奉仕―「再教育、再建設、そして変革」

親愛なる友よ、このようにして再びあなたがたと共に居ることをうれしく思う。

わたしの使命は計画通りに進んでいる。すべてが順調にいけば、あなたがたはもうすぐわたしの声を聞くであろう。それまでの間、次のことを言っておく──人類は道に迷い、神が用意なされた道から遠く離れてしまった。このことを悟り、祈り求め、そして光に向かって働く者が、今日世界に多く存在する。しかし盲目で災難に向かって突っ走る者は、さらに多い。わたしの計画は、この無鉄砲な突入を止め、情勢を一変させることである。

わたしの存在が、すでに人の思考に、人の心に、変化を起こさせており、人々はこれを不思議に思っている。わたしの努力は、表面には見えないが、すでに効果をあげている。人間は再び、真理に、神である法に、心を向け始めている。

わたしに「新しい時代」への道を示させてください。もし望むならば、あなたがたのものとなすことの出来る栄光の輪郭を示してあげよう。人間は神と人とに奉仕するために創られており、正しい奉仕を通してのみ、神への道を歩むことが出来るのである。再教育、再建設、そして変革の仕事を、あなたがた自身の任務としなさい。

人間一人ひとりが燈台であり、その灯を同胞のために遠くまで照らすのである。あなたのランプの灯を明るくともし、輝かせ、道を示しなさい。一人ひとり、すべてが必要である。この世界を救済し、復旧するためのこの偉大な計画に参加するのに、小さすぎる者も、若すぎる者もいない。これをなす決意をしなさい、そしてわたしの援助があることを確信しなさい。

如何にして始めるか。あなた自身を、あなたのすべてを、世のために、至るところにいるあなたの兄弟姉妹たちのために、捧げることから始めなさい。一日たりとも真の奉仕の行為をなさずに過ごすことのないようにしなさい。そしてわたしの援助があなたに与えられることを確信しなさい。奉仕の道こそ、真なる人としての唯一の道である、なぜなら、この道は神につながる道であるから。

わたしの民は、わたしの周りに集い、わたしの呼びかけに応え、彼らが想像し得ないほどの成果をあげている。一緒に新しいより良い世界を創ろうではないか。わたしの呼びかけがあるときに、あなたがたの心は開いて、用意ができているように。わたしの祝福をあなたがたすべてに授ける。

唯一にして最も聖なる神の光と愛と力とが、あなたがたの心(ハートとマインド)の裡に在るように。この光と愛と力とが、あなたがた自身であるところのもの、神の真なる子供達となるようにあなたがたを導くように。 

マイトレーヤのメッセージ 第13信、
ベンジャミン・クレーム 伝、1978年1月19日

奉仕への召集

 奉仕への召集がかけられるとき、真剣な弟子にとっては、提供されたその機会を両手で掴みとることが必要である。召集が二度繰り返されることはめったにない、なぜなら覚者たちは浪費する時間を持たないから。「多くの者が召集されるが、選り抜かれる者は少ない」という言葉があるが、それは「多くの者が召集されるが、応える者は少ない」と解釈されるべきである。

 大いなる奉仕において、さようである。選り抜かれた者のみが、大計画に仕える機会が授ける祝福を認識する。奉仕は神聖なる義務であり、弟子たちにとってこの地球上における逗留を何転生も短縮することを可能にする。多くの弟子たちがこのことを知っているのだが、最も軽い任務にさえ尻込みする。多くの者が、昔、自分がたてた誓いを忘れて、心の裡に感じる不安を無視する。覚者たちが悲しげに頭を振りながら、(召集を)待っている光(弟子たち)の中を再び捜し求めるのは、いわれがないわけではない。

 奉仕する者すべてが、自分が奉仕していることを自覚しているわけではない。魂の、覚者の呼びかけに対する彼らの反応は非常に本能的であり、彼らは躊躇することなく大胆に飛び込む。彼らは非常に非自己集中的であり、世界の必要のみが彼らの唯一の関心事である。彼らは息をするように奉仕する。しかし、時代の必要に関連した奉仕をする者は非常に少ないのである。内界にいる覚者たちは、いくらかでも大計画を知る者たちを、そして自分が優先すべきことについて健全な考え方を持つ者たちを、捜し求める。わたしたちは、強い熱意を持ち、愛と犠牲で燃え立つ心(ハート)を持つ者を捜す。そのような勇敢な者たちをわたしたちの直中に迎え入れて、喜んで奉仕の分野を提供する。そうして、わたしたちは脇へ寄って見守る。繰り返し繰り返し、彼らの当初の喜び勇んだ歩みは遅くなり、そしてためらいがちになるのである。彼らの明るい期待はあまりにもしばしば倦怠と疑いに変わり、高尚な志向は萎え、そして消滅する。

 これらの悲しい出来事の中に、信の欠乏が不気味に浮かび上がる。信なしには、永続するものは何も達成されない。ただこの特質を欠いたために、これまでに多くの有望な弟子たちが失敗した。時代を通じて、様々な教えが信の必要性を強調してきたのは、いわれがないわけではない。信は奉仕のまさにハート(中心)として考えられてきた。

 信とは、盲目的な受け入れや単に信じることを意味するのではない。それとは逆に、本当の信とは、直観が、魂の声が内的な認識を促すときにのみ生まれるのであり、あらゆる反論を乗り越えて、心(ハート)があなたに告げるのである──これは真実だ、と。その瞬間が訪れるとき、この新しく見いだした真実をしっかりと握りしめて、そして『そこに留まっていなさい』。

 妬みや疑いの声があなたを攻め立てるとき、落ち着いて自分の任務を固守しなさい。あなたの心(マインド)はあなた自身に属するものであり、何を考えるべきかをあなたに指示する権利を持つ者は誰もいないことを覚えておきなさい。
 賢明なリズムを培いなさい。それが奉仕の自然な拡大を可能にするだろう。時々思い出したように奉仕をすることを慎みなさい。なぜならそのようなやり方では、勢いはみな失われてしまう。あなたは大計画に奉仕するためにここに存在するのだということを覚えておきなさい。あなたは気づかないだけであって、それがあなたの魂の願いである。あなたが自分の魂との接触をつけていくにつれて、経験の客観化が起こりはじめる。魂は好みも欲望も持たない。その目的と一致調和するものとだけ交わる。その目的とは、進化の大計画に最大限に仕えることである。

 覚者たちの影響が学習と経験の分野を提供する時がやってくるだろう。それによって、いま門口に立っている者たちが光と知識の領域に入り、自分自身で本来の己の姿を知るだろう。多くの者が新しい時代の創造を待っている。それは現存の機構に深遠な影響を及ぼすだろう。奉仕し、そして成長しなさい。奉仕し、そして成長することがあなたの人生の基調となるべきである。

        
(ベンジャミン・クレームの師、
シェア・インターナショナル誌1991年9月号)

「あなたは確かに知っているから」

「プロアクティバ・オープンアームズ」は、海上での探索救難(SAR)に専念するスペインの非政府組織(NGO)である。このNGOはレスボス島に恒久的な基地を持つだけではなく、エーゲ海や地中海中央部で救助活動を行っている。サビナ・クレシが、本誌のためにプロアクティバ・オープンアームズのマール・サベ氏にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI):オープンアームズはどのようにして始まったのですか。
マール・サベ:オープンアームズは一枚の写真に応えて始まりました。それは、2015年9月にトルコの海岸で遺体で発見された3歳のアラン・クルディちゃんの写真です。当時、スペイン東岸のバダロナを拠点とする海難救助会社を経営していたオスカー・キャンプスは、その写真がメディアに出された日に11歳の娘と一緒にいました。娘はオスカーに対して、彼がライフガード(水難救助員)であるのに、なぜ海岸に亡くなった子供がいるのかと尋ねました。オスカーは自問しました。「何が起こっているのだろうか。自分はライフガードであるが、亡くなっていく子供がいても、自分は何もしていない」
 そして、彼と会社のもう一人のライフガードはギリシャのレスボス島に行きました。スペインや他のヨーロッパの人で、レスボス島で何が起こっているのかを知る人は誰もいませんでした。彼らに分かったことは、想像よりもはるかに酷いものでした。そこには、NGOや政府関係者など、人々を救う人は誰もいませんでした。このことがはっきりと分かったのは、2015年10月28日にギリシャで最悪の難破事故に直面した時でした。400人以上の人が乗った船がエーゲ海で転覆しました。オープンアームズのわずか4人のライフガードと何人かの地元の漁師がそこに行き、乗船していた人々を救助しました。漁師は網を使って海中から人々を救出しました。しかし、多くの人が溺死してしまいました。
 ギリシャ政府は次の日、死亡者はわずか5人であったと発表しました。オープンアームズのライフガードは、それが真実でないと知っていました。彼らは人生で初めて、誰を救うかを選ばなければならなかったのです。起こっていることを世界に知らせなければならないと悟りました。もちろん、海の中では誰もいなかったので、そうしなければ誰も知ることはなかったからです。そのためオープンアームズは、乗船しているジャーナリストにその任務についてすべてを語り始めたのです。コミュニケーションは活動の非常に重要な部分です。
 オープンアームズは、決してあってはならない存在です。その目標は常に変わらず、無くなることです。しかし、オープンアームズの船が外洋に出るときは、いつでも手遅れです。各国政府が関わりを持ち、移民する人々を守るべきだと思います。

S I:オープンアームズの活動中に、地中海の状況に変化はありましたか。
サベ:はい、状況は悪くなりました。2015年には、エーゲ海の状況は非常に困難でした。多くの人がギリシャの海岸に辿り着こうとしていました。オープンアームズは、毎日何千人もの人々を援助していました。そして2016年3月には、欧州連合はトルコとの間で、60億ユーロと引き換えにEUへの非正規な移民者の流入を制限する協定を締結しました。ギリシャの海岸に辿り着こうとする人の数は、すぐに1日に数千人から数十人に落ちました。オープンアームズは、必要な場合に備えて現地にチームを一つ残していましたが、必要がより大きな地域に活動を集中することを決定しました。
 地中海中央部の移民ルートは世界で最悪の移民ルートであり、当然の選択でした。わずか4カ月の内に、オープンアームズは1万5,000人以上の人々を救助しました。当時は複数のNGOから13の船が来ており、すべてがイタリアの湾岸警備隊と協力していました。これらすべてのNGOが一緒に、そして各国政府と協力してよく働きました。彼らは多くの人の命を救い、保護することができました。
 しかしながら現在では、このルートにはオープンアームズの船が一つあるだけです。なぜでしょうか。それは関係各国の政府が、基本的には政治的理由で他のNGOの活動を強制的に停止させたからです。オープンアームズは人々の命を救うだけではなく、何が起こっているのかを世界に伝えているので、政府はオープンアームズに出て行って欲しいのです。
 ヨーロッパは現在、何が起こっているのかを知りたいと思っていません。もしヨーロッパの人々が知れば、それについて何かをしなければなりません。そこはヨーロッパの海岸であり、それはヨーロッパの責任です。ヨーロッパに流入する移民を防止する条約に調印したヨーロッパの国々は、彼らが来ないようにすることにも取り組んでいます。そのため、オープンアームズは歓迎されていないのです。それは、オープンアームズがなぜ多くの困難に直面しているかという理由でもあり、その困難は年々大きくなっています。そして現在、新型コロナウイルスにより、すべてが悪化しています。移民者がコロナウイルスを持っているかもしれないという言い訳を各国政府が使用できるからです。オープンアームズは、それぞれの任務の前後で乗船するすべての人に検査を実施していますが、乗組員が次の任務を開始できるようになる前に、2週間の検疫期間を強制しています。これは、オープンアームズのすべての船に適用されます。(移民者は他の船で、または上陸後に検疫を受けます)

S I:オープンアームズが救う人々には、あらゆる年齢の人がいますか。
サベ:今はそうではありません。ギリシャでは[2015年には]様々な年齢の人がいましたが、現在では違います。オープンアームズが出会う移民者は何年も旅を続けてきた人々であって、拷問や迫害を受け、泥棒に合い、レイプされてきた人々だということを理解する必要があります。最後までやり抜く人々は最も強い人々であり、残念なことにすべての人がやり抜く訳ではありません。私たちは多くの子供を救助しており、それはもちろん悲惨なことです。オープンアームズの最後の任務では6カ月の赤ちゃんが救助されましたが、その男の赤ちゃんは2時間の心臓蘇生の末に結局は亡くなりました。残念なことに、妊娠した女性もたくさんいます。その多くはレイプされた結果です。それは狂気の沙汰であり、本当に辛いものです。

S I:オープンアームズは、より良い生活を求めて移民する人々の他に、戦争や紛争から逃れる人々にも遭遇しますか。
サベ:人がなぜ逃れるのかは、オープンアームズとは関係ありません。あなたがロンドンに行って英語を学ぶ権利があるのなら、なぜこのような人は、行きたい場所に行き、したいことをする権利を持たないのでしょうか。

S I:オリジン・プロジェクトは、現在オープンアームズの活動の大きな部分です。その目的は何ですか。
サベ: オープンアームズが始まったとき、救助した人々を最も近い安全な港に連れて行くことができませんでした。船にはその港に入港する準備がなかったため、何時間も離れた場所に行きました。後に(2017年)オープンアームズは船を取得し、それが可能になりました。その結果、オープンアームズの人員は、救助した人々と一緒に時間を過ごしました。多くの人は戦争中ではない国、どのような形でも紛争中ではない国から来ました。これは、戦争中であるシリア、イラク、イエメンから来てギリシャで救助された何千人もの人とは対照的でした。
 オープンアームズのボランティアは、セネガル、モーリタニア、コートジボワールから来た人々に、もし旅の行き先がリビアだろうと知っていたら国を出ていたかどうか質問することを始めました。リビアは完全な地獄です。そこでは人が奴隷として売られ、拷問され、レイプされます。このことはリビアにいたことのある多くの組織が示しており、ジャーナリストが非難しており、オープンアームズが救助するすべての移民者がこれを確認しています。オープンアームズのボランティアは、このような移民者に次のような質問をします。「もしこれらすべての問題と遭遇すると知っていたら、砂漠を横断しなければならないと知っていたら、あなたは家を出ていましたか」。彼らは知らなかったと答えました。もし知っていたら、絶対に国を出ることはなかった、絶対に旅を、少なくともこのような形で始めることはなかったと言いました。オープンアームズは、この情報を知らせる必要があると考えました。砂漠で起こることを誰も話しません──それは広く知られていません。しかし、多くの人が砂漠で亡くなっているのです。
 そのためにオープンアームズは、オリジン・プロジェクトを開始したのです。オリジン・プロジェクトは、移民問題に長年取り組んできた、移民者が出発した国の地元NGOとの協力関係をつくり出します。人々がこの旅に出れば遭遇することが予想されることについてうわさを広めるのに役立つよう、手段や戦略、方法論は共有されます。地元企業との協力で経済的な機会が生み出され、移民とは別の選択肢を提供します。通常の移民に関する情報も提供されます。しかし、オープンアームズは、人々に何をするのかを伝えるわけではありません。彼らは自由に判断を下さなければなりません。

S I: 欧州連合はドローンを購入して地中海で飛ばし、そこで何が起こっているかを観察しています。(1) あなたはEUが何をしようとしているのかをご存じですか。
サベ:2013年にランペドゥーザ島の近くで大規模な難破事故がありました。イタリア政府は乗船していた人々を救うことが可能であったのに救わなかった、とする報告書を国連は発表しました。移民分野で法的義務の遂行を怠ったとして国連がヨーロッパの国を直接に非難したのは初めてのことです。
 その難破事故の後、イタリア政府は海洋で遭遇した人々の命を守るための「マーレ・ノストラム」と呼ばれるプロジェクトを開始しました。1年後、EUはマーレ・ノストラムへの支援を停止し、(2)「フロンテクス」(3) が運営する新たなプロジェクトを開始しました。しかし、フロンテクスの目的は国境を守ることであり、人権を守ることではありません。そのためフロンテクスは、多くの労力とお金(船舶、ヘリコプター、航空機)を、他のどの場所でもなくヨーロッパの海岸に注ぎ込んだのです。
 もちろん、アフリカからヨーロッパに行くためには、長い距離の国際水域を横切る必要があります。これらの海域で発生する可能性のあるすべてのことは、自分たちの責任ではないから「知らない」という考え方でした。欧州連合はその加盟国が調印した条約をもはや支持しておらず、むしろヨーロッパ人の特権を保護しているとオープンアームズが認識したのは、その時でした。オープンアームズは現在、ヨーロッパには人権は存在しないと主張しています。その代わりに、ヨーロッパ人の権利、むしろ特権があります──それはアフリカの様々な地域から逃れてきた人々の特権や権利とは反するものです。
 オープンアームズは、このことを2014年に初めて知りました。このことは、フロンテクスが新たな業務を作り続けるにつれてさらに高まりました。フロンテクスが最後に人を救助したのは、オペレーション・ソフィアと協力していた時でした。オペレーション・ソフィアは船を使いました。海洋法では、どのような船に乗っていようとも、もし難破した船を見た場合には、乗船している人々を救助する義務があるとされています。それを見なかったふりはできません。そうすると、罪を犯していることになるからです。オペレーション・ソフィアは海で人々を救助しました。それでも、移民者が辿り着くには困難な地域であったので救助された人は少数であり、多くの人がすでに溺死していました。
 2020年3月、オペレーション・ソフィアは終了し、オペレーション・イリニが開始されました。このオペレーションでは、船を使わずに飛行機のみを使います。上空から移民者を見ることができますが、救助はしません。海上の船の上にいるわけではないので、救助する義務はないのです。(4)
 それは、地中海で何が起こっているかを調査する範囲を完全に変えることに向けて、さらに一歩踏み込むものです。フロンテクスが地中海での移民者の状況へのアプローチを変えていることを前提とすると、フロンテクスはおそらくこのような方法、ドローンを使用した活動を続けるでしょう。

S I: NGO「アラームフォン」(5) は、このように主張しています。「ヨーロッパの活動主体は、義務に縛られないように、海での存在感を無くそうとしていると私たちは考えています。彼らは存在感を示し続けていますが、それは空からの探索であり、そうすればリビアの海岸を出発する複数の移民船に気づき、その情報をリビアの沿岸警備隊に提供することができます」
サベ:オープンアームズは、アラームフォンと非常に密接に連携しています。オープンアームズは人々を救助できますが、何が起こっているのかをアラームフォンに伝えてもらう必要があります。
 2017年にイタリアとスペインは、リビアのいわゆる沿岸警備隊のトレーニングを開始しました。その当時はリビアに政府が存在しなかったので、それはリビアの本当の沿岸警備隊とは言えませんでした。イタリア、スペイン、ヨーロッパ全般が行っているのは、リビア内の他のグループと共謀している反政府軍に物資とトレーニングを与えることです。その結果、これらの国々はリビアの内戦に参加していることになり、最も苦しむのは常に移民者なのです。リビアの沿岸警備隊は、リビア政府と共にある現在でさえ、リビア沖の移民者の命を救うことができません。(6)

S I:オープンアームズは危機の解決策は何だと考えていますか。解決策はどこから生まれますか。それはどのように機能しますか。
サベ:多くの可能な解決策があります。もしヨーロッパの各当局が、壁を建設し国境を守るために現在使用している予算や資源を命を守るために投入すれば、全く新しい戦略となるでしょう。戦略の完全な変更が必要です──もしヨーロッパが本当に人権を気にかけるのならば、ですが。
 ヨーロッパでのポピュリズムとフェイクニュースの高まりは、極右政党がヨーロッパの政治分野で立場を得ることにつながっています。ヨーロッパ中で右翼への段階的な移行があり、それまで一度も右翼的でなかった政党でさえも、今ではこの種の話法を受け入れ、この動きに応答しています。現在では、白人の人権はありますが、黒人の人権はありません。人権が普遍的なものに違いないと認められれば、すべてが変化するでしょう。

S I:人権侵害の多くは、地元レベルでも国際レベルでも、少なくとも当初は法廷を通して解決されます。ヨーロッパの各国政府や欧州連合に対して起こされている海洋の移民分野での人権侵害に関わる裁判の事例はありますか。
サベ:オープンアームズは、2019年にイタリアの副首相、内務相であるマッテオ・サルヴィーニ氏を提訴しました。オープンアームズの船は、サルヴィーニ氏がつくった治安判決が理由で2019年8月にランペドゥーザ島のドックへの入船を許可されませんでした。(7)
 19日間、彼は私たちの船のドックへの入船許可を出すことを拒否しました。私たちは、誘拐、政治的虐待、文書詐欺で彼を告訴しました。この裁判は進行中です。(8)法廷を通して裁判を進めることは重要ですが、何が起こっているのかを説明することで人々の考え方を変えることも重要です。メディアはそれを行う力を持っています。
 オープンアームズの第一の目的は無くなることですが、その活動が必要とされる限り無くなることはできません。この仕事を確実に実行する政治家、人命を守ることに本当に集中する政治家が選ばれるまで、オープンアームズは必要とされ続けるでしょう。こうした変化を起こすために、社会は力を持つ必要があります。そのために、オープンアームズと一緒に活動を続けるすべての人が、自分が見てきたものを、戻った時に話すのです──子供の学校や職場で、そしてオープンアームズの活動について話すことを求められたらどこでも。そうすれば、地中海で何が起こっているのかを知らせることができます。

S I:オープンアームズは、多くの賞を受賞しました。市民社会がオープンアームズの活動を評価しているのは明らかです。課題は、これをアイディアに対する政治的支援、人命を尊重し救うプロジェクトに変えていくことです。国連はこれを支援するために、何らかの声明を発表したり、何か前向きなことをしたりしたでしょうか。
サベ:オープンアームズは国連に登録されており、欧州議会、欧州委員会、多くの国の政府から表彰されています。しかし、オープンアームズには、表彰は必要ありません──必要なのは彼らに仕事をしてもらうことだけです。オープンアームズは賞を受けるたびに、このことを公に主張しています。
 オープンアームズは、寄付者の支援のおかげで活動をすることができます。予算の90%以上が小規模な寄付で賄われており、それが推進力なのです。オープンアームズは完全に独立しており、どの国の政府にも依存していません。

S I:今現在、オープンアームズの最大の課題は何でしょうか。
サベ:いつもどおりに、海上と陸上で人権を守り続けることです。各国政府、メディア、フェイクニュース・キャンペーンがこれに反しており、オープンアームズのボランティア個人の命にも反しているので、これはとてつもない課題です。課題は単純に継続することです。

S I:他に何か付け加えることはありますか。
サベ:オープンアームズに声を与えていただき、ありがとうございます。一般のヨーロッパ人にとって最も重要なことは、これは私たちが招いたのだと認識することであると、私は思います。人はしばしば、自分には何ができるのだろうか、何が最も必要なのだろうかと自問します。まず初めに、それが起こっていることを認識することです。20年か30年後に誰かがあなたの家に来て「あなたのまさに目の前でこの虐殺が起こっていた時に、何をしていたのですか」と尋ねたときに、知りませんでしたとは言えません。あなたは確かに知っているからです。オープンアームズはあなたに伝えていて、このことのすべてを説明しようとしているのです。情報はここにあります。問題は、それがかなり隠されている場合があることです──それを隠そうとする意思が存在するからです。
 それについて知ることは、ヨーロッパ人として私たちの責任であり、また、それが起きていることへの責任が私たちにあります。なぜなら、私たちは皆変化の一部であるからです。

S I:つまり、私たちはそのような政治的な声を使う必要があるのですね。

サベ:はい!

参照文献
(1) 英国、ガーディアン紙
(2) イタリア政府はマーレ・ノストラムに、その活動中の12カ月間で月に900万ユーロを費やした。欧州連合はその年、外部国境基金から180万ユーロを供出した。(ウィキペディア)
(3) フロンテクスは欧州連合の国境安全保障機関である。
(4) 「2021年の地域の犠牲者数が1,000人に近づく中で、リビア沖で難民船が転覆し、57名が死亡した。国際移住機関は、死亡者数の増加を海域パトロールの減少と関連づけている」(英国、ガーディアン紙)
(5) 活動家プロジェクト「WatchTheMedアラームフォン」が2014年秋に開始され、海上で困難な状況にある移動者のためのホットラインとして機能している。(「ムーブメンツ──移民・国境体制に関する批判的研究ジャーナル」)
(6) 「今日は休日だ──地中海の移民者が置き去りにされ亡くなったことが盗聴により判明」
スクープ: 流出ファイルに含まれていたイタリア当局者とリビア沿岸警備隊との会話記録(英国、ガーディアン紙)
(7) 2019年8月5日にイタリア上院で可決されたいわゆるサルヴィーニ法は、地中海で救助されたアフリカの移民者をイタリアに連れて来ようとする人道的慈善行為に対する制裁を強化した。(テレスール・イングリッシュ)
(8) イタリアの前内務相、マッテオ・サルヴィーニ氏は、2019年8月にスペインの移民救助船を2週間以上も海上で足止めした罪で公判に付される命令を受けた。シシリアでの法廷審問では、ロレンツォ・イアネリ判事は2021年9月15日を公判期日と設定した。パレルモの検察は、サルヴィーニ氏を職務怠慢および、オープンアームズの船舶と147名の救助された乗客がイタリアのドックへ入船するのを19日間拒否したことによる誘拐の罪で告発した。入船拒否の間、船長が安全な最寄りの港を必死に求める中、絶望のあまり船外に身を投げる移民者たちもいた。最終的には裁判所の命令により、残りの89名の乗船者は2019年8月20日にランペドゥーザ島への上陸を許可された。
(euronews.com)

読者質問欄

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。そのいずれもこれまでシェア・インターナショナル誌に未掲載のものです。

Q 二酸化炭素回収貯留技術についてどう思われますか。つまり、二酸化炭素を捕捉して、長期間地下に貯蔵することに関して。

A このようなアイディアすべての主要な問題は、廃棄物を除去することの必要性です。原子力エネルギーを使用すること自体は、問題とは見なされません。核科学者が問題と見ているのは、原子力エネルギーを使用することで生じた廃棄物の処理です。それは鉄やコンクリートの缶に入れられ、海中に投棄さえされています。それは海洋生態系を大きく変えています。それらは現在でも十分に悪化していますが、宇宙の兄弟たちの仕事がなかったならば、比べものにならないほど悪くなっていたでしょう。
 気候が変動しつつあります。放射能廃棄物の貯蔵のせいで、あらゆる種類の魚の生命が影響を受けています。そうした廃棄物のすべては「小規模の放射能」と呼ばれます。しかし、それは規模とは関係ありません。廃棄物を海中に捨てると、それは最初から汚染されており、現在の装置ではある地点までしか放射能を検知することができません。それ以上測定する技術がないからです。したがって、影響がないと考えられています。しかし、それが最も危険なレベルの放射能であり、それについては全く知られていません。
 炭素の貯蔵も似たような問題を抱えています。それをどこかに貯蔵しなければなりません──どこか害が及ばないところに。どこに貯蔵すると害が及ばないというのでしょうか。私の家の裏庭ではないですね。他の人も皆、自分の裏庭ではないと言います。誰も自分の裏庭には、放射性廃棄物も炭素貯蔵廃棄物も置きたくありません。では、他にどこがいいのでしょうか。ロシア人は「中国はどうだろう」と言うかもしれません。中国人は「いいや、チベットだろう」と言います。そしてチベット人は「いやいや、アメリカだ」と言います。アメリカ人はこう言います。「いいえ、ここには置けません。とんでもないです。ベネズエラに置きましょう」と。それぞれの国が最も関係の良くない国を選んで、そこに貯蔵することを勧めます──それが問題になっています。それが安全である所はどこにもありません。缶に入った炭素を地中深く何千年も貯蔵しておいて害を及ぼさない所はあるでしょうか。それがもたらす害は知られておりません。それがいつ、例えば地震の際に地球の力によって壊れ、ふたが開き、再び放出されるのか分かりません。
 それはいつも間違った側から問題に対処するようなものです。私たちは原因を追究してその原因に対処するということをしません。何がこの問題を引き起こしているのか。何が放射能をもたらしているのか。何が地球温暖化を引き起こしているのか。もし地球温暖化の一因が森林破壊だとすれば、森林伐採をやめなければなりません。特に、二酸化炭素を大量に吸収し、その代わりに大気中に酸素を吐き出す、古代からの原生林を切るのをやめなければなりません。大気には酸素が少なくなり、二酸化炭素が行き場をなくして、地球温暖化が生じています。しかし、もし私たちが木材を浪費しなければ、地球温暖化の大きな原因を取り除くことになります。
 私たちは原因が好きではないため、原因を追究しません。原因は法則に、原因と結果に関係しており、私たちはそれが好きではありません。どういうわけか、現代の機械的なマインドは決して原因を追究しようとしません。そのテクノロジーを変えたいと思わないからです。私たちは木材なしではやっていけないと言うかもしれません。しかし、富裕国がすることは自国の広葉樹を保存して、自国が必要とするものをブラジルやアフリカ諸国のような貧しい国々から買うことです。そうして、これらの国々は古代林を伐採するのを強いられるか、あるいはその伐採を許可することを強いられます。その古代林は人間の生命にとって必要不可欠なものです。
 したがって、何かについてどうすべきかを知りたいならば、その原因を追究することです。原因を突き止めたならば、その原因を是正するよう努力することです。すべては単純なことです。私たちは、長さが23kmあり、建設するのに20年の歳月と何十億ドルもの費用がかかるサイクロトンを建設することができます。しかし、秘教を学んでいる人に聞けば、その人は答えを教えてくれるでしょう。ただで、すぐに、教えてくれるでしょう。
(シェア・インターナショナル誌2009年1・2月号)
ベンジャミン・クレーム講演会
2001年6月、アメリカ、ニューヨーク

Q 真我実現と霊的な意味での真我への気づきに話を戻すと、それを達成するのに役立つ祈りのようなものはありますか。

A すべての祈りはそれを達成するのに役に立つでしょう。「主の祈り」もそうです。しかし、マイトレーヤは「新しい時代のための祈り」と呼ばれる新しい祈りを授けられました。それはあなたを真我と同一認させます。
 「私は宇宙の創造主である」とは、あらゆる被造物の背後にあるという意味です。それはあなたであり、私であり、すべての人々です。誰もが宇宙の被造物であり、それゆえにあなたは真我の感覚を得るのです。あなたが真にそうであるところの遍在する存在としてではなく、あなたであるところの万物を通して動く霊的な本質としてです。
 マイトレーヤは、私たちは何ものかが自分の背後に、周囲に、上部にあるという感覚を持つときがあると言われます。それが真我です。それはあなたが独りであるときに起こります。ほとんどの人は独りであることを恐れます。孤独を感じます。しかし、彼はこう言われます。実際には、孤独の状態は素晴らしい状態であり、その中で真我を感じることができる、なぜなら私たちは様々な関心事のためにそれを自分自身から覆い隠しているからである、と。私たちは娯楽やラジオやテレビに殺到します。友人に会います。独りで静かに坐って真我としての自分を体験する以外のあらゆることをします。誰もがこれを必要とすると彼は言われます。自分の周りに他人に邪魔されない空間を必要とします。何かを頼まれたり強いられたりしない、魂が強力な方法で真我に気づくことのできる空間が必要なのです。この瞬間、目に見えない真我に入り込むのはあなた自身の認識です。ですから、「新しい時代の祈り」を唱え、無執着と、マインドの正直さと、スピリットの誠実さを実践するならば、いくつかの人生のうちに、真我認識が真我実現に至る状況を生み出すでしょう。
(ベンジャミン・クレーム講演会 2001年6月、アメリカ、ニューヨーク)

2021年8月号目次

 

覚者より
人類のための新しい時代
ベンジャミン・クレーム筆記

パレスチナ人に対するアパルトヘイトを終わらせる

重要な時代における弟子の責任——第三部
アンネ・マリエ・クヴェルネヴィック

ネットゼロエミッションに向けてのレース:
私たちに準備はできているか
グラハム・ピーブルズ

民衆の声
数千人がパレスチナと連帯して行進する
いかにして民衆の力はキーストーンXLパイプラインを阻止したのか
ヴァレリー・シュローレット

時代の徴
世界中の光の現象

なぜ「通常」に戻ることが最悪の事態を招くことになるのか
フェリシティ・エリオット

推獎図書
ジェレミー・レント著
『意味の網:宇宙での私たちの場所を見つけるために科学と伝統的な知恵を統合する』
フィリス・クレームによる推奨図書

2021年:世界で最も貧しい人々にとって重要な一年
ジョナサン・ファー

編集長への手紙 直接向かい合う 他

人類のための新しい時代

シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師である覚者はほとんど40年近くにわたって毎月、記事を提供してこられた。今世紀初めに書かれたこの記事は、今日の世界のために書かれたかのように読み取れる。

人類のための新しい時代

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 日がたつごとに、自由意志の誤用から起こる悲惨な出来事が人類に示されている。神聖な自由意志は人間の最大の宝であるが、それはロゴスの大計画に沿って使用されるときにのみ合法であり正しいのである。
 人間はその理解から程遠く離れてしまっており、したがって間違った思考と行動の旋風という報いを受ける。かくして大勢の人間が、豊かな世界の直中で、他の人々には当然の生得の権利だと思われているそれらの資力を欠くがゆえに、不必要に苦しむのである。
 人間はこのような分離をもはや長期間支持することはできない。「法」が維持可能な均衡を要求する。そしてそれが見いだせないときに、法は調整し、調和させようと働く。さらに、統合の新しいエネルギーがますますその表現を要求し、人類を日ごとにその目標に向けさせている。至るところで人々は高まる緊張に耐えるのが困難になり、その結果として起こる混乱の中で四苦八苦する。
 人間は彼らの心の深いところで、将来への道は変化を通らざるを得ないことを感知しているが、その道の輪郭をいまだ見ることができない。彼らの必要は知られ、そして満たされるのだということを示す徴を待っているのだが、その救いの臨在を告げる徴が至るところに 夥しく見られるのにそれを信用しない。彼らは望みながらも同時に恐れており、それゆえ切望しているその可能性を拒絶する。いつの時代にもそのようであった。
 他方、人類の一部は日ごとに彼らの飢えた貪欲な心(マインド)を驚嘆させるあぶく銭を楽しみながら、(現実に気づくことなく)満足して先へ先へと進む。彼らは自分たちの危うい成功以外に対しては盲目であり、世の中の緊張を感知せず、警告の鐘の鳴り響くのも聞こえない。投機という病気が彼らを奴隷にしており、古代ローマの行き過ぎた行為を思い起こさせる。
 これらの異なった矛盾する姿勢を見守るハイアラキーは、でき得る限りの方法で助けようとしている。人間の自由意志のみが直接介入を阻むのだが、「法」は法であり、それは決して侵してはならない。にもかかわらず、人類が決して目にすることのないところで多くの助けの手が差し伸べられている。
 マイトレーヤはそれらの状況を日々、検討しておられ、すでに予告された株式市場の崩壊の前に出現する方法を探しておられる。これを可能にするためのステップが今や取られつつある。であるから、マイトレーヤの公の使命が始まるまでの時はまさに短い。その初めの徴を見逃さないように見守り、そして目覚めていなさい。
 マイトレーヤは至るところにいる善意の男女を行動へと活気づけようとされるだろう。彼の召集をただ単に待っている者が大勢いる。かくして、大いなる討議が開始され、至るところにいる人間の基本的必要が検討され評価されるだろう。このようにして、人間は変化が保証することのできる可能性を知り、試みるだろう。そして必要とされる変容を始める勇気を見いだすだろう。そのようになるだろう。そのようにして偉大なる主は助言し、導き、人類のために新しい時代の幕開けをされるだろう。

(シェア・インターナショナル誌、2001年4月号)

なぜ「通常」に戻ることが最悪の事態を招くことになるのか

フェリシティ・エリオット

 1942年にジュワル・クール(DK)覚者は、二つの世界大戦の後で、各国が復興に向けて動き出したときに、人々が警戒すべきある種の危険性について警告し書かれています。それは今日にも当てはまることですが、「いわゆる『通常』の状態に戻ってしまうという大きな危険性である。今、人類が直面している際立った危険は、戦争が始まる以前の状態に戻ることであり、帝国主義(帝国であれ金融であれ)、苦境に立たされ搾取されている少数民族を抱えた民族主義、また富裕層と貧困層の間、東洋人と西洋人の間、あらゆる国に例外なく存在するカーストと階級の間の卑劣な差別と分離の障壁を持つ、古い馴染みのある世界への復活である」。

(『ハイアラキーの出現』)

 仮説として、第一次・第二次世界大戦の原因や状況とその影響、2020年・2021年の最近の状況、そして呼吸器系の病気の出現を、現在とアトランティス時代で比較して描いています。その忘れられた時代に、私たちはいくつかの貴重な教訓を学ぶ機会を与えられました。それは、「原因と結果の法則」、つまり、良くも悪くも変化をもたらす思考と感情の力という教訓です。

 最初の教訓は、その古代の時代に提示されましたが、私たちが学ぶことができなかったのは、人類の本質的な一体性(ワンネス)と社会的な相互依存の事実です。私たちが「一人に影響し得るものはすべての人に影響し得る」という単純な事実を知らないか、あるいは受け入れていないことを、メディアは日々裏づけています。一体性が私たちの基本的な実相である以上、この事実に反するものには、避けて通れない否定的な結果がつきまとうのです。

 それでも私たちは今、世界の歴史の中で重要な瞬間を迎えています。今の状況は、例えば10万年前や100年前と何が違うのかという疑問を生じさせます。何が今を極めて重要なものにし、世界を根本的に変えるような特別な機会を与えているのか。また、世界はこれまでに同じような状況に直面したことがあったのでしょうか。間違いなく、現在の状況の複雑さは尋常ではありません。私たちが直面しているのは、新型コロナウイルスという一つの災害だけではなく、緊急に同時に対処しなければならない複数の災害です。新型コロナウイルスによって亀裂が生じ、世界の主要なシステム(医療、経済、環境、政治、社会)が崩壊しつつあることが明らかになりました。このような状況は、ちょうど100年前に似たような状況があったことを除けば、ほとんど例のないことです。1918年、戦後の世界は疲弊し、心理的なショックを受けていましたが、突然、さらに致命的な敵、パンデミック(大流行)であるスペイン風邪と戦うことになりました。ワクチンのない、インフルエンザウイルスによる呼吸器疾患です。「世界人口の3分の1にあたる約5億人がこのウイルスに感染したと推定されています」死亡者数は全世界で少なくとも5,000万人、米国では約67万5,000人と推定されています。(cdc.gov)

 アトランティス文明の主要な出来事、20世紀の災害、そして現代を比較検討することができます。水がアトランティスを覆ったとき、知恵の覚者方が日常生活から撤退したことに読者は気づかれるかもしれません。そして10万年後の今、「光の勢力」である彼らが再び日常生活に戻ってきています。

 これらの時代に共通しているのは、致命的な呼吸器系疾患の蔓延、貪欲さと分離意識の高まりと優勢です。その分離主義が深刻な紛争や戦争を引き起こし、アトランティスの場合、文明の終焉をもたらしました。

 私はこの現代文明の終わりを指摘しているのではなく、私たちが「通常」だと思っている思考の錯覚、つまり外側に見えているものを抜本的に見直し、変革するかつてない最善の機会だと考えています。過去の経験から考えても、現在の幾つもの危機の重なりを通して、過ちから学び、「通常」を永遠に捨て去ることができるのではないでしょうか。早く通常に戻りたいと思っている人たちは、実際に「通常」を直視したことがあるのでしょうか。「通常」とは、社会的不公正、飢餓、貧困、戦争、汚職(腐敗)、無慈悲、生態系の破壊を継続させることです。それが私たちの望むことなのでしょうか?

はるか昔

 当時の覚者たちが警告したにもかかわらず、私たちは歴史を通じて繰り返し「度を超して」きました。古代の神話や伝説、聖典には、あまりにも遠い昔にさかのぼるため、気味の悪いおとぎ話として片付けられる出来事に満ちています。しかし、実際には、それらはアトランティス文明の滅亡に至った歴史的な出来事を描いています。世界を一変させるようなこの大異変は、貪欲のカルマ的な結果であり、また、導きを聞き入れようとしない、あるいは聞き入れられなかったことによるカルマ的な結果でした。

 様々な情報源、例えばDK覚者、ヘレナ・ブラヴァツキー、ベンジャミン・クレームは、アトランティス文明の時代に、肉体的な欲求に対する自然で単純な本能的反応がいかにしてゆがめられ、対象や所有物、物質的な満足を求める過度の欲求へと至ったかについて書いています。自然な肉体的本能が異なったレベル──思考の始まりと共に感情・アストラルのレベル── へ「溢れ出す」ようになったのです。貪欲と盗みがはびこるようになり、物質的なものを重視することで、「自分を豊かにし、他人にどんな犠牲を払わせてでも欲しいものを手に入れようとする人々」は、魔法や「不道徳」な行為をするようになりました。(アリス・A・ベイリー『秘教治療』)

 人類を人類自身から救うために、また、それ以上深い物質主義の奴隷とならないように、「光の勢力」である覚者方は、「物質性もしくは混沌の勢力」との戦いに突入しました。アトランティスは、人々の貪欲の重さで沈み、カルマの波に飲み込まれましたが、それは、強欲による直接的な当然の結果を非常に生々しく見せられる前のことでした。

 その時に明らかになるべきであったことは、分離主義と物質主義という原因とその結果の間には、直接的なつながりがあるということでした。「人々は、極度の贅沢と、非常に多くの物質的な所有物や財産を手に入れることに熱中した。彼らは欲望によって窒息させられ、決して死ぬことなく生き続けて望むものすべてのものをもっともっと手に入れたいという夢に悩まされていた」。(アリス・A・ベイリー『秘教治療』)   DK覚者は、当時蔓延していた状況をさらに次のように描写しています。「あるのは見境いのない無情で強欲な欲望だけであった」と。そのため、当時の覚者方は新たな法を定めました。「物質的な財産のためだけに生き、永続できないものを得るためにすべての美徳を犠牲にする者は、生きながら死に、呼吸によって自分が蝕まれていくことに気づくが、呼び出しが来るまで死について考えるのを拒絶するであろう」

 余談ですが、次のような奇妙な事実を指摘したいと思います。私たちは現在、アトランティス末期と第一次世界大戦直後と現代を結びつける、繰り返し起こる強力なテーマ── 息そのもの、すべてのいのちの基盤──に付きまとわれ、息をしようと必死にあがいています。2020年の初め以降、ウイルスが広まったため、世界は空気を求めて喘いでいます。ジョージ・フロイドは息ができず死亡したため、「息ができない」という怒りの叫びが新たな意味を持ちました。インドやブラジルなどの国では酸素が欠乏し、ぞっとするような結果を招きました。最近のパレスチナ人による抗議活動のプラカードには、「I can’t breathe since 1948!(1948年以降、息ができない!)」と書かれていました。この日付けはパレスチナとイスラエルにおける分離と不正義の始まりを示しており、世界は未だにこうした状況に束縛されています。

 当時も今も、心理的な状態が、肯定的にも否定的にも、身体的な影響をもたらすことが明らかになっています。また、人々が認識したもう一つのことは、人の思考、感情、行動、健康、死の間には、はっきりとした、辿っていくことのできるつながりがあるということです。こうした認識に至る前、アトランティス時代の人類はただ単に、すべてのものが死ぬことを理解していたので、死を自然な過程として受け入れていました。言葉での指示に反応できない当時の一般大衆に因果関係をどう伝えたらよいのか。DK覚者は、「特に略奪的で強欲な人間が、自分自身の中から生じるように思える悲惨な病気に苦しみ始めたのを見たとき……そのとき初めて、個人の行動と死との間のメンタル的な関係が認識され…… 一つの大きな前進が人間の意識に起こった」と説明しています。

(アリス・ベイリー『秘教治療』)

原因

 この記事では、内的で、霊的で、「秘教的」で、心理的な原因と、主流の医学が検証可能でより明白な外因と見なすものとを区別しています。歴史は繰り返し教訓を与えてきました。何か意味があるに違いない追跡可能なパターンがあるのだと。ベンジャミン・クレームと彼の師である覚者は、大きな緊張──安楽でない状態(dis-ease)つまり病気をつくり出す不均衡──の影響について、たくさんの情報を提供してくれました。

 主要な原因は、自己知識が乏しいことと、全体の一部としての自分自身を体験することができないことにあります。神性を共有しているという性質を自分の本性として未だに知らないので、疎外され、空虚で、分離しているように感じ、そのためいつも満足できず、ややもすると貪欲になってしまう。さらに、そうした落ち着きのない空虚さのせいで、手軽に満足できる簡単な解決法を取ってしまいがちです。また、そうした空虚さのせいで、私たちは簡単に、商業主義を通して現されるあの邪悪なエネルギーの餌食になってしまうのです。アトランティス人が感染した退化や物質主義の同じエネルギーは、光の勢力によってほんの少し打ち負かされましたが、追い払われたわけではありません。

 アトランティスの破壊にもかかわらず、利己主義へと向かう同じ傾向と、物質主義への過度の強調は生き続けています。それは、もう一つの時代、ローマ帝国の時代の終わりにかけて再び表面に現れました。ネロ皇帝の治世を際立たせた退廃は、アトランティスの邪悪さへの回帰であり、同じ破壊的なエネルギーへの扉を開けたと、DK覚者は記しています。

 不朽の知恵の教えでは、第一次と第二次世界大戦は、一方の「光の勢力」と他方の「混沌もしくは物質性の勢力」とによって戦われた一つの戦争でした。物質性の勢力の狙いは昔も今も、人類の進化を引き止め、人類が物質性に捕らえられ、競争や貪欲、紛争、商業主義という習慣によって事実上、牢獄に閉じ込められたままにしておくことです。物質性のエネルギーは、覚者方の助力を得て連合軍によって打ち負かされたように見えましたが、そうではありませんでした。歴史は繰り返します。つまり、光の勢力は優勢でしたが、完全ではありませんでした。「この戦争は、物質性の勢力の破壊ではなく、敗北に終わりました」(ベンジャミン・クレーム、シェア・インターナショナル誌、1994年12月号)

 大祈願の中では、「悪の棲処の扉」を封じられるように、「愛と光の大計画を成させ給え」と呼びかけています(第二次世界大戦直後、世界教師マイトレーヤが世界に与えられた。彼が1945年6月に世界への「帰還」を決意された際、初めて使われた)。

 注意すべきは、分離主義から生じる物質性や貪欲へと向かう傾向は、ただ一つの国や諸国のグループに限られるのではなく、地球上のすべての国に存在し表現されているということです。

 これまでに、アトランティスの大惨事があり、数え切れない戦争や危機的状況を経験し、加えて感染力の強い病気(この20~30年間においても、SARS〔重症急性呼吸器症候群〕、MERS〔中東呼吸器症候群〕、AIDS〔後天性免疫不全症候群〕、NIPAH〔ニパウイルス感染症〕、エボラ出血熱などが発生)の急速な蔓延に見舞われたにもかかわらず、多くの政府や国民はひたすら「通常」が前進の道だと主張し続けます。それは、さらなる混沌と物質性(物質主義にはまり込む)への隷属へと逆戻りする道であるのは明らかです。

 「他方、人類の一部は日ごとに彼らの飢えた貪欲な心(マインド)を驚嘆させるあぶく銭を楽しみながら、(現実に気づくことなく)満足しながら先へ先へと進む。彼らは、自分たちの危うい成功以外に対しては盲目であり、世の中の緊張を感知せず、警告の鐘が鳴り響くのも聞こえない。投機という病気が彼らを奴隷にしており、古代ローマの行き過ぎた行為を思い起こさせる。

 これらの異なった矛盾する姿勢を見守るハイアラキーは、でき得る限りの方法で助けようとしている。人間の自由意志のみが直接介入を阻むものだが、『法』は法であり、それは決して侵してはならない。にもかかわらず、人類が決して目にすることのないところで、多くの援助の手が差し伸べられている。」(覚者より、ベンジャミン・クレーム筆記、人類のための新しい時代、2001年4月号)

 「私たちが生きている奇妙な時代」──このようなよく耳にする言い回しが2020年を表すのによく使われました。2021年になっても、この言葉は日常の雑談の一部となっています。私たちはこの時代の状況と何の関係もないかのようにこれを口にします──まるで、私たちの苦境が自分たちと全く何の関係もないかのように。私たちの状況をいったい他の誰がつくっていると言うのでしょうか?

 一般に知られていないのは、私たちの惑星とそこに存在するすべての生命のための青写真が存在するという重大な事実です。この表明は、私たちの惑星が意識的な存在であり、どういうわけだか、この大意識が「責任を負って」おり、認識しているということです。自然界では、これは形態の進化を意味しますが、人類にとっては、私たちが知る知らないにかかわらず、意識の進化が目標です。マイトレーヤと覚者方はその大計画の管理者であり、すべての生命形態の意識を拡大することに、人類の場合には、リアリティ(実在)についての、つまり私たちがその不可欠な一部である「神聖なる存在」の本質についての認識を高めるよう刺激することに尽力しておられます。私たちが現在の危機における自分の役割に気づき始めた今、個人や共同体の意志を、でき得る限りその青写真に沿わせる方法を探し始めるのが賢明でしょう。あるいは、覚者方はそれを私たちに示されるかもしれません。

市場のフォース

 マイトレーヤは1989年に次のように警告されました。「軍隊を戦場に送り込み、空を爆撃機で埋めるエネルギーのスイッチが切られた。しかし、そのエネルギーは世界を彷徨っており、突然、新しい子宮を見つけた──市場のフォース(エネルギー)によってつくられた商業主義である。超大国の新しい信条は経済であり、それは商業主義の魂である。これが世界に深刻な新しい脅威を呈しており、人間の生命をも危うくし得る。商業主義の特質は貪欲であり、それはすべての国に影響を及ぼすだろう。戦場から巻き戻されたこの否定的(破壊的)エネルギーは、目も心(マインド)も持たないフォース(勢力)であり、非常に敵意に満ちた風潮を世界につくるだろう。政治家は商業主義が人類の未来だと信じるが、彼らはこのエネルギーをコントロールすることができない」(マイトレーヤ教え、いのちの法則)〔文中のゴシック体は著者による〕

 別の惑星から来た人は、現代をどのように描写するのでしょうか。鍵となる特徴は、自分の本質とのつながりを欠くことから生じる分離感に基づく利己主義であり、また私たちを物質性への依存症に陥らせる、貪欲や競争、自己満足です。私たちは社会正義に対して敏感にならないように教え込まれます。こうした病んだ状況に権力への渇望が加わり、その結果、今日の人類の大部分は商業主義と消費主義に隷従しています──これは物質性の勢力によって刺激され助長された、麻痺した存在状態です。2020年、2021年のパンデミックによって浮き彫りになったのは、経済システムの不公正です。超富裕層が極度の金持ちになる一方で、生計を立てる手段を失い、子供を養うのに苦闘する人々がいる──これは最も豊かな国々のことです。

 DK覚者による『人類の問題』は、1944年10月から1946年12月にかけて書かれ、戦時中と戦争直後の問題を扱っていますが、覚者が書かれた多くの文章と同様に、それ以降のいつの時代にも当てはまる内容です。「私たちの現在の文明は、極めて物質主義的なものとして歴史に残るだろう」。戦後に増大した物質主義は、歴史上他のどの時代よりも遥かに広くはびこっており、多くの世界の人々を巻き込んでいると説明しています。「私たちの生活水準は、所有の観点から見れば、あまりにも高すぎるが、霊的な価値観の観点から見れば、あまりにも低すぎる……。人類は利己主義が習慣になっており、物質的所有物への愛着を受け継いできている。これが私たちの現代文明を生み出してきたが、そのため、それは変革されているのである」(『人類の問題』)

原因とその影響

 原因は、基本的には私たち自身の間違った関係であり、その結果は外側に、物質世界へと現れます。この場合は特に、自然界に対する態度に関係しています。私たちは自分の内面の状態を環境に投影しています。その原因は、間違った考え方や狂った優先順位の結果です。例えば、私たちの経済的な信条は、いのちを維持するすべてのものを犠牲にしても、無限の成長を信じるよう促します。金融上の教義は、私たちの命と人類および惑星の未来を犠牲にして、短期的な解決策を信頼することを奨励します。そのため、手つかずのまま残っているものはほとんどありません。

 ウイルス学者は何年も前からパンデミックを予測し、各国政府に備えを促してきました。パンデミックが起こることを知らないことが、どうしてあり得たでしょうか。気候科学者、活動家、学校の子供たちは、地球の破壊を食い止めるために、二酸化炭素の排出量を削減する政策変更と行動を求めてきました。先住民や農村社会、森の住人たちは抗議し、自分たちの土地を守ろうとしてしばしば命を落としてきました(そして今も落とし続けています)。このリストは挙げればキリがありません。私たちは自然界を絶滅へと追いやり、自らを人獣共通感染症にさらされています。人獣共通感染症とは、野生動物では無害なウイルスが、人間に感染すると致命的なウイルスに変化する「スピルオーバー(漏出)」のメカニズムです。本誌の読者は、新型コロナウイルスの最初の兆候が現れる少し前の2019年12月に、シェア・インターナショナル誌がロニー・ツナミと名乗る男が11月に発した警告を記した手紙を掲載したことを覚えているかもしれません。彼は正義を強調し、相乗効果の重要性を語り、津波のような変動が次々と押し寄せてくることを警告していました。この人物は果たして、覚者のお一人の代弁者か、あるいはマイトレーヤご自身だったのでしょうか──高まりつつある健康とモラルの危機について警告するために。

 なぜ今、このような危機と機会があるのでしょうか。私たちはまたしても「度を超して」しまったからです。人間性への挑戦に適切に対応するための道徳的テストに合格できませんでした。飢餓、ホームレス、難民、拒絶され虐待される人々、環境破壊。そして今はパンデミックという挑戦です。パンデミックが鮮やかに示したのは、私たち全員が相互に依存し合っており、新しいあり方と新しい規範を必要としているということです。では、なぜ今なのか? 状況があまりにも悲惨で逼迫しているので、変化の機会をつかまなければならないからです。さもなければ、さらなる大きな災害に直面することになるでしょう。また、貪欲の物語が唯一の物語ではないからです。人類はその最良の瞬間には素晴らしいのです。愛情に溢れ、利他的で、善意に満ちていて、他者のために、より高い価値のために働き、自己犠牲を行うことができます。人々は変化に向けて準備ができており、社会的に公正な世界を切望しています。これこそが、光の勢力が今、現代世界にある理由の一つです。光の勢力を体現し、代表しているのは知恵の覚者方であり、光の勢力を率いているのはマイトレーヤです。光の勢力は、グローバル社会への彼らの出現を可能にする適切な状況を私たちがつくり出すのを待っておられるのです。

 幸いなことに、そして不幸なことでもありますが、私たちには自由意志があり、それが私たちの進化が見かけ上は氷河期のようにゆっくりとした速さで進んでいることを説明しています。この速度は、私たちの惰性的で怠惰な傾向と、平均的な進歩の段階によって、ある程度は説明することができます。それは、まさに、アトランティスでの戦争の終わりや、第一次および第二次世界大戦の終わりに完全には封じられなかった扉の背後にあるものから影響を受けやすい状態にあるからです。その邪悪なエネルギーは、商業至上主義や自己満足、恐怖、分裂、冷笑、混沌をその武器として獲得してきました。そのエネルギーの擁護者たちは、私たちを未来へと連れて行くことができる唯一の力は、民衆の集合的な力、つまり私たちの力であることを認識しています。

 民衆の力、より良い世界を求める一般大衆の要求は、物質性・混沌の勢力によって部分的に蝕まれ、一時的に歪曲されてきた、と私は思います。非常に広い範囲にわたって適用される民衆の力が世界の希望となることを、その勢力は知っています。教養ある大衆世論が解決策であり、変化への鍵です。それは、正しく情報を知り、科学的事実を備え、専門知識を活用し、また、地方行政や地域社会の活動、地域や国内や国際的な条約、請願やボイコット、ストライキなど、利用可能なあらゆる手段を用いるデモ行動が解決策であり、変化への鍵である、といったことを特徴とする世論です。しかしながら、事実への信頼は侵害されてきました。私たちの時代は狂気じみた概念を特徴としています。「フェイクニュース(虚偽報道)」が幅を利かせるところでは、現実そのものが却下され、真実はフェイクニュースとして拒絶され、非常識な概念が蔓延しています。このような大混乱の中で、陰謀論が花開きました。多くの人にとって、主流メディアは疑わしいということになります。抗議活動を組織するための素晴らしい道具となっているソーシャルメディアは、裏づけのない極端な意見で溢れかえっています。代表的なメディアは信頼性の高い報道を提供しますが、非商業的であるため、しばしば生き残りに四苦八苦していることが多いのです。世界は、明瞭な声を切望しています。

変革の担い手

 変化を起こす可能性のあるものは、何であり、誰なのか。パンデミックそのものです。それが、今私たちに人生の意味を再考させ、価値観を吟味して、新たな目標を設定するための時間を与えてくれたのです。自分たちとこの惑星を破壊せずにこれまでのやり方を続けることはできないという認識もついに生まれました。変化を求める人々の決意が高まり、一方、悪化する気候と極端な異常気象によるさらなる苦しみ、食糧生産への影響、さらなる飢餓、難民や行き場を失った流民、その結果としての紛争、崩壊する医療システム。内情に通じた人々は長いこと、金融・経済の崩壊を待っています。これらの要因のいずれか一つ、または複数の要因の組み合わせは、促進剤として作用し、永続的な変化をもたらし得ます。 

 「至るところにいる人々は変化を感じており、その呼びかけに彼らの声を添えている。また彼らは、行動することへの自分たちの力(パワー)を感じており、そして多くの者たちがそれを証明するために死ぬ。昔のようなやり方はほとんど終わっており、それらのフォース(エネルギー)は使い果たされたことを感じる。彼らは、他に、より良い生き方があることを感じており、明日を期待している。まさに古いやり方は廃れつつあり、人類種族を阻害している。車輪は回り、大ローマは再び崩壊しつつある。マイトレーヤの火は数え切れない何千万の人々の心(ハート)に灯され、彼らは反応し、正義と調和が支配する新しい世界を築くことを願っている。マイトレーヤの約束はこの新しい世界がやってくる途上にあるということである。」(覚者より、ベンジャミン・クレーム筆記、マイトレーヤの約束、2011年11月号)

 私たちの時代がきわめて重要で、10万年前と大きく異なるのは、覚者方が撤退してから初めて、ついに日常の世界に戻って来られたからです。それまでは、学ぶ機会を与えられても、その導きに応えることができなかったのです。そして、空想的なことを言えば、何十万年もの間ずっと鳴り響いているのをかろうじて聞くことができる、微かだがなじみのあるあの響きは何でしょうか。なじみがあるのは、それが依然として私たち次第だからです。悲しいかな、マイトレーヤと覚者方は未だに、彼らの出現を可能にするような条件を私たちがつくり出すのを待っておられます。彼らはまたしても、私たちが変わろうと決意するのを再び待たなければなりません。

 ベンジャミン・クレームの師である覚者は、マイトレーヤが当てにすることができるのは、およそ20億人であると語りました。2020年と2021年の苦しみや制限、機能停止によって生まれた機会を私たちは是非つかみ取らねばなりません。 

 「通常」とは、少なくともこの70年間における私たちのあり方の歪みです。自分を20億人の中の一人だと思っている人たちこそ、完全な真我となるために必要とされる新しい文明の建設において正義と完全な参加を要求していくために、社会のあらゆる部門の枠を越えて団結しなければなりません。相乗効果によって大勢が団結し、新たな通常が確立されることになるでしょう。その通常は、私たちの真の神聖なる本質を自由に表現するのに適したものでしょう。

編集長への手紙

シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されている。

直接向かい合う

編集長殿
 2021年5月27日、私たちは再び『あの変装したマイトレーヤ』と出会い、会話を交わしました。ベンジャミン・クレーム氏(BC)が最初にこの人物について語り、彼を『特別な訪問者』と呼んだのは、彼が実際に現れる数カ月前のことでした。彼は後になってBCと彼の師によって、特定の変装をしたマイトレーヤであると確認され、よくアムステルダムのインフォメーションセンターを訪れたり、その近辺での異なった状況下でグループの様々なメンバーと会ったりしています。彼が最後にグループのメンバーと話をしたのは、2020年の6月でした。その時に彼は、かなりの期間会うことはないだろうというように伝えてきました。
 今回の彼の最初の問いかけは、「グループはどう?」でした。それからインフォメーションセンターが開いているかどうか尋ねてきました(私たちはロックダウンのために昨年3月以来閉めていて、本の注文などに対応するためにだけ入っていました)。「その場合の瞑想についてはどうなのかな、皆さんはオンラインで瞑想している?」。彼がそれはいいねと言いました。「一般公開の講演はしている?」。いいえ、私たちは実際に会うことはできないので、次善の策として、ウェビナー(インターネットセミナー)をやっていましたと答えました。彼の反応は素早いもので、ウェビナーに興奮したりしませんでした。「人と人の、面と向かい合った個人的な接触に勝るものはない」。さらにそれが『彼の個人的な意見』であるけれども、今のところ必要であることが本当に分かったと言っていました。「今でも……直接に向かい合うことがより良いことだ」。インフォメーションセンターのことについて、彼は『青信号』になったらすぐに、私たちを訪問するつもりだと言いました。
 私たちは、どのくらいコロナウイルスは続くのか尋ねました。完全に消え去ることはないだろうと言われました。それは風土病になるだろうということでした。そして彼から思いも寄らず尋ねられたのは、「そのウイルスは予測されていたか?」ということでした。それがBCかBCの師によるものという意味だと、私たちは理解しました。「そうですね、いいえ、おそらくはっきりとはありませんでした。けれどもベンジャミン・クレーム氏や彼の師、そしてマイトレーヤによって私たちが繰り返し伝えられてきたのは、もし人類が変化しないなら、私たちがこの惑星と自然界に与えている影響に気づかないなら、当然避けられない帰結というものがあるだろうということです。つまり原因と結果なのです」。彼はうなずいて、「そう、原因と結果、結果と原因だ」と悪循環を示しているように言いました。私たちはこの手紙を書いていた時になってやっと、中国で新型コロナが最初に報告される直前の2019年11月に、『ロニー・ツナミ』による警告、あるいは予測がなされていたことを思い出したのです(本誌2019年12月号参照)。それから彼は、私たち(世界)がすべての国々、特に発展途上国に、どうやってワクチンを供給できるかという問題について語りました。「私たちは月へ行ける、火星にも行ける、必要な手段も持っていて、どうすれば良いか分かっている、できたはずだ。まだできるはずだ」と彼は言いました。
 「今は困難で、厳しい時代だ。あらゆる人々にとってつらい状況だ。しかし私たちは滅んだりしない、世界は生き延びるだろう。けれども何百万もの人々にとっては、非常に過酷だ。彼らは今苦しんでいて、これからも経済的失敗の結果や、収入を失うことなどで苦しむだろう」
 なぜ物事はうまくいかないのかと考えて、人々が時々心配したり腹を立てたりしても、それは自然なことだと彼は言いました。そして時に腹を立てることは許されている、大丈夫だと言いました。彼は上を指差して(彼は過去にもこの仕草をしていました)、神に腹を立てる人をいたずらっぽく真似して、「パパ! なぜそんなに時間がかかっているんだ?」と言っていました。「私たちはマインドだけを使うときに腹を立てるんだよ、……よりも」と言い、信や直観よりもという意味で言っているようでした。
 たくさんの雨の後で温かな気候になり、木々や灌木、植物すべてが、青々として茂っていました。私たちの『特別な訪問者』は、自然の中で楽しむこと、心から思い切り楽しむことを出し惜しみしたことはないと語っていました。「ごらん!」と彼が公園の中の周囲すべての美を指差して、「毎年そこにあるんだ。私たちは何もする必要がない、ただそこにあって、私たちに与えられているんだよ!」。
 「お互いにハグもできないなんて、何と残念なんだ、でも『霊的なハグ』をするよ」と彼が言って、私たちの会話は終わりになりました。さらに、インフォメーションセンターで再び会えるだろうと言ってくれました。「またすぐ会おう! それから会ってくれてありがとう」。彼はお辞儀をして、古い自転車に乗って去っていきました。

グループメンバー 一同
アムステルダム

イエス覚者に委ねる

編集長殿
 私の夫、ジョン・フィリップスは重病を患っており、できる限りの間、私が自宅で看護してきましたが、それがあまりにも難しくなったため、夫はホスピスに入ることになりました。
 そこでの最初の夜に、彼は混乱して取り乱してしまい、家に帰りたがっていました。幸いなことに、ボランティアの一人が彼のそばに付いていてくれました。ジョンがマイトレーヤの手のカードを枕に置いていたのに気づいて、そのボランティアの女性は驚きました。彼女はジョンに、どうしてマイトレーヤについて知ったのか尋ねてきました。
 そのボランティアは、エステル・ダウエス・デッケルだとわかりました。彼女は長年にわたってグループのメンバーである、アレクサンデル・ダウエス・デッケルの娘だったのです。ジョンはエステルの助けと気遣いにとても感謝していました。突如としてジョンは、「マイトレーヤが君(エステル)を私の所へ送られた」ということを完全に悟ったのです。彼はすぐに静けさと安心を感じていました。
 ジョンはあごひげの男性が彼の部屋にいるところも見ていました。彼は死に近づきながらも平穏であり、「ただもうイエス覚者におまかせするよ」と言いました。
 彼は2週間後、あまり痛みもなく、穏やかに亡くなりました。
 私たちにとってこのことは、覚者方が私たちと私たちの愛する人々を導くために、常に私たちと共にあることを思い出させてくれる、美しい実例なのです。

ナンシー・デ・グラーフ
アムステルダム

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全知遍在のハート

編集長殿
 私は幸運にも、自宅の庭や室内の植物の中に、ハート形の葉っぱをたびたび見つけています。それら全部が徴と考えられるかどうかわからないので、シェア・インターナショナル誌に送るのをためらいました。けれども葉のいくつかは困難な時期に現れたもので、ある場合には愛と励ましを与えられていると、本当に感じました。私は散歩が難しくなったので、私の小さな庭を歩くことを楽しみ、とても豊かな植物の世界の美しさに驚嘆しています。
 ここに数枚同封しているものは、偉大なる存在の全知遍在と愛の証明としてお送りしています。

ローズ・マリー・マルミヨン・カロネゴ
フランス

2021年7月号目次

   

覚者より
人類のための新しい時代
ベンジャミン・クレーム筆記

視点 アナンド・ギリダラダス氏は、コロナの蔓延により「われわれが 学んだことから、「われわれは今度は何をするのかという問題を 突き付けられている」と語る

今月号の内容概説

リチャード・D・ウルフ著 『病んでいるのは制度である』
セバスチャン・ヴィユモによる書評

形勢を変える気候ニュースが流れた日に大手石油企業が巨額の損失を被る:
オランダの判決と二つの株主の反乱は気候非常事態に対する 新たな希望となる。
マーク・ハーツガード

フクシマから10年
東日本大震災を考える――第一部
松本まり子

米国のUFO 報告書:開示か、隠蔽か?
ウィリアム・アレン

2021年:児童労働撤廃国際年

時代の微
世界中の光の現象

簡素さと持続可能性―選集
Simplicity and sustainability ― a compilation

人類の進化は1800万年以上前に始まった
アー ト・ユリアーンス

世界情勢
世界中でワクチンを分かち合おう

「さようなら、そしてまた会いましょう」

世界の難民人口が過去最高を記録する。
ジェイク・ジョンソン

編集長への手紙
予言者を期待する? 他

読者質問欄
回答 ベンジャミン・クレーム

人類のための新しい時代

シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師である覚者はほとんど40年近くにわたって毎月、記事を提供してこられた。今世紀初めに書かれたこの記事は、今日の世界のために書かれたかのように読み取れる。

人類のための新しい時代

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 日がたつごとに、自由意志の誤用から起こる悲惨な出来事が人類に示されている。神聖な自由意志は人間の最大の宝であるが、それはロゴスの大計画に沿って使用されるときにのみ合法であり正しいのである。
 人間はその理解から程遠く離れてしまっており、したがって間違った思考と行動の旋風という報いを受ける。かくして大勢の人間が、豊かな世界の直中で、他の人々には当然の生得の権利だと思われているそれらの資力を欠くがゆえに、不必要に苦しむのである。
 人間はこのような分離をもはや長期間支持することはできない。「法」が維持可能な均衡を要求する。そしてそれが見いだせないときに、法は調整し、調和させようと働く。さらに、統合の新しいエネルギーがますますその表現を要求し、人類を日ごとにその目標に向けさせている。至るところで人々は高まる緊張に耐えるのが困難になり、その結果として起こる混乱の中で四苦八苦する。
 人間は彼らの心の深いところで、将来への道は変化を通らざるを得ないことを感知しているが、その道の輪郭をいまだ見ることができない。彼らの必要は知られ、そして満たされるのだということを示す徴を待っているのだが、その救いの臨在を告げる徴が至るところに 夥しく見られるのにそれを信用しない。彼らは望みながらも同時に恐れており、それゆえ切望しているその可能性を拒絶する。いつの時代にもそのようであった。
 他方、人類の一部は日ごとに彼らの飢えた貪欲な心(マインド)を驚嘆させる あぶく銭を楽しみながら、(現実に気づくことなく)満足して先へ先へと進む。彼らは自分たちの危うい成功以外に対しては盲目であり、世の中の緊張を感知せず、警告の鐘の鳴り響くのも聞こえない。投機という病気が彼らを奴隷にしており、古代ローマの行き過ぎた行為を思い起こさせる。
 これらの異なった矛盾する姿勢を見守るハイアラキーは、でき得る限りの方法で助けようとしている。人間の自由意志のみが直接介入を阻むのだが、「法」は法であり、それは決して侵してはならない。にもかかわらず、人類が決して目にすることのないところで多くの助けの手が差し伸べられている。
 マイトレーヤはそれらの状況を日々、検討しておられ、すでに予告された株式市場の崩壊の前に出現する方法を探しておられる。これを可能にするためのステップが今や取られつつある。であるから、マイトレーヤの公の使命が始まるまでの時はまさに短い。その初めの徴を見逃さないように見守り、そして目覚めていなさい。
 マイトレーヤは至るところにいる善意の男女を行動へと活気づけようとされるだろう。彼の召集をただ単に待っている者が大勢いる。かくして、大いなる討議が開始され、至るところにいる人間の基本的必要が検討され評価されるだろう。このようにして、人間は変化が保証することのできる可能性を知り、試みるだろう。そして必要とされる変容を始める勇気を見いだすだろう。そのようになるだろう。そのようにして偉大なる主は助言し、導き、人類のために新しい時代の幕開けをされるだろう。
(シェア・インターナショナル誌、2001年4月号)

シェア・インターナショナル誌は、新しい時代の思考の二つの主な方向――政治的と霊的――を統合する。