funa tsu のすべての投稿

アリス・A・ベイリーの思い出

 ラウル・ウィレムス氏はアリス・A・ベイリーと知り合いであった。彼は1936年にアントワープで彼女に会い、ベルギーでの彼女の最初の協働者になった。このインタビューが行われたとき、ラウル・ウィレムス氏は91歳で、国際企業の役員として多忙で波乱に富んだ生活を送っていた。優れた軍人としての戦時中の勇敢な行いに対する数々の勲章に輝いている彼は、死んでいても不思議ではない経験を少なくとも7回はくぐり抜けてきた。彼は自然科学、特に生物学と鳥類学に特別の興味を持ち、占星学にも興味を持っていた。ベルギーのブリュッセルに住んでいた故アレイン・イールヴォェトが彼から話を聞いていた。(このインタビューは、本誌の1988年7・8月号に初めて掲載された)

シェア・インターナショナル(以下SI ):あなたは何をきっかけにアリス・A・ベイリーと知り合われたのですか。
ラウル・ウィレムス:1936年のことでした。フォスター・ベイリーと結婚して間もなくのことですが、彼女はニューヨークに事務所を設置すると、彼と一緒に生まれ故郷のイギリスヘ渡り、タンブリッチ・ウェルズ(ケント州)に居を構えました。彼らは、彼女の世界善意協会という組織に対する人々の興味を喚起すべく、ヨーロッパヘ数回旅行をしました。運良く、アントワープにある神智学協会のフランス語を話す支部で、ある晩二人に巡り会ったのです。その支部長である弁護士のウィッテマン氏からベイリー夫妻を紹介されました。彼らは私が流暢な英語を話しているのを聞いて、すぐグルーンプラッツのレストランでの食事に私を招待しました。話題は多岐にわたりました。アリスが神智学協会の本部のあるインドのマドラスでの出来事を話してくれたのを覚えています。そこには協会が運営する菜食レストランがあり、アリスと友人はその食堂で給仕を交替でやっていました。ある日、二人の紳士がやって来て、ステーキとフライドポテトを注文しました。アリスはどうしたらよいかを調理場へ行って尋ねましたが、答えはとても不親切なもので、客に帰ってもらうようにというものでした。しかしアリスは、失礼なことではないかと考え、「口に入るものは口から出る言葉よりも重要ではない」とエプロンを外して、店を辞めてしまったと話してくれました。これが、私がアリスと初めて会った時の様子です。

S I:その後も彼女に会う機会はおありでしたか。
ウィレムス:ええ、ありました。ベイリー夫妻は、もっとよく知り合えるようにと、イギリスの家に私を数日間招待してくれたので、私は伺いました。ベイリー夫人は自ら料理をしてくれ、7、8日の間、私は彼女の夫や、赤児を抱えた娘の一人、英国中を講演旅行している同僚、それに後日アントワープで私と働くことになるオランダ人と食卓を囲みました。その間、フォスター・ベイリーはオーストラリアにいる友人とテレパシー通信ができるよう努力していました。

S I:アリス・ベイリーを通して送られたDK(ジュワル・クール)覚者からのテレパシー通信に立ち会われたことがありますか。
ウィレムス:はい、幸運なことに、通信方法の重大な変化を目撃する恩恵にあずかりました。彼らと数日過ごした後、フォスター・ベイリーが妻の寝室に招き入れてくれたため、私は彼女が「チベット人」からメッセージを受ける様子を目の当たりにすることができました。彼女がベッドに真っ直ぐに座っているさまを、今でもありありと思い出すことができます。彼女は左手にノートを持ち、驚くほどの早さで書き込んでいました。彼女が書いている間、夫は彼女が朝の6時から書き通しであると私の耳元でささやきました。そして、10時になってやっと書きやめた時には、彼女は完全に疲れ果てていました。私が居合わせたある日、彼女はもう気絶寸前だから続けられないと訴えていました。

S I:覚者の反応はどうでしたか。
ウィレムス:そうですね、ベイリー夫人はちょっと耳を傾けている様子でしたが、私たちの方を向くと「DK覚者は、その点について考えてきたと答えておられます。彼は話すのではなく、自分の考えを文章にして壁に映し出してくれるそうです。私は、ただそれをマイクに向かって話せばよいのです。録音に必要な機材がそろい次第仕事にかかります」と言いました。その時から2日ほど、食卓で彼女と顔を合わせることは滅多にありませんでした。必要な機材を集めるために奔走していたからです。最初の試験的な伝達が始まろうとするとき、フォスターはこの新しい通信方法を見せるために私を呼びに来ました。アリスが話している間、録音用の円盤が一定の速度で回転し続けて、彼女の言葉を録音していきました。およそ20分毎にタイピストがやって来ては、その円盤を新しいものと交換していきました。
 今、突然思い出したのですが、ちょっとした逸話をお話ししましょう。それは面白い出来事でした。私がアリスと彼女の部屋で二人だけで話をしていた時のことです。風もないのに開いたり閉じたりしている奇妙なドアの様子に、私は注意を奪われました。アリスは私の目線を追うと、すぐ「いたずら者め、出て行きなさい」と声高に言いました。そして私のほうを向き、「小さなエレメンタルがドアのラッチにつかまって揺すって遊んでいたのです。私が邪魔をしたので、飛び下りて泣きながら走り去っていきました」と言いました。

S I:当時あなたは、アリスがベルギーで講演をした時に通訳をなさいませんでしたか。
ウィレムス:確かにしました。タンブリッジ・ウェルズの彼らの家に2週間ばかり滞在して、私はアントワープに戻りました。ベイリー夫人は、間もなくベルギーに話をしに行くのですが、通訳を引き受けてくれませんかと私に尋ねました。数週間後、実際に彼女はアントワープとブリュッセルに来ました。アントワープでは、フランダース支部がかなりうまくいき始めており、フランス語とオランダ語の両方の通訳を行うことになりました。しかし、これは成功しませんでした。英語の文章が間延びし過ぎてしまったのです。私は何とかフランス語新聞に彼女の訪問に興味を持たせることができ、多くの記事が掲載されました。私は14人の協力者を集めてグループをつくり、「新時代の建設者」という名前で、世界善意協会発行のチラシをフランス語とオランダ語に訳して配布しました。

S I:戦時中もその仕事は続けられましたか。
ウィレムス:私たちの活動は1942年の初頭まで続きました。メンバーの一人が、ドイツ軍が私を強制収容所に入れる決定を下したと忠告してくれました。そうなれば世界善意協会の役には立たなくなり、家内を不幸な未亡人にしてしまうことになりますから、決定を何とか考え直してもらえないかと問い合わせましたが、アメリカと連絡を取る組織や集会には絶対に出席してはならないという返事がきました。他に選択肢がなかったので、不本意ながら従いました。戦後、長年にわたり、月例の満月瞑想会を催しましたが、私が働いていた国際企業の立て直しにあまりにも忙しかったため、以前のように世界善意協会に傾倒することはできませんでした。

S I:キリストと知恵の覚者方の再臨に対する当時の期待はどのようなものでしたか。
ウィレムス:そうですね、そのことについて戦前戦後を通じて何かを聞いたという記憶はありません。アーケイン・スクールの教えにも、当時、それについての言及はありませんでした。すべては弟子道の準備に集中しており、『キリストの再臨』(1948年)の翻訳書を私たちが手にしたのは1950年代になってからでした。この本は一部では好意的に迎えられましたが、その信ぴょう性を疑問視する向きも少なくありませんでした。特に、敬虔なカトリック教徒であった私の友人の間ではそうでした。聖書に予言されている破滅的な「世の終わり」はまだ来ていないと彼らは確信しておりました。
 私自身は教会に縛られておりませんので、どんな宗教的礼拝へも自由に参加できます。私に関しては、祈り方が異なる唯一の神が存在するだけです。黙示録について言えば、私の印象では、私たちはある意味、今でもそれを体験しているように思います。
 現在の荒廃ぶりは信じ難いほどではないでしょうか。何百万という人々が困窮の極みにあり、さらに何百万もの人々が、あり余るほど食糧のある世界で飢え死にしているのですから。また、自然環境の汚染も忘れるわけにはいきません。その汚染は許し難い次元に達し、しかもそれは人間の利己心のために起こっているのです。テクノロジーは「すぐに金持ちになる」ことを動機とする競争制度の付属物になってしまっています。そのような劣悪で退廃的な状況にあって、キリストが第三次世界大戦を防ぐために──私の期待としてはできるだけ早く──戻って来られなければならないということは、私には当然のことと思われます。もちろん、仕事をするのは弟子や善意の人々でなければならないということは理解しています。なぜなら、キリストや覚者方は私たちに道を示し、助言を与え、励ますことしかできないからです。

S I:現在キリストがこの世におられるという情報に対して、あなたはどうお考えですか。
ウィレムス:マイトレーヤの存在によって世界が守られているということは大変うれしいことだと思います。また、サティヤ・サイババのような方が──この方が宇宙キリストである可能性を私は信じています──決して地球規模の核戦争は起こさせないと言っておられるのはとてもうれしいことです。私はブリュッセルでベンジャミン・クレーム指導の伝導瞑想に参加しましたが、彼と個人的に会って、キリストの存在の真実性を確信しました。その時の彼についての印象は、クレームはただの「説教者」ではないというものでした。聴衆の上に立つわけでもなく、追随者を得ようとしているわけでもありません。彼が教えているのはただ情報を伝えることだけです。私が特に評価しているのは、彼の闊達なユーモアのセンスです。しかし、時として変貌して見えることがあり、その時は彼の話す言葉も彼のものとは感じられません。そのような時は明らかにオーバーシャドウされているのです。『マイトレーヤの使命』に載っている多くの質問(中には実に馬鹿馬鹿しいものがありますが)に対する彼の答えは、並々ならぬものだと思います。あのような答えは、すべてを知っている知恵の覚者との接触があって初めて可能なものです。クレームが覚者と接触していることは私には間違いないことに思えます。私に言える限りでは、DK覚者がアリス・ベイリーを通して与えた情報とも矛盾していないということからも、それはいっそう確かなことに思えます。

S I:マイトレーヤが分かち合いの必要性を強調されていることについては、どうお考えですか。
ウィレムス:アクエリアス時代は間違いなく分かち合いの時代であり、したがって全世界的な同胞愛の時代です。ローマ教皇が最新の回勅である『社会政策要綱』の中で、地球の富のより良い分配への支持を明確に打ち出していることは、非常に肯定的な徴です。軍備に費やされる総収入のわずか1%もあれば、飢餓というスキャンダルを早急に一掃する緊急援助計画の組織化が可能であることは明白です。教皇の話に戻りますが、大宣言後、マイトレーヤはイエス覚者を世界に紹介し、彼がサン・ピエトロ大聖堂の主座に座るというクレームの筋書きは、12世紀のアイルランドの大司教であった聖マラキの予言にも相通ずるものです。彼はすべての教皇にラテン語の象徴的な名前をつけておりますが、それによると、次の教皇は111代にわたる歴代教皇の最後の教皇になるとのことです。この教皇に対して彼がつけた名前は『オリーブの誉れ』というもので、これはこの教皇が心からの和解と平和の時代の幕明けをするであろうことを示唆しています。多くのキリスト教徒の方々には少し行き過ぎた考えであるように思えるかもしれませんが、私はこの教皇とは、おそらくイエス覚者ご自身のことであろうと考えています。私はキリストの大宣言の日、生きている間にはとても体験できるとは夢にも思わなかった出来事が待ち遠しくてなりません。このことは私に多大な影響を与えました。「盗人が夜やって来るように」来られた方を、聖書の予言にあるとおり「すべての人の目が仰ぎ見る」ことになるように望みます。この惑星規模のペンテコステが善意の男女を刺激して、人類にふさわしい社会の建設へと共に立ち向かわせることを心から願っています。

編集長への手紙

 本誌に掲載される手紙は、最近起きた出会いについてのものもあり、したがってベンジャミン・クレームの師によって確認されていないものもある。手紙の書き手たち自身の直観的反応に加えて、そのような体験を熟知していることから生まれる確信が、こうした出会いは個人的に、また一般的にも重要で意義があると判断する自信を体験者に与えるのである。
 個人に関連していると特定されるような手紙もあれば、すべての人々に希望や鼓舞をもたらすことでそれ自体が語るものもある。これらの手紙は読者の考慮のために提供されている。

井戸の発見

編集長殿
 最近シェア・インターナショナル誌で、ダービーにある古い井戸がイエスによって『磁化』されたことを読んだので、2005年6月5日、友人数人と一緒にそれを見つけるために出かけました。ダービーでの紆余曲折を経て、私たちはついに住宅地区にある静かな通りに行き着きました。私たちは井戸の付近に座っていた二人の若い男性に、井戸通りの場所を尋ねて、道を上った所を教わりましたが、帰り道では彼らはいなくなっていました。
 私たちがやっとそれが本当に目当ての井戸だと確認した時、どこからともなく一人の若い女性が現れ、立ち止って井戸について話をしてくれました。二人の若い男性(兵士?)が通り過ぎていき、地元の男性が井戸について少し詳しく教えてくれました。
 それらの人々のうち誰かが、イエスかマイトレーヤでしたか。私は旅をする前に、どちらか、あるいは両方と会うことができますようにとお願いしていたのです。
ドリーン・エディン
英国、バーミンガム
【ベンジャミン・クレームの師は、その『若い女性』がイエス覚者であったことを確認した】

ここかしこと彼らは必死に探した、彼の姿を
(訳注:20世紀初頭の英国小説『紅はこべ』の一節)

編集長殿
 2005年4月14日、木曜日の午後7時頃、伝導瞑想グループのメンバーのヨーゼフと約束がありました。私たちの待ち合わせ場所は、ドイツのレーゲンスブルクにある石橋のたもとでした。少し遅れて彼が到着し、私の方へ歩いてきました。彼は赤いジャケットを着て、真面目な顔をして、いつも見慣れているように頭を少しかしげていました。彼がやって来るまであと数分という時に、彼の姿を見失ったのは、道が曲がっていたせいでした。もう間もなく角を曲がって彼がやって来ると思い込んでいました。けれども彼は現れませんでした。私はイライラしました。ヨーゼフの振る舞いがあまりにおかしかったからでした。それで私は彼を探しました。すると彼を見つけたのですが、彼は背中を向けて私の頭上の橋の上に立っていたのです。
 本当にびっくりして、この出来事について彼に尋ねました。ヨーゼフは待ち合わせ場所から動かなかったと請け合いました。私が数分前にとてもはっきりと彼を見たと伝えると、彼はただ一つの説明しかないだろうと言い、私が見かけた、その『ヨーゼフ』は覚者だったに違いないと言いました。彼が言うには、そこは彼が最初にマイトレーヤのファミリアとの出会いをした、全く同じ場所だったということでした(本誌1996年10月号参照)。
 あの『ヨーゼフ』に思いを集中させるといつでも、すぐに感知できる素晴らしいエネルギーを体験するのです。あの『ヨーゼフ』はどなたでしたか。
ヴァルトラウト・ニーダーマイヤー
ドイツ、レーゲンスブルク
【ベンジャミン・クレームの師は、その『ヨーゼフ』がマイトレーヤであったことを確認した】

無言のコミュニケーション

編集長殿
 2002年の4月か5月に私たちの伝導瞑想グループは、(オランダの)フィールハウテンでのパースベルグ・フリータイム・フェスティバルにブースを出しました。雨の降る嵐のような日で、午後にはブースを訪れる人もほとんどいませんでした。突然グレーの服を着た二人の紳士がどこからともなく現れました。あごひげの男性がブースの前に座り、UFOの写真をじっと眺めていました。
 もう一人の紳士は巻き毛で、テーブルに置かれた本やポスターに、大いに興味を示していました。
 私はこの男性に、マイトレーヤのことを聞いたことがあるかどうか尋ねました。彼はいきなり笑い始めたのです。何も言葉を発しませんでした。彼は『不朽の知恵の教え』というタイトルの本を買って、その後二人とも帰っていきました。
 私の直感では、その紳士たちはマイトレーヤとイエス覚者でした。正しいでしょうか。
ヴィルヘルミナ・ヴィラルト
オランダ、エーペ
【ベンジャミン・クレームの師は、マイトレーヤが笑った方の人であったことを確認した。もう一人はイエス覚者であった】

読者質問欄

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。

今月は科学界が新型コロナウイルスに対するワクチンを研究している中、ワクチンの実施に関する質疑応答をここに再掲載します

Q ワクチンの実施に反対する行動が急速に高まっています──明らかにそれにはもっともな理由があります。製薬会社が巨大な利益を得るために仕組まれた大きな陰謀があるように思われます。他方、何千もの人々が死に、多くの人々が副作用のために障害を負っています。全体としてワクチンによって達成されたとされる業績はねつ造されており、統計は操作されています。それは危険で自然に反する方法であり、自然で健全な生活を送っていれば通常の人間には不要なものです。「シェア・インターナショナル」誌はなぜアフリカのワクチン・キャンペーンを「良いニュース」として伝え、完全にそれに同意しているのですか。

A ワクチンは(ホメオパシー的に製造されたものを除いて)病気を克服するための最良で最終的な解決法ではないかもしれませんが、大衆的な規模ではアフリカ、インド、そのほか多くの国々で多くの恩恵をもたらし、障害となる病気から人々を解放しています。質問のような無知で教条的な発言は危険なものだと思います。これは、覚者の見解です。
(2002年4月号)

Q (途上国の)子供たちはすでにやせ衰えてしまった体にけがらわしい薬品が必要ないことは確かです。彼らが必要としているのは純粋なきれいな水、公衆衛生(下水設備)、栄養であって、彼らは(ワクチンのような)他の異質な物質は必要ないのです。
シェア・インターナショナル誌1991年5月号での、途上国の子供たちのワクチンや予防接種についてのあなた方の情報に関して、あなた方は単に化学、医学、生体解剖のシンジケートによって宣伝された嘘をオウムのように繰り返しているだけではないですか。

A あなたの言うように、生活に第一に必要なのはきれいな飲み水、栄養のバランス、公衆衛生であることは間違いありません。シェア・インターナショナルはめったにそれを強調するチャンスを逃しはしません。しかし、何百万もの子供たちにはそれはまだまだ手の届くものではなく、それが届くようになるまでは、これより望ましくない、予防という手段が使われ続けなければなりません。このような予防接種などの予防的な手段の効果を完全に非難してしまうことは、私たちには赤ん坊を風呂の湯水ごと捨ててしまうようなものに思えます。それは開発援助の世界の人々で、(私たちのような)構造上の変化を主張するが、そのため食料や緊急援助は否定する、という立場を取るのにも似ています。またワクチンと一口に言っても様々なワクチンがあります。ホメオパシー療法で用意されたワクチンが様々な病気に対しての無害な医療を提供するのに全面的に効果的であると証明されたことは、あまり広く知られていません。世界中で使われると、現在の疫病を安全にコントロールする方法が利用されるようになるでしょう。
 ユニセフではその仕事として、世界中の何千人ものプロのワーカーやボランティアの人々が子供たちの人権のために働くという純粋な目的に支えられて喜んで働く用意があり、また実際に無数の子供たちの命を助けてきました。シェア・インターナショナルは救われた子供たちの数を数えてはいませんが、私たちは発展途上国におけるユニセフの数々の活動を見てきて、その組織の仕事に深い敬意を持つものです。
(1991年6月号の読者からの手紙への回答として)

2020年7月号目次

 

覚者より
人間の本質的同胞愛
ベンジャミン・クレーム筆記

視点
なぜ2020年は変革の年となる可能性があるのか
ゾーイ・ワイル

今月号の内容概説

責任に目覚める ―選集
Awakening to responsibility — a compilation

「ほぼ間違いの信念」
グレアム・マクストン

結核を根絶する使命
ジェイソン・フランシスによるサンディープ・アフジャ氏へのインタビュー
最悪な時期に助けてくれる友達

時代の徴
“徴を求める者たちは…… ”

民衆の声
「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」の抗議運動は米国を変える
「Je ne peux pas respirer(ジュ ヌプ パレスピレール)」 —— 息ができない

この変化の時代にどのような 者でありたいか
ペラ・ティール氏へのインタビュー

「ひとりでに起こることは何もない。人は行動し、自分の意志を実行し なければならない」―世界教師マイトレーヤ
グラハム・ピーブルズ

ポスト・コロナへの計画:
根本的により持続可能で公正な世界を形成するための五つの提言

編集長への手紙
驚異的なエネルギー 他

読者質問欄
回答 ベンジャミン・クレーム

人間の本質的同胞愛

シェア・インターナショナル誌には創刊以来、ベンジャミン・クレームの師である覚者が提供してくださった記事が毎月掲載されてきた。それは、書かれた時のみならず、世界の状況に応じて適切と思われるときにはいつでも掲載してよいようにである。2011年に書かれたこの記事は、ウイルスによってすべてが露呈した全面的な不正義という現在の危機をわれわれに示している。何世紀にもわたってわれわれは他者の苦しみに目を背けて、人種差別から得をしてきた。今やついに、われわれには人類の一体性を受け入れる希望が出てきているのである。

人間の本質的同胞愛

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 数え切れない長い間、人間は食物、利得、安全、平和を求めて地球を放浪してきた。部族として、あるいは国家としてでさえも、人間は惑星を何度も何度も縦横に彷徨いながら、長い間連続的に異種の民族と戦い、そして異族間の結婚で結ばれてきた。この尽きることのない放浪の結果が今日のひとつの人類なのである。皮膚の色や宗教や伝統や言語が何であろうとも、すべての人間は共通の先祖からの子孫であり、同じ方法で現在の状態にまで進化してきたのである。現在の状況が、確かにあるグループにとって他よりも有利なのは多くの歴史的要因の結果であり、知性や適応性における先天的な違いの結果ではない。歴史を通じて、様々なグループが長期間あるいは短期間、突出し、名声を上げ、そして、彼らの存在を後々の世代に思い出させるための彼らの創造性を残して、再び埋もれ消えていった。
 これはすべて本当であり、現代の人類は自分たち自身をひとつとして見なし、姿形の違いは、様々な人種タイプの出現を通じて、定期的に顕現してきた光線の影響であると共に、比較的最近の気候的条件の結果であると見なすことが非常に大切である。人類は、ひとつとしての意識を培うことにおいて、まだ共に進化しつつあるのである。
 共に進化成長しながら、各々の種族や亜種族が何らかの新しい特質を全体に寄与する。輪廻転生の過程は、徐々に各人が新しい知識と新しい時代についての認識を受け継いでいくことを保証する。もし人間が本当にこの過程の複雑さと美しさを理解するならば、今日の“人種差別”のような嫌悪感や不信感は永遠に消え去るだろう。本当に、人間は兄弟であり、終わることのないように思える自己発見の行路を共に歩んでいる仲間であることに気づくであろう。
 あなた方の兄であるわたしたちが、より公に働くとき、これが人間の特質と関係についてのわれわれの理解の中心的真理であることを知るだろう。人間家族はわれわれのいのちを養う基礎である。その中でわれわれは協力し、われわれの分かち合われたアイデンティティー(本体)の豊かな織物を形成しながら、共に創造するのである。
 ではいかにして、人間はこの本質的な理解に到達することができるのか。わたしたち同胞団(ブラザーフッド)が、この関係を、わたしたちが行うすべてにおいて実演するだろう。かくして人間は、彼ら自身をすべて同胞として見るようになるだろう。分かち合いが人間をこのうれしい峠に導き、真理についての彼らの新しい実演(デモンストレーション)が彼らに栄光を与えるであろう。そのようになるだろう。
 そうして人間は彼らの知識と経験を分かち合って、達成の高台を征服するだろう。人間はついにお互いを自分自身として認識することで、兄弟たちとの距離を置くために立ててきた偽りの障壁を永遠に消し去るだろう。
(2011年1月号)

今月号の内容概説

 今月号(訳注:英文誌では7・8月合併号として発行された中の7月号部分)で、深く掘り下げた記事やインタビューを発表する機会が提供され、様々な考え方だけでなく様々な声も取り上げられている。それは今月号の筆者たちの多様な声であり、また、正義を求める民衆の声である。現在の危機に対する人類の責任と反応を振り返ることにする。変化の必要性はシェア・インターナショナル誌で毎号、強調されている。今、こう問いかけたい。世界は変化に向けて用意を整えているのか。そして、誰が先導するのか──指導者だろうか。民衆だろうか。これまでのところ、特定の地域の人種差別に対する世界規模の反応から判断すれば、先導するのは、自分たちの意見や声を響かせている民衆である。民衆は連帯し、正義と一体性のためであれば命を、「呼吸そのもの」を失う危険を冒すこともいとわないようである。
 一方、覚者方がこのような状況をどう見るかは考慮に値する。「マイトレーヤが提唱されるのは、革命(レボリューション)ではなく、進化(エボリューション)である。革命は対決と大量殺戮をもたらし、一種類の問題を他の種類の問題に置き換えるだけであることを、マイトレーヤはよくご存知である」。(「偉大なる決断」本誌2012年1・2月号)
 「わたしたちの方法は平和的な進化の方法であり、世界をさらに危険にさらそうとする者たちにその方法を勧める。わたしたちの方法は単純であり、達成可能である。分かち合いの原則は人間の苦難に対する素晴らしい解答である」(「将来の一対の柱」本誌2013年9月号)
 「過去の最良のものを大切にし、古い道標を復元しなさい」(「未来への道」本誌1985年9月号)
 グレアム・マクストンは、ほとんど間違っているたくさんの考え方から私たちを解放してくれる一方、オランダの学者たちはすでに、コロナ後の世界のための計画を立てている。「学者として、私たちはこの政策ビジョンが、国際的連帯に基づいたより持続可能で、公正で多様な社会へと導き、将来的なショックや感染症の世界的大流行へのより良い予防と対処につながるものであると確信している。私たちにとって問題は、もはやこれらの戦略を実施することが必要かどうかではなく、どうやってそれを行うかである」

責任に目覚める―選集

Awakening to responsibility ── a compilation

「責任に目覚める」というテーマに関する引用文の選集を掲載する。これはマイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』と『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第1巻と第2巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。

 あなたが公言する理想に従って行動する時が来た。以前にはなかった機会である。あなたの心(ハート)の中に秘められているビジョンを具現しなさい。あなたが独りではないことを、何百万の人間が同じ理想を抱いていることを知りなさい。奉仕することを願う者たちすべてと手をつなぎ、世界の周りに光の織物を紡ぎなさい。あなたは奉仕するために世にあることを、そして奉仕を通してのみ成長することを心にとどめておきなさい。あなたは兄弟同胞の番兵であり、彼らの窮乏に対するあなたの責任を引き受けなさい。
(『覚者は語る Ⅰ』─重要な機会─より)

 わたしが、現在非常に必要とするのは、わたしのビジョンを分かち合う者たちが、行動する責任を引き受けてくれることである。人間の窮乏を知り、そのビジョンを見ていながら、時の緊迫性を知らない者たちが世界に大勢いる。兄弟たちの窮乏を知り、非常に多くの者たちの苦しみに同情の思いを持ち、そしてそれらすべてを変える意志を持つ者たちに、わたしは頼る。わたしが召集する者たちの仲間に、あなたがたも入るように。そして共に新しい、より良い世界を招じ入れることができるように。
(『いのちの水を運ぶ者』第46信より)

 いま転生している私たちは尋常ならざる責任を担っている。私たちがいま世界にいるのはそのためである。すべての世代がその時代の問題を解決する知識と経験を携えた人々(魂)を転生へともたらす。私たちは将来の問題を解決するために、人類が存続し続けるかしないかを──正義、分かち合い、正しい関係、平和への選択をするか、すべての生命を破壊するかを──決定するために転生して来た。マイトレーヤは人類が正しい選択をすることを疑わない。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅱ巻』)

 いのちの意味と目的について新しい理解が人類に目覚めはじめるだろう。生きることへの新しいアプローチが広まり、あらゆる関係(つながり)について新鮮な見方が起こり、人間の自分自身とその運命(さだめ)についての感覚的理解に完全な変化が起こるだろう。人間が、まず最初の仕事である社会統合を達成するとき、そして資源の分かち合いを通して正義と和合が支配するとき、これは起こるだろう。
 この新しく築かれた融和に伴って、新しい責任感覚が生まれるだろう。兄弟姉妹との一つの偉大なる家族に属するという新しい体験、そして各人がその兄弟姉妹の必要を配慮しなければならないという感覚。進化への新鮮な刺激が与えられ、覚者たちの指導のもとに人間は神に向かって登りはじめるだろう。
(『覚者は語る Ⅰ』─いのちの贈物─より)

 人間は非常に病的な状態にあるこの世界を救わなければならない。世界の一般の人々によって、その努力がすでに始められているのを見て、わたしたちの心(ハート)は喜ぶ。わたしはそのような人々に今語りかけている。あなた方の声を大きく上げなさい。あなた方の必要を世界に告げなさい──平和の必要を、正義と自由の必要を、宗教や皮膚の色や人種が何であれ、すべての人間が調和のうちに生きることの必要を告げなさい。すべての人間は本質的にひとつである。彼らはわたしの兄弟であり、わたしは一人ひとりを愛する。
(マイトレーヤ、2008年3月27日、『覚者は語る Ⅰ』)

 第一の優先は飢えたる何百万の人々を救うことです。何百万の人々が飢え死にするという事実は冒涜である──マイトレーヤはこれを罪悪と呼びます。それは私たちの直中にある癌です。
 私たちは責任を受け入れません。もし私たちが責任を受け入れなければ、私たちの政府は責任を受け入れません。政府は飢餓をなくすという政策は票の獲得につながらないことを知っています。ですから私たちが主張しなければならないのです──「第三世界における飢餓の問題に取り組まなければ、あなたに投票しませんよ。もし私の票が欲しければ、世界に分かち合いの原則を提唱しなさい」と。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅱ巻』)

 人間の落ち着きのない奮闘のすべての底に、今日彼らを襲っている多大な問題の解決にはすべての者が責任を分かち合わなければならないという認識の目覚めがある。問題と同様に、その責任も世界的であり、分割不可能であり、そして協力とエゴ(自我)の否定を通してのみ、それらに適切に対処し克服することができるという認識の目覚めがある。
(『覚者は語る Ⅰ』─法の規定─より)

 国民の声はすでに耳を傾けられ始め、この代表政治の形態がイデオロギーを通して大衆をコントロールするやり方に取って代わるだろう。すべてが非常に急速に動いているので事態は政治家の手に負えない。新しい政治の時代が始まった。認識が人々を自らの基本的人権に目覚めさせ、自由とそして自らに対する、またお互いに対する責任に目覚めさせている。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅱ巻』)

 すべての側において古い体制が崩壊しつつある形跡がある。往古(おうこ)の憎悪が人々を分割し、無法がはびこる。しかし、至るところで新しい精神が人間の中に目覚め、あらゆる形態の生命に対する新しい責任感と新たな敬意が目覚めつつある徴(しるし)が見られる。
 この新しい美の顕現は無数にある。人類の前に開かれる未来のビジョンは多く、驚くべきものである。人間は未だ新しい始まりの門口に立っているにすぎない。しかし、見る目を持つ者には、すでに進歩の徴(しるし)が見える。
(『覚者は語る Ⅰ』─勝利は保証されている─より)

 人間が進化し向上していくためには、自分たちは唯一なる神聖なる本源の下にある一つの兄弟姉妹であることを認識し、その聖なる本源と全く同一の特質を持つ存在であることを認識しなければなりません。通常、家族の中ではどういうことが起こるでしょうか。家族が持っているものは分かち合われます。母親は自分の子供の一人に余計に与え、一人に少なく与えるというようなことはしません。一人の子供に83%を与え、一人の子供に17%しか与えないということはしません。つまり私たちは人類家族の兄弟姉妹であり、資源を、食糧をより公平に分かち合わなければならないのです。マイトレーヤはこのように言われます──「分かち合いは神聖である、分かち合うとき、あなたは兄弟の裡に神を見る」と。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅲ巻』)

 生活をより簡素にし、この惑星にかける負担を少なくし、より賢いやり方をしなければなりません。世界の生態系の均衡がマイトレーヤの主な関心事の一つでしょう。そして人類が現在のような生き方を続ければ必然的に起こる結果を、彼は最も高いレベルから示してくださるでしょう。それに関しての行動の必要が科学者たちに明らかになり、彼らを通して世界の諸国政府にも明らかになるでしょう。
(『全人類のための世界教師』)

 現在のわれわれの第一の仕事は、環境を管理することである。これがすべての個人の、政治家の、グルや聖者の、科学者の責任になるだろう。われわれのエネルギーは、環境を再び健全にすることに費やされるだろう。それが起こるとき、苦難や病気や貧困は減少するだろう。
(『いのちの法則』)

 世界中で、人々は、自由と正義をその中核においたより良い生活の可能性に目覚めつつある。恐れるでない、民衆の声は高まっており、接触伝染のようにますます多くの人々に影響を及ぼしている。自由、正義、そして人間の和合という真理のために生きる──あるいは死ぬ──人々の背後にマイトレーヤは立っておられる。若者が道を先導する、そしてその将来は彼らのためにある。
(『覚者は語る Ⅱ』─裂開(れっかい)の剣(つるぎ)を創造する─より)

 [投票は]あなたに大きな力を与えるのです。その力をいろいろに使うことができます。機械的にあなたの両親や友人などと同じに投票することもできるし、あなた自身が本当に欲するように投票することもできます。それがこの国の生活に重要な影響を与えます。合衆国の住人すべてが現在の合衆国の行政機関に責任があります。同様に、すべての英国人が現在の英国の行政機関に責任があります。フランスに、西ドイツ、その他の国々にも同じことが言えます。投票権を持つ限り、あなたは責任を持っています。あなたの国の国内と海外での活動に責任があるのです。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅰ巻』)

 マイトレーヤは、より簡素な生活を、惑星の状況の現実により見合った生活を提唱するだろう。これが必要であることを十分に多くの人々が確信するとき、簡素化への運動が惑星全体を通じてますます大きく広まるだろう。何千万の人間が変化の必要に鼓舞されて、それは極めて異常な速さで進むだろう。このようにして、地球という惑星が直面する最も深刻な危険は、いくらか押し止められるだろう。これが多くの人々を勇気づけて、彼らはさらなる変化への用意を進めるだろう。
(『覚者は語る Ⅰ』─惑星の救済─より)

 この新しいエネルギーはすでに西洋においても影響を与えはじめている。エネルギーが個人の内に真我の認識を創造するにつれて、人々は環境に気づくようになり、自分たちの義務と責任の感覚に目覚める。そのために、アメリカやイギリスにおいて、人々は街頭に繰り出し、議会で民衆の声が聞かれることを要求しはじめている。……
 政治家が権力の座に留まっていられる唯一の方法は、民衆の願いを代表し、それに声を与えることによってであることを、彼らは自覚しなければならない。「『市場のフォース(力)』を信条としている政治家は、自分たちの時代が終わったことを知るだろう」
(『いのちの法則』)

 私は、キリストが変換の仕事をするために、ここにおられるとは言っていません。それとは逆に、必要な変換を行うのはわれわれ人類の責任であると述べてきました。キリスト自身が言われています。「わたしは大計画の設計者であるにすぎない。我が友よ、兄弟たちよ、あなたがたが輝ける真理の宮殿を喜んで築く建設者たちである」─メッセージ第65信より─
(『マイトレーヤの使命 第Ⅱ巻』)

 何千万人もの人間の中に眠る未開発の可能性を呼び起こすことによって、社会生活の変容は急速に、規則正しく、責任ある方法で行われるだろう。参加することが基調である。なぜならそのような参加を通してのみ、各人が共同体(コミュニティー)の共通の目標との一体性を感じ、それのために心から働くことができるのである。このようにして社会的責任、集団的責任が培われていく。現在の、断絶した不公正な社会から生まれた不健全な反社会的行動は、太陽の光に照らされた霞のように消えていくだろう。
(『覚者は語る Ⅰ』─新しい機構(しくみ)の創造─より)

 人類の問題は現実であるが、解決可能なものである。解決法は、あなたがたの手のうちにある。兄弟の窮乏をあなたの行動の尺度として、世界の問題を解決しなさい。その他の進路(コース)はない。
(『いのちの水を運ぶ者』第52信より)

 国際連合は世界平和を維持する機関としての本領をゆっくりと発揮しつつあります。現在、国連は世界の警察としての役割を引き受けることを嫌っており、至るところの政府は必要とされる犠牲を払うのを躊躇しています。しかし、世界平和が分かち合いと正義の実施を通して保障されるようになるまでは、国連はそのような責任を引き受けなければなりません。国連の将来の役割は、世界政府になることではなく、世界議会になることです。そこで問題は議論され、平和のうちに解決されるでしょう。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅲ巻』)

 間もなく人間は、自分たち自身で、今、日ごとに起こっている変化の理由を知り、それを理解することができるだろう。偶然に起こるものは何もないことを、偉大なる自然の法則が人間の生命を条件づけており、神ではなく、人間の思考と行動が、彼らの経験の質を定めていることを知るだろう。何人(なんびと)も、いかなる階級も、“支配するために生まれる”ことはない。すべての者の必要と権利が公正に満たされるとき、調和が勝利するだろう。
(『覚者は語る Ⅰ』─再生の門口─より)

 世界中至る所にいる何百万もの平凡な小市民が政府に対して、世界の問題の解決法である分かち合いの原則を実施することを強要します。それが今日の大衆の力です。大衆はキリストによって啓発され、キリストによって鼓舞され、その志向はキリストによって焦点を定められ、政府に対して行動を強いるでしょう。エネルギーを与えられ、鼓舞され、焦点化され、啓発された世界の世論に対抗できる政府は地上に存在しません。個人としてのあなたが、いかに重要な存在であるかが分かりますか。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅰ巻』)

 世界的相互依存というリアリティ(現実)がわれわれの認識の中で確立された事実となるだろう。そうなる時「すべての人間は兄弟姉妹である」という事実が制度機構や実際的活動計画の中にますます取り入れられて、この実体を反映するものとなるだろう。諸国家も同胞愛、共通の目標、共通の抱負を体験することができ、そうなるだろう。……
 これらは歴史的瞬間であり、日が経つにつれて新しい認識が一層明らかになっていく。人々はますます平和や調和ある生き方について語るようになるだろう。これは人類の歴史における転換点である。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅰ巻』)

結核を根絶する使命

ジェイソン・フランシスによる
サンディープ・アフジャ氏へのインタビュー

Operation ASHA はインドやカンボジアの都市近郊スラムや農村の最も貧しい人々への結核治療や医療サービスの提供に専念するNGOである。Operation ASHA は、合計人口が約500万人に上る5,000以上の恵まれないコミュニティーにサービスを提供している。そのパートナーは、アフガニスタン、ザンビア、タンザニアのさらに多くの人々にサービスを提供している。
 サンディープ・アフジャ氏はOperation ASHAの共同創設者でCEOである。彼は以前、インド歳入庁で役員を務めていた。彼は自身の人脈を駆使し、後輩の同僚や他の恵まれない人々に必要な医療サービスを無料で受けられるように援助していた。2006年に彼はインドで、団体の代表を務めるシェリー・バトラ博士と共同でOperation ASHAを設立した。ジェイソン・フランシスが、本誌のためにサンディープ・アフジャ氏にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI): 結核への感染と活動性結核との違いは何でしょうか。世界中で何人くらいの人が結核に感染し、活動性結核であると考えられますか。
サンディープ・アフジャ:結核への感染、つまり潜伏性結核は、体内に結核菌を持っているが、免疫系が結核菌を抑制できており結核菌が増殖し人を苦しめることがない状態です。つまりそのような人には、明らかに何も症状がありません。
 それに対して活動性結核は、結核菌が体内で増殖しつつある状態です。患者は症状に苦しみ、症状を示し、検査と治療が必要です。そうしなければ症状が進行し、肺や他の体の一部を破壊し、最終的には死に至るかもしれません。
 膨大な数の人々が潜伏性結核の状態です。それはインドの人口の40%(5億人)とカンボジアの人口の50%を含みます。世界保健機関によって「結核の高負荷」の国と分類されている他の28カ国では、潜伏性結核の割合は同様の水準です。
 幸い潜伏性結核の人の中で、毎年活動性の症状を示す人はほんのわずかな割合にすぎません。年間の患者数はおよそ1,050万人であり(しかし18億人が結核の原因となる結核菌に感染しています)、それはどのような基準から見ても依然として膨大な人数です。実際のところ、疾病の重大性は死亡者数で計測されており、結核は今までで最悪の感染症で、過去200年間で10億人の死亡者を出しており、その数はHIV/エイズ、天然痘、黒死病、スペイン風邪、コレラを合わせた数よりも多いのです。

貧困病

SI:あなたはなぜ、結核を貧困病と呼ぶのですか。
アフジャ:結核がしばしば貧困病と呼ばれているのは、例えばインドでは90%の患者が貧困だからです。その理由は、膨大な数の人々が潜伏性結核の状態だからです。健康な人の免疫系は、細菌が増殖し疾病となることを許しません。免疫系が弱くなるや否や、細菌が人を支配するようになります。弱い免疫系の一つの主な理由は栄養不良です。つまり、貧しい人は他の人よりも結核になりやすいのです。しかしながら、誰でも結核にかかる可能性があると言わなければなりません。実際、結核で亡くなった有名人には、ネルソン・マンデラ、エレノア・ルーズベルト、ジョン・キーツなどがいます。

SI:結核の人を特定し検査する過程をどのようにして始めるのですか。Operation ASHAは、これまでに何人の人の治療を行ったのですか。
アフジャ:Operation ASHAのコミュニティーヘルスワーカーは何千ものコミュニティーを調査し、特定の症状を示す人々を100万人以上発見し、結核の検査をしてきました。私たちは11万人以上の患者さんの治療を行い、その中には多剤耐性、広範囲薬剤耐性、完全薬剤耐性の結核と呼ばれる致命的な形態で苦しむ人々が含まれています。これらの中で、昨年だけでも1万5,000人が治療を受けました。これによりOperation ASHAは、世界で3番目に大きな結核を抑制するNGOとなりました。

検査と治療

SI:結核の検査と患者さんの居住地での治療の過程についてお話しいただけますか。患者さんの居住地が都市と農村の場合で、どのような違いがありますか。
アフジャ:居住地が都市であっても農村であっても、その過程にほとんど違いはありません。患者さんにプライバシーの問題がない限り、検査と薬剤の引き渡しは、もちろん家で行われます。例えば若い花嫁は、この病気が持つ強い嫌悪感のために、自分が結核であることを義理の母親に言いたくないかもしれません。その場合、私たちのワーカーや(ワーカーを兼ねる)司祭が面談、投薬、アドバイスを行い、寺院に行く途中や寺院の中で薬の引き渡しが行われ、すべての患者が完全に治療を受けられるようにします。
 私たちの差別化のポイントは、患者さんの状況の医療的、社会的、経済的、法的な側面など、あらゆる側面の面倒を見ることです。患者さんが糖尿病などの他の健康問題を抱えている場合には、それに対する適切な治療も行います。なぜなら、そうしなければ患者さんは結核の治療を全く受けられないかもしれないからです。
 例えば、労働者が結核のために工場から追い出された場合には、スーパーバイザーやディレクターによるカウンセリングを提供するか、もしくは労働検査官に取り上げてもらい、患者さんが収入を得て、食事をし、治療を継続できるようにします。同時に私たちは、どのように感染を避けるかについて他のワーカーに研修を行います。この総合的な方法は非常に上手く行き、多くの患者さんが生涯の友人となり、私たちのワーカーがさらに患者を見つけ、治療を行う助けとなりました。玄関での受け渡しは非常に重要な利点です。患者さんは大切なリソースと時間を節約できます。その時間は、そうでなければ何十回もの通院に使われていた時間です。多くの患者さんにとって、これは治療からの脱落の原因となるものです。

SI:結核の患者さんにとって、完全な治療計画を完了することは大切ですか。
アフジャ: あらゆる患者さんにとって、治療計画を完了することは極めて重要です。脱落する患者さんは結核の薬剤耐性形態、すなわち多剤耐性結核(MDR)に感染するかもしれません。これにより治療期間は最大で2年にもおよび、重大な副作用を伴い、薬剤の費用は40倍に増加するかもしれません。この治療計画は、完了することが明らかにより困難です。治療からの脱落は広範囲薬剤耐性結核(XDR)に、最終的に完全薬剤耐性結核(TDR)につながります。MDR、XDR、TDRを防ぐ唯一の方法は、(通常の)結核の治療を止める患者が一人も出ないようにすることです。
 Operation ASHAは、5%以下という信じられないような低い脱落率を達成しました。他のプログラムでは、患者の脱落率は最大で46%にもなります。そのようなプログラムは、実際には『薬剤耐性結核の生成工場』のようなものです。

『残酷な』病気

SI:結核に感染していることは、人の人生に身体的影響、社会的影響、財政的影響など、どのような影響を与えますか。
アフジャ:結核は深刻な社会的、経済的な問題です。患者は生涯の収入を失います。何百万人もの人が、治療や検査や繰り返しの通院の費用のために毎年貧困に陥ります。ある論文によると、南アフリカの結核患者の41%が結核治療を受けるために借金をするか、資産を売却しました。別のナイジェリアの研究では、患者の10%が結核治療の費用を賄うために学齢児童に依存していると指摘しています。
 インドでは、年間でおよそ30万人の若者が児童労働者の仲間入りをしますが、ほとんどが、親が結核で苦しみ、職を失い、子供が家族を支える必要があることが原因です。しかし、それだけではなく、毎年10万人の女性患者が家族によって放り出され、病気や飢えで亡くなっています。
 結核は消耗性疾患です。これを『残酷』と呼ばせてください。なぜなら患者さんは(結核が検出され治療されない限り)何年も、場合によっては10年以上も結核で苦しみ続け、寝たきりになり、家族による介護が必要になる可能性があるのです。私は12歳の少年のことを忘れることはないでしょう。年齢のわりにはとても背が低く、父親の自転車タクシーのペダルを漕いでいました。彼の短い足では、ペダルを一番下まで押すことができませんでした。それが仕事をとても大変にしていました。父親は結核のために寝たきりで家族をこれ以上養うことができなかったため、他の選択はありませんでした。私はあの光景を亡くなる日まで忘れることはないでしょう。10歳の弟は、チャイ・ショップで接客をしていました。
 しかし、このような悲劇は、私を前に進ませてくれました。個人レベルでは、私は皆が羨むような職とOperation ASHAの3倍の給料を犠牲にしました。しかし結核の根絶は、神が私に選んでくれた道です。そして神が私を地球から取り除く前に、その目標の達成に私は成功するでしょう。

関連サービス

SI:あなたの団体は、どのように就職技能を教えているのですか。そしてインドやカンボジアの人々に対して、どのように直接の雇用を提供しているのかをお話しいただけますか。また、Operation ASHAでは、何人の人を雇用していますか。
アフジャ:Operation ASHAは、相当の雇用を生み出したことに誇りを持っています。私たちは350人以上のスタッフを雇用し、4,000人のボランティアがいます。彼らのほとんどは、Operation ASHA以外には仕事がなかったでしょう。彼らの30%が正式な教育を受けていません。Operation ASHAで働くための唯一の『学歴』は、なぜ患者が薬を飲み忘れたのかを説明(もしくはできれば書き留めることが)できることです。しかしワーカーは、彼らが働いているコミュニティーに属し非常に社交的である必要があります。つまり、見知らぬ人とでも難なく会話を始めることができるのです。

SI:あなたの団体は、他にどのような健康問題に対処していますか。
アフジャ:私たちは多くの有名な巨大組織から、私たちの方法論とテクノロジーで彼らの仕事を援助するようにアプローチを受けています。これは地理的範囲を拡大できるだけでなく、長期的治療が必要な他の病気に対応する機会を私たちに与えてくれました。私たちは今までのところ、結核以外に五つの新しい分野で奉仕しており、大きな成功を収めました。それらはHIVと結核の重感染、血友病、糖尿病、心臓疾患、青年期の健康問題です。

SI:あなたの団体は、どのように資金を得ているのですか。
アフジャ:Operation ASHAは幅広い資金基盤を持っており、寄付者はニュージーランドからアメリカにまで及んでいます。長期的なパートナーは、インドの政府や州政府、国際的基金、多国間の国際的な寄付者(世界銀行、アメリカ国際開発庁、イギリス国際開発省を含む)などです。

新型コロナウイルスの影響

SI:新型コロナウイルスの大流行は、Operation ASHAが治療を提供し活動場所のコミュニティーを援助する能力にどのように影響していますか。あなたはどのように変わる必要がありましたか。
アフジャ:Operation ASHAは新しい現実に素早く適応しました。まず最初にすべてのスタッフにマスクと消毒液を提供し、次に新しい患者の活発な症例発見を減らし、最終的に停止しました。これは確かに検出に影響がありました。しかし、私たちは加入に関しては良い実績を示し続け、世界中での大幅な減少と比べ、約40%の減少にすぎませんでした。それだけでなく、今後数カ月でそれを超えることに私たちは自信を持っています。しかも、検出の遅延によって深刻な症例や死亡は発生していないようです。なぜなら私たちのワーカーは感染の初期段階で患者を検出するからです。
 また、政府の指令に従う過程で、監督下の投薬が一時的に停止されました。しかしながら、ワーカーや品質監査役や熟練したカウンセラーによる毎日の電話での厳密で正確な処方計画は継続的な治療を実現します。私たちの患者さんの中で薬の摂取をやめた人はいません。このようにして、薬物耐性結核を寄せ付けませんでした。
 しかしながら、ロックダウンの結果、患者さんと彼らの家族の多くは収入を失うことになりました。幸い災害管理機関と警察はこの問題を素早く取り上げました。これは評価に値します。あいにく、隔たりは幾つかありました。例えば、朝食は提供されておらず、食事の量は限定的でした。患者さんたちは、新型コロナウイルスの防止に緊急に必要な石鹸を買うお金を使い果たしていました。電話のプリペイドカードを買うお金もなかったため、家族は連絡を取り合うことができませんでした。これはロックダウンの心理的な影響を悪化させました。
 Operation ASHAは、およそ7,600家族に関して、このような状況に対応することができました。これは、結核患者のおよそ2,200家族、MDR結核患者の400家族を含み、5以上の都市と、ビワンディ市の恵まれない5,000の移住家族に広がっています。困窮するあらゆる家族に、朝食、家賃、石鹸、電話のプリペイドカードのための資金が提供されました。各家族に与えられた金額は少額でしたが、人生を変えるようなものでした。これはまた、こうした家族と患者が農村部に移住することを防ぎました。このことが患者たちの間で短期的にも長期的にも多くの脱落者と薬物耐性の発生を防いだことに、私たちは自信を持っています。私たちは、より大きな問題が起こると思われる近い将来に備えています。例えば各州政府は、移住労働者を出身地に送還することを決めました。そのため、私たちの結核患者の多くは出身地の村に戻ることになるかもしれません。おそらく政府は、地方の雇用と食物の助成により、ある種の財政支援を提供するでしょう。しかし、それだけでは十分ではありません。ですから私たちは用心深くある必要があり、誰も食物が不足することのないようにしなければなりません。さらに大切なことですが、村々の政府医療センターには十分な抗結核薬の供給がないかもしれません。電話での厳密なフォローアップの他に、医薬品を宅配便で送り、民間研究所の有料検査を利用する必要があるかもしれません。こうして誰も治療から脱落しないようにします。
詳しくはopasha.orgを参照

最悪な時期に助けてくれる友達

SI:一度人が健康を取り戻すと、人生はどのように変化しますか。
アフジャ: この質問に答えるために、私たちのある患者さんのストーリーを紹介したいと思います。ジャグディッシュ(仮名)は40歳で、ラージャスターン州のプシュカル市郊外のとても小さなレストラン、サント・ラム・ダーバで働いています。彼の1日は毎朝午前7時に厨房の手伝いで始まり、次にフロア係をし、通行人に食べ物を提供します。彼の1日はしばしば、深夜の通行人相手の接客で終わります。
 彼は生計のために十分なお金を稼ぎ、ビーカネルに住む家族に仕送りする余裕が常にありました。愛する人から離れて暮らしながら、長男として家族を養うことがジャグディッシュの肩にかかっていました。家族にはお金が必要でした。ジャグディッシュの母親の薬、弟の理学療法、妹の子供たちの学費、食物や他の必要なもののためです。
 彼の村では仕事が少なく、家から250kmも移動しなければなりませんでした。しかし、そのすべてにそれだけの価値があると思われました。家族の幸せな顔を思うと、長時間の孤独な消耗する仕事に耐えることができました。ただしそれは、彼が病気になるまでのことでした。疲れを感じるようになり、食欲がなくなり、息切れするようになりました。彼は『歩く骸骨』のような外観になりました。医者は薬を幾つか処方しましたが、それらはお金がかかり、猶予はありませんでした。彼は最終的に解雇され、悲惨さを招く「病気」の生き物という烙印を押されました。家族は彼の病気の負担で苦しみました。彼の姪たちは、お金が足りないために学校をやめなければなりませんでした。
 ジャグディッシュは、もし自分が亡くなったら家族に何が起こるかを考え、毎日神に救いを求めて祈りました。このような祈りへの答えであったと考えられるのは、ある友人が彼と似た問題を抱える人々を援助するという近所の無料クリニックについて聞いたことでした。こうして彼はOperation ASHAのワーカーに紹介されたのです。彼らはとても親切で、ジャグディッシュは自分が結核という非常に一般的な病気であると告げられました。それでもジャグディッシュは怖がり、神に「なぜ私なのですか」と問い続けました。
 彼はそれが『神の祟り』であると感じました。彼がこのようにして答えを探し求め、内なる悪魔と闘う間、Operation ASHAのカウンセラー、マノージは治療計画を開始しました。薬により症状は悪化しました。彼は毎日しびれを感じました。全身が痛み、1日中ベッドに寝ていた後でさえも筋肉が痛みました。ジャグディッシュはセンターに行くことをやめました。しかし、マノージは彼の家に現れました。マノージはジャグディッシュに、治療をやめることがいかに危険であり、薬を飲むと最初は症状が悪化したとしても長期的には治療となることを説明するビデオを見せました。それには、かなりの説得が必要でした。マノージは「希望を失わないで」と言いました。ジャグディッシュは、彼は正しいと判断しました。特に、そこで感じたときと比べ、どの薬を飲んでもさらに気分が悪くなることはなかったからです。4カ月後に彼の胸痛は消えました。同時に咳と死が迫るような感覚も消えました。
 ジャグディッシュは仕事を再開することができました。彼は義務を再び果たすことができました。母親は薬を続けることができ、弟は理学療法を再開することができ、姪たちは学校に再入学することができました。ジャグディッシュは、Operation ASHAが彼に人生を返してくれたと感じています。彼は、より大きな目的のために救われたと感じており、ちょうどOperation ASHAが彼を助けたように他の人を助けることを誓いました。結局のところ、人生とはこのようなものではないでしょうか。人が困っているときにその人を助けることではないでしょうか。そしてそれが、ジャグディッシュがなりたいと思っているものです。つまり、最悪な時期に助けてくれる友達、嵐の中の避難所、砂漠の中のオアシスです。

編集長への手紙

 本号に掲載された手紙は、最近起きた出会いについて述べられており、したがってベンジャミン・クレームの師によって確認されていない。手紙の書き手たち自身の直観的反応に加えて、そのような体験を熟知していることから生まれる確信が、こうした出会いは個人的に、また一般的にも重要で意義があると判断できる自信を与えるのである。
 個人に関連していると特定されるような手紙もあれば、すべての人々に希望や鼓舞をもたらすことでそれ自体が語るものもある。これらの手紙は読者の考慮のために提供されている。

驚異的なエネルギー

編集長殿
 2005年5月、私たちは大変楽しみにしていたあなたの講演を聞き、伝導瞑想会に参加しました。
 日曜日の朝、私たちは古代エジプトに関する展示を見るために、アラブ世界研究所に行くことにしていました。入口のホールにはツタンカーメン王の大きな像がありましたが、彼の名前が説明文のプレートの中でホレムハブと入れ替わっていました。私たちが入場していた時、突然その像から放たれた素晴らしいエネルギーに満たされ、私たちが完全にはっきりと感じ取れる類のエネルギーでした。その像は私たちには本当に生きている人物像のように見えたのです! このファラオの生と死に関連した数多くの理由のために、私たちはこの現象に驚きました。
 これが自然の現象だったのかどうか教えていただけますか。もしそうでないなら、誰からこの素晴らしいエネルギーは送られたのですか。
 さらにその訪問の間、背の高いエレガントな男性で、白髪交じりの髪に素敵な赤のコートを着た人物が、私たちのごく近くに付いて来ていたことに気づいていました。彼は見たところ、滞在中ずっと熱心にオーディオガイドに集中していたようでした。その像の現象とその男性との間に関係はありますか。
フランソワーズ・ラヴーヴ、ピエール・コシェリと彼の母クレメンス、マルク・フェリー
フランス
【ベンジャミン・クレームの師は、その『エレガントな男性』がマイトレーヤで、彼からエネルギーが送られたことを確認した】

完全無欠の天使たち

編集長殿
 私の夫は2002年8月に亡くなりました。その日以来、ノーサンバーランドのヘクサムの通りを散歩していた時に、私は三度もひどい転び方をして、つまずいただけで顔からバタンと転んで、鼻の骨を折ってしまい、とても親切な人たちが車で病院に連れていってくれたのです。
 別の時には歯が一本折れて、小さな破片が今でも下唇に入ったままです。けれどもその時には二人の男性に大変優しく助けてもらいました。一人はヘクサム修道院近くの店の人で、私は彼を知っていました。もう一人は全く見知らぬ人でしたが、私の息子が到着して車で病院に連れていってくれるまでの約15分間、私のそばに静かに座っていてくれました。彼は私の歯が唇から突き抜けていないと言って安心させてくれて、あとの時間は非常に物静かでしたが、とても慰められました。
 私の息子が到着した時、その男性は私と一緒に車まで歩いて座席に座らせてくれて、優しく車のドアを閉めて、お元気でと言ってくれました。その後二度と彼に会うことはありませんでしたが、そのお店の人にお礼を言うため訪ねた時に、彼はもう一人の男性が何者なのか全くわからないと言っていました。私は彼らが「完全無欠の天使の二人」だったと伝えましたが、時折その言葉が、物静かな人には本当だったのではないかと思っています。
ドリーン・ビスコウ
英国、ノース・ヨークシャー、ノーザラートン
【ベンジャミン・クレームの師は、その『物静かな男性』がイエス覚者であったことを確認した】

読者質問欄

「世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。そのいずれもこれまでシェア・インターナショナル誌に未掲載のものです」

Q 人類が自滅しないとどうしてそんなに確信が持てるのですか。

A それは主に、知恵の覚者方と呼ばれる途方もなく進歩し啓発された方々が今や私たちの間におり、彼らの師である世界教師、主マイトレーヤと共におられることを知っているからです。彼らは全知であり、人類のハートは健全であり、私たちすべてに内在する善きものに反応することができることを知っており、私たちはそれに反応して、政治的経済的社会的な変化を起こすこと、そしてそれは私たちが自滅しないことの保証であることを知っておられるからです。

Q 一言で要約すれば、新しい時代を特徴づける指針となる原則は何でしょうか。

A それは統合の原則でしょう。私たちは生活のすべての様相を統合し、人類全体を一つのグループに統合することを学ぶでしょう──長年夢見られてきた同胞愛が初めて現実のものとなるでしょう。この統合を起こす主な力は、私たちが一つの人類の兄弟姉妹であり、一つの聖なる源に属しており、それゆえに世界の資源を分かち合うことは世界で最も自然なことであることを受け入れることでしょう。私たちが家族の物を何でも分かち合うように、人類家族は分かち合うことの必要を認識し、それが最初の一歩となるでしょう。

Q あなたは将来起こるかもしれない多くの外的な変化について述べられました。それは人々の内面にも影響を与えると思います。マイトレーヤはメッセージ第3信でこう述べています。「道を示させてください──より簡素な生活に前進する道を。そこでは誰もが欠乏することなく、同じ日が二度繰り返されることはなく、同胞愛の喜びがすべての人々を通して顕される」。これらすべての変化は生活の内面にとって何を意味するのでしょうか。

A それは二方向のプロセスです。外的な変化は内的な変化である意識の変化に続いて起こるものでなければなりません。その意識の変化は世界に公に出現される覚者方の鼓舞と指導を通して起こるでしょう。
 彼らは人類に教え、私たちの行動の結果について示すでしょう。例えば、私たちが今生きているようなやり方を続けるならば、最終的には完全な混乱とゆっくりした自滅に終わることを示されるでしょう。さもなければ、私たちは、私たちが一つであり、一つの人類の兄弟姉妹であるという単純な前提を受け入れ、これを(認められた)事実であるとする状況をつくり出すでしょう。統合の高まりが資源の分かち合いをもたらし、私がいま述べているような変化につながるでしょう。
 内的な変化は人々の自己の深い感覚をもたらすでしょう。私たちは、隠者や修行者か宗教者以外には考えられないようなやり方で、私たちが聖なる存在であることを知るでしょう。それは生活のあらゆる分野におけるすべての人に開かれた経験でしょう。私たちが「神」と呼ぶものは私たち自身の内部にあり、その神、神性を毎瞬ごとに経験するようになるでしょう。そしてそれは政治、経済、宗教、科学、芸術、文化のすべての分野で表現され、このようにして私たちは、いわば多くの異なった糸から編まれた経験のすべてから巨大なタペストリー(壁掛け等に使われる織物)を生み出すでしょう。そして私たちはこの新しい地上における生命の性質による、私たち自身の美しいパターンを創造するでしょう。
(最初の三つの質疑応答の出典:ベンジャミン・クレームとディック・ラーソンとのインタビュー「21世紀への入り口」より)

Q 今日多くの人々が苦しんでいるインフルエンザ(流感)や繰り返す風邪の流行の原因は何ですか。

A 2003年という年は、世界にとって、そしてとりわけ出来事に対して恐怖心をもって感情的に反応する敏感で不安な多くの人々にとって、特に困難な年でした。呼び起されたストレスの結果として、自然災害と共に、様々な種類の流行病──SARSの出現からインフルエンザなど繰り返す伝染病──が生じました。人々が皆同じ伝染病や、伝染のパターンや周期に従うわけではありませんが、そのすべての根底にある原因はストレスです。
 免疫システムを築く必要があります。とりわけ、言うは行うより易しですが、誰もがもっと無執着になり、世界の出来事に感情や恐怖心で反応せず、マイトレーヤの臨在とその力のリアリティ(実在)を確信しなければなりません。彼の手を用いなさい。
(シェア・インターナショナル誌2004年2月号)