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今月号の内容概説

 至るところの人々や私たちの貴重な惑星が遭遇した恐ろしい窮状を私たちは共に経験している。そのため、シェア・インターナショナルの協働者たちは世界の人々と共に悲しみ、そして悲嘆している。人類は、たとえ辛くとも、私たちが一つであり、相互依存の関係にあり、私たちと私たちの制度すべてが脆弱であることを学んでいる。私たちに共通の人間性とすべての生命に配慮する義務に基づいた非常に違った世界を創造する必要性が、私たちに明らかになりつつある。時代は困難であり、何百万もの人々が苦しんでいる。そして、私たちに共通の困難のために、今月号では、問題を検証し、人類が今直面している悲惨な状況に説明と癒しをもたらす希望と前向きなアイディアを提供する。
 世界が再び「いつも通りの状態」に戻ることができないことは今や明らかであるが、中央銀行、株式市場、巨大化した多国籍企業、既得権益を有する人々はこの現実を受け入れるだろうか。世界的な制度が崩壊の危機に瀕しているため、政府と「マネーの男たち」は、分裂、社会的不正、および現在の沈滞につながった構造を補強する方法をすでに計画している。今月号の本誌のページは、グローバルな変革を求める世界中からの叫びを反映している。例えば、全国民向けの最低所得保障(ユニバーサル・ベーシック・インカム)の要求の高まり(次ページの「最低所得保障を実現するのは今」を参照)であるが、ベンジャミン・クレームの師である覚者は明白な解決策を指し示している。「分かち合いの原則が、人間の必要に応え、多くの問題を解決する唯一のものである。なぜなら、それは神ご自身の計画にとって根本的なことであるから」
 「世界は正義を切望する。正義と愛の欠如こそが、今日、人間を取り巻く問題の真の原因である。これらの聖なる様相が、もし明日にでも施行されるならば、新たな楽しさが、あなたがたの生活を彩るであろう……。
単なる愛の欠如が、今日の人間の苦悩の根源である。これこそが、人の聖なる素質の顕現を妨げている」
 マイトレーヤのメッセージ第101信を読むと、問題と解決策はより明確になる。
 多くの人がこの危機を機会と見ている。今月号に掲載できればと思ってきた尊敬されている著名な方々の声は、根本的な変化を促している。著作家のジェレミー・レントの言葉を引用すると、私たちは「もっと大きく考える」べきである。「コロナウイルスの流行による長期的な影響について何かを考えたとしても、おそらく十分に大きく考えてはいないでしょう」。フランシスコ教皇は「希望の感染」について語った。「今やこれまで以上に、人々、地域社会、国民を中心に置いて、癒し、配慮し、分かち合うために団結しなければなりません。……私たちの文明──とても競争的で、とても個人主義的で、生産と消費の熱狂的なリズム、浪費的な贅沢品、極少数の人々のための不相応な利益を有する──を切り詰め、吟味し、そして生まれ変わらせることが必要です」
 今月の通信者たちは、新型コロナウイルスの危機がもたらす機会を強調し、暗闇の中で開花しつつある回復力と生来の優しさを見ている。
 今月の「選集」でベンジャミン・クレームの師である覚者は私たちすべてに要求しているが、その答えは次のように示されている。「世界は一つであるのに、いかで二つの世界が存在し得ようか。法はすべての人間に対して同じであるのに、いかで分割があり得ようか。やがて人間は、大勢の人々の苦しみは総体の病であることを理解し、そして正義のみがその治療法であることを理解するだろう」

50個のサンドイッチ―アメリカでホームレスの人間性を回復する

ジェイソン・フランシスによる
ジャスティン・ワイルダー・ドーリング氏へのインタビュー

「50個のサンドイッチ(Fifty Sandwiches)」は非営利のプロジェクトであり、ホームレスになってしまった人々と、ホームレスの横を通り過ぎておそらく無視することを選ぶか、ただ単にホームレスを理解しない人々との間に理解の架け橋をつくり出そうとしている。ジャスティン・ワイルダー・ドーリング氏は「50 個のサンドイッチ」の創設者である。彼はアメリカ中を巡り、ホームレスの人々にインタビューをしていた。その過程でドーリング氏は、ホームレスであるとはどういうことか、ホームレスとは誰かということに関して厳しい現実を見た。それは多くの場合、社会の先入観に反するものである。彼はまた『50個のサンドイッチ──ホームレスの人間性を回復する(Fifty Sandwiches: Humanize the Homeless)』という本を著した。ジェイソン・フランシスが、本誌のために彼にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI): あなたは何をきっかけとして、アメリカ中を巡り、ホームレスになってしまった人々にインタビューをするようになったのですか。
ジャスティン・ワイルダー・ドーリング: 私は15歳の時にある考えを持ちました。私はよく路上でホームレスの人々を見てきました。しかし、本能的な反応、特に私の家族の本能的反応は、ただ単に近寄らないというものでした。家族を守るために、威圧的に見える人には近寄りたくないと思うでしょう。誰もホームレスから始めようとするわけではなく、そこには物語があるはずだと私は思いました。ですから私は、大学卒業後にこのアイディアを行動に移すことに決めました。幸運にも「キックスターター」というクラウドファンディングのサービスを見つけ、プロジェクトを開始しました。私はバンを購入して105日間アメリカ中を巡り、物語や体験談を集めました。

固定観念を破る

SI:あなたの仕事は、ホームレスに関して「認識と現実の間の隔たりに架け橋をつくる」ことです。あなたは、そうした認識について少しお話をされました。現実とはどのように違うのですか。
ドーリング: 認識は相当異なり、それは実際、ホームレスは依存症や精神疾患や選択の結果であるという固定観念に基づいています。たとえそのような固定観念に多少の根拠があったとしても、私はそれ以上のものがあることを物語によって示したかったのです。もしホームレスを選んだり依存症になったりするとしたら、明らかにその人には精神疾患よりももっと多くのいろいろなことがあります。私は問題の背後にある複雑さを示したかっただけなのです。プロジェクトが進行する中で、私がインタビューした人々はそれぞれが違っていて多様であり、アメリカのホームレスの状況を少しでも理解することができました。

SI:人々がどのようにホームレスになったのか、家のない生活はどのようなものかについて、あなたが聞かれた物語をお話しいただけますか。
ドーリング:私は大学教授をしていたある男性と話をしました。彼はカビが見つかったために自宅から立ち退くことになりました。また、お母さんが亡くなり医療費が払えないというだけの理由でホームレスになった女性とも話をしました。多くの人が予期していなかったことに遭遇し、路上生活をしなくて済むような貯蓄や援助がないだけでホームレスになりました。私は長期プログラムに従う避難所でインタビューを行いました。路上生活をしていれば、脆弱な立場にあります。手元から離した荷物が盗まれたり、他人に付け込まれたりする恐怖の下に常に置かれます。本当に多くの人が私に物語を話したがることに驚きました。私はバンの中に住んでいて、綺麗だったとは言えません。そして、カメラを持ち運んでいました。人々がホームレスの体験と、ホームレスになった経緯について明かすことを望んでいることに驚きました。

SI:多くのホームレスの家族や子供がいましたか。
ドーリング:非常に多くのホームレスの家族がいました。私の本で紹介した家族は、その中の一部です。問題は、こうしたインタビューを集めることが非常に難しいことです。なぜなら、彼らのほとんどはすでに避難所に入っているか、ウォルマートの駐車場で自分の車の中で寝ているからです。物語を集めることに関して、問題の大きさを公平に評価することはできないと思いました。

SI:あなたがアメリカ中を巡ってインタビューをしていたときに、身の回りの必要をどのように満たしていたのですか。
ドーリング:私はプラネット・フィットネスというジムの会員であり、そこでシャワーを浴びることができましたが、衛生状態は急落しました。しかしながら、私はミニマリストのライフスタイルを楽しみました。しかし大抵の場合、ほとんど例外なくウォルマートの駐車場で寝ていました。米とソーセージを食べ、わずかな予算で生活しました。私がホームレスの真似をしたがっていると思う人もいました。バンに住んでいましたが、本当に素晴らしい援助の制度と行く場所がありました。決してホームレスの体験の真似をしたかったわけではありません。ホームレスについて学びたかっただけなのです。

SI:あなたは旅をする中で、幾つの州や都市や町に行きましたか。
ドーリング:1万4,000マイルを走り、34の州と、同じ数だけの都市に行きました。

SI:ホームレスの人にインタビューをする際に、どのようにアプローチするのですか。気配りや共感やプライバシーの尊重が必要に違いありません。
ドーリング:私は最初のうち神経質でしたが、人々にインタビューをし、心を開いてもらうことが少しずつ上手くなっていきました。堅苦しくならないように話しかけました。二人の見知らぬ人が議論しているようでした。もっと心地よく感じて、自分について打ち明けてもらえるように、私自身の個人的な苦難と、私がどのような逆境に遭遇したかを話すことが必要だと感じました。それは、会話をしながら体験を分かち合う二人の間の一時的なつながりのようでした。

SI:「50個のサンドイッチ」という名前はどこから来たのですか。
ドーリング:私の当初のアイディアは、国中を巡り、インタビューと引き換えにホームレスの人々に食事を提供するというものでした。アイディアは、二人の見知らぬ人同士がランチを囲んで話をするというものでした。もちろん実際の旅では、誰かが一時避難所にいて長期プログラムに従っている場合、インタビューのために外出できないことが分かりました。路上生活者の場合は、所有物を後に残してレストランのランチに出かけることはできません。私が誰かをランチに連れ出すことができたのが数回だけであることを考慮すれば、プロジェクト名自体がほとんど不適切なものになりました。

SI:今までに何人の人にインタビューしましたか。
ドーリング:およそ150人から200人です。

それはあなたにも起こるかもしれない

SI:あなたが会った人や聞いた物語の中で、何か特別に感銘を受けたものはありますか。
ドーリング:毎回のインタビューで、私の最後の質問はこうです。「ホームレスの体験がどのようなものかについて社会に対して何か言うことができるとしたら、何と言いますか」。 そのような答えの圧倒的多数は、次のような気持ちに行きつきます。私たちは皆同じであり、それはあなたにも起こるかもしれません、という気持ちです。それが、ホームレスを避けるために道を横切る人とホームレスの人自身を隔てる細い線を私が認識した時でした。大部分の人は予期しないことに遭遇してしまっただけであり、その場にいてどうしてよいか分からないのです。答えは、あなたが横を通り過ぎる人々には生涯にわたる経験、物語、苦難などがあることを結局は示しており、それはあなた自身のものと同じく複雑なものです。

SI:ホームレスの人々や家族と一緒に時間を過ごし彼らの人生の物語を聞くことは、あなたの人格やあなた自身のホームレスに対する見方をどのように変えましたか。
ドーリング:私が話したあらゆる人に関して、彼らと話をし、彼らの人生を掘り下げ、彼らをより深く理解するまでは、何を期待するかについて何も考えはありませんでした。まず私が学んだことは、一つひとつの物語がいかに多様であるかということです。ホームレス問題は、実際の問題というよりはむしろ、精神衛生事業や退役軍人、あるいは医療のいずれにせよ、失敗した社会構造の結果であると私は思いました。個人的な成長と発展の観点では、相手がホームレスであってもなくても、毎日路上で見かける人に対する新たな共感が得られました。それは私を個人的に大きく成長させてくれたと思います。特に見知らぬ人に話しかけ、体験を分かち合い、個人として成長し発展するために自分に可能なことを取り入れようとする姿勢においてです。

SI:精神疾患、物質使用障害、HIV/エイズなどの深刻な健康問題を抱える人々への支援サービスと居住支援を組み合わせた恒久的な支援住宅については、どのようにお考えでしょうか。それはホームレス問題への費用効率の高い成功した解決策だと一般には考えられています。
ドーリング:恒久的な住宅という選択肢は、ホームレスの人々が恒久的に自立できるように支援する活動を行う極めて重要なプログラムの有効性を高めます。簡単な食事や数ドルが問題を解決すると信じたいところですが、短期的な解決策は長期的な安定性をもたらしません。より没入型のプログラムは、援助を受ける人々から一貫性と専念を要求します。そのような姿勢があれば、このようなプログラムは包括的アプローチを提供します。それはホームレスに住宅を提供するだけではなく、先に進むために単なる安定した住宅の提供以上のものを必要とする人々への援助を提供することで、ホームレス問題の原因に対処するものです。

(詳しくは次を参照: fiftysandwiches.com)

正義と和合――選集

Justice and Unity ── a compilation

 世界は一つであるのに、いかで二つの世界が存在し得ようか。法はすべての人間に対して同じであるのに、いかで分割があり得ようか。やがて人間は、大勢の人々の苦しみは総体の病であることを理解し、そして正義のみがその治療法であることを理解するだろう。
(『覚者は語る 1』─正義は神聖なり─より)

 これまで愛してきたものすべてを、蓄積し獲得してきたものすべてを失うことを恐れて、わたしの到来を恐怖のうちに待つ者が多い。恐れるでない、我が友よ、失うものは単に分離や分割であり、恐れや妬みや憎しみである。これらを地上から捨て去るために、すべてが創り直されねばならない。これを悟りなさい、我が友よ、そして分かち合う覚悟をし、あなたの兄弟をあなた自身として見、彼と腕を組み、そして友と呼びなさい。このようにして、我が兄弟よ、あなたがたは神の計画を顕すのである。その計画の完成に向けてわたしは働き、あなたがたをわたしの側に招く。わたしと共に働きなさい、我が友よ、一緒にすべてのものを新しくしよう。
(『いのちの水を運ぶ者』第125信より)

 私たちは霊性についての概念を拡大しなければなりません。そして霊的基盤にたつ政治、経済機構をつくらなければなりません。つまりそれは分かち合いと公正です。これらが霊的な様相です。マイトレーヤは言われます。「分かち合いは聖なることである……あなたが分かち合うとき、あなたの兄弟の裡に神を認知する」。これは単なる良いアイディア(観念)ではなく、聖なるアイディアです。神性の特性です。公正ということは聖なることです。自由は聖なることです。マイトレーヤは分かち合いを通して公正と自由を築く方法を私たちに示すためにやって来られます。
(『マイトレーヤの使命 第2巻』)

 もし人類が平和を知ろうとするならば、人類を一つとして見なければならない。それ以外のものは何も、人類をあの幸いなる状態に導かない。正義が支配し、貧乏人がもはや慈悲を請うことがなくなるとき、平和は確立される。正義なくして和合を考えることは不可能であり、人間は永久にそれをつかみとることはできないだろう。であるから、正義の支配を確立し、この苦悩する世界に和合と平和をもたらしなさい。
(『覚者は語る 1』─和合の必要─より)

 世界的相互依存というリアリティ(現実)がわれわれの認識の中で確立された事実となるだろう。そうなる時「すべての人間は兄弟姉妹である」という事実が制度機構や実際的活動計画の中にますます取り入れられて、この実体を反映するものとなるだろう。諸国家も同胞愛、共通の目標、共通の抱負を体験することができ、そうなるだろう。
(『マイトレーヤの使命 第2巻』)

 ……和合へのこの願いが、グループに参加することが、グループの集合が、そして来るべき新しいアクエリアス(宝瓶宮)の時代におけるグループのこの真剣な努力こそが重要な仕事となるでしょう。重要な仕事で個人ベースで行われるものはないでしょう。グループ(集団)の時代です。その活動を世界全体が共に行い、地球という惑星の基本的和合を表現するようになるまで拡大していくでしょう。
(『協力の術(ルビ=すべ)』)

 次から次へと続く諸国家において、民衆の声はより焦点が絞られて明確になっている。何千万の人々が今や教育があり、彼らの必要──平和、仕事、将来への希望──について確信を持つ。ますます大きくなる和合への感覚もまた彼らの期待と要求を告げ始めている。彼らは自分たちが世界の中で孤立していないことを、至るところに同じ問題と必要を抱える多くの兄弟姉妹たちがいることを知っている。このようにして、マイトレーヤの臨在と教えに気づかなくても、彼らはマイトレーヤのエネルギーと影響に反応しつつあり、将来の枠組みを築きつつある。
(『覚者は語る 2』─和合へ向けた変化─より)

 神は多くの名前で知られている。わたしは神を愛と呼ぶ、また正義とも呼ぶ。愛と正義はどちらも我々の生活の礎である。わたしを探し求め、昔の兄を知りなさい。わたしのメッセージに耳を傾けなさい、我が友よ、そして共に喜びのうちにこの世を変えていこう。
(『いのちの水を運ぶ者』第38信より)

 政治、経済、社会、宗教、教育、文化のすべての制度と構造の根本的な変化を、我々は今まさに目撃しようとしている。これらの変化は、人類がその本質的な一体性を徐々に理解し、それを具現するために必要な手段を取るにつれて起こるだろう。
(『マイトレーヤの使命 第1巻』)

 アクエリアス(宝瓶宮)の本質的特質は統合である、地球上における今日の生活の中には滅多に見られない特質である。しかしながら、統合の特質がますます勢いをつけて、生活のすべての分野で今日の分裂と不調和に取って代わるだろう。人々は和合の意味を理解するようになり、自分たちが発見という航海を共に旅しているひとつの人間家族の兄弟姉妹であることを認知するだろう。
 人間がこの時を振り返って見るとき、それを「神の恩寵」への踏み石として見るだろう。今日の混沌とした騒乱はただの騒乱ではない。この混乱から新しい形態が生まれ、それが新しい文明を飾るだろう。新しいより良い形態が、至るところに住む人々のために寄与し、すべての者のハートを喜ばせるだろう。
 人間自身はそのような刺激の中を通っているので、未来について不安を感じるのも当然である。
 彼らはすでに進行している途方もない変化をほとんど見ることも理解することもなく、無為に過去にしがみつく。間もなく、この恐れと不安は、変容の仕事への決意と勇気に置き換えられるだろう。マイトレーヤと彼のグループの導きの下に、人間は新しいより良い生活、すべての人間が様々な形で夢見る人生の礎石を敷くだろう。
(『覚者は語る 2』─顕現しつつある人間の神性─より)

 平和と正義と同胞愛を呼びかける者すべてを、わたしは支える。兄弟たちを愛する者たちすべてを、わたしのもとに招く。彼らはあらゆる党派から、あらゆる国家から、わたしの周りに集い来るだろう。わたしは彼らの心を希望と愛で満たす、そして彼らはその数を増し、勢いを増して、世界を征服する。この過程は始まった。すでに人々の声は聞かれ始めている。ますます声を大にして、彼らは正義と平和を求める。
(『いのちの水を運ぶ者』第131信より)

 すべての人間が自分たちよりもより大きなものと自分を同一認しようとします。和合という感覚は非常に重要です。なぜなら、すべての人間が、知ろうが知るまいが、それを求めているからです。和合は宇宙の和合についての魂の認識です。それ以下ではありません。あなた方が自分の仕事の中に、グループの中に、国家の中に、諸国家の集合体の中に和合を創造するとき、人類のために益することになるのです。
(『協力の術(ルビ=すべ)』)

 ついに、これらの声は聞かれつつある。ついに、マイトレーヤの慈悲のエネルギーは、いまだ彼の臨在に気づいていない大勢の人間の心(ハート)の中に反応を見いだした。やっとのことで、富裕国の政府は正義と平和を求める国民の要請に応えつつある。彼らの将来は、国民の声に、ますます明確に強力に響いてくる国民の意志表明に、耳を傾けるかどうかにかかっていることを、彼らは感知する。
 諸国の政府に理解させよう、国民の声は智恵の声であることを。それはリアリズム(現実感)と真理への呼びかけであり、健全なより良い世界につながる唯一の行動への呼びかけである。
(『覚者は語る 2』─暗闇の中から─より)

 我が兄弟姉妹よ、わたしの仕事を援けて、正義こそが、わたしたちの生活における至上のものであることを、あなたの知っているすべての人々に知らせなさい。これが欠如するだけで、人を人から分離させ、人類そのものを脅かす。これを悟りなさい、我が友よ兄弟よ、そして光が勝利することを知りなさい。
(『いのちの水を運ぶ者』第126信より)

 私は、今、この政治的影響、すなわち政治的行動を通しての和合の獲得について話をしています。これは、最近発表された覚者の記事「和合」の後半部分に主に語られているものです。すなわち、世界に対する危険とすべての人間による気づきの必要性についてですが、特に教育を受けた人、権力行使の立場にある人、自らの意志を表明できる人が、国家間の垣根を越えたレベルでの和合の必要性を理解し、悟り、知らしめることの重要性です。それゆえ、すべての国が共に働く必要があります。それが起こらなければ何も変わらないでしょう。
(『多様性の中の和合』)

 あなた方がわたしたちを見るとき、人類種族の護衛のために共に働くときがやって来たことを知るだろう。もはや「市場主義のフォース」が人間の上昇への道に破壊をもたらしてはならない。もはや残酷な野心が国民の生活を左右するようであってはならない。大勢の人間が豊かな世界の直中で飢えることが、再びあってはならない。若者たちの未来が彼らの頭上で売られてはならない。自由と正義の未来が招く。それを受け入れなさい、受け入れなさい。
(『覚者は語る 1』─自由と正義の未来─より)

 もうすぐ多くの者がわたしを見るであろう。そして、わたしの容貌を見て驚くかもしれない、わたしが昔の伝道者ではないから。わたしはただ道を指し示す。いのちの本源にかえり、調和と美と正義へ辿りつくために歩まねばならない道を、示すためにやってきたのである。わたしの任務は単純である。あなたがたに道を示すことである。我が友よ、あなたがたは困難な仕事をなさねばならない、新しい世界を、新しい国を、新しい真理を築きあげる仕事を。しかし我らは共に勝利するであろう。
(『いのちの水を運ぶ者』第15信より)

 人間に選択を強いて、こう言うことはできません──「私に投票するなら、自由を与えよう。しかし正義のことは忘れなさい」とか、「私に投票するなら、正義を与えよう、だが自由については忘れることだ」。それはどちらも不可欠なものです。なぜなら両方とも人間の、したがって神の本性の一部だからです。それらは魂から来ます。魂がその人を通して顕現しているならば、その人はすべてのために自由と正義の両方を欲するでしょう。それらは本質的に同じものです。分離することはできません。なぜなら、霊(スピリット)は分離できないからです。神性は完全なもの(whole)であり、それの表現は完全であることを必要とします。それは和合(unity)についてであり、和合は正義と自由の融合からのみ生じます。
(『大いなる接近』)

 現在の混迷と分離の時は徐々に新しい時代に道を譲るだろう。たえず増大しつつあるアクエリアス(宝瓶宮)のフォース(エネルギー)がその魔法を演じて、分裂し、荒れ狂うそれぞれの部分を融合させ、一体にまとめていくだろう。かくして人類は、彼らの長い歴史の中でかつてなかったほどの大いなる、そしてより急速な途方もない変容をなすだろう。
(『覚者は語る 1』─アクエリアス、和合の贈与者─より)

 ……和合が独りでに起こることがないように──つまり栄養と世話と意識的な培いが必要なように──グループや国家を結び付ける絆も同様に、強められ、滋養を与えられ、培われなければなりません。そして世界に法の規制、自由と正義と分かち合いのルールを築かなければなりません。それのみが和合を可能にします。
(『協力の術(ルビ=すべ)』)

 忘れるでない、我が友よ、あなたがたは一つであることを。すべての者の御父が、あなたがたを聖なるイメージに似せて創られたのであることを。あなたがたを通して父の聖なる愛と真の光が輝いていることを。時は近づけり、我が友よ。真理の光があなたがたの周りすべてに輝き、人が兄弟を己の心に迎え入れ、己自身としてお互いを知るようになる時がやってくる。
(『いのちの水を運ぶ者』第51信より)

編集長への手紙

 本号に掲載された手紙は、最近起きた出会いについて述べられており、したがってベンジャミン・クレームの師によって確認されていない。手紙の書き手たち自身の直観的反応に加えて、そのような体験を熟知していることから生まれる確信が、こうした出会いは個人的に、また一般的にも重要で意義があると判断できる自信を与えるのである。
 個人に関連していると特定されるような手紙もあれば、すべての人々に希望や鼓舞をもたらすことでそれ自体が語るものもある。これらの手紙は読者の考慮のために提供されている。

マイトレーヤ以外に誰が

編集長殿
 2020年3月13日、私は親しい友人とその人の自宅で会話していました。私たちはこの時期の、コロナや株式市場、難民や生態系についての、多くの出来事について話をしていました。私たちは競争と利己性から協力と分かち合いへの、世界的規模の変化が今必要だとはっきりわかったのです。
 会話の中のある時に私が、「こうした全部の出来事を通して、マイトレーヤは活気づけて……」と言いかけました。私はちょうどマイトレーヤのとてつもないエネルギーや、統合の大聖と仏陀によってオーバーシャドウされていることを話そうとしていたのです。けれども『活気づけて』という言葉を言うのがせいぜいでした。即座に友人は息をはずませて、ほぼ同時に私もそれに続きました。数分間話せなくなってしまったのは、非常に強力なエネルギーのうねりを私たちが分かち合っていたからでしたが、マイトレーヤが応えてくださったことがわかり過ぎるほどで、他に誰がこのようなことをこれほど強力に行えるでしょうか。
 それはまるでマイトレーヤが私たちに、「その通り、私はこのことの直中にいる、そしてまさしく人類を正しい行動へと活気づけている」ことを明らかに示されたように感じました。それは全く思いがけない応答でした。彼の存在と助けがこの緊急の時にあるという徴によって、私たちは大変勇気づけられました。
匿名希望
オランダ

人類は目覚める

編集長殿
 2020年4月3日の金曜日の午後早く、室内ベランダでの午後の昼寝の最中に、突然物音(私の携帯へのショートメールのメッセージ受信の音)が聞こえました。
 私は起き上がり、目を開けました。居間とベランダの間にある窓に、ナイロビのマイトレーヤのような格好の人物のシルエットが見えて、彼の腕は「イエス・キリストの聖心」の彫刻か絵画にあるように伸ばされていました。
 それは長く続きませんでした。信じられないような思いだった他には、何も覚えていないのです。その人物はマイトレーヤだったと思います。
テレーズ・デリッサン
ベルギー、ナミュール州ジャンベス

助けはすぐに

編集長殿
 グループメンバーのティリーと私は度々、キリストの再臨についての広報用印刷物を通りで配っています。けれどもティリーは、次第に腰にひどい痛みを覚えるようになりました。彼女は医師の所へ行き、腰の手術が必要だと言われました。彼女はチラシ配りもほとんどできなくなりました。それで最初彼女は理学療法を受けて、その後再びチラシ配りに参加しました。療法は痛みを和らげましたが、ほんのしばらくの間だけだったので、私はマイトレーヤの『手』を使って助けをお願いするようアドバイスしました。けれども彼女はマイトレーヤを煩わせたくありませんでした。
 数日後、彼女から電話があって「結局マイトレーヤに助けをお願いしたら、奇跡が起こった」と言ってきました。「何でもできるわ。階段の上り下りも、お使いに行くことや歩くことも、自転車に乗ることも。広報のチラシを配るためにまた一緒に出かけられるわ」
 (マイトレーヤからの)助けを得て以来、彼女はどこにでも出かけています。しかも彼女はとても早いのです! 彼女はもはや理学療法士の所へ行く必要がありません。
ティリー・スリイケルマン、カタリーナ・ニイマン
オランダ、ベルゲン

集中してやり続けなさい

編集長殿
 2020年3月、私はメキシコシティで数日間過ごし、地元の瞑想グループの共働者と一緒に活動してから戻りました。私たちはメキシコシティのダウンタウンでブックフェアにブースを出しました。
 私が町に到着してから最初の夜には、夜遅くにフェアに立ち寄りました。私たち3人のメンバーが少し話をして、現在の出来事について、分かち合いのアイディアや解釈を話し合いました。見たところどこからともなく、アジア人の紳士が現れ、ブースに立ち寄りました。彼は見るからに場違いでした。そのイベントに外国人は多くありませんでしたし、まして彼のようにとてもエレガントな装いの人はいませんでした。彼は仕立ての良い緑色のスーツを着て、ピンを止めていましたが、それが旗のようであり、ベンジャミン・クレーム氏の絵画の一つにも似ていると思いました。彼は60代後半くらいの短い髪で、一人のメンバーがその髪を銀色と紫色と形容していました。「輝いているように見えた」と彼女は翌日語っていました。
 ざっと本を見た後、彼がマイトレーヤとは誰ですかと尋ねてきました。彼はスペイン語を話しにくそうにしていたので、英語の方が良いかどうか尋ねました。彼の訛りがひどかったので、話したことのすべてを完全に理解するのは困難でした。私が彼の質問にできる限り答えると、彼は私の答えを楽しんでいるようでしたが、それと同時に完全には満足していないように見えました。彼は続けて、どうしてわかるのかというような質問をしてきました。どうして確信できるのですか。まるで私にもっと深く掘り下げるよう後押ししているかのようでした。2、3質問した後、彼はアプローチを変えてきて、質問をするのではなく、教え始めました。
 彼は私のよく知らない仏教の伝統に属していたことがあり、マイトレーヤについて知っていると話していました。彼はマイトレーヤの名前を三つの異なったアクセントで発音し、サンスクリット語かあるいはパーリ語かと、私たちが想像するしかできない言葉で、マントラを唱えました。彼は私たちが三つの諸体、あるいは様相を持っていることについて語り、それは肉体と感情、そしてマインドで、マインドが他の二つの上位にあると言いました。彼はマインドには二つの選択肢があり、感情的であるか、理性的であるかで、理性的であることを探し出すようにと言いました。それから彼はベンジャミン・クレーム氏の著書の『伝導瞑想(21世紀のヨガ)』を指差しながら、瞑想について尋ねてきました。前の答えと同様に私の答えには完全に満足していないように見えたので、彼がもう一度会話の主導権を握ると、瞑想はマインドの完全なコントロールであり、完全な集中である(!)と言ったのです。マインドが気を散らさないようにすること、それは簡単ではないが、成し得ることなのです。
 私たちに話をしている間、彼は常にうれしそうな態度のままでした。彼はまるで楽しい時間を過ごしているかのようでした。また彼は鼻の先にメガネをかけていました。彼が私を見る時、彼は頭を下げてメガネの上から見上げるようにして、真っ直ぐ私の目を見ていました。他に彼が言ったことで覚えているのは、「でも覚えていてください、ヒンズー教の伝統では、肉体は幻想なのです」ということです。そして瞑想について話をした後、「忘れないで、アインシュタインが語ったように、すべては相対的なのです」と言いました。
 ここからは個人的なことですが、彼が私にどこから来たのか尋ねてきました。私がサンディエゴから来たと言うと、彼が私に(簡単に言うと)「ああそう、私はサンディエゴをよく知っています。ロサンゼルスとサンバーナーディーノには親戚がいます。新年は一緒に過ごしますよ。TJ(メキシコのティファナ)へ飛行機で飛んで、CBXブリッジ(越国境用の搭乗橋)を渡ります」と言いました。これは個人的に関係していることで、ちょうど1時間前に私がCBXブリッジを渡って、サンディエゴからティファナへ入り、メキシコシティへ飛んできたからなのです。
 彼は私たちに会話のお礼を言ってくれて、このような会話ができることは稀で、楽しかったと言っていました。私たちも彼に対して、言うまでもなく素晴らしい出会いだったことに感謝しました。
 彼が帰ってから、夜の間私たちはその出会いについて話をして過ごし、私たちに集中を維持して、その瞬間に存在し、受け取る結果を気にせずに、やり続けるように言われたようだったということで意見が一致しました。
 私の個人的な解釈は彼のタイミングに関係していますが、私たちが現在と未来の出来事について話していたので、彼が最初の夜に現れたのは、あたかもその後のイベントへの祝福のようだったのです。(彼の緑のスーツの選択については、数日後に大規模な女性のデモ行進が、メキシコシティやその他の地域の通りを埋め尽くし、多くの参加者が緑色のハンカチを連帯の印として身に付けていました)
A.M.
米国、サンディエゴ

読者質問欄

「世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。そのいずれもこれまでシェア・インターナショナル誌に未掲載のものです」

Q 大宣言の日の後、人類が変化すると、宗教は崩壊するのですか。

A 全く違います。その反対です。しかし宗教は新しくなり、若返り、純化されるでしょう。古いドグマや教義はすべて宗教から取り除かれるでしょう。新たな生命と活力を持ち、人々のために新しい純粋さと現実性を持つようになるでしょう。そして進化し続けるでしょう。
 しかし、様々な宗教の中から次第に人々は神への新しいアプローチに引き寄せられるでしょう。それは新しい宗教と呼ぶことはできません。なぜなら信仰に基づいていないからです。それは信条に基づくものではありません。それは進化の科学であり、進化の過程の底にあるその科学に十分な関心を持つ人々がそれによって、マイトレーヤを通して、私たちが神と呼ぶものは私たちを超えたところ、空中、宇宙、私たちの周りのすべてに存在するという理解に至るでしょう。実際に、神が存在しない場所はありません。それが、神が存在するすべてです。しかし、マイトレーヤを通して、多くの人々は様々な宗教から引き寄せられ集合し、神への新しいアプローチを見いだすでしょう。それは、神と私たち各々の中にある神は同じ一つのものであるという認識です。私たちに内在する神性と私たちが神と呼ぶ超越的なものの間には分離や違いはありません。ですからもしそれを宗教と呼ぶならば、それが来るべき時代の宗教でしょう。
 しかしまだ長い間は様々な宗教がその純化された状態で続くでしょう。例えば、イエス覚者は、至るところのキリスト教団体の長です。彼の仕事は、これらの団体から、今日までキリスト教の多くを支配している人間のつくった教義やドグマを取り除くことです。

Q 魂が転生するのは、受胎の時ですか、誕生の時ですか。

A 実際、どちらでもありません。魂は赤ん坊の肉体のために器を準備します。魂はそれをエーテル肉体の中に設置し、それが次第に固い物質体になります。およそ第4週に、魂は将来の赤ん坊が第4週から5週になる頃にその物質に生命を与えます。

Q マイトレーヤは神の唯一の子ですか。

A 決してそうではありません! 全宇宙にそのような存在はいません。神の唯一の息子や娘であるような人間は存在しません。すべての男女、すべての子供は聖なる存在──神の息子や娘です。マイトレーヤにお会いしたら、「あなたは神の唯一の子ですか」と尋ねてごらんなさい。またはパレスチナでマイトレーヤを代理したイエスに対して、聖書に書かれているように彼は神の唯一の子なのかどうかを尋ねてみなさい。彼は、そうではない、そのような人はいない、と言うでしょう。「どうして私がそうであり得るでしょうか?」と。
 それは、聖パウロとして知られている弟子パウロであった──聖パウロ※としても知られている──偉大なる存在によって最初に提示され、拡張され、知られるようになった空想です。聖パウロはキリスト──つまりイエスを通して働いたキリスト──の神性を強調しすぎました。実際、彼はキリストに会ったことはありませんでした。彼は初め、「大管区指導者」としてキリスト教徒を迫害していました。彼は第3段階のイニシエートだったので、その仕事をとてもよく行いました。ダマスカスに行くまでは。ダマスカスへの途上で、彼は落馬し、3日間盲目になり、それから視力が戻りました。
 彼は元々サウルと呼ばれていました。そしてダマスカスへの路上でパウロになりました。彼は偉大なイニシエートであり、途方もない力と勇気を持っていましたが、狂信的でもありました。その狂信性がキリストの実在性についての歪曲の理由であり、実際、キリストを人類から切り離しました。彼の教えは神を人類から切り離しました。誰も神ではなく、それでもすべては神です。独自の神の子というような存在はいません。
※「聖パウロは確かに鼓舞されましたが、マイトレーヤによってオーバーシャドウされたのではありません。彼は第3段階のイニシエートでした。(この出来事は、聖書の中で、ダマスカスへ行く途中での彼の『転向』と彼が3日間盲目であったという話の中で、劇的に記録されています)。ジュワル・クール覚者の聖パウロに対する批判は、パウロが古いユダヤ教の教えに順応させるために、新しい教えを部分的に歪めたことに関連しています(にもかかわらず、パウロのことを『あの偉大なるイニシエート』と呼ばれていますが)。彼はイエスの神聖さを強調しすぎ、排他的なものにしてしまいました。聖パウロのあの神秘主義が、今日に至るまでキリスト教の教会のアプローチを彩っています」
(ベンジャミン・クレーム著『マイトレーヤの使命 第1巻』)

Q 私が自分自身の個人瞑想の形式を持たないならばどうすべきですか。

A あなたが個人瞑想のやり方を持たないなら、一つ簡単なやり方があります。あなたの頭の上に、輝かしい黄金の球体が火のように光っているのを視覚化しなさい。「アスピレーション」と呼ばれるリトグラフは、この黄金の光の球を描いています。このように視覚化できます。それは黄金の火のようですが、球体の形をしています。大きなグレープフルーツくらいの大きさで火のような球として思い描き、そこからエネルギーが黄金の雨のように降るところを想像しなさい。あなたが座っているところに、黄金の雨が降り注ぎ、とても微細な雨が静かに柔らかくあなたの頭と肩と周囲全体にシャワーのように降ってくるところを思い描きなさい。あなたはそれを視覚化し、想念形態を築きます。時々それが消滅し、どこにあるか分からなくなるでしょうが、何の緊張も感情的障害もなしに、ただ静かにそれを築き、再び頭上にそれを視覚化し、頭と肩を取り巻くのを想像しなさい。それが消えたら、何の興奮もなしに、ただ静かにもう一度築くのです。

アスピレーション(志向)

ベンジャミン・クレームの絵画「アスピレーション」(1964年)の解説:
「白い光で包み込んでいるような、白い形態に囲まれたバラ色の形態の中に、燃えるような金色の玉がある。金色の玉は魂を表している。黄金の火の玉、金色の火は、瞑想中、瞑想者の頭上に、人間の魂として思い描くことができる。これは人間の魂についての認識、魂との一体化へ向かっての志向を象徴的に表している。
 志向と瞑想を通して、パーソナリティー(肉体人間)はアンタカラーナ、すなわち光の橋によって魂と連結される。この絵では、アンタカラーナはバラ色を取り囲む白色の輪で象徴されている」
(『現代のマンダラと不朽の知恵──ベンジャミン・クレームの秘教芸術』)

2020年4月号目次

覚者より
未来は招く
ベンジャミン・クレーム筆記

マイトレーヤからのメッセージ 第13信

今月号の内容概説

視点
社会的な距離を置く? 平和と社会正義のためには、距離を置くの ではなく、一つになることが必要である
ケビン・マーティン

非暴力の効率性——概要
人口の3.5 % が急進的な政治変革をもたらす
ドミニク・アブデルヌール

暴力を超越する

「通常」の死
グラハム・ピーブルズ

暴力を超越する

世界情勢
ホームレスの人々がペットを飼うのを助ける「路上の獣医」

ニュージーランドの水危機を解決する
グンダ・テンテとスティーブン・ロビンソンによるマイク・ジョイ博士へのインタビュー

時代の数
ユダヤ教最高指導者が救世主はここにいると語る

気候問題という試練:人類の倫理基準の足並みをそろえる
ワンジャ・アムリン

アレクサンドラ・ダヴィッド=ネール―――行動する意志 (第1部)
アレクサンドル・ギベール

習慣を変える―有り余る生活ではなく、充足ある生活へ
アレンカ・ズパンによるメトカ・マグダレーナ・ショーリ氏とデニス・ベレ氏へのインタビュー

編集長への手紙
まだここに 他

読者質問欄
回答 ベンジャミン・クレーム

未来は招く

 シェア・インターナショナル誌には創刊以来、ベンジャミン・クレームの師である覚者が毎月記事を提供してくださった。それは、書かれた時のみならず、世界の状況に応じて適切と思われるときにはいつでも掲載してよいようにである。覚者によって書かれた記事は常に時間を超越して関連性を保っている。
 この記事は1983年に書かれたものであるが、この惑星上のすべてのいのちの相互依存性と、集合体としてまた個人として人類がマイトレーヤと覚者方の助けの下で正しい未来を築くことができ、またそうするであろう特別の役割を示唆しているので、ここに掲載した。

未来は招く

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 わたしは折にふれて、分かち合いの精神を培う必要性について語ってきた──それによって世界資源のより平等な分配が可能となる。これは緊張の減少と計り知れない人間の苦難の減少につながるのである。それはまた、先進国の経済と生活に活力をもたらす。惑星の生命の血液は循環しなければならない。貧困な国々もまた、生きる権利と適度な生活水準を楽しむ権利を持つことを認識することによってのみ、富める国々の沈滞した経済は活気づくのである。分かち合いのみがこれをなす。
 世界はひとつであること、人類は有機体であり、その福利はそれぞれの部分すべての健康にかかっていること、危機と病の兆しを無視することはもはや可能でもなく賢明なことでもないこと、これらのことを人間に示す証拠は日ごとに増えている。現在、多くの者がこれに気づき、正義を呼びかけているが、目覚めた人類の叫びのみが、大国を現在の貪欲な姿勢から転じさせるに足るものであろう。
 人間は分かち合うか、あるいは死滅しなければならないことを、間もなく世界は確実に知るだろう。この真理をすべての人間にわからせるために、マイトレーヤは一刻も浪費されないだろう。世界はすべての者に、金持ちと貧乏人、力ある者と奪われた者、白人と有色人種、すべてに属することを、マイトレーヤは示されるだろう。今日、人類が直面する問題を解決するために一致協力した行動が必要なことを明確にし、その解決への道を指し示されるだろう。すべての人間に変化の必要を受け入れることを呼びかけ、至るところにいる人間の正義への願いを活気づけ、彼らの意志を集中させるだろう。このようにして、マイトレーヤは、より良い形態の確立を求めるすべての者を団結させ、それを通して人間の神性が表されるだろう。そしてその民衆の中から、これまで地上で聞かれたことのないような叫びが湧き上がるだろう──正義と真理、自由と平和を求める叫びである。
 そうすると、指導者たちは応えるだろう、そしてこの世界は勢いを増して変容していくだろう。そのようになるだろう。そのようにして、マイトレーヤは分かち合いと愛に基づく新しい文明の基礎を築くだろう。
 あなた方の生活に入りつつあるこの新しいリズムを感じることができないか。人間を行動へと活気づける新しい衝動を、誰が無視できようか。すべてがつくり直されるだろう。そして間もなく暗闇は照らし出す光に道を譲るだろう。
 時の要求に応えることのできる者はすべて働く場を見いだすだろう。これを「奉仕の法則」が保証する。奉仕することを願う者は誰も仕事や目的を欠くことを恐れる必要はない。経験豊かな手による指導が喜んで提供されることを信じなさい。わたしたちは、あなた方がこの世界を復興させるのを助け、あなた方の傍らで兄弟として働き、過去の残骸を取り除く。
 間もなく世界は、大きな変化が起こっていることに気づき、新しい時代が始まったことを知るだろう。誰も未来を恐れる必要はない。それは人間に神聖なる遺産を約束し、神の意志をすべての地に確立することを約束している。
 奉仕しなさい。そしてあなた方自身と人類同胞のために、あの未来を実現しなさい。
 奉仕しなさい。そして神の意志と調和して働くことを知りなさい。
 喜んでそして賢明に奉仕しなさい、そして自由と歓びの中に飛び込みなさい。

マイトレーヤからのメッセージ 第13信

1978年1月19日発

親愛なる友よ、このようにして再びあなたがたと共に居ることをうれしく思う。

わたしの使命は計画通りに進んでいる。
すべてが順調にいけば、あなたがたはもうすぐわたしの声を聞くであろう。
それまでの間、次のことを言っておく――
人類は道に迷い、神が用意なされた道から遠く離れてしまった。
このことを悟り、祈り求め、そして光に向かって働く者が、今日世界に多く存在する。
しかし盲目で災難に向かって突っ走る者は、さらに多い。
わたしの計画は、この無鉄砲な突入を止め、情勢を一変させることである。

わたしの存在が、すでに人の思考に、人の心に、変化を起こさせており、
人々はこれを不思議に思っている。
わたしの努力は、表面には見えないが、すでに効果をあげている。
人間は再び、真理に、神である法に、心を向け始めている。

わたしに「新しい時代」への道を示させてください。
もし望むならば、あなたがたのものとなすことの出来る栄光の輪郭を示してあげよう。
人間は神と人とに奉仕するために創られており、
正しい奉仕を通してのみ、神への道を歩むことが出来るのである。
再教育、再建設、そして変革の仕事を、あなたがた自身の任務としなさい。

人間一人ひとりが燈台であり、その灯を同胞のために遠くまで照らすのである。
あなたのランプの灯を明るくともし、輝かせ、道を示しなさい。
一人ひとり、すべてが必要である。
この世界を救済し、復旧するためのこの偉大な計画に参加するのに、
小さすぎる者も、若すぎる者もいない。
これをなす決意をしなさい、そしてわたしの援助があることを確信しなさい。

如何にして始めるか、
あなた自身を、あなたのすべてを、世のために、
あらゆるところにいるあなたの兄弟姉妹たちのために、捧げることから始めなさい。
1日たりとも真の奉仕の行為をなさずに過ごすことのないようにしなさい。
そしてわたしの援助があなたに与えられることを確信しなさい。
奉仕の道こそ、真なる人としての唯一の道である、
なぜなら、この道は神につながる道であるから。

わたしの民は、わたしの周りに集い、わたしの呼びかけに応え、
彼らが想像し得ないほどの成果をあげている。
一緒に新しいより良い世界を創ろうではないか。
わたしの呼びかけがあるときに、あなたがたの心は開いて、用意ができているように。

わたしの祝福をあなたがたすべてに授ける。

唯一にして最も聖なる神の光と愛と力とが、
あなたがたの心(ハートとマインド)の裡に在るように。
この光と愛と力とが、あなたがた自身であるところのもの、
神の真なる子供達となるようにあなたがたを導くように。

今月号の内容概説

 世界は二度と同じままでいることはない、ということを私たちは今や知っている。シェア・インターナショナル誌の読者はいつも、私たちが途方もない時代に生きていることを知っていたが、今はかつてないほど明白である。
 メディアが連日、全世界的な危機について報道しているので、ベンジャミン・クレームの師によるこの記事「未来は招く」が、なぜ4月号用に選ばれたのかは明らかであろう。「世界はひとつであること、人類は有機体であり、その福利はそれぞれの部分すべての健康にかかっていること、危機と病の兆しを無視することはもはや可能でもなく賢明なことでもないこと、これらのことを人間に示す証拠は日ごとに増えている。現在、多くの者がこれに気づき、正義を呼びかけているが、目覚めた人類の叫びのみが、大国を現在の貪欲な姿勢から転じさせるに足るであろう。……この真理をすべての人間にわからせるために、マイトレーヤは一刻も浪費されないだろう」
 こうした考えは、救世主(メシア)はここにおりご自身を明らかにしようとしていると語る超正統派ユダヤ教宗教指導者(ラビ)たちの発表と助言に反映されている(「ユダヤ教宗教指導者が救世主はここにいると語る」を参照)。彼らは人々に対して、祈るように、自分の宗教的行事に従うように、メシアの存在の徴に備え、気をつけるように促している。彼らの助言は、優先事項や価値観を吟味し、自分の立ち位置を知るようにという、すべての人への呼びかけである。
 今月号の本誌は実質的に、同じようなことを「時代の徴」の欄で表明している。一方、「気候問題という試練:人類の倫理基準の足並みをそろえる」のような記事や、真我を探して生きた生涯を明らかにしている魅力的な伝記は、課題と解決策を提示している。抜本的な変化を引き起こすには、平和的な抗議活動に取り組むたった3.5%の人口しか必要とされないことを知ることもまた、励みになるものであり、現在、国際社会の切迫した状況の中から根本的な変化をつくり上げる可能性を現実のものにする。
 新型コロナウイルスに対する世界の反応は、大抵の人々もしくは多くの人々が待望している新たな始まりになる可能性がある。私たちは「自分を隔離させる」ように促され、概して他の人々との接触を避けているが、今回のことは、ひとつであることを実感する共通の体験を受け入れる引き金となるかもしれない。それは簡素さや充足、分かち合い、普遍的な社会正義を受け入れるよう私たちを突き動かしていく可能性がある。
 「あなた方の生活に入りつつあるこの新しいリズムを感じることができないか。人間を行動へと活気づける新しい衝動を、誰が無視できようか。すべてがつくり直されるだろう。そして間もなく暗闇は照らし出す光に道を譲るだろう。……奉仕することを願う者は誰も仕事や目的を欠くことを恐れる必要はない。経験豊かな手による指導が喜んで提供されることを信じなさい。わたしたちは、あなた方がこの世界を復興させるのを助け、あなた方の傍らで兄弟として働き、過去の残骸を取り除く」(「未来は招く」)
 そして、マイトレーヤはメッセージ第13信で次のように言っておられる。「再教育、再建設、そして変革の仕事を、あなたがた自身の任務としなさい。人間一人ひとりが燈台であり、その灯を同胞のために遠くまで照らすのである。あなたのランプの灯を明るくともし、輝かし、道を示しなさい。一人ひとり、すべてが必要である。この世界を救済し、復旧するためのこの偉大な計画に参加するのに、小さすぎる者も、若すぎる者もいない」

ニュージーランドの水危機を解決する

グンダ・テンテとスティーブン・ロビンソンによる
マイク・ジョイ博士へのインタビュー

Mo tatou, a mo ka uri a muri ake nei
私たちと後に続く子供たちのために
(マオリ族のことわざ)

マイク・ジョイ博士は、ニュージーランドの尊敬されている水資源生態学者、環境科学者、教育者、活動家である。彼は、水資源の品質低下と生態系について、国内で積極的に発言している。ジョイ博士は、ヴィクトリア大学ウェリントンの統治および政策研究所で上級研究員を務めている。グンダ・テンテとスティーブン・ロビンソンが、本誌のために彼にインタビューを行った。

概要

 ニュージーランドは、数十年にわたり進展してきた水資源の危機に直面している。農業、園芸、森林管理、都市開発、他の人間の活動における土地と水の使用方法の変化の結果として、そして断固たる規制と執行の欠如のため、この国の水資源は憂慮すべき水準にまで悪化した。
 多くの河川が水泳には安全ではなく、74%の淡水魚が絶滅の危機に瀕しており、90%の湿地が農業や開発が原因で枯渇した。ニュージーランドの乳牛数は、過去20年の間に全国で69%(6,500万頭に)増加し、ある地域では最大で500%にまで増加した。気候変動や干ばつの増加により、河川の流量が減少し、汚染が激しくなり、状況は悪化している。
 近年の科学調査のデータ、証拠、報告書にも関わらず、最近ようやく、行動への呼びかけが必要な変化につながるだろうと考えられている。ニュージーランド政府は現在、水資源の現行の管理方法を改善する手段を検討している。2019年9月、政府はデイビッド・パーカー環境大臣とダミアン・オコナー農業大臣が発表した行動計画、「健康な河川のための行動(Action for healthy waterways)」に着手した。この行動計画は「我が国の河川や湖の悪化を止め、5年以内に目に見える改善を達成し、一世代以内に我が国の河川を修復することを目指している」。ジョイ博士は、この計画に関して政府と密接に協力している淡水科学技術諮問グループに任命されたメンバーである。

シェア・インターナショナル(以下SI):あなたはどうして生態学者や環境学者になろうとされたのかを、お話しいただけますか。
マイク・ジョイ: 私は、33歳のときに大学に入学しました。以前は、タクシー運転手、トラック運転手、酪農家をしていました。私は太平洋を渡り、オーストラリアの大牧場で仕事をしました。水資源や環境科学や生態学の勉強を始めたとき(本当に印象的な講座が幾つかありました)、状況がいかに悪いかということを、地球に何が起こっているのかを理解し始めました。水資源に関して修士論文の準備と大学院の研究をしていたとき、その数年で状況は急速に後退しました。このような(灌漑と化学肥料の増加による単位面積当たりの放牧動物数の上昇などの)農業の大幅な大規模化と、都市化の進展による河川への大きな影響が分りました。私が環境保護主義者となったのは、怒りが主な理由でした。

SI:あなたのお考えでは、ニュージーランドの水資源危機の解決に必要な最も重大な変化は何でしょうか。
ジョイ: 私たちは、農業の規模を抑える必要があります。私たちは工業化された農業に完全に入り込んでしまい、それは環境、特に水資源にとって有害です。私たちが及ぼした危害を覆すために、牧場の動物数を大幅に減らし、小規模農場では森林管理と農業を混合するように多様化することで、大きく前進することができます。それは農業システムを完全に変えることであり、持続型で再生的な農業※の線に沿ったものにし、その結果、すべての産業的な化石燃料と化石燃料ベースの化学合成肥料を私たちの食物システムから追い出すのです。これを素早く行う必要があります。

SI:主な汚染源は何でしょうか。
ジョイ:本当に大きな汚染源は栄養素(大部分が硝酸塩)と堆積物であり、間違った場所での悪い土地管理、農業、森林管理によるものです。土地の土壌を維持することは非常に大切であり、土壌を管理し、土壌の健康を取り戻すこと、土壌の踏みしめを止めるために動物の侵入を防ぐことなどです。元々、ほとんどの窒素は人工的な肥料が由来です。現在、私たちは基本的に化石燃料から牛乳をつくっているのです。

SI:有害物質について、さらに説明していただけますか。
ジョイ: 私たちは牧草を育てるために牧場に窒素をまき、牛は牧草を食べ、ほとんどの窒素は尿で外に出ます。(南島の)カンタベリー地方は良い例です。軽い浸透性の土壌によって、大部分が窒素である尿は地下水に入ります。地下水は河川とつながっているため、窒素と尿は地下水に入ります。カンタベリー地方のほとんどの人が地下水を飲みます。硝酸塩の水準は、カンタベリー地方の農村部に住む、ほとんどではないとしても多くの人の大腸癌リスクが高まる水準にまで、今では上昇しています。研究により、硝酸塩と癌は連動していることが証明されています。ニュージーランドは世界で大腸癌の発生率が最も高く、ニュージーランドで発生率が最も高いのはカンタベリー地方です。
 もう一つの問題は、抗生物質耐性菌に関係しています。なぜなら、今では本当に多くの抗生物質が畜産農業で使われているからです。集約農業地域に近い河川の多くで、抗生物質に耐性を持つ菌株が発見されています。そのような菌株は人間の健康に対して副作用を持っています。
 生態系の健康を考慮すると、こうした硝酸塩は、それらが草や牧草を育てるのと同様に、流れや湖や河口や海洋で藻類を育てます。その影響は藻類が成長し過ぎることであり、それは酸素濃度の変動のきっかけとなります。それは、窒素による有毒な致死的な影響ではなく、生物が呼吸する酸素がないために二次的な致死的影響につながる可能性があります。堆積物による生息地への直接の影響など、環境への影響が始まるのはその時点からです。菌類は、ほとんどの生命が生息するすべての石や岩を埋めているのです。このような石や岩の割れ目の空間は大切な生息地なので、もし細粒堆積物がそのような空間を埋めると生息地が失われます。ですから、人間の健康と生態系の健康の両方の問題があるのです。どちらか一方ではありません。

政府と企業に変化を起こさせる

SI:環境変化について責任ある行動をするように、政府や企業をどのようにしたら動かすことができるのでしょうか。
ジョイ: 政府は単に票を集める可能性を最大化するだけであり、企業は、私たちが止めるまで利益を最大化するでしょう。現在の例ですが、政府がよく引用する統計は、ニュージーランド人の80%が水資源を最大の環境問題だと考えているというもので、政府は水資源の保護の大幅な変更を提案しています。そのようにして政府は変化を起こしますが、そのようにしてのみ、私たちは政府に変化を起こさせることができます。
 企業についても同様です。現在のところ、環境を破壊する企業に助成金が出されています。例えば酪農業では、観光シンボルであるタウポ湖とロトルア湖の二つの湖で、これらの湖を保護するために、湖の近くの農場を耕作しないように農場主に農場一カ所当たり何百万ドルも支払われています。しかし、彼らは環境に及ぼす損害に対して支払いを受けているのではありません。それは、現在と未来の世代に託されています。今では私たちは水を汚染してしまい、何百何千もの人々のために別の水の供給源を探さなければなりません。

SI:地元自治体、地方自治体、政府などが方向を変えるように説得する上で、あなたはどのような活動に関わりましたか。
ジョイ:第一に、すべてのことをできる限り公にすることです。新聞やソーシャル・メディアに科学的な記事や意見を出したり、一般の人を動かすために可能なあらゆる手段を取ります。私はまた、水の品質と河川の汚染に対する同意申請に関する多くの計画変更の鑑定人も務めていました。私は現在、このような変更提案に関わる環境省の作業グループにおり、変更の実現方法に関して、委員会と中央政府のために100近くの技術レポートを作成しました。

SI:政府の環境政策を改善させることに関して、何か達成の事例はありましたか。
ジョイ:私たちは達成を望んでいます。それは、ニュージーランドのデイビッド・パーカー環境相による、この国の水資源を浄化するために彼が何か行うという約束に関してです。彼は、私がメンバーであったこれらすべての作業グループを設置しました。今では私たちは彼にアドバイスを与え、承認の課程を経て、2020年の初めに彼が新しい政策(淡水管理のための国家政策綱領)を打ち出すことを期待しています。

SI:人々の力はどのような役割を持ち、このような環境政策の改善を達成する上で、どのような役割を演じているのでしょうか。
ジョイ:人々の力は、すべてが、浄水活動家のマーニー・プリケット氏のような人々からの支援活動であり、水資源問題を強調するChoose Clean Water(学生主導の強力な水源政策のための運動)やForest & Birdのような非政府組織です。人々は投票によって、水資源への関心を明確に表明しました。私は何百回も講演を行い、パネル・イベント、テレビやラジオの番組、ポッドキャストを主催し、一般からの理解を深め、政府への一般の圧力を高めようとしました。

SI:地球規模の気候変動の大局的な視点で見ますと、最近の報告書には「第二次世界大戦の緊急動員のスケールでの地球規模の反応が必要である」と書かれています。この点について、あなたはどのような意見をお持ちですか。
ジョイ:真剣に改善するためには、私たちが引き起こした破壊的な出来事を終わらせたときと規模や決意が似ており、問題の修復に集中する必要があることに、私は同意します。現在の経済制度では、国内総生産(GDP)のあらゆる金銭が化石燃料のエネルギーと連結しており、そしてもちろん、排出量、化石燃料の消費量とGDPは互いに絡み合っています。それは単に、生き残る希望を持つためには、私たちにとって変化がいかに徹底的である必要があるかを示しているにすぎないのです。1992年に発表された「人類への警告」という文書には、最低でも3万人の科学者が署名しました。気候変動は、成長の制限の単なる一つの兆候にすぎません。若い人々が現在行動を起こしているのは嬉しいことですが、私たちすべて、地球上のすべての人が変わる必要があります。母なる地球は、私たちに知らせてくれています。必要なことは、現在の制度の完全な逆転です。

※「再生的手法は、本質的に改良された有機的で持続型農業の生産手法であり、殺虫剤、GMO種、工場式農場の技法を排除するものである。再生的手法は、土壌の健康や保水と降雨の保持を改善すること、そして輪作、混農林業、計画された輪換放牧を使用することに焦点を当てており、大気から余分な炭素を隔離することを意図している」
「再生的な食品および農業はアメリカ大陸での地方の貧困と強制移住をいかに逆転させられるのか(How regenerative food and farming can reverse rural poverty and forced migration in the Americas)」
ロニー・クミンズ、本誌2017年12月号より