今月号の内容概説

 「人類の問題の核心は何でしょうか」という質問に対する要約された簡潔な答えとして、ベンジャミン・クレームと彼の師はいつもこう返答してきた。分離という間違った認識と、霊性は宗教的な文脈の中に属するものであり、そうでない場合は避けるべきものであるという誤った考えである、と。そうだとすれば、私たちの生活のほんのわずかな部分だけが霊的と見なされることになる。こうした態度のせいで、利己的で貪欲で競争的になることはより容易になる。

 ベンジャミン・クレームの仕事を通して響き渡っているアイディアが一つあるとすれば、すべてのものが本質的に霊的であり、徐々にそのように見なされるようになるということである──そのため、彼は他のグループとの協力を促進しようと努力した。今月号(*)には「世界政府のための議員連盟」のメンバーとの興味深い往復書簡の断片が掲載されており、ベンジャミン・クレームは社会の各方面で提携を推進する必要について語っている。このことが意味するのは、生活におけるあらゆるものが霊的であり、政治や気候変動対策、経済、教育、医療制度などすべてがそうした霊的なものとして扱われるべきだということを認めることである。こうした書簡は、霊的な志向を持つグループへのクレームの公開書簡とあわせて、世界中のグループが考慮すべき新鮮なアプローチを提供しているかもしれない。

 ベンジャミン・クレームの師は「新しい文明」という記事で未来を垣間見ている。「新しい文明を構成する要素の特性を考慮してみよう。新しい時代の顕著な姿勢は、正しい関係を創造し、善意を表現するための試みであろう。個人に強調を置くことから集団(グループ)に強調を置く方向に大きく移行し、それが人類をより実りの多い線に沿って再教育するだろう。そしてそれが、神の大計画により一層沿う機構を創造していくなかに反映されるだろう」

 クレームはこれと同じ傾向──和合と融合の必要性──を強調している。これは将来の関係の特色となる特質である。さらに、彼は課題を提示し、実際的な解決策と新しい取り組み方を提供している。「私たちが新しい時代に入る用意を整えるにつれて、統合をもたらす偉大な力が地球に作用し、より大きな和合と融合をもたらしているということが多くの人にとって明白になるでしょう。現代は、あらゆるグループが自分たちの活動方法と、一般大衆および他のグループへの接近の仕方を見直してみることのできる時代です。私たちはまさか、分離主義と排他主義という長い間に深く染み込んだ習慣に従って働き続けることにより、時代の必要に適切に反応することに失敗しようとしているのでしょうか。こうした融合と統合の偉大な力に備わる特質を現し、目指すべき社会の方向性にもっと効果的に影響を及ぼすために、あらゆる分野にいる霊的な志向を持つグループはどのような手段を取ることができるでしょうか。活動の調整不足が現在、主な障害になっている、と私たちは考えます。この国の霊的な運動は、広まってはいますが、バラバラです」

 こうした統合的なアプローチを取ることにより、今月号の記事の収まりが良くなっている。「すべての人に公正な賃金を」という運動は、飢きんや洪水、干ばつに脅かされている人々を救えという呼びかけと結び付いている。秘教的な観点から歴史と心理学を考えたり、私たちは奉仕するためにここにいるのだということを認識するよう呼びかける若くて聡明な自閉症の女性について読んだりすることを、読者は楽しみに思うかもしれない。この号の記事の中では、「普通のお父さん」が気候チャンピオンになったり、若い女の子が社会と気候の正義を呼びかけたりする。

 世界中で活動家やジャーナリストが逮捕され、殺害されている。パレスチナ人の活動家、シリーン・アブ・アクレ氏の事例を考えていただきたい。しかし、世界にあるその同じ場所から、トリノの聖骸布の年代についての新たな研究という形で、イエスの生涯に関するさらなる証拠が出てきた。次々と現れる「徴」や奇跡、尋常でない体験を記した読者からの手紙は、今月号の内容にそれぞれの独特な響きを加えている。

(*) 英語版は7・8月合併号であるが、日本語版は7月号と8月号に分けて発行される。

新しい認識――選集

A new awareness ──      a compilation

「新しい認識」というテーマに関する引用文の選集を掲載する。引用文は、マイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』と『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第1巻と第2巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。

 日ごとに新しい概念が想念帯に入り、その影響を至るところにいる敏感な人間の心(マインド)に与えている。一瞬一瞬、人類が新しい宇宙の周期の瀬戸際に立つにつれて、人類種族の根底にある必要についての新しい認識が増大する。何にも増して、人類はその一体性を、その相互依存性を、お互いの必要性を悟りつつある。そしてその顕現に向かって痛々しい一歩一歩を歩んでいる。対立、不調和、衝突は多い。しかし、お互いがお互いと同一認するアンデンティティーについての新しい認識が花開く。
(『覚者は語る(Ⅰ)』─眠れる火─より)

 多くの者は彼らの周りに混沌とした危険な世の中を見る、まさしくそうである。しかしこのいかにも混沌とした大渦巻の中に、静かな穏やかな中心があり、希望と変化を生み出している。我が友よ、今起こりつつある変化をわたしが見るようにあなたがたも見ることができるならば、わたしと同じように心は喜びに躍るであろう。世界中で、今日人間は変化に目覚め、人の心をとらえている新しい思考や理想を前面に持ち出している。
(『いのちの水を運ぶ者』第129信より)

 認識(awareness)は極めて重大です。奉仕においてだけでなく、人生のあらゆる行為においても非常に重要です。実際、あらゆる瞬間において、認識はあなたがここにいる存在理由のすべてであり、目的のすべてであります。あなたは意識的認識(conscious awareness)を発達させるために転生しているのです。それが進化の意味するものです。認識と奉仕を他の一般的な認識と区別することはできません。魂が転生する理由が意識的認識において成長することであるなら、意識的認識があらゆる行為における支配的要素でなければなりません。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅱ巻』)

 直観の開花を通して、認識の膨大な広がりが人間の前方に横たわる。存在の状態についての認識であり、それはまだまったく人間に知られていないが、覚醒した心(マインド)によって知覚されるのを待っている。
 すべての意識の拡大の前には緊張がある。人間が今通過している争いと困難のこの時期の後に、平安と落ち着きの時が続き、直観が徐々に開花するための舞台が整えられるだろう。それが起こるとき、人間は、すべての論争を通り越して、神のイメージに似せて創られた魂としての自己の特性を直接知るだろう。
(『覚者は語る(Ⅰ)』─理性と直観─より)

……和合が独りでに起こることがないように──つまり栄養と世話と意識的な培いが必要なように──グループや国家を結び付ける絆も同様に、強められ、滋養を与えられ、培われなければなりません。そして世界に法の規制、自由と正義と分かち合いのルールを築かなければなりません。それのみが和合を可能にします。
(『協力の術』)

 精神生活の道はすべての人間が歩むことのできる広く多様なものであることを、マイトレーヤが示されるだろう。人間生活のあらゆる努力のなかに、あらゆる分野のなかに、神についての認識と知識が感じられ、表現されるだろう。すべての者が一瞬一瞬のこの体験についての彼らの認識を、分かち合われた体験の結果として生み出される多彩な模様の中に、貢献することができる。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅰ巻』)

 人間はまさに深淵なる真理の体験、彼ら自身の本質的『存在(Being)』についての認識を体験しようとしている。大多数の人々にとって、それは遠い過去の中に長い間失われていた(心の)状態に生まれ変わるような体験としてやって来るだろう。各人が、それぞれの方法で、あがなわれ、新たに再生し、浄化され、清められるのを感じるだろう。『同胞愛』の歓びと美が、彼らの『存在』を震わせるだろう。そして各人が己自身をあの美と愛の一部として見るだろう。
(『覚者は語る(Ⅱ)』─同胞愛─より)

 わたし自身を公に顕す時が来たら、すべての人類の希望と願いを表明する──新しい人生への、新しい出発への願いを、方向転換への用意があることを、人々が平和に生きることができる新しい世界の建設を、自分自身を恐れることなく、兄弟たちを恐れることなく生きることができ、心に喜びを持って自由に創造し、正直にあるがままであることができる、そのような新しい世界の建設への願いを表明しよう。
 わたしの仕事は、始まったばかりであるのに、もうすでに人の心に新しい光が、新しい希望が芽生え、新しい始まりの兆しがある。人間は孤立した存在ではないことを、あらゆる者の守護者が、代理人を遣わされたことを認識し始めている。わたしは、神の代理人である。
(『いのちの水を運ぶ者』第8信より)

 マイトレーヤは言われました、「真我のみが重要である」と。私たちはその真我なのです、不滅の存在なのです。私たちの苦痛、問題、苦しみは私たちが真我以外のあらゆるものと自己を同一認してしまう事実によるのです。だから、もし真我のみが重要なら、私たちが達成できる最も重要なことは真我の認識に違いありません。真我の認識は5分か10分座って瞑想し、一日の残りの時間は認識していないのではいけません。自分がいかなる存在なのかを認識できるようになるのは一瞬一瞬からですから、真我の認識は一瞬から一瞬へと続いていく過程です。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅱ巻』)

 もしあなたが自分に起こっていることに注意を向けなければ、それに気づくことはできません。認識を持ちません。人生のすべてが、進化の過程全体が、徐々に認識を増大させていく過程です。認識の道具を徐々に完成させていくことです。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅲ巻』)

 自然界とその裡に働くフォース(エネルギー)についての古い、機械的な見方は急速に消えつつあり、すべての顕現の基礎にある和合について新しい認識が目覚めつつある。すべてがエネルギーであり、エネルギーと物質は一つのリアリティー(実相)の異なった状態であり、想念によって影響され得るという概念が広範囲に受け入れられつつあり、人々の人生観を変えつつある。
(『覚者は語る(Ⅰ)』─意識の成長─より)

 世界的相互依存というリアリティ(現実)がわれわれの認識の中で確立された事実となるだろう。そうなる時「すべての人間は兄弟姉妹である」という事実が制度機構や実際的活動計画の中にますます取り入れられて、この実体を反映するものとなるだろう。諸国家も同胞愛、共通の目標、共通の抱負を体験することができ、体験するようになるだろう。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅱ巻』)

 私たちは世界の経済機構を変革せねばなりません。そうすることがより正しいからではなく、それが非常に邪悪で不正義なものだからです。私たちがそれを変革しなければ、世界を破滅させるでしょう。事は単純そのものです。私たちは調和に基づいた、したがって平衡のある社会で、本来の生き方(魂としての)をし始めることができるように、それを変えねばなりません。その平衡があるとき、私たちは自分たちが本来誰であり、何であるのかについての認識を増大させるのです。それが私たちの危機であり、今日の私たちの問題です──自分が誰であるかを知ること。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅲ巻』)

 親愛なる友よ、世界に起こっている出来事を見回して自分に問いなさい──「これは不思議なことではないか、この新しい光は何としたことだ」と。もしあなたが裡なる光に忠実であるならば、わたしの臨在がこの変化を呼び起こしたことに気がつくであろう。そのようにして、あなたはわたしがここに居ることを知るであろう。
(『いのちの水を運ぶ者』第87信より)

 私たちが意識をもっと速く拡大しない理由は認識していないからです。意識は認識です。……それは実際には認識という道具の感受性を完全にし、拡大していくという問題です。
(『マイトレーヤの使命  第Ⅱ巻』)

編集長への手紙

シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されている。。

障害を切り抜けて

 2022年3月26日の土曜日に、ベンジャミン・クレーム美術館で興味深い体験をしました。美術館では、閉館時に玄関を締め切るために通路にチェーンを渡しています。その朝チェーンの錠が動かなくなり、鍵で開けられなくなりました。どんなにやってみても鍵を開けられませんでした。錠前師を呼んでチェーンの錠を切ってもらう必要があることが明らかになっていき、そうすると開館時間が遅くなりそうでした。
 中に入って電話をする前に、マイトレーヤに助けをお願いしました。その直後、もう一度錠とチェーンの所へ行くように促された感じがしました。再び試していたところに、二人の男性が私の左側に『現れて』、一人が「助けが必要なように見えるね」と言いました。その男性たちは水道電力局の制服を着ていて(短い丈のパンツに『DWP〔水道電力局の頭文字〕』のワッペンが付いていました)。心の中で思いを巡らせて、いつもの水電局の作業員たちは違った種類の制服を着て、違う標章を付けていたことを思い出しました。一人の男性は30代で、二人目の男性・ヘ50歳前後でした。年配の方の男性がボルトカッターを取りにトラックへと行って戻ると、錠を切り落としてしまいました。私はお金を差し出しましたが、彼は若い同僚を指差して、「あの方が上司だ!」と言いました。若い方の男性は立ったままタバコを吸っていました(私は近くでの喫煙が好きではありません)。彼はお金も、彼らの昼食を買うという提案も断ってきました。
 私はお礼を言って、美術館の中に入りたいかどうか尋ねました。彼らは入りたいと言って、年配の方の男性が美術館の看板を指差して、同僚に向かって「ほら!」と言って微笑んでいました。
 入館すると、若い方の男性がすぐにベンジャミン・クレーム氏の作品の写真を撮り始めました。彼らは絵画を全部見ていきました。私たちは美術についてもう少しだけ話をしました。それから彼らは仕事に戻らなければならないと言いました。帰っていく時、彼らの一人が「助けることは私たちの喜びだ」と言いました。まさに始まりから、イエス覚者(年配の方)とマイトレーヤ(若い方)だという感覚が私にはあって、私が助けをお願いしてからの現れ方や、何とも素早く(1分間で)問題が解決したことでも、そう感じていました。数多くの覚者との体験と同様に、その日美術館を開始するにあたって、大変な喜びと高揚感がずっと続いていました!

オルガ・チャンピオン
米国、カリフォルニア州パームスプリングス

「今がその時」

 2022年6月20日の土曜日に、カリフォルニア州ロサンゼルスにあるベンジャミン・クレーム美術館で仕事をしていた時、ドアを開ける直前に、4人のチベット人の僧侶が玄関前の歩道に立っていました。私は外へと歩み出て、ベンジャミン・クレーム氏の『到来されるマイトレーヤ仏陀のためのタンカ』の原画を見るために入館したいのですかと尋ねました。彼らは「いいえ」と言いました。私は少し笑って、閉ざされた心を持つ人はどこにでもいるということを考えました。
 1時間ほど後に一人の女性が入ってきて、自分は神智学徒でありブラヴァツキー夫人の本を数冊読んだと言っていました。私たちはブラヴァツキー夫人について少し話をして、その後、アリス・ベイリーやエレナ・レーリッヒの著作、そしてもちろん、ベンジャミン・クレーム氏の本のことを話しました。彼女はこの秘教の美術館を見つけられたことにどれほど興奮しているか、そして信じられないほどだと何度も口にしていました。それから、ここが美術館には完璧な場所だと言いました。彼女はしばらくの間、それぞれの絵を見たり、説明用のプレートを読んだりして過ごしていました。ついに『到来されるマイトレーヤ仏陀のためのタンカ』の絵の所にやって来て、これが自分のお気に入りで、大好きな絵だと断言しました。この美術館が存在していることが信じられない、と彼女は何度も何度も言い、この地域がいかに最適であるかを語っていました。十分にタンカを鑑賞し終えて、彼女は非常に物静かに「今こそがその時です」と言いました。このコメントについて興味深い点は、私がいつもは訪問者にクレーム氏の長年にわたる執筆や世界講演旅行について伝え、世界教師マイトレーヤの出現の話をするのですが、この時には彼女が神智学徒だと名乗り、美術館のホームページを来館前に見てきたと言っていたので、私からは話をしなかったことです。彼女の言葉の後で私は「あなたが正しいといいですね」と言いました。「そうなのです」と、彼女はまたとても静かに言いました。このことは私にとって意味がありました。というのは、米国伝導瞑想研修会でのベンジャミン・クレーム氏を度々観察してきて、最も重要な物事を語る時には非常に物静かに、全く力を入れない様子で話をされていたからなのです。人はそれを聞くことにさえ、真に注意を払わなければなりませんでした。このようなタイプのコメントはいつになく重要である、と私は長年考えてきました。言葉が何の無理強いもなく語られ、説得しようという力みが全くないため、私たちの自由意志が侵害されないことと関係した何かがその言葉の中にあるに違いない、と考えてきました。この女性もまた、そのように話したのです。今がその時だということを私に確信させようとするような力みは全くありませんでした。彼女は私たちの催すイベントや講演などについて尋ねてきたため、私たちは年4回の講演を開催していたが、パンデミックによって一時的に停止していることを伝えました。パンデミックの状況が許せば、初秋から始めるかもしれないと私から言いました。彼女は私たちが一緒にいたことにお礼を言ってくれて、私はいつでもまた来てくれるように伝えました。

スコット・チャンピオン
米国、カリフォルニア州ロサンゼルス

読者質問欄

Q 伝導瞑想グループの仕事は、アトランティス時代のラヤ・ヨガのニューエイジ的な一種ですか。〔ラヤ・ヨガとはチャクラまたは肉体のエーテル複体における中心を扱うヨガのことであり、チャクラを通してエネルギーを伝導するヨガである〕
A いいえ。伝導瞑想の仕事は、時代を通して継続的に行われてきた、より意識的で組織的なエネルギー配分の形態です。

Q 頭部の背後にある中心の機能は何ですか。頭部の中心でこれに対応する低位の中心またはチャクラは何ですか。
A それは脊柱基底部の中心の頭部の対応物です。

Q あなたは『伝導瞑想──21世紀のヨガ』という著書の中で、ゴータマ仏陀はシャンバラにおられると述べています。私の理解では、ゴータマ王子は、イエスが世界教師マイトレーヤによってオーバーシャドウされていたのと同じように仏陀によってオーバーシャドウされていました。では、シャンバラにいるのは誰なのですか。仏陀なのか、仏陀によってオーバーシャドウされていた器であるゴータマなのか。そして他の方はどこにいるのですか。
A 仏陀はシャンバラにおられます。ゴータマ王子であった存在はこの惑星に転生していません。彼は今、シリウスにいます。

Q 次のことは正しいですか。(1)ゴータマ王子は今、シリウスにいる。(2)仏陀はシャンバラにいる、なぜなら彼はすべての人間が覚者(第5段階のイニシエーションを受けた存在)になるまで人類と共に留まると約束されたから。もし仏陀がキリストと同じように魂の王国における地位だとすれば、マイトレーヤがキリストの地位にある今、仏陀の地位にあるのは誰ですか。これらのことについて明らかにしてください。
A (1)はい。(2)仏陀は役職ではありません。マイトレーヤは役職ではありません。しかし、キリストという「地位」はハイアラキーにおける一つの役職です。仏陀も、キリストであり世界教師であるマイトレーヤも、彼らの意識状態に関する神的なエネルギーを体現した個人です。仏陀は知恵の様相、キリストは愛の様相です。キリストはマイトレーヤが現在就いている役職であり、アクエリアス時代の終わりまで保持されるでしょう。

Q これは複雑な主題のようですが、治療に関してカルマはどのように働くかご説明いただけますか。
A カルマ的治療は次のように行われます。特定の状況において、覚者は法の下で一定の量のエネルギーを使うことができます。ある場合には、特に子供の場合、これは全体的なまたは部分的な治癒において十分でしょう。他方、より高齢な場合や、より重大な場合は、それは状況が悪化するのを防ぐだけでしょう。カルマ的状況が変われば、多かれ少なかれ、場合に応じて、より多くのエネルギーが利用可能になります。このパターンは、患者が治癒されるか、全体のカルマが許す程度に緩和されるまで続きます。

Q マイトレーヤはリンガムを生み出しますか。
A いいえ。

Q 人は転生し進化する中で十二星座を順番に進んでいくのですか。
A 魂のレベルではそうです。魂は十二宮の星座を進んでいきます。しかし、パーソナリティーのレベルではそうではありません。星座の順番どおりに進むわけではありません。

Q 人はイニシエーションを受けるためには特定の星座にいなければならないのですか。星座はイニシエーションの観点から重要ですか。
A パーソナリティーの観点からは重要ではありません。パーソナリティーの星座は役割を果たしません。魂の観点からは、イニシエーションを受けるためには、他のすべての条件が満たされたとすれば、「支配的な」星座は山羊座になければなりません。パーソナリティーの星座が山羊座にあることは、その人がイニシエーションを受けることを意味しません。

Q 上昇宮が何であるかを決めるのは何ですか。それは重要なことですか。
A いかなる転生においても、転生するエゴ(魂)の進化段階が、その人がどの上昇宮を持つかの要因です。

Q 魂はいつ次の器の性別を選ぶのですか。その理由は何ですか。男性の肉体をとったり女性の肉体をとったりするのはなぜですか。
A それは将来の転生の目的を決めるプロセスの中で決められます。魂はあらゆる体験を必要とします。

Q どのくらいが魂の選択で、どのくらいがランダムに行われるのですか。
A それはランダムな過程ではありません。選択は完全に魂によってなされます。

Q この転生で非常に男性的なタイプの女性であれば、次の人生では男性になるのですか。それとも前世で男性だったからそうなのですか。
A いいえ、必ずしもそうではありません。もっと複雑なものです。それは文化や、(家族と文化の両方における)条件付け、世代的な影響の問題です。光線の影響やその人の中での光線の相互作用の問題でもあります。

Q 家族のメンバーは多かれ少なかれ等しくカルマ的に互いにつながっていますか。あるメンバーが家族で全く「新しい」ことはありますか。
A 家族の一人か二人が全く「新しい」ことは確かに起こります。言い換えると、彼らは過去にその家族のグループに転生しませんでした。

Q カルマ的関係を持つ人々に会うよう導くのは偶然ですか、それとも魂の「操作」ですか。
A それは魂が特定の出会いを可能にするという問題です。それはカルマの問題でもあります。

Q あなたのように、同じ魂の光線を持つ国に転生する傾向がありますか。
A はい。例えば、英国や米国やその他の国々のような第2光線の魂を持つ国々にはより多くの第2光線の魂がいます。

Q ヒーリング・エネルギーとは何ですか。それは7光線から来るのですか。それともそれは別の、エーテル・エネルギーですか。
A ヒーリング・エネルギーはエーテル的であり魂からのものでもあります。

Q ヒーリングは基本的にエーテル体に影響するのですか。
A はい。

Q グループ・ヒーリングを司るものは何ですか。同じような進化段階ですか。それとも同じ覚者の下にあることですか。それとも同じ光線の影響ですか。
A グループ・ヒーリングは同じグループの覚者に関係しています。それはまた、グループにおける支配的な光線にも関係しています。

Q チャクラの目覚めは病気の原因となりますか。
A はい、それは混乱を引き起こし得ます。

2022年6月号目次

 

覚者より
S.O.P.――われわれの惑星を救え!
■ベンジャミン・クレーム筆記

今月号の内容概説

視点
ウクライナでの消耗戦を終わらせる
ジェフリー・サックス

世界から最悪の惨劇をなくす
ベアトリス・フィン氏へのインタビュー
アナ・スウィーストラ・ビエ

ヒューマンライブラリー ――『人を先入観で判断しないことを学ぶ』
ロニー・アバーゲル氏へのインタビュー
ジェイソン・フランシス

サンジェルマン伯爵の人生、活動、才能 —第三部
ドミニク・アブデルヌール

時代の徴
世界中に溢れる奇跡

サティア・サイババからのインスピレーションと導き
パトリシア・ピッチョン

エコロジー経済学―持続可能性、公平性、自由に向けた変化の過程なのか? —第二部
オーヴェ・ヤコブセン教授へのインタビュー
アンネ・マリエ・クヴェルネヴィック

混乱と希望
ルーク・ギオリー

世界情勢
大気中の炭素を削減するために古代の技術を発展させる
古い種子が約束を取り戻す/ベルリン宣言

編集長への手紙
暗雲を払って 他

読者質問欄
回答 ベンジャミン・クレーム

S.O.P. (Save Our Planet!)──われわれの惑星を救え!

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 世界にある現在の状況を熟視するとき、特に重要なこととして二つの問題が目につく──戦争の危険と地球の生態系の不均衡の加速である。もちろん、他にも多くの問題がある──多くの国々、特に西洋諸国に影響する経済的大災害、食糧の価格、特に何千万の人々の主要食品の価格の高騰、富裕層と貧困層の間の生活水準の巨大な、そしてますます増大する格差。
 これらの問題はすべて重要であり、早期の解決を必要とする。最初に挙げた二つの問題はすべての分別ある人間と政府の注目を強要しなければならない、なぜならそれらは人間の福利に対する最大の脅威を提供するから。戦争は、大きかろうが小さかろうが、今や考えられないことであるべきなのだが、そうではないのだ。最も恐ろしい戦争の愚かさと無益さを経験してきた世界でさえ、まだあの忌まわしいものを完全に放棄していない。諸政府は、あの古いやり方で、結局、彼らの切望する褒美を取り戻せるだろうという考えに誘惑される。ゆえに、戦争の武器は必要不可欠であり、主要な取り引きの資産である。武器が存在するかぎり、それは使用されるだろう。小さな戦争は、より多くの国々が巻き込まれるにつれて、大きな戦争を生む。大国は同盟国を通して代理によって戦い、重要でもない論争を戦争に引き延ばす。この大きな危険はすべての国によって放棄されなければならない。それは地球上における人間の生存そのものを脅かす。
 戦争とは別に、汚染ほどすべての人間の未来に非常に深遠な影響を与えるものはない。ある国々はこの事実を認めて、汚染と地球温暖化を制限するステップをいくらか取っている。他の国々は、ときには汚染の主要国が、地球温暖化の現実を、圧倒的な証拠があるにもかかわらず、否定する。今や、日ごとの気候の変動は、惑星が病んでおり、その均衡を取り戻すために即刻、熟練した看護が必要であることを、疑いの余地なく証明している。この惑星地球が毎日被っている変質を停止させるために残された時間は切れつつある。すべての男女が、子供が、この仕事に彼らの役割を果たさなければならない。まさに時間はない。S.O.P.* われわれの惑星を救え!

〔*編註= S.O.P. とは 英語のSave Our Planet(われわれの惑星を救え)の頭文字であり、これはやがて、われわれの惑星を救済するための行動をすべての人間に呼びかける国際的な合言葉になるだろうということを明記しておきたい〕

(シェア・インターナショナル誌2012年10月号)

今月号の内容概説

 私たちの世界の多くのことは短期主義の結果であるように思える。緊迫した状況の圧力を受けるため、時間がなく、十分な情報がなく、洞察力を欠くことになり、非常にまずい判断をしがちになる。脅威が感じられると、私たちは短期的な解決策を選ぶようであり、日々のニュースの見出しはその明らかな結果を示している。
 こうした問題において繰り返し登場するテーマは、長期的なアプローチという知恵である──世界はその反対のものから生じる問題に対処しているが。ベンジャミン・クレームの師による今月号の記事は、「戦争の危険と地球の生態系の不均衡の加速」を踏まえて、賢明に考慮した上での緊急の行動の必要性を強調している。「時間は切れつつある」と覚者は書いておられる。私たちは是が非でも、長期的な解決策を選択しなければならない。気候科学は証拠を提示すると共に、未来を確かなものとするための解決策も提示している。
 ジェフリー・サックス氏は「ウクライナでの消耗戦を終わらせる」という記事の中で、和平交渉に向けた実現可能な解決策の概略を描き、「ウクライナで平和を構築することはまだ可能である」と指摘している。私たちは消耗戦──長い戦争──に時間をかける用意はできているが、解決策を見いだすためには時間をかけていない。同じテーマに関して、ルーク・ギオリー氏は(「混乱と希望」という記事の中で)決定的に重要な要因について力説している。長期にわたる継続的なプロパガンダと国民に対する条件付けは、特に他国への偏見が重要な要素となっている場合、将来の紛争の種を宿しているということである。
 「核兵器廃絶国際キャンペーン」のベアトリス・フィン事務局長へのインタビュー(「世界から最悪の惨劇をなくす」)では、もし私たちが未来を欲するなら、核兵器はなくなる必要があるという主張がなされている。サンジェルマンの複数の生涯について詳述する伝記の最終回では、覚者方がいかに非常に長い期間にわたって活動するかが強調されている──「長期的な視点」という語句がほんの一瞬のように聞こえてしまうような事実である。サイババについてのパトリシア・ピッチョン氏の記事によって提供された情報を例にとってみよう。万人の利益のために長期にわたって影響を及ぼす多くのことが、サイババの2回目の転生で成し遂げられた。ベンジャミン・クレームはサイババの次の転生についても指摘している。これは数百年にまたがる世界への奉仕である。
 世界中の人々は、自分たちがこの惑星上の出来事の行方に影響を及ぼすくらい強力だと考えるようになるだろう──持続可能な未来を確かなものにし、共通の善のためになるよう政治に変化を起こし、短期主義とそれが引き起こす混乱を避けながら、活動家と政治家が一緒に働くよう促すだろう。
 「この惑星地球が毎日被っている変質を停止させるために残された時間は切れつつある。すべての男女が、子供が、この仕事に彼らの役割を果たさなければならない」と、ベンジャミン・クレームの師は緊急の要請をしている。一見矛盾しているように思えることは、覚者方は時間に拘束されておらず、世界の出来事を「永遠なる今」以外で起こっているとは見なさないが、考えられる限り最も長い期間にまたがることは確かな「大計画」のために働いておられるということである。
 今月号においては、こうしたアイディアやその他の多くのものを、ベンジャミン・クレームによる質疑への応答に加えて、マイトレーヤもしくはイエス覚者との出会いについての読者の話の中にも見いだすことができる。

世界から最悪の惨劇をなくす

ベアトリス・フィン氏へのインタビュー
アナ・スウィーストラ・ビエ

核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、国連核兵器禁止条約の遵守と実施を推進する非政府組織の連合である。2017年には、ICANはその業績に対してノーベル平和賞を贈られた。アナ・スウィーストラ・ビエが本誌のためにICANのベアトリス・フィン事務局長にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI): ウクライナ戦争は、核兵器が戦争を抑止するという主張が間違いであることを明らかにしました。代わりに、侵略国にとって核兵器は白紙委任状のように機能しているように見えます。状況の悪化を恐れる他の国やNATOによる干渉を妨げているのです。

ベアトリス・フィン:相互抑止の概念に頼ることができるという仮定は、確かに間違っています。核による抑止は、望むものを手に入れるために民間人を一斉に殺害すると脅迫する準備ができていることを背景に常に行われています。現在の制度を擁護する人の多くは、この相互抑止が安定をもたらすと主張します。私は全く違う意見を持っています。プーチン大統領の脅威は、他国への侵略を伴います。それは恐喝です!  これは、私たちがどれほど脆弱であるかを示しています。アメリカは核兵器を持っているため、ウクライナを援助することができません。この状況は、核兵器が不利であることを示しています。
 抑止理論は非常に非合理的です。それは地球規模での自殺の準備ができているだろうという考えと関係があります。これは決して正当でも合理的でもありません。そして相手側はそれを知っているのです。

SI:ヨーロッパの治安情勢は、ロシアのウクライナ侵攻によって大きく揺らいでいます。フィンランドやスウェーデンのような国々は現在、NATOに加盟するための措置を講じており、核兵器を保有している潜在的に攻撃的な国から身を守るためには核兵器が必要であるという考え方が広まっているようです。核兵器がなければ、そうした状況が利用される可能性があるといいます。現在の地政学的な情勢では、多くの人によって、核兵器の廃止は考えが甘すぎると思われています。どうすればそのような考え方から脱することができるのでしょうか。

フィン:ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアが核兵器を持っている限りヨーロッパの安全はあり得ないことを示しました。そして、核戦争を解決するために核戦争を開始するという脅しにいっそう依存することは、エアコンが地球温暖化を解決すると信じていることに少し似ています。核抑止力に依存することは、私たちがすべての安全保障をプーチンの手に委ね、彼が正しいことを行うことを永遠に信頼することを意味します。それは考えが甘く、無責任です。プーチンが常に「合理的に」行動するだろうと信頼することはできません。また、私たち全体の運命について彼を信頼することはできません。
 1回の核爆発で数十万人の民間人が死亡し、さらに多くの人が負傷する可能性があります。放射性降下物は、複数の国の広い地域を汚染する可能性があります。広範囲にわたるパニックは、人の大規模な移動と深刻な経済的混乱を引き起こすでしょう。複数の爆発の場合は、もちろんはるかに悪いでしょう。国連機関と赤十字国際委員会による長年にわたる研究と分析では、核兵器の使用後には効果的な人道的対応が行われない可能性があることを一貫して指摘しています。医療と緊急時の対応能力はすぐに限界を迎え、すでに膨大な数に達している死傷者をさらに増加させることになるでしょう。
 スウェーデンやフィンランドに対する核攻撃は明らかに完全に壊滅的なものであり、私たちはその結果に対処することができないでしょう。しかし、ヨーロッパの他の場所での核爆発も、スウェーデンとフィンランドに深刻な影響を及ぼすでしょう。このような大惨事を回避する唯一の方法は核兵器を完全に廃絶することであり、これに向けた最善の手段は国連核兵器禁止条約(TPNW)です。この条約は核兵器に関連するすべての活動を禁止し、核兵器を排除する計画を打ち出しています。

SI:メディアでは「戦術核兵器」についての話があります。それはどういう意味で、どのように機能するのでしょうか。

フィン:戦術核兵器は戦場で使用するように設計されており、一般的に爆発力が比較的弱いものです。しかしながら、核兵器の使用は、特にヨーロッパのような人口密度の高い地域では、壊滅的で広範囲にわたる結果をもたらすでしょう。いわゆる「戦術」核兵器や「戦場」核兵器でさえ、通常は10から100キロトンの範囲の爆発力を持っています。それに比べて、1945年に広島を破壊し14万人の死者を出した原子爆弾は、ちょうど15キロトンの爆発力でした。このスケール感を背景に持つことは重要です。私たちは「小さな」爆弾について話をしているのではありません。その影響は依然として巨大です。それらは都市を一掃することを目的としています。

SI:現代は、未熟で、無責任で、衝動的で、権力に飢えた指導者が核のボタンに指を置くとき、人類の見通しに最も恐ろしい光が投げかけられる時代です。しかし、現在の指導者の性質に関係なく、どの国であっても、そのような兵器を保持することがどれほど正気で責任あることなのかについて、私たちは確かに等しく心配する必要があるでしょう。そしてもちろん、サイバー攻撃やその他の技術的進歩という現実もあります。

フィン:核兵器に対して良い手はありません。人が常に合理的な決定を下すとは限らないことを私たちは知っています。また、事故が発生する可能性があることも知っています。世界は現在、プーチンが正しいことを行い、核兵器を使用しないことを望んでいます。これが、米国など多くの国の安全保障戦略です。しかし、これは非常に壊れやすいものです。私たちは、それが再び起こることはないだろうという希望的観測の下に生きています。

SI:技術的、機械的、人的エラーは発生するものです。世界中で貯蔵されている膨大な核兵器に関連して大規模な災害がまだ発生していないのは、大きな幸運のおかげなのでしょうか。

フィン: はい、私たちは非常に幸運でした。これまでに多くのニアミスや事故がありました。多くの科学者は、今日生まれる子供たちは核戦争を経験する可能性が高いと述べています。それはとても恐ろしいことです!  また、最近、インドがミサイルをパキスタンに誤って発射したことも分かりました。もしそれが米国の基地とロシアの間で起こっていたら、私たちは核戦争に巻き込まれ、壊滅的な結果となる可能性がありました。もしこの道を進み続ければ、非常に危険な旅をしていることになります。人は非合理的で予測不能な行動を起こすものです。それが起こらないことを保証できないので、その代わりに核兵器を取り除く必要があるのです。

SI:原子爆弾の使用について考えると、すぐに広島と長崎が思い浮かびます。それは恐ろしいことでしたが、1945年に爆発したものと比較して、今日の原子爆弾の威力はどのくらいでしょうか。核戦争後には、生存者に対してどのような世界が残されるのでしょうか。

フィン:開示されている情報は多くはないです。現在までにソビエトが実験を行った最大の爆弾は、メガトン単位の威力を持つ「ツァーリ・ボンバ」でした。すべての核保有国は兵器の近代化を続けており、これに何十億ドルもの投資をしています。今日の核兵器の威力ははるかに大きく、軍縮の取り組みがあったという考えを否定するようなものです。確かに冷戦以来、核兵器の数は減少していますが、既存の弾頭の威力は、1980年代の爆弾と比較してはるかに大きくなっています。したがって、核兵器の1回の使用による影響は、広島と長崎で見られた影響よりはるかに壊滅的なものになるでしょう。
 一方で、核爆発の短期的および長期的な恐ろしい影響にもかかわらず、生存者がいることを忘れてはなりません。人々は残骸を片付ける必要があるでしょう。……

SI:戦争を抑止すると思われている核兵器の背後にある論理は、核兵器が悲惨すぎるのでこれまで一度も使用されなかったというものです。しかし、それでも私たちは、点と点をつないで全容を明らかにすることはなく、核兵器は危険すぎるので維持できないことをこの論理がほのめかしていることを認識しません。その代わりに、多くの国では一般的に、核兵器は「必要悪」であると考えられているようです。そのような兵器が引き起こす破壊の規模を知っているので、核兵器について議論したり、核兵器の存在と開発に対する国民や有権者の支持を得たりする方法を理解することは困難です。これらの兵器が私たち全員にもたらす存亡にかかわる脅威に関係した真の事実について、国民やメディアの認識が不足しているのでしょうか。核兵器が「安全な手」の下にある限り何も悪いことはなく、核兵器が存在している限り確かに今までに悪いことはなかったと信じ、私たちは誤った安心感に落ち着いているようです。私たちは無知、偽情報、神話、プロパガンダの犠牲者なのでしょうか。

フィン:私たちはこの爆弾について、ほとんど神話的で強力な物体として話をしてきました。しかし、それは依然として人間が造った爆弾であり、私たちは核兵器をどうするかを決めることができます。
 多くの政治的圧力を生み出し、核兵器を非難しなければなりません。私たちは核兵器を権力の象徴と見なしてきましたが、恥の象徴と見なすべきです。誰にも武装解除を強制することはできません。しかし、核兵器の保有をより困難でよりコストのかかるものにすることはできます。そうすれば、最終的には核兵器を取り除くことがより簡単になることに気づくでしょう。また「核兵器」は、全く使用に適さないものです。大惨事と混乱を引き起こすもので、現在の軍事開発の傾向に反しています。核兵器の価値は徐々に下がっていくでしょう。核兵器の価値が下がれば下がるほど、より多くの国家が核兵器をなくしたいと思うでしょう。
 私は、そこに到達できるだろうという希望を持っています。私たちは、人権や国際法に関して非常に大きな進歩を遂げました。これらの制度と規則は完璧ではなく、ロシアの侵略のような出来事を妨げることはできません。しかしながら、それらは国際的な対応の枠組みを提供します。

SI:兵器産業にはどのような影響がありますか。巨額の資金が他の用途から逸れ、決して使用してはいけないと私たち全員が同意している核兵器や核装備の生産、開発、保守に注ぎ込まれています。

フィン:兵器産業は間違いなく既得権益を持っており、核抑止力が、人々が疑うことのない政策であり続けるように取り組んでいます。政治選挙キャンペーンに寄付し、シンクタンクや研究機関に資金を提供し、これが優れた安全保障戦略であるという考えを維持しています。兵器会社によって資金提供されたあらゆる政策や研究活動に疑問を持ち、それはただ兵器会社の莫大な利益を維持するためではないかと問うことが絶対に必要です。

SI:核兵器は、現在では違法なものです。TPNWには、現在までに86カ国が調印し、60カ国が批准しています。この成果の背後には、大規模な作業と根気強いたゆまぬ努力があります。世界的な核軍縮運動、責任ある国家や市民社会のすべてがその役割を果たしており、もちろんICANも大きな役割を果たしてきました。2022年6月21日から23日にウィーンで開催される最初の締約国会議では、あなたは何を達成することを目指していますか。

フィン:ウィーンでは、核兵器の完全な廃絶の基礎を具体的にどのようにつくっていくかを議論する予定です。世界がウクライナ戦争を心配して見守り、プーチンが実際に核兵器を使用するかどうかを見守っている間、私たちはそれらを取り除く計画について話し合う予定です。TPNWはそのような計画なのです!
 軍縮と核兵器の廃絶に真剣に関心を持つ国は、会議に参加すべきです。最初の締約国会議は、50カ国目の批准により昨年初めに発効したTPNWの祝典になると想定されていました。今ではこの会議は、新しい力を生み出すことができます。核兵器をめぐる闘いが始まって以来、初めてのことです。別々の依存関係にある非常に異なった国々、一部の国は米国に、一部の国は中国に、一部の国はロシアに依存する国々が、プーチンの脅威を非難できる局面です。ドイツやスウェーデンのように今のところ禁止条約を施行したくない国でさえも、ウィーン会議への参加を発表しました。これは最初の重要な段階です。

SI:核兵器の惨劇から解放された地球への道に必要な次の段階は何でしょうか。

フィン:多くの人は今、私たちが核兵器のせいでどれほど脆弱であるかを認識しています。家族の未来をプーチンや核保有国の指導者の手に委ねることを安全とは感じていません。歴史上、核軍縮においてなされた最も大きな進歩は、危機の後に達成されました。今こそ人々が活動すべき局面だと思います。甘い認識を持つことをやめなければならないことを政治家に伝える必要があります。核兵器をどのように取り除くかという計画を立てなければなりません。
 大衆が立ち上がったとき、権力者は常に権力を失ってきました。TPNWはそのような革命なのです。少数の核保有国が条項を決定し続けることはできません。あまりにも長い間、少数の国家が、核兵器の保有と核抑止という考え方を通して他国の運命を決定してきました。残りの世界はこの状況の人質になってきました。TPNWはこのことに関係しており、地球の未来を切り開くことに関係するものなのです。今、私たちは情勢をがらりと変えようとしています。新しい法律を作り、制度を変えようとしています。安全のためには、核兵器を禁止し、排除する必要があるのです。

詳しくはwww.icanw.orgを参照してください。

編集長への手紙

シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されている。

暗雲を払って

 この数日間(手紙は2010年11月に書かれた)、数年前に起きたある体験のことを思い出したり、記憶を辿ったりしていました。正確な日付は覚えていないのですが、ある冬の日にシチリアのトッレと呼ばれる場所で、浜辺の岩の上に座っていた時に起きたことでした。
 その当時は、ハイアラキーの存在や、すべての存在が一つであること、私たちの種族の進化のための聖なる大計画が存在することについて私が受け入れてから比較的日が浅く、したがってまだ不安定な認識でした。私は長年、無益と思われる過去との葛藤を抱えていて、そこから自分自身を解放しようとしてもがき、方法も見つかりませんでした。まるで過去の行動の結果から決して自由にはなれず、現在の目的や平安を達成することも、ましてや愛とは何か、何を意味するのかを理解することもできないように思われました。
 私がそこに座って海と空を眺めていた時、私の心の内で優しく元気づけてくれる声が聞こえたように思えました。過去はもはやそれほど現実的なものではなく、その影響は、私の頭上の晴れた空にある小さな黒雲の破片のように、徐々に無くなっていくだろう、とその声は言ったのです。私は意識的なトランス状態になったようでした。しっかり目覚めていながら、意識が薄れていて、それでも同時に心の内に起こっていることに注意を向けていました。
 私の注意は頭上の小さな黒雲に向けられました。それをじっと見ていると、それは小さくなっていき、その後、目の前で消えてしまいました。私はまばたきして、自分の想像だと思いました。それで目線を別の雲に移すと、それもまた目に見えて消えていき、その場所には青空以外に残っていませんでした。だんだんと目線を雲から雲へと移動していくと、それぞれの黒い雲が崩れていき、そして消えていって、空全体が一点の曇りもなく晴れ渡るまで続きました。
 その体験の後、私は安心感を覚え、畏敬や感謝、希望といったようないくつもの他の感情を感じていました。そして『予言された』とおり、過去にとらわれて憂鬱になることも徐々に無くなりました。時がたつにつれて、ついには、私にとってふさわしい心の持ち方を見つけたのです。
 ある意味では、その体験がどこから来たのかは問題ではないと分かっていますが、私が手紙を書いたのは、このような体験を分かち合い、声を与えることが必要だと思ったからです。助けやこれまで述べてきたような慰めを受けることは、私たちの共通の言葉や意識の一部になり得るものであり、この世界の外に存在しているのではなく、私たちすべてが属している、より偉大な存在の一部であると認識するようになるということです。それでも、さげすまれることを怖れて、否定する人たちもいることでしょう。私は時勢が変わりつつあることを知っています。少なからず、シェア・インターナショナル誌のような月刊誌に助けられています。

ジル・ブラウン
シチリア、カターニア

【ベンジャミン・クレームの師は、この体験がイエス覚者によるものであったことを確認した】

笑顔の効能

 地元のスーパーマーケットの青果コーナーで買い物をしていて、マッシュルームを選んでいた時、ぽっちゃりとした年配の男性が私の背後ににじり寄ってきました。彼は私の肩へもたれかかってきて、非常にはっきりと「俺のおっ母さんは、ノミを一匹見つけた。それからそいつをティーポットに入れて、ポット一杯のお茶にした」と言ったのです。私は笑って「それは大変お利口さんでしたね!」と言いました。
 振り返ってその男性を見ると、彼はケバケバしい青のシャツを着て、赤い髪を変なバーコードヘアにとかしつけていました。私は彼の外見にクスクスと笑ってしまい、そうしている間に彼はどこへともなく消えてしまったようでした。
 その日はとても身体が弱っていると感じていたのですが、その突飛な人物に会ってから幸せな気持ちで買い物を終えることができました。もしかして彼の詩にメッセージがあったのだろうかと思っています。
 この男性が地元のコメディアンだったのか、とりわけ特別な方だったのか、どうか教えていただけますか。

ダヴィナ・ダービー
ニュージーランド、クライストチャーチ

【ベンジャミン・クレームの師は、その男性がマイトレーヤであったことを確認した】

素晴らしい会話術の人

 2、3年前(手紙は2010年10月に書かれた)、私は健康食品店の前に駐車し、入り口の木の下に腰を下ろしている男性に気づきました。彼から少しのお金を求められました。私は「いいですよ」と言って、彼に10ドル札を渡しました。それから会話が始まり、彼がテキサス州に車で帰るためのお金が必要だと言いました。私は彼にテキサス州にある場所について質問し始め、米国の大統領選に出馬したがっている、物議を醸すテキサス人についても尋ねてみました。
 彼は私が持ち出したあらゆる話題について知的に話をしました。私が店に入ろうとすると、彼は立ち上がって、握手してきました。その時、彼が自分の人生について何も語らなかったことに気づきました。それで私は彼に「何をしているのですか?」と尋ねました。彼は「人々を鼓舞しています」と答えました。
 私は店に入ってから、彼がさらにお金を必要としているかを尋ねようと思っていましたが、外を見てみると、彼はいなくなっていました。それ以来、しばしばこの不思議な出会いについて考え、それがマイトレーヤであったかもしれないと思っていたのです。そうでしたか。

ブランチ・バリモア
米国、オクラホマ州オクラホマ・シティ

【ベンジャミン・クレームの師は、その男性がイエス覚者であったことを確認した】

読者質問欄

Q 家族の間でさえ政治について合意が全くできないのに、どうやって世界平和を築くことができるというのでしょうか。(2003年、アメリカ、ロサンゼルスでのベンジャミン・クレーム講演会)

A 世界の誰もが世界平和を維持することに責任があります。それは全員にとってそうであり、アメリカだけでなく世界の誰もが世界の平和に責任があります。現在、いわゆる民主主義国においては、機能するかどうか分からない制度の下で、カードで投票するだけであっても、誰もが投票とその結果に責任を持ちます。世界にいる何百万もの飢えている人々、貧しく飢えている人々、いかなる政党ともつながりを持たず、自分たちの必要を知らせる何の手段もない人々よりも、彼らには大きな責任があります。

Q 周辺に追いやられた人々の苦境はどうなるのですか。

A 言うまでもなく、彼らは最も困窮する人々です。しかし、彼らは声を上げることができず、マイトレーヤがまさにその声を与えるでしょう。マイトレーヤは世界の貧しい人々、飢えた人々、追放された人々、囚人たちに声を与えるでしょう。何十万もの人々が単に現在の政府と異なる見解を持っているという罪だけのために投獄されており、声を上げることができません。投獄され獄中で苦しむことが当然だと考えられています。しばしば拷問も受けています。マイトレーヤは彼らのために語り、声を必要としても上げることのできない人々のために語るでしょう。
 しかし、今日声を上げることのできる人々──教育があり、投票制度を持ち、ある程度の民主主義を享受している人々──には特別な責任があります。

Q マイトレーヤの存在は政治をどう変えますか。

A 私は政治的行動を通じて和合を獲得することと、教育を受け、はっきりとした見解を持つ世界の人々が、国際的な規模での和合の必要性を知り、認識し、理解することについて話しています。ですから世界のすべての国が共に働く必要があります。そうでなければ何も変わらないでしょう。

Q 平和は可能であると人々に確信させるものは何でしょうか。

A 多くの人々は、マイトレーヤが現れて話し始め、覚者方が一人ひとり出てこられて話し始め、世界が彼らに耳を傾け、変化が始まると想像しています。そんなに単純なことではありません。それは人類によって行われなければならないのです。つまり、100%の合意ではないにしても、世界の大半の人々のかなりの程度の承認が必要なのです。さもなければ、それは効果がないでしょう。人類の大多数の承認がないのに人々がマイトレーヤや覚者方の助言の力のみによって決意するならば、それは自由意志の侵害になるでしょう。私たちはもはや政党のような単純な多数派によっては行動しません。ある程度の合意がなければ、何も起こらないでしょう。変化はないでしょう。自由意志を侵害するのでそれを強制することはできません。強制しても持続しないでしょう。大多数の人々が承認しなければ、何を強制しても続きません。変化があったものはすべてオープンに議論できます。決定したすべては反対意見に対して開かれています。
 ですから、人々はこう考えるでしょう。「結局のところ、これが私たちにできる最良のことなのだろうか?」と。そして彼らは別のものにたどり着くでしょう。それは生きた創造的な過程です。単にある制度を別の制度に変えるということではないのです。現在の価値観を別の価値観に変え、それらの価値観はすべての人々に同じレベルで共有されるわけではありません。同じ強さで共有されるのでもありません。その価値観を持つと考える大衆によって共有されるのではありません。
 人間心理はとても複雑なものです──信念や希望の体系があります。しかし概して言えば、人類は、どんな時代においても、広く合意されたことを実行するようになるでしょう。人類の90%が変化に同意すれば、それは十分だと思います。ある政治的・経済的変化に同意するのが50%、55%、あるいは60%であれば、それは効果がないでしょう。それは持続しないので、変化への準備ができているとは言えません。
 世界には異なった考え方を持つ強力な勢力があります。それは常にそうでしたし、特定のやり方で物事を進める習慣は制度化されており、その習慣は非常に強力です。グラマーはあまりにも深いので、全体としての人類は、今や60億人を超えますが、合意に達するには長い時間と多くの内省が必要でしょう。

Q 変化はゆっくりであると言われるのですか。

A 間近な将来に劇的な変化を求めるべきではありません。変化は少しずつ、社会の混乱と破壊と紛争を最小限にして起こるでしょう。受け入れることができるものはすべて実行されるでしょう。受け入れられないものは、それが受け入れられるようになるまで延ばされ、信頼が築かれるときにのみ受け入れられるでしょう。その信頼は経済的変化、最初に起こる変化によって築かれるでしょう。それが私たちの問題すべてに対する答えでしょう。
 私たちのすべての問題を解決する出発点は、世界資源の経済的再分配における変化でしょう。それは私が何度も何度も、そして覚者方が何度も何度も書いてきたことですが、将来のすべての変化の鍵となるでしょう。なぜならそれは信頼を生むからです。信頼が生まれるとき、すべてのことは可能になります。そのとき政治の分野にも変化が起きます。政治の分野での変化が経済的な変化を起こし、これらの変化が地球のための純粋に現実的な分野において変化を起こします。

Q 国連は多くの分野で力不足であり、無力化しており、食糧援助などで役立っているにせよ、もっと多くのことをすべきだと考える人々がいます。多くの世界的な問題に対処するのに最良の方法は何でしょうか。

A 将来的に、国際的グループの大部分によって合意ができるでしょう。この状況で、国連は鍵となる要素であり、それ自身の役割を果たすでしょう。今日では残念ながら、アメリカの右翼集団に難色を示されています。
 国連ビルがニューヨークにあるのは幸運なことです。それがロンドンやジュネーブや東京にあれば、アメリカの大部分はそれに関係しないでしょう。支出金を支払おうとしないでしょう。何もしないでしょう。国連がやろうとするあらゆることに反対するでしょう。しかし、世界は国連にとても多くのものを負っています。
 それは地球の最大の教育者です。何百万、何千万もの人々にとって最大の医療資源であり、医療を受ける他の手段を持たず、十分な医療を提供する病院を持たない人々が、国連機関に医療を受けるのを頼っています。現代社会の勝利である国連がなければ、無数の人々がさらに欠乏していたでしょう。ですから私たちは持てる力のすべてを国連に与えなければなりません。

シェア・インターナショナル誌は、新しい時代の思考の二つの主な方向――政治的と霊的――を統合する。