア・エザード氏によるインタビューを掲載する。
本誌は哀悼の意を表することなく、ジョン・ルイス米下院議員のような公民権運動の英雄の逝去を忘れてしまうことはできなかった。彼の価値観はシェア・インターナショナル誌の価値観をかなりの程度反映しているからである。オバマ前米大統領はジョン・ルイス氏とその業績を思い起こしながら、すべてのアメリカ人のために一票を投じることによってルイス氏を称えるようアメリカ人に熱心に訴えかけた。「もし時間があれば行うようなこととして、投票を扱うことはできません。民主主義のために取ることのできる最も重要な行動として、投票を扱う必要があります」
もし現在、国家経済が苦しんでいるとしたら、社会的に疎外された人々──パンデミック(世界的大流行)以前から生活が不公正な闘いそのものであった難民や移民労働者──の苦境を想像するよう、ジャーナリストのグラハム・ピーブルズ氏は私たちに求めている。
今月号は、より良い世界や、この惑星への奉仕、改善に向けた、実際的な志向の模範を提示している。ジョン・ルイス氏であれ、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス米下院議員であれ、あるいは原住民の環境保護活動家であれ、「普通の」人々の生活上の英雄的行為も繰り返しテーマとなっている。オカシオ=コルテス氏は米国の保守層の既得権益と闘う一方、本誌のブラジルの通信員が描写しているように、アマゾンでは、熱帯雨林の商業化や搾取、破壊を阻止するために活動家たちが文字通り自分の人生を犠牲にしている。オカシオ=コルテス氏へのインタビューの書き起こし記事では、彼女独特の実際的理想主義と、彼女が代表する人々の生活状況を改善しようという決意が掘り下げられている。どのような霊的態度が効果的な仕事に最もつながると思うかと問われて、彼女はこう答えた。「私が最もよく実践している霊的な訓練は、無執着であると思います。私の使命は、より良い世界の原則を推進することです。この『ポスト』に過度に執着していると、仕事をすることができません。……私は自我や評価に対する無執着を実践する必要があります。強力で裕福な人々の小さな階級による社会的受容に執着することはできません。彼らは連邦議会の同僚です。この富裕層による社会的受容に執着する場合、私は自分の仕事をすることができません」
今月号の内容概説
今月号(訳注:英文誌では7・8月合併号として発行された中の8月号部分)で発表された、深く掘り下げた記事やインタビューでも、様々な考え方、様々な声が取り上げられている。
スコット・チャンピオンは「パンデミックとオーバートンの窓」で、経済システムへの、そして変化を求める一般大衆のますます強くなる決意への、ウイルスの影響を分析している。「変化を引き起こすためには、政治家は政策の範囲を拡大し、既存のオーバートン(国民が受容可能だと思う政策の幅を意味する言葉)内で新しい政治要綱を展開するか、国民が政治家に聞こえるほどの大きな声で新しい政策を求めることが必要である」
ルトガー・ブレグマンは、コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が明らかにしたように、人類はもともと親切で協力的であることを請け合っている。
学者たちはあらゆる部門で変化を提唱している。例えば、それはユニバーサル・ベーシック・インカム(全国民向けの最低所得保障)であり、また、リュック・ギロリーの記事「グローバル・マーシャル・プランが再び議題に?」で取り上げられている債務免除である。
パンデミックの衝撃と人種差別の不正義は、オーバートンの窓を開け放って人生を肯定する正義の空気を吸い込むために、私たちが一致した意志を見いだし、自分たちの声を活かし、賢明な行動をとる必要があることを明らかにしている。
アリス・A・ベイリーの思い出
ラウル・ウィレムス氏はアリス・A・ベイリーと知り合いであった。彼は1936年にアントワープで彼女に会い、ベルギーでの彼女の最初の協働者になった。このインタビューが行われたとき、ラウル・ウィレムス氏は91歳で、国際企業の役員として多忙で波乱に富んだ生活を送っていた。優れた軍人としての戦時中の勇敢な行いに対する数々の勲章に輝いている彼は、死んでいても不思議ではない経験を少なくとも7回はくぐり抜けてきた。彼は自然科学、特に生物学と鳥類学に特別の興味を持ち、占星学にも興味を持っていた。ベルギーのブリュッセルに住んでいた故アレイン・イールヴォェトが彼から話を聞いていた。(このインタビューは、本誌の1988年7・8月号に初めて掲載された)
シェア・インターナショナル(以下SI ):あなたは何をきっかけにアリス・A・ベイリーと知り合われたのですか。
ラウル・ウィレムス:1936年のことでした。フォスター・ベイリーと結婚して間もなくのことですが、彼女はニューヨークに事務所を設置すると、彼と一緒に生まれ故郷のイギリスヘ渡り、タンブリッチ・ウェルズ(ケント州)に居を構えました。彼らは、彼女の世界善意協会という組織に対する人々の興味を喚起すべく、ヨーロッパヘ数回旅行をしました。運良く、アントワープにある神智学協会のフランス語を話す支部で、ある晩二人に巡り会ったのです。その支部長である弁護士のウィッテマン氏からベイリー夫妻を紹介されました。彼らは私が流暢な英語を話しているのを聞いて、すぐグルーンプラッツのレストランでの食事に私を招待しました。話題は多岐にわたりました。アリスが神智学協会の本部のあるインドのマドラスでの出来事を話してくれたのを覚えています。そこには協会が運営する菜食レストランがあり、アリスと友人はその食堂で給仕を交替でやっていました。ある日、二人の紳士がやって来て、ステーキとフライドポテトを注文しました。アリスはどうしたらよいかを調理場へ行って尋ねましたが、答えはとても不親切なもので、客に帰ってもらうようにというものでした。しかしアリスは、失礼なことではないかと考え、「口に入るものは口から出る言葉よりも重要ではない」とエプロンを外して、店を辞めてしまったと話してくれました。これが、私がアリスと初めて会った時の様子です。
S I:その後も彼女に会う機会はおありでしたか。
ウィレムス:ええ、ありました。ベイリー夫妻は、もっとよく知り合えるようにと、イギリスの家に私を数日間招待してくれたので、私は伺いました。ベイリー夫人は自ら料理をしてくれ、7、8日の間、私は彼女の夫や、赤児を抱えた娘の一人、英国中を講演旅行している同僚、それに後日アントワープで私と働くことになるオランダ人と食卓を囲みました。その間、フォスター・ベイリーはオーストラリアにいる友人とテレパシー通信ができるよう努力していました。
S I:アリス・ベイリーを通して送られたDK(ジュワル・クール)覚者からのテレパシー通信に立ち会われたことがありますか。
ウィレムス:はい、幸運なことに、通信方法の重大な変化を目撃する恩恵にあずかりました。彼らと数日過ごした後、フォスター・ベイリーが妻の寝室に招き入れてくれたため、私は彼女が「チベット人」からメッセージを受ける様子を目の当たりにすることができました。彼女がベッドに真っ直ぐに座っているさまを、今でもありありと思い出すことができます。彼女は左手にノートを持ち、驚くほどの早さで書き込んでいました。彼女が書いている間、夫は彼女が朝の6時から書き通しであると私の耳元でささやきました。そして、10時になってやっと書きやめた時には、彼女は完全に疲れ果てていました。私が居合わせたある日、彼女はもう気絶寸前だから続けられないと訴えていました。
S I:覚者の反応はどうでしたか。
ウィレムス:そうですね、ベイリー夫人はちょっと耳を傾けている様子でしたが、私たちの方を向くと「DK覚者は、その点について考えてきたと答えておられます。彼は話すのではなく、自分の考えを文章にして壁に映し出してくれるそうです。私は、ただそれをマイクに向かって話せばよいのです。録音に必要な機材がそろい次第仕事にかかります」と言いました。その時から2日ほど、食卓で彼女と顔を合わせることは滅多にありませんでした。必要な機材を集めるために奔走していたからです。最初の試験的な伝達が始まろうとするとき、フォスターはこの新しい通信方法を見せるために私を呼びに来ました。アリスが話している間、録音用の円盤が一定の速度で回転し続けて、彼女の言葉を録音していきました。およそ20分毎にタイピストがやって来ては、その円盤を新しいものと交換していきました。
今、突然思い出したのですが、ちょっとした逸話をお話ししましょう。それは面白い出来事でした。私がアリスと彼女の部屋で二人だけで話をしていた時のことです。風もないのに開いたり閉じたりしている奇妙なドアの様子に、私は注意を奪われました。アリスは私の目線を追うと、すぐ「いたずら者め、出て行きなさい」と声高に言いました。そして私のほうを向き、「小さなエレメンタルがドアのラッチにつかまって揺すって遊んでいたのです。私が邪魔をしたので、飛び下りて泣きながら走り去っていきました」と言いました。
S I:当時あなたは、アリスがベルギーで講演をした時に通訳をなさいませんでしたか。
ウィレムス:確かにしました。タンブリッジ・ウェルズの彼らの家に2週間ばかり滞在して、私はアントワープに戻りました。ベイリー夫人は、間もなくベルギーに話をしに行くのですが、通訳を引き受けてくれませんかと私に尋ねました。数週間後、実際に彼女はアントワープとブリュッセルに来ました。アントワープでは、フランダース支部がかなりうまくいき始めており、フランス語とオランダ語の両方の通訳を行うことになりました。しかし、これは成功しませんでした。英語の文章が間延びし過ぎてしまったのです。私は何とかフランス語新聞に彼女の訪問に興味を持たせることができ、多くの記事が掲載されました。私は14人の協力者を集めてグループをつくり、「新時代の建設者」という名前で、世界善意協会発行のチラシをフランス語とオランダ語に訳して配布しました。
S I:戦時中もその仕事は続けられましたか。
ウィレムス:私たちの活動は1942年の初頭まで続きました。メンバーの一人が、ドイツ軍が私を強制収容所に入れる決定を下したと忠告してくれました。そうなれば世界善意協会の役には立たなくなり、家内を不幸な未亡人にしてしまうことになりますから、決定を何とか考え直してもらえないかと問い合わせましたが、アメリカと連絡を取る組織や集会には絶対に出席してはならないという返事がきました。他に選択肢がなかったので、不本意ながら従いました。戦後、長年にわたり、月例の満月瞑想会を催しましたが、私が働いていた国際企業の立て直しにあまりにも忙しかったため、以前のように世界善意協会に傾倒することはできませんでした。
S I:キリストと知恵の覚者方の再臨に対する当時の期待はどのようなものでしたか。
ウィレムス:そうですね、そのことについて戦前戦後を通じて何かを聞いたという記憶はありません。アーケイン・スクールの教えにも、当時、それについての言及はありませんでした。すべては弟子道の準備に集中しており、『キリストの再臨』(1948年)の翻訳書を私たちが手にしたのは1950年代になってからでした。この本は一部では好意的に迎えられましたが、その信ぴょう性を疑問視する向きも少なくありませんでした。特に、敬虔なカトリック教徒であった私の友人の間ではそうでした。聖書に予言されている破滅的な「世の終わり」はまだ来ていないと彼らは確信しておりました。
私自身は教会に縛られておりませんので、どんな宗教的礼拝へも自由に参加できます。私に関しては、祈り方が異なる唯一の神が存在するだけです。黙示録について言えば、私の印象では、私たちはある意味、今でもそれを体験しているように思います。
現在の荒廃ぶりは信じ難いほどではないでしょうか。何百万という人々が困窮の極みにあり、さらに何百万もの人々が、あり余るほど食糧のある世界で飢え死にしているのですから。また、自然環境の汚染も忘れるわけにはいきません。その汚染は許し難い次元に達し、しかもそれは人間の利己心のために起こっているのです。テクノロジーは「すぐに金持ちになる」ことを動機とする競争制度の付属物になってしまっています。そのような劣悪で退廃的な状況にあって、キリストが第三次世界大戦を防ぐために──私の期待としてはできるだけ早く──戻って来られなければならないということは、私には当然のことと思われます。もちろん、仕事をするのは弟子や善意の人々でなければならないということは理解しています。なぜなら、キリストや覚者方は私たちに道を示し、助言を与え、励ますことしかできないからです。
S I:現在キリストがこの世におられるという情報に対して、あなたはどうお考えですか。
ウィレムス:マイトレーヤの存在によって世界が守られているということは大変うれしいことだと思います。また、サティヤ・サイババのような方が──この方が宇宙キリストである可能性を私は信じています──決して地球規模の核戦争は起こさせないと言っておられるのはとてもうれしいことです。私はブリュッセルでベンジャミン・クレーム指導の伝導瞑想に参加しましたが、彼と個人的に会って、キリストの存在の真実性を確信しました。その時の彼についての印象は、クレームはただの「説教者」ではないというものでした。聴衆の上に立つわけでもなく、追随者を得ようとしているわけでもありません。彼が教えているのはただ情報を伝えることだけです。私が特に評価しているのは、彼の闊達なユーモアのセンスです。しかし、時として変貌して見えることがあり、その時は彼の話す言葉も彼のものとは感じられません。そのような時は明らかにオーバーシャドウされているのです。『マイトレーヤの使命』に載っている多くの質問(中には実に馬鹿馬鹿しいものがありますが)に対する彼の答えは、並々ならぬものだと思います。あのような答えは、すべてを知っている知恵の覚者との接触があって初めて可能なものです。クレームが覚者と接触していることは私には間違いないことに思えます。私に言える限りでは、DK覚者がアリス・ベイリーを通して与えた情報とも矛盾していないということからも、それはいっそう確かなことに思えます。
S I:マイトレーヤが分かち合いの必要性を強調されていることについては、どうお考えですか。
ウィレムス:アクエリアス時代は間違いなく分かち合いの時代であり、したがって全世界的な同胞愛の時代です。ローマ教皇が最新の回勅である『社会政策要綱』の中で、地球の富のより良い分配への支持を明確に打ち出していることは、非常に肯定的な徴です。軍備に費やされる総収入のわずか1%もあれば、飢餓というスキャンダルを早急に一掃する緊急援助計画の組織化が可能であることは明白です。教皇の話に戻りますが、大宣言後、マイトレーヤはイエス覚者を世界に紹介し、彼がサン・ピエトロ大聖堂の主座に座るというクレームの筋書きは、12世紀のアイルランドの大司教であった聖マラキの予言にも相通ずるものです。彼はすべての教皇にラテン語の象徴的な名前をつけておりますが、それによると、次の教皇は111代にわたる歴代教皇の最後の教皇になるとのことです。この教皇に対して彼がつけた名前は『オリーブの誉れ』というもので、これはこの教皇が心からの和解と平和の時代の幕明けをするであろうことを示唆しています。多くのキリスト教徒の方々には少し行き過ぎた考えであるように思えるかもしれませんが、私はこの教皇とは、おそらくイエス覚者ご自身のことであろうと考えています。私はキリストの大宣言の日、生きている間にはとても体験できるとは夢にも思わなかった出来事が待ち遠しくてなりません。このことは私に多大な影響を与えました。「盗人が夜やって来るように」来られた方を、聖書の予言にあるとおり「すべての人の目が仰ぎ見る」ことになるように望みます。この惑星規模のペンテコステが善意の男女を刺激して、人類にふさわしい社会の建設へと共に立ち向かわせることを心から願っています。
今月号の内容概説
今月号(訳注:英文誌では7・8月合併号として発行された中の7月号部分)で、深く掘り下げた記事やインタビューを発表する機会が提供され、様々な考え方だけでなく様々な声も取り上げられている。それは今月号の筆者たちの多様な声であり、また、正義を求める民衆の声である。現在の危機に対する人類の責任と反応を振り返ることにする。変化の必要性はシェア・インターナショナル誌で毎号、強調されている。今、こう問いかけたい。世界は変化に向けて用意を整えているのか。そして、誰が先導するのか──指導者だろうか。民衆だろうか。これまでのところ、特定の地域の人種差別に対する世界規模の反応から判断すれば、先導するのは、自分たちの意見や声を響かせている民衆である。民衆は連帯し、正義と一体性のためであれば命を、「呼吸そのもの」を失う危険を冒すこともいとわないようである。
一方、覚者方がこのような状況をどう見るかは考慮に値する。「マイトレーヤが提唱されるのは、革命(レボリューション)ではなく、進化(エボリューション)である。革命は対決と大量殺戮をもたらし、一種類の問題を他の種類の問題に置き換えるだけであることを、マイトレーヤはよくご存知である」。(「偉大なる決断」本誌2012年1・2月号)
「わたしたちの方法は平和的な進化の方法であり、世界をさらに危険にさらそうとする者たちにその方法を勧める。わたしたちの方法は単純であり、達成可能である。分かち合いの原則は人間の苦難に対する素晴らしい解答である」(「将来の一対の柱」本誌2013年9月号)
「過去の最良のものを大切にし、古い道標を復元しなさい」(「未来への道」本誌1985年9月号)
グレアム・マクストンは、ほとんど間違っているたくさんの考え方から私たちを解放してくれる一方、オランダの学者たちはすでに、コロナ後の世界のための計画を立てている。「学者として、私たちはこの政策ビジョンが、国際的連帯に基づいたより持続可能で、公正で多様な社会へと導き、将来的なショックや感染症の世界的大流行へのより良い予防と対処につながるものであると確信している。私たちにとって問題は、もはやこれらの戦略を実施することが必要かどうかではなく、どうやってそれを行うかである」
今月号の内容概説
世界は数カ月間、パンデミックへと突き進んできた。新しい基準と新たなスタートが必要であるにもかかわらず、世界の指導者たちは速やかに「通常への復帰」、「従来通りのビジネス」、「経済のキックスタート」を主張している。これらの言葉は商業主義に起源があるため、広告用語のように聞こえるのは偶然の一致ではない。本誌のほとんどすべてのページでは、人類が目覚めることの必要性が強調されている。それによって、地球上のすべての生命との新しい関係に踏み込み、この危機が、方向性を変えて、公正で正気で持続可能な世界を創造する素晴らしい機会を提供していることを理解するためである。覚者の記事は、「人間は誰も分離し孤立していないことを、知ってか知らずか、すべての人間は次々に展開される啓示の長い旅路の中で、見えざる糸で共につながっている」と語りかけ、助言し、思い出させる。
今まで、人類はゆっくりと学ぶ者であり、マイトレーヤと覚者方が数十年にわたって人類自体を一つのものとして見るよう助言し、嘆願してきたにもかかわらず、困難な方法で物事を学ぶ必要があった。リン・ガードルストーンが「人類の目覚め」で書いているように、「このパンデミックは、『立ち止まって…… 今 ……あなたが築いた世界を見なさい……反道徳的な過剰さに囲まれた言うに言えない苦しみ……致命的な危機に瀕しているすべての生命体と惑星自体』と言っているのかもしれない」。WHOやWFPといった不可欠な国連機関は、この助言に対する世界の拒否の結果に日々対処している。
経済学者であり作家であるグレアム・マクストン氏は、次のように述べている。「今回の危機は私たちが再考する時間を与えてくれ、その休止と考えるためのチャンスはとてつもない可能性を提示するでしょう。それは驚くべき機会です!」と。
ほとんど知られていない弟子であるエリザベス・ワーノンは、何十年も前に次のように書いている。「地球にとって重要である物質的な諸問題は解決されなければならない。世界経済は、必要不可欠な食料と物品を確保し、代金を支払い、すべての国に割り当てなければならない。兄が弟に対して責任を負うのと同じように、富裕国はあまり有利でないもう一方の国々に対して責任を負っている。……」と。
今月の選集では、自然界に対する人類の責任と相互依存性について何の疑いも残していない。
環境活動家のバンダナ・シバは、すべての人々を行動へと呼び起こす。「コロナ危機の現在の時代において、地球と人類を守るため、地球民主主義と経済民主主義に基づいた、新しい経済をイメージし、つくり出しましょう。民主的な参加と連帯によって、三つの危機に取り組みましょう。そして仕事を保証し、声を上げることを保証する、未来の経済の形成に参加する行動を取りましょう」
現在、私たちのリーダーたちは、おそらく自分自身の狼狽を隠すために、怒り狂ったり、空威張りをしたりする一方で、何百万もの人々が、「さて、いずこに行くのか」と心配そうに思案している。今日は根本的な変化の無限の可能性に満ちており、私たちのリーダーと私たち自身に「リセット」ボタンを押すことを要求する時である。
今月号の内容概説
至るところの人々や私たちの貴重な惑星が遭遇した恐ろしい窮状を私たちは共に経験している。そのため、シェア・インターナショナルの協働者たちは世界の人々と共に悲しみ、そして悲嘆している。人類は、たとえ辛くとも、私たちが一つであり、相互依存の関係にあり、私たちと私たちの制度すべてが脆弱であることを学んでいる。私たちに共通の人間性とすべての生命に配慮する義務に基づいた非常に違った世界を創造する必要性が、私たちに明らかになりつつある。時代は困難であり、何百万もの人々が苦しんでいる。そして、私たちに共通の困難のために、今月号では、問題を検証し、人類が今直面している悲惨な状況に説明と癒しをもたらす希望と前向きなアイディアを提供する。
世界が再び「いつも通りの状態」に戻ることができないことは今や明らかであるが、中央銀行、株式市場、巨大化した多国籍企業、既得権益を有する人々はこの現実を受け入れるだろうか。世界的な制度が崩壊の危機に瀕しているため、政府と「マネーの男たち」は、分裂、社会的不正、および現在の沈滞につながった構造を補強する方法をすでに計画している。今月号の本誌のページは、グローバルな変革を求める世界中からの叫びを反映している。例えば、全国民向けの最低所得保障(ユニバーサル・ベーシック・インカム)の要求の高まり(次ページの「最低所得保障を実現するのは今」を参照)であるが、ベンジャミン・クレームの師である覚者は明白な解決策を指し示している。「分かち合いの原則が、人間の必要に応え、多くの問題を解決する唯一のものである。なぜなら、それは神ご自身の計画にとって根本的なことであるから」
「世界は正義を切望する。正義と愛の欠如こそが、今日、人間を取り巻く問題の真の原因である。これらの聖なる様相が、もし明日にでも施行されるならば、新たな楽しさが、あなたがたの生活を彩るであろう……。
単なる愛の欠如が、今日の人間の苦悩の根源である。これこそが、人の聖なる素質の顕現を妨げている」
マイトレーヤのメッセージ第101信を読むと、問題と解決策はより明確になる。
多くの人がこの危機を機会と見ている。今月号に掲載できればと思ってきた尊敬されている著名な方々の声は、根本的な変化を促している。著作家のジェレミー・レントの言葉を引用すると、私たちは「もっと大きく考える」べきである。「コロナウイルスの流行による長期的な影響について何かを考えたとしても、おそらく十分に大きく考えてはいないでしょう」。フランシスコ教皇は「希望の感染」について語った。「今やこれまで以上に、人々、地域社会、国民を中心に置いて、癒し、配慮し、分かち合うために団結しなければなりません。……私たちの文明──とても競争的で、とても個人主義的で、生産と消費の熱狂的なリズム、浪費的な贅沢品、極少数の人々のための不相応な利益を有する──を切り詰め、吟味し、そして生まれ変わらせることが必要です」
今月の通信者たちは、新型コロナウイルスの危機がもたらす機会を強調し、暗闇の中で開花しつつある回復力と生来の優しさを見ている。
今月の「選集」でベンジャミン・クレームの師である覚者は私たちすべてに要求しているが、その答えは次のように示されている。「世界は一つであるのに、いかで二つの世界が存在し得ようか。法はすべての人間に対して同じであるのに、いかで分割があり得ようか。やがて人間は、大勢の人々の苦しみは総体の病であることを理解し、そして正義のみがその治療法であることを理解するだろう」
今月号の内容概説
世界は二度と同じままでいることはない、ということを私たちは今や知っている。シェア・インターナショナル誌の読者はいつも、私たちが途方もない時代に生きていることを知っていたが、今はかつてないほど明白である。
メディアが連日、全世界的な危機について報道しているので、ベンジャミン・クレームの師によるこの記事「未来は招く」が、なぜ4月号用に選ばれたのかは明らかであろう。「世界はひとつであること、人類は有機体であり、その福利はそれぞれの部分すべての健康にかかっていること、危機と病の兆しを無視することはもはや可能でもなく賢明なことでもないこと、これらのことを人間に示す証拠は日ごとに増えている。現在、多くの者がこれに気づき、正義を呼びかけているが、目覚めた人類の叫びのみが、大国を現在の貪欲な姿勢から転じさせるに足るであろう。……この真理をすべての人間にわからせるために、マイトレーヤは一刻も浪費されないだろう」
こうした考えは、救世主(メシア)はここにおりご自身を明らかにしようとしていると語る超正統派ユダヤ教宗教指導者(ラビ)たちの発表と助言に反映されている(「ユダヤ教宗教指導者が救世主はここにいると語る」を参照)。彼らは人々に対して、祈るように、自分の宗教的行事に従うように、メシアの存在の徴に備え、気をつけるように促している。彼らの助言は、優先事項や価値観を吟味し、自分の立ち位置を知るようにという、すべての人への呼びかけである。
今月号の本誌は実質的に、同じようなことを「時代の徴」の欄で表明している。一方、「気候問題という試練:人類の倫理基準の足並みをそろえる」のような記事や、真我を探して生きた生涯を明らかにしている魅力的な伝記は、課題と解決策を提示している。抜本的な変化を引き起こすには、平和的な抗議活動に取り組むたった3.5%の人口しか必要とされないことを知ることもまた、励みになるものであり、現在、国際社会の切迫した状況の中から根本的な変化をつくり上げる可能性を現実のものにする。
新型コロナウイルスに対する世界の反応は、大抵の人々もしくは多くの人々が待望している新たな始まりになる可能性がある。私たちは「自分を隔離させる」ように促され、概して他の人々との接触を避けているが、今回のことは、ひとつであることを実感する共通の体験を受け入れる引き金となるかもしれない。それは簡素さや充足、分かち合い、普遍的な社会正義を受け入れるよう私たちを突き動かしていく可能性がある。
「あなた方の生活に入りつつあるこの新しいリズムを感じることができないか。人間を行動へと活気づける新しい衝動を、誰が無視できようか。すべてがつくり直されるだろう。そして間もなく暗闇は照らし出す光に道を譲るだろう。……奉仕することを願う者は誰も仕事や目的を欠くことを恐れる必要はない。経験豊かな手による指導が喜んで提供されることを信じなさい。わたしたちは、あなた方がこの世界を復興させるのを助け、あなた方の傍らで兄弟として働き、過去の残骸を取り除く」(「未来は招く」)
そして、マイトレーヤはメッセージ第13信で次のように言っておられる。「再教育、再建設、そして変革の仕事を、あなたがた自身の任務としなさい。人間一人ひとりが燈台であり、その灯を同胞のために遠くまで照らすのである。あなたのランプの灯を明るくともし、輝かし、道を示しなさい。一人ひとり、すべてが必要である。この世界を救済し、復旧するためのこの偉大な計画に参加するのに、小さすぎる者も、若すぎる者もいない」